説明

シート後処理装置および画像形成装置

【課題】起動や節電モードからの復帰に際して、初期化動作や初期化の確認を早期に完了させて、早期に画像形成を開始できるシート後処理装置を提供する。
【解決手段】シート後処理装置Bは、装置本体Aから排出されたシートを受け入れて各種の処理モードを実行する。シート後処理装置Bのフィニッシャ制御部は、起動や復帰に際して処理モードを読み取り、スタックトレイ18へ単純に積載する通常モードであれば、不必要なサイドガイド11やステイプルトレイ38に関しては初期化動作や初期化完了の確認を行わないで、装置本体Aにシート排出許可を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置やその他の事務機等から排出されるシートを後処理するシート後処理装置、およびシート後処理装置を内蔵/接続した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置から搬出されるシートを受け入れて、整合、仕分け、積載、折り曲げ、封筒詰め、綴じ処理、製本、穴あけ、検査、加工等の様々な処理を行うシート後処理装置が実用化されている。また、複写機等の画像形成装置では、このようなシート後処理装置が内蔵されたり、購入選択肢として接続されたりしている。
【0003】
シート後処理装置は、独立した複数の駆動系装置(可動部材とその駆動系)を備えており、その起動時、すなわち電源投入時や節電状態からの復帰時には、搭載されたすべての駆動系装置で初期化動作とホームポジション確認が実行される。
【0004】
特許文献1に示されるシート後処理装置は、昇降可能な積載トレイ装置と、上流側の画像形成装置等から受け入れたシートを積載トレイへ搬送する搬送装置と、積載トレイ装置の上流側に配置されてシートを一時積載する処理トレイ装置と、処理トレイ装置に積載されたシートを整合する整合装置とを備えており、上流側に配置された画像形成装置の起動に付随して実行される積載トレイ装置の初期化動作が例示される。そして、初期化動作の最後に積載トレイ装置のホームポジションが検知されると、初期化完了信号が画像形成装置へ発信され、この信号を受信した画像形成装置は、画像形成とシートの排出を開始する。
【0005】
【特許文献1】特開平9−48545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、最近では画像形成装置本体の立ちあがり時間が短縮される傾向にあり、そのなかで特許文献1のシート後処理装置は、全ての駆動系装置の初期化動作が終了して、ホームポジションがそれぞれ検知されて初めて初期化完了信号が画像形成装置へ発信されるので、起動完了した画像形成装置をシート後処理装置の全ての初期化動作が終了するまで待たすことになり、システムとしてのコピー開始時間を遅らしていた。
【0007】
本発明は、その起動や節電モードからの復帰に際して、初期化動作や初期化の確認を早期に完了させることができるシート後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシート後処理装置は、複数の駆動系装置と、前記複数の駆動系装置を作動させて複数種類のシート処理を実行させるとともに、起動時または節電モードからの復帰時には、前記駆動系装置の初期化動作を実行する制御手段と、を備えたシート後処理装置において、前記制御手段が、前記複数種類のシート処理から選択されたシート処理を識別して、前記選択されたシート処理には不必要な少なくとも1つの前記駆動系装置について、前記初期化動作を省略するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシート後処理装置は、1種類のシート処理では当然に初期化動作を実行される特定の駆動系装置について、別種類のシート処理では初期化動作を省略するから、別種類のシート処理を指定して起動した際に特定の駆動系装置の初期化動作に要する時間が節約される。また、特定の駆動系装置の動作不良やホームポジション確認に不具合がある場合でも、その特定の駆動系装置を使用しない別種類のシート処理を十分に動作確認されて信頼性の高い駆動系装置を用いて実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照して本発明の実施例のシート後処理装置を説明する。実施例1のシート後処理装置は、使用しない駆動系装置についてその初期化動作を省略する。実施例2のシート後処理装置は、使用しない駆動系装置についてその初期化動作の完了を確認しない。
【0011】
なお、画像形成装置には、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等があるから、シート後処理装置は、複写機の装置本体Aのみに設けられるものではなく、プリンタ、ファクシミリ等にも設けられる。
【実施例1】
【0012】
図1は実施例1のシート後処理装置を接続した画像形成装置の正面図、図2は画像形成装置の制御系のブロック図、図3はフィニッシャユニットCの拡大図、図4はシート後処理装置の制御系のブロック図、図5はトレイユニットの駆動系装置の説明図、図6は揺動ガイドの説明図、図7はスノコシャッタ閉止状態の説明図、図8はスノコシャッタ解放状態の説明図、図9はステイプルトレイの平面図、図10は起動時の初期化制御のフローチャートである。
【0013】
実施例1のシート後処理装置は、複数の駆動系装置である例えばシート搬送駆動モータ41、シート排出駆動モータ40、駆動部220、サイドガイドモータ42、ステイプル移動モータ39を備え、通常モードを選択して起動された場合、不必要な駆動系装置である例えばステイプラ13についてその初期化動作が省略される。
【0014】
また、第1シート積載手段である例えばスタックトレイ18、第2シート積載手段である例えばステイプルトレイ38、搬送手段である例えば(搬送ローラ対15、上流排出ローラ対16、下流排出ローラ対17)、整合手段である例えばサイドガイドとその駆動機構、制御手段である例えばMPU300、さらに、シート積載手段である例えばスタックトレイ18とその駆動機構を備えている。
【0015】
<複写機について>
図1に示すように、複写機Eは、装置本体Aにシート後処理装置Bを接続して構成されている。また、シート後処理装置Bは、装置本体Aで画像形成したシートPを部数毎にソート処理をするフィニッシャユニットCと、複数枚のシートPを綴じて折り込む製本処理をするステッチャユニットDとを備えている。尚、ステッチャユニットDは、必ずしも設ける必要はない。
【0016】
複写機Eの装置本体Aは、装置本体Aの上部に設けた原稿給送装置1から自動給送した原稿を光学部2によって光学的に読み取り、画像形成手段として、例えば、その情報をデジタル信号により画像形成部3へ送信し、普通紙やオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用の用紙等のシートPに原稿の画像を複写する。
【0017】
装置本体Aの下部には、各種サイズのシートPを収納した複数のシートカセット4を設けてある。なお、シートカセット4は、1つだけ図示し、他は省略してある。このシートカセット4内のシートPは、搬送ローラ5によって画像形成部3に送り込まれる。画像形成部3の感光ドラム3bには、光学部2で読み取った画像情報に基づいた光照射部3aからのレーザ光によって潜像が形成される。
【0018】
この潜像は、トナー現像されてトナー像になる。このため、画像形成部3に送り込まれたシートPには、感光ドラム3bのトナー像が転写される。その後、シートPは、定着器6に搬送されて、定着器6で熱と圧力を加えられて、トナー像が永久定着される。
【0019】
シートPの片面に画像を形成する片面記録モードの場合、シートPは、装置本体Aからシート後処理装置Bへと送り込まれる。シートPの両面に画像を形成する両面記録モードの場合、上記処理動作にしたがい一方の面に画像が記録されたシートPは、スイッチバック搬送によって再送パス7を経て、再度、画像形成部3へ搬送されて、他方の面にも画像が形成される。両面に画像が形成されたシートPも、最後には、装置本体Aからシート後処理装置Bへと送り込まれる。なお、シートPの供給は、シートカセット4からのみならず、マルチトレイ8からも行える。
【0020】
図2に示すように、複写機E全体は、CPU(中央演算処理装置)200によって制御される。CPU200内には、各部のシーケンス、すなわち制御手順を記憶してあるROM202と、必要に応じて、一時的に種々の情報が記憶されるRAM203が設けられている。
【0021】
原稿給送装置制御部204は、原稿給送装置1の原稿送り動作を制御する。イメージリーダ制御部205は、光学部2を制御して、原稿の読取を制御する。画像信号制御部206は、イメージリーダ制御部205の読取情報、あるいは、外部のコンピューター207から送られてくる画像情報を外部I/F208を介して受信し、その画像情報を処理して、プリンタ制御部209に処理信号を送る。プリンタ制御部209は、画像信号制御部206からの画像処理信号に基づいて感光ドラム3bを制御して、シートPに画像が形成できるようにする。操作部210は、複写機をユーザが使用するときのシートサイズ情報や、シートPに対してどのような処理を施すか、例えばステイプル処理をする情報等を入力できるようになっているとともに、複写機の装置本体Aやシート後処理装置であるフィニッシャユニットC、ステッチャユニットDの動作状態の情報を表示できる。フィニッシャ制御部211は、シート後処理装置であるフィニッシャユニットC、ステッチャユニットD内の動作を制御する。FAX制御部212は、複写機をファックスとして使用できるように、装置本体Aを制御するようになっており、他のファックスと信号の授受を行う。
【0022】
<シート後処理装置について>
図3に示すように、シート後処理装置BにおけるフィニッシャユニットCは、スタックトレイ18にシートPを排出するとき、シートPをそのまま排出する通常の排出モード(通常モード)の他に、オフセットモード、ステイプルモード等の各モードに応じたシート処理ができる。
【0023】
通常モードにあっては、搬送ローラ15と、上流排出ローラ対16と、当接状態の下流排出ローラ対17とが、装置本体AからフィニッシャユニットCに排出されたシートPを順次搬送して、スタックトレイ18に直接排出して積載する。
【0024】
下流排出ローラ対17は、不動ローラ17aに対して揺動ローラ17bが当接する。不動ローラ17aは、シート排出駆動モータ40(図4)からの駆動によって回転する。不動ローラ17aと揺動ローラ17bとのニップは、シート排出口36(図6)に位置する。搬送ローラ対15と、上流排出ローラ対16は、シート搬送駆動モータ41(図4)に駆動されて回転する。
【0025】
図5に示すように、3段のスタックトレイ18は、内蔵された駆動部220によって上下方向に一体に昇降する。3段のスタックトレイ18とトレイフレーム57は一体化して、トレイユニット58を構成している。このため、3つのスタックトレイ18は、フィニッシャユニットCのフィニッシャフレーム59に対して一体的に上下動(昇降)できる。トレイユニット58の昇降、すなわち、スタックトレイ18の昇降は、スタッカモータ221の正逆転駆動をピ二オンギア225によりトレイユニット58の一部に設けたラック部58aに伝達することで行われる。
【0026】
スタッカモータ221の出力軸上にはエンコーダ226を取り付けてある。スタッカモータクロックセンサ227によって、エンコーダ226のパルス数を検出することができる。トレイユニット58が初期位置であるホームポジションから何パルス分昇降したかで、スタックトレイ18の昇降距離がわかる。また、スタックトレイ18のホームポジションの検知は、トレイフレーム57の下部に設けたトレイユニットフラグ57aがトレイホームポジションセンサ228に検知されることによって行われる。
【0027】
図6に示すように、スタックトレイ18には、スタックトレイ18上のシートPの有無を検知するスタックセンサ53が設けられ、揺動ガイド20の上方には、スタックトレイ18に積載されるシートPの最上面を赤外線等で検知する測距センサ54が設けられている。
【0028】
図7に示すように、下流排出ローラ対17は、軸31aを中心にして揺動ガイド20を回動させることにより、不動ローラ17aと揺動ローラ17bを当接/離間可能である。
【0029】
ステイプルトレイ38の前方にはスノコシャッタ34が上下移動可能に設けられている。スノコシャッタ34は、スタックトレイ18へシートPを排出する際には揺動ローラ17bより下方に移動してシートPの排出を妨げないが、スタックトレイ18がシートPを積載してシート排出口36を通過する際には、上昇して斜線部Fを閉じ、上部スノコガイド27aと下部スノコガイド27bを同一平面で接続する案内面を形成して、シートPがシート排出口36へ落下するのを防止する。
【0030】
フィニッシャユニットCの側壁面には、シート排出口36の上方に上部スノコガイド27a、下方に下部スノコガイド27bがそれぞれ固定され、スタックトレイ18へ積載されたシートPの傾斜端部に当接して、排出されたシートPの上流側への逆流や積載状態の乱れを防止している。また、スノコシャッタ34の上方には、回動軸30aを支点として回動するストッパ30が設けられていて、スノコシャッタ34が上昇してシート排出口36を閉じた際には、ストッパ30がスノコシャッタ34の溝部34aと嵌合してスノコシャッタ34をロックする。ストッパ30は、シート排出口36を開く際に図中Y方向に回動されてスノコシャッタ34のロックを解除する。
【0031】
図9に示すように、ステイプラ13は、固定台14にあいたレール溝14aに沿って、また、ステイプラ13に設けられ、回転自在なコロ13aを介して、移動可能である。固定台14には、ステイプラ13のホームポジションを検知するための、ステイプルポジションセンサ232が設けられており、ステイプラ13の一部にセンサフラグ13bを形成することで、上記ステイプラ13のホームポジションを決定している。図9における13(X)は、ステイプラ13がホームポジションにある時を示し、13(Y)は、シート束中央付近にシート端部と平行してダブル綴じ処理を行うポジションにある時を示し、13(Z)は、シート束角部に斜めに綴じ処理を行うポジションにある時を示している。ステイプラ13はステイプル移動モータ39(図4)によって、各ポジションへの移動を行っている。
【0032】
図3に示すように、シート後処理装置BのフィニッシャユニットCは、オフセットモード及びステイプルモードの場合、シートPをオフセット処理、或いはステイプル処理してスタックトレイ18にソート状態で排出する。さらに、割り込みモードの場合には、スタックトレイ18に排出することなく、上部トレイ19に排出する。
【0033】
ここで、オフセットモードとは、シートPを所定の部数毎にソートしてスタックトレイ18に排出するが、各部1枚目のシートPが排出される際に、サイドガイドモータ42(図4)によってサイドガイド11を移動させて、各部1枚目のシートPだけを所定量シートPの幅方向(シートPの搬送方向と直交する方向)へ位置をずらし、各部2枚目以降のシートPは通常排出する動作モードである。このようにして、スタックトレイ18に積載されたシートPの中で各部の境界が目視によって分かるようになる。
【0034】
また、ステイプルモードとは、シートPを所定の部数毎にソートしてスタックトレイ18に排出するが、ステイプルトレイ38にシートPを一時的に積載して整合し、シート束を形成して縁をステイプラ13によって針綴じし、針綴じされたシート束をステイプルトレイ38に積み重ねる動作モードである。
【0035】
図4に示すように、シート後処理装置Bは、MPU(中央演算処理装置)300によって制御される。MPU300は、その内部に、後述する動作説明に対応するプログラムを記憶しており、このプログラムを実行して、シート後処理装置Bの各駆動系装置(可動部材とその駆動系)を制御し、また、装置本体AのCPU200(図2)との通信を行う。
【0036】
MPU300は、測距センサ54、スタックセンサ53、サイドガイドモータ42、シート搬送駆動モータ41、シート排出駆動モータ40、このシート排出駆動モータ40の回転数を検知する駆動モータ回転検知センサ55、スタッカモータ221、スタッカモータ221の出力軸上に設けたエンコーダ226のパルス量を検知するスタッカモータクロックセンサ227、トレイユニット58(スタックトレイ18)のホームポジションを検知するトレイホームポジションセンサ228、ステイプラ13を駆動するステイプル移動モータ39、ステイプルポジションセンサ232等に接続されている。
【0037】
なお、シート後処理装置Bでは、上述の通常モード、オフセットモード、およびステイプルモードの他に製本モードも選択できる。図1に示すように、ステッチャユニットDは、装置本体Aから排出されたシートPを縦パス60で案内して、シート束の部数単位で整合し、さらに、ステイプルユニット61によってシート束を針綴じし、且つこれを折りユニット63で2つ折りにして冊子状にする。
【0038】
ステッチャユニットDの動作を概略説明すれば、縦パス60は、装置本体Aから排出されたシートPを案内し、ストッパ62は、シートPの下端を受け止めて、シート束の部数単位で整合する。その後、ステイプルユニット61は、ストッパ62上のシート束を、シート長さ方向(シート搬送方向)の中央位置において、例えば2箇所針綴じする。綴じ箇所は、2箇所に限定されない。何箇所であってもよい。
【0039】
次に、ストッパ62は下降して、シート束の綴じ位置が折りローラ78のニップ位置に至るまで、シート束を移動させる。その後、突き板79がシート束を厚み方向に突いて、シート束を折リローラ78のニップに押し込む。折りローラ78は、ニップでシート束を挟持搬送して、2つ折りにする。2つ折りされて冊子状になったシート束は、積載トレイ106に排出される。
【0040】
<本発明に係るシート後処理装置の初期化動作について>
図10に示すように、ステップS40では、操作者が複写機Eを使用するために、装置本体Aの電源を投入して、要求するシート処理モードを図2に示す操作部210に選択設定する。
【0041】
ステップS41では、選択設定された情報がCPU200によって処理され、図4に示すシート後処理装置のMPU300へと処理情報が送信される。
【0042】
ステップS42〜S44では、処理情報を受信したMPU300がすべてのモードで共通な駆動系装置の初期化動作を実行する。
【0043】
ステップS42では、MPU300が、シート搬送駆動モータ41を作動させて、シート搬送駆動モータ41に連結したエンコーダ(図示略)の出力パルスを確認する。これにより搬送ローラ対15の回転が確認される。
【0044】
ステップS43では、MPU300が、シート排出駆動モータ40を作動させて、シート排出駆動モータ40に接続されたエンコーダ(図示略)の出力パルスを確認する。これにより、上流排出ローラ対16の回転が確認される。
【0045】
ステップS44では、MPU300が、スタッカモータ221を作動させて、スタックトレイ18を上昇/下降させた後にホームポジションで待機させる。その間に、エンコーダ226(スタッカモータクロックセンサ227)の出力パルスが確認され、スタックトレイ18がホームポジションに復帰したことを確認して初期化が完了する。
【0046】
ステップS45では、操作者の選択したモードが通常モードか否かが判定される。通常モードでなければステップS46へ進んでオフセットモードか否かが判定され、オフセットモードでなければ更にステップS47へ進んでステイプルモードか否かが判定される。
【0047】
ステップS45で通常モードの場合、ステップS48へ進んで、ステップS42〜S44の初期化動作の正常終了が確認されたか否かが判定される。すべて正常終了が確認されていればステップS51へ進んで、装置本体AのCPU200へ初期化完了信号が送信され、続くステップS52では、装置本体Aで初期化が完了して画像形成が開始され、装置本体AからシートPが排出されるのを待つ。
【0048】
ステップS46でオフセットモードの場合、ステップS53へ進んでサイドガイド11の初期化動作が実行される。すなわち、CPU300は、サイドガイドモータ42を作動させてサイドガイド11を内側へ所定距離移動させた後に外側へ移動させてホームポジションで停止させる。その間、サイドガイドモータ42に連結されたエンコーダ(不図示)のパルス出力が確認され、不図示のセンサによるホームポジション検知によって正常終了が判断される。
【0049】
ステップS54では、ステップS42〜S44とステップS53の初期化動作の正常終了が確認されたか否かが判定される。すべて正常終了が確認されていれば、ステップS57へ進んで装置本体AのCPU200へ初期化完了信号が送信され、続くステップS58で装置本体AからシートPが排出されるのを待つ。
【0050】
ステップS47でステイプルモードの場合、ステップS59へ進んで、ステップS53と同様にサイドガイド11の初期化動作が実行され、続いてステップS60では、ステイプルトレイ38の初期化動作が実行される。すなわち、MPU300は、ステイプル移動モータ39を作動させて図9に示すステイプラ13をホームポジションから内側へ移動させた後に外側へ移動させてホームポジションで停止させる。その間、ステイプル移動モータ39に連結されたエンコーダ(不図示)のパルス出力が確認され、ステイプルポジションセンサ232によるホームポジション検知によって正常終了が判断される。
【0051】
ステップS61では、ステップS42〜S44とステップS59、S60の初期化動作の正常終了が確認されたか否かが判定される。すべて正常終了が確認されていればステップS64へ進んで装置本体AのCPU200へ初期化完了信号が送信され、続くステップS65で装置本体AからシートPが排出されるのを待つ。
【0052】
一方、ステップS48、S54、S61で初期化動作の完了が確認されない場合、それぞれステップS49、S55、S62へ進んで初期化動作で異常が発生したか否かが判定され、異常が発生していれば、それぞれステップS50、S56、S63へ進んで装置本体AのCPU200へ異常信号を送信してシート後処理装置の各部動作を停止させる。
【0053】
異常信号を受信したCPU200は、装置本体Aの初期化動作が完了しても、画像形成を禁止するとともに、図1の表示部9にシート後処理装置Bの異常をアラーム表示する。
【0054】
以上のように構成されて初期化動作を制御された実施例1のシート後処理装置Bによれば、装置本体Aの電源投入時、装置本体Aの立ち上がり動作とともに、シート後処理装置Bで各ユニットの初期化動作の完了確認をする際、選択されるシート処理モードに応じて、最低限必要なユニットの初期化動作が完了した時点で初期化完了信号を通知するから、装置本体Aで最短のコピー開始が可能になる。
【0055】
言い換えれば、従来の画像形成装置の電源投入時に、装置本体の立ち上がり動作と共に、シート後処理装置内での全てのユニットの初期化動作が開始されるものに比べ、本体電源投入時および、その際に行われるシート処理モードの選択によって、シート後処理装置側で行われる各ユニットの初期化動作を、選択されたシート処理モードに必要なユニットのみについて行うことで、使用者は操作部210からシート処理モードを選択した時点から終了するまでの時間(Fコット)を大幅に短縮することが可能となる。
【0056】
また、ステイプルモードでは当然に初期化動作を実行されるサイドガイド11の駆動機構とステイプルトレイ38の駆動機構とについて、通常モード(単純排出モード)では初期化動作を省略するから、通常モードを指定して起動した際にサイドガイド11の駆動機構とステイプルトレイ38の駆動機構との初期化動作に要する時間が節約される。
【0057】
また、サイドガイド11の駆動機構またはステイプルトレイ38の駆動機構に動作不良やホームポジション確認に不具合がある場合でも、通常モードを十分に動作確認されて信頼性の高い駆動機構だけを用いて実行できる。
【0058】
また、ステイプルモードでは当然に初期化動作を実行されるステイプルトレイ38の駆動機構とについて、オフセットモードでは初期化動作を省略するから、オフセットモードを指定して起動した際にステイプルトレイ38の駆動機構との初期化動作に要する時間が節約される。
【0059】
また、ステイプルトレイ38の駆動機構に動作不良やホームポジション確認に不具合がある場合でも、ステイプルモードを十分に動作確認されて信頼性の高い駆動機構だけを用いて実行できる。
【0060】
そして、このように起動や節電モードからの復帰が速やかで不具合があってもいくつかの処理モードは実行できるシート後処理装置を備えたから、複写機E(画像形成装置)の操作性、応答性、信頼性が向上する。
【0061】
なお、実施例1のシート後処理装置Bでは、ステッチャユニットDを用いて製本するモードが選択されている場合、シート搬送駆動モータ41の初期化動作とステッチャユニットD関係の初期化動作だけを実行して、フィニッシャユニットCのスタックトレイ18、シート排出駆動モータ40、サイドガイド11、ステイプルトレイ38の初期化動作は実行しない。これにより、ステッチャユニットDを用いたシート後処理ではフィニッシャユニットBの起動を待つ時間が節約される。また、フィニッシャユニットB側に不具合があってもステッチャユニットDを用いたシート後処理は実行できる。従って、本体電源投入時および、その際に行われるシート処理モードの選択によって、シート後処理装置側で行われる各ユニットの初期化動作を、該選択されたシート処理モードに必要なユニットのみを行うようにすることで、ユーザは操作部210からシート処理モードを選択した時点から終了するまでの時間(Fコット)を大幅に短縮することが可能となる。
【0062】
なお、実施例1では、電源投入時の初期化動作について説明したが、節電モードから復帰させる際の初期化動作についても、同様に不必要なユニットの初期化動作を省略することができる。
【0063】
また、実施例1では、画像形成装置として複写機を例示したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、プリンタ、ファクシミリ等の他の画像形成装置であっても良く、該画像形成装置に用いられるシート後処理装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、前述した実施形態では、画像形成装置に対して着脱自在なシート後処理装置を例示したが、本発明は画像形成装置が一体的に有するシート後処理装置であっても良く、該シート後処理装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、前述した実施形態では、記録方式として電子写真方式を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、インクジェット方式等の他の記録方式であっても良い。
【0066】
また、前述した実施形態では、シート後処理装置のフィニッシャの内部においてシート束を作成するのにステイプラを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、のり付け製本機構等のシート束作成装置であっても良い。
【実施例2】
【0067】
図11は実施例2のシート後処理装置における起動時の初期化動作の制御のフローチャートである。
【0068】
実施例2のシート後処理装置では、図1〜図9を用いて説明した実施例1のシート後処理装置の機構をそのまま用いて、起動時の初期化動作のシーケンスだけを図11のように置き換えている。詳しく説明すれば、実施例1のシート後処理装置では、本体電源投入時および、その際に行われるシート処理モードの選択によって、シート後処理装置側で行われる各ユニットの初期化動作を、選択されたシート処理モードに必要なユニットのみを行うようにすることで、ユーザが操作部210からシート処理モードを選択した時点から終了するまでの時間(Fコット)を短縮するというものであるが、実施例2のシート後処理装置では、全てのユニットの初期化動作を行っていくなかで、その際選択されたシート処理モードが必要とされるユニットの初期化動作の開始及び正常動作終了が確認された時点で、まだ初期化動作の終わっていないユニットがある状態でも、本体装置のCPU200にイニシャル完了信号を発信するようにして、同様の効果を実現している。
【0069】
図11に示すように、ステップS70では、操作者が装置本体Aの電源を投入して、要求するシート処理モードを設定する。ステップS71では、シート後処理装置BのMPU300へ処理情報が送信される。ステップS72〜S76では、MPU300がすべてのユニットの初期化動作を開始させる。個々のユニットの初期化動作の内容は実施例1で説明したとおりである。
【0070】
ステップS72では、シート搬送駆動モータ41の初期化動作が実行され、ステップS73では、シート排出駆動モータ40の初期化動作が実行される。ステップS74では、スタッカモータ221を作動させてスタックトレイ18の初期化動作が実行され、ステップS75では、サイドガイドモータ42を作動させてサイドガイド11の初期化動作が実行され、ステップS76では、ステイプル移動モータ39を作動させてステイプルトレイ38の初期化動作が実行される。
【0071】
ステップS77では、操作者の選択したモードが通常モードか否かが判定され、通常モードでなければステップS78へ進んでオフセットモードか否かが判定され、オフセットモードでなければ更にステップS79へ進んでステイプルモードか否かが判定される。
【0072】
ステップS77で通常モードの場合、ステップS80へ進んで、ステップS72〜S74の初期化動作の正常終了が確認されたか否かが判定され、すべて正常終了が確認されていればステップS83へ進んで、装置本体Aへ初期化完了信号が送信され、続くステップS84で装置本体Aの初期化完了を待つ。
【0073】
ステップS78でオフセットモードの場合、ステップS85へ進んでステップS72〜S75の初期化動作の正常終了が確認されたか否かが判定され、すべて正常終了が確認されていればステップS88へ進んで、装置本体Aへ初期化完了信号が送信され、続くステップS89で装置本体Aの初期化完了を待つ。
【0074】
ステップS79でステイプルモードの場合、ステップS90へ進んでステップS72〜S76の初期化動作の正常終了が確認されたか否かが判定され、すべて正常終了が確認されていればステップS93へ進んで、装置本体Aへ初期化完了信号が送信され、続くステップS94で装置本体Aの初期化終了を待つ。
【0075】
一方、ステップS48、S54、S61で初期化動作の完了が確認されない場合、それぞれステップS81、S86、S91へ進んで初期化動作で異常が発生したか否かが判定され、異常が発生していれば、それぞれステップS82、S87、S92へ進んで装置本体Aへ異常信号を送信してシート後処理装置を停止させる。
【0076】
なお、ステップS72〜S76で開始された各ユニットの初期化動作は、ステップS80、S85、S90のいずれかで完了と判断されるまで継続しているが、ステップS83またはステップS88で初期化完了信号を発信する際に、まだ初期化動作の終わっていないユニットの初期化動作を継続するかしないかは任意に決定してもよい。
【0077】
また、各ユニットの初期化動作を並行して実行している際に、選択されたシート処理モードに必要ないユニットが初期化動作異常を発生したとしても、他のユニットの初期化動作と完了確認は継続し、最終的に必要なユニットの初期化動作の開始及び正常終了が確認された時点で、本体装置のCPU200に初期化完了信号を発信するようにしてもよい。
【0078】
以上のように初期化動作を制御される実施例2のシート後処理装置によれば、通常モードを指定して起動した際にサイドガイド11の駆動機構やステイプルトレイ38の駆動機構の初期化完了を待つ必要がなく、これらに不具合があっても通常モードを問題なく実行できる。
【0079】
また、オフセットモードを指定して起動した際にステイプルトレイ38の初期化完了を待つ必要がなく、これに不具合があってもオフセットモードを問題なく実行できる。
【0080】
そして、このように起動や節電モードからの復帰が速やかで、不具合があってもいくつかの処理モードは実行できるシート後処理装置を備えたから、複写機E(画像形成装置)の操作性、応答性、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】実施例1のシート後処理装置を接続した画像形成装置の正面図である。
【図2】画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図3】フィニッシャユニットの拡大図である。
【図4】シート後処理装置の制御系のブロック図である。
【図5】トレイユニットの駆動系装置の説明図である。
【図6】揺動ガイドの説明図である。
【図7】スノコシャッタ閉止状態の説明図である。
【図8】スノコシャッタ解放状態の説明図である。
【図9】ステイプルトレイの平面図である。
【図10】起動時の初期化制御のフローチャートである。
【図11】実施例2のシート後処理装置における起動時の初期化制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
A 装置本体
B シート後処理装置
C フィニッシャユニット
15 搬送ローラ対
16 上流排出ローラ対
17 下流排出ローラ対
18 スタックトレイ(第1シート積載手段)
38 ステイプルトレイ(第2シート積載手段)
39 ステイプル移動モータ(駆動系装置)
40 シート排出駆動モータ(駆動系装置)
41 シート搬送駆動モータ(駆動系装置)
42 サイドガイドモータ(駆動系装置)
221 スタッカモータ(駆動系装置)
300 MPU(判断手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動系装置と、
前記複数の駆動系装置を作動させて複数種類のシート処理を実行させるとともに、起動時または節電モードからの復帰時には、前記駆動系装置の初期化動作を実行する制御手段と、を備えたシート後処理装置において、
前記制御手段は、前記複数種類のシート処理から選択されたシート処理を識別して、前記選択されたシート処理には不必要な少なくとも1つの前記駆動系装置について、前記初期化動作を省略する手段であることを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
複数の駆動系装置と、
前記複数の駆動系装置を作動させて複数種類のシート処理を実行させるとともに、起動時または節電モードからの復帰時には、前記駆動系装置の初期化動作を実行し、前記初期化動作の完了を検知して前記起動を完了させる制御手段と、を備えたシート後処理装置において、
前記制御手段は、前記複数種類のシート処理から選択されたシート処理を識別して、前記選択されたシート処理には不必要な少なくとも1つの前記駆動系装置について、前記初期化動作の完了を検知できなくても前記起動または前記節電モードからの復帰を完了させることを特徴とするシート後処理装置。
【請求項3】
シートが積載される第1シート積載手段と、
前記第1シート積載手段の上流側に配置されて、前記第1シート積載手段へ積載される前記シートを一時積載可能な第2シート積載手段と、
前記第2シート積載手段に積載された前記シートを整合する整合手段と、
前記シートを搬送して前記第1シート積載手段へ直接積載する第1処理と、前記第2シート積載手段へ一時積載した後に前記第1シート積載手段へ積載する第2処理と、を実行可能な搬送手段と、
前記第2処理が選択された起動時または節電モードからの復帰時には、前記搬送手段と前記整合手段の両方の初期化動作を実行させ、その後に、受け入れた前記シートを前記第2シート積載手段に積載して前記整合手段によって整合させる制御装置と、を備え、
前記制御手段は、前記第1処理が選択された起動時または節電モードからの復帰時には、前記搬送手段の初期化動作を実行させて、前記整合手段の初期化動作を実行させない手段であることを特徴とするシート後処理装置。
【請求項4】
シートが積載される昇降可能な第1シート積載手段と、
前記第1シート積載手段の上流側に配置されて、前記第1シート積載手段へ積載される前記シートを一時積載する第2シート積載手段と、
前記第2シート積載手段に積載された前記シートを整合する整合手段と、
上流側装置から受け入れた前記シートを搬送して前記第1シート積載手段へ直接積載する第1処理と、上流側装置から受け入れた前記シートを搬送して前記第2シート積載手段へ一時積載した後に前記第1シート積載手段へ積載する第2処理と、を実行可能な搬送手段と、
前記第2処理が選択された起動時または節電モードからの復帰時には、前記第1シート積載手段、前記整合手段、および前記搬送手段の初期化動作を実行させ、その後に、受け入れた前記シートを前記第2シート積載手段に積載して前記整合手段により整合させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1処理が選択された起動時または節電モードからの復帰時には、前記第1シート積載手段と前記搬送手段との初期化動作を実行させて、前記整合手段の初期化動作を実行させない手段であることを特徴とするシート後処理装置。
【請求項5】
受け入れたシートが積載されるシート積載手段と、
受け入れた前記シートを前記シート積載手段に積載される以前に整合する整合手段と、を備えたシート後処理装置において、
前記整合手段を利用することなく前記シートを前記シート積載手段に積載する処理モードが選択された起動時または節電モードからの復帰時には、前記シート積載手段の初期化動作を実行して、前記整合手段の初期化動作を省略することを特徴とするシート後処理装置。
【請求項6】
受け入れたシートが積載されるシート積載手段と、
受け入れた前記シートを前記シート積載手段に積載される以前に整合する整合手段と、
受け入れた前記シートを前記シート積載手段に積載される以前に処理する処理手段と、を備えたシート後処理装置において、
前記処理手段を利用することなく、前記シートを前記整合手段により整合した後に前記シート積載手段に積載する処理モードが選択された起動時または節電モードからの復帰時には、前記シート積載手段および前記整合手段の初期化動作を実行して、前記処理手段の初期化動作を省略する制御手段を備えたことを特徴とするシート後処理装置。
【請求項7】
前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段で画像を形成されたシートを受け入れて後処理を行う後処理手段と、を備えた画像形成装置において、
前記後処理手段を請求項1乃至6いずれか1項に記載のシート後処理装置としたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−91368(P2007−91368A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279760(P2005−279760)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】