説明

シート排出装置及び画像形成装置

【課題】シートを波打たせて排出する場合でも、画質が低下しないようにすることのできるシート排出装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】上下一対のガイド部材40a,40bにより、画像が形成されたシートをシート排出方向と直交する幅方向において波形状として排出する排出ローラ対51,52に、シートを導く。そして、上下一対のガイド部材40a,40bの、排出ローラ対51,52よりもシート排出方向上流側の、排出ローラ対51,52によって波形状とされたシートの凸部と当接する部分に切り欠き部Kを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート排出装置及び画像形成装置に関し、特に画像が形成されたシートを腰を付けて排出するようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びそれらの複合機等の画像形成装置においては、シートに画像を形成する画像形成部と、画像が形成されたシートを排出ローラ対により排出してシート積載部に積載するシート排出装置を備えている。
【0003】
そして、このような画像形成装置では、シートに画像を形成する場合は、まず画像形成部に設けられた感光体ドラムの表面に静電潜像を形成した後、静電潜像をトナーにより現像することにより、感光体ドラム表面にトナー画像を形成する。次に、トナー画像をシート上に転写し、この後、トナー画像が転写されたシートを定着部において加熱及び加圧することによりトナー画像をシートに定着する。そして、このようにトナー像が定着されたシートをシート排出装置に設けられた排出ローラ対によってシート排出口からシート積載部に排出する。
【0004】
このような従来の画像形成装置において、シートを排出する際、シートの先端が垂れ下がり、シート積載部にシート先端が触れることでシートが丸まり、シート積載部上に既に積載されているシートを押し出してしまうことがある。そこで、従来は、例えば排出ローラ対として櫛歯状のローラを用い、シートを排出する際、シートを波打たせることにより、排出するシートの剛性を増すようにしてシート先端の垂れ下りを防止するようにしたものがある。さらに、シート排出方向を水平方向よりも上方にして、シート先端がシート積載部のシート排出方向下流側に触れるようにすることにより、シートの丸まりや、積載されているシートの押し出しを防止するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−111370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような従来のシート排出装置及び画像形成装置において、排出ローラ対によってシートが波打つと、シートの、排出ローラ対よりもシート排出方向上流部分においてもシートが波打つようになり、シートの剛性が増加する。このように、シートの剛性が増加すると、図9の(a)及び(b)に示すように、シートSをガイドするガイド201,202のうち上部ガイド201のシート排出方向下流(排出ローラ対200側)端部に、波打ったシートSの湾曲部分が強く押し付けられる。また、図9の(a)及び(c)に示すように、下部ガイド202のシート排出下流側端部に、波打ったシートSの凸部が強く押し付けられる。なお、図9の(b)は(a)の矢視A図、(c)は(a)の矢視B図である。
【0007】
そして、このように波打ったシートSの湾曲部分が上下のガイド201,202に強く押し付けられると、画像がダメージを受け、画質が低下する。特に、光沢紙で高印字率の画像をプリントする際に、傷や光沢斑となって顕著に発生し、両面印字のときは両面に発生する。
【0008】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、シートを波打たせて排出する場合でも、画質が低下しないようにすることのできるシート排出装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像が形成されたシートをシート排出方向と直交する幅方向において凹凸部を有する波形状として排出するシート排出装置において、シートを波形状として排出する排出ローラ対と、波形状のシートの凸部側の第1ガイド部材と凹部側の第2ガイド部材とからなり、前記排出ローラ対にシートを導く一対のガイド部材と、を備え、前記一対のガイド部材のうち、少なくとも第1ガイド部材のシート排出方向下流端部に、波形状のシートの凸部の位置に対応して切り欠き部を形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のように、上下一対のガイド部材の、排出ローラ対によって波形状とされたシートの少なくとも凸部に対応する部分に切り欠き部を形成することにより、排出ローラ対よってシートを波打たせて排出する場合でも、画質が低下しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザープリンタの構成を示す図。
【図2】上記レーザープリンタのシート排出装置の斜視図。
【図3】上記シート排出装置により排出される際のシートの状態を説明する図。
【図4】上記シート排出装置の構成及び排出されるシートの状態を説明する図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置のシート排出装置の構成を説明する図。
【図6】上記シート排出装置の構成及び排出されるシートの状態を説明する図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置のシート排出装置の構成を説明する図。
【図8】上記シート排出装置の構成及び排出されるシートの状態を説明する図。
【図9】従来のシート排出装置の構成及び排出されるシートの状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザープリンタの構成を示す図である。100はレーザープリンタ(以下、プリンタという)、101はレーザープリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。このプリンタ本体101は、シートSに画像を形成する画像形成部102と、給紙カセット1からシートSを給送するシート給送部であるシート給送装置24と、一側面に設けられた手差し給送部31等を備えている。
【0013】
画像形成部102は、スキャナーユニット4と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナー画像を形成する4個のプロセスカートリッジ10(10Y、10Y、10C、10Bk)を備えている。また、画像形成部102は、プロセスカートリッジ10の上方に配された中間転写ユニット5を備えている。ここで、各プロセスカートリッジ10は、感光体ドラム20(20Y、20M、20C、20Bk)を備えている。
【0014】
中間転写ユニット5は、駆動ローラ8及びテンションローラ9に巻き掛けられた中間転写ベルト6を備えている。また、中間転写ユニット5は、中間転写ベルト6の内側に設けられ、感光体ドラム20に対向した位置で中間転写ベルト6に当接する1次転写ローラ7(7Y、7Y、7C、7Bk)を備えている。ここで、中間転写ベルト6は、フィルム状部材で構成されると共に各感光体ドラム20に接するように配置され、不図示の駆動部により駆動される駆動ローラ8により矢印A方向に回転するようになっている。
【0015】
そして、この中間転写ベルト6に1次転写ローラ7によって正極性の転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の負極性を持つ各色トナー像が順次中間転写ベルト6に多重転写される。これにより、中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。なお、中間転写ユニット5の駆動ローラ8と対向する位置には、中間転写ベルト上に形成されたフルカラー画像をシートSに転写する2次転写部14を構成する2次転写ローラ12が設けられている。
【0016】
さらに、この2次転写ローラ12の上部に定着部13が配置され、この定着部13のシート搬送方向下流側である左上部には排出ローラ対51,52を備えたシート排出装置50及び両面反転部15が配置されている。この両面反転部15は、正逆転可能な再搬送ローラである反転ローラ対16と、切換部材17を備えている。なお、図1において、26は画像形成部102により片面(第1面)に画像が形成されたシートの裏面(第2面)に画像を形成する両面印字(両面画像形成)の際、シートの表裏を反転させて再び画像形成部102(2次転写部14)へ導くための再搬送通路である。そして、この再搬送通路26には両面搬送ローラ対30が設けられている。
【0017】
次に、このように構成されたプリンタ100の画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず不図示のパソコン等からの画像情報に基づきスキャナーユニット4はレーザ光を照射し、表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラム20の表面を順次露光して感光ドラム上に静電潜像を形成する。この後、この静電潜像をトナーにより現像し、可視化する。
【0018】
例えば、まず感光体ドラム20Yに、スキャナーユニット4からイエロー成分色の画像信号によるレーザ光を照射し、感光体ドラム20Y上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像をイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。次に、このトナー像が感光体ドラム20Yの回転に伴って感光体ドラム20Yと中間転写ベルト6とが当接する1次転写部に到来すると、1次転写ローラ7Yに印加される転写バイアスにより感光ドラム上のイエロートナー像が中間転写ベルト6に転写される。
【0019】
次に、中間転写ベルト6のイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラム20M上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト6に転写される。同様に、中間転写ベルト6が移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト6上にフルカラートナー画像が形成される。
【0020】
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット1に収容されたシートSがピックアップローラ21により送り出される。そして、このシートSは、この後、フィードローラ22とリタードローラ23により1枚ずつに分離されてレジストローラ対2まで搬送され、斜行が補正される。次に、レジストローラ対2によりシートSの斜行が補正された後、2次転写部14で中間転写ベルト上のフルカラートナー像とシートSの位置を合わせるようにレジストローラ対2が駆動される。なお、レジストローラ対2の下流側にはシートSの位置検知やジャム検知を行うトップセンサ3が設けられている。
【0021】
そして、このトップセンサ3によりシートSの先端を検知し、2次転写部14で中間転写ベルト6上のフルカラートナー像とシートSの位置を合わせるように、レジストローラ対2によりシートSを2次転写部14まで搬送する。これにより、2次転写部14にて、2次転写ローラ12に印加した2次転写バイアスにより、フルカラートナー像がシートS上に一括して転写される。なお、2次転写部14でシートSに転写し切れなかったトナーは、中間転写ベルト6に接触するクリーニング部11のトナー分離用部材によって中間転写ベルト6から分離される。
【0022】
次に、このようにフルカラートナー像が転写されたシートSは、定着部13に搬送される。なお、この定着部13は、加圧ローラ13aと、加熱源であるヒータを有し、加圧ローラ13aに対して定圧で接触している加熱ローラ13bを備えている。そして、この定着部13に設けられた加圧ローラ13aと加熱ローラ13bにより、熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートSにフルカラーの画像として定着される。
【0023】
この後、シートの片面のみに画像を形成する片面印字(片面画像形成)の場合には、排紙トレイ25への搬送経路と、両面印刷時に使用する両面反転部15への搬送路とを切り替える切換部材17を図1に示す位置に移動させる。これにより、定着部13を通過してトナー画像が定着されたシートSは、排出ローラ対51,52によりプリンタ本体上面に設けられた排紙トレイ25に、画像面を下に向けて排紙される。
【0024】
また、シートの両面に画像を形成する両面印字の場合には、切換部材17を不図示のソレノイド等の駆動機構により時計方向に回動させる。これにより、定着部13を通過したシートSは、まず両面反転部15の反転ローラ対16に搬送された後、反転ローラ対16の順回転により搬送される。この後、シートSの後端が再搬送通路26との分岐点を越えた後、シートSは、反転ローラ対16の逆回転により再搬送通路26へ送り込まれる。
【0025】
そして、このように再搬送通路26へ送り込まれたシートSは、レジストローラ対2に搬送され、レジストローラ対2により斜行を補正された後、中間転写ベルト6に1次転写されたトナー画像の先端にタイミングを合わせて2次転写部14へ再給紙される。この後、2次転写部14、定着部13、排出ローラ対51,52を経て排紙トレイ25に排出される。
【0026】
一方、シートを手差し給紙する場合は、手差し用シート積載部35に積載されたシートを、円周面の一部が切り欠かれた半月状のシート給送ローラ34により送り出すようにする。なお、このようにシート給送ローラ34により送り出されたシートは、分離パッド33により分離された後、搬送ローラ32により、レジストローラ対2まで搬送され、この後、レジストローラ対2により、2次転写部14へ給送される。
【0027】
図2は、シート排出装置50の斜視図である。図2において、40a及び40bはシートを排出ローラ対51,52に案内する上下一対のガイド部材である上部及び下部ガイドである。そして、この上部ガイド(第1ガイド部材)40a及び下部ガイド(第2ガイド部材)40bのシート排出方向下流側には、シートを排出する排出ローラ対51,52がそれぞれ設けられている。ここで、上下方向に配置された排出ローラ対51,52のうち、上部排出ローラ(第1ガイド部材側に設けられた第1排出ローラ)52は複数のローラ部(第1ローラ部)52aを有している。
【0028】
また、下部排出ローラ(第2ガイド部材側の第2排出ローラ)51は、上部排出ローラ52の複数のローラ部52aに対し、複数のローラ部52aの間に入り込むよう軸方向(幅方向)にずれて設けられた複数のローラ部(第2ローラ部)51aを有している。そして、上部排出ローラ52及び下部排出ローラ51は、上部排出ローラ52の複数のローラ部52aと、下部排出ローラ51の複数のローラ部51aとを所定量上下方向にオーバーラップさせて設けられている。すなわち、排出ローラ対51,52は、櫛歯状となっている。
【0029】
これにより、排出ローラ対51,52を通過する際、シートを凹凸部を有する波形状とすることができる。また、本実施の形態において、下部排出ローラ51は、上部排出ローラ52に対してシート排出方向下流側にずらして配置されている。これにより、シートSを排出する際、排出ローラ対51,52は水平方向に対し、所定角度だけ上方に向けてシートを排出してシートSの後端を排出ローラ対51,52から確実に引き離し、排出ローラ対51,52へのモタレかかりを防止することができる。
【0030】
一方、上部及び下部ガイド40a,40b間の間隔は、図3に示すように、排出ローラ対51,52の直前部であるシート排出方向下流側の領域Cで狭く、それよりもシート排出方向上流側の領域Bで広くなっている。このように、排出ローラ対51,52の直前部の領域Cにおけるガイド間隔を小さくすることにより上部及び下部ガイド40a,40b間を案内されるシートは確実に排出ローラ対51,52のニップに導かれる。ここで、排出ローラ対51,52に向けて搬送されたシートSは、図3の(a)に示すように下部ガイド40bに沿ってシート先端が櫛歯状の排出ローラ対51,52に進入する。そして、排出ローラ対51,52にシートSが挟持されると、シートSは凸部、凹部が連続的に形成されて波打ち、剛性が増す。
【0031】
そして、このように剛性が増したシートSは、この後、図3の(b)に示すように、下部ガイド部材である下部ガイド40bに沿うことなく搬送される。なお、この際、上部及び下部ガイド40a,40bの上下方向の間隔が広い場合、特に下部ガイド40bの位置が低い場合、このようにシートSの剛性が増した場合でも、シートSの後端部分が下部ガイド40bの上流部Bに押し付けられることもない。このため、シート排出方向上流側部分Bの上下方向の間隔は、スペースが許す限り広くする方が好ましい。
【0032】
ところで、本実施の形態において、図4に示すように、上部及び下部ガイド40a,40bのシート排出方向下流端部、すなわち排出ローラ対側の端部には、シート排出方向と直交する幅方向に、切り欠き部Kが複数形成されている。なお、図4において、(a)はシート排出装置50を上側から見た図、(b)はシート排出装置50をシート排出方向から見た図、(c)はシート排出装置50を下側から見た図である。ここで、図4の(a)に示すように、凸部側のガイド部材としての上部ガイド40aの切り欠き部Kは、下部排出ローラ51の複数のローラ部51aに対応する位置に、下部排出ローラ51のローラ部51aよりも軸方向の幅が広くなるように形成されている。
【0033】
また、図4の(c)に示すように、凹部側のガイド部材としての下部ガイド40bの切り欠き部Kは、上部排出ローラ52の複数のローラ部52aに対応する位置に、上部排出ローラ52のローラ部52aよりも軸方向の幅が広くなるように形成されている。ここで、この上部及び下部ガイド40a,40bの切り欠き形成部は、排出ローラ対51,52により波打ち形状となったシートの波の頂部に対応する位置である。つまり、本実施の形態においては、上部及び下部ガイド40a,40bの、シートの凹凸部分である上方の凸部及び下方の凹部に対応する位置に切り欠き部Kを形成している。なお、説明の都合上、凹部、凸部を区別して記載するが、いずれも波形シートの波の頂部としては差はなく、見方を変えて凹部、凸部の呼称を逆にしても何ら問題がない。
【0034】
そして、このような位置に切り欠き部Kを形成することにより、排出ローラ対51,52により、図4の(b)に示すようにシートSが波打ち形状となった場合でも、シートの凹凸部が上部及び下部ガイド40a,40bに当接することはない。これにより、波打ったシートSが排出ローラ対51,52の直前部において、上部及び下部ガイド40a,40bに押し付けられることはなく、シートSの画像がダメージを受けるのを防止することができる。
【0035】
このように、上部及び下部ガイド40a,40bの、排出ローラ対51,52によって波形状とされたシートの凹凸部と対応する部分に切り欠き部Kを形成することにより、シートを波打たせて排出する場合でも、シートと接触しないようにすることができる。これにより、上部及び下部ガイド40a,40bがシートと接触してシートの画質が低下しないようにすることができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0037】
図5は本実施の形態に係る画像形成装置のシート排出装置の構成を説明する図である。なお、図5において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0038】
図5において、60はシート排出装置であり、このシート排出装置60は、排出ローラ対61,62と、シートを排出ローラ対61,62に案内する上下一対のガイド部材である上部及び下部ガイド63,64を備えている。ここで、排出ローラ対61,62を構成する上部排出ローラ62は複数のローラ部62aを有している。また、上部排出ローラ62に対向して設けられた下部排出ローラ61は、上部排出ローラ62のローラ部62aと当接する複数のローラ部61aを有している。
【0039】
さらに、この下部排出ローラ61は、上部排出ローラ62の複数のローラ部62aに対し、複数のローラ部62a間に入り込むように幅方向にずれると共に、他のローラ部61aよりも大径の大径ローラ部61bを有している。そして、このような大径ローラ部61bを有することにより、下部排出ローラ61を、上部排出ローラ62に対し、上部排出ローラ62の複数のローラ部62aの間において、所定量上下方向にオーバーラップさせることができる。これにより、排出ローラ対61,62を通過する際、大径ローラ部61bによりシートを波打たせた状態とすることができ、プリンタ本体101から排出される際、シートSを波打たせた状態で排出することができる。
【0040】
なお、本実施の形態において、下部排出ローラ61は、上部排出ローラ62に対してシート排出方向下流側にずらして配置されている。これによりシートSを排出する際、水平方向に対し、所定角度だけ上方に向けてシートを排出してシートSの後端を排出ローラ対51,52から確実に引き離し、排出ローラ対51,52へのモタレかかりを防止することができる。また、上部及び下部ガイド63,64間の間隔は、既述した図3に示すように、排出ローラ対61,62の直前部であるシート排出方向下流側の領域Cで狭く、それよりもシート排出方向上流側の領域Bで広くなっている。
【0041】
ところで、本実施の形態において、図6に示すように、上部ガイド63のシート排出方向下流側端には、切り欠き部Kが形成されている。なお、図6において、(a)はシート排出装置60を上側から見た図、(b)はシート排出装置60をシート排出方向から見た図、(c)はシート排出装置60を下側から見た図である。ここで、図6の(a)に示すように、上部ガイド63の切り欠き部Kは、下部排出ローラ61の大径ローラ部61bに対応する位置に、大径ローラ部61bよりも軸方向の幅が広くなるように形成されている。なお、図6の(c)に示すように、下部ガイド64には切り欠き部は、形成されていない。
【0042】
ここで、大径ローラ部61bによりシートを波打たせる場合、シートは、図6の(b)に示すように上部ガイド側に向かって大きく波打つようになる。しかし、このようにシートが上部ガイド側に向かって大きく波打つようになった場合でも、切り欠き部Kを上部ガイド63に形成することにより、シートSの凸部が、排出ローラ対61,62の直前部において上部ガイド63に当接することはない。これにより、波打ったシートSが排出ローラ対61,62の直前部において、上部ガイド63に押し付けられることはなく、シートSの画像がダメージを受けるのを防止することができる。
【0043】
以上説明したように、大径ローラ部61bを有する下部排出ローラ61により、シートSを波打たせた状態で排出する場合は、上部ガイド63のシートの凸部と当接する部分に切り欠き部Kを形成するようにしている。これにより、波打ったシートSが排出ローラ対61,62の直前部において、少なくとも上部ガイド63に押し付けられることはなく、シートSの画像がダメージを受けるのを防止することができる。なお、本実施の形態においては、大径ローラ部を下部排出ローラ61に配設したが、大径ローラ部を上部排出ローラ62に配設するようにしてシートを波打たせるようにしても良い。この場合、下部ガイド64のシートの凸部と当接する部分に切り欠き部Kを形成する。
【0044】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図7は本実施の形態に係る画像形成装置のシート排出装置の構成を説明する図である。なお、図7において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0045】
図7において、70はシート排出装置であり、このシート排出装置70は、排出ローラ対71,72と、シートを排出ローラ対71,72に案内する上下一対のガイド部材である上部及び下部ガイド73,74を備えている。ここで、排出ローラ対71,72を構成する上部排出ローラ72は複数のローラ部72aを有している。また、上部排出ローラ72に対向して設けられた下部排出ローラ71は、上部排出ローラ72のローラ部72aと当接する複数のローラ部71aを有している。また、上部及び下部ガイド73,74間の間隔は、既述した図3に示すように、排出ローラ対71,72の直前部であるシート排出方向下流側の領域Cで狭く、それよりもシート排出方向上流側の領域Bで広くなっている。
【0046】
ところで、本実施の形態において、排出ローラ対71,72の一方、例えば下部排出ローラ71のローラ部71aの軸方向の幅を、上部排出ローラ72のローラ部72aの軸方向の幅よりも広くしている。さらに、下部排出ローラ71の軸方向の中心を境にして両側にそれぞれ位置する幅広のローラ部71aの周面の、中心側と反対側の側端部にはシートを蹴り出す突起71bが設けられている。
【0047】
そして、このように下部排出ローラ71のローラ部71aに突起71bを設けることにより、シートを波打たせた状態とすることができ、プリンタ本体101から排出される際、シートSを波打たせた状態で排出することができる。なお、本実施の形態において、下部排出ローラ71は、上部排出ローラ72に対してシート排出方向下流側にずらして配置されている。これによりシートSを排出する際、水平方向に対し、所定角度だけ上方に向けてシートを排出してシートSの後端を排出ローラ対51,52から確実に引き離し、排出ローラ対51,52へのモタレかかりを防止することができる。
【0048】
ところで、本実施の形態において、図8に示すように、上部ガイド73のシート排出方向下流側端には、切り欠き部Kが形成されている。なお、図8において、(a)はシート排出装置70を上側から見た図、(b)はシート排出装置70をシート排出方向から見た図、(c)はシート排出装置70を下側から見た図である。ここで、図8の(a)に示すように、上部ガイド73の切り欠き部Kは、下部排出ローラ71のローラ部71aの突起71bに対応する位置に、突起71bよりも軸方向の幅が広くなるように形成されている。なお、図8の(c)に示すように、下部ガイド74には切り欠き部は、形成されていない。
【0049】
ここで、下部排出ローラ71のローラ部71aに突起71bを設けてシートを波打たせる場合、シートは、図8の(b)に示すように上部ガイド側に向かって大きく波打つようになる。しかし、このようにシートが上部ガイド側に向かって大きく波打つようになった場合でも、切り欠き部Kを上部ガイド73に形成することにより、シートSの凸部が、排出ローラ対71,72の直前部において上部ガイド73に当接することはない。これにより、波打ったシートSが排出ローラ対71,72の直前部において、上部ガイド73に押し付けられることはなく、シートSの画像がダメージを受けるのを防止することができる。
【0050】
以上説明したように、下部排出ローラ71のローラ部71aに突起71bを設けてシートSを波打たせた状態で排出する場合は、上部ガイド73のシートの凸部と当接する部分に切り欠き部Kを形成するようにしている。これにより、波打ったシートSが排出ローラ対71,72の直前部において、少なくとも上部ガイド73に押し付けられることはなく、シートSの画像がダメージを受けるのを防止することができる。なお、本実施の形態においては、下部排出ローラ71のローラ部71aに突起71bを設けたが、突起71bを、上部排出ローラ72のローラ部72aに設けるようにしてシートを波打たせるようにしても良い。この場合、下部ガイド74のシートの凸部と当接する部分に切り欠き部Kを形成する。
【符号の説明】
【0051】
40a…上部ガイド、40b…下部ガイド、50…シート排出装置、51…下部排出ローラ、51a…ローラ部、52…上部排出ローラ、52a…ローラ部、60…シート排出装置、61…下部排出ローラ、61a…ローラ部、61b…大径ローラ部、62…上部排出ローラ、62a…ローラ部、63…上部ガイド、64…下部ガイド、70…シート排出装置、71…下部排出ローラ、71a…ローラ部、71b…突起、72…上部排出ローラ、72a…ローラ部、73…上部ガイド、74…下部ガイド、100…レーザープリンタ、101…レーザープリンタ本体、102…画像形成部、K…切り欠き部、S…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成されたシートをシート排出方向と直交する幅方向において凹凸部を有する波形状として排出するシート排出装置において、
シートを波形状として排出する排出ローラ対と、
波形状のシートの凸部側の第1ガイド部材と凹部側の第2ガイド部材とからなり、前記排出ローラ対にシートを導く一対のガイド部材と、を備え、
前記一対のガイド部材のうち、少なくとも第1ガイド部材のシート排出方向下流端部に、波形状のシートの凸部の位置に対応して切り欠き部を形成することを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記排出ローラ対は、
複数の第1ローラ部を有し、前記第1ガイド部材側に設けられた第1排出ローラと、複数の第2ローラ部を有し、前記複数の第2ローラ部が前記複数の第1ローラ部に対して幅方向にずれるように、かつ前記第1ローラ部に対して所定量、オーバーラップするように前記第2ガイド部材側に設けられた第2排出ローラとにより構成され、
前記第1ガイド部材の前記切り欠き部は、前記複数の第2ローラ部にそれぞれ対応する位置に、前記第2ローラ部よりも幅方向の長さが長くなるように複数形成され、前記第2ガイド部材の前記切り欠き部は、前記第1ローラ部に対応する位置に、前記第1ローラ部よりも幅方向の長さが長くなるように形成されることを特徴とする請求項1記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記排出ローラ対は、
複数の第1ローラ部を有し、前記第1ガイド部材側に設けられた第1排出ローラと、前記第1ローラ部と当接する複数の第2ローラ部及び前記第2ローラ部の間に配設された、前記第2ローラ部よりも大径の大径ローラ部を有し、前記第2ガイド部材側に設けられた第2排出ローラとにより構成され、
前記切り欠き部は、前記第1ガイド部材の、前記大径ローラ部に対応する位置に、前記大径ローラ部よりも幅方向の長さが長くなるように形成されることを特徴とする請求項1記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記排出ローラ対は、
複数の第1ローラ部を有し、前記第1ガイド部材側に設けられた第1排出ローラと、前記第1ローラ部と当接する複数の第2ローラ部を有し、前記第2ガイド部材側に設けられた第2排出ローラとにより構成され、
前記複数の第2ローラ部は、前記排出ローラ対の幅方向の中心に対して両側に配置されると共に、前記複数の第2ローラ部の、前記排出ローラ対の幅方向の中心と反対側の周面の端部に前記第1ローラ部の周面とは当接せぬようそれぞれ突起を設け、
前記切り欠き部は、前記第1ガイド部材の、前記突起に対応する部分に、前記突起よりも幅方向の長さが長くなるように形成されることを特徴とする請求項1記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記第1排出ローラと前記第2排出ローラは上下方向に配置され、
前記第2排出ローラを前記第1排出ローラよりもシート排出方向下流側にずらして設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記一対のガイド部材のシート排出方向下流における間隔は、シート排出方向上流における間隔よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成部と、画像が形成されたシートを排出する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート排出装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−195245(P2011−195245A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62623(P2010−62623)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】