説明

シート搬送装置及び画像形成装置

【課題】安価且つ簡単で組立性の優れた構成で、精度の高い位置検出が可能な位置検出装置を備えるシート搬送装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】シートSの搬送方向と直交する幅方向Yにおけるシートの端部位置を検出するシート端部検出部1を備えたシート搬送装置において、シート端部検出部1は、1対の発光素子21及び受光素子20を有する複数のセンサ部2と、シートSが発光素子21と受光素子20との間を通過可能に発光素子21と受光素子20とを離間させて保持するホルダ4と、ホルダ4をシート幅方向Yに往復運動させる駆動ユニット5と、一対の発光素子21と受光素子20の間に配置され、発光素子21と受光素子20とによって位置決めされると共に、光の一部を遮ることにより通過する光の向きを規制するカバー部材3と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの端部位置を検出する位置検出装置を有するシート搬送装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、画像が形成されるシートは、給送ローラにより給送カセットから1枚ずつ引き出され、画像形成部に給送される。そのため、給送されるシートは、給送ローラの外径差や給送ローラの摩耗等による給送速度の差、又はシートをガイドする搬送ガイドとシートの摺擦抵抗等の影響により、シートの搬送方向に対して傾いた状態で搬送(以下、「斜行」ともいう)される場合がある。
【0003】
シートが斜行すると、例えば、感光体ドラム上のトナー像をシートに転写する場合、シートに対して画像が傾いた状態で印字されてしまう。そのため、画像形成装置では、シートの斜行を補正(以下、「斜行補正」ともいう)するために、レジストローラ対等にシャッタ部材を設け、搬送方向と直交する方向に倣うようにシートの先端を揃えてから画像形成部に搬送していた。
【0004】
しかしながら、シートの先端をシャッタ部材に突き当てて行う上述の斜行補正は、シートの搬送方向と略平行にシートを搬送させる斜行補正は可能となるが、シートの搬送方向と直交する方向に生じる位置ずれは、補正することができない。
【0005】
また、例えば、シートの両面に印刷する場合、第1面に画像形成を行った後にシートを反転させて第2面に画像形成を行うため、第2面は、第1面に比べて画像が形成されるまでの搬送経路が長くなる。そのため、第2面は、各種ローラや搬送ガイド等の影響を大きく受けやすい。これにより、シートが斜行したり、位置ずれを起こし易い。更に、定着部でトナー像が定着されたシートは、定着部の熱と圧力により収縮するため、第1面印刷のときよりも第2面印刷のときのほうが小さくなる。これにより、搬送方向と直交する方向におけるシートの端部位置が変わる場合がある。
【0006】
これに対しては、搬送方向と直交する方向におけるシートの端部位置を検出して、シートの位置ずれを補正する位置検出装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の位置検出装置は、搬送されるシートの最小サイズから最大サイズの端部位置を検出可能に一列にラインセンサを配置し、シートの片面側から光を照射して光の遮蔽状態によりシートの側端部の位置を検出する。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の位置検出装置は、搬送可能なシートすべての大きさの側端部を検出するため、すべての大きさの端部が検出可能な長さのラインセンサが必要となる。そのため、センサ自体のコストが高くなり、結果として装置全体のコストも高くなるという問題があった。
【0008】
これに対しては、一対の発光素子と受光素子とが対向配置されたフォトインタラプタを用いてシートの搬送方向と直交するシート幅方向の端部位置を検出する位置検出装置が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載の位置検出装置は、対向配置された一対の発光素子と受光素子との間をシートの端部が横切るようにフォトインタラプタを移動させ、基準位置から光路遮断位置までの距離によりシートの端部位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−335010号公報
【特許文献2】特開平5−132193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載の位置検出装置は、一対の発光素子及び受光素子により位置を検出するため、複数のシートサイズのシート端部を測定する場合には、フォトインタラプタの移動距離を大きくする必要がある。そして、フォトインタラプタの移動距離を確保するために、例えば、移動機構を大型化する必要がある。これにより、装置が大型化する。
【0011】
そこで、本発明は、安価且つ簡単で組立性の優れた構成で、精度の高い位置検出が可能な位置検出装置を備えたシート搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、シート搬送路を搬送するシートの搬送方向と直交するシート幅方向におけるシートの端部位置を検出する位置検出装置を備えたシート搬送装置において、前記位置検出装置は、発光部及び受光部を有し、幅方向に並んで設けられた複数のセンサ部と、前記シート搬送路を搬送するシートが前記発光部と前記受光部との間を通過可能に前記発光部と前記受光部とを離間させた状態で前記複数のセンサ部を保持する保持部と、前記保持部をシート幅方向に往復運動させる駆動部と、光の一部を遮ることにより通過する光の向きを規制する孔部を有し、前記発光部と前記受光部の間に配置されると共に前記受光部又は前記発光部によって位置決めされる複数の絞り部材と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、シート搬送路を搬送するシートの搬送方向と直交するシート幅方向におけるシートの端部位置を検出する位置検出装置を備えたシート搬送装置において、前記位置検出装置は、発光部及び受光部を有し、幅方向に並んで設けられた複数のセンサ部と、前記シート搬送路を搬送するシートが前記発光部と前記受光部との間を通過可能に前記複数のセンサ部を保持する保持部と、前記発光部と前記受光部の間で光を絞る孔部を有し、前記保持部に設けられる複数の絞り部と、前記保持部をシート幅方向に往復運動させる駆動部と、を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、絞り部材を設けてシート端部の位置検出時に、発光する光の方向が規制された複数の発光部の光を、対向配置された複数の受光部で受光させることにより、安価且つ簡単で組立性の優れた構成で、精度の高いシート端部の位置検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザビームプリンタの全体構造を模式的に示す断面図である。
【図2】第1実施形態に係るレーザビームプリンタのシート端部検出部を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るシート端部検出部のセンサユニットを示す部分拡大図である。
【図4】第1実施形態に係るシート端部検出部の動作範囲を説明するための図である。
【図5】第1実施形態に係るセンサ部の組立前の状態を説明するための組立図である。
【図6】(a)は、第1実施形態に係るセンサ部のカバー部材と支持板を組み立てた状態を示す斜視図であり、(b)は、第1実施形態に係る支持板とホルダを組み立てた状態を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態に係るレーザビームプリンタのシート端部検出部を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態に係るシート端部検出部のセンサユニットを示す部分拡大図である。
【図9】第2実施形態に係るシート端部検出部の動作範囲を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、シートの端部位置を検出可能なシート端部検出部を有するシート搬送装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら複合機器等である。以下の実施形態においては、画像形成装置として、レーザビームプリンタ100を用いて説明する。
【0017】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るレーザビームプリンタ100について、図1から図4を参照しながら説明する。まず、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ100の全体構造について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザビームプリンタ100の全体構造を模式的に示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、レーザビームプリンタ100は、シートSを給紙するシート給送部10と、シート給送部10から給紙されたシートSに画像を形成する画像形成部11と、を備える。また、レーザビームプリンタ100は、画像を定着させる定着部210と、画像が定着されたシートを排出する排出部14と、シート搬送装置としての搬送部15と、を備える。
【0019】
シート給送部10は、シートSが収納される給送カセット204と、給送カセット204に収納されるシートSを画像形成部11に給送する給送ローラ対206と、シートSを1枚ずつ分離する分離部(図示せず)と、を備える。シート給送部10は、給送カセット204に収納されたシートSを、分離部で1枚ずつ分離しながら給送ローラ対206で画像形成部11に給送する。
【0020】
画像形成部11は、搬送ローラ対209と、露光部201と、プロセスカートリッジ203と、転写ローラ205と、を備える。搬送ローラ対209は、シート給送部10から給送されたシートSを搬送する。プロセスカートリッジ203は、感光体ドラム202と、帯電部(図示せず)と、現像部(図示せず)と、クリーニング部(図示せず)と、を備える。感光体ドラム202は、帯電極性が負極性の感光層を表面に形成した金属円筒で構成されている。帯電部は、像担持体である感光体ドラム202のドラム表面を均一に帯電する。露光部201は、画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム202上に静電潜像を形成する。現像部は、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する。転写ローラ205は、感光体ドラム202上のトナー像をシートSに転写させる。クリーニング部は、転写後の感光体ドラム202の表面に残ったトナーを除去する。
【0021】
定着部210は、駆動ローラ211と、ヒータを内蔵した定着ローラ212と、を備え、通過するシートSに熱及び圧力を印加して転写されたトナー像をシートSに定着させる。
【0022】
排出部14は、内排出ローラ対213と、外排出ローラ214と、排出トレイ215と、を備え、片面又は両面定着処理後のシートSを内排出ローラ対213及び外排出ローラ214を介して排出トレイ215上に排出する。
【0023】
搬送部15は、シートP1の裏表を反転させる反転ユニット13と、位置検出装置としてのシート端部検出部1と、を備える。反転ユニット13は、スイッチバックローラ対216と、再給送パス217と、両面搬送パス218と、中間トレイ219と、再給送装置220と、を備える。反転ユニット13は、両面印刷処理における片面定着処理後のシートSの表裏を反転させる。片面定着処理後のシートSは、内排出ローラ対213及びスイッチバックローラ対216により再給送パス217及び両面搬送パス218を介して中間トレイ219上に一時的に収納される。中間トレイ219上に収納されたシートSは、再給送装置220により再び画像形成のために搬送され、画像形成部で第2面に画像が形成される。画像が形成されたシートSは、排出部14により排出トレイ215上に排出される。
【0024】
シート端部検出部1は、再給送装置220の下流側に設けられている。シート端部検出部1は、シートSの搬送方向(図2に示すX方向をいい、以下「搬送方向X」ともいう)と直交する方向(図2に示すY方向をいい、以下「シート幅方向Y」ともいう)に位置ずれを起こしたシート幅方向YにおけるY2側の端部位置を検出する。
【0025】
次に、シート端部検出部1について、図2から図4を参照しながら具体的に説明する。図2は、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ100のシート端部検出部1を示す斜視図である。図3は、第1実施形態に係るシート端部検出部1のセンサユニット8を示す部分拡大図である。図4は、第1実施形態に係るシート端部検出部1の動作範囲を説明するための図である。
【0026】
図2及び図3に示すように、シート端部検出部1は、複数のセンサ部2と、絞り部材としてのカバー部材3と、保持部としてのホルダ4と、駆動部としての駆動ユニット5と、一対の搬送ガイド6(図1参照)と、を備える。
【0027】
ホルダ4は、シート幅方向Yにおける断面が略コの字状に形成されており、上面40と下面41との間にシートSのシート搬送路7を構成可能に、上面40と下面41とが所定間隔離間して形成されている。なお、ホルダ4の上面40は、複数の受光素子が取り付けられた基板となっている。
【0028】
一対の搬送ガイド6は、矩形板状の第1搬送ガイド60と、矩形板状の第2搬送ガイド61と、を備える。一対の搬送ガイド6は、ホルダ4の上面40と下面41の間において、第1搬送ガイド60を上面40側に配置し、第2搬送ガイド61を第1搬送ガイド60と所定間隔離間した状態で下面41側に配置する。これにより、一対の搬送ガイド6は、シートSが通過可能なシート搬送路7を構成する。なお、第1搬送ガイド60及び第2搬送ガイド61は、透明材料で形成されている。
【0029】
複数のセンサ部2は、シート幅方向Yにサイズが異なる複数種類のシート応じた間隔(所定間隔)で、シートサイズに応じた位置に配置される。つまり、シート端部検出部1は、サイズの異なる複数種類のシートを搬送可能になっており、例えば、4種類のシートサイズに対応させる場合には、各サイズに応じた所定の位置に4個のセンサが配置される。
【0030】
また、図3に示すように、センサ部2は、受光部としての受光素子20と、発光部としての発光素子21と、を備える。受光素子20は、ホルダ4の上面40と第1搬送ガイド60との間において、シート幅方向Yに所定間隔で配置されている。発光素子21は、ホルダ4の下面41と第2搬送ガイド61との間において、受光素子20と対向して配置されている。つまり、受光素子20と発光素子21は、1対をなすように配置されており、複数のセンサ部2は、幅方向に並んで配置されている。なお、ここでの幅方向に並んだ配置とは、複数のセンサ部2の幅方向における位置が異なることを意味しており、複数のセンサ部2が搬送方向においてもずれて配置されるようにしてもよい。
【0031】
カバー部材3は、光を透過しない非透過性材料により形成されており、受光素子20を被覆する。カバー部材3は、受光素子20を被覆するように取り付けられることにより、発光素子21に対する位置決めが行われる。このように、複数のカバー部材3のそれぞれが、個別に受光素子20を被覆するように取り付けられて位置決めされているので、カバー部材3に形成された孔部(絞り部)30の位置精度が高い。また、カバー部材3は、受光素子20を被覆した状態における受光素子20の先端に位置する部分に、孔部30が形成されている。孔部30は、対向配置された発光素子21が発光する光の向きを規制して、対向配置された受光素子20のみが当該光を受光するように光を絞る。言い換えると、孔部30は、対向配置された発光素子21が発光した光の一部を遮断することにより、カバー部材3の孔部30を介して対向配置された受光素子20に直線的に受光させる。
【0032】
駆動ユニット5は、ホルダ4を往復運動させる。駆動ユニット5は、ステッピングモータ50と、ステッピングモータ50に取り付けられるピニオン51と、ピニオン51と噛合する駆動列52と、を備える。駆動列52は、ホルダ4と連結されており、ホルダ4をシート幅方向Yに移動可能に形成されている。駆動ユニット5は、ステッピングモータ50を回転させることにより、ピニオンと噛合する駆動列52がホルダ4をシート幅方向Yに移動させる。駆動列52の末端には、ホルダ4の一部と接するカムが設けられており、ステッピングモータ50で回転されるカムの回転に伴ってホルダ4が移動する。このとき駆動ユニット5は、図4に示すように、1つのシートサイズの端部位置の検知に必要な所定ストローク量Mでホルダ4を往復運動させ、受光素子20に位置決めされているカバー部材3もホルダ4と共に一体的に移動する。
【0033】
次に、シート端部検出部1の動作について図4を参照しながら説明する。図4に示すように、シート端部検出部1は、複数のセンサ部2が配置されたホルダ(以下、「センサユニット8」ともいう)4がシートSの遮光具合をより少ない稼動領域で検知するために、高速で往復運動させることが必要となる。そのため、センサユニット8は、駆動ユニット5により、1つのシートサイズの端部位置の検知に必要な所定ストローク量Mでホルダ4を往復運動される。
【0034】
このセンサユニット8の往復運動によって、センサユニット8内に固定配置されている複数のセンサ部2も同時に往復運動を行う。ここで、図4に示すように、センサユニット8が稼動する距離は、画像形成部11から搬送される各シートの最大サイズから最小サイズまでの距離Nを網羅し、受光素子20のいずれか1つは搬送されるシートSの端部を横切るように構成されている。
【0035】
また、センサユニット8の往復運動時の位置は、運動開始時の初期位置から、ホルダ4を駆動させるステッピングモータ50のパルス数によって算出されるよう制御されている。例えば、基準位置である初期位置から、センサユニット8の移動中に発光素子21と受光素子20によって搬送されるシートの端部を検知した位置(例えば、光路がシートによって遮断される位置)までの距離に基づいてシートの端部位置を検出する。そのため、発光素子21と受光素子20とにより形成される光路をシートSが遮断することにより光の明暗が生じ、シートSの端部位置が受光素子20により検出できる。このとき、受光素子20は、カバー部材3に被覆されているため、カバー部材3に形成された孔部30通して入射された光のみを受光する。
【0036】
制御としては、例えば、シート搬送領域外におけるセンサ部2の基準位置及びステッピングモータ50の駆動パルスの初期値を設定する。そして、1枚のシート搬送中に複数回検出されたシートSの端部位置(距離)の平均位置(平均距離)を、そのシートSの端部位置(端部位置までの距離)として、補正装置によって画像形成部11の感光体ドラム202に露光される露光位置を補正する。これにより、シート幅方向Yにおける位置ずれのない適正な画像を得ることが可能となる。
【0037】
シートSの搬送が終了すると、ステッピングモータ50を停止させることにより駆動列52が停止し、それに伴いセンサユニット8も停止する。この時、停止したセンサユニット8(ホルダ4及び受光素子20)の位置はパルス数によって認識されており、次のホルダ4の往復運動開始時の初期位置として設定される。
【0038】
次に、受光素子20とカバー部材3の組み付け方法について説明する。先に説明した複数のカバー部材3は、弾性変形可能な連結部としての弾性部312によって連結されており、弾性部312によって連結されている複数のカバー部材3が、支持体としての透明な支持板302に取り付けられている。そして、複数の受光素子20が設けられた基板と、弾性部312により連結された複数のカバー部材3を支持した支持板302とを合わせるように組み立てる。すると、支持板302に位置決めされていた複数のカバー部材3の弾性部312が変形し、カバー部材3それぞれが、基板(受光素子)に対して位置決めされるようになっている。
【0039】
以下、図5から図6(b)を参照しながら、受光素子20とカバー部材3の組み付け方法について詳述する。図5は、第1実施形態に係るセンサ部2の組立前の状態を説明するための組立図である。図5は、カバー部材3を受光素子20へ取り付ける前の状態であり、複数の受光素子20が設けられたホルダ4、カバー部材3を複数、弾性部312によって連結されている連結絞り部材301、支持板302を示している。なお、ホルダ4の発光素子21が有る側はその一部非表示とする。
【0040】
弾性部312は、カバー部材3と同一材料であるがより細く成形することで、弾性を持たせた構成となっている。なお、本実施形態では、上述のように、同一材料をより細く成形することで、弾性を持たせたが、カバー部材3以外を別材料で成形し結合させることでも本発明の効果を得ることができる。
【0041】
連結絞り部材301には、支持板302との位置を決めるための位置決め部303,304が設けられている。そして、支持板302にも、連結絞り部材301と位置を決めるための位置決め穴305,306が設けられている。また、支持板302には、ホルダ4に設けられた位置決め穴307,308で位置が決まるように、位置決め部309,310が設けられている。
【0042】
図6(a)は、連結絞り部材301を支持板302に取り付けた図である。先に説明したように、複数の絞り部材の位置決め部303,304と支持板に設けられた位置決め穴305,306が嵌合している。また、各カバー部材3には受光素子20に入りやすいように、面取り形状である誘い込み形状311が設けてある。なお、誘い込み形状311は、受光素子のホルダ4に対する位置ばらつき、透明部材の位置決めばらつきを考慮したうえでも、受光素子20をカバー部材3に誘い込める形状となっている。
【0043】
図6(b)は、支持板302を複数の受光素子が設けられたホルダ4に組み込んだ図である。なお、図6(b)は、カバー部材3及び受光素子20が見えるように、支持板302の一部を切り欠いて示している。支持板302とホルダ4とは、図5で説明したホルダ4の位置決め穴307,308と支持板302とが嵌合して配置が決まる。その際、図6(a)で説明したように、カバー部材3には面取り形状である誘い込み形状311があるため、受光素子20はカバー部材3に誘い込まれ、直接位置決めされる。
【0044】
その時、カバー部材3は弾性的に連結されているので、支持板302によっては位置が決まっておらず、各受光素子に直接位置決めされることとなる。そうすることで、カバー部材3と受光素子20の櫃要な位置精度が得られ、かつ、カバー部材3を受光素子20にひとつひとつ組み付ける必要もなくなる。つまり、組立性を大幅に改善させることが可能となる。なお、本実施形態においては、受光素子は4つであるが、その個数にかかわらず、複数個であれば本発明の効果を得ることができる。
【0045】
以上のような構成を有する第1実施形態に係るレーザビームプリンタ100によれば、以下のような効果を奏する。第1実施形態におけるレーザビームプリンタ100のシート端部検出部1は、複数のセンサ部2を往復運動させてシートSの端部位置を検出する。そのため、シートサイズに対応させたラインセンサを用いる場合に比べてセンサの数を減らすことが可能となる。これにより、センサ自体にかかるコストを抑制することが可能となる。その結果、装置全体の製造コストも抑制することができる。
【0046】
また、第1実施形態に係るシート端部検出部1は、受光素子20及び発光素子21がシート幅方向Yに所定間隔で配置されている。また、発光部材と受光部材が分割して構成されており、各々の部位はシート搬送路の上側、下側にそれぞれ配置されている。そのため、従来のフォトインタラプタのように、搬送してくるシートSと幅方向で重ならない位置に待機させたり、シートSの端部位置を検出した後にシートSの端部に衝突する前に停止させる等の制御も必要なくなる。これにより、簡単な構成でシート端部検出部を設けることができる。
【0047】
また、第1実施形態に係るシート端部検出部1は、カバー部材3の位置決めを受光素子20の位置(外形)で行う。そのため、例えば、シート搬送路7内にシートSの浮きが発生した場合においても、不要な光の進入を抑制することができる。これにより、読み取り検知精度を落とすことなく精度良くシートの端部位置の検出をすることができる。また、対応サイズの幅方向の長さが隣接して、発光素子21と受光素子20を隣接して配置しなければならない場合においても、発光した光の方向が規制されているため精度良くシートSの端部位置の検出が可能となる。
【0048】
例えば、複数の対向配置された受光素子及び発光素子は、発光素子が発光する光が拡散し、端部位置の検出において、隣接する発光素子の光を対向配置されていない受光素子が受光してしまうことが考えられる。特に、受光素子及び発光素子を往復運動させて、基準位置と光路が遮断された位置との距離によりシートの端部位置を検出する場合、受光素子が隣接する発光素子の光を受光し易い。そのため、シートの端部位置の測定精度が低下してしまうことが懸念される。このような懸念に対して、本実施形態では、受光素子20のそれぞれが、孔部30が形成されたカバー部材3によって被覆されている。そして、カバー部材3に形成された孔部30を通過してきた光のみを受光素子20が受光する。これにより、第1実施形態に係るシート端部検出部1は、検知精度が高くなる。
【0049】
さらに、第1実施形態に係るシート端部検出部1は、複数のセンサ部2による単純な小ストロークの往復運動の移動により、シートSの端部位置を検出する。そのため、駆動列52の構成を簡易にすることが可能となり、複雑で大型な移動機構の構成が不要となる。そして、1枚のシートSに対して複数回におけるシートSの端部位置の検出が可能であるため、シートSの斜行も検出することで高精度なシートSの端部位置の検出が可能となる。これにより、位置精度の高い画像形成が可能になる。その結果、安価且つ簡単な構成で、精度の高い位置検出が可能なシート端部検出部1及びこれを備えるレーザビームプリンタ100を提供することができる。
【0050】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るレーザビームプリンタ100Aについて、図1に加え、図7から図9を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係るレーザビームプリンタ100Aのシート端部検出部1Aを示す斜視図である。図8は、第2実施形態に係るシート端部検出部1Aのセンサユニット8Aを示す部分拡大図である。図9は、第2実施形態に係るシート端部検出部1Aの動作範囲を説明するための図である。
【0051】
第2実施形態に係るレーザビームプリンタ100Aは、カバー部材3Aが発光素子21を被覆する点において、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ100と相違する。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と異なる点、すなわち、カバー部材3Aが被覆された発光素子21を中心に説明する。
【0052】
なお、第2実施形態において、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ100と同様の構成のものについては、第1実施形態において使用した図面を援用すると共に、同じ符号を付してその説明を省略する。これにより、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成のものについては、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0053】
図1に示すように、第2実施形態に係るレーザビームプリンタ100Aは、シートSを給送するシート給送部10と、シート給送部10から給送されたシートSに画像を形成する画像形成部11と、を備える。また、レーザビームプリンタ100Aは、画像を定着させる定着部210と、排出部14と、シート搬送装置としての搬送部15Aと、を備える。
【0054】
図7に示すように、搬送部15Aは、複数のセンサ部2と、絞り部材としてのカバー部材3Aと、保持部としてのホルダ4と、駆動部としての駆動ユニット5と、一対の搬送ガイド6(図1参照)と、を備える。
【0055】
図8に示すように、カバー部材3Aは、光を透過しない非透過性材料により形成されており、発光素子21を被覆する。カバー部材3Aは、発光素子21を被覆することにより受光素子20に対する位置決めが行われる。また、カバー部材3Aは、発光素子21を被覆した状態における発光素子21の先端に位置する部分に、孔部30Aが形成されている。孔部30Aは、発光素子21が発光する光の向きを規制して、対向配置された受光素子20に受光させる。言い換えると、孔部30Aは、発光素子21が発光した光一部を遮断することにより、カバー部材3Aの孔部30Aを介してのみ対向配置された受光素子20に直線的に受光させる。
【0056】
次に、シート端部検出部1Aの動作について図9を参照しながら説明する。図9に示すように、シート端部検出部1Aは、複数のセンサ部2が配置されたホルダ(以下、「センサユニット8A」ともいう)4がシートSの遮光具合をより少ない稼動領域で検知するために、高速で往復運動させることが必要となる。そのため、センサユニット8Aは、駆動ユニット5により、1つのシートサイズの端部検知に必要な所定ストローク量Mでホルダ4を往復運動される。
【0057】
このセンサユニット8Aの往復運動によって、センサユニット8A内に固定配置されている複数のセンサ部2も同時に往復運動を行う。ここで、図9に示すように、センサユニット8Aの稼動領域は、画像形成部11から搬送される各シートの最大サイズから最小サイズまでの距離Nを網羅し、受光素子20のいずれか1つは搬送されるシートSの端部を横切るように構成されている。
【0058】
また、センサユニット8Aの往復運動時の位置は、運動開始時の初期位置から、ホルダ4を駆動させるステッピングモータ50のパルス数によって算出されるよう制御されている。例えば、基準位置である初期位置から、センサユニット8Aの移動中に発光素子21と受光素子20によって搬送されるシートの端部を検知した位置(例えば、光路がシートによって遮断される位置)までの距離に基づいてシートの端部位置を検出する。そのため、発光素子21と受光素子20とにより形成される光路をシートSが遮断することにより光の明暗が生じ、シートSの端部位置が受光素子20により検出できる。このとき、発光素子21は、カバー部材3Aに被覆されているため、カバー部材3Aに形成された孔部30A通して入射された光のみを、対向配置された受光素子20に直線的に受光させる。
【0059】
制御としては、例えば、シート搬送領域外におけるセンサ部2の基準位置及びステッピングモータ50の駆動パルスの初期値を設定する。そして、1枚のシート搬送中に複数回検出されたシートSの端部位置(距離)の平均位置(平均距離)を、そのシートSの端部位置(端部位置までの距離)として、補正装置によって画像形成部11の感光体ドラム202に露光される露光位置を補正する。これにより、シート幅方向Yにおける位置ずれのない適正な画像を得ることが可能となる。
【0060】
シートSの搬送が終了すると、ステッピングモータ50を停止させることにより駆動列52が停止し、それに伴いセンサユニット8Aも停止する。この時、停止したセンサユニット8A(ホルダ4及び受光素子20)の位置はパルス数によって認識されており、次のホルダ4の往復運動開始時の初期位置として設定される。
【0061】
なお、第2実施形態に係る発光素子21とカバー部材3の組み付け方法については、第1施実施形態で説明した組み付け方法において、受光素子20を発光素子21に変更したのみであるため、ここではその説明は省略する。
【0062】
以上のような構成を有する第2実施形態に係るレーザビームプリンタ100Aによれば、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ100と同様の構成により生じる効果に加え、以下のような効果を奏する。第2実施形態におけるレーザビームプリンタ100Aのシート端部検出部1Aは、カバー部材3Aの位置決めを発光素子21の位置(外形)で行う。そのため、例えば、シート搬送路7内にシートSの浮きが発生した場合においても、発光素子21から受光素子20に向けて直性的に光を放射するため、不要な光の進入を抑制することができる。これにより、読み取り検知精度を落とすことなく精度良くシートの端部位置の検出をすることができる。また、対応サイズの幅方向の長さが隣接して、発光素子21と受光素子20を隣接して配置しなければならない場合においても、精度良くシートSの端部位置の検出が可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0064】
例えば、本実施形態においては、受光素子20又は発光素子21のいずれか一方にカバー部材3を取り付ける構成としたが、本発明においては、これに限定されない。例えば、受光素子20及び発光素子21の両方にカバー部材3を取付ける構成であってもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、ホルダ4の上面40に受光素子20を配置し、ホルダ4の下面41に発光素子21を配置する構成としたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、ホルダ4の下面41に受光素子20を配置し、ホルダ4の上面40に発光素子21を配置する構成であってもよい。
【0066】
また、本実施形態における発光素子21としては、例えば、LEDが例示できるが、受光素子20により受光可能な発光素子であればよい。また、本実施形態においては、ステッピングモータ50を用いてホルダ4を駆動させたが、本発明においてはこれに限定されない。ステッピングモータ50以外の駆動源でホルダ4を移動させる構成であってもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、シートSの端部位置を複数回検出されたシートSの端部位置の平均位置として露光位置を補正しているが、本発明においては、これに限らない。例えば、検出した時におけるシートの搬送方向Xの位置と、検出したシートの端部位置との関係から、シートSの端部位置との露光位置を補正する等により制御する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1,1A シート端部検出部(位置検出装置)
2 センサ部
3 カバー部材(絞り部材)
4 ホルダ(保持部)
5 駆動ユニット(駆動部)
6 一対の搬送ガイド
8 センサユニット
10 シート給送部
11 画像形成部
13 反転ユニット
15,15A 搬送部(シート搬送装置)
20 受光素子(受光部)
21 発光素子(発光部)
30 孔部
100,100A レーザビームプリンタ(画像形成装置)
301 連結絞り部材
302 支持板
M 所定ストローク量
X 搬送方向
Y シート幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート搬送路を搬送するシートの搬送方向と直交するシート幅方向におけるシートの端部位置を検出する位置検出装置を備えたシート搬送装置において、
前記位置検出装置は、
発光部及び受光部を有し、幅方向に並んで設けられた複数のセンサ部と、
前記シート搬送路を搬送するシートが前記発光部と前記受光部との間を通過可能に前記発光部と前記受光部とを離間させた状態で前記複数のセンサ部を保持する保持部と、
前記保持部をシート幅方向に往復運動させる駆動部と、
光の一部を遮ることにより通過する光の向きを規制する孔部を有し、前記発光部と前記受光部の間に配置されると共に前記受光部又は前記発光部によって位置決めされる複数の絞り部材と、を備えた、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記複数の絞り部材は、弾性変形可能な連結部によって連結される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記連結部によって連結された前記複数の絞り部材を取り付け可能な支持体を備え、
前記複数の絞り部材が取り付けられた前記支持体と前記保持部を組み合わせると、前記複数の絞り部材のそれぞれが、前記受光部によって位置決めされるように構成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
シート搬送路を搬送するシートの搬送方向と直交するシート幅方向におけるシートの端部位置を検出する位置検出装置を備えたシート搬送装置において、
前記位置検出装置は、
発光部及び受光部を有し、幅方向に並んで設けられた複数のセンサ部と、
前記シート搬送路を搬送するシートが前記発光部と前記受光部との間を通過可能に前記複数のセンサ部を保持する保持部と、
前記発光部と前記受光部の間で光を絞る孔部を有し、前記保持部に設けられる複数の絞り部と、
前記保持部をシート幅方向に往復運動させる駆動部と、を備えた、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
幅方向でのサイズが異なる複数種類のシートを搬送可能であって、
前記複数のセンサ部は、前記複数種類のシートの幅方向でのサイズのそれぞれに応じた位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記保持部を所定のストロークで往復運動をさせる、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
所定の基準位置と、前記保持部の移動中に搬送されるシートの端部を前記センサ部が検出した位置との距離に基づいてシートの端部の位置を検出する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、前記シート搬送装置でシートの端部位置の検出が行われたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−30970(P2012−30970A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71782(P2011−71782)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】