説明

シート搬送装置

【課題】搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送機構部を有し、カバーと装置との間に装飾シートを挟持し得るシート搬送装置に関し、より簡素な構成で装飾シートを所定位置に保持し、装飾シートにより、広範囲を装飾可能なシート搬送装置を提供する。
【解決手段】多機能機1は、シートカバー25内に、シート搬送路Rに沿って原稿シートを搬送するシート搬送ユニット60を有している。シートカバー25上面を構成する第1トップカバー取付面46には、第1係合孔48が形成されており、第1トップカバー70の第1スライド係合片74と協働することで、第1トップカバー70が着脱可能に取り付けられる。第1スライド係合片74は、対向面71Aとの間に間隙Gを形成するシート保持リブ74Aを有しており、間隙Gに装飾シートDを挿入することで、対向面71Aに沿って装飾シートDを保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送機構部を有するシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ装置、ファクシミリ装置、スキャナ装置、多機能機等においては、所定の搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送機構部を有し、前記搬送経路に沿ってシートを搬送することにより、当該シート上に形成された画像の読み取りや、当該シート上に対する画像の形成を行っている。
【0003】
このような搬送機構部を有するシート搬送装置に関する発明として、特許文献1記載の発明が知られている。特許文献1記載のファクシミリ装置は、アクリル樹脂等の透明プラスチックによって、平板状に形成された透明板部の四隅を、ネジ等により固定することによって、透明板部を装置表面に対して着脱可能に取り付け、当該装置における外観の多様化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−072191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1記載のファクシミリ装置は、模様紙等の装飾物を、透明板部と装置表面との間で挟持することで、透明板部を介して、当該装飾物の装飾模様を視認可能とし、もって、当該ファクシミリ装置の外観を装飾している。具体的には、特許文献1記載のファクシミリ装置の場合、ユーザは、装飾物を装置表面における所望の位置に載置し、その状態で装置表面に対して透明板部を取り付ける。この時、ユーザは、透明板部の四隅にネジを螺着することにより、装飾物を、透明板部と装置表面の間に挟持・固定する。
【0006】
上述したように、特許文献1においては、装置表面に装飾物を載置した状態で、透明板部を取り付けることで、装置表面と透明板部の間で、装飾物を挟持するため、装飾物は、ネジによる透明板部の固定を完了するまでの間、装置表面上を移動し得る。この結果、特許文献1記載の構成では、透明板部の固定を完了した時点で、装飾物の位置がユーザ所望の位置からずれてしまう場合がある。そうすると、ユーザは、所望の位置に配設し得るまで、透明板部を用いた装飾物の取付作業を繰り返さなければならない。
【0007】
又、特許文献1においては、透明板部の四隅の挿通孔を介して、装置表面上に形成されたネジ孔にネジを取り付けることにより、透明板部を装置表面に取り付けている。この構成の場合、透明板部をネジにより装置表面に取り付ける必要上、当該装飾物は、ネジ部分に存在し得ない。つまり、特許文献1では、透明板部と装置表面に興じ得る装飾物のサイズが、ネジ等の存在によって制限されてしまい、透明板部全体を用いて、装飾物による装飾を行うことができない。
【0008】
又、特許文献1では、透明板部を装置表面から取り外すためには、透明板部の四隅から夫々ネジを取り外す必要があるため、装飾物を交換する場合、ユーザは、複数のネジの取り外し作業及び取付作業という煩雑な作業を行う必要がある。このため、透明板部の取付構造としても、より簡素であって、容易な操作で着脱し得る構成が要望されている。
【0009】
本発明は、搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送機構部を有し、カバーと装置との間に装飾シートを挟持し得るシート搬送装置に関し、より簡素な構成で装飾シートを所定位置に保持可能であって、装飾シートにより、装置表面の広範囲を装飾可能なシート搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面に係るシート搬送装置は、装置筐体と、透光性を有する材料で形成されたカバー部材と、装飾シートを有し、装置筐体の一面とカバー部材の間に、装飾シートを配置することにより、当該シート搬送装置の外観を装飾し得る。そして、当該カバー部材は、平面部の対向面よりも前記装置筐体側に係合片を有しており、当該係合片を、前記装置筐体表面に形成された被係合部と係合させることにより、装置筐体表面に対して着脱可能に取り付けられる。従って、当該シート搬送装置は、係合片と被係合部という簡素な構成で、カバー部材の着脱を可能とし、さらに、装飾シートを交換することにより、シート搬送装置の外観に多様性を付与することができる。更に、係合片は、平面部の対向面に向かって立設されたシート保持リブを有しており、平面部の対向面との間に、間隙部を形成する。当該間隙部は、装飾シートを進入させることができるので、当該シート搬送装置は、カバー部材における平面部の対向面に沿って、装飾シートを保持することができる。即ち、係合片は、カバー部材を装置筐体の一面に着脱可能に取り付ける機構を構成すると共に、装飾シートをカバー部材の平面に沿って保持する機構を構成する。又、当該カバー部材において、間隙部は、係合片及びシート保持リブよりも平面部の対向面側に位置する。つまり、カバー部材に装飾シートを保持させた場合、間隙部内に装飾シートが存在するため、係合片及びシート保持リブは、装飾シートにより隠される。この結果、当該シート搬送装置は、装飾シートを保持させることによって、係合片やシート保持リブを隠すことができ、もって、係合片等が露呈することにより装置の美観を損ねることはない。
【0011】
そして、本発明の他の側面に係るシート搬送装置において、前記係合片は、前記平面部と所定の間隔を隔て、且つ、前記平面部に沿って前記カバー部材の側面部から装置筐体側に延出されている。更に、前記間隙部は、前記シート保持リブと前記平面部の対向面との間において、前記側面部の逆側が開放されている。即ち、当該シート搬送装置によれば、係合片は、平面部の対向面から直接形成されておらず、間隙部を介して、前記対向面と対向し、間隙部により、側面部近傍に装飾シートの端縁を保持し得るので、カバー部材の平面部全域に相当する大きさの装飾シートを、切り欠き等の加工を施すことなく、当該シート搬送装置の装飾に用いることができる。
【0012】
又、本発明の他の側面に係るシート搬送装置において、被係合部は、被係合片と、係合片移動空間とを有して構成されている。装飾シートを保持した状態でカバー部材を取り付けた場合、被係合片は、装置筐体表面に沿って形成されているため、当該装飾シートによって隠される。同様に、係合片移動空間は、被係合片よりも装置筐体内部側に形成されているため、装飾シートを保持した状態でカバー部材を取り付けた場合、係合片移動空間も、装置筐体表面に沿って形成されているため、当該装飾シートによって隠される。つまり、当該シート搬送装置によれば、対向面に沿って装飾シートを保持した状態で、カバー部材を装置筐体の一面に取り付けた場合であっても、被係合部がシート搬送装置の外観に見えることはない。従って、当該シート搬送装置は、美観を高めることができる。
【0013】
そして、本発明の他の側面に係るシート搬送装置において、カバー部材は、対向面と鉛直な方向に立設された突出部を有している。当該突出部は、前記対向面と平行な平面方向において、前記シート保持リブとの間に、前記装飾カバーが進入可能な間隔を隔てて形成されている。又、突出部の先端部は、前記対向面と鉛直な方向において、前記シート保持リブの端面よりも前記対向面から離間した位置に形成されている。従って、対向面と平行な平面方向において、装飾シートの端縁は、対向面に沿った後、突出部の先端部、上述した突出部とシート保持リブの間の間隔部分を介して、シート保持リブの端面と接触して変形する。そして、この変形に伴う装飾シート自体の復元力より、突出部の先端部及びシート保持リブの端面により確実に接触することになる。この結果、当該シート搬送装置によれば、突出部及びシート保持リブの協働により、カバー部材における所望の位置に、装飾シートを確実に保持させ得る。
【0014】
又、本発明の他の側面に係るシート搬送装置において、被係合部進入空間を、前記対向面と前記係合片の間に有する。そして、被係合部進入空間は、装飾シートがカバー部材に保持されている場合であっても、前記装置筐体に形成された被係合部が進入可能に構成されている。従って、当該シート搬送装置によれば、被係合部進入空間を有することにより、装飾シートを保持した状態で、カバー部材を装置筐体の一面に取り付け得る。これにより、当該シート搬送装置によれば、ユーザは、装飾シートの取付作業、及び、装飾シートの交換作業を容易に行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】多機能機の外観斜視図である。
【図2】シートカバーの構成を示す断面図である。
【図3】上部カバーの構成を示す外観図である。
【図4】第1トップカバーを示す外観図である。
【図5】第1スライド係合片近傍の構成を示す断面図(1)である。である。
【図6】第1スライド係合片近傍の構成を示す断面図(2)である。
【図7】第1突出片近傍の構成を示す断面図である。
【図8】上部カバーを閉じた状態の第1トップカバー近傍の断面図である。
【図9】上部カバーを開いた状態の第1トップカバー近傍の断面図である。
【図10】第2トップカバーを示す外観図である。
【図11】カバートレイを閉鎖位置にした場合の第2トップカバー近傍の断面図である。
【図12】カバートレイを開放位置にした場合の第2トップカバー近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るシート搬送装置を、シート搬送ユニット60を有する多機能機1に具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
先ず、本実施形態に係る多機能機1の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の説明において、多機能機1使用時のユーザの位置を基準にした方向を用いて説明する。即ち、図1における左下側を前側とし、図1における右上側を後側とする。又、多機能機1を前側から見たときを左右の基準とし、図1における左上側を左側とし、右下側を右側とする。
【0018】
図1に示すように、多機能機1は、本体筐体10と、シートカバー25とを有している。本体筐体10は、多機能機1における各種機能(スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等)を実現するための各種構成部品を、当該本体筐体10内部に収容している。
【0019】
又、本体筐体10は、当該本体筐体10の前側上面に、複数の操作部を有する操作パネル11と、種々の情報を表示する液晶ディスプレイ13を有している。操作パネル11は、多機能機1に対する種々の指示を入力する際に操作される。そして、本体筐体10の前面には、給紙カセット12が脱着可能に取り付けられている。当該給紙カセット12は、被記録媒体であるシートを積層状態で収容している。
【0020】
図1、図2に示すように、本体筐体10は、上面側にスキャナユニット20を有している。スキャナユニット20は、原稿載置台として機能するコンタクトガラス21、イメージセンサ22、スライド軸、モータ等を備えている(図2参照)。コンタクトガラス21は、所謂「プラテンガラス」であり、本体筐体10の左右方向に沿って長辺が位置するA4サイズよりもやや大きな長方形状に形成されている。
【0021】
イメージセンサ22は、所謂、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)により構成され、コンタクトガラス21上に位置する原稿シートの画像を読み取る。当該イメージセンサ22は、主走査方向(即ち、本体筐体10における前後方向)がA4サイズの短辺に相当する長さの読取範囲を有しており、本体筐体10の左右方向に向かって伸びるスライド軸によって、左右方向の一定の範囲(A4サイズの長辺寸法に相当する範囲)内をスライド移動可能に保持されている。従って、当該多機能機1は、制御部によるモータの駆動制御に基づいて、イメージセンサ22をスライド軸に沿ってスライド移動しつつ、コンタクトガラス21上に載置された原稿シートの画像を読み取り得る。
【0022】
制御部は、CPU、ROM、RAM等を有しており、多機能機1の各機能に係る制御の中枢を担う。又、制御部は、操作パネル11と接続されている。従って、制御部は、操作パネル11に対するユーザの入力操作に基づいて、ユーザ所望の制御を実行し得る。更に、制御部は、操作パネル11に対するユーザの入力操作や演算処理結果に基づいて、液晶ディスプレイ13上に種々の情報を表示し得る。
【0023】
ファクシミリ部は、スキャナユニット20により読み取った原稿シートの画像を、ネットワーク網を介して、ユーザ所望の相手先にファクシミリ通信する。又、当該ファクシミリ部は、ネットワーク網を介して、データ(ファクシミリデータ)を受信し得る。受信したファクシミリデータは、制御部によって画像形成部を制御することで、給紙カセット12内のシート等に印刷出力される。
【0024】
画像形成部は、制御部による制御に基づいて、入力された画像データを給紙カセット12内のシートへ印刷出力する。当該多機能機1は、スキャナユニット20により読み取った画像に基づく画像データを対象として、画像形成部を制御することで、コピー機能を実現する。又、当該多機能機1は、ネットワーク網を介して入力された印刷データを対象として、画像形成部を制御することで、プリンタ機能を実現する。
【0025】
ここで、シートカバー25は、本体筐体10上面の後端縁を軸に開閉自在に配設されており、閉じた場合に本体筐体10上面(即ち、コンタクトガラス21)を覆う(図2参照)。従って、シートカバー25を閉じた場合、当該シートカバー25は、コンタクトガラス21上にセットされた原稿シートをその位置に固定し得る。
【0026】
図1、図2に示すように、シートカバー25は、カバートレイ30と、シートガイド面35と、ユニット本体部40と、上部カバー45を有して構成されたカバー筐体26を有し、当該シートカバー25の左側部分に、シート搬送ユニット60(所謂、ADF:Auto Document Feeder)を備えている。
【0027】
図1に示すように、カバートレイ30は、シートカバー25上面中央部を構成し、当該カバートレイ30の一端部(右側端部)に形成されたトレイ回動軸31を中心に回動可能に設けられている(図1、図2、図11、図12参照)。図1に示すように、カバートレイ30を閉じた状態(以下、この位置を閉鎖位置という)では、カバートレイ30は、シートカバー25の上面を構成し、後述する第1トップカバー70、第2トップカバー80表面と略同一な平面を形成する。
【0028】
尚、カバートレイ30が閉鎖位置にある場合に、シートカバー25の外表面を構成する面を、カバートレイ30の「第1面」といい、その裏面側(閉鎖位置にある場合に内側の面)を、カバートレイ30の「第2面」という。
【0029】
そして、カバートレイ30を所定量回動させると、当該カバートレイ30は、所定の使用位置に位置する(図2参照)。この時、カバートレイ30が使用位置に位置する場合、カバートレイ30の第2面が上方を向き、且つ、シート搬送ユニット60に向かって下り勾配となる傾斜をなす状態となる(図2参照)。従って、カバートレイ30が使用位置にある場合、当該カバートレイ30の第2面には、複数枚の原稿シートを積層状態で載置可能な状態となる。即ち、当該カバートレイ30は、使用位置に位置する場合、給紙トレイとして機能する。
【0030】
ここで、閉鎖位置にあるカバートレイ30の下方には、シートガイド面35と、シートガイド部材36が位置している(図2参照)。従って、カバートレイ30を所定量回動し、所定の使用位置へ回動すると、一対のシートガイド部材36と、シートガイド面35が外部に露出する。
【0031】
シートガイド面35は、シート搬送ユニット60の下部に相当するユニット本体部40内に形成されたシート搬送路R(図2参照)の一端部に沿って形成された平面であり、使用位置にあるカバートレイ30の一端縁に連続する。従って、当該シートガイド面35は、カバートレイ30の第2面に載置された原稿シートを、シート搬送ユニット60内のシート搬送路Rへと案内する。
【0032】
そして、シートガイド部材36は、シートガイド面35上を双方とも前後方向へスライド可能に配設されている。当該シートガイド部材36は、連動機構(図示せず)により、一方に連動して他方が一方とは逆方向へスライドするように構成されている。従って、一対のシートガイド部材36の間隔を変更する際には、一方を操作するだけで、双方を互いに接近又は離間する方向へスライドさせ得る。これにより、当該多機能機1においては、シートガイド部材36を操作することにより、シートガイド部材36を基準にして原稿シートを整列させることができ、原稿シートが搬送方向に対して傾くのを抑制し得る。
【0033】
更に、シートガイド部材36は、夫々、仕切板36Aを有している。当該仕切板36Aは、シートガイド面35の上方において、当該シートガイド面35との間に、一定の間隔を隔てるように形成されている。
【0034】
図2、図11、図12に示すように、カバートレイ30のトレイ回動軸31の下方には、凹部37が形成されている。当該凹部37は、カバートレイ30が回動する際に、カバートレイ30のトレイ回動軸31側の端部が通過する為の空間を構成する。従って、当該カバートレイ30は、当該凹部37によって、トレイ回動軸31を中心に円滑に回動する。又、当該凹部37によって、シートガイド面35表面とカバートレイ30のトレイ回動軸31を高さ方向に接近させ得るので、シートカバー25の薄型化を図り得る。
【0035】
上述したように、シートカバー25の左側部分には、シート搬送ユニット60の主要部(原稿シートを搬送する機構部)が配設されている。当該シート搬送ユニット60は、カバートレイ30の第2面、シートガイド面35に載置された原稿シートを連続して給紙し、一枚ずつに分離して、シート搬送ユニット60の主要部内に形成された所定のシート搬送路R(図2参照)に沿って搬送する。そして、当該多機能機1は、シート搬送ユニット60により原稿シートを搬送する途中で、スキャナユニット20等により画像を読み取る方式で、原稿シートの画像を読み取り得る。
【0036】
当該シート搬送路Rは、カバートレイ30の第2面、シートガイド面35から延び、シートガイド部材36の仕切板36A表面を接続するように略U字状に形成されており、シート搬送ユニット60の左右方向に沿っている(図2参照)。尚、本実施形態においては、シートガイド面35表面からシート搬送路Rに沿って仕切板36Aへ向かう方向を原稿シートの搬送方向という。そして、原稿シートの幅方向とは、シート搬送路Rを搬送される原稿シートの幅方向(即ち、シート搬送ユニット60における前後方向)を意味する。
【0037】
図2、図8、図9に示すように、シートカバー25の左側部分には、ユニット本体部40と、上部カバー45が形成されている。ユニット本体部40は、上述したようにカバー筐体26を構成し、シート搬送ユニット60の主要な機構部(例えば、後述する搬送ローラ対61や搬送駆動ローラ62等)を収容している。即ち、ユニット本体部40は、シート搬送ユニット60における主要部を構成する。又、当該ユニット本体部40には、シート搬送路Rの一部が形成されており、シートガイド面35近傍と、当該ユニット本体部40の上面を接続している(図2参照)。
【0038】
そして、上部カバー45は、ユニット本体部40の左端部に位置する回動軸49を中心に回動自在に軸支されており、ユニット本体部40の上面に対して開閉可能に配設されている(図8、図9参照)。当該上部カバー45の内側面(下面)は、ユニット本体部40の上面と協働して、シート搬送路Rの一部を構成する。従って、ユニット本体部40上面と上部カバー45の間に形成されるシート搬送路Rは、ユニット本体部40内部に形成されたシート搬送路Rと連通しており、シートガイド部材36の仕切板36Aへ延びている。
【0039】
尚、上部カバー45上面(後述する第1トップカバー取付面46)には、第1トップカバー70及び装飾シートDが、着脱自在に取り付けられる。この点については、後に詳細に説明する。
【0040】
図2に示すように、シートカバー25の右側部分には、第2トップカバー取付面50が形成されている。第2トップカバー取付面50は、シートカバー25の右側部分において、カバー筐体26の上面を構成し、後述する第2トップカバー80及び装飾シートDが着脱自在に取り付けられる平面である。尚、第2トップカバー取付面50の構成については、後に詳細に説明する。
【0041】
ここで、多機能機1におけるシート搬送ユニット60の構成について、図2を参照しつつ詳細に説明する。当該シート搬送ユニット60は、搬送ローラ対61と、搬送駆動ローラ62と、シート押圧部材63と、搬送従動ローラ64とを主に備えて構成されており、上述したように、原稿シートを所定のシート搬送路R(図2参照)に沿って搬送する。
【0042】
図4、図7、図8に示すように、搬送ローラ対61は、一対のローラがシート搬送路Rを介して相互に対向するように配設されており、制御部による制御に従って、シート搬送路R上に位置する原稿シートを挟持しつつ回転駆動する。搬送駆動ローラ62は、ユニット本体部40の上面に沿って、回転自在に配設されており、ユニット本体部40の上面に沿ったシート搬送路Rを搬送される原稿シートを、シートガイド部材36の仕切板36A上面に向かって搬送する。
【0043】
そして、シート押圧部材63は、搬送ローラ対61よりも搬送方向上流側に配設されており、シート搬送路R上の原稿シートを、コンタクトガラス21側に押し当てる。ここで、当該多機能機1においては、シート搬送ユニット60を用いて原稿シートの画像を読み取る場合に、イメージセンサ22は、シート押圧部材63の下方に位置する。従って、当該多機能機1は、シート押圧部材63下方を通過する原稿シートから、コンタクトガラス21を介して、イメージセンサ22により画像を読み取ることができる。この時、当該原稿シートは、シート押圧部材63により、コンタクトガラス21側へ押圧されているため、より高精度で画像内容を読み取り得る。
【0044】
当該搬送従動ローラ64は、上部カバー45の内側面において回転自在に保持されており、ユニット本体部40上面に対して上部カバー45を閉じた場合に、シート搬送路Rを介して、搬送駆動ローラ62と対向する。従って、当該搬送従動ローラ64は、搬送駆動ローラ62と協働して、シート搬送路Rを搬送される原稿シートを、シートガイド部材36の仕切板36A上面に向かって搬送し得る。
【0045】
続いて、本実施形態に係る多機能機1における上部カバー45の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、上部カバー45は、シートカバー25の左側部分において、ユニット本体部40に対して開閉自在に取り付けられる。図3に示すように、上部カバー45は、第1トップカバー取付面46と、回動軸49とを有している。当該回動軸49は、上部カバー45の左側端部において、前後方向に直線状に延びており、上部カバー45をユニット本体部40に対して開閉自在に軸支する。
【0046】
第1トップカバー取付面46は、カバー筐体26の左側部分における上面を構成する平面部分であり、図3に示すように、第1スライド孔47と、第1係合孔48と、を有している。当該第1トップカバー取付面46には、後述する第1トップカバー70が、装飾シートDを保持した状態で、着脱可能に取り付けられる。
【0047】
第1スライド孔47は、第1トップカバー取付面46の右端縁側の角部において、左右方向に長辺を有する略長方形状に穿設された孔であり、前記第1トップカバー70を取り付ける際に、後述する第1トップカバー70に形成された第1突出片73がスライド移動可能に挿通される(図3、図8、図9参照)。そして、当該第1スライド孔47は、第1スライド孔47の左側開口縁から延び、裏面(ユニット本体部40側の面)に向かって傾斜する傾斜面を有している。当該第1トップカバー70の着脱を行う場合、第1突出片73は、当該傾斜面に沿って移動することにより、スライド移動しながら第1スライド孔47を挿通する。
【0048】
第1係合孔48は、第1トップカバー取付面46の左端縁側の角部に形成されており、前記第1トップカバー70を取り付ける際に、後述する第1トップカバー70に形成された第1スライド係合片74と係合して、第1トップカバー70を第1トップカバー取付面46上に着脱可能に保持する(図3、図8、図9参照)。当該第1係合孔48は、第1トップカバー取付面46から延出形成され、下面側に係合凹部を有する第1被係合片48Aと、被係合片の下方側で、第1スライド係合片74が左右方向にスライド移動可能な孔部により構成される。
【0049】
次に、本実施形態に係る多機能機1の第1トップカバー70の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。当該第1トップカバー70は、無色透明を呈する透明樹脂により形成されており、上部カバー45の上面(第1トップカバー取付面46)に、着脱可能に取り付けられる。又、当該第1トップカバー70は、平面部71と、側面部72と、第1突出片73と、第1スライド係合片74を有しており、第1トップカバー取付面46との間に、所定の模様が形成された装飾シートDを保持可能に構成されている。
【0050】
平面部71は、第1トップカバー取付面46と略同一形状をなす平板状の部分であり、当該第1トップカバー70を上部カバー45に取り付けた場合に、第1トップカバー取付面46と対向する対向面71Aを有している。装飾シートDは、第1突出片73及び第1スライド係合片74によって、当該対向面71Aに沿って保持される。当該対向面71Aには、突条部76が、夫々、第1突出片73に沿って、第1トップカバー取付面46側に突出形成されている(図4、図7参照)。又、当該対向面71Aには、突条部77が、夫々、第1スライド係合片74に沿って、第1トップカバー取付面46側に突出形成されている(図4〜図6参照)。そして、側面部72は、平面部71の左側端縁から左下方に向かって延出された側面部分である。
【0051】
第1突出片73は、平面部71の右端縁側の角部において、下方に向かって立設されており、前記第1トップカバー70を取り付ける際に、第1スライド孔47をその長辺方向に沿ってスライド移動しつつ挿通する。当該第1突出片73は、第1トップカバー取付面46に形成された第1スライド孔47と協働することで、第1トップカバー70を第1トップカバー取付面46の所定位置に、着脱可能に保持する。第1トップカバー70を第1トップカバー取付面46に取り付けた場合、当該第1突出片73は、上部カバー45における第1トップカバー取付面46よりも下方の所定位置まで突出する(図8、図9参照)。
【0052】
図7に示すように、第1突出片73は、対向面71Aに沿って延びるシート保持リブ73Aを有している。尚、図7は、図4におけるB−B断面を示す。当該シート保持リブ73Aは、対向面71Aとの間に、左側部分が開放されたスリット状の間隙Gを形成する。従って、装飾シートDの右端縁は、対向面71Aとシート保持リブ73Aの間に形成された間隙G内に進入し得る。つまり、第1トップカバー70は、対向面71Aとシート保持リブ73Aにより構成される間隙Gに、装飾シートDの右端縁を進入させることによって、装飾シートDを対向面71Aに沿って保持し得る。
【0053】
そして、突条部76は、第1突出片73のシート保持リブ73Aに沿って、対向面71Aに形成されている。図7に示すように、突条部76は、対向面71Aに平行な方向において、シート保持リブ73Aと一定の間隔を隔てて形成されている。又、突条部76の先端は、前記対向面71Aに鉛直な方向において、前記シート保持リブ73Aの端面よりも対向面71Aから離間した位置に位置している。即ち、突条部76とシート保持リブ73Aとは、前後方向から見た場合に、鉛直方向に重なりを有している。従って、対向面71Aに水平な平面方向において、間隙Gに進入する装飾シートDの左端縁は、対向面71Aに沿った後、突条部76の先端部、突条部76とシート保持リブ73Aの間の空間、シート保持リブ73Aの端面と接触して変形する(図7参照)。この結果、装飾シートDの右端縁は、この変形に伴う装飾シートD自体の復元力により、突条部76の先端、シート保持リブ73Aの端面に、より確実に接触する。これにより、当該第1トップカバー70は、突条部76及びシート保持リブ73Aの協働によって、装飾シートDの右端縁を確実に保持し得る。
【0054】
第1スライド係合片74は、前記側面部72の前後方向両端部に形成されており、当該側面部72から右方向へ、前記平面部71(対向面71A)に沿って延出された係合片である。前記第1トップカバー70を取り付ける際に、第1スライド係合片74は、第1トップカバー70のスライド移動に伴って、上部カバー45に形成された第1係合孔48内に進入する。ここで、第1スライド係合片74は、その上面の先端部分に突部を有している。第1トップカバー70が所定位置まで移動すると、当該突部は、第1係合孔48を構成する被係合片の係合凹部に嵌合する。従って、当該第1トップカバー70は、第1スライド係合片74と第1係合孔48によって、第1トップカバー取付面46に対して着脱可能に取り付けられる。
【0055】
図5、図6に示すように、第1スライド係合片74は、対向面71Aに向かって立設されたシート保持リブ74Aを有している。尚、図5は、図4におけるA−A断面を示す。当該シート保持リブ74Aは、対向面71Aとの間に、右側部分が開放されたスリット状の間隙Gを形成する。従って、装飾シートDの左端縁は、対向面71Aとシート保持リブ74Aの間に形成された間隙G内に進入し得る。つまり、第1トップカバー70は、対向面71Aとシート保持リブ74Aにより構成される間隙Gに、装飾シートDの左端縁を進入させることによって、装飾シートDを対向面71Aに沿って保持し得る。
【0056】
そして、突条部77は、第1スライド係合片74のシート保持リブ74Aに沿って、対向面71Aに形成されている。図5、図6に示すように、突条部77は、対向面71Aに平行な方向において、シート保持リブ74Aと一定の間隔を隔てて形成されている。又、突条部77の先端は、前記対向面71Aに鉛直な方向において、前記シート保持リブ74Aの端面よりも対向面71Aから離間した位置に位置している。即ち、突条部77とシート保持リブ74Aとは、前後方向から見た場合に、鉛直方向に重なりを有している。従って、対向面71Aに水平な平面方向において、装飾シートDの左端縁は、対向面71Aに沿った後、突条部77の先端部、突条部77とシート保持リブ74Aの間の空間、シート保持リブ74Aの端面と接触して変形する(図5参照)。この結果、装飾シートDの左端縁は、この変形に伴う装飾シートD自体の復元力により、突条部77の先端、シート保持リブ74Aの端面に、より確実に接触する。これにより、当該第1トップカバー70は、突条部77及びシート保持リブ74Aの協働によって、装飾シートDの左端縁を確実に保持し得る。
【0057】
又、第1スライド係合片74は、対向面71Aとの間に、被係合片進入空間Sを有している(図6参照)。被係合片進入空間Sは、第1トップカバー70を第1トップカバー取付面46に取り付ける際に、第1係合孔48の第1被係合片48Aが進入する空間であり、第1スライド係合片74表面からシート保持リブ74A端面までの距離が、第1被係合片48Aの厚みと略同一となるように構成されている。従って、当該第1スライド係合片74に装飾シートDを保持した状態であっても、第1被係合片48Aを、被係合片進入空間Sに進入させることができる(図8、図9参照)。これにより、当該第1トップカバー70は、装飾シートDを対向面71Aに沿って保持している状態であっても、第1係合孔48を介して、第1トップカバー取付面46に取り付け得る。
【0058】
上述したように、第1突出片73、第1スライド係合片74は、間隙Gに装飾シートDの端縁を挿入することで、当該装飾シートDを、第1トップカバー70における平面部71の対向面71Aに沿って保持する機能を果たす。従って、当該装飾シートDの模様は、透明樹脂製の第1トップカバー70を介して、視認することができる。又、当該装飾シートDは、第1トップカバー70を上部カバー45の第1トップカバー取付面46から着脱することで、異なる模様の装飾シートDに交換し得る。そして、装飾シートDは、第1突出片73及び側面部72から延出形成された第1スライド係合片74における間隙Gにより保持される。又、図5〜図7から明らかなように、装飾シートDは、第1突出片73、第1スライド係合片74の間隙Gを介して、平面部71の端部まで挿入され得る。即ち、当該第1トップカバー70は、平面部71と略同形状の大きさの装飾シートDを、切り欠き等の加工を施すことなく、多機能機1の装飾に用い得る。又、装飾シートDは、対向面71Aに沿って保持されており、平面部71と、第1突出片73及び第1スライド係合片74の間に位置する(図2、図5〜図9参照)。従って、多機能機1の外観上、第1突出片73、第1スライド係合片74は、装飾シートDにより隠されるため、多機能機1の外部から視認されることはない。
【0059】
続いて、上部カバー45の第1トップカバー取付面46に対する第1トップカバー70の着脱操作について、図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、第1トップカバー70を第1トップカバー取付面46に取り付けた状態で、上部カバー45を閉じた場合について説明する。
【0060】
上述したように、第1トップカバー70は、第1スライド孔47と第1突出片73及び、第1係合孔48と第1スライド係合片74が協働することにより、第1トップカバー取付面46に対して着脱可能に取り付けられている。図8、図9に示すように、第1トップカバー取付面46から第1トップカバー70を取り外す場合、ユーザは、第1トップカバー70を回動軸49側(多機能機1の左側)に向かってスライド移動させる。
【0061】
尚、第1トップカバー70の取り外す際のスライド移動方向(多機能機1の左方向)を「第1トップカバー取り外し方向」といい、その逆方向を「第1トップカバー取付方向」という。
【0062】
ここで、本実施形態に係るユニット本体部40は、スライド規制部41を、当該ユニット本体部40の左端側の2箇所に有している。スライド規制部41は、上部カバー45の右端部と回動軸49の間の距離よりも、当該スライド規制部41と回動軸49の間の距離がやや短くなる位置に形成されている。従って、第1トップカバー70を取り付けた状態で、上部カバー45を閉じると、第1トップカバー70の第1突出片73は、上部カバー45の第1スライド孔47を挿通した状態で、ユニット本体部40のスライド規制部41近傍に位置する。即ち、図8に示すように、スライド規制部41は、第1突出片73よりも回動軸49側(左側)に位置する。
【0063】
そして、スライド規制部41は、第1トップカバー取付面46よりもやや低い位置までの高さで立設されている。即ち、第1トップカバー70を取り付けた状態で、上部カバー45を閉じると、スライド規制部41の上端部は、第1スライド孔47を挿通する第1トップカバー70の第1突出片73の下端よりも上方に位置する。従って、第1トップカバー70を取り付けた状態で、上部カバー45が閉じられている場合、第1トップカバー70を「第1トップカバー取り外し方向」にスライドさせたとしても、第1トップカバー70の第1突出片73は、スライド規制部41の右側面に接触する。即ち、第1トップカバー70のスライド移動量は、スライド規制部41によって制限され、第1スライド係合片74と第1係合孔48の係合を解除可能なスライド移動量となることはない。これにより、上部カバー45を閉じた状態では、ユーザは、第1トップカバー70を第1トップカバー取付面46から取り外すことはできない(図8参照)。
【0064】
続いて、第1トップカバー70を第1トップカバー取付面46に取り付けた状態で、上部カバー45を開いた場合について説明する。図9に示すように、上部カバー45を開くと、第1突出片73は、上部カバー45の回動に伴い上方へ移動し、ユニット本体部40に形成されたスライド規制部41から離間する。従って、上部カバー45を開いた状態では、スライド規制部41は、第1トップカバー70「第1トップカバー取り外し方向」にスライド移動させた場合における第1突出片73の軌道上に位置することはない。即ち、上部カバー45を開いた状態であれば、ユーザは、第1トップカバー70を「第1トップカバー取り外し方向」にスライド移動させることで、第1スライド係合片74と第1係合孔48の係合を解除することができ、第1トップカバー70を第1トップカバー取付面46から取り外すことができる。
【0065】
このように、本実施形態に係る多機能機1においては、上部カバー45を閉じ、シート搬送ユニット60を利用可能な状態においては、第1突出片73及びスライド規制部41により、第1トップカバー70を第1トップカバー取付面46から取り外すことができない。即ち、当該多機能機1によれば、ユーザが、意図せず、第1トップカバー70に接触した場合に、当該第1トップカバー70が外れてしまうことはない。
【0066】
又、本実施形態に係る多機能機1は、上部カバー45を開いた場合には、第1トップカバー70を「第1トップカバー取り外し方向」にスライド移動することにより、第1スライド係合片74と第1係合孔48の係合を解除し得る。即ち、当該多機能機1によれば、上部カバー45を開く操作、第1トップカバー70を「第1トップカバー取り外し方向」にスライド移動させる操作といった簡単な操作を行えば、第1トップカバー70を上部カバー45から取り外し得る。
【0067】
次に、本実施形態に係る第2トップカバー80の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1、図2に示すように、第2トップカバー80は、無色透明を呈する透明樹脂により形成されており、シートカバー25上面の右側部分を構成する。第2トップカバー80は、第2トップカバー取付面50に対して着脱可能に取り付けられ、第2トップカバー取付面50との間に、所定の模様が形成された装飾シートDを保持可能に構成されている。
【0068】
尚、第2トップカバー取付面50の左端縁側の2箇所の角部に、第2スライド孔が形成されている(図示せず)。当該第2スライド孔は、上述した第1スライド孔とほぼ同様の構成であり、第2トップカバー80の第2突出片83によって挿通される。又、第2トップカバー取付面50の右端縁側の2箇所の角部には、第2係合孔が形成されている(図示せず)。当該第2係合孔は、上述した第1係合孔48と同様の構成であり、第2被係合片と、孔部により構成される。当該第2係合孔は、第2トップカバー80の第2スライド係合片84と協働することにより、第2トップカバー80を第2トップカバー取付面50に対して着脱可能に保持する。
【0069】
図10に示すように、第2トップカバー80は、平面部81と、側面部82と、第2突出片83と、第2スライド係合片84と、ロック片85とを有している。平面部81は、第2トップカバー取付面50と略同一形状をなす平板状の部分であり、第2トップカバー取付面50と対向する対向面81Aを有している。装飾シートDは、第2突出片83及び第2スライド係合片84によって、当該対向面81Aに沿って保持される。当該対向面81Aには、突条部86が、夫々、第2突出片83に沿って、第2トップカバー取付面50側に突出形成されている(図10参照)。又、当該対向面81Aには、突条部87が、夫々、第2スライド係合片84に沿って、第2トップカバー取付面50側に突出形成されている(図10参照)。そして、側面部82は、平面部81の右側端縁から右下方に向かって延出された側面部分である。
【0070】
第2突出片83は、平面部81の左端縁側の角部において、下方に向かって立設されており、上述した第1突出片73とほぼ同様の構成を有している。前記第2トップカバー80を取り付ける際に、当該第2突出片83は、第2スライド孔をスライド移動しつつ挿通する。当該第2突出片83は、第2トップカバー取付面50に形成された第2スライド孔と協働することで、第2トップカバー80を第2トップカバー取付面50の所定位置に着脱可能に保持する。
【0071】
そして、第2突出片83は、第1突出片73と同様に、シート保持リブを有している。当該シート保持リブは、対向面81Aとの間に、右側部分が開放された間隙Gを形成する。従って、装飾シートDの左端縁は、対向面81Aと当該シート保持リブにより構成される間隙G内に進入し得る。即ち、第2トップカバー80は、対向面81Aとシート保持リブにより形成される間隙Gに、装飾シートDの左端縁を進入させることで、装飾シートDを対向面81Aに沿って保持し得る。
【0072】
又、突条部86は、第2突出片83のシート保持リブに沿って、対向面81Aに形成されている。即ち、突条部86は、第2突出片83のシート保持リブに対して、第1突出片73におけるシート保持リブ73Aと、突条部76の位置関係(図7参照)と同様になるように形成されている。従って、第2トップカバー80は、突条部86及び第2突出片83のシート保持リブの協働によって、装飾シートDの左端縁を確実に保持し得る。
【0073】
第2スライド係合片84は、前記側面部82の前後方向両端部に形成されており、当該側面部82から左方向へ、前記平面部71に沿って延出された係合片である。前記第2トップカバー80を取り付ける際に、第2スライド係合片84は、第2トップカバー80のスライド移動に伴って、第2トップカバー取付面50に形成された第2係合孔内に進入する。従って、当該第2トップカバー80は、第2スライド係合片84と第2係合孔によって、第2トップカバー取付面50に対して着脱可能に取り付けられる。
【0074】
又、第2スライド係合片84は、第1スライド係合片74と同様に、対向面81Aに向かって立設されたシート保持リブを有しており、当該シート保持リブは、対向面81Aとの間に、左側部分が開放されたスリット状の間隙Gを形成する。従って、装飾シートDの右端縁は、対向面81Aと当該シート保持リブの間に形成された間隙G内に進入し得る。即ち、第2トップカバー80は、対向面81Aと、第2スライド係合片84のシート保持リブにより構成される間隙Gに、装飾シートDの右端縁を進入させることによって、装飾シートDを対向面81Aに沿って保持し得る。
【0075】
そして、突条部87は、第2スライド係合片84のシート保持リブに沿って、対向面81Aに形成されている。即ち、突条部87は、第2スライド係合片84のシート保持リブに対して、第1スライド係合片74におけるシート保持リブ74Aと、突条部77の位置関係(図5、図6参照)と同様になるように形成されている。従って、第2トップカバー80は、突条部87及び第2スライド係合片84のシート保持リブの協働によって、装飾シートDの右端縁を確実に保持し得る。
【0076】
又、第2スライド係合片84は、第1スライド係合片74と同様に(図6参照)、対向面81Aとの間に被係合片進入空間を有している。被係合片進入空間は、第2トップカバー80を第2トップカバー取付面50に取り付ける際に、第2係合孔の第2被係合片が進入する空間であり、第2スライド係合片84表面からシート保持リブ端面までの距離が、第2被係合片の厚みと略同一となるように構成されている。従って、当該第2スライド係合片84に装飾シートDを保持した状態であっても、第2被係合片を、被係合片進入空間に進入させることができる。これにより、当該第2トップカバー80は、装飾シートDを対向面81Aに沿って保持している状態であっても、第2係合孔を介して、第2トップカバー取付面50に取り付け得る。
【0077】
ここで、第2トップカバー80の取り外す際のスライド移動方向(多機能機1の右方向)を「第2トップカバー取り外し方向」といい、その逆方向を「第2トップカバー取付方向」という。
【0078】
上述したように、第2突出片83、第2スライド係合片84は、間隙Gに装飾シートDの端縁を挿入することで、当該装飾シートDを平面部81の対向面81Aに沿って保持する機能を果たす。従って、当該装飾シートDの模様は、透明樹脂製の第2トップカバー80を介して、視認することができる。又、当該装飾シートDは、第2トップカバー80を第2トップカバー取付面50から着脱することで、異なる模様の装飾シートDに交換し得る。そして、装飾シートDは、第2突出片83及び側面部82から延出形成された第2スライド係合片84における間隙Gにより保持される。即ち、当該第2トップカバー80は、平面部81と略同形状の大きさの装飾シートDを、切り欠き等の加工を施すことなく、多機能機1の装飾に用い得る。又、装飾シートDは、対向面81Aに沿って保持されており、平面部81と、第2突出片83及び第2スライド係合片84の間に位置する(図2、図11、図12参照)。従って、多機能機1の外観上、第2突出片83、第2スライド係合片84は、装飾シートDにより隠されるため、多機能機1の外部から視認されることはない。
【0079】
ロック片85は、第2トップカバー80の左側端縁の中央部において、第2トップカバー取付面50と対向する面に立設されており、第2トップカバー取付面50に形成されたスライド規制爪部51と協働して、第2トップカバー80の「第2トップカバー取り外し方向」へのスライド移動を規制する。
【0080】
ここで、スライド規制爪部51は、第2トップカバー取付面50の左側端縁の中央部分に位置する一定範囲を下方に窪ませた凹部と、当該凹部における左側端縁に沿って上方へ突出形成された爪部とにより構成される(図11、図12参照)。そして、スライド規制爪部51は、第2トップカバー80が第2トップカバー取付面50に取り付けられている場合、第2トップカバー80におけるロック片85に対して、「第2トップカバー取り外し方向」の下流側に位置する。この時、当該スライド規制爪部51は、その先端部(図11、図12中、左端部)によって、ロック片85における「第2トップカバー取り外し方向」下流側の側面に接触する。従って、当該多機能機1において、第2トップカバー80は、単純に「第2トップカバー取り外し方向」に向かってスライド移動させただけでは、スライド移動量が規制されるため、第2トップカバー取付面50から取り外すことができない。
【0081】
続いて、第2トップカバー取付面50に対する第2トップカバー80の着脱操作について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図11に示すように、第2トップカバー80を取り外す為には、第2トップカバー80のロック片85と、第2トップカバー取付面50のスライド規制爪部51が接触しないようにし、「第2トップカバー取り外し方向」へのスライド移動を可能にする必要がある。従って、ユーザは、第2トップカバー80の左側端縁(即ち、カバートレイ30と隣接する端縁部)を上方に引き上げる操作を行う必要がある。
【0082】
図1等に示すように、第2トップカバー80の左側には、カバートレイ30が隣接して配設されている。従って、カバートレイ30が閉鎖位置にある場合(図1、図11参照)、ユーザは、第2トップカバー80の左側端縁を下方から引き上げることはできない。つまり、カバートレイ30が閉鎖位置にある場合、第2トップカバー80は、ロック片85とスライド規制爪部51の協働により、「第2トップカバー取り外し方向」へのスライド移動が規制された状態にある(図11参照)。従って、当該多機能機1によれば、ユーザが、意図せず、第2トップカバー80に接触した場合であっても、当該第2トップカバー80が第2トップカバー取付面50から外れてしまうことはない。
【0083】
上述したように、カバートレイ30は、トレイ回動軸31を中心に回動可能に取り付けられている。ここで、カバートレイ30を所定量回動させ、所定位置(例えば、図12参照)に位置させた場合、凹部37は、シートカバー25外部と連通する。即ち、カバートレイ30が所定位置に位置する場合、ユーザは、シートカバー25の外部から手指を、第2トップカバー80の下面における左端縁にかけることができ、第2トップカバー80を上方に引き上げることができる。
【0084】
第2トップカバー80の左端縁を引き上げることにより、第2トップカバー80のロック片85は、第2トップカバー取付面50のスライド規制爪部51よりも上方に位置する。ここで、ロック片85は、第2トップカバー80の左端縁における中央部分に形成されているため、ロック片85は、ユーザによる引き上げ操作に基づく撓み量が最も大きくなる部分に形成されている。従って、ユーザは、過剰に力を加えることなく、ロック片85をスライド規制爪部51よりも上方に位置させ得る。そして、この状態であれば、ロック片85の「第2トップカバー取り外し方向」下流側に、スライド規制爪部51が存在していないので、ユーザは、「第2トップカバー取り外し方向」へ第2トップカバー80をスライド移動することで、第2トップカバー80を第2トップカバー取付面50から取り外すことができる。
【0085】
このように、本実施形態に係る多機能機1においては、第2トップカバー80は、基本的には、ロック片85とスライド規制爪部51の協働により、「第2トップカバー取り外し方向」のスライド移動が規制されている。従って、当該多機能機1によれば、ユーザが、意図せず、第2トップカバー80に接触した場合であっても、当該第2トップカバー80が第2トップカバー取付面50から外れてしまうことはない。
【0086】
そして、本実施形態に係る多機能機1では、「第2トップカバー取り外し方向」への第2トップカバー80のスライド移動を可能とする為には、第2トップカバー80の左端縁を上方に引き上げる必要がある。第2トップカバー80を引き上げた場合、第2トップカバー80の「第2トップカバー取り外し方向」へのスライド移動が可能となる。従って、ユーザは、第2トップカバー80を「第2トップカバー取り外し方向」にスライド移動することにより、第2スライド係合片84と第2係合孔の係合を解除し、第2トップカバー80を、第2トップカバー取付面50から取り外し得る。
【0087】
ここで、第2トップカバー80の左端縁を引き上げる為には、第2トップカバー80の左端縁の下面側から上方に向かって力を加える必要がある。従って、カバートレイ30を所定量回動し、第2トップカバー80の左端縁に隣接している凹部37とシートカバー25外部とを連通することで、ユーザの手指が第2トップカバー80の左端縁の下面に接触可能な状態にしなければならない。即ち、当該多機能機1によれば、カバートレイ30を所定量回動させる操作、第2トップカバー80の左端縁を引き上げつつ、第2トップカバー80を「第2トップカバー取り外し方向」にスライド移動させる操作といった簡単な操作を行えば、第2トップカバー80を第2トップカバー取付面50から取り外し得る。
【0088】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、本実施形態においては、スキャナ機能、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能を有する多機能機1を例として挙げていたが、この態様に限定するものではない。少なくとも、ADF(Auto Document Feeder)を有していれば、その他の機能を追加、削除することも可能である。
【0089】
又、本実施形態に係る第1トップカバー70、第2トップカバー80は、無色透明を呈する透明樹脂により形成されていたが、この態様に限定されるものではない。例えば、第1トップカバー70、第2トップカバー80を介して、装飾シートDの模様等を視認可能な状態であれば、有色透明な樹脂のように、透光性を有する材料で形成することも可能である。更に、第1トップカバー70、第2トップカバー80全体を無色透明にする必要はなく、少なくとも、平面部71、平面部81を透明度の高い構成とすれば、他の部分の透明度は問わない。
【符号の説明】
【0090】
1 多機能機
25 シートカバー
46 第1トップカバー取付面
48 第1係合孔
50 第2トップカバー取付面
60 シート搬送ユニット
70 第1トップカバー
74 第1スライド係合片
74A シート保持リブ
77 突条部
80 第2トップカバー
84 第2スライド係合片
D 装飾シート
G 間隙
R シート搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送経路に沿ってシートを搬送するシート搬送機構を収容した装置筐体と、
透光性を有する材料で形成され、前記装置筐体の一面に沿った平面部を有すると共に、前記装置筐体に着脱可能に取り付けられるカバー部材と、
前記装置筐体の一面と、前記カバー部材の間に配設される装飾シートと、
を有するシート搬送装置であって、
前記カバー部材は、
当該カバー部材を装置筐体に取り付けた場合に、前記装置筐体の一面に対向する前記平面部の対向面よりも、前記装置筐体側に延設され、前記装置筐体表面に形成された被係合部に係合する係合片を有し、
前記係合片は、
前記平面部の対向面に向かって立設され、前記平面部の対向面との間に、前記装飾シートが進入可能な間隙部を形成することにより、前記装飾シートの端縁を保持可能なシート保持リブを有する
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート搬送装置であって、
前記カバー部材は、
前記平面部の端縁から前記装置筐体側に向かって延出された側面部を有し、
前記係合片は、
前記カバー部材の側面部から、前記平面部と所定の間隔を隔て、且つ、前記平面部に沿って延出され、
前記間隙部は、
前記シート保持リブと前記平面部の対向面との間において、前記側面部の逆側が開放されている
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のシート搬送装置であって、
前記被係合部は、
前記装置筐体表面に沿って形成され、前記カバー部材の係合片と係合する被係合片と、
前記被係合片よりも前記装置筐体内部側に形成され、前記カバー部材の係合片が移動可能な係合片移動空間と、を有する
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のシート搬送装置であって、
前記カバー部材は、
前記平面部の対向面に対して立設された突出部を有し、
当該突出部は、
前記対向面と平行な平面方向において、前記シート保持リブとの間に、前記装飾シートが進入可能な間隔を隔てて形成されており、
当該突出部の先端部は、
前記対向面と鉛直な方向において、前記シート保持リブの端面よりも前記対向面から離間した位置に形成されている
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のシート搬送装置であって、
前記カバー部材は、
前記対向面と前記シート保持リブの間の間隙部によって、前記装飾シートがカバー部材に保持されている場合であっても、前記装置筐体に形成された被係合部が進入可能な被係合部進入空間を、前記対向面と前記係合片の間に有する
ことを特徴とするシート搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−220921(P2012−220921A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89971(P2011−89971)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】