説明

シート敷設作業機

【課題】トランスミッションケースの左右に揺動回動するクローラ走行装置を設けた管理作業機に、耕耘培土によって形成される溝にシートを敷設するシート敷設装置を設けることにより、シート敷設作業を精度よく行うことができるシート敷設作業機を提供する。
【解決手段】耕耘部3によって耕耘した耕耘土を溝成形部4で培土形成した溝8と溝肩部8aとに、シート敷設作業部5から繰り出されるシート7を敷設固定するシート敷設装置6を、管理作業機2に装着すると共に、該管理作業機2のトランスミッションケース13の両側に突出する車軸15に、該車軸15に軸支される駆動輪23と、上記車軸15に揺動回動自在に軸支されるクローラフレーム25に軸支した従動輪26とに、クローラ22を張設してなるクローラ走行装置9を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に形成した溝と溝肩部にシートを敷設するシート敷設作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トランスミッションケースの上部に後方に向けて延出される杆状のハンドルと、下部から左右に突出する車軸にゴムタイヤを設けた管理作業機に、前部のヒッチに装着される耕耘装置の後部に、耕耘土を盛り上げて畦を形成する畦立て成形板と、形成された畦をシート(古紙フィルム)を被せて覆うシート敷設作業部を設けてシート敷設作業を行うことにより、野菜等の栽培床を形成するシート敷設作業機が特許文献1で示されるように既に公知である。
【0003】
また管理作業機を用い培土板付きの耕耘装置によって、圃場に深さ20cm,幅60cm程度の凹溝を形成し、この溝内にシート(防根透水シート)をマルチ作業によって敷設したのち、シートの上に耕耘土を埋め戻すと共に必要な肥料を入れて表面を均すことにより、野菜やトマト,メロン等を栽培するに好適な、根圏抑制栽培方式の作物栽培床を形成する手段が特許文献2で示されるように既に公知である。
【特許文献1】特開平9−140213号公報
【特許文献2】特開平10−136787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で示されるシート敷設作業機は、一般的には未耕起の固い地盤の圃場において、機体を後進させながら耕耘部によって耕耘し耕耘土を畦立て成形板で凸状の畦に形成し、該畦にシート敷設作業部によってシートを敷設するので、特許文献2で示されるような溝にシートを敷設する作物栽培床を形成し得ないものである。
そこで上記シート敷設作業機を、例えば畦立て成形板を耕耘土を培土して溝を形成する溝成形用の培土板に変更し、且つシート敷設作業部を溝の凹溝形状に沿ってシートを敷設する構造に部分変更すると、凹溝にシートを敷設する作物栽培床専用型のシート敷設作業機を簡単に構成することができる。
【0005】
然し、上記のような作物栽培床は、特にハウス内でメロン類を連作的に栽培する場合に、予め圃場全面を耕耘した地面に対し病虫害予防の土壌消毒を効果的に行い、こののち溝の形成とシート敷設作業が行われる。このため上記のように部分改良によるシート敷設作業機は、既に耕起された膨軟な土壌地面を走行してシート敷設作業を行わねばならないものである。
従って、管理作業機がゴムタイヤの走行輪(車輪)によって、上記の膨軟な地面を後進走行すると、凹凸の多い耕起地面によって機体が大きくピッチングしたりスリップをするため、車軸を中心に回動可能に支持される前後方向に長いシート敷設装置がバウンドし、また直進性を損なって蛇行をし易く溝底の深さや傾斜を不定にすること、及びシートに皺や緩みを発生させて敷設される等の欠点がある。
また管理作業機の左右の車輪は、成形される溝の溝肩部となる地面を走行するとき、膨軟な地面に大きな凹凸の轍跡を残すので、溝成形部の培土板が土を盛り上げて溝肩部を形成するとき、仕上げ面に凹凸を伴いシート両辺の閉鎖固定を損なう等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のシート敷設作業機は、第1に、耕耘部3によって耕耘した耕耘土を溝成形部4で培土形成した溝8と溝肩部8aとに、シート敷設作業部5から繰り出されるシート7を敷設固定するシート敷設装置6を、管理作業機2に装着すると共に、該管理作業機2のトランスミッションケース13の両側に突出する車軸15に、該車軸15に軸支される駆動輪23と、上記車軸15に揺動回動自在に軸支されるクローラフレーム25に軸支した従動輪26とに、クローラ22を張設してなるクローラ走行装置9を設けたことを特徴としている。
【0007】
第2に、トランスミッションケース13の両側の車軸15に、左右のクローラ走行装置9をそれぞれ単独揺動回動自在に設けると共に、クローラフレーム25に管理作業機2の一部と接当し揺動回動量を規制するストッパ29を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明によるシート敷設作業機は、トランスミッションケースの左右の車軸に、駆動輪とクローラフレームの従動輪にクローラを張設してなるクローラ走行装置を設けた管理作業機に、シート敷設装置を重量構造の耕耘部を機体に近接させて重心安定性よく装着することができ、また左右のクローラ走行装置によって広い接地面を有し安定よく支持するので、地面の凹凸等による管理作業機のピッチングやシート敷設装置のバウンド等を抑制した走行を行い、溝底の均平精度を高め溝の形成とシート敷設作業を能率よく確実に行うことができる。
また後進走行により予め、左右の溝肩部の凹凸地面を踏み固めて平坦面状に均すので、溝成形部による溝形成時に溝肩部の肩崩れ等を防止し綺麗に成形することができ、またシート敷設作業部による溝と溝肩部に対する、シート敷設作業を精度よくスムーズに行うことができる。
【0009】
トランスミッションケースの左右の車軸に単独揺動回動自在に装着される各クローラ走行装置は、左右で異なる地面の凹凸等に対応して従動輪側を上下動させるので、機体の傾動を抑制した走行をスムーズに行うことができ、また溝成形部による溝の均平精度を高め溝底の凹凸や傾斜の発生を防止した溝形成を行うことができる。また溝肩部に対するシートの敷設及び固定を精度よく行うことができる。
さらにクローラ走行装置の従動輪側が所定以上に揺動回動するとき、クローラフレームに設けたストッパが機体の一部と接当して揺動回動を規制するので、ハンドルの把持操作に大きな負担を掛けることなく機体の傾動を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はシート敷設作業機1の全体構成を示す側面図である。図2は管理作業機2に耕耘部3と溝成形部4とシート敷設作業部5とからなるシート敷設装置6を装着した状態を示す斜視図である。図3はシート敷設装置6にシート7を装着して溝8に敷設する状態を示す作業斜視図である。図4は管理作業機2に装着するクローラ走行装置9の別実施形態を示す側面図である。図5は図4のクローラ走行装置9の取付構造を示す平面図である。
【0011】
上記シート敷設作業機1は、管理作業機2のヒッチ10に着脱可能に取付支持される耕耘部3に、シート敷設装置6の溝成形部4とシート敷設作業部5を着脱自在に取付支持する構成となっている。
上記管理作業機2は、前側にヒッチ10を有すると共に後側にエンジン11を搭載する機体フレーム12を設けたトランスミッションケース13と、該トランスミッションケース13の下部で左右に突出して軸支される駆動軸15,15に設けた後述する構成からなるクローラ走行装置9,9と、トランスミッションケース13の上部に後方に向けた延設姿勢から反転回動可能に設置される歩行操作用のハンドル16と、変速操作用の変速レバー17等を備えた構成となっている。
【0012】
エンジン11はベルト伝動手段等による伝動機構19を介してトランスミッションケース13に入力し、トランスミッションケース13は下部両側に軸支される車軸15,15からクローラ走行装置9,9を駆動すると共に、上部の伝動ケース20から耕耘装置3のロータリ伝動ケース21に入力伝動する。
【0013】
クローラ走行装置9は、表面にラグ状の突起を複数形成し内周面に左右の芯金突起を突設した無端帯状のクローラ22と、前記トランスミッションケース13の車軸15に設けられる大径の駆動輪23と、該車軸15に揺動回動自在に軸架され後方に向けて延長されるクローラフレーム25と、該クローラフレーム25の後部に軸支される従動軸26aに設けた従動輪26等からなる。
上記クローラフレーム25は、左右の芯金突起間に挿入されてクローラ外れ防止案内をする芯金ガイド27を垂設していると共に、従動輪26を前後調節する調節機構を備えて駆動輪23と従動輪26に巻き掛けたクローラ22を適正に張設することができる。
【0014】
またクローラフレーム25は、中途部後方寄りに揺動回動規制用のストッパ29を設けており、左右のクローラ走行装置9が地面の凹凸に対応しクローラフレーム25を介し車軸15を中心にそれぞれ単独的に揺動回動するとき、ストッパ29が機体フレーム12に接当し、各クローラ走行装置9の所定以上の回動を規制することにより、機体の大きな傾動を抑制した走行を行うようにしている。
またクローラフレーム25のストッパ29は、畦等を越える際に作業者がハンドル16を押し下げて、車軸15を支点にトランスミッションケース13を介し機体フレーム12が下方に回動するときも、該機体フレーム12の一部に接当し機体の下方回動を同様に規制することができる。
【0015】
次に、シート敷設装置6について説明する。先ず耕耘部3は管理作業機2のヒッチ10と接続される耕耘本体フレーム30の中途部に前記ロータリ伝動ケース21を取付固定しており、ロータリ伝動ケース21の左右から突出されるロータリ軸31,31の外周に、複数の溝部耕耘爪32と複数の溝肩部耕耘爪33を内側寄りと外側寄りに纏めて突設したロータリー部35を構成している。
また耕耘装置3は従来のものと同様に、ロータリー部35の上方及び側方を耕耘本体フレーム30に設けたロータリーカバー30aによって覆っている。
そして、耕耘装置3は耕耘本体フレーム30の前方に、取付孔と固定具等からなる各作業部取付け用の取付部36,37を前後方向に設けている。
【0016】
上記溝部耕耘爪32はクローラ走行装置9,9の轍間距離内でシート7を敷設する溝8を、所定の幅と深さに耕耘することができる。また溝肩部耕耘爪33は、溝部耕耘爪32の外側で短く形成することにより、溝8の両側で未耕耘の溝肩部8aを浅く耕耘することができる。このとき溝肩部耕耘爪33は、溝部耕耘爪32によって該溝肩部8aに飛散堆積される肩部堆積耕耘土も溝肩部8aと共に再耕耘される。従って、溝肩部8aの表層は均質に耕起され一定高さに均された状態になるので、敷設されるシート7に大きな凹凸や皺等の発生を防止し、またシート7の内面を耕起された溝肩部8aに密着させることができる。
【0017】
次に、図1,図2を参照し溝成形部4について説明する。この溝成形部4は培土板40を、平面視で前記溝8の幅と等しい前面板の両側に溝8の側壁を均し形成する側面板を連ならせて逆コ字状に形成しており、左右の側面板に溝肩部8aの耕耘土を均し成形する肩部成形板41を突設している。
この溝成形部4は、培土板40の内部フレームから立設した取付杆42を前記取付部36に挿入固定し耕耘装置3に装着することができる。
【0018】
これにより溝成形部4は、培土板40がロータリー部35の溝部耕耘爪32によって耕起された耕耘土を側方に振り分けて長方形断面の溝8を形成し、肩部成形板41が肩部堆積耕耘土と培土板40によって盛り上がった土を上方から押し均し、溝肩部8aを綺麗に成形することができる。
【0019】
次に、シート敷設作業部5についで説明する。このシート敷設作業部5は、前記取付部36に挿入した取付杆42に取付支持される横向きの取付バー45に対し、取付幅調節可能に挿入して取付固定される左右の支持フレーム46,46と、取付部37に上方から挿入して取付支持する支持フレーム47を、それぞれ前方に向けて延設している。
尚、支持フレーム46,46は前後方向の中途部に回動軸支部50を設け、図1の矢印で示すように前方に向けて反転させ格納姿勢に支持することができる。
【0020】
左右の支持フレーム46,46は、ロール状に巻きとられたシート7の両側芯部を支持する一対のシート支持部51,51と、繰り出されるシート7を両側の溝肩部8aに転圧する繰出転圧ローラ52と、図3で示すように繰出転圧ローラ52で転圧支持した状態のシート7を後方で溝肩部8a内に挿入することにより、該シート7を地中に折り曲げて折り込む左右一対のシート折込部材53と、折り込まれたシート7の折り込み辺の上に外側から土をかき寄せて覆土を行う覆土輪55とを設けている。
【0021】
尚、シート折込部材53と覆土輪55は回動軸支部50を支点に後方側の支持フレーム46によって前方上方に格納姿勢に切り換えることができる。
またシート支持部51,51は左右の支持フレーム46,46を連結するように取付支持される門型の支持杆51aの両端に設け、該支持杆51aの両端に前記繰出転圧ローラ52を軸支する門型の支持杆51bの両端を軸支した構成となっている。
シート折込部材53は弾力性を有する線材を滑らかに後方に向けて湾曲させた形状で、自由端部を溝肩部8aの上方に位置させることにより、繰出転圧ローラ52で溝肩部8aに敷設されるシート7の両側辺の中途部を、下側に向けて摺接案内して肩部堆積耕耘土内に押し込み折り曲げた状態にすることができる。
【0022】
支持フレーム47は後端に、繰出転圧ローラ52の直下で繰り出されるシート7を、溝8の両コーナー部(溝隅部)に押し付けて位置決めをしながら、中途部を溝8に平坦状に敷設する左右一対の敷設輪56を、二股状の取付杆57によって取付位置調節可能に設けている。
これにより左右の敷設輪56,56は、繰り出されて両側の溝肩部8aに転圧支持された状態のシート7を、繰出転圧ローラ52の直下で溝8内で両コーナー部に確実に位置決めすることができる。これによりシート7は両コーナー部が溝8内で位置決め支持されるので、シート折込部材53による折り込み時の位置ずれや、シート7の浮き上がり及び皺の発生等を防止しシート7の敷設及び埋め込み固定を確実に行うことができる。
【0023】
次に、以上のように構成されるシート敷設作業機1によるシート敷設作業について説明する。このシート敷設作業機1は、後方に向けて延設されるハンドル16を有したトランスミッションケース13の左右の車軸15に、クローラ走行装置9を装着した管理作業機2に、前部のヒッチ10を介し重量構造の耕耘部3側を取付けてシート敷設装置6が装着される。
これによりシート敷設装置6は、管理作業機2の前方で耕耘部3と溝成形部4とシート敷設作業部5を前後方向に長い剛体構造で管理作業機2の前方にコンパクトに纏めて設置することができ、作業者が機体後方からハンドル16を両手で把持した状態で、管理作業機2を後進走行させることによりシート敷設作業を行うことができる。
【0024】
これによりシート敷設装置6は、耕耘装置3の溝部耕耘爪32と溝肩部耕耘爪33の回転によって溝8部と溝肩部8a位置の耕耘を行い、溝成形部4の培土板40が耕耘土を培土し溝8を形成すると共に、肩部成形板41が両側の溝肩部8aを押し均し成形する。
次いでシート敷設作業部5が、シート支持部51から繰出転圧ローラ52を介し溝8及び溝肩部8aへシート7を繰り出し、繰り出されたシート7は敷設輪56の転接による溝8のコーナー部への位置決め固定と、シート折込部材53による溝肩部8a内への折り込み固定が行われ、次いで覆土輪55がシート7の折り込み部の上方に覆土をし、シート7の両側辺の折り込み端に覆土による重量を加えて閉鎖し、シート7両端の固定を確実に行う。尚、シート7の両辺を折り込むことにより、隣接する作物栽培床のシート7の間には、シート7端を踏みつけないで歩行する作業路を広く形成することができる。
【0025】
以上のようにシート7のシート敷設作業を行うシート敷設作業機1は、シート敷設装置6をハンドル16を後方に向けて延設した管理作業機2の前方に装着し、該管理作業機2の走行部を、トランスミッションケース13両側の車軸15に、駆動輪23とクローラフレーム25を設け、且つクローラフレーム25の後方側に軸支される従動輪26と駆動輪23にクローラ22を張設したクローラ走行装置9を設けているので、例えば予め耕起された膨軟で凹凸の多い地面においても、管理作業機2の大きなピッチングや傾動を防止しシート敷設装置6によるシート敷設作業をスムーズに行うことができる。
【0026】
即ち、ハンドル16を後方に延設したトランスミッションケース13の左右の車軸15に、従動輪26を後方側に配設したクローラ走行装置9を設けたことにより、管理作業機2の機体前部に重量構造の耕耘部3をできるだけ近接させて装着することができ、シート敷設装置6をコンパクトに纏め重心安定性を高めて支持することができる。
また左右のクローラ走行装置9は、駆動輪23と後方の従動輪26に張設したクローラ22が広い接地面を有して機体を安定よく支持するので、膨軟な地面に対しても走行部の沈下やめり込み及びスリップ等を防止し、且つ凹凸等による機体のピッチングやシート敷設装置6のバウンド等を抑制した後進走行を行い、シート敷設作業を能率よく確実に行うことができる。
【0027】
そして、後進走行をする左右のクローラ走行装置9は、溝8の左右の溝肩部8a位置の地面を予め踏み固めて凹凸を均しながら平坦面に形成するので、耕耘部3及び溝成形部4による溝8及び溝肩部8aの形成を凹凸や肩崩れを防止し綺麗に成形することができると共に、シート敷設作業部5による溝8及び溝肩部8aに対するシート7の敷設作業を精度よくスムーズに行わせることができる。
【0028】
また左右のクローラ走行装置9は、トランスミッションケース13の左右の車軸15にクローラフレーム25を介し単独揺動回動自在に取付支持されるので、各クローラ走行装置9は左右で異なる地面の凹凸等に沿って従動輪26側を上下動させ、機体を左右に大きく傾動させることを抑制したスムーズな走行を可能にする。
従って、溝成形部4は傾斜や凹凸の発生を防止し溝底面の均平精度の高い溝成形をし、この溝8及び溝肩部8aにシート7を皺の発生を防止し良好に敷設できるので、偏寄した傾斜部や皺の凹部に水や肥料等の溶液を集中停滞させることのない、作物栽培に好適な栽培床を作ることができる。
【0029】
また各クローラ走行装置9は、クローラフレーム25に管理作業機2の一部と接当し揺動回動量を規制するストッパ29を設けた構成にしているので、クローラ走行装置9の従動輪26側が所定以上に揺動回動するとき、クローラフレーム25に設けたストッパ29が機体の一部と接当し揺動回動を規制することができる。
従って、左右で異なる地面の凹凸等により、一方のクローラ走行装置9の従動輪26側が上下動し機体が大きく傾く側のストッパ29が、機体フレーム12等の一部に接当して、それ以上のクローラ走行装置9の揺動回動を規制し機体の傾動を簡単に防止することができる。これにより管理作業機2は機体の大きな傾倒を防止した走行をスムーズに行うことができ、また作業者がハンドル16を把持し傾倒防止操作を行う負担を軽減し、直進性に優れた走行及び操縦を行い易くすることができる等の特徴がある。
【0030】
次に、図4,図5で示すクローラ走行装置9の別実施形態について説明する。尚、前記実施形態のクローラ走行装置9と同様の構成及び作用については説明を省略する。
図示例のクローラ走行装置9は、クローラフレーム25の後側と前側に従動輪26を軸支する従動輪軸26aと従動転輪60を軸支する従動転輪軸60aを設けており、従動輪26と従動転輪60の間で該従動転輪60に近接した上部に駆動輪23を配置し、これら3者にクローラ22を張設し従動輪26と従動転輪60の接地側の間に、クローラフレーム25に垂設した芯金ガイド27を設ける構成としている。
【0031】
この構成においてクローラフレーム25は、前側上部に立設した取付ブラケット61に車軸15に嵌挿するメタル部62を有しており、後側上部には機体フレーム12の下部の一部に接当可能な棒状のストッパ29を内向きに延設している。そして、取付ブラケットのメタル部62を車軸15に嵌挿した状態で、該メタル部62の外側で前記駆動輪23が車軸15に取付固定される。これによりクローラ走行装置9は、車軸15の回転によって駆動輪23がクローラ22を噛合回転することができ、また駆動輪23の直径を大きくすることなく、従動輪26と従動転輪60の前後距離を定めてクローラ22の接地面を増大させることができる。
【0032】
またクローラ走行装置9は、車軸15を支点にクローラフレーム25が従動輪26と従動転輪60を一体的に揺動回動させることができる。従って、左右のクローラ走行装置9は車軸15を支点に、ストッパ29が機体フレーム12に接当する所定位置まで、それぞれ単独的に揺動回動することができる。またハンドル16を押し下げるとトランスミッションケース13及び機体フレーム12が、該機体フレーム12がストッパ29に接当する位置まで後方下方回動させることができる。
尚、符号63はクローラフレーム25の前側に設けた前方下降回動位置を前記ストッパ29と同様の作用によって規制するストッパである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係わるシート敷設作業機の構成を模式的に示す側面図である。
【図2】図1の詳細な構成を示す斜視図である。
【図3】図2のシート敷設作業機によるシート敷設作業を示す斜視図である。
【図4】管理作業機の車軸に装着されるクローラ走行装置の別実施形態の構成を示す側面図である。
【図5】図4のクローラ走行装置の構成を示す平断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 シート敷設作業機
2 管理作業機
3 耕耘部
4 溝成形部
5 シート敷設作業部
6 シート敷設装置
7 シート
8 溝
8a 溝肩部
9 クローラ走行装置
10 ヒッチ
12 機体フレーム
13 トランスミッションケース
15 車軸
16 ハンドル
23 駆動輪
25 クローラフレーム
26 従動輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘部(3)によって耕耘した耕耘土を溝成形部(4)で培土形成した溝(8)と溝肩部(8a)とに、シート敷設作業部(5)から繰り出されるシート(7)を敷設固定するシート敷設装置(6)を、管理作業機(2)に装着すると共に、該管理作業機(2)のトランスミッションケース(13)の両側に突出する車軸(15)に、該車軸(15)に軸支される駆動輪(23)と、上記車軸(15)に揺動回動自在に軸支されるクローラフレーム(25)に軸支した従動輪(26)とに、クローラ(22)を張設してなるクローラ走行装置(9)を設けたことを特徴とするシート敷設作業機。
【請求項2】
トランスミッションケース(13)の両側の車軸(15)に、左右のクローラ走行装置(9)をそれぞれ単独揺動回動自在に設けると共に、クローラフレーム(25)に管理作業機(2)の一部と接当し揺動回動量を規制するストッパ(29)を設けた請求項1記載のシート敷設作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−117062(P2007−117062A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317430(P2005−317430)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】