説明

シート検査システムおよびシート検査方法

【課題】本発明の目的は、シートの流れ方向に生じる透過光や正反射光の変化に対応したシート検査システムおよび方法を提供することにある。
【解決手段】シート検査システム10は、シート12に対して光Lを発する光源14、光源14に電力を供給する電源部16、光を受光する第1のセンサ18と第2のセンサ20、電源部16が出力する電力を求める制御部22、シート12の欠陥を検出する検査部24を備える。光源14の出力を調節できるため、検査時には一定の透過光または反射光となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの欠点を検査するためのシート検査システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、種々のシートは高機能化しており、製造途中でフィッシュアイやクラックなどの欠点を発見することが重要である。図9に示す従来のシート検査システム50は、シート12の一面側に配置された光源54、光源54に電力を供給する電源部56、シート12の他面側に配置されたセンサ60、センサ60の受光光量の変化から欠点を検出する検査部64が備えられている。
【0003】
光源54は蛍光灯やLEDなどである。光源54から出射された光Lによって、シート12に光の帯を形成する。センサ60はフォトダイオードなどの光電変換素子を含む。センサ60は受光光量に応じて、電圧などの電気信号を出力する。検査部64はコンピュータなどの演算装置が用いられる。
【0004】
光透過性のシート12が一定速度で移送されており、光源54で発した帯状の光がシート12を透過する。透過された光はセンサ60で受光される。欠点があれば、集光もしくは透過、または散乱もしくは遮へいが生じ、センサ60で受光される光量に変化が生じる。集光もしくは透過されれば光量が増加し(図10(a))、散乱もしくは遮へいされれば光量が減少する(図10(b))。この変化によって検査部64が欠点を検出する。
【0005】
また、図11のシート検査システム50bのように、光源54からシート12に光Lを照射し、正反射された光をセンサ60で受光する装置もある。光を照射する位置には、表面に光吸収処理をおこなったローラ44がある。シート12はローラ44に密着され、ばたつきにくくなっている。欠点があると光が散乱するため、センサ60で受光される光量が減少し、欠点と判定することができる。
【0006】
シート12の正常箇所におけるセンサ60の受光量は常に一定であることが好ましい。一定にすることによって、検査の精度を高めることができるためである。光量調整に関する従来技術としては、例えば下記の特許文献1、2が挙げられる。特許文献1、2は、ラインセンサカメラが受光する光量を電気信号に変換する。電気信号と基準値との差に基づいて、光源の出射光量の増減、欠点の検出の閾値の増減、または得られた検査用画像の信号レベルの増減がおこなわれる。
【0007】
また、シート12の表面に梨地加工など、表面を微細凹凸で粗面化した製品がある。所定の表面粗さを有するローラでシート12を挟み込みながら送り出すことによって、表面に微細凹凸が施される。ローラの表面にシート12の細かな破片などが徐々に詰まるため、シート12の移送方向において、徐々に加工状態が変化する。一般的に、加工状態が変化しても、加工状態が所望の範囲内であれば、加工不良とはならない。
【0008】
しかし、加工状態の変化によって、光の透過率が変化する。光の透過率の変化によって、検査精度が変化する場合がある。下記の特許文献の場合、移送方向の透過光量の変化に対応した装置ではない。透過光量の変化によって検査精度が変化して、欠点の有無を逆に判定するおそれがある。
【0009】
所定の微細凹凸が形成できないと、透過光量が大きくなる。その場合、センサ60で光を受光するときにハレーションが生じるおそれがある。ハレーションが生じると、正常に検査をおこなうことができない。
【0010】
正反射光を利用する場合であっても同様であり、加工状態の変化によって、正反射光が変化する。一定の受光光量が得られないため、検査精度が変化するおそれがある。
【0011】
また、シート12に微細凹凸のある箇所と無い箇所を設けたり、シート12に複数の色彩を施す場合もある。特許文献の装置では、微細凹凸の有無による透過光量の変化や色彩の変化による透過光量の変化に対応できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−183395号公報
【特許文献2】国際公開番号WO2004/044565
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、シートの流れ方向に生じる透過光や正反射光の変化に対応したシート検査システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のシート検査システムは、移動するシートの欠陥を検査する。シート検査システムの構成は、シートに光を照射する光源と、前記光源に電力を供給する電源部と、前記シートの透過光または正反射光を受光する第1のセンサと、前記第1のセンサよりもシートの移動方向の下流側に配置され、シートの透過光または正反射光を受光する第2のセンサと、前記第1のセンサが受光した光量を利用して、第2のセンサで受光される光量が一定になるように、電源部から光源に出力される電力を求める制御部と、前記第2のセンサが受光した光量からシートの欠陥を検査する検査部とを備える。
【0015】
制御部が光源へ供給する出力を求めて、電源部が求められた出力に応じて光源への出力を変更することによって、第2のセンサで受光される光量を一定にする。
【0016】
前記制御部は、前記第1のセンサの出力の基準値を記憶した記憶手段と、前記基準値と第1センサの出力値との差分を求める比較部と、前記差分、差分を求めたときの電源部の出力、および第1センサの出力から、第2のセンサが受光するときの電源部の出力を決定する演算部とを備える。
【0017】
シート検査システムを使用した検査方法は、電源部が光源に電力を供給するステップと、前記光源からシートに光を照射するステップと、第1のセンサが前記シートの透過光または正反射光を受光するステップと、制御部が前記第1のセンサが受光した光量を利用して、第2のセンサで受光される光量が一定になるように、電源部から光源に出力される電力を求めるステップと、前記第1のセンサよりもシートの移動方向の下流側に配置された第2のセンサが、シートの透過光または正反射光を受光するステップと、検査部が前記第2のセンサが受光した光量からシートの欠陥を検査するステップとを備え、求められた電力によって電源部の電力が変更される。
【0018】
また、シート検査システムは、前記シートに光を照射し、出射光量の異なる複数の光源と、前記複数の光源の中から所定の光源に電力を供給する電源部と、前記シートの透過光または正反射光を受光する第1のセンサと、前記第1のセンサよりもシートの移動方向の下流側に配置され、シートの透過光または正反射光を受光する第2のセンサと、前記第1のセンサが受光した光量を利用して、第2のセンサで受光される光量が一定になるように、電源部が電力を供給する光源を選択する制御部と、前記第2のセンサが受光した光量からシートの欠陥を検査する検査部とを備える。
【0019】
制御部が出射光量の異なる複数の光源を選択することによって、第2のセンサで受光される光量を一定にする。
【0020】
前記制御部は、前記第1のセンサの出力の基準値を記憶した記憶手段と、前記基準値と第1センサの出力値との差分を求める比較部と、前記差分、差分を求めたときの光源、および第1センサの出力から、第2のセンサが受光するときに発光する光源を決定する演算部とを備える。
【0021】
シート検査システムを使用した検査方法は、電源部が複数の光源の中から所定の光源に電力を供給するステップと、前記所定の光源からシートに光を照射するステップと、第1のセンサが前記シートの透過光または正反射光を受光するステップと、制御部が前記第1のセンサが受光した光量を利用して、第2のセンサで受光される光量が一定になるように、電源部から電力を供給される光源を選択するステップと、前記第1のセンサよりもシートの移動方向の下流側に配置された第2のセンサが、シートの透過光または正反射光を受光するステップと、検査部が前記第2のセンサが受光した光量からシートの欠陥を検査するステップとを備え、選択された光源に対して電源部から電力を供給する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、第1のセンサによって受光された光量から第2のセンサで受光される光量を一定にすることができるため、検査の精度を一定に保つことができる。また、光量が適宜調節されるため、ハレーションが発生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】透過光を使用した本発明のシート検査システムの構成を示す図である。
【図2】図1のシート検査システムの光量を調節する機能のブロック図である。
【図3】第1のセンサと第2のセンサが受光する位置を示す図である。
【図4】正反射光を使用したシート検査システムの構成を示す図である。
【図5】複数の光源を使用したシート検査システムの構成を示す図である。
【図6】シートが移送方向において変化する図であり、(a)は表面の微細凹凸が変化し、(b)は色彩が変化する図である。
【図7】第1のセンサと第2のセンサとが受光する光の光源を異ならせたシート検査システムの構成を示す図である。
【図8】光を分光する手段を使用したシート検査システムの構成を示す図である。
【図9】透過光を使用した従来のシート検査システムの構成を示す図である。
【図10】欠点がある場合の受光光量の変化を示す図であり、(a)は欠点によって光が集光した場合であり、(b)は欠点によって光が散乱した場合の図である。
【図11】正反射光を使用した従来のシート検査システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のシート検査システムおよび方法について図面を使用して説明する。本発明は、透過光を利用するシステムと反射光を利用するシステムがある。先ず、透過光を利用するシステムから説明する。
【実施例1】
【0025】
図1と図2に示すシート検査システム10は、シート12に対して光Lを発する光源14、光源14に電力を供給する電源部16、光を受光する第1のセンサ18と第2のセンサ20、電源部16が出力する電力を求める制御部22、シート12の欠陥を検出する検査部24を備える。
【0026】
シート12は、連続した長尺ものになったものである。シート12を製造して、ロール状に巻き取られる途中で検査される。シート12は、光Lを透過するものである。また、シート12の少なくとも一方の表面には、微細な凹凸を設ける処理が施されている。処理方法は梨地加工、エンボス加工、ブラスト加工、またはマット加工など、表面を粗面化する方法が挙げられる。例えば、表面粗さRaは約0.06〜3.0μmである。シート12の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、またはポリ塩化ビニルなどが挙げられる。シート12の厚みは、例えば約50〜200μmである。
【0027】
光源14は、シート12の一面側に配置される。光源14は高周波蛍光灯やLEDが利用可能である。高周波蛍光灯であれば、レンズなどで光の指向性を高めて、シート12に帯状の光Lxが照射されるようにする(図3)。LEDであれば、複数のLEDを1列に並べて光が帯状になるようにする。帯状の光Lxの長軸方向はシート12の幅方向と一致するようにする。なお、帯状の光Lxをシート12に照射できれば、光源14は高周波蛍光灯やLED以外の物であっても良い。
【0028】
電源部16は光源14に電力を供給する照明用電源26、制御部22からの信号が入力される制御信号入力部28を備える。制御部22からの信号によって出力する電力を調節する。詳細は後述する。
【0029】
第1のセンサ18と第2のセンサ20は同じものを使用する。これらのセンサ18,20は、光を受光して、受光光量に応じた値の電気信号(電圧値)を出力する光電変換部30を備える。光電変換部30は、フォトダイオードなどの光電変換素子と、光電変換素子から電気信号を取り出すための回路とが含まれる。光電変換素子は一列に並べられており、シート12を透過した帯状の光Lxを受光する。また、必要に応じて電気信号を増幅する回路を設けても良い。
【0030】
シート12の移送方向において、シート12にできる帯状の光Lxの上流側x1を第1のセンサ18で受光し、下流側x2を第2のセンサ20で受光する(図3)。また、受光位置であるx1とx2は、光量が同じ位置である。第1のセンサ18で受光した光によって光源14の出射光量を調節し、第2のセンサ20で一定の光量を受光するためである。例えば、シート12にできる帯状の光Lxは、シート表面の凹凸によって約3〜10mmの幅があるため、第1のセンサ18と第2のセンサ20が受光する位置は約3〜10mmの間隔がある。
【0031】
第1のセンサ18の出力は制御部22に入力される。本発明では、第1のセンサ18の内部にパルス変換部32を設け、制御部22にパルスの形式で入力する。パルス変換部32は、上記電気信号に応じた周波数のパルスに変換する。例えば、電気信号が高くなれば周波数を高くし、低ければ周波数を低くする。また、パルスのデューティー比は0.5である。
【0032】
なお、第1センサ18の出力をパルスに変換する以外に、出力値をディジタルデータに変換したり、出力をそのまま制御部22に入力する方法であっても良い。扱うデータの種類に応じて、適宜制御部22の構成を変更する。
【0033】
制御部22は、高速カウンタ入力部34、比較部36、演算部38、D/A変換部40を備える。制御部22としては、PLC(programmable logic controller)などの制御装置を利用し、ハードウェアとソフトウェアによって、下記に説明するような動作をする。
【0034】
高速カウンタ入力部34は、単位時間あたりのパルス数を計数する。第1のセンサ18の出力は、出力に応じた周波数のパルスに変換されており、計数されたパルス数は第1のセンサ18の出力に対応したものである。パルス数は比較部36に送られる。
【0035】
比較部36は、計数されたパルス数と基準値とを比較して、差分を取る。基準値は、第1のセンサ18の出力の基準値である。基準値は、PLCのメモリなどの記憶手段42に記憶される。差分は演算部38に送られる。
【0036】
演算部38は、所定の演算によって電源部16の出力を決定する。第1のセンサ18が受光したとき(または差分を求めたとき)の電源部16の出力と第1のセンサ18の出力(または受光光量)には相関関係がある。第1のセンサ18と第2のセンサ20は同じものを使用しており、電源部16の出力を変化させなければ、一定の時間差で同じ光量を受光する。したがって、上記の相関関係と差分とを利用して、第2のセンサ20の受光光量が一定になるように、電源部16の出力値を求める。
【0037】
なお、シート12に欠点があると、第1のセンサ18が受光する光量が変化する。しかし、全体の受光量から比べると変化は小さいため、比較部36や演算部38の処理への影響は小さい。システム全体としては、誤差の範囲内で処理が進行する。
【0038】
D/A変換部40は、求められた出力値をディジタル・アナログ変換して、電源部16に送る。例えば、出力値に応じて0〜5Vのアナログ電圧値に変換する。
【0039】
制御信号入力部28にD/A変換部40からの出力値が入力される。シート12の移送速度、および第1のセンサ18と第2のセンサ20の距離は、システム10を設計する際に既知である。これらの値から、シート12における第1のセンサ18の受光位置から第2のセンサ20の受光位置への移動時間が分かる。制御信号入力部28は、出力値を受信してから上記移動時間後に照明用電源26に出力値を送る。なお、出力値を送る際に利用する移動時間は、第1のセンサ18や制御部22などの動作を考慮した時間にすることが好ましい。
【0040】
照明用電源26は、制御信号入力部28からの出力値に基づいて、出力を変更する。光源14として高周波蛍光管を使用していれば、高周波電力が変更され、LEDを使用していれば、印加電圧が変更される。光源14は照明用電源26の出力に応じて出射光量が変更される。
【0041】
第2のセンサ20はシート12の透過光を受光して、受光光量に応じた電気信号を出力する。上記のように、第1のセンサ18などによって第2のセンサ20で受光される光は一定に保たれる。したがって、シート12の正常箇所の受光光量は一定となり、第2のセンサ20は一定の電気信号を出力する。
【0042】
検査部24はコンピュータなどである。検査部24は第2のセンサ20の出力を使用して、シート12の欠点を検査する。欠点によって受光光量が変化するため、第2のセンサ20の出力も変化する(図10)。第2のセンサ20の出力の所定範囲を設定しておき、所定範囲から外れた値があれば欠点と判定する。正常箇所に対する出力が一定であるため、所定範囲を決定しやすい。
【0043】
検査部24は、欠点の位置をメモリなどに記憶するようにする。シート12の移送速度は設計時に既知であるため、欠点と判定された時間から欠点の位置が求められる。また、欠点の位置をモニタに表示する。欠点の位置が分かるため、作業員が欠点を除去することができる。
【0044】
シート検査システム10を使用した検査方法は下記のようになる。(1)シート12が移送される途中で光源14からシート12に光Lを照射する。(2)第1のセンサ18で透過光を受光して、受光光量に対応した電気信号を出力する。(3)比較部36で出力と基準値との差分を取り、演算部38で電源部16の出力を求める。(4)求められた出力に応じて電源部16が光源14への出力を調節する。(5)第2のセンサ20で透過光を受光して、受光光量に対応した電気信号を出力する。(6)検査部24が第2のセンサ20の出力を使用して欠点を検出する。
【0045】
以上のように、本発明は光源14の出力を調節できるため、検査時には一定の透過光となる。常に所定の受光量によって検査をおこなうため、検査の精度が高くなる。シート12の光透過量が大きくなっても、ハレーションを起こさずに検査をおこなうことができる。
【実施例2】
【0046】
次に、反射光を利用したシート検査システムについて説明する。図4に示すシート検査システム10bは、光源14、電源部16、第1のセンサ18、第2のセンサ20、制御部22、および検査部24を備える。光源14と各センサ18,20はシート12に対して同一面側に配置される。各手段は、図1のシステム10と同様のものであり、透過光が正反射光に置き換えられる。
【0047】
シート12に光Lが照射される位置には、ローラ44を配置する。ローラ44は、シート12の移送速度にあわせて回転する。ローラ44にシート12を密着させる。シート12がばたつかず、第1のセンサ18および第2のセンサ20に確実に正反射光が入射されるようにする。
【0048】
ローラ44の表面で光Lが吸収されるのが好ましい。シート12を透過した光Lを吸収し、正反射光を際だたせるためである。また、第1のセンサ18および第2のセンサ20の出力にノイズが入りにくくなる。光Lを吸収する方法は、表面に黒色つや消し処理を施したり、フォスブラックII、黒クロム、酸化銅黒、黒ニッケル、黒アルマイトなどの材料を使用することが挙げられる。
【0049】
シート12に一定の幅を持った帯状の光Lxができ、図1のシステム10と同様に検査をおこなうことができる。反射光量が一定に保たれるため、一定の検査精度で検査をおこなうことができる。
【実施例3】
【0050】
図5のシステム10cのように、出射光量の異なる複数の光源14a,14b,14cを備えても良い。本実施例は、実施例1の光源14、演算部38、および電源部16を変更したものである。
【0051】
各光源14a,14b,14cは、シート12のほぼ同じ位置に光を照射する。図5では光源14a,14b,14cを3個にしているが、数は限定されない。
【0052】
演算部38は、所定の演算によって電源部16が電力を供給する光源14a,14b,14cを求める。第1のセンサ18が受光したとき(または差分を求めたとき)の光源14a,14b,14cの出射光量と第1のセンサ18の出力(または受光光量)には相関関係がある。第1のセンサ18と第2のセンサ20は同じものを使用しており、発光する光源14a,14b,14cを変えなければ、一定の時間差で同じ光量を受光する。したがって、上記の相関関係と差分とを利用して、第2のセンサ20の受光光量が一定になるように、出射する光源14a,14b,14cを求める。
【0053】
電源部16は、演算部38で選択された光源14a,14b,14cに対して所定の電力を供給する。実施例1では電源部14の出力を変更することによって出射光量を変更していたが、本実施例では光源14a,14b,14cを選択することによって出射光量を変更している。
【0054】
複数の光源14a,14b,14cによって出射光量が変化するため、段階的に出射光量が変化する。光源14a,14b,14cの数を増加させることによって、出射光量をほぼリニアに変化させることができる。1つの光源を選択するだけでは、出射光量をリニアに変化させることが難しい場合がある。その場合、任意の数の光源14a,14b,14cを同時に選択するようにしても良い。出射光量の選択肢を多くして、出射光量をほぼリニアに変化できるようにする。
【0055】
その他の構成は、実施例1と同じである。また、実施例2の場合であっても、複数の光源14a,14b,14cを備えて、上記のように光源14a,14b,14cを選択するようにしても良い。
【実施例4】
【0056】
シート12は、表面に微細な凹凸が設けられたものに限定されない。表面に微細凹凸がない場合であっても、本発明のシステム10で検査をしても良い。また、シート12の移送方向において、微細凹凸のある箇所a2,a3と無い箇所a1が順に形成されていたり、微細凹凸が変化したりするシート12bを本発明のシステム10で検査しても良い(図6(a))。微細凹凸の有無にあわせて第1のセンサ18での受光光量が変化し、その変化にあわせて第2のセンサ20での受光光量が一定になるように調節する。微細凹凸の変化に変えて、シート12cの流れ方向において、色彩b1,b2,b3,b4の変化であっても同じである(図6(b))。反射光を利用する場合、シート12は光を透過しないものであっても良い。
【実施例5】
【0057】
帯状の光Lxの幅が狭く、図1のように2台のセンサ18,20で受光するのが難しい場合、図7のシステム10dのように、光源14d、14eを2箇所に設けても良い。光源14d、14eは同一のものを使用する。シート12の移送方向において、第1の光源14dを上流側x1、第2の光源14eを下流側x2とする。シート12に2本の帯状の光Lxが形成される。第1の光源14dの透過光または反射光を第1のセンサ18で受光する。第2の光源14eの透過光または反射光を第2のセンサ20で受光する。いずれのセンサ18,20も、帯状の光Lxの中心など、帯状の光Lxの同じ位置を受光するようにする。第1のセンサ18での受光光量の変化にあわせて、第2のセンサ20が一定の受光光量になるように調節する。
【0058】
図4の場合であれば、ローラ44を2本にする。一方のローラ44の位置では第1のセンサ18が正反射光を受光し、他方のローラ44の位置では第2のセンサ20が正反射光を受光する。なお、2本のローラ44の間に他のローラを配置してシート12を蛇行させることによって、第1のセンサ18と第2のセンサ20がシート12の同一面側の正反射光を受光することができる。
【実施例6】
【0059】
実施例5において、2つの光源14d、14eを同一にするのが難しい場合、光を分割させても良い。例えば、図8のシステム10eのように、ハーフミラー46と通常のミラー48を使用する。光源14はハーフミラー46に向けて光を出射する。ハーフミラー46は光の光量を50%ずつ分ける。一方の光はシート12を介して第1のセンサ18に向かう。他方の光はミラー48に向かい、ミラー48で第2センサ20の方向に方向転換される。シート12に2本の帯状の光Lxが形成される。1本の帯に対して1台のセンサ18,20で受光をおこなう。いずれのセンサ18,20も、帯状の光Lxの中心など、帯状の光Lxの同じ位置を受光するようにする。
【0060】
図8のシステム10eは透過光を利用しているが、正反射光を利用する場合であっても、システム10eと同様に光を分割させても良い。
【実施例7】
【0061】
第1のセンサ18と第2のセンサ20は同一の物を使用したが、異なっていても良い。第1のセンサ18で光量の変化を検出し、第2のセンサ20で受光されるときに、一定光量になれば良い。例えば、第1のセンサ18として単体のフォトダイオードを使用し、第2のセンサ20はラインセンサカメラを使用する。第1のセンサ18は光量を検出するだけであるため、単体のフォトダイオードである。フォトダイオードとしては、例えば浜松ホトニクス製のS9705が挙げられ、ラインセンサカメラとしてはEXCEL社製の『TEC EYE』TI5150TSSが挙げられる。
【実施例8】
【0062】
上記の実施例では、シート12が移動したが、光源14や各センサ18,20がシート12に対して移動するようにしても良い。本発明では、シート12に対して光源14や各センサ18,20が相対的に移動する。また、シート12は帯状のシート以外に、枚葉のシートであっても良い。
【0063】
以上、本発明について種々の実施例を説明したが、本発明は上記の実施例に限定されない。その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0064】
10,10b,10c,10d,10e:シート検査システム
12,12b,12c:シート
14,14a,14b,14c,14d,14e:光源
16:電源部
18:第1のセンサ
20:第2のセンサ
22:制御部
24:検査部
26:照明用電源
28:制御信号入力部
30:光電変換部
32:パルス変換部
34:高速カウンタ入力部
36:比較部
38:演算部
40:D/A変化部
42:記憶手段
44:ローラ
46:ハーフミラー
48:ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動するシートの欠陥を検査するためのシート検査システムであって、
前記シートに光を照射する光源と、
前記光源に電力を供給する電源部と、
前記シートの透過光または正反射光を受光する第1のセンサと、
前記第1のセンサよりもシートの移動方向の下流側に配置され、シートの透過光または正反射光を受光する第2のセンサと、
前記第1のセンサが受光した光量を利用して、第2のセンサで受光される光量が一定になるように、電源部から光源に出力される電力を求める制御部と、
前記第2のセンサが受光した光量からシートの欠陥を検査する検査部と、
を備えたシート検査システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1のセンサの出力の基準値を記憶した記憶手段と、
前記基準値と第1センサの出力値との差分を求める比較部と、
前記差分、差分を求めたときの電源部の出力、および第1センサの出力から、第2のセンサが受光するときの電源部の出力を決定する演算部と、
を備えた請求項1のシート検査システム。
【請求項3】
移動するシートの欠陥を検査するシート検査方法であって、
電源部が光源に電力を供給するステップと、
前記光源からシートに光を照射するステップと、
第1のセンサが前記シートの透過光または正反射光を受光するステップと、
制御部が前記第1のセンサが受光した光量を利用して、第2のセンサで受光される光量が一定になるように、電源部から光源に出力される電力を求めるステップと、
前記第1のセンサよりもシートの移動方向の下流側に配置された第2のセンサが、シートの透過光または正反射光を受光するステップと、
検査部が前記第2のセンサが受光した光量からシートの欠陥を検査するステップと、
を備え、
求められた電力によって電源部の電力が変更されるシート検査方法。
【請求項4】
移動するシートの欠陥を検査するためのシート検査システムであって、
前記シートに光を照射し、出射光量の異なる複数の光源と、
前記複数の光源の中から所定の光源に電力を供給する電源部と、
前記シートの透過光または正反射光を受光する第1のセンサと、
前記第1のセンサよりもシートの移動方向の下流側に配置され、シートの透過光または正反射光を受光する第2のセンサと、
前記第1のセンサが受光した光量を利用して、第2のセンサで受光される光量が一定になるように、電源部が電力を供給する光源を選択する制御部と、
前記第2のセンサが受光した光量からシートの欠陥を検査する検査部と、
を備えたシート検査システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1のセンサの出力の基準値を記憶した記憶手段と、
前記基準値と第1センサの出力値との差分を求める比較部と、
前記差分、差分を求めたときの光源、および第1センサの出力から、第2のセンサが受光するときに発光する光源を決定する演算部と、
を備えた請求項4のシート検査システム。
【請求項6】
移動するシートの欠陥を検査するシート検査方法であって、
電源部が複数の光源の中から所定の光源に電力を供給するステップと、
前記所定の光源からシートに光を照射するステップと、
第1のセンサが前記シートの透過光または正反射光を受光するステップと、
制御部が前記第1のセンサが受光した光量を利用して、第2のセンサで受光される光量が一定になるように、電源部から電力を供給される光源を選択するステップと、
前記第1のセンサよりもシートの移動方向の下流側に配置された第2のセンサが、シートの透過光または正反射光を受光するステップと、
検査部が前記第2のセンサが受光した光量からシートの欠陥を検査するステップと、
を備え、
選択された光源に対して電源部から電力を供給するシート検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−133403(P2011−133403A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294283(P2009−294283)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】