説明

シート状入浴剤及び入浴剤組成物

【課題】
浴水に好適に浮遊することができ、かつ従来の入浴剤にはない遊戯性や視覚性に優れたシート状入浴剤を提供する。
【解決手段】
水溶性高分子からなり、厚みが200μm以下であるシート状入浴剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状入浴剤及び入浴剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より入浴剤は、湯に香りや色調を与えて精神状態を安らかにするものや、硫酸ナトリウム等の無機塩類や炭酸ガスにより血行を良くしたり、各種保湿剤や植物エキスによるスキンケア効果等を与えるものとして使用されている。このような入浴剤は、粉末状、錠剤状、ペースト状、ジェル状等の様々な形態のものが知られているが、近年はこれらの形態だけではなく、入浴中の遊戯性や視覚による楽しみを付与する目的で、例えば、軽石や発泡スチロールのような水に浮きやすい担体に薬用成分を含浸させたものや、カプセル化したもの等も提案されている。
【0003】
特許文献1では、糖類、スターチ、ゼラチン並びに水からなる原料を均質に混和して発泡混和体を調製し、これを成型し、乾燥して多孔質体とし油性原料を吸着させる浮遊型浴用剤の製造方法が開示されている。しかしこれは、発泡体であり、200μmを超える厚みを有するものであり、薄片状のシート形状を有する入浴剤ではない。
【0004】
【特許文献1】特開平7−53349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状を鑑みて、浴水に好適に浮遊することができ、かつ従来の入浴剤にはない遊戯性や視覚性に優れたシート状入浴剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水溶性高分子からなり、厚みが200μm以下であるシート状入浴剤である。
上記シート状入浴剤は、保湿剤、乳化剤、香料、色素、顔料及び流動化剤からなる群より選択される少なくとも1種を更に含有するものであることが好ましい。
上記シート状入浴剤は、表面の一部又は全部をワックス成分によりコーティングしたものであることが好ましい。
上記シート状入浴剤は、表面をエンボス加工したものであることが好ましい。
本発明はまた、上述のシート状入浴剤と固形状の入浴剤成分とを同封した入浴剤組成物でもある。
本発明はまた、上述のシート状入浴剤と固形発泡入浴剤錠剤とを一体化した入浴剤組成物でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明は、水溶性高分子からなり、厚みが200μm以下であることを特徴とするシート状入浴剤である。
200μm以下のシート状入浴剤は、花や葉等の任意の形状とすることができ、従来知られていた200μmを超える厚みを有する発泡シートとは全く異なる薄片状の外観を有するものである。更に、厚み200μmを超える発泡シートでは、乾燥に時間がかかったり、積層するために製造工程に手間がかかり、経済的に好ましくない。本発明のシートは、発泡していないものとすることもできるので、透明のものも不透明のものも容易に製造でき、多様な意匠性を有するものを得ることができる。また、水溶性高分子によって形成されたものであることから、湯中で徐々に溶解するものであり、適用後、一定時間は形状を維持した後、徐々に溶解することから、遊戯性や視覚性においても優れている。
【0008】
上記水溶性高分子は、化粧品用として一般に使用され得る、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子又は合成水溶性高分子等を挙げることができる。上記水溶性高分子は、室温で1Lの水に0.05g以上溶解するものが好ましい。
上記水溶性高分子としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストリン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、寒天、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、コラーゲンペプチド、カルボキシメチルセルロース又はその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子;可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等の加工デンプン等であるデンプン系水溶性高分子;アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)等のアルギン酸系水溶性高分子;多糖類系水溶性誘導体、アクリル酸メタクリル酸長鎖アルキル(炭素数10〜30)共重合体、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
なかでも、上記水溶性高分子としては、造膜性、溶解性の観点から、デンプン、加工デンプン、ゼラチンを使用することが好ましい。また、これらは2種以上を併用してもよい。
【0009】
上記デンプンとしては、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘薯澱粉、米澱粉又はタピオカ澱粉が好ましく、加工デンプンとしては、これらを加工したデンプンが好ましい。なかでも、作業性やシート成型性の点から、コーンスターチ又はこれを加工したデンプンであることが好ましい。上記加工デンプンは、水溶性を付与するための加工を行ったデンプンであり、例えば、α化デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等を挙げることができる。
上記ゼラチンとしては、特に限定されず、例えば、Fish Gelatine(クローダ製)等の市販されているものを使用することができる。
【0010】
上記水溶性高分子の総配合量としては、最終製品として、シート状入浴剤100質量%中、下限0.12質量%、上限95質量%であることが好ましい。0.12質量%未満であると、シート形状を保つことができないおそれがある。95質量%を超えると、溶解性が悪かったり、製造時の作業性が低下するおそれがある。上記下限は、1質量%であることがより好ましく、上記上限は、80質量%であることがより好ましい。
【0011】
上記シート状入浴剤は、保湿剤、乳化剤、香料、色素、顔料及び流動化剤からなる群より選択される少なくとも1種を更に含有するものであることが好ましい。
上記保湿剤としては、水溶性保湿剤、油性保湿剤、その他の保湿剤が挙げられる。上記水溶性保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類;ブドウ糖、果糖、ガラクトース等の単糖類、ショ糖、麦芽糖、乳糖、セルビオース等の二糖類、アミロース、セルロース、トレハロース、水あめ、三温糖、黒砂糖等の多糖類、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、還元水飴等の糖アルコール、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖等パラチノース等のオリゴ糖;コラーゲン、ケラチン、アミノ酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、又はこれらの混合物等が挙げられる。上記油性保湿剤としては、甘草エキス、ヒマシ油、オリーブ油、グレープシード油、カカオ脂、椿油、アーモンド油、月見草油、米ぬか油、米胚芽油、米油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、アボガド油等の植物油脂類;ミンク油、卵黄油等の動物油脂類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類;スクワラン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類;ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等の天然又は合成脂肪酸類;セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、ベンジルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール等の天然又は合成高級アルコール;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸コレステリル等のエステル類等が挙げられる。上記その他の保湿剤としては、ニンジン末、加水分解ケラチン、コラーゲン、ポリアクリル酸ナトリウム、結晶セルロース等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は、2種以上を併用してもよい。これら保湿剤の配合割合は、その目的が達成されるようにその種類に応じて適宜選択することができる。保湿剤を添加することによって、皮膚への保湿効果を得ることができる点で、好ましい。
【0012】
上記保湿剤の配合量は、最終製品として、シート状入浴剤100質量%中、0.01〜30質量%であることが好ましい。0.01質量%未満であると、皮膚の保湿効果が得られないおそれがある。30質量%を超えて配合しても、効果が向上せず不経済である。上記配合量は、0.05〜2質量%であることがより好ましい。
【0013】
上記乳化剤としては、ベタイン型、スルホベタイン型、スルホアミノ酸型等の両イオン性界面活性剤、脂肪酸セッケン、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム等のN−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、レシチン、フォスファチジルコリン等の天然系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は、2種以上を併用してもよい。乳化剤を添加することにより、入浴剤成分の乳化、 起泡、消泡、粘着防止等を好適に行うことができる点で、好ましい。
【0014】
上記乳化剤の配合量は、最終製品として、シート状入浴剤100質量%中、0.01〜3質量%であることが好ましい。0.01質量%未満であると、香料等の油溶性成分との配合が良好にできないおそれがある。3質量%を超えると、シート成型性が悪くなるおそれがある。上記配合量は、0.05〜2質量%であることがより好ましい。
【0015】
上記香料としては、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ヒバ油、ヒノキ油、バラ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール油、シトロネロール等の天然香料、又は、2−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン−3−オン、3−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン−2−オン;1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール(アンバーコア)等のウッディアンバー;サンダルウッドオイルのサンダルノート;3−メチルシクロペンタデカノン(ムスコン)等のムスクノート;ローズオイル等のフローラルノート、ラズベリーケトン等の合成香料を挙げることができる。
これらは単独で用いてもよく、又は、2種以上を併用してもよい。
【0016】
上記色素としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色106号、赤色227号、赤色504号、青色1号、青色2号、青色202号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、緑色3号、緑色201号、緑色204号、橙色205号等の厚生省令タール色素別表IおよびIIの色素;又は、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシンやクロロフィル、リボフラビン、アンナット、アントシアニン、リコピン、カロチン、ベンガラ赤、ベンガラ黄等の食品添加物として認められている天然色素等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は、2種以上を併用してもよい。
【0017】
上記顔料としては、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、ナイロンパウダー、酸化亜鉛、セリサイト、マイカ、タルク等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は、2種以上を併用してもよい。また、水中への分散性を向上させるため、表面処理したものであってもよい。
上記流動化剤としては、例えば、合成ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、ゼオライト、アパタイト、デキストリン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は、2種以上を併用してもよい。
【0018】
また、本発明のシート状入浴剤には、上述した成分の他にも、例えば、一般に化粧品や入浴剤に使用される、無機塩類、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、並びに、美容、美顔及び皮膚の治療等を目的とする薬効成分等の各種化粧料成分を適宜配合することができる。
【0019】
上記無機塩類としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(無水又は結晶)、炭酸ナトリウム(無水又は結晶)、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム(無水を含む)、硫酸ナトリウム(無水又は結晶)、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸鉄、臭化カリウム、硝酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、硫化カリウム、ミョウバン、メタケイ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、ホウ砂等が挙げられる。
【0020】
上記pH調整剤としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸、無機酸及びその塩類等が挙げられる。
【0021】
上記防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸アルキルエステル、フェノキシエタノール、エタノール、デヒドロ酢酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光素等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
【0022】
上記薬効成分としては、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オオムギエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海藻エキス、海水乾燥物、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クマザサエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コンフリーエキス、コケモモエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、ショウブ根エキス、ショウキョウエキス、シラカバエキス、スギナエキス、スイカズラエキス、セイヨウキズナエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、ゼニアオイエキス、センブリエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、モモ葉エキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユズエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、藤三七人参、接骨草、カフェイン、キサンチン、アミノフィリン、テオフィリン等が挙げられる。
【0023】
また、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤、ビタミンA,B2,B6,B12,C,D,E,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、γ−オリザノール、ビタミンE誘導体等の血行促進剤、β−カロチン、チオクト酸、CoQ10(ユビキノン)、CoQ9、CoQ8等の補酵素、タンパク質分解酵素等の創傷治癒剤、セファランチン、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL−α−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、l−メントール、メントールのピロリドンカルボン酸塩、モノニトログアヤコール、尿素、レゾルシン、γ−アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ヒドロコルチゾン、鎮痛剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗菌性物質等も任意に配合することができる。
【0024】
本発明のシート状入浴剤の厚みは、200μm以下である。200μmを超えると、薄片状と呼べるものではなくなり、本発明で意図する遊戯性や視覚性を有するものでなくなってしまう。上記厚みは100μm以下であることが、作業性、経済性の点からもより好ましい。
【0025】
本発明のシート状入浴剤は、表面の一部又は全部をワックス成分によりコーティングしたものであることが好ましい。ワックス成分によってコーティングすると、ワックス成分が有する疎水性のためにワックス処理部分の溶解速度が遅くなり、より長時間初期の形状を維持することができる。また浴水において、溶解時の形態を制御することも成分できる。
上記ワックス成分としては、33〜42℃で融解するものが好ましい。33℃未満で融解するものであると、夏場にべたついて使用できないおそれがある。42℃を超えるものであると、溶解しなかったり、浴槽に残ったりするおそれがある。
【0026】
上記ワックス成分としては、例えば、上述したワックス類、セラック等の天然樹脂を挙げることができる。
上記ワックス成分のコーティング量としては、上記シート状入浴剤100質量%中、0.1〜15質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、均一にコーティングできないおそれがある。15質量%を超えると、充分な溶解ができないおそれがある。上記コーティング量は、1〜5質量%であることが経済的な側面からより好ましい。
【0027】
本発明のシート状入浴剤は、表面をエンボス加工したものであることが好ましい。表面をエンボス加工すると、水に入れたとき、表面の凹凸中に空気の層ができる。これにより、水に入れた際浴水に好適に浮遊することができる。また、保存時に互いに接着しあって塊になることを防止することもできる。エンボス加工の方法としては、特に限定されず、公知の方法を挙げることができる。
【0028】
本発明のシート状入浴剤の製造方法は、特に限定されず、例えば、上述の成分を混合した入浴剤配合物を攪拌機で均一に混和したのち、シート状に一定の厚みにて成形して、乾燥させることによって得る方法を挙げることができる。本発明のシート状入浴剤は、シート状に成形する際にエンボス加工をしても、後の工程でエンボス加工をしてもよい。また、本発明のシート状入浴剤は、乾燥させた後、上記シートの表面をワックス成分によりコーティングしてもよい。また、必要に応じてこれらを積層してもよい。上記乾燥は、70〜160℃、5〜30分間で行うとよい。
【0029】
本発明のシート状入浴剤は、シートの打ち抜き等の公知の方法によって任意の形状に成形することも容易であり、例えば、図1のように、花型に成形して中央部に穴を空けたものを浴槽に入れると、花びらの付け根の部分から花びらが解離して溶解していくといった、溶解の様子を見て楽しむことができる。なお、図1の模様は、エンボス加工の様子を表す。
【0030】
また、表面の一部のみを上記ワックス成分によって処理することにより、上記シート状入浴剤の溶解速度を調整し、溶解時の形態の変化を制御することもできる。例えば、図2のように、花型シートの花びらの根元部分以外の部分のみに成分を適用する方法がある。図2のシート状入浴剤は、最初に、ワックス成分を適用しなかった花びらの根元部分が溶解し、その後、湯による温度上昇によってワックス成分を適用した部分が溶解する。これにより、図3のように、花型が花びらになって溶解していくといった溶解の様子を楽しむことができる。
【0031】
本発明のシート状入浴剤は、他の固形状の入浴剤成分を併用して使用することもできる。本発明のシート状入浴剤と上記他の固形状の入浴剤成分とを同封していてもよい。このような入浴剤組成物もまた、本発明の一つである。
上記他の固形状の入浴剤成分としては、特に限定されず、例えば、無機塩類、ビタミン類、米胚芽油、米発酵エキス、グリチルリチン酸ジカリウム、チンピ末、人参末、センキュウ、ショウブ、トウキ、カミツレ等の有効成分を含有した、一般的に入浴剤として使用される成分からなるものを挙げることができる。上記他の固形状の入浴剤成分の形態としては、粉末、顆粒又は錠剤等が挙げられる。
上記本発明のシート状入浴剤と上記他の固形状の入浴剤成分は、アルミパウチ等による周知の包装方法により、同封するとよい。
【0032】
本発明のシート状入浴剤は、固形発泡入浴剤錠剤と一体化することもできる。例えば、固形発泡入浴剤錠剤を製造する際に、打錠面に本発明のシート状入浴剤を置き、打錠圧により打錠することで一体化することができる。上記一体化する場合、本発明のシート状入浴剤を1枚又は複数枚適用してもよいし、上記錠剤の片面又は両面に適用してもよい。このような入浴剤組成物もまた、本発明の一つである。
【0033】
本発明のシート状入浴剤は、水溶性高分子からなり、厚みが200μm以下という、これまでにない薄片状の形態を有するものである。更に、浴水に浮かべた際の遊戯性、視覚性に優れたものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明のシート状入浴剤は、上述した構成からなるため、浴水に好適に浮くことができ、かつ、遊戯性や視覚性において優れたものである。このため、浮遊型入浴剤として好適に適用される。また、公知の入浴剤と併用して使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
【0036】
(実施例1)
表1の各成分をA〜Dの処方で、80℃にて攪拌機を用いて均一に混合して入浴剤配合物を調製し、脱泡、熟成し、エンボス加工し、一定の厚みでシート状にして、図1の花型形状と図4のハート型形状に打ち抜いて、乾燥させて、厚み55μmのシート状入浴剤を得た(1−a)。その表面の全面を、入浴剤100質量%に対して10質量%のセラックアルコール溶液でコーティングして、厚み60μmのシート状入浴剤を得た(1−b)。得られたシート状入浴剤の水分含量は、Aは5.19質量%、B及びCは7.45質量%であった。
【0037】
【表1】

【0038】
(実施例2)
図2のように、花型形状シートの花びらの根元部分以外の部分のみを、セラック(前出)でコーティングした点以外は、実施例1と同様にしてシート状入浴剤を得た。
【0039】
(溶解性についての評価)
得られた上記入浴剤を、40℃の湯の表面に落下させた。実施例1のシート状入浴剤は、湯の表面上に形状を維持したままで浮かび、1−aは5〜15分、1−bは15〜30分程度の時間をかけてゆっくりと溶解した。また、実施例2のシート状入浴剤は、湯の表面上に浮かんだままで、花びらの根元部分が1〜2分程度で溶解した後、図3のような花びら状になり、その後5〜15分程度の時間をかけてゆっくりと溶解した。
【0040】
(実施例3)
実施例1によって得られたシート状入浴剤0.5gと、市販の粉末入浴剤25gとを混合し、アルミパウチ中に封入した。40℃、75%湿度で、6カ月保管後、開封し、200Lの浴槽中の40℃の湯中に上記混合物を入れた。粉末の入浴剤は、瞬時に均一に溶解し、シート状入浴剤は、湯の表面上に形状を維持したままで浮かび、5〜15分程度の時間をかけてゆっくりと溶解した。
【0041】
(実施例4)
実施例1のシート状入浴剤を図4のように3×3cm以下のハート型に打ち抜き、表2の成分からなる固形発泡入浴剤打錠を製造する際に、上記シート状入浴剤1枚を打錠面の上面に置き、打錠圧1.8tonにて直径60mmφに打錠した(図5)。また、同様にして、1×1cm以下のハート型シート状入浴剤4枚を打錠面の上面に置き、打錠したものを得た(図6)。
これらを40℃、湿度75%の環境で40℃の湯中に入れた。どちらも、固形発泡入浴剤は、シート状入浴剤と解離しながら均一に溶解し、シート状入浴剤は、湯の表面上に浮遊して5〜15分程度の時間をかけてゆっくりと溶解した。
【0042】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のシート状入浴剤は、浮遊型入浴剤として好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のシート状入浴剤の一例の概略図である。
【図2】本発明のシート状入浴剤の一例の概略図である。
【図3】本発明のシート状入浴剤の溶解の様子の一例を示した図である。
【図4】本発明のシート状入浴剤の一例の概略図である。
【図5】本発明のシート状入浴剤を固形発泡入浴剤に適用した一例の概略図である。
【図6】本発明のシート状入浴剤を固形発泡入浴剤に適用した一例の概略図である。
【符号の説明】
【0045】
1 エンボス加工部分
2 ワックス成分適用部分
3 ワックス成分非適用部分
4 シート状入浴剤
5 固形発泡入浴剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性高分子からなり、厚みが200μm以下であるシート状入浴剤。
【請求項2】
保湿剤、乳化剤、香料、色素、顔料及び流動化剤からなる群より選択される少なくとも1種を更に含有する請求項1記載のシート状入浴剤。
【請求項3】
表面の一部又は全部をワックス成分によりコーティングした請求項1又は2記載のシート状入浴剤。
【請求項4】
表面をエンボス加工したものである請求項1、2又は3記載のシート状入浴剤。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載のシート状入浴剤と固形状の入浴剤成分とを同封した入浴剤組成物。
【請求項6】
請求項1、2、3又は4記載のシート状入浴剤と固形発泡入浴剤錠剤とを一体化した入浴剤組成物。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−249028(P2006−249028A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70143(P2005−70143)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【出願人】(501280253)株式会社エヌアイコーポレーション (4)
【Fターム(参考)】