説明

シート状物の延伸機

【課題】
無端リンク装置を用いてシート状物を延伸する装置に用いられ延伸倍率を可変可能としたガイドレールにおいて、無端リンク装置のガイドローラの走行面の段差を極力少なくし高速化を図る。
【解決手段】
ガイドレール5,6に案内される無端リンク装置3を用いたシート状物の延伸機において、シート状物1を延伸する末広がり状の区間のガイドレール55,56に連結した可撓性レールジョイント51の屈曲部に複数のスリット52を設け、ガイドレールの屈曲部の折れ曲がり角度を調節可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物、例えば、熱可塑性樹脂フィルム等を延伸する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無端リンク装置を用いたシート状物の延伸機において、ガイドレールを可変にする方式として、例えば、特開平10−337773号公報に記載されているように、板バネを略円弧形状に湾曲させ直線形状部と円弧形状のレールを連続的に接続する方式が知られている。
【0003】
また、特開2004−122640号公報に記載されているように多関節ガイドレールを用いてレール角度を可変可能にしたものが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−337773号公報
【特許文献2】特開2004−122640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガイドレールを所定の間隔で2本設けて案内する方式のものにおいて、その曲り部に板バネを適用した場合、板バネの両端を固定してガイドレールに角度をつけたとき、2本の板バネの内,外側になる板バネと内側になる板バネとにおいて曲率半径の差から内側の板バネが外側の板バネよりも凸状に曲ってしまい、曲り部において所定の間隔を取れなくなるので、少なくともどちらかの板バネをスライドさせる必要がある。この場合、隙間が空く方向にスライドさせる必要があるが、隙間が生じるとガイドローラが走行するときに段差ができてリンク装置の走行安定性を阻害するとともに、リンク装置の短命化を招く恐れがある。
【0006】
また、多関節ガイドレールを用いた従来技術では、レール屈曲により関節部分において急激な角度変化が生じてしまい、滑らかなガイドロ−ラの走行を阻害する。多関節ガイドレールのブロックを小さくすればこの角度変化も小さくすることができるが、構造上、ブロックの大きさを小さくするにも限界があるため、関節部分でのブロックの折れ曲がりによる急激な角度変化を無くすことはできず、走行体の走行安定性を阻害するという問題がある。
【0007】
なお、これら従来技術においてもガイドローラの外径を大きくすれば、比較的mmオーダの段差が生じても実質的には支障が無いと考えられるが、延伸装置の高速化のためには、走行体の小型・軽量化が重要となり、ガイドローラの大径化はできない。また、加工精度(シート状物の延伸精度)が要求されるものにおいては、加工精度と同等のμmオーダの段差でなければ精度を維持することができなくなる。したがって、高い精度の延伸動作を可能にするためにも、走行体の走行安定性を阻害する段差を極力排除することが必要となる。
【0008】
本発明の目的は、リンク走行面の段差を極力少なくし、延伸倍率の可変を可能にするシート状物の延伸機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、ガイドレールに案内される無端リンク装置を用いたシート状物の延伸機において、シート状物を延伸する部分のガイドレールの屈曲部に切り込みを設け、ガイドレールの屈曲部の折れ曲がり角度を調節可能にすることにより、達成される。
【0010】
また、上記目的は、シート状物の端部を把持する複数の掴み装置をシート状物の両側端に具備した無端リンク装置を設け、該無端リンク装置は、折尺状に形成された複数個の等長リンク装置よりなり、入口側及び出口側のスプロケットにより駆動され、入口側スプロケットから送り出され進行方向に末広がり状に配置された案内用ガイドレールに案内されてシート状物を延伸させた後にシート状物を外し、出口側スプロケットを介して入口側スプロケットに戻るように構成されたシート状物の延伸機において、ガイドレールの屈曲部側面の長手方向に複数本の垂直方向のスリットを設けることにより、達成される。
【0011】
また、スリットはガイドレールの屈曲部両側面に設けられ、両側面のスリットを千鳥状に配置する。
【0012】
また、ガイドレールの長手方向に設けたスリットの最初と最後のスリットの切り込み長さをその他のスリットより短くする。
【0013】
また、最初と最後のスリットの切り込み長さをガイドレール幅の1/2未満とし、その他のスリットの切り込み長さをガイドレール幅の1/2以上とする。
【0014】
また、ガイドレールの屈曲部の凸側のスリット幅より屈曲部の凹側のスリット幅を大きくする。
【0015】
さらに、上記目的は、熱可塑性樹脂のシート状物の端部を把持する複数の掴み装置をシート状物の両側端に具備した無端リンク装置を設け、該無端リンク装置は、折尺状に形成された複数個の等長リンク装置よりなり、入口側及び出口側のスプロケットにより駆動され、入口側スプロケットから送り出され進行方向に末広がり状に配置された案内用ガイドレールに案内されてシート状物を延伸させた後にシート状物を外し、出口側スプロケットを介して入口側スプロケットに戻るように構成されたシート状物の延伸機において、末広がり状に配置された案内用ガイドレールの屈曲部を可動ガイドレールとし、該可動ガイドレールの屈曲位置に相当するレール側面の長手方向に垂直に千鳥状のスリットを複数配した可撓性レールジョイントを配置することにより、達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の延伸機は、簡便な構造でリンク走行用のガイドレールを可動させることができるため、リンク装置の走行安定性を向上させることができるとともに、リンク装置の延命化を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、ガイドレールに案内される無端リンク装置を用いたシート状物の延伸機において、ガイドレールの屈曲位置に相当するレール側面の片側または両側の長手方向に垂直に複数のスリットを配した可撓性レールジョイントを設け、レールの曲げを容易にしレールの曲げ角度を任意に調節できるようにしたものである。
【0018】
このようなガイドレールは、可撓性レールジョイントのスリットの幅を狭くすると共にレール長手方向に複数のスリットを設けることにより、可撓性レールジョイントのスリット配置部での剛性が小さくなりレールの曲げが容易になる。また、可撓性レールジョイントを曲げた場合の変位を各スリットに分散させることができ、各スリットでの変位を小さくできるので、無端リンク装置のガイドローラが通過する際の段差を極めて小さくでき、スムースな走行を可能とする。
【0019】
また、可撓性レールジョイントのスリットを千鳥状に配することにより、スリットを片側に配した可撓性レールジョイントに比べ、レール曲げ部での変位を凸部凹部の両側のスリットで吸収できるのでさらに各スリットでの変位量が少なくなり、さらにガイドローラのスムースな走行を可能とする。また、レールの曲げもさらに容易になる。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の一実施例を図1〜図3により説明する。
【0021】
図1は本発明の実施例である同時二軸延伸機の平面図であり、図2は図1に示す等長リンク31の断面図であり、図3はシート延伸部をガイドするガイドレールの可撓性レールジョイントの平面図であり、その構成および動作は以下の通りである。
【0022】
シート状物1の端部を把持する複数(多数)の掴み装置2をシート状物1の両側に具備した無端リンク装置3(図中リンクの一部並びに片側の無端リンクは省略)は、折尺状に形成された複数個(多数個)の等長リンク装置31より構成される。さらに、無端リンク装置3は、シート状物の入口側スプロケット4で駆動される。そして、入口に設けられた開閉ガイド等の開閉手段(図示せず)により掴み装置2が開閉されてシート状物1を掴み、予熱区間(図示せず)で延伸に必要な温度に加熱される。さらに、無端リンク装置3は、延伸区間において、進行方向に末広がり状に配置されたガイドレール5,6に案内されて掴みピッチP1からP2に徐々に拡大することにより、シート状物1を縦横二方向
(MD方向およびTD方向)に同時に延伸し、その後、熱処理区間において所定の温度で熱固定し、冷却区間で急冷し、出口に設けられた開閉ガイド等の開閉手段(図示せず)により掴み装置2を開閉してシート状物1を外し、外されたシート状物1はそのまま進行させることになる。さらに、無端リンク装置3は、出口側スプロケット7により駆動されて、入口側スプロケット4に戻るように構成される。
【0023】
なお、無端リンク装置3のリンク構成としては、特公平5−4896号公報に記載された無端リンク装置を参照することができる。
【0024】
案内用ガイドレール5,6は、図2に示すように凸状部材で構成され、シート状物側と反シート状物側との一対の組になっている。シート状物1に近い方のシート側ガイドレール5にはシート状物1を把持する掴み装置2が連結されたジョイント用リンク軸8が配置され、他方の反シート側ガイドレール6には掴み装置2を有さないジョイント用リンク軸9が配置される。リンク軸8とリンク軸9とはリンクプレート14及び15により連結される。リンク軸8,9の最下端には第1の転がり軸受である軸受ローラを有する軸受ホルダ10,11が連結され、軸受ホルダ10,11の両側、すなわち、軸受ホルダ10,
11のそれぞれの軸受ローラの外周部に一対の第2の転がり軸受である鍔付ラジアル軸受12[12a,12b],13[13a,13b]が取り付けられている。鍔付ラジアル軸受12,13は等長リンク装置31の動きを規制する案内用ガイドレール5,6の両側面を転動し、かつ、案内用ガイドレール5,6の上面と鍔付ラジアル軸受12,13の鍔の接触で等長リンク装置31の自重を保持するように配置されている。
【0025】
一方、シート状物を延伸するように案内するガイドレール5,6には、その屈曲部に図3に示す可撓性レールジョイントを配置する。図3は、シート状物の一辺側に配置されるガイドレール5,6において、合わせて4箇所設けられる可撓性レールジョイントの内のフィルム入口側のレールジョイント(図1のA部)の平面図を示したものである。図中、左側が予熱側(シート入口側)で、右側が延伸側に相当する。また、図3(a)は横方向(TD方向)の延伸倍率が1.0 の時のレール状態(すなわち、横延伸なし)を示し、図3(b)は横方向(TD方向)の延伸倍率がε倍(ε>1.0)のレール状態を示す。
【0026】
可撓性レールジョイント51は、レール両側面の中央部に複数のスリット52が千鳥状に施されたもので、可撓性レールジョイント51の予熱側端部は固定ベット50に固定され、延伸側端部は可動ベット55又は56に固定されて拘束される。なお、符号53は固定用のボルトである。
【0027】
固定ベット50と可動ベット55又は56は回動可能にピン結合されており、固定ベット50,可動ベット55及び56への可撓性レールジョイント51の取り付けは、ピン中央に可撓性レールジョイント51のスリット中央が位置するように配置される。可動ベット55,56が延伸方向(図面の下側)に所定量移動すると、図3(b)に示すように内側すなわちシート状物側(図面の上側)に凸状となり、外側すなわち反シート状物側(図面の下側)に凹状となる。なお、延伸部のシート出口側の可撓性レールジョイント51
(図1のB部)はこの逆の状態になる。
【0028】
スリット部は図5に示されるようにスリット幅b,スリット間の板厚(以下、「スリット板厚」と呼ぶ)tで構成され、スリット幅b,スリット板厚t及びスリット本数はフィルム延伸時のリンク抗力(ガイドレールがリンクにより受ける力)で決定される。可撓性レールジョイント寸法の一例としては、可撓性レールジョイント長さ:200mm,レール幅:25mm,スリット幅:0.3mm ,スリット板厚:4mm,スリット本数:24本,スリット深さ/端部:10mm,その他:20mmとしてあり、リンク効力が大きい場合にはスリット本数を増やしてスリット板厚を厚くしたりスリット深さを短くする等により対応することもできる。なお、スリット本数を多くすればレールの曲げが容易になるとともに、スリット幅を狭く設定できるので、より滑らかなガイドローラの走行が可能となる。このとき、スリットの形成は用いる加工機具にもよるが、曲げによる変位量及びスリット本数を考慮しスリット幅をできるだけ狭くすることが望ましい。
【0029】
スリットを用いた可撓性レールジョイントにおいては、例えば、図4に示すように入口フィルム幅をW1、出口フィルム幅をW2とすると、延伸部出口の移動量(H)はH≒L・sinθで近似できる。但し、L(延伸区間の長さ)はε(延伸倍率)=1.0の時の延伸部長さで、θは延伸角度である。従って、可撓性レールジョイント51の移動量hは同様に、h≒Le・sinθ で表される(Le:可撓性レールジョイント51の1/2の長さ)。
【0030】
ここで、W1=1000mm,W2=2000mm(ε=2.0) ,L=4780mm、θ≒
6°でLeが100mmとすると、可撓性レールジョイント51の移動量は約10.5mm となる。
【0031】
一方、可撓性レールジョイント51の凸側のスリット幅の拡大量、凹側のスリット幅の収縮量はスリット中央部のピン結合部を原点とすると、
x′=xcosθ+ysinθ
y′=ycosθ−xsinθ
で計算できる。
【0032】
つまり、可撓性レールジョイント51のa点座標が(x,y)=(100mm,12.5mm)で、θ≒6°変化すると、(x′,y′)=(100.76mm,1.98mm)となる。
【0033】
従って、凸側のスリット幅の拡大量および凹側のスリット幅の収縮量は、おおよそx座標分の差0.76mm となり、複数本のスリットを設けることにより各スリット幅はμmオーダの段差で屈曲部を構成することが可能となり、リンク装置の走行安定性に寄与し、リンク装置の延命化に効果がある。
【0034】
尚、可撓性レールジョイント51のスリット52の形状は、スリットの根元の応力集中の抑制するために図5に示すようにスリット52の両端、すなわち、スリット52の最初と最後のスリット52bの長さS2(切り込み深さ)を、その他のスリット52aの長さS1より短くすることが好ましい。より好ましくは、最初と最後のスリット52bの切り込み長さをガイドレール幅の1/2未満とし、その他のスリット52aの切り込み長さをガイドレール幅の1/2以上とする。
【0035】
また、好ましくは可撓性レールジョイント51の屈曲部の凸側のスリット幅及び屈曲部の凹側のスリット幅を拡大・収縮量を見込んだサイズとし、凸側のスリット幅より凹側のスリット幅を大きくする。
【0036】
また、可撓性レールジョイント51の材質は鋼材が使用できるが、好ましくはバネ鋼材や耐熱性のエンジニアプラスチックが良い。
【0037】
なお、本実施例では、スリットを千鳥状に配置したが、千鳥状の配置の仕方として、図6に示すように同方向のスリットを複数単位にして交互に配置しても良い。
【0038】
また、図7に示すように凹部側にまとめてスリットを配置してもガイドレールの角度調整を行うことができる。なお、この場合も、スリットの両端の切り込み深さを他のスリットよりも短くする。これによれば、凸部側は連続した面で形成でき、凹部側のスリット幅は狭くなる方向なので、より滑らかなガイドローラの走行を可能にする。なお、TD方向(横方向)延伸倍率が大きくリンク効力が大きい場合には、レールの反シート側の面にガイドローラが常に接触するので、図7とは逆に凸部側にまとめてスリットを配置した可撓性レールジョイント51を用意し、シート状物の入口側と出口側でスリットの向きを変えた可撓性レールジョイントを組合せて使用するのも良い。これによれば、常にスリットのない連続面でガイドロ−ラを支持できるので、ガイドローラのさらに滑らかな走行が可能となる。
【0039】
また、延伸角度のさらに大きなものが必要な場合(本実施例の6°以上)には、例えば、可撓性レールジョイントを複数配置したり、可撓性レールジョイントのスリット数を設計仕様範囲内で増加させることで対応が可能となる。
【0040】
なお、本実施例では、レール側面に直角方向のスリットを側面に対して直角方向に切込みを設けたものについて述べたが、スリットの切込みをレール側面に対して斜めに設けても良い。
【0041】
また、上述の実施例によれば、次の特徴を有する。
【0042】
(1)ガイドレールの屈曲部側面の長手方向に複数本の垂直方向のスリットを設けたことを特徴とする可撓性レールジョイント。
(2)(1)記載の可撓性レールジョイントにおいて、スリットはガイドレールの屈曲部両側面に設けられ、両側面のスリットを千鳥状に配置した可撓性レールジョイント。
(3)(2)記載の可撓性レールジョイントにおいて、ガイドレールの屈曲部の凸側のスリット幅より屈曲部の凹側のスリット幅を大きくした可撓性レールジョイント。
(4)(1)記載の可撓性レールジョイントにおいて、スリットはガイドレールの屈曲部の片側側面に設けられた可撓性レールジョイント。
(5)(4)記載の可撓性レールジョイントにおいて、ガイドレールの長手方向に直線部分となる所定の距離を置いて異なる位置の反対の片側側面に複数本の垂直方向のスリットを設けたことを特徴とする可撓性レールジョイント。
(6)(2)又は(4)記載の可撓性レールジョイントにおいて、ガイドレールの長手方向に設けたスリットの最初と最後のスリットの切り込み長さをその他のスリットより短くした可撓性レールジョイント。
(7)(6)記載の可撓性レールジョイントにおいて、最初と最後のスリットの切り込み長さをガイドレール幅の1/2未満とし、その他のスリットの切り込み長さをガイドレール幅の1/2以上とした可撓性レールジョイント。
【産業上の利用可能性】
【0043】
テンター方式のフィルム延伸装置全般に適用できる。また、比較的軽荷重のコロをガイドするレールの曲線レールに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例である同時二軸延伸機の平面図である。
【図2】本発明の図1の延伸機の等長リンクを示す断面図である。
【図3】本発明の図1のシート状物を延伸する部分に設けた可撓性レールジョイント部を示す平面図である。
【図4】本発明の図1の装置の延伸部における寸法を示す説明図である。
【図5】本発明の図3における可撓性レールジョイントの実施例を示す平面図である。
【図6】本発明の図5の可撓性レールジョイントの他の実施例を示す平面図である。
【図7】本発明の図5の可撓性レールジョイントのさらに他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1…シート状物、2…掴み装置、3…無端リンク装置、4…入口側スプロケット、5,6…ガイドレール、7…出口側スプロケット、8,9…ジョイント用リンク軸、10,
11…軸受ホルダ、12,13…鍔付ラジアル軸受、14,15…リンクプレート、31…等長リンク装置、50…固定ベット、51,51a,51b…可撓性レールジョイント、52,52a,52b…スリット、53…ボルト、55,56…可動ベット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールに沿って折尺状に形成された複数の等長リンク装置から成る無端リンク装置を駆動して、シート状物を延伸するシート状物の延伸機において、
前記シート状物を延伸する部分の前記ガイドレールの屈曲部に切り込みを設け、前記ガイドレールの屈曲部の折れ曲がり角度を調節可能にしたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項2】
シート状物の端部を把持する複数の掴み装置を前記シート状物の両側端に具備した無端リンク装置を設け、該無端リンク装置は、折尺状に形成された複数個の等長リンク装置よりなり、入口側及び出口側のスプロケットにより駆動され、前記入口側スプロケットから送り出され進行方向に末広がり状に配置された案内用ガイドレールに案内されてシート状物を延伸させた後にシート状物を外し、前記出口側スプロケットを介して前記入口側スプロケットに戻るように構成されたシート状物の延伸機において、
前記ガイドレールの屈曲部側面の長手方向に複数本の垂直方向のスリットを設けたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項3】
請求項2記載のシート状物の延伸機において、前記スリットは前記ガイドレールの屈曲部両側面に設けられ、両側面のスリットを千鳥状に配置したシート状物の延伸機。
【請求項4】
請求項3記載のシート状物の延伸機において、前記ガイドレールの長手方向に設けた前記スリットの最初と最後のスリットの切り込み長さをその他のスリットより短くしたシート状物の延伸機。
【請求項5】
請求項4記載のシート状物の延伸機において、前記最初と最後のスリットの切り込み長さを前記ガイドレール幅の1/2未満とし、その他のスリットの切り込み長さを前記ガイドレール幅の1/2以上としシート状物の延伸機。
【請求項6】
請求項3記載のシート状物の延伸機において、前記ガイドレールの屈曲部の凸側のスリット幅より屈曲部の凹側のスリット幅を大きくしたシート状物の延伸機。
【請求項7】
熱可塑性樹脂のシート状物の端部を把持する複数の掴み装置を前記シート状物の両側端に具備した無端リンク装置を設け、該無端リンク装置は、折尺状に形成された複数個の等長リンク装置よりなり、入口側及び出口側のスプロケットにより駆動され、前記入口側スプロケットから送り出され進行方向に末広がり状に配置された案内用ガイドレールに案内されてシート状物を延伸させた後にシート状物を外し、前記出口側スプロケットを介して前記入口側スプロケットに戻るように構成されたシート状物の延伸機において、
前記末広がり状に配置された案内用ガイドレールの屈曲部を可動ガイドレールとし、該可動ガイドレールの屈曲位置にレール側面の長手方向に垂直に千鳥状のスリットを複数配した可撓性レールジョイントを配置したことにことを特徴とするシート状物の延伸機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−198854(P2006−198854A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12225(P2005−12225)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】