説明

シート状食品の吐出装置

【課題】シート状の食品生地を製造するための吐出装置を提供する。
【解決手段】食品生地をシート状に吐出するためのシート状食品の吐出装置であって、スリット状の開口部51を備えたケーシング49内にロータリーバルブ55を回動可能に備え、このロータリーバルブ55におけるバルブ本体57の周面の一部に食品生地供給部から圧送される食品生地を受け入れるための受入れ開口部59を備えると共に、受入れた上記食品生地をスリット状の前記開口部51側へ導くための出口開口部61を前記バルブ本体57の周面に備え、前記出口開口部61は、前記バルブ本体57の軸心に平行な周面上の仮想基準位置から周方向の寸法が前記バルブ本体57の長手方向の中央部側よりも両端側が次第に短くなる湾曲縁を呈する開口縁61Aを備え、前記受入れ開口部59と出口開口部61との間に絞り部63を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏平状の食品生地を吐出する装置に関する。例えばメキシコの菓子パンとして知られているコンチャ(メロンパンのルーツと言われる菓子パン)などのように、パン生地等の第1の食品生地上に、偏平状(シート状)の上掛け生地,かぶせ生地等と称される第2の食品生地を乗せた菓子パンを製造するとき、上記第2の食品生地を吐出する吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パン生地などの食品生地をノズルからシート状の薄い生地として吐出する構成は、食品生地供給部から圧送される食品生地を、スリット状の開口部を通過させる構成である(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−151447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載の構成は、例えば半円形状の開口部を周面に備えたケーシング内に、スリット状の開口部を備えたロータリーバルブを回転可能に備えた構成である。上記構成によれば、ケーシングの開口部とロータリーバルブに備えたスリット状の開口部とが一致した部分からシート状の食品生地が吐出されるものであるから、ケーシングに対してロータリーバルブを適宜に回転することにより、例えば円形状や長円形状の食品生地を吐出することができ、食品生地の大きさを調節することができ望ましいものである。
【0004】
しかし、上記構成においては、食品生地供給部から圧送される食品生地を前記ロータリーバルブにおけるスリット状の開口部に直接的に導いて、スリット状の上記開口部から直接シート状に吐出するものであるから、吐出されたシート状の食品生地の内部応力が大きく、場合によっては吐出された後のシート状の食品生地の形状,寸法に変化を生じることがあり、シート状生地の内部応力をより小さくすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、食品生地をシート状に吐出するためのシート状食品の吐出装置であって、スリット状の開口部を備えたケーシング内にロータリーバルブを回動可能に備え、このロータリーバルブにおけるバルブ本体の周面の一部に食品生地供給部から圧送される食品生地を受け入れるための受入れ開口部を備えると共に、受入れた上記食品生地をスリット状の前記開口部側へ導くための出口開口部を前記バルブ本体の周面に備え、前記出口開口部は、前記バルブ本体の軸心に平行な周面上の仮想基準位置から周方向の寸法が前記バルブ本体の長手方向の中央部側よりも両端側が次第に短くなる湾曲縁を呈する開口縁又は台形形状の開口縁を備え、前記受入れ開口部と出口開口部との間に絞り部を備えていることを特徴とするものである。
【0006】
また、前記シート状食品生地の吐出装置において、前記ケーシングを、前記ロータリーバルブを内装した本体部分とスリット状の前記開口部を備えたノズル部分とに分割して備え、前記開口部のスリット幅の異なる複数のノズル部分を前記本体部分に着脱交換可能に備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、絞り部の下流側においては、絞り部を通過することによって食品生地の圧送による高圧力が解放されて圧力が緩和された状態においてシート状の食品生地が吐出されることとなる。したがって、シート状の食品生地内の内部応力を抑制することができ、前述したごとき従来の問題を解消することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、本発明に係る装置を、コンチャ(メロンパンの一種)を作る菓子パン製造ラインに適用した場合について説明する。
【0009】
図1,図2を参照するに、コンチャ(メロンパンの一種)などの菓子パンを製造するための菓子パン製造ライン1は、パン生地等の第1の食品生地を例えば球状や長い棒状(例えばコッペパンのように長円形の山形のパン状)などのように所望形状の芯生地に切断し、この芯生地上に偏平状(シート状)の上掛け生地,かぶせ生地等と称される第2の食品生地を乗せた状態の菓子パンを製造するための菓子パン製造装置3を一つのユニットU1として備えている。
【0010】
そして、上記菓子パン製造装置3の下流側には、前記菓子パンの上面を曲面形状に形成するための手段としての上面曲面成形装置5と、この上面曲面成形装置5によって上面を曲面形状に形成された菓子パン(菓子製品)を水平に移動して整形作用を行うための整形手段としての整形装置7と、上記整形装置7による整形作用を受けた後の菓子製品の上部に、メロンパン等のごとき網目の模様など適宜の溝状の模様を転写するための型押し手段としての型押し装置9とを組み合せて一つのユニットU2として備えている。
【0011】
したがって、上流側の第1のユニットU1の組立て調整と下流側の第2ユニットU2の組立て調整とを別個に行って、それぞれ工場に別個に搬送し、工場において両ユニットU1,U2を菓子パン製造ラインとして配置調整すれば良いものである。また、複数の装置を組合わせてユニット化してあることにより配置関係の高密度化を図ることができ、菓子パン製造ラインの全体的構成の小型化を図ることができる。
【0012】
前記菓子パン製造装置3は箱状のフレーム11を備えており、このフレーム11の上部には、パン生地などの第1の食品生地13(図3参照)を例えば球状などの所望形状の芯生地15に切断するための芯生地切断手段としての芯生地切断装置17を備えている。この芯生地切断装置17は、例えば特開2004−129524等において既に良く知られている包被切断装置における内包材又は外皮材の一方の吐出口を閉じた構成である。すなわち、芯生地切断装置17は、図3に示すように、包被切断装置において内包材を吐出する吐出口19を閉じた構成であって、その他の構成は、包被切断装置においてよく知られた構成である。
【0013】
前述したように、芯生地切断装置17の全体的構成は、包被切断装置において既に公知の構成であるので、概略的に示すと、図3,図4に示すごとき構成である。すなわち、芯生地切断装置17は、公知の包被切断装置と同様に、パン生地などの第1の食品生地を吐出する吐出口21へ送給するために、第1の食品生地を収容するホッパー23(図1参照)の下側には、食品生地供給部として一対のスクリュー25(図4参照)が回転自在に備えられている。このスクリュー25は、前記フレーム11に装着したモータM1(図示省略)によって回転されるものである。
【0014】
既に理解されるように、前記モータM1によってスクリュー25を回転すると、ホッパー23内の食品生地は前記吐出口21へ送給され、この吐出口21から断面円形の棒状に連続して下方向へ吐出されるものである。そして、上記棒状の食品生地は、包被切断装置において既に公知の上下動自在かつ開閉自在なシャッター装置27によって球状や長い棒状などの所望形状の芯生地15に切断されるものである。
【0015】
前記シャッター装置27の下方位置には、包被切断装置において既に知られているように、前記芯生地15を受けるために上下動自在かつ前記芯生地15を下流側(図3において左側)へ搬送自在な芯生地搬送手段としてのコンベヤベルト29が走行自在に備えられている。そして、前記吐出口21の下方位置には、前記コンベヤベルト29を上下動するための上下動部材31が備えられている。この上下動部材31は、包被切断装置において知られているように、前記シャッター装置27の上下動に連動して上下動されるものである。なお、前記コンベヤベルト29は、モータM2(図示省略)によって定速で回転走行されているものである。
【0016】
前記フレーム11の上部で前記芯生地切断装置17に隣接した位置には、前記コンベヤベルト29によって下流側へ搬送された前記芯生地15の上部に例えばビスケット生地などの第2の食品生地としての偏平状(シート状)の上掛け生地を乗せるための上掛け生地供給装置33が備えられている。この上掛け生地供給装置33は、第2の食品生地34を収容するホッパー35(図1参照)の下部に、食品生地供給部として前記芯生地切断装置17と同様に一対のスクリュー37(図4参照)を備えている。そして、前記スクリュー37によって送られた食品生地の出口39に近接した位置には、一方のスクリュー37に連動連結したベーンポンプ41が備えられている。なお、前記スクリュー37は、前記モータM2とは別個のモータM3(図示省略)によって回転されるものである。
【0017】
前記出口39には導管43の一端側が接続してあり、この導管43の他端側には、前記食品供給部から圧送された第2の食品生地34を偏平状(シート状)に形成して吐出するためのシート状食品生地の吐出装置45が接続してある。
【0018】
上記シート状食品生地の吐出装置45は、前記導管43に連通した入口47を形成した筒状のケーシング49を備えている。このケーシング49は、前記入口47を備えた上側の本体部分49Aと、長手方向のスリット状の開口部51を備えた下側のノズル部分49Bとに分割してあり、ノズル部分49Bは、ボルト等のごとき締結具(図示省略)を介して前記本体部分49Aに着脱交換可能に備えられている。したがって、ノズル部分49Bを交換することにより前記開口部51のスリット幅を種々の寸法に変更可能であり、この開口部51から吐出されるシート状食品生地(上掛け生地)53(図3参照)の厚さを種々変更することができるものである。
【0019】
なお、前記上掛け生地53の厚さを変更する必要がない場合には、前記本体部分49Aとノズル部分49Bとを予め一体化した構成とすることも可能である。
【0020】
前記吐出装置45における前記ケーシング49内には、モータM4(図4参照)によって回動されるロータリーバルブ55が回動自在に内装されている。上記ロータリーバルブ55におけるバルブ本体57の周面の上部側には、前記入口47と常に連通状態にあって前記スクリュー37,ベーンポンプ41等からなる食品生地供給部から圧送される第2の食品生地34を受け入れるための受入れ開口部59が形成されている。
【0021】
そして、前記バルブ本体57の下部側には、受入れた食品生地をスリット状の前記開口部51側へ導くための出口開口部61が形成されてあり、前記受入れ開口部59と前記出口開口部61との間には絞り部63が形成してある。前記バルブ本体57の周面における前記出口開口部61の周縁の形状はほぼ半円形状に形成してある。より詳細には、前記出口開口部61において湾曲縁を呈する開口縁61Aは、図5に示すように、バルブ本体57の軸心に平行な周面上の仮想基準位置から前記開口縁61Aに至る周方向の寸法が、バルブ本体57の長手方向の中央部側よりも両端側が次第に短くなる湾曲縁を呈する形状に形成してある。
【0022】
なお、上記開口縁61Aの形状としては、前述したごとき湾曲縁を呈する形状に限ることなく、例えば台形形状とすることも可能である。この場合、台形の角部を円弧状の曲縁にすることや、台形の直線部分を凸状の曲縁にするなど適宜の変形形態とすることも可能である。
【0023】
上記構成により、前記スクリュー37,ベーンポンプ41などの食品生地供給部から吐出装置45へ第2の食品生地34を圧送すると、ロータリーバルブ55の受入れ開口部59,絞り部63から出口開口部61を経てスリット状の開口部51からシート状(偏平状)の食品生地(上掛け生地)53として吐出される。したがって、コンベヤベルト29によって搬送される前記芯生地15が前記吐出装置45の下部に至るタイミングを図り、ロータリーバルブ55を回動してシート状生地53の吐出開始,吐出停止を行うことにより、前記芯生地15に対して適宜大きさのシート状生地(上掛け生地)53を乗せることができるものである。すなわち芯生地15上に上掛け生地53を乗せただけの菓子パンが製造されることになる。
【0024】
したがって、後工程として前記菓子パンの上面が曲面を呈する形状に形成する工程を手作業で行う場合、芯生地15に上掛け生地53を手作業で乗せる工程を省略でき、手作業による少量生産に容易に対応し得るものである。
【0025】
ところで、前記ケーシング49のスリット状の前記開口部51に対してロータリーバルブ55を相対的に正回転し、図6(a)に示すように、ロータリーバルブ55における出口開口部61の開口縁61Aが前記開口部51を横切るように交差を開始すると、前記開口部51からシート状食品生地53の吐出が開始されるものである。そして、前記ロータリーバルブ55の正回転が次第に進行し、図6(b),(c)に示すように、前記開口縁61Aが開口部51と交差する位置の間隔が次第に大きくなると、開口部51から吐出されるシート状食品生地53の幅寸法は次第に大きくなるものである。
【0026】
したがって、開口部51に対する開口縁61Aの交差位置の間隔が次第に増大するようにロータリーバルブ55を正回転した後、前記交差位置の間隔が次第に減少するようにロータリーバルブ55を逆回転することにより、開口部51から吐出されるシート状食品生地53の形状を、例えば円形形状に形成することができるものである。また、ロータリーバルブ55を正回転から逆回転に移るとき、ロータリーバルブ55を一時的に停止状態に保持することにより、シート状食品生地53を芯生地15の形状に対応して長円形状や楕円形状に形成することが可能であり、かつロータリーバルブ55の正回転範囲を適宜に制御することにより、シート状食品生地53の幅寸法を種々変更することができるものである。すなわち、前記芯生地15の形状,大小に対応して上掛け生地53の大小を調節することができるものである。
【0027】
前述のごとく、スリット状の開口部51とロータリーバルブ55における出口開口部61の開口縁61Aとが交差することによって前記開口部51からシート状食品生地53を吐出するとき、前記スクリュー37,ベーンポンプ41等からなる食品生地供給部から圧送された食品生地は、ロータリーバルブ55に絞り部63が形成されていることにより、この絞り部63より上流側の受入れ開口部59内の食品生地は高圧状態にある。そして、絞り部63を通過して出口開口部61に至った食品生地は、絞り部63を通過して圧力を解放した状態にあるので、前記受入れ開口部59内の食品生地よりも低圧に保持されている。
【0028】
すなわち前記開口部51から吐出されるシート状の食品生地53は、絞り部63を通過して圧力が解放された低圧に保持されて吐出されるものであるから、食品生地供給部から圧送された状態のまま開口部51から直接吐出される場合に比較して内部応力が小さく、開口部51から吐出された後に内部応力に起因する形状変化などを抑制することができるものである。
【0029】
上述のように、開口部51から第2の食品生地34をシート状に吐出するとき、ロータリーバルブ55における受入れ開口部59内の圧力よりも出口開口部61内の圧力が低圧に保持されるものの、前記ロータリーバルブ55によって前記開口部51を閉じた状態にあるとき、食品生地供給部から食品生地を予め圧送すると、出口開口部61内の食品生地も高圧状態となる。したがって、この高圧状態時にロータリーバルブ55を回転して開口部51の開動作を開始すると、開口部51から食品生地が急激に吐出されることとなり望ましいものではない。
【0030】
そこで、本実施形態においては、出口開口部61内の食品生地が必要以上に圧力上昇することを防止するために、制御装置65(図1参照)の制御の下に、前記スクリュー37,ベーンポンプ41等からなる食品生地供給部の供給開始と、ロータリーバルブ55の正回転による開口部51の開動作は同時的に行われるものである。そして、前記ロータリーバルブ55の逆回転による前記開口部51の閉動作と前記食品生地供給部の供給停止も同時的に行われるものである。
【0031】
したがって、開口部51から吐出されるシート状食品生地53の内部応力を抑制できると共に、開口部51からの第2の食品生地34の急激な吐出を抑制でき、シート状食品生地53の吐出を安定して行うことができるものである。
【0032】
なお、前記菓子パン製造装置3における芯生地切断装置17の切断動作,コンベヤベルト29の上下動作,コンベヤベルト29の搬送動作に関連しての上掛け生地供給装置33におけるシート生地供給動作の関連動作は、動作制御手段としての前記制御装置65によって、それぞれに対応したモータの回転を制御することにより制御されているものである。すなわち、前記関連動作の制御としては、例えば芯生地15を所定時間毎に切断することによって所定時間毎にシート状食品生地53の吐出装置45に至る芯生地15に対してシート状食品生地53を乗せるためにモータM4によってロータリーバルブ55におけるバルブ本体57の正回転を開始するタイミング及びスクリュー37を同時に回転を開始するタイミング、並びに前記芯生地15に被覆するシート状食品生地53の大きさを調節するために前記バルブ本体57の正回転,逆回転時の回転速度及び回転角度、バルブ本体57の逆回転開始タイミング、バルブ本体57の正回転から逆回転に変化する際の停止時間、前記シート状食品生地53の吐出終了時のモータM4及び前記スクリュー37の停止タイミングなどの関連動作である。すなわち芯食品生地15に対してシート状食品生地53を被覆するに必要な関連動作である。
【0033】
前記菓子パン製造装置3において、前記吐出装置45の下流側には、散粉器67が着脱可能に備えられている。この散粉器67は、前述したように、芯生地15上にシート状食品生地53を乗せた状態の菓子パン上に小麦粉などの打粉やグラニュー糖の散粉を行うもので、この種の散粉器67は公知であり、また場合によっては省略することも可能であるから、散粉器67についての詳細な説明は省略する。上記散粉器67の下側において前記コンベヤベルト29の下流端側のコンベヤベルト29Aは、コンベヤプレートを介して水平状態から下方向へ折り畳み可能に設けられている。
【0034】
前記第2のユニットU2は、箱状のフレーム69を備えており、このフレーム69上には、前記上面曲面成形装置5,整形装置7及び型押し装置9が上流側(図1において右側)から下流側(図1において左側)へ順次装着してある。そして、前記上面曲面成形装置5に対応してフレーム69に備えたコンベヤベルト71Aと、前記整形装置7に対応して備えたコンベヤベルト71Bと、前記型押し装置9に対応して備えたコンベヤベルト71Cはそれぞれ個別のモータによって回転されて個別に回転走行自在に設けてある。
【0035】
前記上面曲面成形装置5は、図7に示すように、芯生地15上にシート状生地53を乗せた状態の菓子パン73の上面を曲面形状に成形するもので、前記フレーム69上に装着する架台75を備えている。この架台75には、当該架台75に装着したモータM5の出力軸に備えた駆動ギア77Aに中間ギヤ77Bを介して連動連結したギア77Cが回転自在に支持されており、このギア77Cの軸心部には回転軸79が上下動自在に備えられている。
【0036】
上記回転軸79は、例えば滑りキー等を介してギア77Cと一体に回転するが、ギア77Cに対して相対的に上下動自在な構成であって、この回転軸79の上端部は、エアーシリンダなどのごとき上下動用アクチュエータ81に上下動自在に備えたピストンロッドなどのごとき上下作動杆83と回転継手85を介して相対的に回転自在に連結してある。なお、前記上下動用アクチュエータ81はブラケット87を介して前記架台75上に装着してある。
【0037】
そして、前記回転軸79の下端部には、前記菓子パン73の上面を半球面形状に形成するために、断面円形状の凹部89Cを備えた円筒形状の成形カップ89が一体的に取付けてあり、この成形カップ89の下側に開口した開口部89Aには、伸縮自在かつ非粘着性の編織生地91がOリングなどのごとき止め具92によって着脱可能に張設してある。上記編織生地91は、伸縮自在なポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)にフッソ加工糸を巻きつけた構成の繊維の編物の生地又は織物の生地であって、伸縮性,食品の非粘着性,低摩擦性に優れているものである。
【0038】
上記構成により、前記菓子パン製造装置3から上面曲面成形装置5のコンベヤベルト71A上へ菓子パン73が搬入され、この菓子パン73が前記成形カップ89の下方位置に位置決めされると、モータM5によって成形カップ89が回転されると共に、上下動用アクチュエータ81の作動によって下降される。したがって、成形カップ89の開口部89Aに張設した編織生地91が回転しつつ菓子パン73に押圧され、芯生地15に対するシート状食品生地53の密着性が図られる。また、前記編織生地91が伸びて、図7に点線で示すように次第に湾曲することにより、菓子パン73が半球状に形成されることになる。この際、前記編織生地91が伸縮自在かつ非粘着性で低摩擦性に優れているので、菓子パン73が前記編織生地91に粘着するようなことがなく、表面が平滑で良好な半球形状に形成することができるものである。
【0039】
ところで、前記菓子パン73が前述したように長い棒状である場合には、前記上面曲面成形装置5における回転軸79は回転不要であり、かつ前記成形カップ89に備えた凹部の開口部89Aの形状を、菓子パン73の形状に対応した長円形状又は長方形状に形成し、この開口部89Aに前記編織生地91を張設した構成とすればよいものである。そして、前記成形カップ89を下降して前記編織生地91を上側から菓子パン73に押圧すると、編織生地91が伸びて湾曲し、菓子パン73の上面は曲面に形成されるものである。
【0040】
なお、上記構成において、前記成形カップ89を前記回転軸79に対して偏心回動可能に備えた構成として、回転軸79の回転時に、前記成形カップ89の方向性を一定に保持して僅かに偏心回動する構成とすることが望ましい。このような構成とすることにより、菓子パン73と編織生地91との間に僅かな滑りを生じて、菓子パン73の表面をより円滑な表面に仕上げることができるものである。
【0041】
前記整形装置7は、図2に示すように、コンベヤベルト71Bによる菓子パンの搬送方向と平行に延伸したガイドプレート93を、コンベヤベルト71Bの幅方向へ位置調整可能に備えている。そして、このガイドプレート93に対向した位置には、上記ガイドプレート93との間に菓子パン73を挟み込んで下流方向へ転動移動するためのベルト95が備えられている。
【0042】
上記構成により、コンベヤベルト71B上に搬入された菓子パン73を、前記ガイドプレート93とベルト95によって水平方向から軽く挟み込み、モータM6によってベルト95を、図2において反時計回り方向に走行回転すると、菓子パン73はガイドプレート93に対して相対的に転動して下流側へ移動する。このように、垂直軸心回りに回転するように転動するとき、芯生地15に対してシート状生地53が密着され、かつ菓子パン73の周面は整形作用を受けることとなり、周面に乱れのないように仕上げ整形される。
【0043】
ところで、上記整形装置7の構成として、菓子パン73が半球形状の場合について説明したが、菓子パン73が前述したように長い棒状である場合には、前記ガイドプレート93に代えて、前記ベルト95と対称的に(対向配置的に)別個のベルトを配置した構成とし、このベルト95と別個のベルトによって菓子パン73を軽く挟み込んで下流側へ搬送することによって芯生地15に対してシート状生地53を密着し形状を整えるものである。なお、ベルト95と別個のベルトとを対向配置した構成に代えて一対の竪ローラを配置した構成とすることも可能である。
【0044】
前記整形装置7において整形作用を受けた菓子パン73は、次に型押し装置9に搬入されて、上部に溝状の適宜の模様が形成されることになる。より詳細には、図8に示すように、前記型押し装置9は前記フレーム69に装着する架台97を備えており、この架台97には、エアーシリンダなどのごとき上下動用アクチュエータ99が装着してある。そして、上下動用アクチュエータ99に上下動自在に備えたピストンロッドなどのごとき上下作動杆99Pの下端部には、型101が備えられている。
【0045】
より詳細には、前記上下作動杆99Pの下端部に水平に一体的に取付けた支持プレート103の下面中央部には、例えば玉継手などのごとき適宜の自在継手105を介して有底筒体のごときハウジング107が揺動自在に支持されている。そして、前記自在継手105の周囲で前記支持プレート103とハウジング107の上面との間の複数ヶ所(本例では4ヶ所)には、付勢手段として例えば圧縮スプリングなどのごとき弾性部材109が弾装してあり、各弾性部材109による下方向への付勢力が均衡して前記ハウジング107は基本姿勢となる水平に保持されている。
【0046】
前記ハウジング107内に前記型101が着脱交換可能に取付けてある。この型101の下面には、前記菓子パン73の上部に、例えばコンチャの上部の模様のように貝殻模様やメロンパンの上部の模様のように、溝が交差した模様など適宜の模様を転写するための凹凸部を形成した型面111が形成してある。そして、前記型101の上部にはエアー供給手段(図示省略)から供給されたエアーを貯えるエアーチャンバ113が形成してあり、このエアーチャンバ113には、前記型面111に開口した小径で複数のエアー噴射孔115が連通してある。
【0047】
上記構成により、前記整形装置7から型押し装置9のコンベヤベルト71C上に搬入され、前記型101の下方位置に菓子パン73が位置決めされると、上下動用アクチュエータ99の作動によってハウジング107が下降され、型101の型面111が菓子パン73の上部に押圧される。したがって、前記型面111の模様が菓子パン73の上部に転写されることになる。
【0048】
この際、前記ハウジング107は揺動自在に支持されており、かつ複数の弾性部材109を介して下方向へ押圧付勢された状態に支持されているので、前記菓子パン73の軸心とハウジング107の軸心とが多少ずれているような場合であっても、何等の問題を生じることなく型面111の転写を行うことができるものである。
【0049】
そして、前記ハウジング107を上昇するときには、エアー供給手段から前記エアーチャンバ113内にエアーを供給し、複数箇所のエアー噴射孔115から型面111に対してエアーを噴出するので、前記型面111と前記菓子パン73の上面との間に空気層が形成されることとなり、型面111からの菓子パン73の剥離を容易に行い得るものである。
【0050】
以上のごとき説明より理解されるように、上流側のユニットU1のみを利用して菓子パン73の丸め作業、整形作業を手作業で行うことも可能であるから、芯生地15上にシート状生地53を被覆した菓子パンの少量生産にも容易に対応し得ると共に、上流側のユニットU1と下流側のユニットU2を組合せて菓子パンとしてのメロンパンを製造するライン構成とすることもできる。したがって、菓子パンの製造に当たっての汎用性が向上するものである。
【0051】
また、芯生地15に被覆するシート状生地53の内部応力を少なくすることができ、シート状生地53の均一化を図ることができるものである。
【0052】
また上面曲面成形装置5においては、伸縮自在で非粘着性の編織生地91を使用しているので、菓子パン73の上面を曲面形状に成形した後は、編織生地91が元の平面の状態に復帰するとき、編織生地91と菓子パン73との剥離が効果的に行われるものであり、生産性の向上を図ることができるものである。
【0053】
同様に、型押し装置9においては型101の型面111と菓子パン73との間に空気層を形成して型面111からの菓子パン73の剥離(分離)が効果的に行われるので、生産性の向上を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】菓子パン製造ラインの正面説明図である。
【図2】菓子パン製造ラインの平面説明図である。
【図3】菓子パン製造装置の主要部を示す正断面説明図である。
【図4】菓子パン製造装置の主要部を示す平断面説明図である。
【図5】シート状食品生地吐出装置におけるロータリーバルブ部の構成を示す説明図である。
【図6】シート状食品生地を吐出する作用の説明図である。
【図7】上面曲面成形装置の断面説明図である。
【図8】型押し装置の断面説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 菓子パン製造ライン
3 菓子パン製造装置
5 上面曲面成形装置
7 整形装置
9 型押し装置
15 芯生地
17 芯生地切断装置
23,35 ホッパー
25,37 スクリュー
27 シャッター装置
29 コンベヤベルト(芯生地搬送手段)
33 上掛け生地供給装置
45 シート状食品生地の吐出装置
49 ケーシング
49A 本体部分
49B ノズル部分
51 開口部
53 シート状食品生地(上掛け生地)
55 ロータリーバルブ
57 バルブ本体
59 受入れ開口部
61 出口開口部
61A 開口縁
63 絞り部
71,71A,71B,71C コンベヤベルト
73 菓子パン
79 回転軸
81,99 上下動用アクチュエータ
83 上下作動杆
89 成形カップ
89A 開口部
89C 凹部
91 編織生地
93 ガイドプレート
95 ベルト
101 型
103 支持プレート
105 自在継手
107 ハウジング
109 弾性部材
111 型面
113 エアーチャンバ
115 エアー噴射孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品生地をシート状に吐出するためのシート状食品の吐出装置であって、スリット状の開口部を備えたケーシング内にロータリーバルブを回動可能に備え、このロータリーバルブにおけるバルブ本体の周面の一部に食品生地供給部から圧送される食品生地を受け入れるための受入れ開口部を備えると共に、受入れた上記食品生地をスリット状の前記開口部側へ導くための出口開口部を前記バルブ本体の周面に備え、前記出口開口部は、前記バルブ本体の軸心に平行な周面上の仮想基準位置から周方向の寸法が前記バルブ本体の長手方向の中央部側よりも両端側が次第に短くなる湾曲縁を呈する開口縁又は台形形状の開口縁を備え、前記受入れ開口部と出口開口部との間に絞り部を備えていることを特徴とするシート状食品生地の吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート状食品生地の吐出装置において、前記ケーシングを、前記ロータリーバルブを内装した本体部分とスリット状の前記開口部を備えたノズル部分とに分割して備え、前記開口部のスリット幅の異なる複数のノズル部分を前記本体部分に着脱交換可能に備えていることを特徴とするシート状食品生地の吐出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−89621(P2009−89621A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261378(P2007−261378)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】