説明

シート積載装置

【課題】 積載トレイに積載されたシートにカールが生じている場合に、整合部材がシートに当接せずに整合できなくなることを簡易な構成で防止する。
【解決手段】 積載トレイ701にシートを積載しながら整合中に、積載されるシートが増えるに応じて積載トレイ701を下降させ、積載トレイ701が所定量位置に下降すると、整合板711を下降させて、整合を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出されるシートを整合する機能を有するシート積載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置から受け取ったシートを、排紙トレイ上に排出したのちに、排出方向に直交する方向に対して、排紙トレイ上に設けられた整合部材で整合処理を行うシート後処理装置(フィニッシャ)が提案されている。排紙トレイ上に設けられた整合部材で整合処理を行うことによって、シートが排紙トレイ上に乱れなく積載される。このような整合処理は「ニートスタック」と呼ばれている。
【0003】
画像形成装置はシート上に形成されたトナー像を熱によってシートに定着させる。そのため、画像形成装置からフィニッシャに受け渡されるシートは、定着のために加えられた熱の作用によって、排紙トレイ上で反り返る(カールする)特性がある。
【0004】
図14は、積載トレイに積載されたシートの様子を示している。図14(a)では、排紙トレイ731上に積載されているシート束にカールが生じていない。排紙トレイ731は、紙面検知センサ732がシートを検知しなくなる位置に制御されるため、積載されたシート束の最上面のシートの位置はほぼ紙面検知センサ732の高さに維持される。
【0005】
一方、図14(b)では、排紙トレイ731上に積載されているシート束にカールが生じている。排紙トレイ731は、紙面検知センサ732の信号に基づいてシートの後端側が排出口をふさがない位置まで下げられる。そのため、図14(b)に示すように、シートにカールが生じているとカールが生じていないシート束が積載されている場合に比べて、排紙トレイ731の位置は下がる。そのため、シートのカールの強さによっては、整合部材730をシート搬送方向に直交する幅方向へ移動させても、整合部材730が積載されたシートPの側端に接触せず、空振りしてしまい、整合できない惧れがある。
【0006】
そこで、特許文献1においては、シート積載方向の整合部材730がシートに接触する位置で、積載されているシートの最上面の位置を検知する検知機構を設け、紙面検知センサ732とは別に設けている。そして、その検知機構で検知されるシートの位置に基づいて、整合部材の上下方向の位置が調整される。そのため、カールの強いシートが積載されている場合は、カールの無いシートが積載されている場合に比べ、整合部材が下がるように制御されるため、整合動作維持に整合部材の空振りが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】公開2009−62149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1では、整合部材がシートに接触する位置でのシート面の位置を検知するための専用の検知機構が必要となり、構成が複雑になるとともにコストアップとなる。
【0009】
そこで、本発明では、カールしているシート束に対しても、コストアップを招くことなく、整合部材の空振りを防止できるシート積載装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のシート積載装置は、シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されるシートを排出する排出手段と、前記排出手段により排出されるシートが積載される積載トレイと、前記積載トレイに積載されるシートの側端に当接してシートを整合する整合手段と、前記積載トレイに積載されるシートの上面の位置を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記積載トレイに積載されるシートの上面の位置と前記排出手段の排出口との距離が所定の距離となるように、前記積載トレイを移動させる第1の移動手段と、前記積載トレイの移動方向に前記整合手段の位置を移動させる第2の移動手段と、前記第2の移動手段により前記整合手段が第1の位置で整合を行っている場合、前記第1の移動手段により前記積載トレイが所定位置に下降すると、前記第2の移動手段により前記整合手段を第2の位置に下降させて整合を行わせる制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、積載されるシートの量に応じて整合部材の位置を下げることにより、専用の検知機構を設けることなく、カールしたシートに対する整合部材の空振りを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成システムの断面図
【図2】フィニッシャの断面図
【図3】画像形成システムの電気的な構成を示すブロック図
【図4】フィニッシャの整合部を説明する図
【図5】フィニッシャの電気的な構成を示すブロック図
【図6】フィニッシャの整合動作を示すフローチャート
【図7】整合部材の幅方向の駆動制御を示すフローチャート
【図8】幅方向の整合部材の動作を説明する図
【図9】幅方向の整合部材の動作を説明する図
【図10】整合部材の上下方向の駆動制御を示すフローチャート
【図11】積載トレイの紙面検知制御を示すフローチャート
【図12】整合部材の上下方向の動作を説明する図
【図13】整合位置変更時の整合部材とシート束との状態を説明する図
【図14】従来の技術における課題を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの主要部の縦断面構造を示す構成図である。画像形成システムは、画像形成装置10とシート積載装置としてのフィニッシャ500から構成されている。画像形成装置10は、原稿から画像を読み取るイメージリーダ200及び読み取った画像をシート上に形成するプリンタ350を備えている。
【0015】
原稿給送装置100は、原稿トレイ101上に上向きにセットされた原稿を先頭頁から順に1枚ずつ給紙し、プラテンガラス102上の所定の取り位置を経て搬送し、その後、排紙トレイ112へ排出する。このときスキャナユニット104は所定の読取位置に固定されている。原稿が読み取り位置を通過するときに、原稿画像がスキャナユニット104により読み取られる。原稿が読み取り位置を通過する際に、原稿がスキャナユニット104のランプ103の光で照射され、原稿からの反射光がミラー105、106、107を介してレンズ108に導かれる。このレンズ108を通過した光は、イメージセンサ109の撮像面に結像され、画像データに変換されて出力される。イメージセンサ109から出力された画像データは、プリンタ350の露光部110にビデオ信号として入力される。
【0016】
プリンタ350の露光部110は、イメージリーダ200から入力されたビデオ信号に基づきレーザ光を変調して出力する。レーザ光は、ポリゴンミラー110aにより走査されながら感光ドラム111上に照射される。感光ドラム111には走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。この感光ドラム111上の静電潜像は、現像器113から供給される現像剤によって現像剤像として可視像化される。
【0017】
プリンタ350内に装備されている上カセット114或いは下カセット115からピックアップローラ127、128により給紙されたシートは、給紙ローラ129、給紙ローラ130によりレジストローラ126まで搬送される。シートの先端がレジストローラ126まで達したところで、レジストローラ126が所定のタイミングで駆動され、シートを感光ドラム111と転写部116との間に搬送する。感光ドラム111に形成された現像剤像は、給紙されたシート上に転写部116により転写される。現像剤像が転写されたシートは、定着部117に搬送され、定着部117は、シートを加熱及び加圧することによって現像剤像をシート上に定着させる。定着部117を通過したシートは、フラッパ121及び排出ローラ118を経てプリンタ350から画像形成装置外部(フィニッシャ500)に向けて排出される。シートの両面に画像形成を行う場合には、シートは反転パス122を介して両面搬送パス124へ搬送され、再度レジストローラ126へ搬送される。
【0018】
次に、フィニッシャ500の構成について図2を参照しながら説明する。図2は図1のフィニッシャ500の構成図である。図2(a)はフィニッシャ500を正面からみた図であり、図2(b)はフィニッシャ500を有する積載トレイ701をシート排出方向側からみた図である。
【0019】
フィニッシャ500は、画像形成装置10から排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、束ねたシート束の後端をステイプルで綴じるステイプル処理などの各シート後処理を行う。フィニッシャ500は、画像形成装置10から排出されたシートを搬送ローラ対511により搬送パス520に取り込む。搬送ローラ対511により内部に取り込まれたシートは、搬送ローラ対512,513,514を介して搬送される。搬送パス520上には、搬送センサ570,571,572,573が設けられており、それぞれシートの通過を検出している。搬送ローラ対512は、搬送パスセンサ571とともにシフトユニット580に備え付けられている。シフトユニット580は、後述するシフトモータM11により、搬送方向に直交するシート幅方向へシートを移動させることが可能である。搬送ローラ対512がシートを挟持している状態で、シフトモータM11を駆動することにより、搬送しながら、シートを幅方向にオフセットすることができる。シフトソートモードでは、部ごとにシート束の位置が幅方向へずらされる。オフセット量としては、幅方向の中心位置に対して手前側に15mm(手前シフト)、或いは奥側に15mm(奥シフト)である。シフト指定がない場合は、シートは手前シフトと同じ位置に排出される。フィニッシャ500は、搬送センサ571の入力によりシートがシフトユニット580を通過したことを検知すると、シフトモータM11を駆動させて、シフトユニット580をセンター位置へと戻す。
【0020】
搬送ローラ対513と搬送ローラ対514の間には、搬送ローラ対514によって反転搬送されるシートをバッファパス523に導く切替フラッパ540が配置されている。切替フラッパ540は不図示のソレノイドにより駆動される。バッファパス523には、バッファパスローラ対519が配置されている。搬送ローラ対514と上排紙ローラ対515の間には、搬送先を上排紙パス521と下排紙パス522の何れかに切り替える切替フラッパ541が配置されている。切替フラッパ541が上排紙パス521側に切り替わると、搬送モータM1により駆動される搬送ローラ対514により、シートは上排紙パス521へと導かれる。そして、シートは排紙モータM2により駆動される上排紙ローラ対515により上排紙トレイ701へと排出される。上排紙パス521上には上トレイ排紙センサ574が設けられており、シートの通過を検出している。切替フラッパ541が下排紙パス522側に切り替わると、搬送モータM1によって駆動される搬送ローラ対514により、シートは下排紙パス522へと導かれる。
そして、シートは搬送モータM1により駆動される第1下搬送ローラ対516、第2下搬送ローラ対517、および処理トレイ搬送ローラ対518により、処理トレイ630へと導かれる。下排紙パス522上には第1搬送センサ575、第2搬送センサ576が設けられており、シートの通過を検出している。
【0021】
処理トレイ630へと導かれたシートは、不図示の束排紙モータにより駆動される束排紙ローラ対680により、後処理モードに応じて、処理トレイ630上または下排紙トレイ700上へと排出される。処理トレイ630上には、下トレイ排紙センサ577が配置されており、シートの通過を検出している。また、処理トレイ630には、ステイプラユニット601が配置され、処理トレイ630上で整合されたシート束にステイプル止めを行う。
【0022】
また、積載トレイ701上には、図2(b)に示すように、積載トレイに排紙されたシートのシート幅方向を揃えるための整合部材としての整合板711a、711bが配置されている。なお、以降、整合板711a,711bを合わせて整合板711と称すこともある。同様に、積載トレイ700上には、図2(b)に示すように、積載トレイに排紙されたシートのシート幅方向を揃えるための整合板710a、710bが配置されている。なお、以降、整合板710a,710bを合わせて整合板710と称すこともある。整合板710a、整合板710bは、それぞれ後述する下トレイ整合モータ(手前)M6、下トレイ整合モータ(奥)M7により、シート幅方向に移動可能であり710aが手前側、710bが奥側に配置されている。整合板711a、整合板711bはそれぞれ後述する上トレイ整合モータ(手前)M3、上トレイ整合モータ(奥)M4によってシート幅方向に移動可能で、711aが手前側、711bが奥側に配置されている。
また、整合板710a,710bは後述する上トレイ整合板昇降モータM5により上下方向に駆動され、整合板711a,711bは、後述する下トレイ整合板昇降モータM8により上下方向に駆動される。
【0023】
積載トレイ700および701は、後述のトレイ昇降モータM9、M10により昇降可能となっている。紙面検知センサ720および721にて、トレイまたはトレイ上のシートの最上面が検出される。フィニッシャ500は、紙面検知センサ720、721の検知結果に基づいて、トレイ昇降モータM9、M10を駆動することで、常に前述のトレイまたはトレイ上のシートの最上面とシートの排出口との距離が一定の距離になるように制御する。また、紙有無検知センサ730および731は、積載トレイ700および701上のシートの有無を検出する。
【0024】
次に、図3を用いて、整合板の動作について説明する。なお、積載トレイ701に設けられる整合板711a,711bと積載トレイ700に設けられる整合板710a,710bの動作は同じなので、積載トレイ701の整合板711a、711bについて説明する。
【0025】
整合板711aは、二つの部材から構成されており、回動軸714によって連結されている。また、整合板711aは昇降軸712に接続されている。昇降軸712は、駆動ベルト713を介して上トレイ整合板昇降モータM5に接続されており、整合板711aは昇降軸712を中心として図中の矢印の方向に回転する。また、整合板711bも整合板711aと同様の構成で、昇降軸712に接続されているため、整合板711bは、整合板711aと同期して回転する。上トレイ整合板昇降モータM5が駆動されることにより、整合板711a,711bの上下方向の位置が変化し、図12に示すように、積載トレイ701と整合板711a,711bとの位置関係が変化する。また、整合板711a,711bは、排出手段としての上排紙ローラ対515の排出口よりも上部の位置から積載トレイ701へ向かって延びるように構成されている。また、積載トレイ701の上面は、整合板711が幅方向に移動する際に、積載トレイ701に接触しないように、凹形状になっている。これにより、積載トレイ701にシートが1枚しか積載されていない状態でも、整合板711が確実にシートの側端に接触することができる。
【0026】
次に、本画像形システム全体の制御を司るコントローラの構成及び全体システムブロック図について図4を参照しながら説明する。図4は図1の画像形成システム全体の制御を司るコントローラの構成を示すブロック図である。
【0027】
コントローラは、図4に示すように、CPU回路部150を有し、CPU回路部150は、CPU153、ROM151、RAM152を内蔵する。CPU153は本画像形システム全体の基本制御を行うCPUであり、制御プログラムが書き込まれたROM151と処理を行うためのRAM152がアドレスバス、データバスにより接続されている。CPU153はROM151に格納されている制御プログラムにより各制御部201,202,211,301,401,501を総括的に制御する。RAM152は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
【0028】
原稿給送装置制御部911は、原稿給送装置100をCPU回路部900からの指示に基づき駆動制御する。イメージリーダ制御部201は、上述のスキャナユニット104、イメージセンサ109などに対する駆動制御を行い、イメージセンサ109から出力された画像信号を画像信号制御部202に転送する。画像信号制御部202は、イメージセンサ109からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、このデジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部301に出力する。また、コンピュータ210から外部I/F209を介して入力されたデジタル画像信号に各種処理を施し、このデジタル画像信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部301に出力する。この画像信号制御部202による処理動作は、CPU回路部150により制御される。プリンタ制御部301は、入力されたビデオ信号に基づき露光部110、プリンタ350を制御し、画像形成、シート搬送を行う。フィニッシャ制御部501はフィニッシャ500に搭載され、CPU回路部150と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ全体の駆動制御を行う。この制御内容については後述する。操作表示装置制御部401は、操作表示装置400とCPU回路部150との間で情報のやり取りを行う。操作表示装置400は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部などを有する。各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力するとともに、CPU回路部150からの信号に基づき対応する情報を操作表示装置400に表示する。
なお、フィニッシャ制御部501は複写機本体10に設けても良い。
【0029】
次に、図5のブロック図を用いて、フィニッシャ制御部501の構成について説明する。
フィニッシャ制御部501は、CPU412、RAM414、ROM415、入出力I/O411、通信インターフェースSCI413などで構成される。フィニッシャ制御部501は、CPU回路部900と通信を行い、コマンドの送受信やジョブの情報、シートの受け渡し通知などのデータ交換を行い、ROM415に格納されている各種プログラムを実行してフィニッシャ500の駆動制御を行う。RAM414は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。SCI413は画像形成装置10のCPU回路部150とシリアル通信を行い、動作指示や制御データの受け渡しを行っている。入出力I/O411は、モータ等の出力デバイスに対して、CPU412からのオンオフ信号を送信したり、センサ等の入力デバイスから信号をCPU412へ送信したりする。I/O411には、搬送モータM1、排紙モータM2、上トレイ整合モータ(手前)M3、上トレイ整合モータ(奥)M4、上トレイ整合板昇降モータM5が接続されている。I/O411には更に、下トレイ整合モータ(手前)M6、下トレイ整合モータ(奥)M7、下トレイ整合板昇降モータM8、上トレイ昇降モータM9、下トレイ昇降モータM10、シフトモータM11が接続されている。また、I/O411には、上トレイ紙面検知センサ721、下トレイ紙面検知センサ720、上トレイ排紙センサ574、下トレイ排紙センサ577が接続されている。
【0030】
また、I/O411には、上トレイ駆動エンコーダ578、下トレイ駆動エンコーダ579が接続されている。上トレイ駆動エンコーダ578、下トレイ駆動エンコーダ579はそれぞれ、積載トレイ701,700上のシートの紙面検知動作に伴って昇降する積載トレイ701,700の移動に応じたパルスを出力する。CPU412は、上トレイ駆動エンコーダ578、下トレイ駆動エンコーダ579から出力されるパルスをカウントすることにより、積載トレイ701,700に移動量を判定することができる。
【0031】
次に、フィニッシャ制御部501における整合板の制御について説明する。図6は、CPU412が実行する整合動作の制御を示すフローチャートである。
【0032】
S601において、CPU412は、CPU回路部150からジョブの開始の指示を待つ。なお、ジョブの開始の指示とともに、シート毎に、シートの排出先やシートのサイズ等を含むシート情報もCPU回路部150から送信される。CPU回路部150からジョブ開始の指示が到来すると、S602において、CPU412は、排紙先となる積載トレイの整合板の幅方向制御プログラムを開始するためのフラグをRAM414にセットする。幅方向制御プログラムについては後述する。
【0033】
次にS603において、CPU412は排紙先となる積載トレイの整合板の上下方向の制御プログラムを開始するためのフラグをRAM414にセットする。上下方向の制御プログラムについては後述する。
【0034】
次にS604において、CPU412は排紙先となる積載トレイの紙面検知制御プログラムを開始するためのフラグをセットする。紙面検知制御プログラムについては後述する。尚、CPU412は、上述したフラグがセットされていることで、幅方向制御、上下方向制御、紙面検知制御の各プログラムを時分割で繰り返し実行する。 その後、S605において、CPU412は、CPU回路部150からジョブ終了指示を待ち、ジョブ終了指示が到来すると、S606,S607,S608で、上述したフラグをリセットする。これにより、幅方向制御、上下方向制御、紙面検知制御の各プログラムの実行が終了する。
【0035】
次に、幅方向制御プログラムについて図7を用いて説明する。なお、整合板711の制御と、整合板710の制御は同じ制御となるため、整合板711の制御について説明する。図7は、CPU412が時分割で実行する整合板711の幅方向の移動の制御を表すフローチャートである。
【0036】
S701において、CPU412は、CPU回路部150から送信されるシートN(Nは自然数)のシート情報に基づいて、シートNのシフト方向が奥側か否かを判断する。ここで、奥側とは、図2(a)に示すフィニッシャ500を正面側として場合の紙面奥方向に相当する。また、図2(b)においては、紙面左側に相当する。
シート情報には、シフト方向のほか、シートのサイズ情報、材質情報、表面性情報、坪量情報が含まれ、シート毎に、各シートが画像形成装置10からフィニッシャ500へ受け渡される前に通知されている。
【0037】
S701において、シフト方向が奥側であればS702へ進み、手前側であればS703へ進む。S702においては、CPU412は、上トレイ整合モータM3,M4を駆動することにより、整合板711の位置を奥側のシフト位置へ移動させる。S703においては、CPU412は、上トレイ整合モータM3,M4を駆動することにより、上トレイ整合板711の位置を手前側のシフト位置へ移動させる。即ち、上トレイ整合モータM3,M4は第3の移動手段として機能する。S702或いはS703での整合板711の移動が終了したら、S704へ進む。
【0038】
S704において、CPU412は、シートが積載トレイ701に排出されるのを待つ。具体的には、CPU412は、上トレイ排紙センサ574によりシートの後端通過が検知されてから所定時間経過すると、シートNが排出されたと判断し、S705へ進む。
【0039】
S705において、CPU412は、整合板711を幅方向に移動させてシートNに対する整合動作を行う。整合動作の具体的な動作については後述する。
【0040】
その後、S706において、CPU412は、ジョブが終了したかどうかを調べる。ジョブの終了の判断は、図6で説明したS606でフラグがリセットされていることにより行われる。終了していたら制御を終了する。まだ終了していない場合はS707へ進む。
【0041】
S707において、CPU412は、排出されたシートNが部の切れ目のシートか否かを判断する。部の切れ目のシートとは、複数部数の印刷の際の部の最後のシート或いは、いつの印刷ジョブの最後のシートであり、トレイ上の積載位置が切り替わる1つ前のシートである。例えば、シートNの積載位置が奥側、その次のシートN+1の積載位置が手前側と指定がされていた場合、シートNとシートN+1との間で積載位置が切り替わるので、シートNは部の切れ目であると判断され。印刷成果物である冊子を1冊ずつ手前と奥に交互に積載トレイに積載する場合もあれば、冊子を10冊ずつ交互に積載する場合もある。何冊毎に積載位置を切り替えるかは、CPU回路部150から通知される。
【0042】
S707でシートNが部の切れ目のシートでなかった場合はS704へ戻り、CPU412はシートが排出されるまで待つ。S707で部の切れ目であった場合は、S708へ進む。
【0043】
S708において、CPU412は、整合板711を幅方向へ移動させるために、後述の、図10の上下方向制御による整合板711の退避動作の終了を待つ。具体的には、制御の終了とは、図10のS909で実行される整合板711の退避位置への移動完了である。退避動作が終了すると、S708へ進む。
【0044】
S708において、CPU412は、次のシートのシフト方向が奥側か否かを判断する。次のシフト方向が奥側である場合は、S702へ戻り、次のシフト方向が手前側である場合は、S703へ戻る。
【0045】
次に、図8と図9を用いて、上述した整合板711の幅方向の制御について、具体的に説明する。
【0046】
図8(a)は、積載トレイ701と、整合板711の初期状態を示す。この状態からジョブが開始される。尚、図中の破線は積載トレイの幅方向の中心位置を示す。ジョブ開始時、CPU回路部150からもたらされたシフト方向が奥側であると仮定する。その場合、図7のフローチャートでは、処理はS701からS702へ進み、整合板711a、整合板711bの位置は図8(b)に示すようになる。即ち、整合板711bの位置はそのままで、整合板711aが中心寄りの位置に移動する。その後、図8(c)で示すように、積載トレイ701にシートが排出されると、図8(d)に示すように、整合板711bが、上トレイ整合モータM4によって、図中の矢印の方向に移動し、シートが整合板711aに突き当てられ、整合される。その後、整合板711bは、図8(e)に示すように、図中矢印方向に移動して、この状態が次のシートが排出されるまで維持される。その後、シートが1枚積載される毎に、図8(d),(e)が繰り返され、図8(f)に示すような状態となる。尚、積載トレイ701に積載されるシートの量が増えるに従って、積載トレイ701が下降し、最上面のシートの位置は一定の高さに保たれる。
【0047】
その後、図9(a)の矢印の様に、整合板711は一旦シート束よりも高い位置へ退避し、整合位置を変更するために手前方向(図の右方向)へ移動し、再び下降し、図9(b)に示す状態となる。この状態でシートが積載トレイ701に排出されると、図9(c)に示すように、整合板711aが中心方向へ移動し、図9(d)に示すように、シートは整合板711bに突き当てられ、整合される。その後、整合板711aは、図9(e)に示すように、整合待機位置まで戻り、次のシートが積載されるまで待機している。その後シートが1枚積載される毎に図9(c)から図9(e)の動作が繰り返され、図9(f)に示すようにシートが積載される。
【0048】
次に、整合板の上下方向の制御について説明する。なお、整合板711の制御と、整合板710の制御は同じ制御となるため、整合板711の制御について説明する。
【0049】
図10は、CPU412が時分割で実行する整合板711の上下方向の移動の制御を表すフローチャートである。制御が開始される前は、整合板711は、図12(a)に示すような初期位置で待機している。この初期位置は、整合板711が積載トレイ701から上方向へ離れた位置である。
【0050】
S901において、CPU412は、整合板711を図12(b)に示すような第1の位置へ移動させるよう、上トレイ整合板昇降モータM5を駆動する。
【0051】
次に、S902において、CPU412は、シートが排出されるのを待つ。シートが積載トレイ701に排紙されたら、S903において、CPU412は、積載トレイ701の位置を確認する。トレイの位置の具体的な確認手順については、後述する。積載トレイ701は、図12(c)に示すように、積載されるシートの量が増えるにつれて下降する。S904において、CPU412は、積載トレイ701の位置が所定の位置になっているか調べ、所定の位置まで下がっていたら、S905において、上トレイ整合板昇降モータM5を駆動することにより整合板711を第2の位置へ移動させる。即ち、上トレイ整合板昇降モータM5は第2の移動手段として機能する。なお、所定位置とは、上排紙トレイ701にシートが積載されていない状態で紙面検知制御が実行され、調整された位置から、積載トレイ701が約10mm下がった位置である。また、第2の位置は、図12(d)に示す位置であり、図12(b)、(c)に示す第1の位置と比較して積載トレイ701の移動方向に整合板711が下がっている。
【0052】
その後、S906において、CPU412は、ジョブが終了したかどうかを判断し、ジョブが終了していない場合はS908へ進み、終了した場合はS907へ進む。
【0053】
S907において、CPU412は、整合板711を図12(g)に示すように初期位置へ移動させるよう、上トレイ整合板昇降モータM5を駆動する。
【0054】
S908において、CPU412は、排出されたシートが部の切れ目のシートか否か判断し、排出されたシートが部の切れ目のシートである場合はS909へ進み、そうでない場合はS902へ戻り、次のシートの到来を待つ。
【0055】
S909において、CPU412は、シートの整合方向を変更するために、整合板711を、積載済みのシートにぶつからない退避位置に退避させる。退避位置とは、前述の初期位置と同じ位置である。即ち、整合板711が退避した状態は図12(g)のようになる。
【0056】
その後、S910において、CPU412は、整合板711の幅方向の移動が終了するのを待つ。ここでの幅方向の移動の終了とは、図7のフローチャートのS702もしくはS703の処理が終了することである。幅方向の移動が終了すると、S901へ戻り、処理を繰り返す。
【0057】
以上述べたように、整合板の上下方向の制御を開始した段階では、CPU412は、整合板を第1の位置に移動させ、排紙トレイの位置がシートの積載によって所定量下がったら、整合板を第2の位置へ移動させる。従って、カールしたシートが積載された場合でも、整合板が空振りしなくなる。例えば、図12(e)で示すように、第1の位置のままで整合を実施すると、整合板711がシートの側端に接触せず、空振りが発生する可能性がある。しかし、図12(f)で示すように、積載トレイ701が所定の位置まで下がることに応じて、整合板711が第2の位置に移動するので、整合板711がシートの側端に接触し、空振りが発生しない。なお、積載されるシートにカールが生じていない場合に整合板711を第2の位置へ移動させても、シートの側端に当接する整合板711の位置がずれるだけで、整合性には影響がない。
【0058】
上述した説明では、部の切れ目となるシートが積載トレイ701に積載された後に整合板711を退避位置へ移動させた後に直ちに第2の位置へ移動させるのではなく、一旦第1の位置へ移動させている。その理由について説明する。
【0059】
図13(a)は、整合板711が第1の位置にあるときの状態を示し、図13(b)は、整合板711が第2の位置にあるときの状態を示す。この図からわかるように、手前側にシフトされたシート束と奥側にシフトされたシート束が重なっている状態で、シフト方向が変更されるときに、整合板711が第2の位置へ移動すると、整合板711が積載済みのシート束を押して傷つける恐れがある。そのため、本実施形態では、シフト方向が切り替り、整合板711の幅方向の位置が変更される場合、整合板711を第1の位置に戻している。なお、整合板711(711a,711b)の昇降軸712の部分にワンウェイクラッチを設け、整合板711がシート面を押圧する方向に回転しても、必要以上にシートを押圧しないように構成することも可能である。この構成の場合は、図10のフローチャートにおいて、S910の後にS905に進むようにすればよい。
【0060】
次に、積載トレイの紙面検知制御について説明する。なお、積載トレイ701の紙面検知制御と、積載トレイ700の紙面検知制御は同じ制御となるため、積載トレイ701の紙面検知制御について説明する。
【0061】
図11は、CPU412が時分割で実行する積載トレイ701の紙面検知制御を表すフローチャートである。
【0062】
S1001において、CPU412は、上トレイ紙面検知センサ721がオンしているか否かを判断する。紙面検知センサ721がオンしている状態とは、排紙ローラ515の近傍位置まで積載トレイ701にシートが積載されていることを意味する。S1001において、紙面検知センサ721がオンしていない場合は、S1007において、CPU412は、
ジョブが終了しているかを判断する。ジョブが終了していない場合は、S1001へ戻り、終了している場合は制御を終了する。
【0063】
紙面検知センサ721がオンしている場合、S1002において、CPU412は、上トレイ昇降モータM9を駆動して、積載トレイ701の下降を開始させる。即ち、トレイ昇降モータM9は第1の移動手段として機能する。上トレイ昇降モータM9を駆動すると、モータの回転軸に取り付けられたエンコーダ578がパルスを出力する。そのパルスはI/O411を介してCPU412に入力される。CPU412は、そのパルス信号を計数することにより、トレイの移動量を検知する。
【0064】
S1003では、紙面検知センサ721がオフするのを待つ。紙面検知センサ721は、シートの排出口の下部に配置されている。紙面検知センサ721がオフしたら、S1004において、CPU412は、上トレイ昇降モータM9を停止して、S1005において、カウントしたパルス数から、積載トレイ701の位置を検出する。
【0065】
S1006において、ジョブが終了したか否かを判断する。ジョブの終了は、図6のフローチャートのS608でフラグがリセットされていることにより判断される。ジョブが終了している場合は制御を終了し、終了していない場合は、S1001へ戻る。
【0066】
なお、本実施形態においては、エンコーダからのパルスを計数して積載トレイの位置を検出しているが、積載されたシートの枚数をカウントすることによっても、トレイの位置を検出してもよい。
【0067】
以上説明したように、本実施形態においては、シートを積載トレイへ積載する場合に、積載トレイの位置に応じて整合板の上下方向の位置を制御している。具体的には、積載を開始した時点では、整合板を積載トレイに接触しない、第1の位置に待機させ整合を行う。その後、シートが積載され、積載トレイが下がってきたところで、整合板を第2の位置に移動させ、整合を行う。この制御により、整合板がシートに当接する位置でのシートの紙面位置を検知する特別なセンサを持つことなく、カールが生じているシートを整合することが可能となる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートを排出する排出手段と、
前記排出手段により排出されるシートが積載される積載トレイと、
前記積載トレイに積載されるシートの側端に当接してシートを整合する整合手段と、
前記積載トレイに積載されるシートの上面の位置を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて、前記積載トレイに積載されるシートの上面の位置と前記排出手段の排出口との距離が所定の距離となるように、前記積載トレイを移動させる第1の移動手段と、
前記積載トレイの移動方向に前記整合手段の位置を移動させる第2の移動手段と、
前記第2の移動手段により前記整合手段が第1の位置で整合を行っている場合、前記第1の移動手段により前記積載トレイが所定位置に下降すると、前記第2の移動手段により前記整合手段を第2の位置に下降させて整合を行わせる制御手段と、
を有することを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記整合手段は、前記排出口よりも上部の位置から前記積載トレイへ向かって延びる整合部材を有することを特徴とする請求項1記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記シートの搬送方向に直交するシート幅方向に、前記整合手段を移動させる第3の移動手段を有し、
前記制御手段は、前記整合手段が前記第2の位置で整合を行った後に、前記幅方向におけるシートの整合の位置を変更する場合、前記第2の移動手段により前記整合手段を前記第1の位置に移動させて整合を行わせることを特徴とする請求項1記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記所定位置は、前記積載トレイにシートが積載されていない状態で、前記検知手段の検知結果に基づいて前記積載トレイが移動された位置から所定量下降した位置であることを特徴とする請求項1記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記排出口の下部に配置されるセンサを有することを特徴とする請求項1記載のシート排出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−35641(P2013−35641A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171996(P2011−171996)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】