説明

シート積載装置

【課題】装置の小型化を実現できるシート積載装置を提供する。
【解決手段】シート積載装置1において、第1突出部220L、220Rは、第1ガイド110L、110R及び第2ガイド210L、210Rのいずれか一方から突出方向D2に突出する。連結部80L、80Rは、第1ガイド110L、110R及び第2ガイド210L、210Rの揺動軸心X1周りの相対変位を許容し、かつ第1ガイド110L、110Rを第2ガイド210L、210Rと一体的に幅方向にスライドさせるように、第1ガイド110L、110Rと第2ガイド210L、210Rとを連結する。第2トレイ200が収容位置にある場合、第1トレイ100と第2トレイ200との間に開口99が形成される。連結部80L、80Rは、使用位置にある第2トレイ200の第2受け面201に対して、第1突出部220L、220Rよりも突出方向D2の高さH1が小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート積載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にシート積載装置が開示されている。このシート積載装置は、搬送されるシートが積載される載置面を備える。特許文献1に開示されたシート積載装置は、第1受け面を有する第1トレイと、第2受け面を有する平板形状であり、幅方向に延びるスライド溝を有する第2トレイとを備える。第2トレイは、第1トレイの上方で第2受け面を下方に向ける収容位置から、搬送されるシートの幅方向と平行な揺動軸心周りに揺動して、第1受け面に対して搬送方向の上流側で第2受け面を上方に向ける使用位置に変位する。第2トレイが使用位置に位置する場合の変位により、第1受け面と第2受け面とが載置面の一部を構成するようになっている。
【0003】
また、このシート積載装置は、第1受け面上に設けられ、シートを幅方向で規制する第1ガイドを備える。このシート積載装置は、第2受け面上に設けられ、スライド溝に沿って幅方向にスライドして、シートを幅方向で規制する第2ガイドを備える。このシート積載装置は、第1ガイドと第2ガイドとを連結する連結部を備える。特許文献1の図面には、第1ガイドが符号42aとして図示され、第2ガイドが符号42bとして図示され、連結部が符号44として図示されている。
【0004】
連結部は、第1ガイド及び第2ガイドの揺動軸心周りの相対変位を許容し、かつ第1ガイドを第2ガイドと一体的に幅方向にスライドさせるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−62839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記シート積載装置では、特許文献1の図5及び図6等に示されているように、連結部における、使用位置にある第2トレイの第2受け面に直交する方向の高さが第1ガイド及び第2ガイドにおけるこの方向の高さよりも大きい。このため、第2トレイが特許文献1の図4に示す収容位置にある場合に、第1トレイ及び第2トレイにおける揺動軸心側の端縁同士が離間してなる開口が大きくなり易く、ひいては、装置を小型化し難い。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、装置の小型化を実現できるシート積載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシート積載装置は、搬送されるシートが積載される載置面を備えるシート積載装置であって、
前記載置面の一部を構成する第1受け面を有する第1トレイと、
前記第1受け面とともに前記載置面の一部を構成する第2受け面を有する平板形状であり、前記第1トレイの上方で前記第2受け面を下方に向ける収容位置から、搬送される前記シートの幅方向と平行な揺動軸心周りに揺動して、前記第1受け面に対して前記搬送方向の上流側で前記第2受け面を上方に向ける使用位置に変位可能とされ、前記幅方向に延びるスライド溝を有する第2トレイと、
前記第1受け面上に設けられ、前記シートを前記幅方向で規制する第1ガイドと、
前記第2受け面上に設けられ、前記スライド溝に沿って前記幅方向にスライドして、前記シートを前記幅方向で規制する第2ガイドと、
前記第2ガイドに設けられ、前記第1ガイド及び前記第2ガイドのいずれか一方から前記第2受け面に直交する突出方向に突出した第1突出部と、
前記第1ガイド及び前記第2ガイドの前記揺動軸心周りの相対変位を許容し、かつ前記第1ガイドを前記第2ガイドと一体的に前記幅方向にスライドさせるように、前記第1ガイドと前記第2ガイドとを連結する連結部とを備え、
前記第2トレイが前記収容位置にある場合、前記第1トレイ及び前記第2トレイにおける前記揺動軸心側の端縁同士が離間してなる開口が形成され、
前記連結部は、前記使用位置にある前記第2トレイの前記第2受け面に対して、前記第1突出部よりも前記突出方向の高さが小さいことを特徴とする。
【0009】
本発明のシート積載装置では、連結部は、使用位置にある第2トレイの第2受け面に対して、第1突出部よりも突出方向の高さが小さいので、上記シート積載装置と比較して、開口を小さくできる。
【0010】
したがって、本発明のシート積載装置は、装置の小型化を実現できる。
【0011】
本発明のシート積載装置において、第1突出部は、第2トレイに設けられたスライド溝から突出方向に突出していることが望ましい。この構成によれば、第1突出部をつまんで第2ガイドをスライド溝に沿って幅方向にスライドさせる際、第2ガイドをスライド溝に対してこじる力が作用し難いので、第2ガイドをスムーズにスライドさせることができる。
【0012】
本発明のシート積載装置において、第2トレイが収容位置にある場合、第1ガイドにおける連結部側から搬送方向の下流側に延びる上端面と、第2ガイドにおける第1突出部から連結部に向かう傾斜面とが平行であることが望ましい。この構成によれば、第1ガイド及び第2ガイドの形状が合うことにより双方が接近できるので、開口を確実に小さくできる。その結果、装置の小型化を確実に実現できる。
【0013】
本発明のシート積載装置において、第1ガイドにおける搬送方向の下流側には、第1受け面に直交する方向に突出する第2突出部が形成されていることが望ましい。この構成によれば、コシがあるシートが搬送される場合において、シートの後端縁側が跳ね上がったとしても、第2突出部により、シートの後端縁側が第1ガイドから外れることを防止できる。
【0014】
本発明のシート積載装置は、第1トレイの上方に位置する上部カバーを備えることが望ましい。そして、上部カバーは、第1受け面と対向し、第2トレイが使用位置にある場合に、搬送されるシートを上方から案内可能な第3ガイドを有し、幅方向から見た場合、第2突出部と第3ガイドとが重なっていることが望ましい。この構成によれば、コシがあるシートが搬送される場合において、シートの後端縁側が跳ね上がったとしても、第2突出部と第3ガイドとにより、シートの後端縁側が第1ガイドから外れることを確実に防止できる。
【0015】
本発明のシート積載装置は、第1トレイの上方に位置する上部カバーを備えることが望ましい。そして、使用位置にある第2トレイを幅方向から見た場合、第1突出部は、上部カバー及び載置面から露出していることが望ましい。この構成によれば、第2ガイドが幅方向の最も外側に位置していても、第1突出部をつまみ易い。
【0016】
本発明のシート積載装置において、第2ガイドは、第1突出部から搬送方向の下流側に向かって二股で延びる二股部を有することが望ましい。また、第1ガイドは、搬送方向の上流側で二股部内に入り込む内挿部を有ることが望ましい。そして、連結部は、二股部と内挿部とを含んで構成されていることが望ましい。この構成によれば、第2ガイドのスライドが二股部に挟まれた内挿部を介して、第1ガイドに伝達されるので、第1ガイドを第2ガイドと一体的に幅方向にスライドさせることができる。
【0017】
本発明のシート積載装置において、第1ガイドは、内挿部に対して搬送方向の下流側に位置して、シートを幅方向で規制する規制部と、内挿部と規制部とを接続する接続部とを有することが望ましい。そして、接続部は、第1受け面に対向する方向から見た場合、R形状を有してクランク状に折れ曲がっていることが望ましい。この構成によれば、R形状を有してクランク状に折れ曲がっている接続部により、搬送されるシートに対して、第1ガイドが引っ掛かりなく幅方向の位置決めをできる。
【0018】
本発明のシート積載装置は、第2トレイの揺動に連動して変位する開口カバーを備えることが望ましい。そして、開口カバーは、第2トレイが収容位置にある場合には開口を覆う一方、第2トレイが使用位置にある場合には、第2トレイの下方に退避するように構成されていることが望ましい。この構成によれば、不使用時に開口カバーが開口を覆うことにより、装置内部への埃の進入を防止できる。また、開口を小さくできるため、開口を覆う開口カバーも小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例の画像読取装置1の前方を主に示す斜視図である。
【図2】上記実施例の画像読取装置1の第2トレイ200が収容位置にある場合において、画像読取装置1の後方を主に示す斜視図である。
【図3】上記実施例の画像読取装置1の上部カバー300が開かれた状態において、画像読取装置1の主に前方を示す斜視図である。
【図4】上記実施例の画像読取装置1の側面図である。
【図5】上記実施例の画像読取装置1に係り、図4の矢視Z方向から見た第1トレイ100、第2トレイ200、第1ガイド110L、110R及び第2ガイド210L、210R等を示す要部拡大図である。
【図6】上記実施例の画像読取装置1に係り、図5のA−A断面を示す要部拡大断面図である。
【図7】上記実施例の画像読取装置1に係り、第2トレイ200が収容位置にある場合における図5のA−A断面と同様の断面を示す要部拡大断面図である。
【図8】上記実施例の画像読取装置1に係り、第1ガイド110L、110R及び第2ガイド210L、210R等を示す要部拡大斜視図である。
【図9】上記実施例の画像読取装置1に係り、図5のB−B断面を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の画像読取装置1は、本発明のシート積載装置の具体的態様の一例である。図では、排出トレイ6側を装置の前側と規定し、排出トレイ6に対向した場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0022】
<全体構成>
図1〜図4に示すように、画像読取装置1は、ハウジング8と、第1トレイ100と、第2トレイ200と、画像読取部7と、排出トレイ6とを備える。
【0023】
ハウジング8は、外装カバー、上部カバー300、及び図3に示す内部フレーム8F等が組み合わされてなる箱状体である。ハウジング8は、本発明の「装置本体」の一例である。図1、図2及び図4に示すように、通常、ハウジング8の上部カバー300は、後方に向かって上り傾斜している。その一方、図3に示すように、シート詰まりやメンテナンスの際には、上部カバー300は、後端縁側が上方に持ち上がるように揺動する。これにより、ハウジング8を構成する内部フレーム8Fの上壁8Cや供給ローラ7A等が露出する。
【0024】
図3及び図4に示すように、第1トレイ100は、内部フレーム8Fの上壁8Cのうち、ハウジング8の背面側から供給ローラ7Aまで下り傾斜で延びる平板部である。すなわち、第1トレイ100は、内部フレーム8Fの上壁8Cに一体に形成されている。第1トレイ100の上方を向く傾斜面は、第1受け面101とされている。
【0025】
第2トレイ200は、一方の面が第2受け面201とされた平板形状であり、その左右の角部に一対のヒンジ部200L、200Rが一体に形成されている。第2トレイ200は、両ヒンジ部200L、200Rを介して、ハウジング8の後方かつ上方に位置して左右方向に延びる揺動軸心X1周りに揺動可能にハウジング8に支持されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、画像読取装置1の不使用時、第2トレイ200は、第2受け面201を下方に向けて、ハウジング8に対して上方から覆いかぶさっている。図1及び図2に示す第2トレイ200の位置は、本発明の「収容位置」の一例である。
【0027】
そして、画像読取装置1の使用時、ユーザの第2トレイ200に対する開操作により、第2トレイ200は、図1及び図2に示す状態から揺動軸心X1周りに揺動する。この揺動により、第2トレイ200は、図3及び図4に示すように、第1受け面101の後ろ側で第2受け面201を上方に向ける位置に変位する。図3及び図4に示す第2トレイ200の位置は、本発明の「使用位置」の一例である。これにより、第1受け面101と第2受け面201とは、おおよそ平坦な面である載置面5を構成する。この際、図5及び図6に示すように、第1トレイ100における揺動軸心X1側の端縁100Eと、第2トレイ200における揺動軸心X1側の端縁200Eとが互いに接近し、隙間なく当接し、第1トレイ100の位置を決める。図4に示すように、載置面5には、シート9が載置される。
【0028】
画像読取部7は、周知の構成を備えるものであるので説明を簡略するが、図3に示すように、ハウジング8内において、内部フレーム8F等に組み付けられている。画像読取部7は、供給ローラ7A、分離パッド7B、画像読取センサ7C及び図示しない排出ローラ等を備える。画像読取部7は、載置面5に載置されたシート9を前方に向けて下り傾斜で延びる搬送経路P1に沿って搬送する。画像読取部7は、その搬送経路P1の途中において、画像読取センサ7Cにより、シート9の画像を読み取るようになっている。画像読取センサ7Cとしては、例えば、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等が採用される。画像読取部7が搬送経路P1を挟んで対向する一対の画像読取センサを有する場合は、シート9の両面の画像読取が可能である。
【0029】
排出トレイ6は、図1及び図4に示すように、ハウジング8に対して引き出し及び収容可能に設けられている。図1に示すように、排出トレイ6がハウジング8に収容されている状態では、排出トレイ6の前端面のみが外部に露出した状態となっている。そして、ユーザにより、排出トレイ6がハウジング8から引き出されると、図4に示すように、排出トレイ6は、ハウジング8の前方で排出面6Aを上方に向けた状態となる。
【0030】
画像読取部7が画像を読み取ったシート9をさらに搬送経路P1に沿って搬送すると、そのシート9は、排出面6Aに排出される。載置面5に複数枚のシート9が載置された場合には、1枚ずつシート9が搬送経路P1に沿って搬送されて、画像を読み取られた後、排出面6Aに順番に積み重なるように排出される。
【0031】
なお、図2及び図7に示すように、第2トレイ200が使用位置から収容位置に変位すると、第1トレイ100における揺動軸心X1側の端縁100Eと、第2トレイ200における揺動軸心X1側の端縁200Eとが上下方向に離間してなる開口99が形成される。
【0032】
図2に示すように、画像読取装置1は、第2トレイ200が収容位置にある場合に開口99を覆う開口カバー90を備える。説明は簡略するが、開口カバー90は、第2トレイ200が使用位置まで揺動するのに連動して変位し、図3及び図4に示すように、第2トレイ200の下方に退避するようになっている。なお、図6及び図7では、第2トレイ200の下方に退避した開口カバー90の図示を省略している。
【0033】
本実施例では、図3に示すように、搬送方向D1に沿って搬送されるシート9の幅方向とは、左右方向である。揺動軸心X1は、シート9の幅方向である左右方向と平行である。ただし、「平行」とは「おおよそ平行」を意味する。「直交」等の用語も同様である。また、図5に示すように、本実施例において、「幅方向の内側」とは、画像読取装置1の機軸である中心軸線C1に対して左右方向に近い側であり、「幅方向の外側」とは、中心軸線C1に対して左右方向に離れる側である。
【0034】
<載置面に載置されるシートの幅方向の位置決め構成>
また、画像読取装置1は、図5〜図9を示して詳述するように、第1ガイド110L、110Rと、第2ガイド210L、210Rと、第1突出部220L、220Rと、連結部80L、80Rと、第2突出部120L、120Rと、第3ガイド310とを備える。画像読取装置1は、これらによって載置面5に載置されるシート9の幅方向の位置決めをすることで、例えば、名刺サイズからA4サイズまでの複数サイズのシートに形成された画像を読み取ることができる。
【0035】
なお、左側に位置する第1ガイド110L、第2ガイド210L、第1突出部220L、連結部80L及び第2突出部120Lと、右側に位置する第1ガイド110R、第2ガイド210R、第1突出部220R、連結部80R及び第2突出部120Rとは、図5に示すように、中心軸線C1を対象軸とする線対称である。このため、図6〜図9では、左側のものだけを図示して、右側のものについては図示を省略する。
【0036】
第1ガイド110L、110Rは、図5〜図8に示すように、第1トレイ100の第1受け面101上に設けられている。図8に示すように、第1トレイ100には、幅方向に延びるスライド溝190が形成されている。第1ガイド110L、110Rはそれぞれ、図5などに示す第1受け面101と平行な薄板形状の基部110Bと、図6及び図7などに示す基部110Bから下方のスライド溝190内に突出する凸部110Cとを有する。凸部110Cがスライド溝190に沿って摺動し、基部110Bが第1受け面101に沿って摺動することにより、第1ガイド110L、110Rが幅方向にスライドする。なお、スライド溝とは、ガイドを幅方向にスライドさせるために、トレイに設けられた溝、穴、孔、開口、及び切り欠きなどを示す。即ち、スライド溝の形状、及び構造は、ガイドを幅方向にスライドできるものであれば、本実施形態に係るスライド溝190以外の形状、及び構造であってもよい。後述するスライド溝290についても同様である。
【0037】
また、第1ガイド110L、110Rはそれぞれ、図5及び図8に示すように、基部110Bから第1受け面101に直交する方向に突出する内挿部130L、130R、接続部133L、133R及び規制部136L、136Rを有する。内挿部130L、130Rはそれぞれ、第1ガイド110L、110Rにおける搬送方向D1の上流側の位置であって、揺動軸心X1と交差する位置から搬送方向D1の下流側に向かって衝立状に延びている。接続部133L、133Rはそれぞれ、内挿部130L、130Rに連続して、搬送方向D1の下流側に向かって衝立状に延びている。規制部136L、136Rはそれぞれ、接続部133L、133Rに連続して、搬送方向D1の下流側に向かって衝立状に延びている。
【0038】
図5に示すように、接続部133L、133Rは、第1受け面101に対向する方向から見た場合、R形状を有してクランク状に折れ曲がっている。これにより、規制部136L、136Rはそれぞれ、内挿部130L、130Rに対して幅方向の内側に位置している。
【0039】
一方、第2ガイド210L、210Rは、図5〜図8に示すように、第2トレイ200の第2受け面201上に設けられている。図8に示すように、第2トレイ200には、幅方向に延びるスライド溝290が形成されている。第2ガイド210L、210Rはそれぞれ、第2受け面201と平行な薄板形状の基部210Bと、基部210Bから下方のスライド溝290内に突出する凸部210Cとを有する。凸部210Cがスライド溝290に沿って摺動し、基部210Bが第2受け面201に沿って摺動することにより、第2ガイド210L、210Rが幅方向にスライドする。
【0040】
図5に示すように、左側の第2ガイド210Lは、第2受け面201の下方に位置して、幅方向の内側に向かってスライド溝290と平行に延びるラック210Mを有する。右側の第2ガイド210Rは、第2受け面201の下方に位置して、幅方向の内側に向かってスライド溝290と平行に延びるラック210Nを有する。ラック210Mとラック210Nとは、第2受け面201の下方において中心軸線C1上に位置するピニオンギヤ210Pと噛み合っている。
【0041】
この構成により、第2ガイド210L、210Rの一方が幅方向の外側又は内側にスライドすると、その変位がラック210M、ピニオンギヤ210P及びラック210Nを介して、第2ガイド210L、210Rの他方に伝達される。この伝達により、第2ガイド210L、210Rの他方も、幅方向の外側又は内側に連動してスライドする。その結果、第2ガイド210L、210Rのそれぞれと中心軸線C1との距離は常に等しくなる。
【0042】
また、第2ガイド210L、210Rはそれぞれ、図6に示すように、基部110Bから第2受け面201に直交する突出方向D2に突出する第1突出部220L、220R及び二股部230L、230Rを有する。
【0043】
第1突出部220L、220Rは、第2トレイ200に設けられたスライド溝290から、突出している。ここで、本実施例において、「スライド溝290から突出する」という表現は「スライド溝290の近傍から突出する」の意味である。「スライド溝290の近傍」とは例えば、少なくともスライド溝290における突出方向D2の上方を含む範囲を指している。
【0044】
図4に示すように、使用位置にある第2トレイ200を幅方向から見た場合、第1突出部220L、220Rは、上部カバー300及び載置面5から露出している。これにより、第2ガイド210L、210Rが幅方向の最も外側に位置していても、第1突出部220L、220Rをつまみ易くなっている。そして、ユーザが第1突出部220L、220Rの一方をつまんで幅方向の内側又は外側に向けて力をかけると、第2ガイド210L、210Rを幅方向の内側又は外側に連動してスライドさせることができる。
【0045】
図5及び図8に示すように、二股部230L、230Rはそれぞれ、第1突出部220L、220Rから搬送方向D1の下流側に向かって二股で延びている。図8に示すように、二股部230L、230Rにはそれぞれ、揺動軸心X1を中心軸とする丸穴230Aが貫設されている。
【0046】
図5及び図8に示すように、二股部230L、230R内には、上述した内挿部130L、130Rが入り込んでいる。図8に示すように、内挿部130L、130Rには、揺動軸心X1を中心軸として、二股部230L、230Rの丸穴230Aに挿通する軸部130Aが形成されている。
【0047】
このような構成である二股部230L、230Rと内挿部130L、130Rとを含んで、連結部80L、80Rが構成されている。これにより、連結部80L、80Rは、図6及び図8に示す状態と、図7に示す状態との間で、第1ガイド110L、110R及び第2ガイド210L、210Rの揺動軸心X1周りの相対変位を許容する。また、連結部80L、80Rは、第2ガイド210L、210Rが幅方向にスライドする際、二股部230L、230Rに挟まれた内挿部130L、130Rを介して、第1ガイド110L、110Rにその変位を伝達できる。したがって、第1ガイド110L、110Rを第2ガイド210L、210Rと一体的に幅方向にスライドさせることができる。
【0048】
図5に示すように、第1突出部220L、220Rにおける幅方向の内側を向く側面と、二股部230L、230Rにおける幅方向の内側を向く側面と、規制部136L、136Rにおける幅方向の内側を向く側面とは、中心軸線C1からの距離が等しくなっている。すなわち、第1突出部220L、220Rにおける幅方向の内側を向く側面と、二股部230L、230Rにおける幅方向の内側を向く側面と、規制部136L、136Rにおける幅方向の内側を向く側面とは、搬送方向D1に対し平行に一直線に並んでいる。この構成により、第1突出部220L、220R、二股部230L、230R及び規制部136L、136Rは、シート9を幅方向で規制することができる。この際、接続部133L、133RがR形状を有してクランク状に折れ曲がっていることにより、搬送されるシート9に対して、第1ガイド110L、110Rが引っ掛かりなく幅方向の位置決めをできる。
【0049】
図6に示すように、第2トレイ200が使用位置にある場合において、第2受け面201に対する連結部80L、80Rの突出方向D2の高さをH1とする。また、第2受け面201に対する第1突出部220L、220Rの突出方向D2の高さをH2とする。そうすると、連結部80L、80Rの突出方向D2の高さH1は、第1突出部220L、220Rの突出方向D2の高さH2より小さくされている。
【0050】
また、図6に示すように、第2トレイ200が使用位置にある場合において、第1ガイド110L、110Rにおける連結部80L、80R側から搬送方向D1の下流側に延びる上端面を上端面110Tとする。また、第2ガイド210L、210Rにおける第1突出部220L、220Rから連結部80L、80Rに向かう傾斜面を傾斜面210Sとする。そうすると、図7にように、第2トレイ200が収容位置に変位した場合、上端面110Tと傾斜面210Sとが平行となり、僅かな隙間を有して互いに接近した状態となる。
【0051】
図6及び図8に示すように、第1ガイド110L、110Rにおける搬送方向D1の下流側には、規制部136L、136Rからそれぞれ第1受け面101に直交する方向に突出する第2突出部120L、120Rが形成されている。第2突出部120L、120Rは、幅方向から見た場合に三角形状とされており、その頂点が第1受け面101の上方に位置する上部カバー300の下面に接近するように突出している。
【0052】
図4及び図9に示すように、上部カバー300は、供給ローラ7Aの上方に位置して、第1受け面101と対向する第3ガイド310を有する。第3ガイド310は、金属薄板からなる板バネであり、供給ローラ7Aに接近しながら搬送方向D1の下流側に向けて傾斜している。これにより、第3ガイド310は、載置面5から搬送されるシート9が供給ローラ7Aから離間することを抑制する。
【0053】
図5に、第1受け面101に対して上方に位置する第3ガイド310を二点鎖線で示す。第2突出部120L、120Rは、幅方向の外側から第3ガイド310を挟むように位置している。そして、図9に示すように、幅方向から見た場合、第2突出部120L、120Rと第3ガイド310とが重なっている。
【0054】
<作用効果>
実施例の画像読取装置1では、図6に示すように、第2トレイ200が使用位置にある場合において、連結部80L、80Rの突出方向D2の高さH1は、第1突出部220L、220Rの突出方向D2の高さH2より小さい。このため、上記特許文献1に記載の装置と比較して、図7に示すように、第2トレイ200が収容位置にある場合に形成される開口99を小さくできる。すなわち、第1トレイ100及び第2トレイ200における揺動軸心X1側の端縁100E、200E同士の離間距離Wを小さくできる。
【0055】
したがって、実施例の画像読取装置1は、装置の小型化を実現できる。
【0056】
また、この画像読取装置1によれば、図6及び図8に示すように、第1突出部220L、220Rが第2トレイ200に設けられたスライド溝290から突出方向D2に突出している。これにより、第1突出部220L、220Rをつまんで第2ガイド210L、210Rをスライド溝290に沿って幅方向にスライドさせる際、第2ガイド210L、210Rをスライド溝290に対してこじる力が作用し難い。その結果、第2ガイド210L、210Rをスムーズにスライドさせることができる。
【0057】
さらに、この画像読取装置1によれば、図7に示すように、第2トレイ200が収容位置にある場合に第1ガイド110L、110Rの上端面110Tと、第2ガイド210L、210Rの傾斜面210Sとが平行となる。すなわち、第1ガイド110L、110R及び第2ガイド210L、210Rの形状が合うことにより、第1ガイド110L、110R及び第2ガイド210L、210Rが互いに接近できる。したがって、開口99を確実に小さくできる。その結果、装置の小型化を確実に実現できる。
【0058】
また、この画像読取装置1によれば、幅方向から見た場合に互いに重なる第2突出部120L、120Rと第3ガイド310とを備える。したがって、図9に示すように、コシがあるシート9が搬送される場合において、シート9の後端縁側が跳ね上がったとしても、シート9の後端縁側が第1ガイド110L、110Rから外れることを確実に防止できる。
【0059】
また、この画像読取装置1によれば、不使用時に開口カバー90が開口99を覆うことにより、ハウジング8の内部への埃の進入を防止できる。また、開口99を小さくすることができるため、開口カバー90を小さくすることができる。また、第2トレイ200の揺動時、開口99に指が挟まれ難い。
【0060】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0061】
例えば、実施例では、ハウジング8を構成するフレーム部材8Fに第1トレイ100が形成されているが、この構成に限定されず、第1トレイ100は、ハウジング8とは別体に設けられていてもよい。
【0062】
また、第1ガイド110L、110Rが必ずしも第1トレイ100だけに設けられている必要はなく、例えば、第1ガイド110L、110Rが第2トレイ200に少しはみだしていてもよい。
【0063】
同様に、第2ガイド210L、210Rが必ずしも第2トレイ200だけに設けられている必要はなく、例えば、第2ガイド210L、210Rが第1トレイ100に少しはみだしていてもよい。
【0064】
また、実施例における連結部80L、80Rは、二股部230L、230Rの丸穴230Aに、内挿部130L、130Rの軸部130Aが挿通することにより、ヒンジを構成していたが、この構成に限定されない。例えば、連結部は、二股部230L、230Rに丸穴230Aを設けず、かつ、内挿部130L、130Rにも軸部130Aを設けない構成、すなわち、二股部230L、230Rが内挿部130L、130Rを挟んでいるだけである構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えば画像形成装置、画像読取装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1…シート積載装置(画像読取装置)、9…シート、5…載置面
100…第1トレイ、200…第2トレイ、X1…揺動軸心
101…第1受け面、201…第2受け面、290…スライド溝
110L、110R…第1ガイド、210L、210R…第2ガイド
D1…搬送方向、D2…突出方向
220L、220R…第1突出部、80L、80R…連結部
100E…第1トレイにおける揺動軸心側の端縁、99…開口
200E…第2トレイにおける揺動軸心側の端縁、90…開口カバー
H1…連結部の第2受け面に対する突出方向の高さ
H2…第1突出部の第2受け面に対する突出方向の高さ
110T…第1ガイドの上端面、210S…第2ガイドの傾斜面
120L、120R…第2突出部、300…上部カバー、310…第3ガイド
230L、230R…二股部、130L、130R…内挿部、136L、136R…規制部、133L、133R…接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシートが積載される載置面を備えるシート積載装置であって、
前記載置面の一部を構成する第1受け面を有する第1トレイと、
前記第1受け面とともに前記載置面の一部を構成する第2受け面を有する平板形状であり、前記第1トレイの上方で前記第2受け面を下方に向ける収容位置から、搬送される前記シートの幅方向と平行な揺動軸心周りに揺動して、前記第1受け面に対して前記搬送方向の上流側で前記第2受け面を上方に向ける使用位置に変位可能とされ、前記幅方向に延びるスライド溝を有する第2トレイと、
前記第1受け面上に設けられ、前記シートを前記幅方向で規制する第1ガイドと、
前記第2受け面上に設けられ、前記スライド溝に沿って前記幅方向にスライドして、前記シートを前記幅方向で規制する第2ガイドと、
前記第2ガイドに設けられ、前記第1ガイド及び前記第2ガイドのいずれか一方から前記第2受け面に直交する突出方向に突出した第1突出部と、
前記第1ガイド及び前記第2ガイドの前記揺動軸心周りの相対変位を許容し、かつ前記第1ガイドを前記第2ガイドと一体的に前記幅方向にスライドさせるように、前記第1ガイドと前記第2ガイドとを連結する連結部とを備え、
前記第2トレイが前記収容位置にある場合、前記第1トレイ及び前記第2トレイにおける前記揺動軸心側の端縁同士が離間してなる開口が形成され、
前記連結部は、前記使用位置にある前記第2トレイの前記第2受け面に対して、前記第1突出部よりも前記突出方向の高さが小さいことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記第1突出部は、前記第2トレイに設けられた前記スライド溝から前記突出方向に突出している請求項1記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記第2トレイが前記収容位置にある場合、前記第1ガイドにおける前記連結部側から前記搬送方向の下流側に延びる上端面と、前記第2ガイドにおける前記第1突出部から前記連結部に向かう傾斜面とが平行である請求項1又は2記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記第1ガイドにおける前記搬送方向の下流側には、前記第1受け面に直交する方向に突出する第2突出部が形成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記第1トレイの上方に位置する上部カバーを備え、
前記上部カバーは、前記第1受け面と対向し、前記第2トレイが前記使用位置にある場合に、搬送される前記シートを上方から案内可能な第3ガイドを有し、
前記幅方向から見た場合、前記第2突出部と前記第3ガイドとが重なっている請求項4記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記第1トレイの上方に位置する上部カバーを備え、
前記使用位置にある前記第2トレイを前記幅方向から見た場合、前記第1突出部は、前記上部カバー及び前記載置面から露出している請求項1乃至4のいずれか1項記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記使用位置にある前記第2トレイを前記幅方向から見た場合、前記第1突出部は、前記上部カバー及び前記載置面から露出している請求項5記載のシート積載装置。
【請求項8】
前記第2ガイドは、前記第1突出部から前記搬送方向の下流側に向かって二股で延びる二股部を有し、
前記第1ガイドは、前記搬送方向の上流側で前記二股部内に入り込む内挿部を有し、
前記連結部は、前記二股部と前記内挿部とを含んで構成されている請求項1乃至7のいずれか1項記載のシート積載装置。
【請求項9】
前記第1ガイドは、前記内挿部に対して搬送方向の下流側に位置して、前記シートを前記幅方向で規制する規制部と、前記内挿部と前記規制部とを接続する接続部とを有し、
前記接続部は、前記第1受け面に対向する方向から見た場合、R形状を有してクランク状に折れ曲がっている請求項8記載のシート積載装置。
【請求項10】
前記第2トレイの前記揺動に連動して変位する開口カバーを備え、
前記開口カバーは、前記第2トレイが前記収容位置にある場合には前記開口を覆う一方、前記第2トレイが前記使用位置にある場合には、前記第2トレイの下方に退避するように構成されている請求項1乃至9のいずれか1項記載のシート積載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−56723(P2013−56723A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195067(P2011−195067)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】