シート給送装置及び画像形成装置
【課題】生産性を向上させたシート給送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート給送装置は、中板103上のシートの有無を検知するシート有無センサ117と、待機位置(仮置き位置)と供給可能状態とに移動可能な仮置きストッパ105と、仮置きストッパ105を駆動する駆動モータとを備えている。そして、シート有無センサ117で中板103上にシートが無いと検知された際、これに基づいて駆動モータを作動させ、待機位置の仮置きストッパ105を供給可能状態に移動させた後、待機位置に戻すように構成されている。これにより、給送動作中であっても中板103にシートを継ぎ足すことができ、連続給送動作が可能になり、作業の効率化を実現することができる。
【解決手段】シート給送装置は、中板103上のシートの有無を検知するシート有無センサ117と、待機位置(仮置き位置)と供給可能状態とに移動可能な仮置きストッパ105と、仮置きストッパ105を駆動する駆動モータとを備えている。そして、シート有無センサ117で中板103上にシートが無いと検知された際、これに基づいて駆動モータを作動させ、待機位置の仮置きストッパ105を供給可能状態に移動させた後、待機位置に戻すように構成されている。これにより、給送動作中であっても中板103にシートを継ぎ足すことができ、連続給送動作が可能になり、作業の効率化を実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に備えた手差し方式のシート給送装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ等の画像形成装置では、定形サイズのシートを大量に収納する給紙カセット又は給紙デッキからシートを給送するシート給送装置の他に、不定形サイズ(はがき等)、OHP、特殊紙等を給送する手差し給送装置が設けられている。このような手差し給送装置では、給送動作中にシートを継ぎ足して使用すると、継ぎ足したシートが分離部に入り込み、シートが複数枚重なった重送を発生し、シート給送不良の原因となる。
【0003】
これについて、図14の手差し給送装置を参照して説明する。この手差し給送装置では、給送トレイの底板部2に積載されたシートPsは、底板部2を付勢するバネ3により給送ローラ1に圧接され、給送ローラ1が図中の時計方向に回転すると、最上位のシートから順に給送される。その際、シートPsは分離パット4によって1枚に分離され、搬送ローラ対8により不図示の画像形成部へと搬送される。この構造では、給送ローラ1の軸11に、先端に突起部15を有するシート止め部材12が回動自在に取り付けられている。これにより、シートPsに継ぎ足されたシートPaの先端を突起部15ですくい上げて、給送ローラ1への進入を防ぐことで、重送を回避することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−348133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1記載の手差し給送装置によると、給送トレイ上のシートPs,Paが全て無くなった場合、給送トレイ上の積載量で決まるジョブを中断しなければ、次なるシート補給を行うことはできない。
【0006】
このような従来の手差し給送装置で、例えば、表紙を特殊紙(厚紙等)で作成する冊子作成ジョブを大量に実行する場合には、次のような問題が生じる。冊子の表紙以外のシートを大容量の給紙デッキから給送して、表紙となる特殊紙を手差しの給送トレイから給送するジョブを実行する場合、給紙デッキから給送されるシートより早く手差し給送されるシートが無くなって、ジョブが中断することになる。その場合、生産性が低下してしまう。
【0007】
本発明は、ジョブを中断することなく、給送トレイに手差しでシートを継ぎ足しながら連続的にシート給送を行うことで、生産性を向上させたシート給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、手差しされたシートを積載する手差し積載部と、前記手差し積載部に積載されたシートを給送する給送ローラと、を備えたシート給送装置において、前記手差し積載部上のシートの有無を検知するシート有無検知部と、前記手差し積載部に既に積載されているシートに継ぎ足されるシートを前記給送ローラに接触させないように仮置きする仮置き位置と、前記仮置き位置で仮置きされたシートを前記給送ローラに供給可能な供給可能状態とに移動可能なシート規制部材と、前記シート規制部材を駆動する駆動部と、を備え、前記シート有無検知部により前記手差し積載部上にシートが無いと検知された場合、前記検知に基づき前記駆動部を作動させて、前記仮置き位置の前記シート規制部材を前記供給可能状態に移動させた後、前記仮置き位置に戻すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、仮置き位置でシートを手差しで継ぎ足されるシート規制部材を、シート有無の検知に基づいて供給可能状態に移動させてから仮置き位置に戻すので、給送動作中でも給送トレイにシートを継ぎ足して、連続的に給送動作を実行できる。従って、ジョブを中断することなく連続的に実行することができて生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る第1の実施形態における手差し給送装置を示す側面図。
【図2】第1の実施形態における手差し給送装置を示す側面図。
【図3】第1の実施形態における手差し給送装置の作動を説明する側面図。
【図4】第1の実施形態における手差し給送装置の駆動構造を示す側面図。
【図5】第1の実施形態における手差し給送装置を示す斜視図。
【図6】第1の実施形態における制御系を示すブロック図。
【図7】第1の実施形態における作用を示すフローチャート。
【図8】本発明に係る画像形成装置を概略的に示す断面図。
【図9】本発明に係る第2の実施形態における手差し給送装置を示す側面図。
【図10】第2の実施形態における手差し給送装置の作動を説明する側面図。
【図11】第2の実施形態における手差し給送装置を示す斜視図。
【図12】第2の実施形態における制御系を示すブロック図。
【図13】第2の実施形態における作用を示すフローチャート。
【図14】従来の手差し給送装置を説明する部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
本発明に係る第1の実施形態について、図1乃至図8を参照して説明する。図1〜図4は、本実施形態におけるシート給送装置としての手差し給送装置をシート給送方向と直交する方向から見た状態で示す側面図、図5は、本実施形態の手差し給送装置を示す斜視図、図6は、本実施形態の制御系を示すブロック図である。図7は、本実施形態の作用を示すフローチャート、図8は、本発明に係るシート給送装置としての手差し給送装置を備えた画像形成装置を概略的に示す断面図である。
【0012】
まず、図8に沿って画像形成装置201の全体構成について説明する。即ち、同図に示すように、本画像形成装置201は、画像形成装置本体201aを備えている。画像形成装置本体201aは、カセット給送部211と、画像形成部212と、シートPを給送する給送ローラ243と、シートPを搬送するローラ対244,240b〜240eと、トレイ218a,218bとを備えている。トレイ218a,218bは、画像形成装置本体201aから排出される画像形成済みのシートを積載する。
【0013】
2箇所のカセット給送部211には、シートPを収納して画像形成装置本体201aに着脱自在な給紙カセット211aがそれぞれ配置されている。画像形成部212は、円筒状の感光ドラム(224Y,224M,224C,224K)と、その回りに配置された不図示の現像器、帯電器等とを備えた一般的な電子写真によるものである。画像形成部212の下流側には、定着装置213、排出ローラ対217a,217b等が配設されている。また、画像形成装置本体201aの側面には、手差し積載部としての手差し給送用の中板103上にシートを積載可能に構成された手差し給送装置が配設されている。
【0014】
次に、画像形成装置本体201aの動作について説明する。画像形成装置本体201aでは、画像データが入力されると給送信号が出力されて、カセット給送部211の2つの給紙カセット211aのいずれかが選択され、シートPが給送される。画像形成部212では、データ処理された光(レーザ光等)が感光ドラム224に照射されて、静電潜像が感光ドラム表面に形成される。
【0015】
感光ドラム224は、不図示の1次帯電器により予め帯電され、光が照射されることによって静電潜像が形成され、次いで、現像器により静電潜像が現像され、トナー像としての可視像が形成される。さらに、1次転写ベルト222にトナー画像が1次転写され、2次転写部210へと送られる。1次転写ベルト222は、2次転写後に、ベルトクリーニング装置215で残トナーが清掃される。
【0016】
カセット給送部211から給送されたシートPは、レジストローラ226で斜行が補正され、さらにタイミングが合わされて2次転写部210へ送られて画像が転写された後、定着装置213で転写画像を定着される。画像が定着されたシートPは、排出ローラ対217a又は217bにより画像形成装置本体201aから、トレイ218a又は218bに排出される。また場合によっては、シートPは、フラッパ214と反転搬送ローラ対220とにより、反転された後に両面パス部230に搬送され、裏面に2度目の画像形成が行われて両面に画像形成された状態で画像形成装置本体201aから排出される。
【0017】
本実施形態における手差し給送では、給送トレイの手差し積載部である中板103上の(手差し積載部上)のシートを、手差し給送ローラ101と分離ローラ102とで1枚に分離して、引抜きローラ104に送り出す。引抜きローラ104で搬送されたシートは、レジストローラ226で斜行が補正され、さらにタイミングが合わされて2次転写部210に送られ、画像が転写される。画像形成されたシートは、定着装置213によって転写画像を定着される。転写画像が定着されたシートは、排出ローラ対217a又は217bにより画像形成装置本体201aから、トレイ218a又は218bに排出される。
【0018】
また、両面時の動作はカセット給送時と同様で、フラッパ214と反転搬送ローラ対220とにより反転されたシートは、両面パス部230に搬送され、裏面に2度目の画像が形成されて両面画像形成された状態で、画像形成装置本体201aから排出される。
【0019】
次に、本実施形態における手差し給送装置について図1乃至図7を参照して説明する。手差し給送装置は、図1(a),(b)に示すように、シート107(以下、シート束107ともいう)を積載する給送トレイの中板103、シート107を給送する給送ローラ101、及び、給送ローラ101に圧接される分離ローラ102を備えている。
【0020】
手差し積載部である中板103は、回動軸103a(図5参照)を支点として、給送時にシート107の先端部を給送ローラ101に圧接させる上方位置と、シート107の先端部を給送ローラ101から離間させる下方位置とに回動可能に支持されている。分離ローラ102は、同軸上に配設された不図示のトルクリミッタによって所定の分離トルクを作用されている。給送ローラ101と分離ローラ102との給送ニップ部にシート107が1枚だけ狭持されている場合、分離ローラ102は、シート107に連れて搬送方向へ順転する。そして、シート107が2枚以上狭持されている場合、分離ローラ102は、シート107を中板103に押し戻す方向に逆転し、シート107の分離を行うように構成されている。
【0021】
次に、図2を参照して、手差しによる給送動作と給送トレイ上のシート無し検知とについて説明する。図2(a)は中板103が下降した状態(下方位置)を示し、この状態から中板103が図2(b)のように矢印A方向に上昇して上方位置に位置し、給送ローラ101に当接した状態となる。そして、図2(b)の状態で給送ローラ101が回転することにより、積載されているシート束107の最上位のシート107が送り出される。
【0022】
給送されたシート107は、分離ローラ102により1枚に分離されて引抜きローラ対104に搬送されて、画像形成部212へと搬送される。そして、給送動作が進むに従って、中板103上のシート106は減少して、最終的にはシート無しの状態となる。図2(d)は、中板103上のシート107が無くなった状態を示す。
【0023】
手差し給送装置には、給送トレイ側に支持された回動軸116aを支点として回動可能にシート有無検知フラグ116が設けられている。シート有無検知フラグ116は、下部側の検知部116bが、画像形成装置本体201a側に支持されたシート有無検知部であるシート有無センサ117により検知されることで、中板103上のシート107(106)の有無を検知する。シート有無検知フラグ116は、中板103上にシート107が有る場合には、図2(c)のようにシート有無センサ117を遮蔽しない位置にある。そして、シート有無検知フラグ116は、中板103上にシート107が無くなると、図2(d)に示す位置に回動してシート有無センサ117を遮蔽することで、シート無しを検知する。このシート有無センサ117は、一般的な光センサによって構成することができる。
【0024】
本実施形態では、給送ローラ101で送り出される中板103上のシート107の給送動作を、継ぎ足しされるシート106が妨げないようにするため、シート規制部材としての仮置きストッパ105が配設されている。
【0025】
図1(a)は、給送トレイの中板103が上方位置にあり給送ローラ101にシート107の先端部が当接した状態を示している。図1(a)の状態で、給送ローラ101を図1(a)の時計回り方向に回転させることにより、シート束107の最上位のシート107が送り出される。
【0026】
図1(b)は、中板103が下方位置にある状態を示している。この状態で、仮置きストッパ105の突出部105a上に仮置きされたシート106(以下、シート束106ともいう)は、中板103上に先に積載されているシート束107とは給送ローラ101の給送部で分離された形で積載される。
【0027】
仮置きストッパ105は、給送動作中にシート106が継ぎ足しされた際に、継ぎ足しされたシート106(以下、継ぎ足しシート106ともいう)が、中板103上のシート107がある間は給送ローラ101によって給送されないようにする。即ち、中板103に既に積載されているシート107に継ぎ足されるシート106を給送ローラ101に接触させないように仮置きする待機位置と、待機位置で仮置きされたシート106を給送ローラ101に供給可能な供給可能状態とに移動可能に支持される。従って、継ぎ足しシート106は、シート規制部材としての仮置きストッパ105の突出部105a上に積載されると、給送動作中の給送ローラ101には当接しない。
【0028】
図4及び図5に示すように、仮置きストッパ105は、給送ローラ101の中心に固定された回転軸101aに対し回転可能に取り付けられ、給送ローラ101と同軸かつ相対回転可能に支持されている。回転軸101aは、画像形成装置本体201a側に支持されている。仮置きストッパ105は、給送ローラ101の両側に2つが軸方向移動を規制されて配置されている。これらのそれぞれが、待機位置(仮置き位置)で中板103側(手差し積載部側)に突出してシートを担持する突起部105bを有する回転部材として構成されている。
【0029】
回転軸101aにおける給送ローラ101と仮置きストッパ105,105との間には、駆動ギヤ109,109が相対回転可能にそれぞれ支持されている。駆動ギヤ109,109は、近接する各仮置きストッパ105に対して相対回転不能に固定されている。従って、駆動ギヤ109と仮置きストッパ105とを一体化した2組が、回転軸101a上を同じ位相で給送ローラ101に対して相対回転するように構成されている。一方(図5の右側)の仮置きストッパ105の側面には、突起部105bが突出形成されている。
【0030】
駆動ギヤ109,109には、それぞれ駆動伝達ギヤ110,110が噛合されている。駆動伝達ギヤ110,110は、画像形成装置本体201a側に支持された回転軸135に固定されている。従って、制御部131(図6参照)の制御で、駆動部としての駆動モータ136(図6参照)が駆動すると、回転軸135、駆動伝達ギヤ110、駆動ギヤ109を介して、2つの仮置きストッパ105が同時に回転する。
【0031】
仮置きストッパ105は、待機位置(仮置き位置)まで回転すると(図3(e)参照)、画像形成装置本体201a側に支持された仮置きストッパ検知センサ108で突起部105bが検知される。すると、この検知に基づく制御部131が、仮置きストッパ制御回路133と駆動モータ(駆動部)136を介して仮置きストッパ105を停止させる。なお、仮置きストッパ検知センサ108は、一般の光センサによって構成されている。
【0032】
次に、図6を参照して、本実施形態における制御系について説明する。即ち、画像形成装置201は、制御部131を備えている。この制御部131には、操作パネル134、シート有無センサ117、仮置きストッパ検知センサ108、シート給送制御回路132、及び、仮置きストッパ105を回転制御する仮置きストッパ制御回路133が接続されている。仮置きストッパ制御回路133には、シート規制部材である仮置きストッパ105を駆動する駆動部としての駆動モータ136が接続されている。
【0033】
上記制御系において、操作パネル134からの入力信号が制御部131に入力されると、制御部131は、給送ローラ101の回転制御と中板103の昇降制御とを行うシート給送制御回路132に信号を出力する。
【0034】
また、制御部131は、シート有無センサ117により中板103上にシートが無いと検知された場合、この検知に基づき、仮置きストッパ制御回路133を介して駆動モータ(駆動部)136を作動させる。これにより、待機位置の仮置きストッパ105を供給可能状態に移動させた後、待機位置に復帰させるように(戻すように)制御する。さらに、仮置きストッパ検知センサ108からの検知信号が制御部131に入力されると、制御部131は、仮置きストッパ制御回路133に指令を出力して、駆動モータ136の駆動を停止させる。また、仮置きストッパ105の供給可能状態への回転で、継ぎ足しシート106が中板103の正規位置に移動すると、シート有無センサ117が、中板103にシート106があることを検知する。
【0035】
制御部131は、仮置きストッパ105を供給可能状態に回転させた後に待機位置に復帰させた(戻した)際、シート有無センサ117により中板103上にシートが無いと検知されると、突出部105aを中板103上から退避させるように制御する。つまり、中板103上へのシートの手差し補給が可能となるように突出部105aを中板103上から退避させるべく仮置きストッパ105を回転させる。
【0036】
次に、仮置きストッパ105の動作の詳細について、図3及び図4を用いて説明する。初期のシートセット時に、中板103と仮置きストッパ105にシートを同時にセットしても本発明の効果はかわらないので、ここでは、シートを継ぎ足したことを想定して説明を進める。
【0037】
本実施形態の手差し給送装置では、上述したように、継ぎ足しシート106が給送ローラ101によって給送されないようにするための仮置きストッパ105が設けられている。この継ぎ足しシート106は、仮置きストッパ105の突出部105aの上に積載されるため、給送動作中の給送ローラ101に当接しない。給送動作が続くことにより、中板103上に先に積載されているシート107(図3では不図示)が減少して、最終的には無くなる。シート無し状態が検知されると、給送ローラ101の回転軸101aに回転可能に支持された仮置きストッパ105が、回転軸101aを中心に回転させられる。
【0038】
すなわち、給送動作が続くと、中板103上のシート107は減少し、最終的には無くなって、その状態がシート有無センサ117(図6参照)によって検知される(図3(a))。シート無し状態が検知されると、この検知結果に基づいて制御部131が仮置きストッパ制御回路133を介して駆動モータ136を駆動するため、仮置きストッパ105が時計回り方向(矢印B方向)に回転を開始させる(図3(b))。
【0039】
すると、仮置きストッパ105の回転により、継ぎ足しシート106が、中板103上の正規のポジションに移動可能な状態となる(図3(c))。そして、仮置きストッパ105の回転がさらに続くと、継ぎ足しシート106は、中板103上の正規のポジションに移動し、積載される(図3(d))。
【0040】
そして、仮置きストッパ105の突起部105bが仮置きストッパ検知センサ108で検知されると、制御部131は、図3(e)の待機位置まで復帰した(戻った)と判断して、仮置きストッパ105の回転を停止させる。この後、中板103が上方位置に上昇されて図2(b)の状態となり、給送動作を続けることになる。そして、継ぎ足しシート106がさらに継ぎ足しされると、図3の一連の動作を進めることになる。このように、給送動作中、中板103に移動したシート106を順次給送することで、給送動作を中断させることなく再開できるので、生産効率が大幅に向上する。
【0041】
引き続き、本実施形態における仮置きストッパ105の動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
処理がスタートし、ステップS1で、シート有無センサ117によってシート有りと検知されると、制御部131は、仮置きストッパ105が待機位置にあるか否かを仮置きストッパ検知センサ108の検知結果に基づいて判断する(ステップS2)。なお、スタート時とは、画像形成装置本体201aの電源ON時、給送動作中、給送動作終了時である。
【0043】
一方、ステップS1で中板103上のシート107が無いと検知された場合、制御部131は、仮置きストッパ検知センサ108の検知に基づいて仮置きストッパ105の位置を判断する(ステップS3)。その結果、仮置きストッパ105が待機位置(仮置き位置)に無い場合、制御部131は、仮置きストッパ105は待機位置以外にあると判断し、仮置きストッパ105を、仮置き検知センサ108が検知する待機位置まで回転させる(ステップS4)。その後、制御部131は、仮置きストッパ105を、突出部105aが中板103から離間する図3(d)の位置まで回転させる(ステップS5)。これにより、中板103にシートを補給する際に仮置きストッパ105が邪魔にならなくなるので、シート補給をスムーズに行うことができる。そして、操作パネル134に、ユーザにシート補給を催促する内容(シート補給表示)を表示する(ステップS6)。
【0044】
なお、仮置きストッパ105を図3(d)の位置まで回転させる際、駆動モータ136の回転時間を制御すれば、位置センサを新たに設けずに制御が可能になるが、その場合も本発明の効果はかわらないので、位置センサを新たに設けない構成として説明する。
【0045】
ステップS3で、仮置きストッパ105は待機位置に有ると仮置きストッパ検知センサ108が検知した場合、制御部131は、仮置きストッパ105を供給可能状態にさせつつ1回転させる(ステップS7)。これにより、仮置きストッパ105にあるかもしれない継ぎ足しシート106を、中板103に移動させる動作をさせる。さらにステップS8で、再度給送トレイのシートの有無を検知させ、再検知後にシート有りを検知すると、仮置きストッパ105に積載されていた継ぎ足しシート106が中板103に適正に移動したものと判断し、給送動作を可能状態にする(ステップS10)。
【0046】
一方、ステップS8で、再度のシート有無の検知でシート無しが検知された場合、上記のように仮置きストッパ105を図3(d)に示す位置まで回転させた後(ステップS5)、シート補給表示を操作パネル134に表示する(ステップS6)。
【0047】
また、上記ステップS2で、仮置きストッパ105は待機位置にあると判断した場合、制御部131は、給送動作を可能状態にする(ステップS10)。さらに、ステップS11においてシートを給送する給送動作を行い、ステップS12で、制御部131は、ジョブ設定枚数が給送されたと判断すると、処理を終了する(ステップS13)。また、ジョブ設定枚数にならない場合には、再度、ステップS11とステップS12を繰り返す。
【0048】
また、ステップS2で、仮置きストッパ105が待機位置に無い場合、制御部131は、仮置きストッパ105が待機位置以外にあると判断する。待機位置以外にある状態とは、中板103にシート107があるが、仮置きストッパ105がどこにあるか分からない状態を意味する。例えば、停電等で画像形成装置本体201aが停止したとき、仮置きストッパ105が待機位置と中板103上のシート107との間で停止することが予想される。この状態で、仮置きストッパ105を回転させると、シート107が邪魔になって仮置きストッパ105の回転を損なうことになり、その結果、シートを傷つけたり、仮置きストッパ105の破損、駆動系の破損を招いたりする虞がある。そこで、このような状態を検知したときは、ユーザに一度、中板103のシートを取り除いて再セットしてもらう操作指示を、操作パネル134に表示する(ステップ9)。
【0049】
なお、仮置きストッパ105の駆動モータ136に異常時の電流値検知器等を設けて、異常負荷が駆動系にかかったときには駆動モータ136を停止するように構成することができる。また、仮置きストッパ105の駆動モータ136を逆回転させて、再度、待機位置を検知する構成にしてもよい。本実施形態における異常時の対応として、仮置きストッパ105の位置をさらに多くのセンサで検知するような構成は、仮置きストッパ105の位置を如何にして検知するかの検知部に関するものであり、本発明の効果を妨げるものではない。
【0050】
以上のように本実施形態では、中板103上のシート107と仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106を、給送可能な状態に簡便にセットすることができる。また、中板103上のシート107が無くなると、仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106が順次給送されるので、仮置きストッパ105にシート106を継ぎ足すことで、ジョブを停止せずに連続的に実行することができる。このように、ジョブを中断することなく、中板103に手差しでシートを継ぎ足しながら連続的にシート給送を行うことができるので、ユーザの作業負担を軽くしながら大量のジョブを実行できるようになる。従って、作業効率と生産性を向上させたシート給送装置、及びこれを備えた画像形成装置201を提供することができる。
【0051】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る第2の実施形態について図9乃至図13を参照して説明する。図9及び図10は、本実施形態における手差し給送装置をシート給送方向と直交する方向から見た図、図11は、本実施形態の手差し給送装置を示す斜視図である。図12は、本実施形態の制御系を説明するためのブロック図である。本実施形態では、手差し給送の給送動作は第1の実施形態の場合と同様なので、共通する部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる点に絞って説明をする。
【0052】
本実施形態では、シート規制部材である仮置きストッパ105の突出部105a上(突出部上)に仮置きされたシートの有無を検知する、仮置きシート有無検知部としてのシート有無センサ112をさらに備えている。このシート有無センサ112は、シートが継ぎ足しされた際に、仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106があることを検知する。なお、シート有無センサ112は、一般的な光センサによって構成されている。
【0053】
つまり、図9〜図11に示すように、シート有無センサ112が画像形成装置本体201a側に支持されている。また、給送ローラ101の回転軸101aには、シート有無検知フラグ113が、図11の左側の仮置きストッパ105に隣接するように仮置きストッパ105と同軸に且つ回転可能に設けられている。さらに、仮置きストッパ105の側面に突起状部105cが設けられており、仮置きストッパ105が図11の時計回り方向に回転すると、突起状部105cによりシート有無検知フラグ113が同方向に連れ回されて回転するように構成されている。
【0054】
シート有無検知フラグ113は、仮置きストッパ105が待機位置にある状態(図9(a))で突出部105aの上方にやや突出する凸状部113aを先端部に有している。シート有無検知フラグ113はさらに、シート有無センサ112を構成する発光・受光部の間のスリットに進退してシート有無センサ112をオン、オフさせる遮蔽部113bを後端部に有している。シート有無検知フラグ113は、仮置きストッパ105上にシートが無いときは、自重でバランスをとり、凸状部113aが図9(a)に示すように、突出部105aのやや上方に位置して待機する。この構成により、シート有無センサ112がシート有無検知フラグ113を検知することに基づき、制御部131は継ぎ足しシート106の有無を判断する。
【0055】
次に、本実施形態における手差し給送装置の動作について説明する。図9(a)、図10(a)に示す待機位置で、突出部105a上に継ぎ足しシート106が積載されると(図9(b)、図10(b))、凸状部113aが継ぎ足しシート106で押下され、シート有無検知フラグ113が図中の時計回り方向にやや回動する。すると、シート有無検知フラグ113の遮蔽部113bがシート有無センサ112をオンさせ、これにより、シート有無センサ112によって継ぎ足しシート106が検知される。
【0056】
本実施形態では、仮置きストッパ105上に継ぎ足しシート106があることを検知できるので、手差し積載部としての中板103にシートが無くなったことを検知した場合、直ちに仮置きストッパ105を回転させることができる。このため、第1の実施形態と同様の効果を奏しながら、継ぎ足しシート106を中板103の正規位置に移動させる動作がさらに迅速になるという効果を得ることができる。また、仮置きストッパ105へのシート補給が可能である旨のメッセージを操作パネル134に表示することができ、ユーザの使いやすさを向上させることができる。
【0057】
次に、図12に沿って、第1の実施形態と異なる部分のみを説明する。図12に示すように、シート有無センサ112による検知信号が制御部131に入力されると、制御部131は、仮置きストッパ105を回転制御する信号を仮置きストッパ制御回路133に出力する。
【0058】
また、シート有無センサ112が仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106があることを検知している際、中板103上のシート107が無いと検知された場合には、直ちに仮置きストッパ105を回転させることが可能になる。この際、制御部131が、その検知信号に基づき、仮置きストッパ制御回路133を介して仮置きストッパ105を回転させる。その後、仮置きストッパ制御回路133は、仮置きストッパ検知センサ108の検知信号に基づく制御部131の信号に従って、仮置きストッパ105の回転を停止させる。
【0059】
図13は、本実施形態における手差し給送装置の仮置きストッパ105の動作の一例を示すフローチャートである。図13において、スタート時とは、本体の電源ON時、給送動作中、給送動作終了時のときである。
【0060】
処理がスタートすると、ステップS21で、シート有無検知部であるシート有無センサ117により中板103上のシート107の有無が検知される。その結果、中板103上のシート107が無いと検知された際、ステップS23で、仮置きストッパ105が待機位置(仮置き位置)に無い場合には、制御部131は、仮置きストッパ105は待機位置以外にあると判断する。そして、仮置きストッパ105を、仮置きストッパ検知センサ108が検知する待機位置まで回転させ、その後、仮置きストッパ105を、突出部105aが中板103から離間する図10(e)の位置まで回転させる(ステップS25)。
【0061】
これにより、中板103にシートを補給する際に仮置きストッパ105が邪魔にならなくなるので、シート補給をスムーズに行うことができる。そして、操作パネル134に、ユーザにシート補給を催促する内容(シート補給表示)を表示する(ステップS26)。
【0062】
また、ステップS23において、仮置きストッパ105が待機位置に有ると仮置きストッパ検知センサ108が検知した場合には、シート有無センサ112によってシートの有無を検知する(ステップS24)。その結果、シート有りを検知すると、制御部131は、仮置きストッパ105を供給可能状態にさせつつ1回転させる(ステップS27)。これにより、仮置きストッパ105にあるかもしれない継ぎ足しシート106を、中板103に移動させる動作をさせる。
【0063】
さらに、ステップS28で、再度、給送トレイの中板103上のシートの有無を検知させ、再検知後にシート有りを検知すると、仮置きストッパ105に積載されていた継ぎ足しシート106が中板103に適正に移動したものと判断する。そして、給送動作を可能状態にする(ステップS33)。
【0064】
また、ステップS24において、シート有無センサ112によりシート無しを検知すると、操作パネル134に、ユーザにシート補給を催促する内容(シート補給表示)を表示する(ステップS26)。
【0065】
一方、ステップS28において、再度のシート有無の検知でシート無しが検知された場合、実際には中板103上にシートが有るはずなのに無しを検知している状態である。このような状態を検知したときは、ユーザに一度、中板103のシートを取り除いて再セットしてもらう操作指示を、操作パネル134に表示する(ステップS30)。
【0066】
また、ステップS22において、仮置きストッパ105が待機位置に無い場合、制御部131は、仮置きストッパ105が待機位置以外にあると判断する。待機位置以外にある状態とは、中板103にシート107があるが、仮置きストッパ105がどこにあるか分からない状態を意味する。このような状態を検知したときは、ユーザに一度、中板103のシートを取り除いて再セットしてもらう操作指示を、操作パネル134に表示する(ステップS29)。
【0067】
なお、上記ステップS28でシート無しと判断される原因には、仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106がセット不良、或いはカールの大きい継ぎ足しシート106がセットされることでシート106が中板103に確実に移動しない場合が挙げられる。この状態の継ぎ足しシート106では、給送不良の原因になる虞があるので、再セット、シート交換等をユーザに促すメッセージを操作パネル134に表示することで、給送不良を回避させる。
【0068】
また、ステップS22において、仮置きストッパ105が待機位置に有る場合、ステップS31において、シート有無センサ112により仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106の有無を検知する。その結果、仮置きストッパ105上に継ぎ足しシート106が無いと検知された場合、ステップS37において、仮置きストッパ105上にシート106の補給を促すメッセージを操作パネル134に表示する。
【0069】
また、ステップS31で、仮置きストッパ105上に継ぎ足しシート106が有ると検知された場合には、給送動作を可能状態にする(ステップS33)。そして、ステップS34で、シートを給送する給送動作を行い、ステップS35で、ジョブ設定枚数が給送されたと判断すると、処理を終了する(ステップS36)。また、ジョブ設定枚数にならない場合には、再度、ステップS34とステップS35を繰り返す。
【0070】
なお、第1及び第2の実施形態は、図14で説明した分離パット4ではなく分離ローラ102を用いた手差し給送の構成であるが、本発明における手差し給送を連続的にできるという効果は、分離パットを用いた構成でもかわらないことは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
101…給送ローラ、101a…回転軸、103…手差し積載部(中板)、105…シート規制部材,回転部材(仮置きストッパ)、105a…突出部、106,107…シート、112…仮置きシート有無検知部(シート有無センサ)、117…シート有無検知部(シート有無センサ)、136…駆動部(駆動モータ)、201…画像形成装置、212…画像形成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に備えた手差し方式のシート給送装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ等の画像形成装置では、定形サイズのシートを大量に収納する給紙カセット又は給紙デッキからシートを給送するシート給送装置の他に、不定形サイズ(はがき等)、OHP、特殊紙等を給送する手差し給送装置が設けられている。このような手差し給送装置では、給送動作中にシートを継ぎ足して使用すると、継ぎ足したシートが分離部に入り込み、シートが複数枚重なった重送を発生し、シート給送不良の原因となる。
【0003】
これについて、図14の手差し給送装置を参照して説明する。この手差し給送装置では、給送トレイの底板部2に積載されたシートPsは、底板部2を付勢するバネ3により給送ローラ1に圧接され、給送ローラ1が図中の時計方向に回転すると、最上位のシートから順に給送される。その際、シートPsは分離パット4によって1枚に分離され、搬送ローラ対8により不図示の画像形成部へと搬送される。この構造では、給送ローラ1の軸11に、先端に突起部15を有するシート止め部材12が回動自在に取り付けられている。これにより、シートPsに継ぎ足されたシートPaの先端を突起部15ですくい上げて、給送ローラ1への進入を防ぐことで、重送を回避することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−348133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1記載の手差し給送装置によると、給送トレイ上のシートPs,Paが全て無くなった場合、給送トレイ上の積載量で決まるジョブを中断しなければ、次なるシート補給を行うことはできない。
【0006】
このような従来の手差し給送装置で、例えば、表紙を特殊紙(厚紙等)で作成する冊子作成ジョブを大量に実行する場合には、次のような問題が生じる。冊子の表紙以外のシートを大容量の給紙デッキから給送して、表紙となる特殊紙を手差しの給送トレイから給送するジョブを実行する場合、給紙デッキから給送されるシートより早く手差し給送されるシートが無くなって、ジョブが中断することになる。その場合、生産性が低下してしまう。
【0007】
本発明は、ジョブを中断することなく、給送トレイに手差しでシートを継ぎ足しながら連続的にシート給送を行うことで、生産性を向上させたシート給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、手差しされたシートを積載する手差し積載部と、前記手差し積載部に積載されたシートを給送する給送ローラと、を備えたシート給送装置において、前記手差し積載部上のシートの有無を検知するシート有無検知部と、前記手差し積載部に既に積載されているシートに継ぎ足されるシートを前記給送ローラに接触させないように仮置きする仮置き位置と、前記仮置き位置で仮置きされたシートを前記給送ローラに供給可能な供給可能状態とに移動可能なシート規制部材と、前記シート規制部材を駆動する駆動部と、を備え、前記シート有無検知部により前記手差し積載部上にシートが無いと検知された場合、前記検知に基づき前記駆動部を作動させて、前記仮置き位置の前記シート規制部材を前記供給可能状態に移動させた後、前記仮置き位置に戻すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、仮置き位置でシートを手差しで継ぎ足されるシート規制部材を、シート有無の検知に基づいて供給可能状態に移動させてから仮置き位置に戻すので、給送動作中でも給送トレイにシートを継ぎ足して、連続的に給送動作を実行できる。従って、ジョブを中断することなく連続的に実行することができて生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る第1の実施形態における手差し給送装置を示す側面図。
【図2】第1の実施形態における手差し給送装置を示す側面図。
【図3】第1の実施形態における手差し給送装置の作動を説明する側面図。
【図4】第1の実施形態における手差し給送装置の駆動構造を示す側面図。
【図5】第1の実施形態における手差し給送装置を示す斜視図。
【図6】第1の実施形態における制御系を示すブロック図。
【図7】第1の実施形態における作用を示すフローチャート。
【図8】本発明に係る画像形成装置を概略的に示す断面図。
【図9】本発明に係る第2の実施形態における手差し給送装置を示す側面図。
【図10】第2の実施形態における手差し給送装置の作動を説明する側面図。
【図11】第2の実施形態における手差し給送装置を示す斜視図。
【図12】第2の実施形態における制御系を示すブロック図。
【図13】第2の実施形態における作用を示すフローチャート。
【図14】従来の手差し給送装置を説明する部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
本発明に係る第1の実施形態について、図1乃至図8を参照して説明する。図1〜図4は、本実施形態におけるシート給送装置としての手差し給送装置をシート給送方向と直交する方向から見た状態で示す側面図、図5は、本実施形態の手差し給送装置を示す斜視図、図6は、本実施形態の制御系を示すブロック図である。図7は、本実施形態の作用を示すフローチャート、図8は、本発明に係るシート給送装置としての手差し給送装置を備えた画像形成装置を概略的に示す断面図である。
【0012】
まず、図8に沿って画像形成装置201の全体構成について説明する。即ち、同図に示すように、本画像形成装置201は、画像形成装置本体201aを備えている。画像形成装置本体201aは、カセット給送部211と、画像形成部212と、シートPを給送する給送ローラ243と、シートPを搬送するローラ対244,240b〜240eと、トレイ218a,218bとを備えている。トレイ218a,218bは、画像形成装置本体201aから排出される画像形成済みのシートを積載する。
【0013】
2箇所のカセット給送部211には、シートPを収納して画像形成装置本体201aに着脱自在な給紙カセット211aがそれぞれ配置されている。画像形成部212は、円筒状の感光ドラム(224Y,224M,224C,224K)と、その回りに配置された不図示の現像器、帯電器等とを備えた一般的な電子写真によるものである。画像形成部212の下流側には、定着装置213、排出ローラ対217a,217b等が配設されている。また、画像形成装置本体201aの側面には、手差し積載部としての手差し給送用の中板103上にシートを積載可能に構成された手差し給送装置が配設されている。
【0014】
次に、画像形成装置本体201aの動作について説明する。画像形成装置本体201aでは、画像データが入力されると給送信号が出力されて、カセット給送部211の2つの給紙カセット211aのいずれかが選択され、シートPが給送される。画像形成部212では、データ処理された光(レーザ光等)が感光ドラム224に照射されて、静電潜像が感光ドラム表面に形成される。
【0015】
感光ドラム224は、不図示の1次帯電器により予め帯電され、光が照射されることによって静電潜像が形成され、次いで、現像器により静電潜像が現像され、トナー像としての可視像が形成される。さらに、1次転写ベルト222にトナー画像が1次転写され、2次転写部210へと送られる。1次転写ベルト222は、2次転写後に、ベルトクリーニング装置215で残トナーが清掃される。
【0016】
カセット給送部211から給送されたシートPは、レジストローラ226で斜行が補正され、さらにタイミングが合わされて2次転写部210へ送られて画像が転写された後、定着装置213で転写画像を定着される。画像が定着されたシートPは、排出ローラ対217a又は217bにより画像形成装置本体201aから、トレイ218a又は218bに排出される。また場合によっては、シートPは、フラッパ214と反転搬送ローラ対220とにより、反転された後に両面パス部230に搬送され、裏面に2度目の画像形成が行われて両面に画像形成された状態で画像形成装置本体201aから排出される。
【0017】
本実施形態における手差し給送では、給送トレイの手差し積載部である中板103上の(手差し積載部上)のシートを、手差し給送ローラ101と分離ローラ102とで1枚に分離して、引抜きローラ104に送り出す。引抜きローラ104で搬送されたシートは、レジストローラ226で斜行が補正され、さらにタイミングが合わされて2次転写部210に送られ、画像が転写される。画像形成されたシートは、定着装置213によって転写画像を定着される。転写画像が定着されたシートは、排出ローラ対217a又は217bにより画像形成装置本体201aから、トレイ218a又は218bに排出される。
【0018】
また、両面時の動作はカセット給送時と同様で、フラッパ214と反転搬送ローラ対220とにより反転されたシートは、両面パス部230に搬送され、裏面に2度目の画像が形成されて両面画像形成された状態で、画像形成装置本体201aから排出される。
【0019】
次に、本実施形態における手差し給送装置について図1乃至図7を参照して説明する。手差し給送装置は、図1(a),(b)に示すように、シート107(以下、シート束107ともいう)を積載する給送トレイの中板103、シート107を給送する給送ローラ101、及び、給送ローラ101に圧接される分離ローラ102を備えている。
【0020】
手差し積載部である中板103は、回動軸103a(図5参照)を支点として、給送時にシート107の先端部を給送ローラ101に圧接させる上方位置と、シート107の先端部を給送ローラ101から離間させる下方位置とに回動可能に支持されている。分離ローラ102は、同軸上に配設された不図示のトルクリミッタによって所定の分離トルクを作用されている。給送ローラ101と分離ローラ102との給送ニップ部にシート107が1枚だけ狭持されている場合、分離ローラ102は、シート107に連れて搬送方向へ順転する。そして、シート107が2枚以上狭持されている場合、分離ローラ102は、シート107を中板103に押し戻す方向に逆転し、シート107の分離を行うように構成されている。
【0021】
次に、図2を参照して、手差しによる給送動作と給送トレイ上のシート無し検知とについて説明する。図2(a)は中板103が下降した状態(下方位置)を示し、この状態から中板103が図2(b)のように矢印A方向に上昇して上方位置に位置し、給送ローラ101に当接した状態となる。そして、図2(b)の状態で給送ローラ101が回転することにより、積載されているシート束107の最上位のシート107が送り出される。
【0022】
給送されたシート107は、分離ローラ102により1枚に分離されて引抜きローラ対104に搬送されて、画像形成部212へと搬送される。そして、給送動作が進むに従って、中板103上のシート106は減少して、最終的にはシート無しの状態となる。図2(d)は、中板103上のシート107が無くなった状態を示す。
【0023】
手差し給送装置には、給送トレイ側に支持された回動軸116aを支点として回動可能にシート有無検知フラグ116が設けられている。シート有無検知フラグ116は、下部側の検知部116bが、画像形成装置本体201a側に支持されたシート有無検知部であるシート有無センサ117により検知されることで、中板103上のシート107(106)の有無を検知する。シート有無検知フラグ116は、中板103上にシート107が有る場合には、図2(c)のようにシート有無センサ117を遮蔽しない位置にある。そして、シート有無検知フラグ116は、中板103上にシート107が無くなると、図2(d)に示す位置に回動してシート有無センサ117を遮蔽することで、シート無しを検知する。このシート有無センサ117は、一般的な光センサによって構成することができる。
【0024】
本実施形態では、給送ローラ101で送り出される中板103上のシート107の給送動作を、継ぎ足しされるシート106が妨げないようにするため、シート規制部材としての仮置きストッパ105が配設されている。
【0025】
図1(a)は、給送トレイの中板103が上方位置にあり給送ローラ101にシート107の先端部が当接した状態を示している。図1(a)の状態で、給送ローラ101を図1(a)の時計回り方向に回転させることにより、シート束107の最上位のシート107が送り出される。
【0026】
図1(b)は、中板103が下方位置にある状態を示している。この状態で、仮置きストッパ105の突出部105a上に仮置きされたシート106(以下、シート束106ともいう)は、中板103上に先に積載されているシート束107とは給送ローラ101の給送部で分離された形で積載される。
【0027】
仮置きストッパ105は、給送動作中にシート106が継ぎ足しされた際に、継ぎ足しされたシート106(以下、継ぎ足しシート106ともいう)が、中板103上のシート107がある間は給送ローラ101によって給送されないようにする。即ち、中板103に既に積載されているシート107に継ぎ足されるシート106を給送ローラ101に接触させないように仮置きする待機位置と、待機位置で仮置きされたシート106を給送ローラ101に供給可能な供給可能状態とに移動可能に支持される。従って、継ぎ足しシート106は、シート規制部材としての仮置きストッパ105の突出部105a上に積載されると、給送動作中の給送ローラ101には当接しない。
【0028】
図4及び図5に示すように、仮置きストッパ105は、給送ローラ101の中心に固定された回転軸101aに対し回転可能に取り付けられ、給送ローラ101と同軸かつ相対回転可能に支持されている。回転軸101aは、画像形成装置本体201a側に支持されている。仮置きストッパ105は、給送ローラ101の両側に2つが軸方向移動を規制されて配置されている。これらのそれぞれが、待機位置(仮置き位置)で中板103側(手差し積載部側)に突出してシートを担持する突起部105bを有する回転部材として構成されている。
【0029】
回転軸101aにおける給送ローラ101と仮置きストッパ105,105との間には、駆動ギヤ109,109が相対回転可能にそれぞれ支持されている。駆動ギヤ109,109は、近接する各仮置きストッパ105に対して相対回転不能に固定されている。従って、駆動ギヤ109と仮置きストッパ105とを一体化した2組が、回転軸101a上を同じ位相で給送ローラ101に対して相対回転するように構成されている。一方(図5の右側)の仮置きストッパ105の側面には、突起部105bが突出形成されている。
【0030】
駆動ギヤ109,109には、それぞれ駆動伝達ギヤ110,110が噛合されている。駆動伝達ギヤ110,110は、画像形成装置本体201a側に支持された回転軸135に固定されている。従って、制御部131(図6参照)の制御で、駆動部としての駆動モータ136(図6参照)が駆動すると、回転軸135、駆動伝達ギヤ110、駆動ギヤ109を介して、2つの仮置きストッパ105が同時に回転する。
【0031】
仮置きストッパ105は、待機位置(仮置き位置)まで回転すると(図3(e)参照)、画像形成装置本体201a側に支持された仮置きストッパ検知センサ108で突起部105bが検知される。すると、この検知に基づく制御部131が、仮置きストッパ制御回路133と駆動モータ(駆動部)136を介して仮置きストッパ105を停止させる。なお、仮置きストッパ検知センサ108は、一般の光センサによって構成されている。
【0032】
次に、図6を参照して、本実施形態における制御系について説明する。即ち、画像形成装置201は、制御部131を備えている。この制御部131には、操作パネル134、シート有無センサ117、仮置きストッパ検知センサ108、シート給送制御回路132、及び、仮置きストッパ105を回転制御する仮置きストッパ制御回路133が接続されている。仮置きストッパ制御回路133には、シート規制部材である仮置きストッパ105を駆動する駆動部としての駆動モータ136が接続されている。
【0033】
上記制御系において、操作パネル134からの入力信号が制御部131に入力されると、制御部131は、給送ローラ101の回転制御と中板103の昇降制御とを行うシート給送制御回路132に信号を出力する。
【0034】
また、制御部131は、シート有無センサ117により中板103上にシートが無いと検知された場合、この検知に基づき、仮置きストッパ制御回路133を介して駆動モータ(駆動部)136を作動させる。これにより、待機位置の仮置きストッパ105を供給可能状態に移動させた後、待機位置に復帰させるように(戻すように)制御する。さらに、仮置きストッパ検知センサ108からの検知信号が制御部131に入力されると、制御部131は、仮置きストッパ制御回路133に指令を出力して、駆動モータ136の駆動を停止させる。また、仮置きストッパ105の供給可能状態への回転で、継ぎ足しシート106が中板103の正規位置に移動すると、シート有無センサ117が、中板103にシート106があることを検知する。
【0035】
制御部131は、仮置きストッパ105を供給可能状態に回転させた後に待機位置に復帰させた(戻した)際、シート有無センサ117により中板103上にシートが無いと検知されると、突出部105aを中板103上から退避させるように制御する。つまり、中板103上へのシートの手差し補給が可能となるように突出部105aを中板103上から退避させるべく仮置きストッパ105を回転させる。
【0036】
次に、仮置きストッパ105の動作の詳細について、図3及び図4を用いて説明する。初期のシートセット時に、中板103と仮置きストッパ105にシートを同時にセットしても本発明の効果はかわらないので、ここでは、シートを継ぎ足したことを想定して説明を進める。
【0037】
本実施形態の手差し給送装置では、上述したように、継ぎ足しシート106が給送ローラ101によって給送されないようにするための仮置きストッパ105が設けられている。この継ぎ足しシート106は、仮置きストッパ105の突出部105aの上に積載されるため、給送動作中の給送ローラ101に当接しない。給送動作が続くことにより、中板103上に先に積載されているシート107(図3では不図示)が減少して、最終的には無くなる。シート無し状態が検知されると、給送ローラ101の回転軸101aに回転可能に支持された仮置きストッパ105が、回転軸101aを中心に回転させられる。
【0038】
すなわち、給送動作が続くと、中板103上のシート107は減少し、最終的には無くなって、その状態がシート有無センサ117(図6参照)によって検知される(図3(a))。シート無し状態が検知されると、この検知結果に基づいて制御部131が仮置きストッパ制御回路133を介して駆動モータ136を駆動するため、仮置きストッパ105が時計回り方向(矢印B方向)に回転を開始させる(図3(b))。
【0039】
すると、仮置きストッパ105の回転により、継ぎ足しシート106が、中板103上の正規のポジションに移動可能な状態となる(図3(c))。そして、仮置きストッパ105の回転がさらに続くと、継ぎ足しシート106は、中板103上の正規のポジションに移動し、積載される(図3(d))。
【0040】
そして、仮置きストッパ105の突起部105bが仮置きストッパ検知センサ108で検知されると、制御部131は、図3(e)の待機位置まで復帰した(戻った)と判断して、仮置きストッパ105の回転を停止させる。この後、中板103が上方位置に上昇されて図2(b)の状態となり、給送動作を続けることになる。そして、継ぎ足しシート106がさらに継ぎ足しされると、図3の一連の動作を進めることになる。このように、給送動作中、中板103に移動したシート106を順次給送することで、給送動作を中断させることなく再開できるので、生産効率が大幅に向上する。
【0041】
引き続き、本実施形態における仮置きストッパ105の動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0042】
処理がスタートし、ステップS1で、シート有無センサ117によってシート有りと検知されると、制御部131は、仮置きストッパ105が待機位置にあるか否かを仮置きストッパ検知センサ108の検知結果に基づいて判断する(ステップS2)。なお、スタート時とは、画像形成装置本体201aの電源ON時、給送動作中、給送動作終了時である。
【0043】
一方、ステップS1で中板103上のシート107が無いと検知された場合、制御部131は、仮置きストッパ検知センサ108の検知に基づいて仮置きストッパ105の位置を判断する(ステップS3)。その結果、仮置きストッパ105が待機位置(仮置き位置)に無い場合、制御部131は、仮置きストッパ105は待機位置以外にあると判断し、仮置きストッパ105を、仮置き検知センサ108が検知する待機位置まで回転させる(ステップS4)。その後、制御部131は、仮置きストッパ105を、突出部105aが中板103から離間する図3(d)の位置まで回転させる(ステップS5)。これにより、中板103にシートを補給する際に仮置きストッパ105が邪魔にならなくなるので、シート補給をスムーズに行うことができる。そして、操作パネル134に、ユーザにシート補給を催促する内容(シート補給表示)を表示する(ステップS6)。
【0044】
なお、仮置きストッパ105を図3(d)の位置まで回転させる際、駆動モータ136の回転時間を制御すれば、位置センサを新たに設けずに制御が可能になるが、その場合も本発明の効果はかわらないので、位置センサを新たに設けない構成として説明する。
【0045】
ステップS3で、仮置きストッパ105は待機位置に有ると仮置きストッパ検知センサ108が検知した場合、制御部131は、仮置きストッパ105を供給可能状態にさせつつ1回転させる(ステップS7)。これにより、仮置きストッパ105にあるかもしれない継ぎ足しシート106を、中板103に移動させる動作をさせる。さらにステップS8で、再度給送トレイのシートの有無を検知させ、再検知後にシート有りを検知すると、仮置きストッパ105に積載されていた継ぎ足しシート106が中板103に適正に移動したものと判断し、給送動作を可能状態にする(ステップS10)。
【0046】
一方、ステップS8で、再度のシート有無の検知でシート無しが検知された場合、上記のように仮置きストッパ105を図3(d)に示す位置まで回転させた後(ステップS5)、シート補給表示を操作パネル134に表示する(ステップS6)。
【0047】
また、上記ステップS2で、仮置きストッパ105は待機位置にあると判断した場合、制御部131は、給送動作を可能状態にする(ステップS10)。さらに、ステップS11においてシートを給送する給送動作を行い、ステップS12で、制御部131は、ジョブ設定枚数が給送されたと判断すると、処理を終了する(ステップS13)。また、ジョブ設定枚数にならない場合には、再度、ステップS11とステップS12を繰り返す。
【0048】
また、ステップS2で、仮置きストッパ105が待機位置に無い場合、制御部131は、仮置きストッパ105が待機位置以外にあると判断する。待機位置以外にある状態とは、中板103にシート107があるが、仮置きストッパ105がどこにあるか分からない状態を意味する。例えば、停電等で画像形成装置本体201aが停止したとき、仮置きストッパ105が待機位置と中板103上のシート107との間で停止することが予想される。この状態で、仮置きストッパ105を回転させると、シート107が邪魔になって仮置きストッパ105の回転を損なうことになり、その結果、シートを傷つけたり、仮置きストッパ105の破損、駆動系の破損を招いたりする虞がある。そこで、このような状態を検知したときは、ユーザに一度、中板103のシートを取り除いて再セットしてもらう操作指示を、操作パネル134に表示する(ステップ9)。
【0049】
なお、仮置きストッパ105の駆動モータ136に異常時の電流値検知器等を設けて、異常負荷が駆動系にかかったときには駆動モータ136を停止するように構成することができる。また、仮置きストッパ105の駆動モータ136を逆回転させて、再度、待機位置を検知する構成にしてもよい。本実施形態における異常時の対応として、仮置きストッパ105の位置をさらに多くのセンサで検知するような構成は、仮置きストッパ105の位置を如何にして検知するかの検知部に関するものであり、本発明の効果を妨げるものではない。
【0050】
以上のように本実施形態では、中板103上のシート107と仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106を、給送可能な状態に簡便にセットすることができる。また、中板103上のシート107が無くなると、仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106が順次給送されるので、仮置きストッパ105にシート106を継ぎ足すことで、ジョブを停止せずに連続的に実行することができる。このように、ジョブを中断することなく、中板103に手差しでシートを継ぎ足しながら連続的にシート給送を行うことができるので、ユーザの作業負担を軽くしながら大量のジョブを実行できるようになる。従って、作業効率と生産性を向上させたシート給送装置、及びこれを備えた画像形成装置201を提供することができる。
【0051】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る第2の実施形態について図9乃至図13を参照して説明する。図9及び図10は、本実施形態における手差し給送装置をシート給送方向と直交する方向から見た図、図11は、本実施形態の手差し給送装置を示す斜視図である。図12は、本実施形態の制御系を説明するためのブロック図である。本実施形態では、手差し給送の給送動作は第1の実施形態の場合と同様なので、共通する部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる点に絞って説明をする。
【0052】
本実施形態では、シート規制部材である仮置きストッパ105の突出部105a上(突出部上)に仮置きされたシートの有無を検知する、仮置きシート有無検知部としてのシート有無センサ112をさらに備えている。このシート有無センサ112は、シートが継ぎ足しされた際に、仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106があることを検知する。なお、シート有無センサ112は、一般的な光センサによって構成されている。
【0053】
つまり、図9〜図11に示すように、シート有無センサ112が画像形成装置本体201a側に支持されている。また、給送ローラ101の回転軸101aには、シート有無検知フラグ113が、図11の左側の仮置きストッパ105に隣接するように仮置きストッパ105と同軸に且つ回転可能に設けられている。さらに、仮置きストッパ105の側面に突起状部105cが設けられており、仮置きストッパ105が図11の時計回り方向に回転すると、突起状部105cによりシート有無検知フラグ113が同方向に連れ回されて回転するように構成されている。
【0054】
シート有無検知フラグ113は、仮置きストッパ105が待機位置にある状態(図9(a))で突出部105aの上方にやや突出する凸状部113aを先端部に有している。シート有無検知フラグ113はさらに、シート有無センサ112を構成する発光・受光部の間のスリットに進退してシート有無センサ112をオン、オフさせる遮蔽部113bを後端部に有している。シート有無検知フラグ113は、仮置きストッパ105上にシートが無いときは、自重でバランスをとり、凸状部113aが図9(a)に示すように、突出部105aのやや上方に位置して待機する。この構成により、シート有無センサ112がシート有無検知フラグ113を検知することに基づき、制御部131は継ぎ足しシート106の有無を判断する。
【0055】
次に、本実施形態における手差し給送装置の動作について説明する。図9(a)、図10(a)に示す待機位置で、突出部105a上に継ぎ足しシート106が積載されると(図9(b)、図10(b))、凸状部113aが継ぎ足しシート106で押下され、シート有無検知フラグ113が図中の時計回り方向にやや回動する。すると、シート有無検知フラグ113の遮蔽部113bがシート有無センサ112をオンさせ、これにより、シート有無センサ112によって継ぎ足しシート106が検知される。
【0056】
本実施形態では、仮置きストッパ105上に継ぎ足しシート106があることを検知できるので、手差し積載部としての中板103にシートが無くなったことを検知した場合、直ちに仮置きストッパ105を回転させることができる。このため、第1の実施形態と同様の効果を奏しながら、継ぎ足しシート106を中板103の正規位置に移動させる動作がさらに迅速になるという効果を得ることができる。また、仮置きストッパ105へのシート補給が可能である旨のメッセージを操作パネル134に表示することができ、ユーザの使いやすさを向上させることができる。
【0057】
次に、図12に沿って、第1の実施形態と異なる部分のみを説明する。図12に示すように、シート有無センサ112による検知信号が制御部131に入力されると、制御部131は、仮置きストッパ105を回転制御する信号を仮置きストッパ制御回路133に出力する。
【0058】
また、シート有無センサ112が仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106があることを検知している際、中板103上のシート107が無いと検知された場合には、直ちに仮置きストッパ105を回転させることが可能になる。この際、制御部131が、その検知信号に基づき、仮置きストッパ制御回路133を介して仮置きストッパ105を回転させる。その後、仮置きストッパ制御回路133は、仮置きストッパ検知センサ108の検知信号に基づく制御部131の信号に従って、仮置きストッパ105の回転を停止させる。
【0059】
図13は、本実施形態における手差し給送装置の仮置きストッパ105の動作の一例を示すフローチャートである。図13において、スタート時とは、本体の電源ON時、給送動作中、給送動作終了時のときである。
【0060】
処理がスタートすると、ステップS21で、シート有無検知部であるシート有無センサ117により中板103上のシート107の有無が検知される。その結果、中板103上のシート107が無いと検知された際、ステップS23で、仮置きストッパ105が待機位置(仮置き位置)に無い場合には、制御部131は、仮置きストッパ105は待機位置以外にあると判断する。そして、仮置きストッパ105を、仮置きストッパ検知センサ108が検知する待機位置まで回転させ、その後、仮置きストッパ105を、突出部105aが中板103から離間する図10(e)の位置まで回転させる(ステップS25)。
【0061】
これにより、中板103にシートを補給する際に仮置きストッパ105が邪魔にならなくなるので、シート補給をスムーズに行うことができる。そして、操作パネル134に、ユーザにシート補給を催促する内容(シート補給表示)を表示する(ステップS26)。
【0062】
また、ステップS23において、仮置きストッパ105が待機位置に有ると仮置きストッパ検知センサ108が検知した場合には、シート有無センサ112によってシートの有無を検知する(ステップS24)。その結果、シート有りを検知すると、制御部131は、仮置きストッパ105を供給可能状態にさせつつ1回転させる(ステップS27)。これにより、仮置きストッパ105にあるかもしれない継ぎ足しシート106を、中板103に移動させる動作をさせる。
【0063】
さらに、ステップS28で、再度、給送トレイの中板103上のシートの有無を検知させ、再検知後にシート有りを検知すると、仮置きストッパ105に積載されていた継ぎ足しシート106が中板103に適正に移動したものと判断する。そして、給送動作を可能状態にする(ステップS33)。
【0064】
また、ステップS24において、シート有無センサ112によりシート無しを検知すると、操作パネル134に、ユーザにシート補給を催促する内容(シート補給表示)を表示する(ステップS26)。
【0065】
一方、ステップS28において、再度のシート有無の検知でシート無しが検知された場合、実際には中板103上にシートが有るはずなのに無しを検知している状態である。このような状態を検知したときは、ユーザに一度、中板103のシートを取り除いて再セットしてもらう操作指示を、操作パネル134に表示する(ステップS30)。
【0066】
また、ステップS22において、仮置きストッパ105が待機位置に無い場合、制御部131は、仮置きストッパ105が待機位置以外にあると判断する。待機位置以外にある状態とは、中板103にシート107があるが、仮置きストッパ105がどこにあるか分からない状態を意味する。このような状態を検知したときは、ユーザに一度、中板103のシートを取り除いて再セットしてもらう操作指示を、操作パネル134に表示する(ステップS29)。
【0067】
なお、上記ステップS28でシート無しと判断される原因には、仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106がセット不良、或いはカールの大きい継ぎ足しシート106がセットされることでシート106が中板103に確実に移動しない場合が挙げられる。この状態の継ぎ足しシート106では、給送不良の原因になる虞があるので、再セット、シート交換等をユーザに促すメッセージを操作パネル134に表示することで、給送不良を回避させる。
【0068】
また、ステップS22において、仮置きストッパ105が待機位置に有る場合、ステップS31において、シート有無センサ112により仮置きストッパ105上の継ぎ足しシート106の有無を検知する。その結果、仮置きストッパ105上に継ぎ足しシート106が無いと検知された場合、ステップS37において、仮置きストッパ105上にシート106の補給を促すメッセージを操作パネル134に表示する。
【0069】
また、ステップS31で、仮置きストッパ105上に継ぎ足しシート106が有ると検知された場合には、給送動作を可能状態にする(ステップS33)。そして、ステップS34で、シートを給送する給送動作を行い、ステップS35で、ジョブ設定枚数が給送されたと判断すると、処理を終了する(ステップS36)。また、ジョブ設定枚数にならない場合には、再度、ステップS34とステップS35を繰り返す。
【0070】
なお、第1及び第2の実施形態は、図14で説明した分離パット4ではなく分離ローラ102を用いた手差し給送の構成であるが、本発明における手差し給送を連続的にできるという効果は、分離パットを用いた構成でもかわらないことは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
101…給送ローラ、101a…回転軸、103…手差し積載部(中板)、105…シート規制部材,回転部材(仮置きストッパ)、105a…突出部、106,107…シート、112…仮置きシート有無検知部(シート有無センサ)、117…シート有無検知部(シート有無センサ)、136…駆動部(駆動モータ)、201…画像形成装置、212…画像形成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手差しされたシートを積載する手差し積載部と、前記手差し積載部に積載されたシートを給送する給送ローラと、を備えたシート給送装置において、
前記手差し積載部上のシートの有無を検知するシート有無検知部と、
前記手差し積載部に既に積載されているシートに継ぎ足されるシートを前記給送ローラに接触させないように仮置きする仮置き位置と、前記仮置き位置で仮置きされたシートを前記給送ローラに供給可能な供給可能状態とに移動可能なシート規制部材と、
前記シート規制部材を駆動する駆動部と、を備え、
前記シート有無検知部により前記手差し積載部上にシートが無いと検知された場合、前記検知に基づき前記駆動部を作動させて、前記仮置き位置の前記シート規制部材を前記供給可能状態に移動させた後、前記仮置き位置に戻す、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記シート規制部材は、前記給送ローラと同軸に相対回転可能に支持され且つ前記仮置き位置で前記手差し積載部側に突出してシートを担持する突出部を有する回転部材である、ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記シート規制部材を前記供給可能状態に回転させた後に前記仮置き位置に復帰させた際、前記シート有無検知部により前記手差し積載部上にシートが無いと検知された場合には、前記手差し積載部上へのシートの手差し補給が可能となるように前記突出部を前記手差し積載部上から退避させるべく前記シート規制部材を回転させる、ことを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記シート規制部材における前記突出部上に仮置きされたシートの有無を検知する仮置きシート有無検知部をさらに備える、ことを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置によって給送されるシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
手差しされたシートを積載する手差し積載部と、前記手差し積載部に積載されたシートを給送する給送ローラと、を備えたシート給送装置において、
前記手差し積載部上のシートの有無を検知するシート有無検知部と、
前記手差し積載部に既に積載されているシートに継ぎ足されるシートを前記給送ローラに接触させないように仮置きする仮置き位置と、前記仮置き位置で仮置きされたシートを前記給送ローラに供給可能な供給可能状態とに移動可能なシート規制部材と、
前記シート規制部材を駆動する駆動部と、を備え、
前記シート有無検知部により前記手差し積載部上にシートが無いと検知された場合、前記検知に基づき前記駆動部を作動させて、前記仮置き位置の前記シート規制部材を前記供給可能状態に移動させた後、前記仮置き位置に戻す、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記シート規制部材は、前記給送ローラと同軸に相対回転可能に支持され且つ前記仮置き位置で前記手差し積載部側に突出してシートを担持する突出部を有する回転部材である、ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記シート規制部材を前記供給可能状態に回転させた後に前記仮置き位置に復帰させた際、前記シート有無検知部により前記手差し積載部上にシートが無いと検知された場合には、前記手差し積載部上へのシートの手差し補給が可能となるように前記突出部を前記手差し積載部上から退避させるべく前記シート規制部材を回転させる、ことを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記シート規制部材における前記突出部上に仮置きされたシートの有無を検知する仮置きシート有無検知部をさらに備える、ことを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置によって給送されるシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−143996(P2011−143996A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5393(P2010−5393)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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