説明

シールアンドカット装置

【課題】被シール材に対してシールアンドカットを行って切断不良による未切断部分が発生した場合であっても、被シール材を確実に分離することができるシールアンドカット装置を提供する。
【解決手段】一対のセパレータ部材15、16は受け部材9を挟んで左右両側に配置され、右側のセパレータ部材15は突出姿勢となっており、左側のセパレータ部材16は退避姿勢となっている。超音波ホーン11と受け部材9は左方向へ移動しながら、超音波ホーン11と受け部材9との対向領域において包装材Sに対してシールアンドカットを行う。シールアンドカットを行ったにもかかわらず切断不良による未切断部分が発生することがあるが、この場合であっても右側のセパレータ部材15は超音波ホーン11と受け部材9に追動し、未切断部分に当たって、この未切断部分を完全に切り離しながらシールアンドカットされた部位を通過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシールアンドカット装置に係り、特に超音波シール方式等で袋を作製しながら同時に茶葉等の被充填物を充填してティーバッグなどの包装体を製造する製袋充填装置等に備えられるシールアンドカット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被シール材に対してシールアンドカット(シールすると同時に切断すること)を行うシールアンドカット装置には、例えば特許文献1に記載された抽出用バッグの製造装置に搭載されたものがある。
特許文献1に記載された抽出用バッグの製造装置では、連続したシート状の被シール材(包装材)が両側縁を重ね合わせた状態で搬送されていき、その両側縁が縦方向にシールされ筒状に成形された後、茶葉類等の充填工程を挟んでその前後でシールアンドカット装置としての超音波シール装置によって左右方向にシールアンドカットされて、三辺がシールされたティーバッグなどの包装体が連続して製造されていく。
【0003】
上記超音波シール装置は被シール材に対して左方向へ移動しながらシールアンドカットを行い、被シール材が1ピッチ送られた後、右方向へ移動して被シール材に対してシールアンドカットを行う。即ち、超音波シール装置は被シール材に対して左右方向へ往復動作してシールアンドカットを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−150071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、被シール材に対してシールアンドカットを行ったにもかかわらず切断不良による未切断部分が発生してしまうことがあり、この場合には被シール材を分離することができないという問題があった。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、被シール材に対してシールアンドカットを行って切断不良による未切断部分が発生した場合であっても、被シール材を確実に分離することができるシールアンドカット装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、被シール材に対して移動しながらシールアンドカットを行うシール手段と、前記シール手段に追動し前記シール手段によってシールアンドカットされた部位を通過するセパレータ部材とを備えていることを特徴とするシールアンドカット装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載したシールアンドカット装置において、
前記シール手段は移動方向を切り替えることができ、且つセパレータ部材はシール手段を挟んで一対設けられ、前記シール手段の移動方向の切り替えに対応して、前記一対のセパレータ部材のうち前記シール手段を挟んで移動方向側とは反対側に備えられたセパレータ部材を移動時にシールアンドカットされた部位を通過する突出姿勢とし、且つ前記シール手段を挟んで移動方向側に備えられたセパレータ部材を移動時にシールアンドカットされる部位から離れた位置を通過する退避姿勢とするセパレータ部材切替手段を備えていることを特徴とするシールアンドカット装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載したシールアンドカット装置において、
前記セパレータ部材切替手段は、両端部に一対のセパレータ部材が備えられ、且つ回動自在に支持された回動部材と、前記回動部材を回動させて前記回動部材の両端部に備えられた一対のセパレータ部材のうち一方のセパレータ部材を突出姿勢とし、且つ他方のセパレータ部材を退避姿勢とする駆動手段によって構成されていることを特徴とするシールアンドカット装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載したシールアンドカット装置において、
駆動手段は、回動部材に連結された連係部材と、前記連係部材に形成された切り欠き部に入り込んだ連係ピンと、前記連係ピンが設けられた出入軸によって構成されていることを特徴とするシールアンドカット装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3または4に記載したシールアンドカット装置において、
シール手段は超音波ホーンと、前記超音波ホーンに対向して備えられた受け部材によって構成され、回動部材は前記受け部材に回動自在に支持されていることを特徴とするシールアンドカット装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシールアンドカット装置によれば、被シール材に対してシールアンドカットを行って切断不良による未切断部分が発生した場合であっても、セパレータ部材が未切断部分を完全に切り離しながら被シール材のシールアンドカットされた部位を通過するので、被シール材を確実に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るシールアンドカット装置の斜視図である。
【図2】図1のシールアンドカット装置の超音波ホーン等の往動作を説明するための平面図である。
【図3】図1のシールアンドカット装置の超音波ホーン等の復動作を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係るシールアンドカット装置1を図面にしたがって説明する。
シールアンドカット装置1はティーバッグ等の包装体を製造する製袋充填装置に搭載されており、後述する超音波ホーン11と受け部材9が被シール材としての包装材Sに対して左右方向へ往復動作してシールアンドカットを行うものである。
【0014】
符号3はホルダを示し、このホルダ3は左右方向へ往復動作する図示しない駆動部に取り付けられている。ホルダ3にはケース4が固定されており、このケース4には支持部5が備えられている。支持部5はホルダ3に形成された穴から前方向へ突出しており、この支持部5の先端部には円盤状の受け部材9が支持されている。
符号11は超音波ホーンを示し、この超音波ホーン11は受け部材9に対向して備えられている。超音波ホーン11はホルダ3と同様に図示しない駆動部に取り付けられている。
シール手段は超音波ホーン11と受け部材9によって構成されている。
【0015】
符号13は左右方向へ延びる回動部材を示し、この回動部材13の略中心部は受け部材9に回動自在に支持されている。受け部材9の左右の両端部には一対のセパレータ部材15、16が備えられており、一対のセパレータ部材15、16は受け部材9を挟んで左右両側に配置されている。一対のセパレータ部材15、16は前方へ行くにしたがって互いに近づく方向へ湾曲する略円弧状のプレートによって構成されており、各セパレータ部材15、16の外周縁は面取りされて厚さ寸法が小さくなっている。
【0016】
回動部材13の左端部(図1において右側の端部)には連係部材17が連結されており、この連係部材17は後方に向かって延びている。連係部材17には切り欠き部18が形成されており、この切り欠き部18は右側縁から斜め後方に向かって延びている(図2参照)。
【0017】
符号23はエアシリンダを示し、このエアシリンダ23はホルダ3に備えられている。エアシリンダ23は出入軸25を有しており、この出入軸25はホルダ3に形成された穴から前方向へ突出している。出入軸25の先端部には連係ピン27が設けられており、この連係ピン27は前述した切り欠き部18に入り込んでいる。
駆動手段は連係部材17、出入軸25及び連係ピン27によって構成されている。
セパレータ切替手段は回動部材13と、上記駆動手段によって構成されている。
【0018】
次に、シールアンドカット装置1の動作について説明する。
シールアンドカット装置1の超音波ホーン11と受け部材9は、後述するように往復動作して、往動作と復動作のそれぞれにおいて包装材Sに対してシールアンドカットを行う。
図2に示すように右側のセパレータ部材15は突出姿勢となっており、左側のセパレータ部材16は退避姿勢となっている。
上記突出姿勢とは、後述するように移動時に超音波ホーン11と受け部材9によってシールアンドカットされた部位を通過する姿勢である。また、上記退避姿勢とは、後述するように移動時に超音波ホーン11と受け部材9によってシールアンドカットされる部位から離れた位置を通過する姿勢である。
【0019】
超音波ホーン11と受け部材9の往動作では、超音波ホーン11と受け部材9は左方向(図2において矢印の示す方向)へ移動しながら、超音波ホーン11と受け部材9との対向領域において包装材Sに対してシールアンドカットを行う。この際、シールアンドカットを行ったにもかかわらず切断不良による未切断部分が発生することがあるが、この場合であっても右側のセパレータ部材15は超音波ホーン11と受け部材9に追動し、未切断部分に当たって、この未切断部分を完全に切り離しながらシールアンドカットされた部位を通過する。そしてセパレータ部材15が包装材Sからある程度離れたところで超音波ホーン11と受け部材9が停止して、往動作が終了する。
【0020】
なお、左側のセパレータ部材16は超音波ホーン11と受け部材9によってシールアンドカットされる部位から離れた位置を通過する。従って、超音波ホーン11と受け部材9によってシールアンドカットを行う際に、セパレータ部材16がシールアンドカットされる部位に当たって邪魔になるのを防止できる。
【0021】
上記往動作が終了した後、エアシリンダ23の出入軸25が前進し、出入軸25に設けられた連係ピン27が連係部材17を前方向へ押し、連係部材17と共に回動部材13が図2において時計回りの方向へ回動させられる。即ち、出入軸25、連係ピン27及び連係部材17は回動部材13を図2において時計回りの方向へ回動させ、図3に示すように左側のセパレータ部材16を突出姿勢とし、右側のセパレータ部材15を退避姿勢とする。
【0022】
往動作終了後に包装材Sは下方向へ1ピッチ送られ、この包装材Sに茶葉類等が充填されてから、超音波ホーン11と受け部材9の復動作が開始される。
超音波ホーン11と受け部材9の復動作では、超音波ホーン11と受け部材9は右方向(図3において矢印の示す方向)へ移動しながら、包装材Sに対してシールアンドカットを行う。この際にも切断不良による未切断部分が発生した場合には、上記したセパレータ部材15と同様に左側のセパレータ部材16は未切断部分に当たって、この未切断部分を完全に切り離しながらシールアンドカットされた部位を通過する。そしてセパレータ部材16が包装材Sからある程度離れたところで超音波ホーン11と受け部材9が停止して、復動作が終了する。
なお、右側のセパレータ部材15は超音波ホーン11と受け部材9によってシールアンドカットされる部位から離れた位置を通過する。
【0023】
上記復動作が終了した後、エアシリンダ23の出入軸25が後退し、連係ピン27が連係部材17を後方向へ押し、連係部材17と共に回動部材13が図3において反時計回りの方向へ回動させられる。即ち、出入軸25、連係ピン27及び連係部材17は回動部材13を図3において反時計回りの方向へ回動させ、図2に示すように右側のセパレータ部材15を突出姿勢とし、左側のセパレータ部材16を退避姿勢とする。そして包装材Sが下方向へ1ピッチ送られ、上記した超音波ホーン11と受け部材9の往動作が開始される。
【0024】
前述したように切断不良による未切断部分が発生した場合であっても、セパレータ部材15又はセパレータ部材16が未切断部分を完全に切り離しながら包装材Sのシールアンドカットされた部位を通過するので、包装材Sを確実に分離することができる。
【0025】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
上記実施の形態では、超音波ホーン11と受け部材9を左右方向に移動させる構成としたが、超音波ホーン11と受け部材9を、前後方向や上下方向等に移動させる構成としてもよい。
上記実施の形態では、シールアンドカット装置1をティーバッグ等の包装体を製造する製袋充填装置に搭載したが、シールアンドカット装置1を、例えば包装用の袋を製造する装置に搭載してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、被シール材に対してシールアンドカットを行うシールアンドカット装置の製造業に利用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1…シールアンドカット装置 3…ホルダ 4…ケース
5…支持部 9…受け部材 11…超音波ホーン
13…回動部材 15、16…セパレータ部材 17…連係部材
18…切り欠き部 23…エアシリンダ 25…出入軸
27…連係ピン
S…包装材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被シール材に対して移動しながらシールアンドカットを行うシール手段と、前記シール手段に追動し前記シール手段によってシールアンドカットされた部位を通過するセパレータ部材とを備えていることを特徴とするシールアンドカット装置。
【請求項2】
請求項1に記載したシールアンドカット装置において、
前記シール手段は移動方向を切り替えることができ、且つセパレータ部材はシール手段を挟んで一対設けられ、前記シール手段の移動方向の切り替えに対応して、前記一対のセパレータ部材のうち前記シール手段を挟んで移動方向側とは反対側に備えられたセパレータ部材を移動時にシールアンドカットされた部位を通過する突出姿勢とし、且つ前記シール手段を挟んで移動方向側に備えられたセパレータ部材を移動時にシールアンドカットされる部位から離れた位置を通過する退避姿勢とするセパレータ部材切替手段を備えていることを特徴とするシールアンドカット装置。
【請求項3】
請求項2に記載したシールアンドカット装置において、
前記セパレータ部材切替手段は、両端部に一対のセパレータ部材が備えられ、且つ回動自在に支持された回動部材と、前記回動部材を回動させて前記回動部材の両端部に備えられた一対のセパレータ部材のうち一方のセパレータ部材を突出姿勢とし、且つ他方のセパレータ部材を退避姿勢とする駆動手段によって構成されていることを特徴とするシールアンドカット装置。
【請求項4】
請求項3に記載したシールアンドカット装置において、
駆動手段は、回動部材に連結された連係部材と、前記連係部材に形成された切り欠き部に入り込んだ連係ピンと、前記連係ピンが設けられた出入軸によって構成されていることを特徴とするシールアンドカット装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載したシールアンドカット装置において、
シール手段は超音波ホーンと、前記超音波ホーンに対向して備えられた受け部材によって構成され、回動部材は前記受け部材に回動自在に支持されていることを特徴とするシールアンドカット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−126542(P2011−126542A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283539(P2009−283539)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(391024744)不双産業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】