説明

シールチェック装置及びシールチェック方法

【課題】 高速処理化を維持しつつ検査の信頼性を向上することができるシールチェック装置及びシールチェック方法を提供する。
【解決手段】 搬送面に対して垂直方向に延びる遮光式のラインセンサにより、包装袋Xの搬送方向に沿う厚みHLを検出する。そして、所定周期Δtで前記厚みHLをサンプリングし、前記周期Δtに相当する包装袋Xの搬送量ΔLと各サンプリング時に入力した厚みHL(i=1〜n)との積の総和を求めることで断面積SLを演算する。次いで、この断面積SLと予め設定された基準断面積とを比較して、シール不良を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋のシール不良を検査するシールチェック装置及びシールチェック方法に関し、包装袋の品質検査の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、スナック菓子等の内容物を包装した包装袋は、シール不良によって内容物が早くに劣化するおそれのあるものを発見するために、シール不良を検査することがある。そのような検査を行なうものとしては、例えば特許文献1に開示されているシールチェック装置がある。このシールチェック装置は、包装袋を上下の搬送コンベアで挟持しつつ搬送する過程で、上方の搬送コンベアに組み付けられた押圧板で包装袋を押圧すると共にそのときの押圧板の変位量あるいは押圧板に作用する押圧反力を検出することにより、包装袋のシール不良を検査するようになっている。
【0003】
しかしながら、このような方式のシールチェック装置では、包装袋が搬送方向に延びる押圧板下を通過中に該包装袋を押圧してシール不良を検査するため、先行する包装袋が押圧板を通過するまで後続する包装袋を押圧板下に供給することができなく、高速処理化の点で問題がある。また、大サイズ用の押圧板で小サイズの包装袋のシールチェックを行なうと2個乗り、つまり押圧板下へ2個の包装袋が突入して適正な検査を阻害するおそれが拡大するようになるので、この場合に処理速度を維持するには、包装袋に応じた大きさの押圧板を使用しなければならなく、検査コストの高騰を招くことがある。そして、押圧板によって包装袋を押圧する方式のため、封入された空気や不活性ガス等の気体が少ない場合には、内容物が損傷する可能性がある。
【0004】
このような問題を生じさせることのある押圧板を使用しない方式のものとして、例えば特許文献2に開示されているシールチェック装置がある。このシールチェック装置は、図15に示すように、下方の搬送コンベアAで包装袋Xを矢印方向に搬送する過程で、上方の搬送コンベアBに設けられた搬送面に垂直方向に移動自在な多数のプローブC…Cの下端部を包装袋Xの上面に当接させると共に押圧して包装袋Xの上面形状をなぞり、その結果移動する各プローブC…Cの位置を検出することによって包装袋Xの上面と下方の搬送コンベアAの搬送面との間に形成される図例の斜線で示す領域の面積S′を検出し、該面積S′に基づいてシール不良を検出するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−156403号公報
【特許文献2】特開2002−148136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した押圧板を用いないシールチェック装置では、検出された面積S′で包装袋Xの搬送方向に沿う形状を反映させようとするので、図例のように包装袋Xの下部形状の如何によらず上面形状のみに支配され、あるいは包装袋の断面積以外の面積をも包含した検出結果に基づく検査が行なわれることになり、検査の信頼性の点で問題がある。また、面積S′を検出するためのプローブC…Cの配設構造は極めて複雑であり、到底高速処理化や低コスト化を実現するものとは考えられない。
【0007】
そこで、本発明は、以上の現状に鑑み、高速処理化を維持しつつ検査の信頼性を向上することができるシールチェック装置及びシールチェック方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
まず、請求項1に記載の発明は、包装袋のシール不良を検査するシールチェック装置に関するもので、前記包装袋を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される包装袋の断面積を検出する断面積検出手段と、該検出手段によって検出された断面積と予め設定された基準断面積とを比較してシール不良を判定する判定手段とが備えられていることを特徴とする。
【0010】
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のシールチェック装置において、前記断面積検出手段は、前記包装袋の搬送方向に沿う断面積を検出することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載のシールチェック装置において、前記断面積検出手段は、前記搬送手段の所定位置に搬送面に対して垂直方向に延びるように設けられて、その位置を通過するときの包装袋の最高位置と最低位置とから該包装物の厚みを検出するラインセンサと、該ラインセンサからの検出信号を一定周期で入力して、該周期に相当する包装袋搬送量と前記厚みとに基づいて包装袋の搬送方向に沿う断面積を演算する演算手段とを有していることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれかに記載のシールチェック装置において、前記断面積検出手段の上流に、包装袋を上方から柔軟な押圧部材を用いて押圧することによって内部の気体をシール不良部分から漏出させる気体漏出手段が備えられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載のシールチェック装置において、前記押圧部材は、包装袋の搬送方向に沿う所定範囲に設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項4に記載のシールチェック装置において、前記押圧部材は、包装袋の搬送方向に沿う所定範囲を往復移動する往復移動部材に設けられており、往時には前記搬送手段に同期して移動することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項4に記載のシールチェック装置において、前記押圧部材は、包装袋の搬送方向に沿う所定範囲を前記搬送手段に同期して循環移動する循環移動部材に設けられていることを特徴とする。
【0016】
そして、請求項8に記載の発明は、包装袋のシール不良を検査するシールチェック方法に関するもので、搬送される前記包装袋の断面積を検出すると共に検出された断面積と予め設定された基準断面積とを比較してシール不良を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
まず、請求項1に記載の発明によれば、搬送手段によって搬送される包装袋の断面積を断面積検出手段によって検出し、この断面積に基づいて判定手段によってシール不良を判定することができる。すなわち、押圧板を使用しない方式のシールチェック装置であるので、前述した2個乗り等の問題は発生せず、高速処理化が維持される。
【0018】
その上で、包装袋の断面積を検出しているので、前述した押圧板を使用しない方式のもので、包装袋の断面積以外の領域をも包含した面積に基づいて検査する従来のシールチェック装置に比較して、検査の信頼性が向上する。
【0019】
次に、請求項2及び請求項3に記載の発明によれば、断面積検出手段がさらに具体化され、包装袋の搬送方向に沿う断面積を検出することができる。
【0020】
特に請求項3に記載の発明によれば、ラインセンサと演算手段とで比較的簡素化された器物構成でシールチェック装置が実現されることになる。また、押圧板を使用する方式のものに比較して機長を短縮することができ、さらに、包装袋に応じた大きさの押圧板を用意する必要もなく、検査コストのいたずらな高騰を招くことはない。しかも、非接触でシール不良を検査するものであるので、検査対象が例えば封入された空気や不活性ガス等が少ない包装袋であっても、内容物を損傷することはない。
【0021】
また、請求項4に記載の発明によれば、気体漏出手段を備えたので、包装袋にシール不良がある場合に、包装袋内部から空気や不活性ガス等の気体を漏出させることができる。したがって、良品と不良品との断面積を顕著に相違させて確実にシール不良を検出することが可能となり、検査の信頼性が一層向上する。
【0022】
そして、包装袋を押圧するために例えばブラシやスポンジ等の柔軟な押圧部材を用いることにより、該押圧部材は包装袋の形状になじむように変形する。したがって、包装袋を効率よく、かつ均等に押圧することができるので、包装袋にシール不良部分がある場合に、内部の気体の漏出が促進される。しかも、内容物の損傷は抑制される。
【0023】
さらに、押圧時には、押圧部材は包装袋の形状になじむように変形するので、供給される包装袋の多少の厚み変動にも良好に対応して押圧することができる。したがって、例えば包装袋の厚みが過大側に変動したとしても過剰に押圧することにはならず、いたずらに包装袋を破損することがない。
【0024】
なお、包装袋に大きなシール不良がある場合や内圧が1気圧以上で気体が封入される包装袋にシール不良がある場合等では、断面積検出手段の設置箇所に到来するまでに内部から気体が漏出して包装袋の断面積が減少するため、そのような場合には気体漏出手段を備えることは必須ではない。
【0025】
また、請求項5から請求項7に記載のいずれの発明によっても、気体漏出手段における押圧部材の設置構成がさらに具体化されると共に、包装袋にシール不良がある場合に包装袋の内部の気体が確実に漏出する。
【0026】
特に請求項5に記載の発明によれば、包装袋の搬送方向に沿う所定範囲に設けられた押圧部材によって包装袋を押圧する構成であるので、押圧部材を常置式とするとその支持機構は簡素なもので済む。
【0027】
また、請求項6に記載の発明によれば、往時には所定範囲にわたり、下方の搬送手段と上方の往復移動部材に設けられた押圧部材とで協働して包装袋を押圧しつつ搬送することができるので、押圧時間が十分に確保されて気体の漏出が一層確実なものとなると共に、包装袋の搬送ピッチが安定化する。また、押圧が終了したのちの復時の移動速度を往時より速める等、往時と復時とで移動速度を相違させることができるメリットがある。
【0028】
また、請求項7に記載の発明によれば、循環移動部材に複数の押圧部材を設けることにより、短い搬送ピッチで供給される包装袋を順次押圧してシール不良の包装袋の断面積を減少させることができるので、さらなる高速処理化が図られる。
【0029】
そして、請求項8に記載の発明によれば、前記請求項1に記載の発明における効果と同様の効果を有するシールチェック方法が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態に係るシールチェック装置を備えた包装袋検査ラインについて説明する。
【0031】
図1に示すように、この包装袋検査ライン1は図示しない縦型製袋包装機と箱詰め装置との間に配設されており、上流側から順に、製袋包装機によって製造されて矢印a方向に落下する内容物が充填された包装袋Xを受け取って滑落させるシュート2と、該シュート2から受け渡されて矢印b方向に搬送中の包装袋Xを上方から押圧してシール不良部分から内部の空気や不活性ガス等の気体を漏出させる気体漏出部3A及び該漏出部3Aによって予め押圧された包装袋Xの断面積を検出してシール不良を検査する検査部3Bを有するシールチェック装置3と、該シールチェック装置3から受け渡された包装袋Xを検査結果に基づいて振り分ける振分装置4と、この検査ライン1を運転するために操作する操作部5とを備えている。これら各装置3〜5は架台1a上に組み付けられており、特にシールチェック装置3は箱状のケース1b内に概ね収容されている。
【0032】
シュート2はシールチェック装置3の上流側端部に連設されており、製袋包装機によって縦シール及び横シールされて製造された包装袋Xは、縦シール部を上向きとして該シュート2の凹状に湾曲する搬送面上に落下して滑落したのち、シールチェック装置3に受け渡される。
【0033】
本発明の特徴部分であるシールチェック装置3の上流側を構成する気体漏出部3Aは、モータ11によって駆動される平ベルト式の搬送コンベア12と、該搬送コンベア12の上方に対向配置された押圧装置13とを有している。
【0034】
押圧装置13は、ケース1b内に回転自在に設置された図例上手前側と奥方側とで一対とされた前後2組のスプロケット(手前側のみ図示)21,21,22,22を有し、手前側の前後一対のスプロケット21,22間と奥方側の前後一対のスプロケット21,22間とに、それぞれエンドレスチェーン23,23が巻き掛けられている。
【0035】
また、ケース1b内の上部にモータ24が設置されている。そして、該モータ24の出力軸に組み付けられたプーリ24aと前記スプロケット21,21と同軸に組み付けられたプーリ21aとの間にタイミングベルト25が巻き掛けられており、モータ24の駆動力がスプロケット21,21に伝達されて、エンドレスチェーン23,23が矢印cで示すように循環走行するようになっている。その場合の走行速度は、搬送コンベア12の搬送速度と同期するように設定されている。
【0036】
押圧装置13の構成についてさらに詳しく説明すると、図2及び図3に示すように、内容物M…Mを充填した包装袋Xを矢印b方向に搬送する搬送コンベア12の上方に配置された押圧装置13では、左右一対のエンドレスチェーン23,23の対向するリンク部材23a…23aの下部がそれぞれL字状に折曲かつ延設されており、これらの互いに対向する延設部23a′…23a′間に細長い取付部材26…26が架設されている。そして、各取付部材26の下面に、多数の柔軟な毛材27a…27aを備えたブラシ27が設けられている。ブラシ27つまり毛材27a…27aは、例えば図3に示すように、包装袋Xの外形に沿って変形しつつ包装袋Xを押圧可能な長さや径に設定されている。
【0037】
図1に示すように、シールチェック装置3の下流側を構成する検査部3Bは、モータ31によって駆動される平ベルト式の中継コンベア32と、該中継コンベア32の上流側端部と前記搬送コンベア12の下流側端部との間に設置されたラインセンサ33とを有している。
【0038】
図4に示すように、搬送コンベア12と中継コンベア32との間に設置されたラインセンサ33は搬送面に対して垂直方向に延びており、複数の発光素子33a′…33a′を縦一列に備えた発光部33aと、前記発光素子33a′…33a′と同数かつ同配列の受光素子を備えた図示しない受光部とが、搬送面を挟んで対向配置されている。その場合、発光素子33a′から照射された光が遮光されると対応する受光素子の出力はOFFとなる一方、遮光されないと対応する受光素子の出力はONとなるので、矢印b方向に搬送される包装袋Xがこの位置を通過すると、該包装袋Xの最高位置と最低位置とが、つまり厚みHLが検出されることになる。
【0039】
図1に示すように、振分装置4は、モータ4aによって駆動される平ベルト式の搬出コンベア4bと、該コンベア4bの上流側端部寄りの箇所で該コンベア4bの一側方に配置されたエアジェット4cとを有している。これにより、シールチェック装置3による検査結果に基づいて、良品を素通りさせて下流側の箱詰め装置に導いたり、あるいはエアジェット4cを作動させて不良品を搬送方向bに沿った側方に排出することができる。
【0040】
そして、操作部5は、図示しない電源スイッチの他に、包装袋検査ライン1の運転に必要な各種設定や操作を行なうための操作パネル5aや、例えば検査結果を印字出力するためのプリンタ5bを有している。
【0041】
次に、この包装袋検査ライン1の制御システムについて説明する。
【0042】
図5に示すように、この包装袋検査ライン1を統括的に制御するコントロールユニット40は、気体漏出部3Aの搬送コンベア12を駆動するモータ11、同じく押圧装置13を駆動するモータ24、検査部3Bの中継コンベア32を駆動するモータ31、振分装置4の搬出コンベア4bを駆動するモータ4a、同じく不良品を搬送方向bの側方に排出するためのエアジェット4cに制御信号を出力すると共に、操作部5との間で信号を授受する。
【0043】
また、コントロールユニット40は、ラインセンサ33からの検出信号つまり検出された包装袋Xの厚みHLを一定周期で入力してメモリ40aに記憶させる。そして、コントロールユニット40は、前記周期に該当する包装袋Xの搬送量と前記メモリ40aから読み出した厚みHLとに基づいて包装袋Xの搬送方向bに沿う断面積を演算し、該断面積と予め設定された基準断面積とを比較してシール不良を判定する。
【0044】
ここで、この包装袋検査ライン1の作用を説明する。
【0045】
すなわち、図1に示したように、上流側の製袋包装機によって内容物M…Mを充填した包装袋Xが製造されると、落下した包装袋Xはシュート2によって受け取られて滑落し、縦シール部を上向きにしてシールチェック装置3に受け渡される。
【0046】
シールチェック装置3に受け渡された包装袋Xは、まず気体漏出部3Aに供給される。供給された包装袋Xは、下方の搬送コンベア12と上方の循環走行するエンドレスチェーン23に備えられたブラシ27…27とによって挟持されて押圧されつつ矢印b方向に搬送される。その場合、包装袋Xの縦シール部や横シール部にシール不良があると、図3に矢印IIIあるいは鎖線で示すように、包装袋X内の空気や不活性ガス等の気体が漏出し、その結果、包装袋Xの厚みHLつまり断面積が減少することになる。
【0047】
気体漏出部3Aを通過した包装袋Xは、次いで検査部3Bに受け渡されて、シール不良が検査される。このときのコントロールユニット40による判定動作例を図6のフローチャートに示す。
【0048】
まず、ステップS1で、遮光式のラインセンサ33が包装袋Xを検知すると、ステップS2で、所定周期で遮光信号に基づいた包装袋Xの厚みHLをサンプリングして入力する。
【0049】
ステップS3で、ラインセンサ33による包装袋Xの検知が終了すると、つまり、ラインセンサ33の設置位置を包装袋Xが通過してしまうと、ステップS4で、包装袋Xの搬送方向bに沿う断面積SLを演算する。すなわち、図7と数式1とに示すように、前述したサンプリング周期Δtに相当する包装袋Xの搬送量ΔLと各サンプリング時に入力した厚みHL(i=1〜n)との積の総和を求めることで前記断面積SLを演算する。その場合、数式2に示すように、前記包装袋Xの搬送量ΔLは、搬送コンベア12の搬送速度vと前記周期Δtとの積で求められる。なお、図4から明らかなように、ラインセンサ33の互いに隣接する発光素子33a′…33a′間及び受光素子間の間隔が小さいほど、また、図7から明らかなように、サンプリング周期Δtが短いほど、精度よく断面積SLを求めることができる。
【0050】
【数1】

【0051】
【数2】

【0052】
そして再び図6に戻り、ステップS5で、前記断面積SLが予め設定された基準断面積SLに比較して大きいか否かを判定する。その場合、基準断面積SLは、前もって良品や不良品に対して行なわれた予備検査に基づいて設定される。
【0053】
前記ステップS5でYESと判定すれば、気体の漏出がないか、あっても基準より小さいことを意味し、その場合は包装袋Xは良品であるとしてステップS6に進み、終了ボタンがONされたか否かを判定する。そして、ステップS6でYESと判定すれば、全ての検査を終了すると共に、NOと判定すれば、前記ステップS1に戻って検査を続行する。
【0054】
一方、前記ステップS5でNOと判定すれば、気体の漏出が基準以上に大きいことを意味し、その場合は包装袋Xは不良品であるとしてステップS7に進み、エラー信号を出力した上で、ステップS8で、振分装置4のエアジェット4cを作動させて、この包装袋Xを所定の方向に排出する。
【0055】
以上のように構成したことにより、まず、搬送コンベア12及び中継コンベア32によって搬送される包装袋Xの断面積SLを断面積検出手段を構成するラインセンサ33によって検出し、この断面積SLに基づいて判定手段としてのコントロールユニット40によってシール不良を判定することができる。すなわち、押圧板を使用しない方式の検査部3Bであるので、前記押圧板下への2個乗り等の問題は発生せず、高速処理化が維持される。
【0056】
その上で、包装袋Xの断面積SLを検出しているので、前述した押圧板を使用しない方式のもので、包装袋Xの断面積以外の領域をも包含した面積に基づいて検査する従来のシールチェック装置あるいはシールチェック方法に比較して、検査の信頼性が向上する。
【0057】
また、ラインセンサ33と演算手段としてのコントロールユニット40とで比較的簡素化された器物構成で検査部3Bが実現されることになる。また、押圧板を使用する方式のものに比較して機長を短縮することができ、さらに、包装袋Xに応じた大きさの押圧板を用意する必要もなく、検査コストのいたずらな高騰を招くことはない。しかも、非接触でシール不良を検査するものであるので、検査対象が例えば封入された空気や不活性ガス等が少ない包装袋Xであっても、内容物M…Mを損傷することはない。
【0058】
また、気体漏出部3Aつまり押圧装置13を備えたので、包装袋Xにシール不良がある場合に、包装袋X内部から空気や不活性ガス等の気体を漏出させることができる。したがって、図3に示したように、実線で示す良品と矢印III及び鎖線で示す不良品との断面積SLを顕著に相違させて確実にシール不良を検出することが可能となり、検査の信頼性が一層向上する。
【0059】
また、包装袋Xを押圧するためにブラシ27のような柔軟な押圧部材を用いることにより、該ブラシ27は包装袋Xの形状になじむように変形する。したがって、包装袋Xを効率よく、かつ均等に押圧することができるので、包装袋Xにシール不良部分がある場合に、内部の気体の漏出が促進される。しかも、内容物M…Mの損傷は抑制される。
【0060】
また、押圧時には、ブラシ27は包装袋Xの形状になじむように変形するので、供給される包装袋Xの多少の厚み変動にも良好に対応して押圧することができる。したがって、例えば包装袋Xの厚みが過大側に変動したとしても過剰に押圧することにはならず、いたずらに包装袋Xを破損することがない。
【0061】
なお、包装袋Xに大きなシール不良がある場合や内圧が1気圧以上で気体が封入された包装袋Xにシール不良がある場合等では、断面積検出手段を構成するラインセンサ33の設置箇所に到来するまでに内部から気体が漏出して包装袋Xの断面積SLが減少するため、そのような場合には気体漏出部3Aつまり押圧装置13を備えることは必須ではない。
【0062】
また、循環移動部材としてのエンドレスチェーン23,23に複数のブラシ27…27を設けることにより、短い搬送ピッチで供給される包装袋Xを順次押圧してシール不良の包装袋Xの断面積SLを減少させることができるので、さらなる高速処理化が図られる。
【0063】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。なお、前述した実施の形態における構成要素と同じあるいは類似のものについては、混乱を招かない限り同じ符号を付すことにする。
【0064】
まず、図8に示す押圧装置13Bは、押圧部材として前述したブラシ27…27に代えて柔軟なスポンジ27B…27Bを左右一対のエンドレスチェーン(手前側のみ図示)23,23に備えている。
【0065】
この場合にも、搬送コンベア12と押圧装置13Bとによって包装袋Xを挟持して押圧しつつ矢印b方向に搬送し、搬送過程でシール不良のある包装袋X内の気体を良好に漏出させて、矢印III及び鎖線で示すように厚みつまり断面積を減少させることができる。
【0066】
また、図9に示す押圧装置13Cは、前述したブラシ27…27がエンドレスチェーン23,23を介して循環移動するものではなく、搬送コンベア12の搬送方向bに沿った所定範囲に常置されている。
【0067】
すなわち、この押圧装置13Cは、搬送コンベア12の左右両側に取り付けられた一対のコ字状のブラケット51,51間に、搬送方向bに沿って4つの柔軟なブラシロール27C…27Cが矢印d…dで示すように回転自在に支持されている。
【0068】
この場合にも、搬送コンベア12上を搬送される包装袋Xは、所定範囲にわたって設置された押圧装置13Cつまりブラシロール27C…27Cによって押圧されて、搬送過程でシール不良のある包装袋X内の気体が確実に漏出する。しかも、押圧部材であるブラシロール27C…27Cを常置式としているので、その支持機構は簡素なもので済む。
【0069】
なお、前記ブラシロール27C…27Cは自由回転するものであるが、回転駆動されるように構成してもよい。その場合、包装袋Xの安定搬送が図られることになる。
【0070】
そして、図10に示す押圧装置13Dは、前述したブラシ27…27がエンドレスチェーン23,23を介して循環移動するものではなく、3つのブラシ27…27が搬送コンベア12の搬送方向bに沿った所定範囲を矢印e,e′方向に往復移動する構成とされている。
【0071】
すなわち、この押圧装置13Dは、搬送コンベア12の一側方に設けられたテーブル61に支持されており、該テーブル61上に固定されたガイドレール62と、該ガイドレール62に摺動自在に嵌合されたスライダ63と、該スライダ63から図例上手前側と奥方側とに延びるアーム部材64とを有している。そして、アーム部材64の手前側は前記ブラシ27…27を吊り下げ支持する一方、奥方側は搬送方向bに長いラック65を支持する。さらに、プラットホーム61上にブラケット66が立設されており、該ブラケット66に取り付けられたモータ67の出力軸に前記ラック65に噛み合うピニオン68が組み付けられている。
【0072】
これにより、モータ67の駆動によって矢印f,f′方向に回転するピニオン68とラック65との噛合を介してスライダ63がガイドレール62に沿って矢印e,e′方向に往復移動するようになる。したがって、スライダ63を搬送コンベア12に同期して矢印e方向に鎖線で示すように移動させると、往時には所定範囲にわたり、下方の搬送コンベア12と上方の往復移動部材としてのスライダ63に設けられた押圧部材であるブラシ27…27とで協働して包装袋Xを押圧しつつ搬送することができるので、押圧時間が十分に確保されて気体の漏出が一層確実なものとなると共に、包装袋Xの搬送ピッチが安定化する。また、押圧が終了したのちの矢印e′で示す復時の移動速度を往時より速める等、往時と復時とで移動速度を相違させることができるメリットがある。
【0073】
なお、前記実施の形態では、包装袋Xの搬送方向bに沿う断面積SLを検出していたが、包装袋Xの搬送方向bに直交する方向の断面積を検出し、これに基づいてシール不良を判定するようにしてもよい。
【0074】
すなわち、図11に示すように、搬送コンベア12の下流側端部近傍に、前記ラインセンサ33に代わり、搬送面つまり搬送される包装袋Xを挟んで搬送方向bに直交する方向に上下に対をなして横一列に複数個のレーザ式の測距センサ133a…133a,133b…133bが、それぞれ上下の支持部材134,135に取り付けられている。上方の測距センサ133a…133aは、その位置を通過するときの包装袋Xの上方位置から包装袋Xの上面までの距離を、一方、下方の測距センサ133b…133bは、包装袋Xの下方位置から包装袋Xの下面までの距離を検出し、これらの距離から該包装袋Xの各箇所の厚みHTを検出する。その場合、互いに隣接する測距センサ133a,133a,133b,133b同士は、間隔Δdだけ離間して配置されている。なお、測距センサ133a,133bには、レーザ式の他に超音波式、光式等の周知のものが適用される。
【0075】
これにより、各測距センサ133a…133a,133b…133bの設置位置に対応する箇所の包装袋Xの厚みHTを検出することにより、搬送方向bに直交する方向の断面積STを演算することができる。つまり、各箇所の厚みHLと前記間隔Δdとの積の総和を求めることで、前記断面積STを演算することができる。
【0076】
この場合のシール不良の判定動作例を図12のフローチャートに示す。
【0077】
まず、ステップS11で、測距センサ133a…133a,133b…133bが包装袋Xを検知すると、ステップS12で、所定周期で前記測距センサ133a…133a,133b…133bによって検出された包装袋Xの搬送方向bに直交する方向の断面積STをサンプリングして入力する。
【0078】
ステップS13で、測距センサ133a…133a,133b…133bによる包装袋Xの検知が終了すると、つまり、測距センサ133a…133a,133b…133bの設置位置を包装袋Xが通過してしまうと、ステップS14で、最大となる断面積STmaxを特定する。
【0079】
そして、ステップS15で、前記断面積STmaxが予め設定された基準断面積STに比較して大きいか否かを判定する。その場合、基準断面積STは、前もって良品や不良品に対して行なわれた予備検査に基づいて設定される。
【0080】
前記ステップS15でYESと判定すれば、気体の漏出がないか、あっても基準より小さいことを意味し、その場合は包装袋Xは良品であるとしてステップS16に進み、終了ボタンがONされたか否かを判定する。そして、ステップS16でYESと判定すれば、全ての検査を終了すると共に、NOと判定すれば、前記ステップS11に戻って検査を続行する。
【0081】
一方、前記ステップS15でNOと判定すれば、気体の漏出が基準以上に大きいことを意味し、その場合は包装袋Xは不良品であるとしてステップS17に進み、エラー信号を出力した上で、ステップS18で、振分装置4のエアジェット4cを作動させて、この包装袋Xを所定の方向に排出する。
【0082】
以上のように構成して包装袋Xの搬送方向bに直交する方向の断面積STを検出することによっても、包装袋Xのシール不良を判定することができる。さらに、この場合には、包装袋Xの体積を求めることができるので、この体積に基づくシール不良の判定も可能となる。
【0083】
すなわち、この場合のシール不良の判定動作例を図13のフローチャートに示す。なお、ステップS21〜S23、及びステップS26〜S28は前述したステップS11〜S13、及びステップS16〜S18と同様であるので、説明を省略する。
【0084】
ステップS24で、包装袋Xの体積Vを演算する。つまり、図14と数式3とに示すように、前述したサンプリング周期Δtに相当する包装袋Xの搬送量ΔLと各サンプリング時に入力した断面積ST(j=1〜m)との積の総和を求めることで前記体積Vを演算する。その場合、搬送量ΔLは、前述した数式2に示したように、搬送コンベア12の搬送速度vと前記周期Δtとの積で求められる。なお、図11から明らかなように、互いに隣接する測距センサ133a,133a,133b,133b間の間隔Δdが小さいほど、また、図14から明らかなように、サンプリング周期Δtが短いほど、精度よく体積Vを求めることができる。
【0085】
【数3】

【0086】
そして、ステップS25で、前記体積Vが予め設定された基準断面積Vに比較して大きいか否かを判定する。その場合、基準断面積Vは、前もって良品や不良品に対して行なわれた予備検査に基づいて設定される。
【0087】
前記ステップS25でYESと判定すれば、気体の漏出がないか、あっても基準より小さいことを意味し、その場合は包装袋Xは良品であるとする一方、NOと判定すれば、気体の漏出が基準以上に大きいことを意味し、その場合は包装袋Xは不良品であるとする。
【0088】
このように、包装袋Xの体積Vを検出すると共に該体積Vに基づいてシール不良を検査することにより、包装袋Xの形状を一層忠実に検出することが可能となり、検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、本発明によれば、高速処理化を維持しつつ検査の信頼性を向上することができるシールチェック装置及びシールチェック方法が提供される。すなわち、本発明は、包装袋のシール不良を検査するシールチェック装置及びシールチェック方法に関し、包装袋の品質検査の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態に係るシールチェック装置を備えた包装袋検査ラインの概略構成を示す側面図である。
【図2】押圧装置の平面図である
【図3】図2のII−II線による矢視図である。
【図4】ラインセンサの構成を示す要部側面図である。
【図5】制御システムを説明するためのブロック図である。
【図6】コントロールユニットによる判定動作例を示すフローチャートである。
【図7】断面積演算を説明するための幾分模式的な図である。
【図8】ブラシに代えてスポンジを使用した押圧装置の図3に相当する一部破断側面図である。
【図9】常置式の押圧装置の側面図である。
【図10】往復移動式の押圧装置の側面図である。
【図11】搬送方向に直交する方向の断面積検出を説明するための要部正面図である。
【図12】同じく検出された断面積に基づく判定動作例を示すフローチャートである。
【図13】同じく検出された体積に基づく判定動作例を示すフローチャートである。
【図14】体積演算を説明するための幾分模式的な図である。
【図15】従来のシールチェック装置における問題を説明するための側面図である。
【符号の説明】
【0091】
3 シールチェック装置
12 搬送コンベア(搬送手段)
13,13B,13C,13D 押圧装置(気体漏出手段)
23 エンドレスチェーン(循環移動部材)
27 ブラシ(押圧部材)
27B スポンジ(押圧部材)
27C ブラシロール(押圧部材)
33 ラインセンサ(断面積検出手段)
40 コントロールユニット(判定手段、演算手段)
63 スライダ(往復移動部材)
133a,133b 測距センサ(断面積検出手段)
SL,ST 断面積
X 包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋のシール不良を検査するシールチェック装置であって、前記包装袋を搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送される包装袋の断面積を検出する断面積検出手段と、該検出手段によって検出された断面積と予め設定された基準断面積とを比較してシール不良を判定する判定手段とが備えられていることを特徴とするシールチェック装置。
【請求項2】
前記断面積検出手段は、前記包装袋の搬送方向に沿う断面積を検出することを特徴とする請求項1に記載のシールチェック装置。
【請求項3】
前記断面積検出手段は、前記搬送手段の所定位置に搬送面に対して垂直方向に延びるように設けられて、その位置を通過するときの包装袋の最高位置と最低位置とから該包装物の厚みを検出するラインセンサと、該ラインセンサからの検出信号を一定周期で入力して、該周期に相当する包装袋搬送量と前記厚みとに基づいて包装袋の搬送方向に沿う断面積を演算する演算手段とを有していることを特徴とする請求項2に記載のシールチェック装置。
【請求項4】
前記断面積検出手段の上流に、包装袋を上方から柔軟な押圧部材を用いて押圧することによって内部の気体をシール不良部分から漏出させる気体漏出手段が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシールチェック装置。
【請求項5】
前記押圧部材は、包装袋の搬送方向に沿う所定範囲に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のシールチェック装置。
【請求項6】
前記押圧部材は、包装袋の搬送方向に沿う所定範囲を往復移動する往復移動部材に設けられており、往時には前記搬送手段に同期して移動することを特徴とする請求項4に記載のシールチェック装置。
【請求項7】
前記押圧部材は、包装袋の搬送方向に沿う所定範囲を前記搬送手段に同期して循環移動する循環移動部材に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のシールチェック装置。
【請求項8】
包装袋のシール不良を検査するシールチェック方法であって、搬送される前記包装袋の断面積を検出すると共に検出された断面積と予め設定された基準断面積とを比較してシール不良を判定することを特徴とするシールチェック方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−38458(P2006−38458A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213881(P2004−213881)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】