説明

シールドシェルの取付構造

【課題】シールドシェルを作業性よく且つ確実に被取付部に取り付けることができるシールドシェルの取付構造を提供する。
【解決手段】シールドシェルの取付構造1は、シールドシェル3と、被取付部5とを備えている。シールドシェル3は、電線を覆うシールド編組21の端部21aに取り付けられる。シールドシェル3は、シェル本体31と、固定片32とを備えている。固定片32は、シェル本体31から突出して設けられ、シールドシェル3が被取付部5に取り付けられるとシールドシェル3と被取付部5とが重なる方向Kに対して直交する方向Cに沿って被取付部5に重ねられる。固定片32と被取付部5とには、固定片32が被取付部5に重ねられると連通して内部にねじ6が通される一対の孔37、55が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を覆うシールド部材の端部に取り付けられるシールドシェルと、前記シールドシェルが取り付けられる被取付部とを備えたシールドシェルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前記自動車は、前述した電子機器に電力や制御信号等を伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線に取り付けられるコネクタとを備えている。
【0003】
前述した自動車には、例えば、電気自動車、ハイブリッド車や燃料電池車において走行用のモータとして三相交流のモータが用いられることがあるが、この種の走行用のモータには高電圧の電力が供給されるので、前述したモータに電力等を供給する電線やコネクタの端子金具から外部へ電気的なノイズが漏洩したり、該電線や該端子金具から他の電線や他の端子金具へ電気的なノイズが流入したりするといった問題があった。
【0004】
このような問題を解決する技術として、例えば、特許文献1に示すようなシールド電線の固定構造が知られている。このシールド電線の固定構造は、電線を覆うシールド部材(編組導体)と、環状部材と、シールド部材が取り付けられる楕円柱状のリングと該リングの外縁に設けられたフランジ部とを有したシールドシェルと、バンドとを備えている。環状部材は、シールド部材の端部内側に配され、その内部にシールド部材の先端が折り返されて該シールド部材に取り付けられる。そして、環状部材が取り付けられたシールド部材の端部をシールドシェルのリングに被せて該端部の外側にバンドを配し該バンドを加締めることによって、シールド部材はシールドシェルに固定される。
【0005】
図10は、従来のシールドシェルの取付構造101を示している。前述のようにシールド部材が固定されたシールドシェル103は、鉛直方向に配された被取付部105に取り付けられる(図10中では、バンドやシールド部材は省略している)。シールドシェル103は、フランジ部136を被取付部105に重ねて、フランジ部136と被取付部105とにそれぞれ設けられた四つの孔137、155を連通させ、これら孔137、155にそれぞれねじ106を水平方向に沿ってねじ込んでねじ留めすることによって、被取付部105に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−339933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ねじ留めする方向がシールド部材の延びる方向と平行なのでシールド部材が邪魔になってねじ留め作業がしづらく、さらに、図10のように被取付部が鉛直方向に配されると、下方が目視しづらいのでねじ留め作業中にねじが落下してしまうことがあり、作業性が悪いといった問題があった。また、ねじ留め箇所の数が多いので、作業工程数が多く作業工程が複雑であり部品数が多くコストがかかる、といった問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、シールドシェルを作業性よく且つ確実に被取付部に取り付けることができるシールドシェルの取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、電線を覆うシールド部材の端部に取り付けられるシールドシェルと、前記シールドシェルが取り付けられる被取付部と、を備えたシールドシェルの取付構造において、前記シールドシェルが、シェル本体と、前記シェル本体から突出して設けられ且つ前記シールドシェルが前記被取付部に取り付けられると前記シェル本体と前記被取付部とが重なる方向に対して交差する方向に沿って前記被取付部に重ねられる固定片と、を備えるとともに、前記固定片と前記被取付部とに設けられ、前記固定片が前記被取付部に重ねられると連通して内部にねじ部材が通される一対の孔を備えたことを特徴としたシールドシェルの取付構造である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載されたシールドシェルの取付構造において、前記固定片が、前記シェル本体の内方向に向かって突出して設けられたことを特徴としたシールドシェルの取付構造である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明によれば、シールドシェルが、シェル本体と、シェル本体から突出して設けられ且つシールドシェルが被取付部に取り付けられるとシェル本体と被取付部とが重なる方向に対して交差する方向に沿って被取付部に重ねられる固定片とを備えるとともに、固定片と被取付部とに設けられ、固定片が被取付部に重ねられると連通して内部にねじ部材が通される一対の孔を備えているので、ねじ部材を前記重なる方向(即ち、シールド部材の延びる方向)に対して交差する方向に沿って一対の孔内にねじ込むことができ、ねじ留め作業の際にシールド部材等が邪魔になることがなく、シールドシェルを作業性よく被取付部に取り付けることができる。さらに、被取付部が鉛直方向に配されている場合には前記重なる方向が水平方向になり、固定片が鉛直方向に沿って被取付部に重ねられてねじ部材を鉛直方向に沿って一対の孔内にねじ込むので、ねじ部材を上方から下方に向かってねじ込むことができ、ねじ留め作業を目視しながら確実に行うことができる。また、副次的な効果として、シールドシェルの構造がシンプルなので、シールドシェルをプレス成形等によって製造することができ、製造コストを低減させることができる。
【0012】
請求項2に記載された発明によれば、固定片がシェル本体の内方向に向かって突出して設けられているので、固定片が被取付部に重ねられてねじ部材で固定されるとシェル本体が強く被取付部に押し付けられて、シールドシェルを被取付部に確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるシールドシェルの取付構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたシールド編組が取り付けられたシールドシェルの別方向からの斜視図である。
【図3】図2に示されたシールド編組が取り付けられたシールドシェルを分解して示す斜視図である。
【図4】図3に示されたシールドシェルの側面図である。
【図5】図1に示されたシールドシェルを被取付部に取り付ける直前の状態を示す図1中のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図5に示されたシールドシェルが被取付部に取り付けられた状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態にかかるシールドシェルの取付構造のシールドシェルの側面図である。
【図8】図7に示されたシールドシェルを被取付部に取り付ける直前の状態を示す断面図である。
【図9】図8に示されたシールドシェルが被取付部に取り付けられた状態を示す断面図である。
【図10】従来のシールドシェルの取付構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第一の実施形態にかかるシールドシェルの取付構造を図1ないし図6を参照して説明する。本発明の第一の実施形態にかかるシールドシェルの取付構造1は、図1に示すように、シールド部品2と、シールドシェル3と、シールドリング4と、被取付部5と、ねじ(ねじ部材に相当する)6とを備えている。
【0015】
シールド部品2は、可撓性を有し且つ筒状に形成されている。シールド部品2は、図1等に示すように、シールド編組21(シールド部材に相当する)と、外部シース22とを備えている。シールド編組21は、例えば、導電性の金属材料等からなる素線が編まれる等して形成され、柔軟性を有している。シールド編組21は、全体として筒状(袋状)に形成されている。シールド編組21の内部には、電線(図示せず)が通される。
【0016】
電線は、導電性の金属材料からなる芯線と、絶縁性の合成樹脂等からなる被覆部とを備えている。芯線は、複数の素線が撚られて形成されている。芯線を構成する素線は、導電性の金属材料からなる。また、芯線は、一本の素線から構成されていてもよい。電線は、例えば、AC/DCコンバータと電気的に接続されている。
【0017】
外部シース22は、絶縁性の合成樹脂等からなり、筒状(袋状)に形成されている。外部シース22は、シールド編組21を覆っている。シールド部品2の端部では、外部シース22が除去されてシールド編組21が露出している。
【0018】
前述した構成のシールド部品2のシールド編組21は、内部に電線を通して該電線を覆い、端部21aの内径を広げた状態でシールドシェル3に取り付けられる。そして、シールド編組21は、電線をシールド編組21の外部から電気的にシールドする。
【0019】
シールドシェル3は、例えば、板金等をプレス加工して形成されている。シールドシェル3は、図2等に示すように、電線を覆うシールド編組21の端部21aに取り付けられる。シールドシェル3は、図3及び図4に示すように、シェル本体31と、シェル本体31から突出して設けられた固定片32及び弾性片33とを一体に備えている。シェル本体31は、本体部34と、加締め部35と、フランジ部36とを備えている。
【0020】
本体部34は、略円筒状に形成されている。加締め部35は、本体部34の一端部34a(図4)に連なり、楕円筒状に形成されている。本体部34と加締め部35とは、互いに同軸的即ち直列に配されている。本体部34の外径は、加締め部35の外径より大きい。加締め部35の外周面にはシールド編組21の内径が広げられた端部21aが被せられ、本体部34内及び加締め部35内には電線が通される。フランジ部36は、本体部34の他端部34b(図4)側の外縁から本体部34の外方向に向かって突出している。フランジ部36は、前記外縁の略全周に亘って設けられている。
【0021】
固定片32は、平面形状が略矩形状の板片状に形成されている。固定片32は、フランジ部36に連なり、フランジ部36に直交し且つ加締め部35から離れる方向に突出している。固定片32は、互いに間隔をあけて一対設けられている。シールドシェル3が被取付部5に取り付けられると、固定片32は、シールドシェル3と被取付部5とが重なる方向Kに対して直交する方向Cに沿って被取付部5に重ねられる。
【0022】
「シールドシェル3と被取付部5とが重なる方向K」(以下、単に「重なる方向K」と呼ぶ)とは、図1中の矢印Kで表される方向であり、本実施形態においては水平方向と一致する。また、「重なる方向Kに対して直交する方向C」とは、図1中の矢印Cで表される方向であり、本実施形態においては鉛直方向と一致する。
【0023】
一対の固定片32には、それぞれ、一対の孔37、55の一方の孔37が一つ設けられている。一方の孔37は、図示例では計二つ設けられている。一方の孔37は、平面形状が円形状に形成され、固定片32を貫通している。
【0024】
弾性片33は、シェル本体31の軸心を挟んで固定片32の反対側(固定片32よりも下方)に設けられている。弾性片33は、本体部34の前述した他端部34bに連なり本体部34の外方向且つ本体部34から離れる方向に突出した第一片33aと、第一片33aの先端に連なり本体部34の外方向且つ本体部34に近づく方向に突出した第二片33bと、第一片33aと第二片33bとの連結部分である折り曲げ部33cとを備え、断面L字状に形成されている。折り曲げ部33cは、本体部34の他端部34bよりも加締め部35から離れた側に配されている。
【0025】
前述した構成の弾性片33は、シールドシェル3が被取付部5に取り付けられると、折り曲げ部33cが水平方向に配されるとともに被取付部5の後述する弾性片受け部54と当接して、第一片33aが加締め部35に近づく方向に弾性変形する。その後、図6に示すように、第一片33aの弾性復元力によって、前記重なる方向Kに沿って折り曲げ部33cが弾性片受け部54を押圧する。
【0026】
シールドリング4は、導電性の金属材料からなり、図3等に示すように、帯板状の板金等をリング状に湾曲させて形成されている。シールドリング4の内径は、シールド編組21の端部21aの厚さの二倍と、シールドシェル3の加締め部35の外径との計より大きい。シールドリング4は、シールド編組21の端部21aが被せられた加締め部35の外側に取り付けられ、加締め部35との間に該端部21aを位置付ける。そして、シールドリング4を加締めることによってシールドリング4は縮径し、シールドリング4の内面と加締め部35の外周面との間に該端部21aが挟持されて、シールド編組21にシールドシェル3が取り付けられる。
【0027】
被取付部5は、例えば、シールドケースの鉛直方向に配された外壁であり、導電性の金属材料から形成されている。シールドケース内には、例えば、三相交流のACモータが収容され、該モータには、シールド編組21に覆われた電線を介してAC/DCコンバータからの電力が供給される。被取付部5は、図1に示すように、被取付面51と、固定片受け面52とを備えている。
【0028】
被取付面51は、被取付部5の外表面の一部であり、鉛直方向に配されている。被取付部5にシールドシェル3が取り付けられると、被取付面51にはシールドシェル3のフランジ部36が重ねられる。被取付面51には、電線通し孔53と、弾性片受け部54とが設けられている。
【0029】
電線通し孔53は、被取付面51(被取付部5)を貫通して設けられている。電線通し孔53は、平面形状が円形状に形成され、その内径はシールドシェル3の本体部34の内径より若干小さい。シールド編組21が電線を覆い、被取付部5にこのシールド編組21が取り付けられたシールドシェル3が取り付けられると、電線通し孔53内には該電線が通される。
【0030】
弾性片受け部54は、被取付面51から凹に設けられ、平面形状が略矩形状に形成されている。弾性片受け部54の水平方向の幅は、シールドシェル3の弾性片33の幅(折り曲げ部33cの長さ)より僅かに大きく設けられている。被取付部5にシールドシェル3が取り付けられると、弾性片受け部54内には、弾性片33が位置付けられる。弾性片受け部54の底面(鉛直方向に平行な内面)は、前述したように弾性片33の折り曲げ部33cと当接するとともに該折り曲げ部33cによって前記重なる方向Kに沿って押圧される。
【0031】
固定片受け面52は、被取付部5の外表面の一部であり、被取付面51の上端に連なり水平方向に配されている。被取付部5にシールドシェル3が取り付けられると、固定片受け面52には前述したようにシールドシェル3の固定片32が重ねられる。固定片受け面52には、一対の孔37、55の他方の孔55が設けられている。
【0032】
他方の孔55は、平面形状が円形状に形成され、固定片受け面52から前記重なる方向Kに対して直交する方向Cに沿って設けられている。他方の孔55は、固定片32の一方の孔37に対応して設けられ、図示例では計二つ設けられている。他方の孔55の内面には、ねじ溝が設けられている。固定片受け面52に固定片32が重ねられると、他方の孔55は固定片32に設けられた一方の孔37と連通し、この連通した一対の孔37、55内にねじ6が通される。
【0033】
前述した構成の被取付部5には、シールドシェル3が取り付けられる。被取付部5にシールドシェル3が取り付けられると、電線から外部に漏洩する電気的なノイズ及び内部に流入する電気的なノイズは、シールド編組21、シールドシェル3及び被取付部5を順次経てアースされる。
【0034】
ねじ6は、図1等に示すように、軸部61と、該軸部61の一端に形成された頭部62とを一体に備えている。軸部61の外周面には、ねじ溝が形成されている。シールドシェル3の固定片32が被取付部5の固定片受け面52に重ねられて一対の孔37、55が連通すると、軸部61はこの連通した一対の孔37、55内に通されて一対の孔37、55内にねじ込まれる。軸部61は、前記重なる方向Kに直交する方向Cに沿って固定片32側(上方)から固定片受け面52側(下方)に向かって一対の孔37、55内に通され、軸部61の先端側は被取付部5内に位置付けられる。ねじ6が一対の孔37、55内にねじ込まれることによって、頭部62と被取付面51との間に固定片32が挟まれて固定されて、シールドシェル3が被取付部5に固定される。
【0035】
前述した構成のシールドシェルの取付構造1において被取付部5にシールドシェル3を取り付ける際には、まず、図2に示すように、シールド編組21の端部21aを広げてシールドシェル3の加締め部35に被せ、シールド編組21が被せられた加締め部35の外側にシールドリング4を取り付けて、シールドリング4を加締めてシールドシェル3にシールド編組21を取り付ける。
【0036】
そして、図5に示すようにこのシールドシェル3を被取付部5に近づけていき、フランジ部36を被取付部5の被取付面51に重ねるとともに固定片32を固定片受け面52に重ねる。すると、一対の孔37、55が連通し、図6に示すように、この連通した一対の孔37、55に上方から下方に向かってねじ6をねじ込んで、シールドシェル3を被取付部5に取り付ける。このとき、弾性片33は弾性片受け部54内に位置付けられ、弾性片33は弾性片受け部54の底面と当接して弾性変形するとともに弾性復元力によって該底面を押圧する。
【0037】
本実施形態によれば、シールドシェル3が、シェル本体31と、シェル本体31から突出して設けられ且つシールドシェル3が被取付部5に取り付けられると前記重なる方向Kに対して直交する方向Cに沿って被取付部5に重ねられる固定片32とを備えるとともに、固定片32と被取付部5とに設けられ、固定片32が被取付部5に重ねられると連通して内部にねじ6が通される一対の孔37、55を備えているので、ねじ6を前記重なる方向K(即ち、シールド編組21の延びる方向)に対して直交する方向Cに沿って一対の孔37、55内にねじ込むことができ、ねじ留め作業の際にシールド編組21等が邪魔になることがなく、シールドシェル3を作業性よく被取付部5に取り付けることができる。さらに、被取付部5が鉛直方向に配され、固定片32が前記重なる方向Kに対して直交する方向C、即ち、鉛直方向に沿って被取付部5に重ねられてねじ6を鉛直方向に沿って一対の孔37、55内にねじ込むので、ねじ6を上方から下方に向かってねじ込むことができ、ねじ留め作業を目視しながら確実に行うことができる。
【0038】
シェル本体31から突出して設けられ、シールドシェル3が被取付部5に取り付けられると該被取付部5と当接して弾性変形するとともに弾性復元力によって該被取付部5を前記重なる方向Kに沿って押圧する弾性片33を備えているので、弾性片33によってシールドシェル3と被取付部5との間に隙間ができることがなくシールドシェル3のがたつきを防止することができ、弾性片33でねじ留め箇所の一部を置き換えてねじ留め箇所を減らしてシールドシェル3を簡単に被取付部5に取り付けることができる。
【0039】
被取付部5の被取付面51から凹に設けられ、シールドシェル3が被取付部5に取り付けられると内部に弾性片33を位置付ける弾性片受け部54を備えているので、弾性片33が被取付面51上でがたつくことがなく、シールドシェル3のがたつきを確実に防止することができる。
【0040】
本実施形態においては、固定片32は、前記重なる方向Kに対して直交する方向Cに沿って被取付部5と重なり合っていた。しかしながら本発明では、必ずしも直交する必要はなく、前記重なる方向Kに対して交差する方向であればよい。
【0041】
また、本実施形態においては、被取付面51が鉛直方向に配されていた。しかしながら本発明では、被取付面51はどんな方向に配されていてもよく、例えば、被取付面51が水平方向に配されていてもよい。この場合、前記重なる方向Kは鉛直方向になり、ねじ6は水平方向に沿って一対の孔37、55に通される。
【0042】
また、本実施形態においては、ねじ部材がねじ6であった。しかしながら本発明では、ねじ部材が、例えばボルトとナットから構成されていてもよい。
【0043】
次に、本発明の第二の実施形態にかかるシールドシェルの取付構造1を、図7ないし図9を参照して説明する。なお、前述した第一の実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
本発明の第二の実施形態にかかるシールドシェルの取付構造1のシールドシェル3は、図7に示すように、固定片32’がシェル本体31の内方向に向かって突出して設けられている。即ち、固定片32’は、フランジ部36に連なり、フランジ部36とのなす角が鋭角になるように且つ加締め部35から離れる方向に突出して設けられている。
【0045】
前述した構成のシールドシェル3を被取付部5に取り付ける際には、フランジ部36を被取付部5の被取付面51に重ねるとともに固定片32’を固定片受け面52に重ねる。固定片32’はシェル本体31の内方向に向かって突出しているので、図8に示すように、フランジ部36を被取付面51に重ねると、固定片32’は先端側が固定片受け面52に近づき基端側が固定片受け面52から離れた斜めの状態で固定片受け面52上に重ねられる。
【0046】
そして、連通した一対の孔37、55にねじ6をねじ込んでいくと、図9に示すように、固定片32’の基端側が固定片受け面52に近づいていって固定片32’が水平の状態で固定片受け面52上に重ねられるとともに、フランジ部36が被取付面51に強く押し付けられかつ弾性片33が弾性片受け部54の底面に強く押し付けられて弾性変形するとともに弾性復元力によって該底面を強く押圧して、ねじ6によってシールドシェル3が被取付部5に取り付けられる。即ち、第一の実施形態と比較してシールドシェル3が更に確実に被取付部5に取り付けられる。
【0047】
本実施形態によれば、前述した第一の実施形態の効果に加え、固定片32’がシェル本体31の内方向に向かって突出して設けられているので、固定片32’が被取付部5に重ねられてねじ6で固定されるとシェル本体31が強く被取付部5に押し付けられて、シールドシェル3を被取付部5に確実に取り付けることができる。
【0048】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 シールドシェルの取付構造
3 シールドシェル
5 被取付部
6 ねじ(ねじ部材)
21 シールド編組(シールド部材)
31 シェル本体
32 固定片
32’ 固定片
33 弾性片
37 一方の孔
54 弾性片受け部
55 他方の孔
K 重なる方向
C 重なる方向に対して直交する方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を覆うシールド部材の端部に取り付けられるシールドシェルと、前記シールドシェルが取り付けられる被取付部と、を備えたシールドシェルの取付構造において、
前記シールドシェルが、シェル本体と、前記シェル本体から突出して設けられ且つ前記シールドシェルが前記被取付部に取り付けられると前記シェル本体と前記被取付部とが重なる方向に対して交差する方向に沿って前記被取付部に重ねられる固定片と、を備えるとともに、
前記固定片と前記被取付部とに設けられ、前記固定片が前記被取付部に重ねられると連通して内部にねじ部材が通される一対の孔を備えたことを特徴とするシールドシェルの取付構造。
【請求項2】
前記固定片が、前記シェル本体の内方向に向かって突出して設けられたことを特徴とする請求項1に記載のシールドシェルの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−42171(P2013−42171A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−239271(P2012−239271)
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【分割の表示】特願2007−296220(P2007−296220)の分割
【原出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】