説明

シールド付き電子レンジ調理用容器

【課題】調理中、スパーク放電の危険無しに食材の均一調理を可能とする電子レンジ調理容器。
【解決手段】少なくとも1の区画、及び容器内に収容された少なくとも2個の分離されたシールドを備え、第一シールドはマイクロ波エネルギーを実質的に透過しない材料で構成され、外側又は区画の内側表面に配置され、全体的に区画の外側形状に対応する形状であり、任意でベース部上に開口部を有する容器。更に、容器をシールするように構成された蓋を備え、その蓋はその上に容器側壁から所定の距離離れた位置に配置された第二シールドを有してもよい。更に、複数区画容器は低い固有熱容量を有する食物を、シールドされる食物の収容された中央区画の周りに少なくとも部分的に取り囲むように配置された1以上の区画でシールドする構成となっていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波エネルギーに対するシールドを備えた電子レンジ(マイクロ波)調理用容器に関する。特に本発明は、電子レンジ内での調理において、容器内に収容された食物全体を均一加熱可能な改良された電子レンジ調理用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジ調理は、室温、冷蔵温度又は冷凍温度で貯蔵された食料品等の食料品を便利ですばやく調理するために長く使用されてきている。食物及び飲み物の電子レンジ調理の共通の問題点は、容器内の不均一加熱である。例えば、食物製品の外端は、通常食物製品の中心部よりも速く加熱される。従って、電子レンジ内に収容された製品の選択的範囲においてマイクロ波が作用することを抑制する手段の提供が求められている。製品へ達するマイクロ波エネルギー量の抑制又は削減により、製品によって吸収されるエネルギー量が変わるため、製品加熱の速度が調節できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
容器部分をマイクロ波エネルギーからシールドする種々の従来技術では、マイクロ波容器に金属シールド材料を使用して構成するために、電子レンジ調理中にアーク放電又はスパーク放電(火花放電)の危険性が増加する。更に、食材用のマイクロ波容器は通常、マイクロ波加熱時間及び電力、並びに引きはがしてはいけないかどうか、蓋に孔をあけてはいけないかどうかに関して消費者への注意書きを含んでいる。しかし、全ての消費者が注意書きを良く読んで従うわけではなく、いくつかのマイクロ波シールド要素の一部を変更して、変更されたシールド要素の配置が危険となる可能性がある。従って、消費者が注意書きを完全に守らなかったとしても、アーク放電又はスパーク放電の危険性が生じないマイクロ波シールドされた容器を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本発明の1の態様は、食物保持用であって、外周部を有する形状のベース部及び、ベース部の外周部からある角度で上向きに伸張している複数の側壁を備える、少なくとも1の区画を備えた容器に関する。上記少なくとも1の区画は、ベース部及び複数の側壁の内側又は外側表面に設けられたマイクロ波エネルギーを透過しない材料を含む第一シールドを備える。上記第一シールドは、任意でベース部の中心に設けられた開口部を特定し、その開口部はベース部と同じ形を有する。上記容器は更に、上記少なくとも1の区画上にシールされる構成となっている蓋を備え、上記蓋は、マイクロ波エネルギーを透過しない材料を含む第二シールドを含む。上記第二シールドは、上記複数の側壁から所定の距離離れた蓋上に設けられているか、それとも実質的に蓋全体を覆っていてもよい。
【0005】
本発明の別の態様は、マイクロ波エネルギーを実質的に透過する材料を含む第一区画;その区画の内側又は外側表面に設けられたマイクロ波エネルギーを実質的に透過しない材料を含む第一シールド;並びに第一区画をシールする構成となっている蓋であって、マイクロ波エネルギーを透過しない材料を含む第二シールドを備えている蓋;を備えた容器に関する。容器は更に、少なくとも部分的に第一区画を囲んでいる、例えば完全に第一区画を囲んでいる、第二区画を備えてもよい。又、容器は第三区画を備え、その場合第二及び第三区画はそれぞれ部分的に第一区画を囲んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】その蓋を引き剥がしたマイクロ波食物トレイを、中央区画上に設けられたシールドと共に示す。
【図2】中央皿上の頭頂部及びベース部シールドを示す。
【図3】中央皿上の頭頂部及びベース部シールドを示す。
【図4】中央皿上の頭頂部及びベース部シールドを示す。
【図5】中央皿上の頭頂部及びベースシールドを示す。
【図6】1の区画上に中央開口部を備えたベース部シールドを有する二区画容器の斜視図を示す。
【図7】1の区画の蓋の中央上にシールドを有する二区画容器の平面図を示す。
【図8】1の区画上に中央開口部を備えたベース部シールドを有する二区画容器の下面図を示す。
【図9】1の態様の二区画容器の平面図を示す。
【図10】図9の二区画容器の斜視図を示す。
【図11】電子レンジ調理によって1の区画中での温度測定位置の概略図である。
【図12】シールドされた容器中で電子レンジ調理後、複数の異なる位置のアップルソース温度の棒グラフを示す。
【図13】シールドされていない容器中で電子レンジ調理後、複数の異なる位置のアップルソース温度の棒グラフを示す。
【図14】種々のシールドされた容器内で3分15秒間調理後の、アップルソース並びにマカロニ及びチーズの平均温度の棒グラフである。
【図15】種々のシールドされた容器内で3分45秒間調理後の、アップルソース並びにマカロニ及びチーズの平均温度の棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の詳細な記載
部分的にシールドされたマイクロ波容器は、室温保存(shelf-stable)、冷蔵又は冷凍された食材を電子レンジ内で加熱するために使用される。製品の選択した範囲だけ戦略的にシールドする本発明は、例えば冷凍肉等のある部分のみを、他の部分の温度より更に高い温度へ加熱可能である。室温保存、冷蔵又は冷凍された食材の包装にシールドを組み込むことにより、異なる種類の食物が同じトレイ内で、それぞれの食物の調理が同時に終了するように、分離された食物それぞれを異なる加熱程度で調理できる。
【0008】
単一の容器又は容器区画上に2以上のマイクロ波エネルギーシールドを設けることにより相乗的に、シールドされていない区画内又はシールドが特定配置されていない区画内よりも、容器内に収容された食材全体をより均一に調理可能とすることが発見された。特に、マイクロ波エネルギーを反射するシールドを採用すると、マイクロ波エネルギーの一部の方向を変更させて食材の更なる均一加熱が可能となることが発見された。更に、マイクロ波エネルギーシールドの配置により、調理中の電子レンジ内でスパーク放電又はアーク放電発生の危険性をほとんど無くすることができる。
【0009】
ある態様では、マイクロ波容器は、マイクロ波エネルギー又は輻射に実質的に透過性である材料を含んで提供される。公知材料等、適切なマイクロ波透過性材料であればいずれも利用できる。例示であり限定するものではないが、結晶性ポリエチレンテレフタレート(CPET)、非晶質ポリエチレンテレフタレート(APET)、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、有機材充填ポリプロピレン、ボール紙及び積層紙が、食材の電子レンジ調理用容器製造用に通常使用される。
【0010】
マイクロ波容器又は包装は、マイクロ波エネルギー不透過又は少なくともマイクロ波エネルギーを実質的に透過しない材料を含んで提供される。そのため、容器又は包装内に収容された製品の一部が、製品の他の部分が曝露されるマイクロ波の全量へ暴露されることからシールドされる。包装は、保護が必要な製品のエリアへマイクロ波が達する前に、マイクロ波を反射、遮断又は吸収する物質又は層を含む。この遮断物質は、本明細書で「シールド」として定義される。マイクロ波エネルギー又は輻射を反射、遮断及び/又は吸収可能な適切な材料であれば、いずれもマイクロ波シールドとして採用できる。このようなシールド材料として、例示であり限定するものではないが、金属、金属性フォイル及び合金が挙げられる。マイクロ波シールドとして通常使用される材料は、アルミニウム合金800616等のアルミニウムであるが、シールドは、マイクロ波エネルギーを有効に遮断、反射又は吸収する金属、金属合金又は非金属材料であればよい。
【0011】
上記の通り、マイクロ波シールドは、電子レンジ内の容器へ向けられるマイクロ波エネルギーの少なくとも一部を反射、遮断、及び/又は吸収する構成となっている。ある態様では、第一マイクロ波シールドは、容器の少なくとも一部の外側構造と実質的に一致する形状として提供される。図6〜8を参照すると、図6はマイクロ波トレイ(容器)140の上下逆転状態を示し:トレイ140は、マイクロ波エネルギーを実質的に透過する材料を含み、マイクロ波エネルギーを透過しない材料で囲まれた第一区画150(図7参照)を備え:金属フォイルシールド142の一部は、金属フォイル142のベース部141の略中央に位置する開口部148を特定する。図8を参照すると、開口部148はベース部と同じ全体的形状を有し、開口部148の少なくとも1の高さ又は幅は、少なくとも1/2インチ(1.27mm)である。この態様では、開口部148半円は、3/4インチ(1.91mm)の半径(即ち、半円開口部148の最も高い部分の高さ)、及び1と3/4インチ(4.48mm)の幅を有する。シールド開口部の高さ及び幅は、それぞれ独立して最小約1/4インチ(0.64mm)であり、容器のベース部から容器又は容器区画へ照射される予定のマイクロ波エネルギー量に応じて選択できる。より高い固有熱容量を有する食物は通常、より低い固有熱容量を有する食物より、その温度を上昇させるためより多くのマイクロ波エネルギーを必要とするので、より狭い開口部よりもより多くのマイクロ波エネルギーが容器内へ投入されるように、より大きな開口部が選択される。
【0012】
図6〜8中のマイクロ波トレイ140は更に、マイクロ波エネルギーを実質的に透過する材料を含むシールドされていない第二区画144、及びトレイ140の頭頂部全体を覆って付着されている(affixed)ポリマーフィルム蓋146を備える。フォイルシールド142は、必要ならば区画へ接着されてもよいが、接着は必須ではない。又、フォイルシールド142は区画上に嵌合されてもよい。ある態様では、シールドは、例えば、接着材を有するシールドの別々の2以上のピース又はそれぞれのシールドピースの1の表面上に設けられた密封用ポリマーフィルム等の、マイクロ波不透過材料の1以上のピースでもよい。接着材又は密封フィルムはシールドを容器へ付着させて、1種のシールドステッカー又はラベル(粘着性シール)を容器上に提供する。第一シールド142は第一区画150のベース部及び側壁の外側表面上に設置された態様で示されているが、2個のポリマー性容器層の間や、容器の内側表面上等の他の位置に設けられても良い。
【0013】
図6〜8の態様では、金属フォイルシールド142は、第一区画150の外側表面に実質的に一致するように形成されている。フォイルシールド142は、曲線的外縁を有する半円等の、ベース部141の外周部として特定される形状を有するベース部141を備える。ベース部141は、ベース部の外周部からある角度で上方へ伸張しており、上端147を備えた1以上の側壁143を備える。その角度は、ベース部に対して約60度〜約135度の範囲、例えば約90度に設定できる。側壁143の高さは、1/2インチ〜2と1/2インチ(1.27〜6.35mm)の範囲の高さであるか、容器区画の側壁とだいたい同じ高さであって約1と1/4インチ(3.20mm)高さでも良い高さまでの間で変更できる。本発明では、フォイル142の1以上の側壁143は更に、側壁143の上端147から放射状に伸長しているリップ145を備えてもよい。図8では、リップ145の高さは1/2インチ(1.27mm)である。リップ145の他の高さとして、1/16インチ〜7/8インチ(0.16〜2.22mm)等でもよいことは理解できる。
【0014】
ある態様では、第一シールドは、区画のベース全体を被覆して開口部を含まない。この構成は、食材が低い固有熱容量を有するため、高い固有熱容量を有する食物より強いシールドが必要な用途で選択される。本明細書で使用される用語「固有熱容量」は、食物1グラムの温度を華氏1度上昇させる等の、食物の単位量の温度を単位当たり上げるのに必要なエネルギー量として定義される。第一シールドが容器ベース部全体を被覆する場合、マイクロ波エネルギーは容器の別の、シールドされていないエリア、から容器に付与される。例えば、容器は、第一シールド側壁の上端と、第二シールドの外側末端との間に、水平又は垂直な隙間を有しても良い。
【0015】
第一区画150と同様に、トレイ140は、ベース部151の外周部により特定される形を有するベース部151を有する第二区画144を備える。ベース部151は、ベース部の外周部からある角度で上方へ伸張しており、上端157を備えた1以上の側壁153を備え、第二区画は任意で、マイクロ波エネルギーを透過させる1以上の材料で本質的に構成される。上記角度は、ベース部に対して約60度〜約135度の範囲、例えば約90度に設定できる。第二区画144の1以上の側壁153は、更に側壁153の上端157から放射状に伸長している任意のリップ155を備えてもよい。リップ155の存在は、その区画が充填されたときに、蓋146がそこへ付着可能又は密封可能となる便利な表面を提供する。
【0016】
本発明の態様では、容器はトレイ140のために記載されたベース部及び側壁を備えた区画をどのような数で備えても良い。食物等の材料の収容に適しているどのような形状も、上記1以上の区画に対して選択できる。例示であり限定するものではないが、四角形、楕円形、円形、正方形、台形、半円、三角形、及び同軸状リング等の幾何学的形状が、1以上の区画のために適切である。図9及び10を参照すると、1の態様では、二区画容器90は、第一区画92及び第二区画94を有する。第一区画92及び第二区画94の形状は、本質的には台形であって、いくらか曲がった側面及び丸まったコーナーを有するものとして記載されている。どのような数の側面及びコーナーを有する他の形状も可能であるが、しばしば区画の形状のコーナーは丸まっている。
【0017】
図7を参照すると、マイクロ波トレイ140のポリマーフィルム蓋146は更に、蓋146上に設置され付着された第二マイクロ波シールド152を備える。第二マイクロ波シールド152は、マイクロ波エネルギーを実質的に透過しない材料を含み、側壁143の外周部又は上端から所定の距離離れた蓋146の上部中央に設けられている。ある態様では、第二マイクロ波シールド152は、第二マイクロ波シールド152の外側末端の全周囲からだいたい等しい距離、少なくとも1/4インチ(0.64mm)又は少なくとも1/2インチ(1.27mm)の間隔をおいて側壁143から離されている。容器蓋上に設けられたマイクロ波シールドの外側末端と容器側壁との間の距離は、トレイの相対的サイズに応じて約1/8インチ(0.32mm)以上であり、容器又は容器区画内に投入予定のマイクロ波エネルギー量に応じて選択される。上記の通り、高い固有熱容量を有する食物は通常、低い固有熱容量を有する食物より、その温度を増加させるために、より大きなマイクロ波エネルギーが必要であり、第二シールド及び側壁間のより大きい距離が選択され、シールド及び側壁間の距離が小さい場合より、より大きなマイクロ波エネルギーが容器に投入される。
【0018】
蓋146は、食材が容器又は容器区画内に収容された後に、容器をマイクロ波シールするためのマイクロ波を実質的に透過する適切な材料を含む。蓋に使用される代表的材料として、例示であり限定するものではないが、熱シール可能なポリマーフィルム、紙、及びボール紙積層体が挙げられる。幾つかの熱シール可能なポリマーフィルムの例として、熱シール可能なポリエステルを含む東レ社製Lumilid XL5(商標)、エチレン−酢酸ビニル熱シール層を有する二軸配向ポリエステルを含むデュポン社製RL31(商標)、及びシール可能なポリエチレンテレフタレート/エチレン−酢酸ビニルフィルム構造が挙げられる。適切な蓋材料は、容器への付着が容易であり、輸送、貯蔵及び取り扱い中に包装が破損しない充分な耐摩耗性及び耐パンク性を備え、消費者によって容易に除去可能な材料である。
【0019】
ある態様では、マイクロ波容器は、図6〜8の容器と比較して全体的に反対向き又は逆さまに構成されてもよい。この態様では、食材は、実質的に平らで、板状の要素上に配置され、キャップが食物を覆うように配置される。従って、本明細書で使用される用語「蓋」は、マイクロ波容器の全体的に平坦な部分として定義され、上記記載の容器カバー及び、食物が配置される板状表面の両方を含む。付随して、本明細書で使用される用語「区画」は、食材を収容する容量を持つ皿又はトレイ状要素として定義され、上記及び図中に示された容器区画、並びに食材を覆って設けられたカバー又はキャップ状要素も含む。区画及び蓋の組み合わせのどのような方向性が、本発明のマイクロ波容器のために提供されるかは、重要ではない。
【0020】
上記の通り、単一の容器又は容器区画上に2以上のマイクロ波エネルギーシールドを設置することは、相乗的に作用して、その容器中に収容された食材の調理が、シールドの特定の配置を含まない容器又は容器区画内においてよりも、より均一に調理可能であることが発見された。一般的な用語である2シールドシステムは、容器区画上に設けられた1のシールド(例えば、第一区画150上のフォイルシールド142)及び容器の蓋上に配置された第二シールド(例えば、蓋146上の第二シールド152)を含む。ある態様では、第一及び第二シールドの形状及び位置は、実質的に補足的であり:第一シールドは中央開口部を特定し;第二シールドは第二シールドの外側末端と容器区画の外周部との間の隙間とは反対側の中央に設けられる。第一シールドは、容器の対照的な位置にある第二シールドと比較して、反対方向からのマイクロ波エネルギーを吸収、伝達及び反射することが発見された。この構成の第一及び第二シールドの組み合わせは一緒に相互作用し、均一加熱が達成される。
【0021】
ある態様では、第一及び第二シールドは、シールドされていないエリアから容器へ入るマイクロ波エネルギーを反射し、容器内でマイクロ波エネルギーの方向を有効に変更し、食材をより均一に加熱する。シールドの構成のおかげで、選択された方向からのみエネルギーが容器又は容器区画へ入ることが可能となり、食物製品の加熱速度を均等に制御できると考えられる。
【0022】
更に、マイクロ波エネルギーシールドの補足的配置は、調理中の電子レンジ内でのスパーク放電又はアーク放電発生の危険性をほとんど無くす。特に、第一及び第二シールドを互いに独立させて充分な距離に保つことにより、電子レンジ内でのシールド間のアーク放電及びその結果の火炎を生じる可能性を最小化できることが発見された。調理中、シールド上のエネルギーは、電圧3,000ボルトまでになる。理論によって本発明を限定するものではないが、金属性シールドの類似ピースが密接に接触する場合、空気分子が破壊・分解され、水分子がプラズマ状態となると考えられる。プラズマは2個の離れたシールド間を連絡する導電体を形成し、アーク放電又はスパーク放電が2個のシールド間の隙間をブリッジする。従って、マイクロ波エネルギーシールド末端の近接は、シールド間を結ぶスパークの危険性を大きくする。
【0023】
第一及び第二マイクロ波シールドの配置に関する実験を、マイクロ波容器中の食物重量及び食物分布が、スパーク放電の更なる重要因子として作用するかを検討するために行った。食物がほとんど無いか、全く存在しない場合、例えば、食物内容が容器前方に移動して固化した結果、容器の後方の一部が実質的に食物無しとなるような場合は、スパーク放電がより発生しやすいことが発見された。このスパーク放電危険性の増大は、エネルギーが容器の後部に配置された食物により吸収される(適切な)場合に比較して、マイクロ波エネルギーシールドによって反射され、吸収され、及び伝達されるマイクロ波エネルギーの量がより大きくなるためである。従って、マイクロ波容器又は区画を均一に充填することが好ましい。
【0024】
第二シールドは、第一シールドの側壁、例えば高さ3/4インチ(1.91mm)又は1と1/4インチ(3.18mm)等の側壁であって、約1と1/4インチ(3.18mm)高さの側壁を有する容器区画上に配置される側壁と相互作用する。いくつかのマイクロ波シールド相互作用はシールドされた区画の周囲全体で顕著であるが、最もスパーク放電の危険性のあるエリアには、第二シールドのコーナー及び、高さ3/4インチ(1.91mm)の第一シールドの側壁が含まれる。この危険は、食物配置がマイクロ波エネルギーを有効に吸収するために充分でない場合、第一シールドの側壁が、CPETマイクロ波容器の側壁へ容易にエネルギーを移動させて溶融する可能性から生じる。その結果、第一シールドの側壁が容器区画の側壁と同じ高さでない態様では、充分高い固有熱容量を有する食物を均一に分散配置し、マイクロ波エネルギーを充分に吸収して、容器側壁への非常なエネルギー移動により側壁がエネルギー移動により破損を生じることを阻止することが重要である。
【0025】
第二シールドが中央から離れて、又は区画側壁近く若しくは区画側壁に接触して配置される場合、第二シールドは電子レンジ内での調理中にスパーク放電を生じやすいため、第二シールドの位置は重要である。第二シールドを第一シールドの側壁と直接に並列配置(lined up)する場合、マイクロ波容器を通してアーク放電が発生する可能性が非常に大きいことが発見された。更に、第二シールドが中央から離れて配置され、又は容器及び/又は第一シールドの側壁末端まで伸長する場合、1以上の同種のマイクロ波容器がマイクロ波中に一緒に配置されると、更にスパーク放電危険性が高くなる。このような第二シールドを有する2個の容器を互いに隣接して配置すると、並行して配置された場合、2個の第二シールドは互いに接触し、第二シールド間でスパーク放電が発生する可能性がある。実験では、容器の側壁末端まで伸長している第二シールドを備えた2個の容器を、接触させるか1/2インチ(1.27mm)以内で離して配置した時に、スパーク放電が発生し、1/2インチ(1.27mm)を超えて離して配置するとスパーク放電が発生しないことが示された。
【0026】
スパーク放電の危険性を排除するには、消費者が、このようなシールド構成を有する2個のマイクロ波容器を電子レンジ内で近づけ過ぎて配置しないことであった。しかしその代わりに、消費者が1以上の容器を電子レンジ内でどのように配置するかに関係せずに、スパーク放電の危険性を生じないマイクロ波容器の提供が求められている。蓋の中央に位置する第二シールドを備え、第二シールドの外周部と、容器の側壁及び/又は第一シールドの側壁との間に少なくとも1/4インチ(0.64mm)の隙間を有するマイクロ波容器は、スパーク放電の危険性が低い。その理由は、第二シールドが側壁から所定の距離離れて配置されているため、2個の同じマイクロ波容器が電子レンジ内に同時に置かれた場合でも、2個の第二シールド間に相互作用は生じえないからである。実際、これら容器を互いに隣り合わせて配置した電子レンジ調理の実験試験では、容器間にスパーク放電の事実はなかった。
【0027】
上記の通り、消費者はマイクロ波容器のための電子レンジ調理説明を誤解するか、単純に従わない可能性がある。従って、注意書きが正確に守られていない場合でさえスパーク放電を避ける構成となっている容器を提供することは重要である。例えば、消費者は一旦蓋を剥がしてから、蓋は付着させておくべきであることに気が付き、蓋を容器に緩く被せておくことがある。蓋が除去された後、再び容器上に配置された異なる構成を有するマイクロ波容器で、実験が行われた。高さ3/4インチ(1.91mm)の側壁及びベース部に開口部を備えた第一マイクロ波シールド、並びに容器側壁へ伸長してる第二マイクロ波シールドを備えたマイクロ波容器は、この実験では電子レンジ内で火炎を生じた。反対に、高さ1と1/4インチ(3.18mm:即ち、容器側壁と同じ高さ)側壁及びベース部に開口部を備えた第一マイクロ波シールド、並びに蓋の中央であって、容器側壁から1/2インチ(1.27mm)の距離に設置された第二マイクロ波シールドを備えるマイクロ波容器に、この実験を行うと、火炎又はスパーク放電のいずれも確認されなかった。
【0028】
第一シールドの側壁及び第二シールドの外側末端の間に1/2インチ(1.27mm)の垂直な隙間があったが、マイクロ波エネルギーをかけるとやはりスパーク放電及び火炎が発生した。驚くべきことに、1/2インチ(1.27mm)の水平な隙間では、シールドされた容器のアーク放電及びスパーク放電の危険性が減少することが発見された。更に、側壁の上端から放射状に伸長する任意のリップを設けると、スパーク放電の危険性がより減少する。上記の通り、第一及び第二シールド間に垂直な隙間を有するマイクロ波容器では、マイクロ波容器内の食材の配置及び固有熱容量は、シールドされた容器のアーク放電及びスパーク放電の危険性を最小化させるために重要な役割を持つ。
【0029】
製造中又は配達中に、例えば第二シールド自体が丸まったりして、第二シールドが蓋へ適切に付着していない場合がある。丸まった第二シールドを有する上記記載の両方のシールド構成で実験したが、2個のシールド間に水平な隙間を有する容器は火炎及び/又はスパーク放電のいずれも観察できなかった一方、2個のシールド間に垂直な隙間を有する容器の側壁端から火炎が生じた。
【0030】
本発明のマイクロ波シールドされた容器の不適切な取り扱いの例は、消費者が、電子レンジ調理中に熱及び/又は蒸気を逃がすために蓋に孔をあけることである。上記記載のシールド構成の両方を実験したところ、蓋内に孔を形成しても火炎は観察されなかった。別の不適切な取り扱いの例は、消費者が、第二シールドは除去されるものだと信じて第二シールドを蓋から部分的に剥がすことである。上記両方のシールド構成で実験した結果、2個のシールド間に垂直な隙間を有するシールド構成では火炎及びスパーク放電が観察された一方、水平な隙間を有する好ましいシールド構成では観察されなかった。
【0031】
本発明の態様は、マイクロ波エネルギーの方向変換を有効に行い、1以上の区画容器のシールドを達成した。マイクロ波エネルギーの方向変換により、シールドの存在は、室温保存、冷蔵又は冷凍された食物製品のより均一な加熱を生じた。更に、シールドされた区画は、高温区画と対になって、複数温度でのマイクロ波加熱可能な食事を提供する。本発明と食物製品とを組み合わせることにより、本発明の態様では、食物製品に応じて、目的とする温度範囲へ特定の区画を加熱する速度の調節が可能である。マイクロ波容器、区画、及びシールドの寸法は変更可能であり、特定の食物製品に適合させて適切なマイクロ波エネルギーを貫通可能とし、その結果適切な加熱速度を提供できることは、当業者に評価される。
【0032】
より低い固有熱容量を有する食材は、通常より高い固有熱容量を示すその他の食物よりも、より早い電子レンジ調理時間を有する。ある態様では、異なる種類の食物を、電子レンジ内でマイクロ波エネルギー付与の後にだいたい同じ温度で調理するために、より早い調理食物は、より低い調理食物の中又はその間に位置する容器区画内に配置されてもよい。この配置は、マイクロ波容器の中央に配置された食材は、容器周囲端近くに配置された食材よりもよりゆっくり調理される現象を利用する。
【0033】
図2〜5を参照して、マイクロ波容器の幾つかの態様を示す。図2では、マイクロ波皿(容器)100が示される。皿100は、マッシュドポテトを収容した外側同軸状区画102及び同軸状区画102の中央に配置された内側皿(区画)104を備える。内側皿104は、蓋101に付着されたシールド材料103を含むポリマーフィルム蓋101を有する。内側皿104内に収容された食物は従って、シールド材料103及び内側皿104を囲む外側同軸状区画102内に収容されたマッシュドポテトのに両方によりマイクロ波エネルギーからシールドされた。図4を参照するある態様では、内側皿104のベース部は、シールド材料121を含んでもよい。多くの特定の構成において、高い熱容量食材のマイクロ波吸収能力を、より早い調理時間を有する別の食物をシールドする補助に利用する操作を行って、電子レンジ内で異なる種類の材料を同じ温度へ調理するための設計が可能であることは、当業者に評価される。
【0034】
図1を参照して、別の改変態様である複数区画を含むマイクロ波容器10が示される。容器10は、アップルソースを中に収容した楕円形中央区画(第一区画)14を備える。容器10は楕円形区画14に隣接し、マッシュドポテトを中に収容した第二区画12を備える。容器10は更に、同様に楕円形区画14に隣接して、第二区画12とは容器の反対側に配置され、ミートローフを中に収容した第三区画16を備える。第二及び第三区画12及び16は、かなりの量のマイクロ波エネルギーを吸収する高い熱容量食物を収容しており、そのため中央区画14内のアップルソースのシールドとして作用する。更に、容器10は、実質的に中央区画14に対応する位置に構成され、蓋13上に配置された金属フォイルシールド11を備え、任意で、追加的シールド(図示せず)が中央区画14のベース部の下側に配置されてもよい。これら1以上のシールドは、マイクロ波エネルギーへの暴露において中央区画14内の低温度を達成する点において高い熱容量食材を補助する。
【実施例】
【0035】
下記実施例は、上記本発明の態様の例示であり、本発明をいかなる態様で制限することも意図しない。上記のとおり、マイクロ波シールドの種々の構成が、容器内に収容された食物を均一に加熱するためのマイクロ波容器の上に提供される。従って実験は、調理容器の外側のシールドの種々のサイズ及び位置の、異なる種類の食材の温度へ対する効果を測定するために行われた。
【0036】
実施例1:
実施例1の実験は、マイクロ波透過性容器材料としてCPETを含み、シールド材料としてアルミニウムフォイルを含むマイクロ波容器に対して行われた。試験されたマイクロ波容器は、図6〜8中に示される全体的形状を有する二区画容器を含む。更に好ましくは、容器は、ベース部の外周部で特定される曲がった外縁を有する半円形状のベース部を備える第一シールドを備えていた。ベース部は、ベース部の外周部から上方へ伸長しており、上端は側壁の上端から放射状に伸長しているリップを含む複数の側壁を備えていた。側壁の高さは1と1/4インチ(3.18mm)であり、容器区画の側壁とだいたい同じ高さであった。蓋は、蓋の中央の上に配置して付着され、側壁の外周部又は上端から1/2インチ(1.27mm)離れて設けられた第二マイクロ波シールドを備えていた。アップルソースをシールドされた区画内に収容し、蓋を容器頭頂部へ付着させ、容器全体を冷凍した。次に、それぞれ冷凍したシールドされた容器を冷凍庫から取り出し、電子レンジ内に置いた。
【0037】
805ワットパナソニック(商標)電子レンジ内で3分15秒間調理した後、アップルソースの温度を、皿内の5カ所それぞれの位置で、深さ3箇所で測定した。図11は、アップルソースの温度が測定されたシールドされた区画内の位置5カ所の概略図を示す。位置1及び3は区画のコーナーを表し、位置2及び4は区画のエッジ中間を表し、位置5は区画の中央を表す。それぞれの位置で測定された深さ3箇所は、アップルソースのトップ(表面)、中間、及び底である。
【0038】
図12は、冷凍アップルソースの電子レンジ調理の実験結果に関する棒グラフを示す。実験データは、3分間を超える電子レンジ調理の後でさえも、シールドは、45度華氏(7.22℃)未満の比較的低い温度に食材を維持可能であることを示す。更に、データは、シールドは、区画内の位置間での最大温度差が20度華氏未満の均一加熱を生じることを示す。最大温度差は、コーナー位置1の材料とエッジ中間位置2の材料との間にあった。深さによる温度変化は、コーナー位置1でのアップルソースのトップ、中間及び底深さ間に温度差が無い場合から、中間エッジ位置4でのアップルソースのトップ及び底深さ間での1〜4度差の場合までであった。
【0039】
比較例2:
比較例2の実験を、マイクロ波シールドを容器上に設けない以外は実施例1と同じ構成を有するマイクロ波容器で行った。アップルソースをシールドされた区画内に収容し、蓋を容器頭頂部へ付着させ、容器全体を冷凍した。次に、冷凍したシールドされた容器を冷凍庫から取り出し、電子レンジ内に置いた。805ワットパナソニック(商標)電子レンジ内で3分15秒間調理した後、アップルソースの温度を、実施例1と同様に皿内の同じ5カ所それぞれの位置で深さ3箇所で測定した。
【0040】
図13は、冷凍アップルソースの電子レンジ調理の実験結果に関する棒グラフを示す。実験データは、シールド欠如は、電子レンジ調理の後に深さ及び位置の両方によってアップルソースの温度間に実質的変化をもたらすことを示した。実施例1と異なり、区画内の位置間の最大温度差は、55度華氏(12.78℃)を超える。区画位置による最大温度差は、コーナー位置3の材料とエッジ中間位置4の材料との間であった。深さによる最小温度変化差は、中央位置5のアップルソースのトップ、中間及び底深さの間の約5度であった。深さによる最大温度変化差は、コーナー位置1でのアップルソースのトップ、中間及び底深さの間の約28度であった。
【0041】
上記より、実施例1及び比較例2の結果から、実施例1のマイクロ波シールドは、電子レンジ内で調理される容器全体を、均一加熱することに顕著な改良を提供可能であることが示された。
【0042】
実施例3:
実施例3の実験は、マイクロ波透過性容器材料としてCPETを含み、シールド材料としてアルミニウムフォイルを含むマイクロ波容器に対して行われた。試験されたそれぞれのマイクロ波容器では、第一シールドが種々のサイズを有し、図6〜8に示され実施例1で記載された全体的形状を有する二区画容器の外側の種々の位置に配置されている。更に、試験されたそれぞれのマイクロ波容器は、蓋(トップ)へ付着された種々のサイズの第二シールドを備える。第一シールドの変更点は、側壁の高さ及びシールドのベース部上(底)の開口部の半径であった。第二シールドの変更点は、第二シールドの外側外周部と容器側壁との間の距離であった。側壁の高さは、3/4インチから1と1/4インチ(即ち、フル高さ)(1.91〜3.18mm)の範囲である。開口部の半径は、1/4インチ〜3/4インチ(0.64〜1.91mm)の範囲であった。第二シールドと容器側壁との間の隙間は、1/2インチ(1.27mm)又は0の距離(即ち、フルシールド)であった。
【0043】
それぞれのシールドされた容器に対して、アップルソースをシールドされた区画内に収容し、マカロニ及びチーズをシールドされていない区画内に収容し、蓋を容器頭頂部へ付着させ、全体容器を冷凍した。次に、それぞれ冷凍したシールドされた容器を冷凍庫から取り出し、電子レンジ内に置いた。805ワットパナソニック(商標)電子レンジ内で3分15秒間調理した後、食材の温度を測定した。
【0044】
図14は、冷凍アップルソース並びにマカロニ及びチーズの電子レンジ調理の実験結果に関する棒グラフを示す。1と1/4インチ(3.18mm)の第一シールドの側壁完全(フル)高さ、3/4インチ(1.91mm)の開口部半径、及び1/2インチ(1.27mm)の第二シールドと容器側壁との間の距離、の構成を有するマイクロ波シールドは、2個のシールド間の水平な隙間のおかげで、アップルソースの温度は最も冷たく、かつ調理中にアーク放電又はスパーク放電の危険性が低い組み合わせとして最適の加熱特性を提供した。
【0045】
実施例4:
実施例4の実験は、冷凍されたシールドされた容器は、それぞれ、異なる805ワットパナソニック(商標)電子レンジ内で3分45秒間調理された以外は、実施例3の材料及び手順に従って行われた。
【0046】
図15は、冷凍アップルソース並びにマカロニ及びチーズの電子レンジ調理の実験結果に関する棒グラフを示す。驚くべきことに、1と1/4インチ(3.18mm)の第一シールドの側壁完全(フル)高さ、3/4インチ(1.91mm)の開口部半径、及び1/2インチ(1.27mm)の第二シールドと容器側壁との間の距離、の構成を有するマイクロ波シールドは、追加的に30秒加熱したにもかかわらず、アップルソース並びにマカロニ及びチーズを同じ温度で提供した。この構成は、再度、2個のシールド間の水平な隙間のおかげで、調理中にアーク放電又はスパーク放電の危険性が低い組み合わせとして最適の加熱特性を提供した。
【0047】
実施例5:
実施例5のマイクロ波容器では、図1に示されるとおり、複数区画容器を、中央区画の側面いずれかにある2個の外側区画内に、高い固有熱容量の食材を配置するように構成した。アップルソースを中央区画内に収容し、マッシュドポテト及びミートローフを2個の外側区画内にそれぞれ収容した。蓋を容器頭頂部へ付着させ、容器全体を冷凍した。次に、冷凍したシールドされた容器を冷凍庫から取り出し、電子レンジ内に置いた。中央区画には頭頂部及び底の両方に金属フォイルシールドを備え、外側区画内に収容された高い固有熱容量食物は、シールドされていない外側容器側壁から以外はマイクロ波エネルギー効果をほとんど与えずに、中央区画の側面を有効にシールドした。冷凍された容器を3分間調理後、中央区画内のアップルソースは、約50度華氏(10℃)である一方、外側区画内のマッシュドポテト及びミートローフは完全に調理されて熱く、160度華氏(71℃)を超える温度を示した。しかし、食物のみでは、高い熱容量食物及び金属フォイルシールドの組み合わせの場合ほどはアップルソースをシールドできなかった。金属フォイルシールド無しで同じマイクロ波容器を3分間加熱すると、ミートローフ及びマッシュドポテトが160度華氏(71℃)を超える同じ温度であったが、アップルソース温度は約170度華氏(76.7℃)であった。従って、金属フォイルシールドの存在は、他は同一の調理条件下でアップルソースの温度差で約120度華氏(66.7℃)を生じた。
【0048】
実施例6:
実施例6のマイクロ波容器では、図2〜5に示すとおり、複数区画容器を、高い固有熱容量食材をが内側丸皿を同軸状に取り囲む別の丸い皿(外側皿)内に収容されるように構成した。マッシュドポテトを内側皿及び外側皿の両方に収容し、蓋を2個の皿それぞれの頭頂部へ付着させ、容器全体を冷凍した。次に、冷凍したシールドされた容器を冷凍庫から取り出し、電子レンジ内に置いた。内側皿は頭頂部及び底の両方に金属フォイルシールドを備えていた。シールド及び内側皿を取り囲む高い固有熱容量食物材料のおかげで、内側皿は側面全てを有効にシールドされた。5分調理後、内側皿の測定温度は40度華氏(4.4℃)未満である一方、周囲を取り囲んでいた材料は120度華氏(48.9℃)を超えた。内側皿の暖めは主に、周囲材料から内側皿への熱移動により行われたと思われる。従って、ある程度の断熱値を有する材料を収容する内側皿によって、電子レンジ調理中に内側皿はより冷たく保たれる。
【0049】
本発明は、本発明を実施するための現在好ましいモードを含む特定の例に関して記載されたが、当業者は本発明の範囲内で上記システム及び技術には多くの改変及び置換が可能であることを理解できる。本発明は上記要素の構成及び配置の詳細への用途のみに限定されないことは当然である。上記記載のバリエーション及び改変は、本発明の範囲内である。本明細書で開示され定義された本発明は、文章及び/又は図に示され又は明らかな2以上の個々の要素の全ての代替的組み合わせも含むことも理解される。これら異なる全ての組み合わせは、本発明の種々の代替的形態を構成する。本明細書に記載された態様は、本発明を実施するために知られたベストモードを説明し、当業者が本発明を実施することを可能とする。特許請求の範囲は、公知技術が可能とする範囲での代替的態様も含むと解釈される。
【符号の説明】
【0050】
10、90,100、140:複数区画を含む容器
11、142:金属フォイルシールド
12、94,144:第二区画
13、146:蓋
14、92,150:第一区画
16:第三区画
102:外側同軸状区画
104:内側皿
101:蓋
103、121、152:シールド材料
141、151:ベース部
143、153:側壁
145、155:リップ
147、157:側壁の上端
148:開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の区画及び蓋を備えた容器であって;
上記少なくとも1の区画は、外周部を有する形状のベース部及び、ベース部の外周部からある角度で伸張している複数の側壁を備え、かつ、上記少なくとも1の区画はベース部及び複数の側壁の内側又は外側表面に設けられたマイクロ波エネルギーを透過しない材料を含む第一シールドを備えており;
上記蓋は、上記少なくとも1の区画上にシールされる構成となっており、かつ上記蓋はマイクロ波エネルギーを透過しない材料を含む第二シールドを含み、第二シールドは上記複数の側壁から所定の距離離れた蓋上に設けられている;容器。
【請求項2】
上記所定の距離は、少なくとも1/8インチ(0.32mm)である請求項1記載の容器。
【請求項3】
上記複数の側壁からの所定の距離は、少なくとも1/2インチ(1.27mm)である請求項2記載の容器。
【請求項4】
上記少なくとも1の区画又は蓋は、食物を保持する構成となっている請求項1〜3いずれか1項記載の容器。
【請求項5】
第一シールドは、ベース部の中心に設けられた開口部を特定し、その開口部はベース部と同じ形を有する請求項1〜4いずれか1項記載の容器。
【請求項6】
第二シールドは蓋の中央に位置する請求項1〜5いずれか1項記載の容器。
【請求項7】
上記容器は第二区画を備え、その第二区画はマイクロ波エネルギーを透過させる1以上の材料で本質的に構成される請求項1〜6いずれか1項記載の容器。
【請求項8】
蓋はポリマーフィルムを含む請求項1〜7いずれか1項記載の容器。
【請求項9】
第一及び第二シールドは金属フォイルを含む請求項1〜8いずれか1項記載の容器。
【請求項10】
第一シールドは、マイクロ波エネルギーを透過しない材料の複数の別々のピースを含む請求項1〜9いずれか1項記載の容器。
【請求項11】
上記複数の側壁は、側壁の上端から放射状に伸張しているリップを備える上端を備える請求項1〜10いずれか1項記載の容器。
【請求項12】
第一シールドの開口部は、少なくとも1/2インチ(1.27mm)の高さ又は幅を少なくとも一つ有する請求項5記載の容器。
【請求項13】
側壁が容器ベース部から上方に伸びる角度は、ベース部に対して60度〜135度である請求項1〜12いずれか1項記載の容器。
【請求項14】
少なくとも1の区画及び蓋を備えた容器であって;
上記少なくとも1の区画は、マイクロ波エネルギー透過性材料;外周部を有する形状のベース部;及び、ベース部の外周部からある角度で伸張しており、上端を備えた少なくとも1の側壁を備え;かつ、上記少なくとも1の区画は、ベース部及び少なくとも1の側壁の内側又は外側表面に設けられたマイクロ波エネルギーを透過しない材料を含む第一シールドを備えており;
上記蓋は上記少なくとも1の区画をシールする構成となっており;かつ、上記蓋はマイクロ波エネルギーを透過しない材料を含む第二シールドを含む;容器。
【請求項15】
上記少なくとも1の区画又は蓋は、食物を保持する構成となっている請求項14記載の容器。
【請求項16】
第二シールドは、接着材で蓋へ付着されている請求項14又は15記載の容器。
【請求項17】
第一及び第二シールドは金属フォイルを含む請求項14〜16いずれか1項記載の容器。
【請求項18】
上記少なくとも1の側壁の上端は、上端から放射状に伸張しているリップを備える請求項14〜17いずれか1項記載の容器。
【請求項19】
第一シールドは更に、少なくとも1の側壁のリップの外側表面上に設けられたリップを含む請求項14〜18いずれか1項記載の容器。
【請求項20】
マイクロ波エネルギーを実質的に透過する材料、及び第一シールドを備えた第一区画であって、第一シールドは第一区画の内側又は外側表面に設けられたマイクロ波エネルギーを実質的に透過しない材料を含む第一区画;第一区画を少なくとも部分的に囲んでいる第二区画;並びに第一区画をシールする構成となっている蓋であって、マイクロ波エネルギーを透過しない材料を含む第二シールドを備えている蓋;を備えた容器。
【請求項21】
第二区画は第一区画を完全に囲んでいる請求項20記載の容器。
【請求項22】
更に、少なくとも部分的に第一区画を囲んでいる第三区画を備えた請求項20又は21記載の容器。

【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−178469(P2011−178469A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42278(P2011−42278)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(505352367)ビーミス カンパニー インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】