シールド導電体
【課題】電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化できるシールド導電体を提供する。
【解決手段】シールド導電体10は、電線11と、金属パイプ15と、金属パイプ15の端部から筐体16の端部までの領域を覆う筒状の保護具20を備える。保護具20は、可撓性を有する絶縁体からなり、金属パイプ15と接続される第1の接続部23Aから筐体16と接続される第2の接続部23Bに至って配される筒状の外皮部21と、導電性材料からなり、外皮部21の内側面に沿って筒状をなして、外皮部21に一体に保持される可撓性のシールド部材23と、を有する。シールド部材23は、第1の接続部23Aにおいて金属パイプ15に電気的に接続され、第2の接続部23Bにおいて筐体16と電気的に接続されている。
【解決手段】シールド導電体10は、電線11と、金属パイプ15と、金属パイプ15の端部から筐体16の端部までの領域を覆う筒状の保護具20を備える。保護具20は、可撓性を有する絶縁体からなり、金属パイプ15と接続される第1の接続部23Aから筐体16と接続される第2の接続部23Bに至って配される筒状の外皮部21と、導電性材料からなり、外皮部21の内側面に沿って筒状をなして、外皮部21に一体に保持される可撓性のシールド部材23と、を有する。シールド部材23は、第1の接続部23Aにおいて金属パイプ15に電気的に接続され、第2の接続部23Bにおいて筐体16と電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド導電体に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド導電体は、例えば電気自動車やハイブリッド車などの車両に搭載されてバッテリ、インバータ、モータ等の電装機器間を接続する。このようなシールド導電体は、一般に、電線と、電線の周囲を覆うシールド部材と、を備える。このようなシールド導電体においては、電線が筐体内に収容されたコネクタ端子などの機器に電気的に接続される。また、シールド導電体の端部において、シールド部材は、導電性の筐体と電気的に接続される。
【0003】
また、シールド導電体は、電線及びシールド部材を、筐体との接続部分を含んで保護する保護具を備える場合がある(例えば特許文献1を参照)。特許文献1に記載の保護具は、電線の周囲を覆うシールド部材の外側に配されるゴム製の筒状部材であり、その端部が筐体に被せつけられるようになっている。
【0004】
特許文献1に記載のシールド導電体においては、電線にシールド部材を取り付けることにより電線から発生する電磁波がシールドされ、上記保護具を取り付けることにより電線及びシールド部材が保護されるようになっている。
【0005】
特許文献1に記載のシールド導電体は、シールド部材として、金属素線を網目状に編んだ筒状の編組線を備える。この編組線の端部には、電線から発生する電磁波をシールドするとともに電線を保護する金属パイプが接続されることがある(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−313698号公報
【特許文献2】特開2004−171952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような従来のシールド導電体において、電磁シールドと電線の保護のための部材を装着する際には、電線に、編組線、金属パイプ、保護具を順次取り付ける必要があり、装着作業が煩わしいという問題があった。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化できるシールド導電体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するものとして本発明は、筐体内に収容された機器に接続される電線と、前記電線の周囲を覆う金属パイプと、前記金属パイプの端部から前記筐体の端部までの領域を覆う筒状の保護具と、を備え、前記保護具は、可撓性を有する絶縁体からなり、前記金属パイプと接続される第1の接続部から、前記筐体と接続される第2の接続部に至って配される筒状の外皮部と、導電性材料からなり、前記外皮部の内側面に沿って筒状をなして、前記外皮部に一体に保持される可撓性のシールド部材と、を有し、前記シールド部材は、前記保護具の前記第1の接続部において前記金属パイプに電気的に接続され、前記保護具の前記第2の接続部において前記筐体と電気的に接続されていることを特徴とするシールド導電体である。
【0010】
本発明において、電磁シールドと電線の保護のための部材を装着する作業は以下のようにして行う。筒状の保護具を端部に取り付けた金属パイプに電線を挿通させ、この電線を筐体内に収容された機器に接続した後、保護具を電線が接続された筐体の端部に被せると、保護具が金属パイプの端部から筐体の端部までの領域に配される。本発明において、保護具は、可撓性を有する絶縁体からなり、金属パイプと接続される第1の接続部から、筐体と接続される第2の接続部に至って配される筒状の外皮部と、導電性材料からなり、外皮部の内側面に沿って筒状をなして、外皮部に一体に保持される可撓性のシールド部材と、を有している。つまり、本発明では、筐体内に収容された機器と接続するとともに金属パイプに挿通した電線の、金属パイプの端部から筐体の端部までの領域に保護具を取り付けるだけで、電線が電線と機器との接続部を含めて保護される。また、本発明では、保護具をとりつけるだけで、保護具の外皮部の内側面に一体的に保持された導電性材料からなるシールド部材が第1の接続部において金属パイプと電気的に接続され、第2の接続部において筐体と電気的に接続される。その結果、本発明によれば、電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化することができる。
【0011】
本発明は以下の構成であってもよい。
前記シールド部材の内側面のうち、前記第1の接続部の内側面および前記第2の接続部の内側面を除く部分に沿って筒状に形成された可撓性を有する絶縁体からなり、前記外皮部とともに前記シールド部材を挟んで一体に保持する内皮部を、さらに有していてもよい。
このような構成とすると、シールド部材が電線や電線に設けられた端子などに引っかかるのを防止することができるので、保護具を取り付ける作業を容易とすることができ、かつ、シールド部材の内面を保護することもできる。
【0012】
前記保護具の前記第1の接続部には、前記保護具を前記金属パイプに固着する第1の固着部材が取り付けられ、かつ、前記保護具の前記第2の接続部には前記保護具を前記筐体に固着する第2の固着部材が取り付けられていてもよい。このような構成とすると、シールド部材と金属パイプとの電気的な接続を確実なものとし、かつシールド部材と筐体との電気的な接続を確実なものとすることができる。
【0013】
前記第1の固着部材および前記第2の固着部材のうち、少なくとも一方が、前記保護具の内面側において前記シールド部材の内側面に接合されていてもよい。このような構成とすると保護具と固着部材を一部材とすることができる。
【0014】
前記外皮部はゴムからなる構成としてもよい。このような構成とすると、外皮部の弾性によって第1の接続部が金属パイプの端部に締め付けられてシールド部材と金属パイプとの接続が確実に保持され、また外皮部の弾性によって第2の接続部が、筐体の端部に締め付けられてシールド部材と筐体との接続が確実に保持される。
【0015】
前記内皮部はゴムからなる構成としてもよい。このような構成とすると保護具と金属パイプの接続および保護具と筐体との接続をさらに確実なものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化できるシールド導電体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1のシールド導電体の側面図
【図2】図1のX−X線における断面図
【図3】シールド導電体の断面図
【図4】締め付けバンド(固着部材)の断面図
【図5】固着部材を固着する前におけるシールド導電体の断面図
【図6】実施形態2のシールド導電体の側面図
【図7】図6のY−Y線における断面図
【図8】シールド導電体の断面図
【図9】Cリング(固着部材)の斜視図
【図10】固着部材を固着する前におけるシールド導電体の断面図
【図11】他の実施形態(1)で説明するシールド導電体の断面図
【図12】他の実施形態(2)で説明するシールド導電体の断面図
【図13】固着部材を固着する前における図12のシールド導電体の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図5を参照しつつ説明する。本実施形態に係るシールド導電体10は、図1に示すように、電装品における筐体16内に収容された機器(図示せず)に接続される電線11と、電線11の周囲を覆う金属パイプ15と、金属パイプ15の端部から筐体16の端部までの領域を覆う筒状の保護具20と、を備える。
【0019】
電線11は、金属パイプ15及び保護具20に包囲されることにより、電磁的にシールドされるようになっている。シールド導電体10は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車等の車両(図示せず)に搭載されて、バッテリー(図示せず)、インバータ(図示せず)、モータ(図示せず)等の電装品間を接続する。
【0020】
(電線11)
図2に示すように、金属パイプ15の内部及び保護具20の内部には、3本の電線11が挿通されている。3本の電線11は、俵積み状に(各電線11の中心を結んだ線が略正三角形をなすように)配置された状態で挿通されている。電線11は、断面形状が円形をなす金属製(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)の芯線12と、芯線12の外周を覆う絶縁被覆13とによって構成される。芯線12としては、棒状の単芯線でもよく、また、複数の金属細線を撚り合せた撚り線でもよい。電線11の端末には、詳細は図示しないが端子金具が設けられており、この端子金具が筐体16内に収容された機器と電気的に接続されるようになっている。筐体16はたとえばアルミニウム、ステンレスなどの金属(導電体)からなる。
【0021】
(金属パイプ15)
図2に示すように、金属パイプ15は、断面形状が円形状をなしており、厚さも全周に亘って一定となっている。すなわち、金属パイプ15の内周と外周は同心円形をなしている。金属パイプ15の外周面は滑らかな円弧面となっている。
【0022】
金属パイプ15の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、金属パイプ15としてアルミニウム又はアルミニウム合金が使用されている。なお、金属パイプ15の材料が鉄である場合には、金属パイプ15の内周面及び外周面に防錆手段を施してもよい。防錆手段としては、例えば、亜鉛メッキ、塗膜等、必要に応じて任意の手段を用いることができる。
【0023】
(保護具20)
図3に示すように、保護具20は金属パイプ15の端部から筐体16の端部までの領域を覆うように配されている。保護具20は、外側の面を形成する外皮部21と、内側の面を形成する内皮部22と、外皮部21と内皮部22との間に挟まれたシールド部材23とを有している。
【0024】
外皮部21および内皮部22はそれぞれ筒状に形成されており、それぞれゴムから構成される。外皮部21および内皮部22を構成するゴムとしては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、またはアクリルゴムなどがあげられる。
【0025】
外皮部21の一端部(図3に示す右端部)は金属パイプ15の端部に重なるように配され、外皮部21の他端部(図3に示す左端部)は筐体16の端部に重なるように配されている。外皮部21の外側面は、2つの端部の間において、山状の部分21Aと谷状の部分21Bが交互に連続する波形状に形成された構造を有しており、曲げやすい構造となっている。
【0026】
シールド部材23は、金属素線を網目状に編んだ編組線からなり、シールド部材23の一端部23A(図3に示す右端部23A)は外皮部21とともに、金属パイプ15の外側から被せられて、金属パイプ15と電気的に接続され、他端部23B(図3に示す左側の端部23B)は外皮部21とともに筐体16の外側から被せられて筐体16と電気的に接続されるようになっている。シールド部材23の金属パイプ15と接続される端部23Aは第1の接続部23Aであり、シールド部材23の筐体16と接続される端部23Bは第2の接続部23Bである。シールド部材23は、編組線からなるので、湾曲させるような曲げ変形、長さ方向の伸縮変形、径寸法を増減させる変形のいずれもが自在な高い可撓性を有する。
【0027】
シールド部材23を構成する金属素線の材料は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、銅又は銅合金が用いられる。金属素線の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属としては、錫、ニッケル、クロム等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。なお、シールド部材23は筒状に形成された銅又はアルミニウムなどの導体の膜であってもよい。
【0028】
内皮部22は、図3に示すように、シールド部材23の内側面のうち、外皮部21およびシールド部材23と金属パイプ15とが接続される第1の接続部23Aならびに外皮部21およびシールド部材23と筐体16とが接続される第2の接続部23Bを除く部分に沿って筒状に形成されている。内皮部22の内側面は外皮部21の外側面と同様に、山状の部分22Aと谷状の部分22Bが交互に連続する波形状に形成された構造を有している。
【0029】
(固着部材30)
保護具20の、第1の接続部23Aに相当する領域および第2の接続部23Bに相当する領域には、それぞれ金属製の締め付けバンド30が外嵌されている。保護具20の第1の接続部23Aに締め付けバンド30Aをかしめ付けることにより、保護具20が金属パイプ15に固着され、金属パイプ15とシールド部材23との電気的な接続を確実なものとすることができる。また、保護具20の第2の接続部23Bに相当する領域に締め付けバンド30Bをかしめ付けることにより保護具20が筐体16に固着され、筐体16とシールド部材23との電気的な接続を確実なものとすることができる。ここで、第1の接続部23Aにかしめ付けられる締め付けバンド30Aを第1の締め付けバンド30A(第1の固着部材の一例)とし、第2の接続部23Bにかしめつけられる締め付けバンド30Bを第2の締め付けバンド30B(第2の固着部材の一例)とし、両者を総括して締め付けバンド30とする。
【0030】
締め付けバンド30は、帯状の金属板材からなるバンド部材33の両端を重ね合わせてリング状に形成してなる。バンド部材33のうち、バンド部材33が重ね合わされた領域において、径方向外側に位置する外側バンド部34には、この外側バンド部34を貫通する貫通孔35が形成されている。また、バンド部材33のうち、バンド部材33が重ね合わされた領域において、径方向内側に位置する内側バンド部36には、径方向外方に切り起こされた係止爪37が形成されている。この係止爪37が外側バンド部34の貫通孔35内に挿通されて、貫通孔35の孔縁に係止することにより、締め付けバンド30がリング状に保持されるようになっている。
【0031】
バンド部材33には、外方に門形状に折り曲げ形成された締め付け耳38が形成されている。2つの締め付け耳38は、バンド部材33の概ね直径位置に形成されている。この締め付け耳38を公知の治具によって締め付けて潰すことにより、バンド部材33が縮径されるようになっている。保護具20の第1の接続部23Aにおいては、バンド部材33が縮径変形することにより、第1の締め付けバンド30Aの内周側に位置する外皮部21、シールド部材23、および金属パイプ15が固着されるようになっている。保護具20の第2の接続部23Bにおいては、バンド部材33が縮径変形することにより、第2の締め付けバンド30Bの内周側に位置する外皮部21、シールド部材23、および筐体16が固着されるようになっている。
【0032】
(シールド導電体10の製造工程)
以下、本実施形態に係るシールド導電体10の製造工程の一例を説明する。シールド導電体10の製造工程については、以下に説明する製造工程に限定されない。
【0033】
筒状のシールド部材23の内側面の2つの端部領域(第1の接続部23Aと第2の接続部23Bに相当する領域)をあらかじめマスキングしておき、シールド部材23の両面にそれぞれゴムからなる外皮部21と内皮部22とが形成されるように成型すると、内側面の端部23A,23Bにおいてシールド部材23が露出している(ゴムからなる内皮部22が形成されない)保護具20が得られる。なお、シールド部材23の端部23A,23Bに内皮部22が形成されていない部分を形成する別の方法としては、シールド部材23の両面の全域に外皮部21および内皮部22を形成した後、内面側の端部に形成された内皮部22をナイフなどで削り落す方法などがあげられる。
【0034】
このようにして得られた保護具20および金属パイプ15の内部に電線11を挿通させ、電線11を筐体16内に収容された機器に接続した後、保護具20を電線11が接続された筐体16の端部に被せると、保護具20が金属パイプ15の端部から筐体16の端部までの領域に配される。
【0035】
次に、保護具20の第1の接続部23Aに対応する領域に、保護具20の外側から第1の締め付けバンド30Aを外嵌し、保護具20の第2の接続部23Bに対応する領域に、保護具20の外側から第2の締め付けバンド30Bを外嵌する。各締め付けバンド30は、図4に示すように、バンド部材33の両端部が離間した状態にしておく。これにより、保護具20の外側に締め付けバンド30を外嵌する際の作業性を向上させることができる。次いで、バンド部材33を保護具20の外周に配した後、バンド部材33の両端部を重ね合わせ、内側バンド部36の係止爪37を外側バンド部34の貫通孔35内に挿通させる。すると、図5に示すように、係止爪37が貫通孔35の孔縁に係止することにより、バンド部材33がリング状に保持される。なお、図5には、第1の締め付けバンド30Aを金属パイプ15にかしめつける前の状態を示しているが、第2の締め付けバンド30Bを筐体16にかしめつける前の状態も、図5に示す状態と同様である。
【0036】
続いて、第1の締め付けバンド30Aの締め付け耳38を公知の治具によって潰すことによりバンド部材33が縮径されて、保護具20および金属パイプ15が第1の締め付けバンド30によって固着される(図2参照)。また、第2の締め付けバンド30Bの締め付け耳38を公知の治具によってつぶすことによりバンド部材33が縮径されて、保護具20および筐体16が第2の締め付けバンド30によって固着される。この状態において、金属パイプ15の外周面はシールド部材23の内周面と接触し、筐体16の外周面はシールド部材23の内周面と接触している。これにより、シールド部材23は、第1の接続部23Aにおいて金属パイプ15と電気的に接続され、第2の接続部23Bにおいて筐体16と電気的に接続される。なお、図2においては、第1の締め付けバンド30Aを金属パイプ15にかしめつけた後の状態を示しているが、第2の締め付けバンド30Bを筐体16にかしめつけた後の状態も図2に示す状態と同様である。
【0037】
(作用および効果)
以下、本実施形態の作用および効果を説明する。
本実施形態において、保護具20は、可撓性を有する絶縁体からなり、金属パイプ15と接続される第1の接続部23Aから、筐体16と接続される第2の接続部23Bに至って配される筒状の外皮部21と、導電性材料からなり、外皮部21の内側面に沿って筒状をなして、外皮部21に一体に保持される可撓性のシールド部材23と、を有している。つまり、本実施形態では、筐体内16に収容された機器と接続するとともに金属パイプ15に挿通した電線11に保護具20を取り付けるだけで、電線11が電線11と機器との接続部を含めて保護される。また、保護具20を取り付けるだけで、保護具20の外皮部21の内側面に一体的に保持された導電性材料からなるシールド部材23が第1の接続部23Aにおいて金属パイプ15と電気的に接続され、第2の接続部23Bにおいて筐体16と電気的に接続される。その結果、本発明によれば、電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、シールド部材23の内側面のうち、第1の接続部23Aの内側面および第2の接続部23Bの内側面を除く部分に沿って筒状に形成された可撓性を有する絶縁体からなり、外皮部21とともにシールド部材23を挟んで一体に保持する内皮部22を、さらに有しているから、シールド部材23が電線11や電線11に設けられた端子などに引っかかるのを防止することができるので、保護具20を取り付ける作業を容易とすることができ、かつ、シールド部材23の内面を保護することもできる。
【0039】
また、本実施形態によれば、保護具20の第1の接続部23Aおよび第2の接続部23Bには、保護具20を金属パイプ15に固着する第1の締め付けバンド30Aおよび第2の締め付けバンド30Bがそれぞれ取り付けられているから、シールド部材23と金属パイプ15との電気的な接続およびシールド部材23と筐体16との電気的な接続を確実なものとすることができる。また、本実施形態によれば、締め付けバンド30の締め付け耳38を潰すことにより、保護具20を金属パイプ15および筐体16に対して容易にかしめ付けることができる。
【0040】
さらに、本実施形態によれば、外皮部21がゴムからなる構成であるから、外皮部21の弾性によって第1の接続部23Aが金属パイプ15の端部に締め付けられてシールド部材23と金属パイプ15との接続が確実に保持され、また外皮部21の弾性によって第2の接続部23Bが、筐体16の端部に締め付けられてシールド部材23と筐体16との接続が確実に保持される。
【0041】
特に、本実施形態によれば、内皮部22もゴムからなる構成であるから、保護具20と金属パイプ15の接続および保護具20と筐体16との接続をさらに確実なものとすることができる。
【0042】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図6ないし図10によって説明する。本実施形態に係るシールド導電体50は、図6〜図8に示すように、保護具60を金属パイプ15および筐体16にそれぞれ固着する略C字状のCリング70(第1の固着部材および第2の固着部材の一例)を、保護具60の内側面に備える点で実施形態1と相違する。Cリング70は図9に示すように、金属板材をC字状に加工したものであり、導電性を有する金属材料からなる。
【0043】
Cリング70は図8に示すようにシールド部材63の内面側に接合されている。詳しくは、本実施形態においてCリング70は保護具60の一端部(図8の右端部)の第1の接続部63Aに相当する部分と、保護具60の他端部(図8の左端部)の第2の接続部63Bに相当する部分にそれぞれ接合されている。2つのCリング70のうち、第1の接続部63Aに相当する部分に接合されているCリング70を第1のCリング70A(第1の固着部材の一例)とし、第2の接続部63Bに相当する部分に接合されているCリング70を第2のCリング70B(第2の固着部材の一例)とし、両者を総括してCリング70とする。
【0044】
本実施形態において、シールド導電体50は、第1の接続部63Aにおいて第1のCリング70Aを介して金属パイプ15と電気的に接続されている。また、シールド導電体50は第2の接続部63Bにおいて第2のCリング70Bを介して筐体16と電気的に接続されている。各Cリング70は保護具60を金属パイプ15および筐体16に外嵌したのちに、保護具60の第1の接続部63Aおよび第2の接続部63Bをかしめ付けることにより金属パイプ15および筐体16にそれぞれ固着されるようになっている。詳しくは、Cリング70をかしめ付ける前の状態を示す図10およびCリング70をかしめつけた後の状態を示す図7を参照すると、Cリング70の隙間部分71が、かしめつけ後において、かしめつけ前よりも小さくなっており、これによりCリング70が縮径される。
なお、図10においては、第1のCリング70Aを金属パイプ15にかしめつける前の状態を示しているが、第2のCリング70Bを筐体16にかしめつけられる前の状態もこれと同様である。また、図7においては、第1のCリング70Aを金属パイプ15にかしめつけた後の状態を示しているが、第2のCリング70Bを筐体16にかしめつけられた後の状態もこれと同様である。
【0045】
次に、本実施形態に係るシールド導電体50の製造工程の一例を説明する。シールド導電体50の製造工程については、以下に説明する製造工程に限定されない。
【0046】
筒状のシールド部材63の内側面の端部63A,63Bにそれぞれ第1のCリング70Aおよび第2のCリング70Bを溶接により接合する。次に、シールド部材63の外側面の全域、および、シールド部材63の内側面のCリング70が接合された部分以外の領域に、それぞれゴムからなる外皮部61と内皮部62とが形成されるように成型すると、内側面の端部63A,63Bにおいて2つのCリング70A,70Bが接合された保護具60が得られる。
【0047】
このようにして得られた保護具60および金属パイプ15の内部に電線11を挿通させ、電線11を筐体16内に収容された機器に接続した後、保護具60を電線11が接続された筐体16の端部に被せると、保護具60が金属パイプ15の端部から筐体16の端部までの領域に配される。
【0048】
次に、保護具60の外側から、第1の接続部63Aに対応する領域を治具によりかしめつけると第1のCリング70Aが縮径されて、保護具60および金属パイプ15が第1のCリング70Aによって固着される(図7および図10を参照)。また、保護具60の外側から、第2の接続部63Bに対応する領域を治具によりかしめつけると第2のCリング70Bが縮径されて、保護具60および筐体16が第2のCリング70Bによって固着される。この状態において、金属パイプ15の外周面はシールド部材63に接合された第1のCリング70Aと接触し、筐体16の外周面はシールド部材63に接合された第2のCリング70Bと接触している。これにより、シールド部材63は、第1の接続部63Aにおいて金属パイプ15と電気的に接続され、第2の接続部63Bにおいて筐体16と電気的に接続される。上記以外の構成は実施形態1とおおむね同様である。
【0049】
以下、本実施形態の作用および効果を説明する。
本実施形態において、保護具60は、可撓性を有する絶縁体からなり、金属パイプ15と接続される第1の接続部63Aから、筐体16と接続される第2の接続部63Bに至って配される筒状の外皮部61と、導電性材料からなり、外皮部61の内側面に沿って筒状をなして、外皮部61に一体に保持される可撓性のシールド部材63と、を有している。つまり、本実施形態でも、実施形態1と同様に、筐体内16に収容された機器と接続するとともに金属パイプ15に挿通した電線11に保護具60を取り付けるだけで、電線11が電線11と機器との接続部を含めて保護される。また本実施形態でも、保護具60を取り付けるだけで、保護具60の外皮部61の内側面に一体的に保持された導電性材料からなるシールド部材63が第1の接続部63Aにおいて金属パイプ15と電気的に接続され、第2の接続部63Bにおいて筐体16と電気的に接続される。その結果、本発明によれば、電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化することができる。
【0050】
また、本実施形態においても、保護具60は、シールド部材63の内側面のうち、第1の接続部63Aの内側面および第2の接続部63Bの内側面を除く部分に沿って、外皮部61とともにシールド部材63を挟んで一体に保持する内皮部62を、有しているから、シールド部材63が電線11や電線11に設けられた端子などに引っかかるのを防止することができるので、保護具60を取り付ける作業を容易とすることができ、かつ、シールド部材63の内面を保護することもできる。
【0051】
また、本実施形態によれば、保護具60の第1の接続部63Aおよび第2の接続部63Bには、保護具60を金属パイプ15に固着する第1のCリング70Aおよび第2のCリング70Bがそれぞれ取り付けられているから、シールド部材63と金属パイプ15との電気的な接続およびシールド部材63と筐体16との電気的な接続を確実なものとすることができる。
【0052】
特に本実施形態では、Cリング70は保護具60の内面側においてシールド部材63の内側面に接合されているから、保護具60と固着部材70を一部材とすることができるうえに、保護具60を作製する際にシールド部材63をマスキングする必要もないし内皮部62を形成するためにゴム部分を削る必要もない。
【0053】
また、本実施形態によれば、外皮部61がゴムからなる構成であるから、外皮部61の弾性によって第1の接続部63Aが金属パイプ15の端部に締め付けられてシールド部材63と金属パイプ15との接続が確実に保持され、また外皮部61の弾性によって第2の接続部63Bが、筐体16の端部に締め付けられてシールド部材63と筐体16との接続が確実に保持される。さらに、本実施形態によれば、内皮部62もゴムからなる構成であるから、保護具60と金属パイプ15の接続および保護具60と筐体16との接続をさらに確実なものとすることができる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では内皮部22を有する保護具20を示したが、保護具は図11に示す保護具81のように内皮部22を有していなくてもよい。図11に示すシールド導電体80は、保護具81が内皮部22を有していない点以外は実施形態1と概ね同じ構成であるので、実施形態1と同じ構成には同じ符号を付した。
(2)上記実施形態では、第1の固着部材および第2の固着部材として締め付けバンド30やCリング70を備えるものを示したが、図13に示すように保護具20の外周よりもひとまわり大きい輪状の固着部材91を備えるものなどであってもよい。
図13に示すような輪状の固着部材91は、図12に示すように、その一部をを治具でしめつけて固着部材91を縮径することにより保護具20を金属パイプ15および筐体16にかしめ付けることができる。図12において、92は固着部材を治具で締め付けて形成された締め付け部92である。図12および図13に示すシールド導電体90においては、固着部材91以外の構成は実施形態1と同じであるので、実施形態1と同じ構成には同じ符号を付した。
(3)上記実施形態では、第1の接続部および第2の接続部の双方に第1の固着部材および第2の固着部材を備えるものを示したが、2つの接続部のうち一方のみが固着部材を備えていてもよい。
(4)上記実施形態では外皮部21および内皮部22としてゴムからなる構成のものを示したが、ゴムに限定されない。可撓性を有する絶縁体から構成されていればよい。
【符号の説明】
【0055】
10,50,80,90…シールド導電体
11…電線
15…金属パイプ
16…筐体
20,60,81…保護具
21,61…外皮部
22,62…内皮部
23,63…シールド部材
23A,63A…一端部(第1の接続部)
23B,63B…他端部(第2の接続部)
30A,70A,91A…第1の固着部材
30B,70B,91B…第2の固着部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド導電体に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド導電体は、例えば電気自動車やハイブリッド車などの車両に搭載されてバッテリ、インバータ、モータ等の電装機器間を接続する。このようなシールド導電体は、一般に、電線と、電線の周囲を覆うシールド部材と、を備える。このようなシールド導電体においては、電線が筐体内に収容されたコネクタ端子などの機器に電気的に接続される。また、シールド導電体の端部において、シールド部材は、導電性の筐体と電気的に接続される。
【0003】
また、シールド導電体は、電線及びシールド部材を、筐体との接続部分を含んで保護する保護具を備える場合がある(例えば特許文献1を参照)。特許文献1に記載の保護具は、電線の周囲を覆うシールド部材の外側に配されるゴム製の筒状部材であり、その端部が筐体に被せつけられるようになっている。
【0004】
特許文献1に記載のシールド導電体においては、電線にシールド部材を取り付けることにより電線から発生する電磁波がシールドされ、上記保護具を取り付けることにより電線及びシールド部材が保護されるようになっている。
【0005】
特許文献1に記載のシールド導電体は、シールド部材として、金属素線を網目状に編んだ筒状の編組線を備える。この編組線の端部には、電線から発生する電磁波をシールドするとともに電線を保護する金属パイプが接続されることがある(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−313698号公報
【特許文献2】特開2004−171952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような従来のシールド導電体において、電磁シールドと電線の保護のための部材を装着する際には、電線に、編組線、金属パイプ、保護具を順次取り付ける必要があり、装着作業が煩わしいという問題があった。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化できるシールド導電体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するものとして本発明は、筐体内に収容された機器に接続される電線と、前記電線の周囲を覆う金属パイプと、前記金属パイプの端部から前記筐体の端部までの領域を覆う筒状の保護具と、を備え、前記保護具は、可撓性を有する絶縁体からなり、前記金属パイプと接続される第1の接続部から、前記筐体と接続される第2の接続部に至って配される筒状の外皮部と、導電性材料からなり、前記外皮部の内側面に沿って筒状をなして、前記外皮部に一体に保持される可撓性のシールド部材と、を有し、前記シールド部材は、前記保護具の前記第1の接続部において前記金属パイプに電気的に接続され、前記保護具の前記第2の接続部において前記筐体と電気的に接続されていることを特徴とするシールド導電体である。
【0010】
本発明において、電磁シールドと電線の保護のための部材を装着する作業は以下のようにして行う。筒状の保護具を端部に取り付けた金属パイプに電線を挿通させ、この電線を筐体内に収容された機器に接続した後、保護具を電線が接続された筐体の端部に被せると、保護具が金属パイプの端部から筐体の端部までの領域に配される。本発明において、保護具は、可撓性を有する絶縁体からなり、金属パイプと接続される第1の接続部から、筐体と接続される第2の接続部に至って配される筒状の外皮部と、導電性材料からなり、外皮部の内側面に沿って筒状をなして、外皮部に一体に保持される可撓性のシールド部材と、を有している。つまり、本発明では、筐体内に収容された機器と接続するとともに金属パイプに挿通した電線の、金属パイプの端部から筐体の端部までの領域に保護具を取り付けるだけで、電線が電線と機器との接続部を含めて保護される。また、本発明では、保護具をとりつけるだけで、保護具の外皮部の内側面に一体的に保持された導電性材料からなるシールド部材が第1の接続部において金属パイプと電気的に接続され、第2の接続部において筐体と電気的に接続される。その結果、本発明によれば、電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化することができる。
【0011】
本発明は以下の構成であってもよい。
前記シールド部材の内側面のうち、前記第1の接続部の内側面および前記第2の接続部の内側面を除く部分に沿って筒状に形成された可撓性を有する絶縁体からなり、前記外皮部とともに前記シールド部材を挟んで一体に保持する内皮部を、さらに有していてもよい。
このような構成とすると、シールド部材が電線や電線に設けられた端子などに引っかかるのを防止することができるので、保護具を取り付ける作業を容易とすることができ、かつ、シールド部材の内面を保護することもできる。
【0012】
前記保護具の前記第1の接続部には、前記保護具を前記金属パイプに固着する第1の固着部材が取り付けられ、かつ、前記保護具の前記第2の接続部には前記保護具を前記筐体に固着する第2の固着部材が取り付けられていてもよい。このような構成とすると、シールド部材と金属パイプとの電気的な接続を確実なものとし、かつシールド部材と筐体との電気的な接続を確実なものとすることができる。
【0013】
前記第1の固着部材および前記第2の固着部材のうち、少なくとも一方が、前記保護具の内面側において前記シールド部材の内側面に接合されていてもよい。このような構成とすると保護具と固着部材を一部材とすることができる。
【0014】
前記外皮部はゴムからなる構成としてもよい。このような構成とすると、外皮部の弾性によって第1の接続部が金属パイプの端部に締め付けられてシールド部材と金属パイプとの接続が確実に保持され、また外皮部の弾性によって第2の接続部が、筐体の端部に締め付けられてシールド部材と筐体との接続が確実に保持される。
【0015】
前記内皮部はゴムからなる構成としてもよい。このような構成とすると保護具と金属パイプの接続および保護具と筐体との接続をさらに確実なものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化できるシールド導電体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1のシールド導電体の側面図
【図2】図1のX−X線における断面図
【図3】シールド導電体の断面図
【図4】締め付けバンド(固着部材)の断面図
【図5】固着部材を固着する前におけるシールド導電体の断面図
【図6】実施形態2のシールド導電体の側面図
【図7】図6のY−Y線における断面図
【図8】シールド導電体の断面図
【図9】Cリング(固着部材)の斜視図
【図10】固着部材を固着する前におけるシールド導電体の断面図
【図11】他の実施形態(1)で説明するシールド導電体の断面図
【図12】他の実施形態(2)で説明するシールド導電体の断面図
【図13】固着部材を固着する前における図12のシールド導電体の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図5を参照しつつ説明する。本実施形態に係るシールド導電体10は、図1に示すように、電装品における筐体16内に収容された機器(図示せず)に接続される電線11と、電線11の周囲を覆う金属パイプ15と、金属パイプ15の端部から筐体16の端部までの領域を覆う筒状の保護具20と、を備える。
【0019】
電線11は、金属パイプ15及び保護具20に包囲されることにより、電磁的にシールドされるようになっている。シールド導電体10は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車等の車両(図示せず)に搭載されて、バッテリー(図示せず)、インバータ(図示せず)、モータ(図示せず)等の電装品間を接続する。
【0020】
(電線11)
図2に示すように、金属パイプ15の内部及び保護具20の内部には、3本の電線11が挿通されている。3本の電線11は、俵積み状に(各電線11の中心を結んだ線が略正三角形をなすように)配置された状態で挿通されている。電線11は、断面形状が円形をなす金属製(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)の芯線12と、芯線12の外周を覆う絶縁被覆13とによって構成される。芯線12としては、棒状の単芯線でもよく、また、複数の金属細線を撚り合せた撚り線でもよい。電線11の端末には、詳細は図示しないが端子金具が設けられており、この端子金具が筐体16内に収容された機器と電気的に接続されるようになっている。筐体16はたとえばアルミニウム、ステンレスなどの金属(導電体)からなる。
【0021】
(金属パイプ15)
図2に示すように、金属パイプ15は、断面形状が円形状をなしており、厚さも全周に亘って一定となっている。すなわち、金属パイプ15の内周と外周は同心円形をなしている。金属パイプ15の外周面は滑らかな円弧面となっている。
【0022】
金属パイプ15の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、金属パイプ15としてアルミニウム又はアルミニウム合金が使用されている。なお、金属パイプ15の材料が鉄である場合には、金属パイプ15の内周面及び外周面に防錆手段を施してもよい。防錆手段としては、例えば、亜鉛メッキ、塗膜等、必要に応じて任意の手段を用いることができる。
【0023】
(保護具20)
図3に示すように、保護具20は金属パイプ15の端部から筐体16の端部までの領域を覆うように配されている。保護具20は、外側の面を形成する外皮部21と、内側の面を形成する内皮部22と、外皮部21と内皮部22との間に挟まれたシールド部材23とを有している。
【0024】
外皮部21および内皮部22はそれぞれ筒状に形成されており、それぞれゴムから構成される。外皮部21および内皮部22を構成するゴムとしては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、またはアクリルゴムなどがあげられる。
【0025】
外皮部21の一端部(図3に示す右端部)は金属パイプ15の端部に重なるように配され、外皮部21の他端部(図3に示す左端部)は筐体16の端部に重なるように配されている。外皮部21の外側面は、2つの端部の間において、山状の部分21Aと谷状の部分21Bが交互に連続する波形状に形成された構造を有しており、曲げやすい構造となっている。
【0026】
シールド部材23は、金属素線を網目状に編んだ編組線からなり、シールド部材23の一端部23A(図3に示す右端部23A)は外皮部21とともに、金属パイプ15の外側から被せられて、金属パイプ15と電気的に接続され、他端部23B(図3に示す左側の端部23B)は外皮部21とともに筐体16の外側から被せられて筐体16と電気的に接続されるようになっている。シールド部材23の金属パイプ15と接続される端部23Aは第1の接続部23Aであり、シールド部材23の筐体16と接続される端部23Bは第2の接続部23Bである。シールド部材23は、編組線からなるので、湾曲させるような曲げ変形、長さ方向の伸縮変形、径寸法を増減させる変形のいずれもが自在な高い可撓性を有する。
【0027】
シールド部材23を構成する金属素線の材料は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、銅又は銅合金が用いられる。金属素線の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属としては、錫、ニッケル、クロム等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。なお、シールド部材23は筒状に形成された銅又はアルミニウムなどの導体の膜であってもよい。
【0028】
内皮部22は、図3に示すように、シールド部材23の内側面のうち、外皮部21およびシールド部材23と金属パイプ15とが接続される第1の接続部23Aならびに外皮部21およびシールド部材23と筐体16とが接続される第2の接続部23Bを除く部分に沿って筒状に形成されている。内皮部22の内側面は外皮部21の外側面と同様に、山状の部分22Aと谷状の部分22Bが交互に連続する波形状に形成された構造を有している。
【0029】
(固着部材30)
保護具20の、第1の接続部23Aに相当する領域および第2の接続部23Bに相当する領域には、それぞれ金属製の締め付けバンド30が外嵌されている。保護具20の第1の接続部23Aに締め付けバンド30Aをかしめ付けることにより、保護具20が金属パイプ15に固着され、金属パイプ15とシールド部材23との電気的な接続を確実なものとすることができる。また、保護具20の第2の接続部23Bに相当する領域に締め付けバンド30Bをかしめ付けることにより保護具20が筐体16に固着され、筐体16とシールド部材23との電気的な接続を確実なものとすることができる。ここで、第1の接続部23Aにかしめ付けられる締め付けバンド30Aを第1の締め付けバンド30A(第1の固着部材の一例)とし、第2の接続部23Bにかしめつけられる締め付けバンド30Bを第2の締め付けバンド30B(第2の固着部材の一例)とし、両者を総括して締め付けバンド30とする。
【0030】
締め付けバンド30は、帯状の金属板材からなるバンド部材33の両端を重ね合わせてリング状に形成してなる。バンド部材33のうち、バンド部材33が重ね合わされた領域において、径方向外側に位置する外側バンド部34には、この外側バンド部34を貫通する貫通孔35が形成されている。また、バンド部材33のうち、バンド部材33が重ね合わされた領域において、径方向内側に位置する内側バンド部36には、径方向外方に切り起こされた係止爪37が形成されている。この係止爪37が外側バンド部34の貫通孔35内に挿通されて、貫通孔35の孔縁に係止することにより、締め付けバンド30がリング状に保持されるようになっている。
【0031】
バンド部材33には、外方に門形状に折り曲げ形成された締め付け耳38が形成されている。2つの締め付け耳38は、バンド部材33の概ね直径位置に形成されている。この締め付け耳38を公知の治具によって締め付けて潰すことにより、バンド部材33が縮径されるようになっている。保護具20の第1の接続部23Aにおいては、バンド部材33が縮径変形することにより、第1の締め付けバンド30Aの内周側に位置する外皮部21、シールド部材23、および金属パイプ15が固着されるようになっている。保護具20の第2の接続部23Bにおいては、バンド部材33が縮径変形することにより、第2の締め付けバンド30Bの内周側に位置する外皮部21、シールド部材23、および筐体16が固着されるようになっている。
【0032】
(シールド導電体10の製造工程)
以下、本実施形態に係るシールド導電体10の製造工程の一例を説明する。シールド導電体10の製造工程については、以下に説明する製造工程に限定されない。
【0033】
筒状のシールド部材23の内側面の2つの端部領域(第1の接続部23Aと第2の接続部23Bに相当する領域)をあらかじめマスキングしておき、シールド部材23の両面にそれぞれゴムからなる外皮部21と内皮部22とが形成されるように成型すると、内側面の端部23A,23Bにおいてシールド部材23が露出している(ゴムからなる内皮部22が形成されない)保護具20が得られる。なお、シールド部材23の端部23A,23Bに内皮部22が形成されていない部分を形成する別の方法としては、シールド部材23の両面の全域に外皮部21および内皮部22を形成した後、内面側の端部に形成された内皮部22をナイフなどで削り落す方法などがあげられる。
【0034】
このようにして得られた保護具20および金属パイプ15の内部に電線11を挿通させ、電線11を筐体16内に収容された機器に接続した後、保護具20を電線11が接続された筐体16の端部に被せると、保護具20が金属パイプ15の端部から筐体16の端部までの領域に配される。
【0035】
次に、保護具20の第1の接続部23Aに対応する領域に、保護具20の外側から第1の締め付けバンド30Aを外嵌し、保護具20の第2の接続部23Bに対応する領域に、保護具20の外側から第2の締め付けバンド30Bを外嵌する。各締め付けバンド30は、図4に示すように、バンド部材33の両端部が離間した状態にしておく。これにより、保護具20の外側に締め付けバンド30を外嵌する際の作業性を向上させることができる。次いで、バンド部材33を保護具20の外周に配した後、バンド部材33の両端部を重ね合わせ、内側バンド部36の係止爪37を外側バンド部34の貫通孔35内に挿通させる。すると、図5に示すように、係止爪37が貫通孔35の孔縁に係止することにより、バンド部材33がリング状に保持される。なお、図5には、第1の締め付けバンド30Aを金属パイプ15にかしめつける前の状態を示しているが、第2の締め付けバンド30Bを筐体16にかしめつける前の状態も、図5に示す状態と同様である。
【0036】
続いて、第1の締め付けバンド30Aの締め付け耳38を公知の治具によって潰すことによりバンド部材33が縮径されて、保護具20および金属パイプ15が第1の締め付けバンド30によって固着される(図2参照)。また、第2の締め付けバンド30Bの締め付け耳38を公知の治具によってつぶすことによりバンド部材33が縮径されて、保護具20および筐体16が第2の締め付けバンド30によって固着される。この状態において、金属パイプ15の外周面はシールド部材23の内周面と接触し、筐体16の外周面はシールド部材23の内周面と接触している。これにより、シールド部材23は、第1の接続部23Aにおいて金属パイプ15と電気的に接続され、第2の接続部23Bにおいて筐体16と電気的に接続される。なお、図2においては、第1の締め付けバンド30Aを金属パイプ15にかしめつけた後の状態を示しているが、第2の締め付けバンド30Bを筐体16にかしめつけた後の状態も図2に示す状態と同様である。
【0037】
(作用および効果)
以下、本実施形態の作用および効果を説明する。
本実施形態において、保護具20は、可撓性を有する絶縁体からなり、金属パイプ15と接続される第1の接続部23Aから、筐体16と接続される第2の接続部23Bに至って配される筒状の外皮部21と、導電性材料からなり、外皮部21の内側面に沿って筒状をなして、外皮部21に一体に保持される可撓性のシールド部材23と、を有している。つまり、本実施形態では、筐体内16に収容された機器と接続するとともに金属パイプ15に挿通した電線11に保護具20を取り付けるだけで、電線11が電線11と機器との接続部を含めて保護される。また、保護具20を取り付けるだけで、保護具20の外皮部21の内側面に一体的に保持された導電性材料からなるシールド部材23が第1の接続部23Aにおいて金属パイプ15と電気的に接続され、第2の接続部23Bにおいて筐体16と電気的に接続される。その結果、本発明によれば、電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、シールド部材23の内側面のうち、第1の接続部23Aの内側面および第2の接続部23Bの内側面を除く部分に沿って筒状に形成された可撓性を有する絶縁体からなり、外皮部21とともにシールド部材23を挟んで一体に保持する内皮部22を、さらに有しているから、シールド部材23が電線11や電線11に設けられた端子などに引っかかるのを防止することができるので、保護具20を取り付ける作業を容易とすることができ、かつ、シールド部材23の内面を保護することもできる。
【0039】
また、本実施形態によれば、保護具20の第1の接続部23Aおよび第2の接続部23Bには、保護具20を金属パイプ15に固着する第1の締め付けバンド30Aおよび第2の締め付けバンド30Bがそれぞれ取り付けられているから、シールド部材23と金属パイプ15との電気的な接続およびシールド部材23と筐体16との電気的な接続を確実なものとすることができる。また、本実施形態によれば、締め付けバンド30の締め付け耳38を潰すことにより、保護具20を金属パイプ15および筐体16に対して容易にかしめ付けることができる。
【0040】
さらに、本実施形態によれば、外皮部21がゴムからなる構成であるから、外皮部21の弾性によって第1の接続部23Aが金属パイプ15の端部に締め付けられてシールド部材23と金属パイプ15との接続が確実に保持され、また外皮部21の弾性によって第2の接続部23Bが、筐体16の端部に締め付けられてシールド部材23と筐体16との接続が確実に保持される。
【0041】
特に、本実施形態によれば、内皮部22もゴムからなる構成であるから、保護具20と金属パイプ15の接続および保護具20と筐体16との接続をさらに確実なものとすることができる。
【0042】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図6ないし図10によって説明する。本実施形態に係るシールド導電体50は、図6〜図8に示すように、保護具60を金属パイプ15および筐体16にそれぞれ固着する略C字状のCリング70(第1の固着部材および第2の固着部材の一例)を、保護具60の内側面に備える点で実施形態1と相違する。Cリング70は図9に示すように、金属板材をC字状に加工したものであり、導電性を有する金属材料からなる。
【0043】
Cリング70は図8に示すようにシールド部材63の内面側に接合されている。詳しくは、本実施形態においてCリング70は保護具60の一端部(図8の右端部)の第1の接続部63Aに相当する部分と、保護具60の他端部(図8の左端部)の第2の接続部63Bに相当する部分にそれぞれ接合されている。2つのCリング70のうち、第1の接続部63Aに相当する部分に接合されているCリング70を第1のCリング70A(第1の固着部材の一例)とし、第2の接続部63Bに相当する部分に接合されているCリング70を第2のCリング70B(第2の固着部材の一例)とし、両者を総括してCリング70とする。
【0044】
本実施形態において、シールド導電体50は、第1の接続部63Aにおいて第1のCリング70Aを介して金属パイプ15と電気的に接続されている。また、シールド導電体50は第2の接続部63Bにおいて第2のCリング70Bを介して筐体16と電気的に接続されている。各Cリング70は保護具60を金属パイプ15および筐体16に外嵌したのちに、保護具60の第1の接続部63Aおよび第2の接続部63Bをかしめ付けることにより金属パイプ15および筐体16にそれぞれ固着されるようになっている。詳しくは、Cリング70をかしめ付ける前の状態を示す図10およびCリング70をかしめつけた後の状態を示す図7を参照すると、Cリング70の隙間部分71が、かしめつけ後において、かしめつけ前よりも小さくなっており、これによりCリング70が縮径される。
なお、図10においては、第1のCリング70Aを金属パイプ15にかしめつける前の状態を示しているが、第2のCリング70Bを筐体16にかしめつけられる前の状態もこれと同様である。また、図7においては、第1のCリング70Aを金属パイプ15にかしめつけた後の状態を示しているが、第2のCリング70Bを筐体16にかしめつけられた後の状態もこれと同様である。
【0045】
次に、本実施形態に係るシールド導電体50の製造工程の一例を説明する。シールド導電体50の製造工程については、以下に説明する製造工程に限定されない。
【0046】
筒状のシールド部材63の内側面の端部63A,63Bにそれぞれ第1のCリング70Aおよび第2のCリング70Bを溶接により接合する。次に、シールド部材63の外側面の全域、および、シールド部材63の内側面のCリング70が接合された部分以外の領域に、それぞれゴムからなる外皮部61と内皮部62とが形成されるように成型すると、内側面の端部63A,63Bにおいて2つのCリング70A,70Bが接合された保護具60が得られる。
【0047】
このようにして得られた保護具60および金属パイプ15の内部に電線11を挿通させ、電線11を筐体16内に収容された機器に接続した後、保護具60を電線11が接続された筐体16の端部に被せると、保護具60が金属パイプ15の端部から筐体16の端部までの領域に配される。
【0048】
次に、保護具60の外側から、第1の接続部63Aに対応する領域を治具によりかしめつけると第1のCリング70Aが縮径されて、保護具60および金属パイプ15が第1のCリング70Aによって固着される(図7および図10を参照)。また、保護具60の外側から、第2の接続部63Bに対応する領域を治具によりかしめつけると第2のCリング70Bが縮径されて、保護具60および筐体16が第2のCリング70Bによって固着される。この状態において、金属パイプ15の外周面はシールド部材63に接合された第1のCリング70Aと接触し、筐体16の外周面はシールド部材63に接合された第2のCリング70Bと接触している。これにより、シールド部材63は、第1の接続部63Aにおいて金属パイプ15と電気的に接続され、第2の接続部63Bにおいて筐体16と電気的に接続される。上記以外の構成は実施形態1とおおむね同様である。
【0049】
以下、本実施形態の作用および効果を説明する。
本実施形態において、保護具60は、可撓性を有する絶縁体からなり、金属パイプ15と接続される第1の接続部63Aから、筐体16と接続される第2の接続部63Bに至って配される筒状の外皮部61と、導電性材料からなり、外皮部61の内側面に沿って筒状をなして、外皮部61に一体に保持される可撓性のシールド部材63と、を有している。つまり、本実施形態でも、実施形態1と同様に、筐体内16に収容された機器と接続するとともに金属パイプ15に挿通した電線11に保護具60を取り付けるだけで、電線11が電線11と機器との接続部を含めて保護される。また本実施形態でも、保護具60を取り付けるだけで、保護具60の外皮部61の内側面に一体的に保持された導電性材料からなるシールド部材63が第1の接続部63Aにおいて金属パイプ15と電気的に接続され、第2の接続部63Bにおいて筐体16と電気的に接続される。その結果、本発明によれば、電磁シールドおよび電線保護のための部材を装着する作業を簡素化することができる。
【0050】
また、本実施形態においても、保護具60は、シールド部材63の内側面のうち、第1の接続部63Aの内側面および第2の接続部63Bの内側面を除く部分に沿って、外皮部61とともにシールド部材63を挟んで一体に保持する内皮部62を、有しているから、シールド部材63が電線11や電線11に設けられた端子などに引っかかるのを防止することができるので、保護具60を取り付ける作業を容易とすることができ、かつ、シールド部材63の内面を保護することもできる。
【0051】
また、本実施形態によれば、保護具60の第1の接続部63Aおよび第2の接続部63Bには、保護具60を金属パイプ15に固着する第1のCリング70Aおよび第2のCリング70Bがそれぞれ取り付けられているから、シールド部材63と金属パイプ15との電気的な接続およびシールド部材63と筐体16との電気的な接続を確実なものとすることができる。
【0052】
特に本実施形態では、Cリング70は保護具60の内面側においてシールド部材63の内側面に接合されているから、保護具60と固着部材70を一部材とすることができるうえに、保護具60を作製する際にシールド部材63をマスキングする必要もないし内皮部62を形成するためにゴム部分を削る必要もない。
【0053】
また、本実施形態によれば、外皮部61がゴムからなる構成であるから、外皮部61の弾性によって第1の接続部63Aが金属パイプ15の端部に締め付けられてシールド部材63と金属パイプ15との接続が確実に保持され、また外皮部61の弾性によって第2の接続部63Bが、筐体16の端部に締め付けられてシールド部材63と筐体16との接続が確実に保持される。さらに、本実施形態によれば、内皮部62もゴムからなる構成であるから、保護具60と金属パイプ15の接続および保護具60と筐体16との接続をさらに確実なものとすることができる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では内皮部22を有する保護具20を示したが、保護具は図11に示す保護具81のように内皮部22を有していなくてもよい。図11に示すシールド導電体80は、保護具81が内皮部22を有していない点以外は実施形態1と概ね同じ構成であるので、実施形態1と同じ構成には同じ符号を付した。
(2)上記実施形態では、第1の固着部材および第2の固着部材として締め付けバンド30やCリング70を備えるものを示したが、図13に示すように保護具20の外周よりもひとまわり大きい輪状の固着部材91を備えるものなどであってもよい。
図13に示すような輪状の固着部材91は、図12に示すように、その一部をを治具でしめつけて固着部材91を縮径することにより保護具20を金属パイプ15および筐体16にかしめ付けることができる。図12において、92は固着部材を治具で締め付けて形成された締め付け部92である。図12および図13に示すシールド導電体90においては、固着部材91以外の構成は実施形態1と同じであるので、実施形態1と同じ構成には同じ符号を付した。
(3)上記実施形態では、第1の接続部および第2の接続部の双方に第1の固着部材および第2の固着部材を備えるものを示したが、2つの接続部のうち一方のみが固着部材を備えていてもよい。
(4)上記実施形態では外皮部21および内皮部22としてゴムからなる構成のものを示したが、ゴムに限定されない。可撓性を有する絶縁体から構成されていればよい。
【符号の説明】
【0055】
10,50,80,90…シールド導電体
11…電線
15…金属パイプ
16…筐体
20,60,81…保護具
21,61…外皮部
22,62…内皮部
23,63…シールド部材
23A,63A…一端部(第1の接続部)
23B,63B…他端部(第2の接続部)
30A,70A,91A…第1の固着部材
30B,70B,91B…第2の固着部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に収容された機器に接続される電線と、前記電線の周囲を覆う金属パイプと、前記金属パイプの端部から前記筐体の端部までの領域を覆う筒状の保護具と、を備え、
前記保護具は、可撓性を有する絶縁体からなり、前記金属パイプと接続される第1の接続部から、前記筐体と接続される第2の接続部に至って配される筒状の外皮部と、導電性材料からなり、前記外皮部の内側面に沿って筒状をなして、前記外皮部に一体に保持される可撓性のシールド部材と、を有し、
前記シールド部材は、前記保護具の前記第1の接続部において前記金属パイプに電気的に接続され、前記保護具の前記第2の接続部において前記筐体と電気的に接続されていることを特徴とするシールド導電体。
【請求項2】
前記シールド部材の内側面のうち、前記第1の接続部の内側面および前記第2の接続部の内側面を除く部分に沿って筒状に形成された可撓性を有する絶縁体からなり、前記外皮部とともに前記シールド部材を挟んで一体に保持する内皮部を、さらに有することを特徴とする請求項1に記載のシールド導電体。
【請求項3】
前記保護具の前記第1の接続部には、前記保護具を前記金属パイプに固着する第1の固着部材が取り付けられ、かつ、前記保護具の前記第2の接続部には前記保護具を前記筐体に固着する第2の固着部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシールド導電体。
【請求項4】
前記第1の固着部材および前記第2の固着部材のうち、少なくとも一方が、前記保護具の内面側において前記シールド部材の内側面に接合されていることを特徴とする請求項3に記載のシールド導電体。
【請求項5】
前記外皮部はゴムからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のシールド導電体
【請求項6】
前記内皮部はゴムからなることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載のシールド導電体。
【請求項1】
筐体内に収容された機器に接続される電線と、前記電線の周囲を覆う金属パイプと、前記金属パイプの端部から前記筐体の端部までの領域を覆う筒状の保護具と、を備え、
前記保護具は、可撓性を有する絶縁体からなり、前記金属パイプと接続される第1の接続部から、前記筐体と接続される第2の接続部に至って配される筒状の外皮部と、導電性材料からなり、前記外皮部の内側面に沿って筒状をなして、前記外皮部に一体に保持される可撓性のシールド部材と、を有し、
前記シールド部材は、前記保護具の前記第1の接続部において前記金属パイプに電気的に接続され、前記保護具の前記第2の接続部において前記筐体と電気的に接続されていることを特徴とするシールド導電体。
【請求項2】
前記シールド部材の内側面のうち、前記第1の接続部の内側面および前記第2の接続部の内側面を除く部分に沿って筒状に形成された可撓性を有する絶縁体からなり、前記外皮部とともに前記シールド部材を挟んで一体に保持する内皮部を、さらに有することを特徴とする請求項1に記載のシールド導電体。
【請求項3】
前記保護具の前記第1の接続部には、前記保護具を前記金属パイプに固着する第1の固着部材が取り付けられ、かつ、前記保護具の前記第2の接続部には前記保護具を前記筐体に固着する第2の固着部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシールド導電体。
【請求項4】
前記第1の固着部材および前記第2の固着部材のうち、少なくとも一方が、前記保護具の内面側において前記シールド部材の内側面に接合されていることを特徴とする請求項3に記載のシールド導電体。
【請求項5】
前記外皮部はゴムからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のシールド導電体
【請求項6】
前記内皮部はゴムからなることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載のシールド導電体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−178261(P2012−178261A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40217(P2011−40217)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]