説明

シール部材

【課題】 施工現場において容易にシール構造を構築することが可能なシール部材であって、供用後に目地幅が変化しても当該目地部分の水密性が損なわれることのないシール部材を提供すること。
【解決手段】 隣接するパネルP,P間に挿入されるシール部材1を、パネルP,Pの隣接方向に対向する一対の胴部15,15と、両胴部15,15の基端同士を連結する腰部10とを備えて構成し、腰部10に各パネルPの端面に向かって張り出す一対の脚部20,20を形成する。各胴部15および各脚部20は、内側に変形しつつパネルP,P間に挿入され、その復元力により各パネルPの端面に圧接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接するパネル間にシール構造を形成するためのシール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のパネル材を結合して屋根や壁を構築する場合には、雨水等の浸入を防止すべく隣接するパネル間(以下、適宜「目地」という)にシール構造を形成するのが一般的である。
【0003】
例えば、特許文献1には、図7に示すように、パネル100,100間に形成されるシール構造であって、一次止水材としてのコーキング材120と、二次止水材110と、三次止水材130とを備えるシール構造が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−119252号公報(段落番号[0030]〜[0036]、図2および図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかるシール構造を構築するには、複数枚のパネル100を設置した後に、施工現場において、隣接するパネル100,100間に二次止水材110、コーキング材120および三次止水材130を配置する必要があることから、作業に多大な手間と時間とを要してしまう。
【0006】
また、二次止水材110やコーキング材120は、パネル設置時の目地幅に合わせて配設されることから、供用後に目地幅が変化した場合に追従することができず、目地部分の水密性が損なわれることがある。さらに、コーキング材120がパネル表面に施されることから、紫外線により劣化することもある。
【0007】
そこで、本発明は、施工現場において容易にシール構造を構築することが可能なシール部材であって、供用後に目地幅が変化しても当該目地部分の水密性が損なわれることのないシール部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決すべく創案された請求項1の発明は、隣接するパネル間に挿入されるシール部材であって、前記パネルの隣接方向に対向する一対の胴部と、前記両胴部の基端同士を連結する腰部とを備え、前記各胴部は、内側に変形しつつ前記パネル間に挿入され、その復元力により前記各パネルの端面に圧接することを特徴とする。
【0009】
かかるシール部材によると、当該シール部材をパネル間に挿入するだけで、各胴部がパネルの端面に圧接し、目地部分の水密性が確保される。すなわち、一対の胴部をパネル間に挿入するだけで、パネル間にシール構造を構築することができる。また、かかるシール部材によると、一対の胴部がそれぞれ内側に変形した状態で隣接するパネル間に挿入されるので、供用後に目地幅が広がった場合には、各胴部が目地幅の変化に追従して変形する。すなわち、供用後に目地幅が広がった場合であっても、一対の胴部がパネルの端面との圧接状態を保ちつつその外側に変形するので、当該目地部分の水密性が保たれることになる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のシール部材であって、前記各胴部には、外側に向かって張り出す腕部が形成されており、前記各腕部は、内側に変形しつつ前記パネル間に挿入され、その復元力により前記各パネルの端面に圧接することを特徴とする。
【0011】
かかるシール部材によると、各胴部に加えて各腕部もパネルの端面に圧接し、目地部分の水密性が確保される。すなわち、一対の胴部および一対の腕部をパネル間に挿入するだけで、パネル間にシール構造を構築することができる。また、かかるシール部材によると、一対の胴部および一対の腕部がそれぞれ内側に変形した状態で隣接するパネル間に挿入されるので、供用後に目地幅が広がった場合には、各胴部および各腕部が目地幅の変化に追従して変形する。すなわち、供用後に目地幅が広がった場合であっても、一対の胴部および一対の腕部がパネルの端面との圧接状態を保ちつつその外側に変形するので、当該目地部分の水密性が保たれることになる。さらに、腰部と腕部とパネルの端面により空間が形成されることになるが、この空間が「樋」として機能することになるので、何らかの原因によって当該空間に浸入した雨水等を排水地点まで導くことができる。
【0012】
請求項3の発明は、隣接するパネル間に挿入されるシール部材であって、前記パネルの隣接方向に対向する一対の胴部と、前記両胴部の基端同士を連結する腰部とを備え、前記腰部には、前記各パネルの端面に向かって張り出す一対の脚部が形成されており、前記各胴部および前記各脚部は、内側に変形しつつ前記パネル間に挿入され、その復元力により前記各パネルの端面に圧接することを特徴とする。
【0013】
かかるシール部材によると、当該シール部材をパネル間に挿入するだけで、各胴部および各脚部がパネルの端面に圧接し、目地部分の水密性が確保される。すなわち、一対の胴部および一対の脚部をパネル間に挿入するだけで、パネル間にシール構造を構築することができる。また、かかるシール部材によると、一対の胴部および一対の脚部がそれぞれ内側に変形した状態で隣接するパネル間に挿入されるので、供用後に目地幅が広がった場合には、各胴部および各脚部が目地幅の変化に追従して変形する。すなわち、供用後に目地幅が広がった場合であっても、一対の胴部および一対の脚部がパネルの端面との圧接状態を保ちつつその外側に変形するので、当該目地部分の水密性が保たれることになる。さらに、腰部と脚部とパネルの端面により空間が形成されることになるが、この空間が「樋」として機能することになるので、何らかの原因によって当該空間に浸入した雨水等を排水地点まで導くことができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3に記載のシール部材であって、前記腰部は、前記両胴部よりも内側に位置する部位を有することを特徴とする。
【0015】
かかるシール部材によると、腰部と脚部とパネルの端面とにより形成される空間の断面積が大きくなるので、当該空間の「樋」としての性能が高くなる。すなわち、万一、多くの雨水等が当該空間に浸入した場合であっても、当該雨水等を確実に排水地点まで導くことが可能となる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のシール部材であって、前記各胴部の先端部分には、外側に向かって張り出す頭部が形成されており、当該各頭部は、前記各パネルの表面の縁部に接着されることを特徴とする。
【0017】
かかるシール部材によると、パネルの表面の縁部に接着された頭部により雨水等の浸入を阻止することができる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のシール部材であって、前記各胴部には、内側に向かって張り出す蓋部が形成されており、前記各胴部が前記パネル間に挿入されたときに、一方の前記蓋部と他方の前記蓋部とが互いに重なり合うことを特徴とする。
【0019】
かかるシール部材によると、一対の胴部が隣接するパネル間に挿入されたときに、一対の蓋部が互いに重なり合って目地が覆い隠されるので、パネル接合部の見栄えが向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るシール部材によると、施工現場において容易にシール構造を構築することができ、且つ、供用後に目地幅が変化した場合であっても、当該目地部分の水密性を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、図示の状態を「上」「下」の基準とし、パネルの上方からシール部材を挿入する場合を例示する。
【0022】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係るシール部材1は、図1に示すように、隣接するパネルP,P間(以下、適宜「目地」という)に挿入されるものであり、パネルP,Pの隣接方向に対向する一対の胴部15,15と、両胴部15,15の基端同士を連結する腰部10とを備えて構成されており、腰部10の下端(基端)部分には、各パネルPの端面に向かって張り出す一対の脚部20,20が形成されている。また、各胴部10の上端(先端)部分には、外側に向かって張り出す頭部30と内側に向かって張り出す蓋部40とが形成されている。
【0023】
換言すれば、シール部材1は、基体部としての腰部10と、この腰部10の上部に対向して立設された一対の胴部15,15と、腰部10の下部から外側に向かって張り出す一対の脚部20,20と、各胴部10の上端部分から外側に向かって張り出す頭部30,30と、各胴部15の上端部分から内側に向かって張り出す蓋部40,40とを備えて構成されているといえる。
【0024】
また、シール部材1は、例えば、合成ゴムや天然ゴムからなり、腰部10、一対の胴部15,15、一対の脚部20,20、一対の頭部30,30および一対の蓋部40,40は、一体に成形されている。
【0025】
ここで、パネルPは、アルミニウム合金製のハニカムコアP1と、ハニカムコアP1の周囲に配置される枠材P2と、ハニカムコアP1および枠材P2の上下面に固着された表面板P3,P3とを備えて構成されている。枠材P2は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、他方のパネルPの枠材P2と対向する面P21には、その上部に一対の突条P22,P22が押出方向(長手方向)に沿って形成されている。また、表面板P3と上側の突条P22との間には、コーキングSが取り付けられている。
【0026】
腰部10は、図2(a)に示すように、底片13と、この底片13から略垂直に起立する一対の起立片11,11と、各起立片11の先端(上端)から外側に延びる張出片12とを備えて構成されており、略逆ハット形状の断面を呈している。また、張出片12の先端から胴部15が斜め上方に起立している。すなわち、腰部10の一対の起立片11,11は、張出片12,12の長さ分だけ両胴部15,15よりも内側に位置しており、言い換えれば、起立片11,11の離隔距離W3が胴部15,15の基端同士の離隔距離W1よりも小さくなっている。
【0027】
また、パネルP,P間に挿入される前の状態においては、一方の胴部15と他方の胴部15とは、逆ハ字状に対向しており、言い換えれば、胴部15,15は、その先端同士の離隔距離W2がその基端同士の離隔距離W1よりも大きくなっている。そして、胴部15,15の基端同士の離隔距離W1がパネルP,P(コーキングS,S)の端面P23,P23間の離隔距離L1と略等しくなっていることから、図2(b)に示すように、胴部15が内側に変形しつつパネルP,P間に挿入され、外側に広がろうとする復元力によりパネルPの端面P23(図2(a)参照)に圧接する。
【0028】
脚部20は、図2(a)に示すように、腰部10の下端部分(底片13)から斜め上方に向かって張り出しており、円弧形状を呈している。また、一方の脚部20の先端と他方の脚部20の先端との離隔距離W4がパネルP,P(枠材P2,P2)の端面P24,P24間の離隔距離L2よりも大きくなっている。したがって、図2(b)に示すように、各脚部20は、内側に変形しつつパネルP,P間に挿入されることになり、外側に広がろうとする復元力によりその先端部分がパネルPの端面P24に圧接する。なお、本実施形態では、脚部20は、その先端部分が枠材P2の突条P22,P22間に位置することになり、且つ、その下面が下側の突条P22に当接する。すなわち、脚部20は、一対の突条P22,P22により形成された溝の内部に挿入され、枠材P2の下側の突条P22は、シール部材1の位置決め手段として機能する。また、本実施形態では、枠材P2に突設した一対の突条P22,P22により形成された溝の内部に脚部20を挿入する構成としたが、枠材P2の面P21(図2(a)参照)に凹設した溝に脚部20を挿入する構成としてもよい。
【0029】
頭部30は、図2(a)に示すように、胴部15の先端部分からその外側斜め下方に向かって張り出しており、図2(b)に示すように、腰部10と胴部15,15と脚部20,20とがパネルP,P間に挿入されたときに、胴部15の変形に伴ってその基端を中心に旋回し、最終的にはパネルPの表面(本実施形態では、表面板P3の表面)と略平行になる。また、頭部30は、接着剤等によりパネルPの縁部に接着される。
【0030】
蓋部40は、図2(a)に示すように、胴部15の先端部分からその内側斜め上方に向かって張り出しており、図2(b)に示すように、腰部10と胴部15,15と脚部20,20とがパネルP,P間に挿入されたときに、胴部15の変形に伴ってその基端を中心に旋回し、最終的には他方の蓋部40と重なり合う。なお、一方の蓋部40の幅寸法は、他方の蓋部40のおおよそ半分程度の大きさに形成されている。このようにしておくと、一方の蓋部40と他方の蓋部40とがスムーズに重なり合い、さらに、目地幅が狭まった場合であっても、両蓋部40,40の接触状態を維持することが可能となる。
【0031】
以上のように構成されたシール部材1を使用して隣接するパネルP,P間にシール構造を構築するには、図2(a)(b)に示すように、パネルP,Pを所定の位置に設置し、頭部30の裏面又はパネルPの表面板P3の縁部に接着剤を塗布したうえで、脚部20,20が枠材P2,P2の下側の突条P22,P22に当接するまでパネルPの厚さ方向に押し込み、頭部30をパネルPの表面板P3の縁部に接着するだけでよい。シール部材1をパネルP,P間に挿入すると、胴部15,15がそれぞれ内側に変形し、その復元力によりパネルPの端面P23に圧接することになり、同様に、脚部20,20がそれぞれ内側に変形し、その復元力によりパネルPの端面P24に圧接することになり、さらには、一対の蓋部40,40がそれぞれ内側に向かって旋回し、互いに重なり合う。
【0032】
なお、シール部材1をパネルP,P間に挿入した後に、頭部30の裏面又はパネルPの表面板P3の縁部に接着剤を塗布してもよい。
【0033】
そして、シール部材1によると、一対の胴部15,15をパネルP,P間に挿入するだけで、各胴部15がパネルPの端面に圧接し、パネルP,P間が水密になる。すなわち、一対の胴部15,15を目地に挿入するだけで、当該目地部分にシール構造を構築することができる。なお、パネルPの表面板P3の縁部に接着された頭部30により一次的に雨水等の浸入が阻止されることになる。
【0034】
また、一対の胴部15,15および一対の脚部20,20がそれぞれ内側に変形した状態で隣接するパネルP,P間に挿入されるので、図3に示すように、供用後に目地幅が広がった場合には、胴部15,15および脚部20,20が目地幅の変化に追従して変形する。すなわち、供用後に目地幅が広がった場合であっても、各胴部15がパネルPの端面P23との圧接状態を保ちつつ外側に変形し、同様に、各脚部20がパネルPの端面P24との圧接状態を保ちつつ外側に変形するので、目地部分の水密性が保たれることになる。なお、図示は省略するが、供用後に目地幅が狭まった場合には、各胴部15および各脚部20がパネルPの端面との圧接状態を保ちつつ内側に変形するので、当然に目地部分の水密性が保たれることになる。
【0035】
さらに、シール部材1によると、図2(b)に示すように、腰部10と脚部20とパネルPの上側の突条P22と端面P24とにより空間Vが形成されることになるが、この空間Vが「樋」として機能することになるので、何らかの原因によって空間Vに浸入した雨水等を図示しない排水地点まで導くことができる。また、腰部10の起立片11,11を張出片12,12の長さ分だけ胴部10,10よりも内側に位置させたので、張出片12,12を設けない場合に比べて空間Vの断面積が大きくなり、その結果、空間Vの「樋」としての性能が高くなる。すなわち、万一、多くの雨水等が空間Vに浸入した場合であっても、当該雨水等を確実に排水地点まで導くことが可能となる。
【0036】
このように、シール部材1は、頭部30,30と蓋部40,40とが一次止水材として機能し、腰部10と胴部15,15とが二次止水材として機能し、さらに、脚部20,20が三次止水材として機能することになる。
【0037】
また、シール部材1によると、隣接するパネルP,P間に挿入したときに、一対の蓋部40,40が互いに重なり合って目地が覆い隠されるので、パネル接合部の見栄えが向上する。さらに、供用後に目地幅が広がった場合であっても、一対の蓋部40,40が互いに重なり合っている限りは、目地を覆い隠すことができる。
【0038】
なお、シール部材1の寸法・形状は、適宜変更してもよい。例えば、本実施形態に係る胴部15は、断面視して直線状を呈しているが、円弧形状を呈するものであっても差し支えない。
【0039】
また、本実施形態に係る脚部20は、断面視して円弧形状を呈しているが、直線状を呈するものであっても差し支えない。
【0040】
また、本実施形態に係る腰部10は、断面視して逆ハット形状を呈しているが、例えば、図4に示すシール部材2の腰部10のように、起立片11,11の上端同士を連結片14で互いに連結してもよく、さらには、図5に示すシール部材3の腰部10のように、一つの起立片11と、この起立片11の先端(上端)からその両側に張り出す一対の張出片12,12とで略T字形状に形成しても差し支えない。また、図示は省略するが、張出片12,12を省略し、起立片11の先端から胴部15を斜め上方に起立させたものであってもよい。また、本実施形態に係る胴部10の起立片11は、断面視して直線状を呈しているが、円弧形状を呈するものであっても差し支えない。
【0041】
(第二の実施形態)
前記した第一の実施形態では、腰部10の基端部分に一対の脚部20,20が形成されているシール部材1〜3を示したが、図6(a)(b)に示す第二の実施形態に係るシール部材4のように、前記した脚部20を省略してもよい。
【0042】
すなわち、第二の実施形態に係るシール部材4は、図6(a)に示すように、パネルP,Pの隣接方向に対向する一対の胴部15,15と、両胴部15,15の基端同士を連結する腰部10とを備えて構成されている。なお、本実施形態では、各胴部15には、外側に向かって張り出す腕部16が形成されている。
【0043】
両胴部15,15は、パネルP,P間に挿入される前の状態においては、逆ハ字状に対向しており、図6(b)に示すように、内側に変形しつつパネルP,P間に挿入され、その復元力により各パネルPの端面P23に圧接する。また、各胴部15は、その基端(下端)部分がパネルP(枠材P2)の下側の突条P22よりも下方まで延出している。
【0044】
各腕部16は、両胴部15,15がパネルP,P間に挿入された状態において各パネルPの一対の突条P22,P22により形成された溝の内部に入り込み、その先端がパネルPの端面P24に圧接する。つまり、各腕部16は、内側に変形しつつパネルP,P間に挿入され、その復元力により各パネルPの端面P24に圧接する。
【0045】
そして、このようなシール部材4であっても、一対の胴部15,15をパネルP,P間に挿入するだけで、各胴部15および各腕部16がパネルPの端面に圧接し、その結果、パネルP,P間が水密になる。すなわち、一対の胴部15,15を目地に挿入するだけで、当該目地部分にシール構造を構築することができる。なお、パネルPの表面板P3の縁部に接着された頭部30により一次的に雨水等の浸入が阻止されることになる。
【0046】
また、一対の胴部15,15および一対の腕部16,16がそれぞれ内側に変形した状態で隣接するパネルP,P間に挿入されるので、供用後に目地幅が広がった場合には、胴部15,15および脚部20,20が目地幅の変化に追従して変形する。すなわち、供用後に目地幅が広がった場合であっても、各胴部15がパネルPの端面P23との圧接状態を保ちつつ外側に変形し、同様に、各腕部16がパネルPの端面P24との圧接状態を保ちつつ外側に変形するので、目地部分の水密性が保たれることになる。なお、図示は省略するが、供用後に目地幅が狭まった場合には、各胴部15および各腕部16がパネルPの端面との圧接状態を保ちつつ内側に変形するので、当然に目地部分の水密性が保たれることになる。
【0047】
さらに、シール部材4によると、図6(b)に示すように、胴部15と腕部16とパネルPの上側の突条P22と端面P24とにより空間Vが形成されることになるが、この空間Vが「樋」として機能することになるので、何らかの原因によって空間Vに浸入した雨水等を図示しない排水地点まで導くことができる。
【0048】
このように、シール部材4は、頭部30,30と蓋部40,40とが一次止水材として機能し、胴部15,15とが二次止水材として機能し、さらに、腕部16,16が三次止水材として機能することになる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第一の実施形態に係るシール部材を示す斜視図である。
【図2】第一の実施形態に係るシール部材を示す断面図であって、(a)はパネル間に挿入される前の状態を示す図、(b)は隣接するパネル間に挿入された状態を示す図である。
【図3】第一の実施形態に係るシール部材を示す断面図であって、供用後に目地幅が変化した状態を示す図である。
【図4】第一の実施形態に係るシール部材の変形例を示す断面図であって、パネル間に挿入される前の状態を示す図である。
【図5】第一の実施形態に係るシール部材の他の変形例を示す断面図であって、パネル間に挿入される前の状態を示す図である。
【図6】第二の実施形態に係るシール部材を示す断面図であって、(a)はパネル間に挿入される前の状態を示す図、(b)は隣接するパネル間に挿入された状態を示す図である。
【図7】従来のシール構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 シール部材
10 腰部
15 胴部
20 脚部
30 頭部
40 蓋部
P パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するパネル間に挿入されるシール部材であって、
前記パネルの隣接方向に対向する一対の胴部と、
前記両胴部の基端同士を連結する腰部とを備え、
前記各胴部は、内側に変形しつつ前記パネル間に挿入され、その復元力により前記各パネルの端面に圧接することを特徴とするシール部材。
【請求項2】
前記各胴部には、外側に向かって張り出す腕部が形成されており、
前記各腕部は、内側に変形しつつ前記パネル間に挿入され、その復元力により前記各パネルの端面に圧接することを特徴とする請求項1に記載のシール部材。
【請求項3】
隣接するパネル間に挿入されるシール部材であって、
前記パネルの隣接方向に対向する一対の胴部と、
前記両胴部の基端同士を連結する腰部とを備え、
前記腰部には、前記各パネルの端面に向かって張り出す一対の脚部が形成されており、
前記各胴部および前記各脚部は、内側に変形しつつ前記パネル間に挿入され、その復元力により前記各パネルの端面に圧接することを特徴とするシール部材。
【請求項4】
前記腰部は、前記両胴部よりも内側に位置する部位を有することを特徴とする請求項3に記載のシール部材。
【請求項5】
前記各胴部の先端部分には、外側に向かって張り出す頭部が形成されており、
当該各頭部は、前記各パネルの表面の縁部に接着されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のシール部材。
【請求項6】
前記各胴部には、内側に向かって張り出す蓋部が形成されており、
前記各胴部が前記パネル間に挿入されたときに、一方の前記蓋部と他方の前記蓋部とが互いに重なり合うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のシール部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−16899(P2006−16899A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197379(P2004−197379)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000192589)神鋼ノース株式会社 (6)
【Fターム(参考)】