説明

ジェル状皮膚洗浄用組成物

【課題】高級脂肪酸塩以外の陰イオン性界面活性剤が疎水化されることによって生じる離水を抑制することができるとともに、水馴染みを高めて容易に洗い落とすことができるジェル状皮膚洗浄用組成物の提供。
【解決手段】(A)高級脂肪酸塩以外の陰イオン性界面活性剤、(B)ケイ酸ナトリウム・マグネシウム、(C)(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー、並びに、(D)下記(a)と(b)からなるコポリマーおよびクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも1種を含有してなるジェル状皮膚洗浄用組成物とする。
(a)(メタ)アクリル酸および/又は(メタ)アクリル酸アルキル
(b)イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はネオデカン酸ビニル

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジェル状皮膚洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚洗浄用組成物には、洗浄効果を付与するために種々の陰イオン性界面活性剤が配合されている。中でも高級脂肪酸塩は、固形状、半固形状、クリーム状などの剤型において優れた洗浄効果を付与する成分として最も汎用されている。しかしながら、高級脂肪酸塩配合系では、水馴染みに優れる反面、温度変化によって結晶化や液状化が生じ製剤安定性に劣るといった問題がある。
【0003】
そこで、高級脂肪酸塩以外の陰イオン性界面活性剤を用いて、水馴染みに優れるジェル状の剤型とする試みがなされている。例えば、陰イオン性界面活性剤が配合されている組成物を、両性界面活性剤や陽イオン性ポリマーにより増粘する試みがなされている。
【0004】
具体的には、アニオン性界面活性剤と、両性界面活性剤と、ポリオキシエチレンジエステルとを含有するジェル状の皮膚洗浄料(例えば、特許文献1および2を参照)、特定の陰イオン性界面活性剤と、特定の両性界面活性剤と、特定の非イオン性界面活性剤とを含有するゲル状洗浄剤組成物(例えば、特許文献3を参照)、脂肪アシルイセチオネートと、洗浄剤と、カチオン性ポリマーと、シリコーンとを含有するジェル形態の洗浄剤組成物(例えば、特許文献4を参照)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、これら試みに拠って、一旦はジェル状の剤型とすることができるものの、両性界面活性剤や陽イオン性ポリマーによって、陰イオン性界面活性剤が疎水化されるため、離水が生じ易くなり、製剤安定性に劣るといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−20617号公報
【特許文献2】特開平11−106331号公報
【特許文献3】特開2003−277791号公報
【特許文献4】特表平7−509707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、高級脂肪酸塩以外の陰イオン性界面活性剤が疎水化されることによって生じる離水を抑制することができるとともに、水馴染みを高めて容易に洗い落とすことができるジェル状皮膚洗浄用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)高級脂肪酸塩以外の陰イオン性界面活性剤、(B)ケイ酸ナトリウム・マグネシウム、(C)(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー、並びに、(D)下記(a)と(b)からなるコポリマーおよびクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも1種を含有してなるジェル状皮膚洗浄用組成物、並びに
(a)(メタ)アクリル酸および/又は(メタ)アクリル酸アルキル
(b)イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はネオデカン酸ビニル
〔2〕(D)成分が、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマーおよび/又は(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマーである前記〔1〕に記載のジェル状皮膚洗浄用組成物
に関する。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」の双方を意味する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のジェル状皮膚洗浄用組成物は、高級脂肪酸塩以外の陰イオン性界面活性剤が疎水化されることによって生じる離水を抑制し、製剤安定性に優れた効果を奏する。また、水馴染みに格段に優れていることから、濯ぎ時に容易に洗い落とすことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のジェル状皮膚洗浄用組成物は、(A)高級脂肪酸塩以外の陰イオン性界面活性剤、(B)ケイ酸ナトリウム・マグネシウム、(C)(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーおよび(D)特定のコポリマー又はクロスポリマーを含有する。
【0011】
(A)成分の高級脂肪酸塩以外の陰イオン性界面活性剤としては、洗浄効果を十分に奏するものであれば特に限定されないが、具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのα−オレフィンスルホン酸塩;ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、オレオイルメチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムなどのN−アシルメチルタウリン塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウリルニナトリウムなどのスルホコハク酸アルキル塩;スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウムなどのスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ジエタノールアミンなどのモノアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ミリストイルサルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウムなどのN−アシルサルコシン塩;ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウムなどのN−アシル−N−メチル−β−アラニン塩;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸ニナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミンなどのN−アシルグルタミン酸塩;ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN−アシルグリシン塩;ラウリルグリコール酢酸ナトリウム(ドデカン−1,2−ジオール酢酸ナトリウム)、ラウリルグリコール酢酸カリウム、ミリスチルグリコール酢酸ナトリウム、ミリスチルグリコール酢酸カリウム、パルミチルグリコール酢酸ナトリウム、パルミチルグリコール酢酸カリウム、ステアリルグリコール酢酸ナトリウム、ステアリルグリコール酢酸カリウム、ベヘニルグリコール酢酸ナトリウム、ベヘニルグリコール酢酸カリウムなどのアルキルエーテルグリコール酢酸塩などを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0012】
(A)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、洗浄力の観点から、組成物中、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上である。また、製剤安定性の観点から、60質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは2〜40質量%である。
【0013】
(B)成分のケイ酸ナトリウム・マグネシウムは、天然粘土鉱物から精製されたケイ酸ナトリウム・マグネシウムであっても、合成された合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウムであっても、所望の効果が十分に付与されるのであれば特に限定されない。また、本発明においては、ケイ酸ナトリウム・マグネシウムを主成分とするスメクタイト族粘土鉱物であるヘクトライトをそのまま用いても良い。
【0014】
尚、上記(B)成分は、市販品を用いることもできる。具体的には、例えば、ラポナイトXLG(商品名,ロックウッド社製)、スメクトンSA(商品名,クニミネ工業社製)などを例示することができる。
【0015】
(B)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、離水を抑制して製剤安定性を高める観点から、組成物中、0.0001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上である。また、製剤化の観点から、2質量%以下が好ましく、より好ましくは1.5質量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.01〜1.5質量%である。
【0016】
(C)成分の(メタ)アクリル酸アルキルコポリマーとは、アクリル酸アルキル(C1−4,C8)およびメタクリル酸アルキル(C1−4,C8)、アクリル酸およびメタクリル酸の中の2種以上の成分からなる共重合体である。本発明で用いられる(C)成分は、ペミュレンTR−1,TR−2、カーボポールETD2020などの商品名で市販されている、一般的にアクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマーと称される成分とは構造が異なるものである。
【0017】
尚、上記(C)成分の市販品としては、アキュリンTM33A(商品名,ローム・アンド・ハース・ジャパン社製)を例示することができる。
【0018】
(C)成分は、通常、塩基性物質で中和して用いられる。塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが例示される。また、塩基性物質の添加量は、上記(C)成分のコポリマーを中和するのに充分な量であり、これら成分の種類や使用量に応じて適宜配合すればよい。
【0019】
(C)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、離水を抑制して製剤安定性を高める観点から、組成物中、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上である。また、水馴染みおよび洗い落ちの観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは8質量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%である。
【0020】
(D)成分のコポリマー又はクロスポリマーは、下記(a)と(b)とからなるコポリマーおよびクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも1種である。
(a)(メタ)アクリル酸および/又は(メタ)アクリル酸アルキル
(b)イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はネオデカン酸ビニル
【0021】
(D)成分のコポリマーとしは、例えば、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマーなどが挙げられる。また、クロスポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマーなどが挙げられる。尚、重合される酸化エチレンの付加モル数は特に限定されない。
【0022】
具体的には、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレンセチルエーテルコポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルコポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレンべへニルエーテルコポリマーなどの(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマー;アクリレーツ/イタコン酸ポリオキシエチレンセチルエーテルコポリマー、アクリレーツ/イタコン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルコポリマーなどの(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマー;アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルクロスポリマーなどの(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマー;アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマーなどの(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマーなどを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0023】
好適な(D)成分としては、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマーを用いることが好ましい。
【0024】
(D)成分は、通常、塩基性物質で中和して用いられる。塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが例示される。また、塩基性物質の添加量は、上記コポリマー又はクロスポリマーを中和するのに充分な量であり、これら成分の種類や使用量に応じて適宜配合すればよい。
【0025】
尚、上記(D)成分は、市販品を用いることもできる。(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマーの市販品としては、例えば、アキュリンTM22,TM28(商品名,いずれもローム・アンド・ハース・ジャパン社製)などを例示することができる。(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマーの市販品としては、例えば、STRUCTURE2001、3001(商品名,いずれもナショナルスターチ社製)などを例示することができる。
【0026】
(D)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、離水を抑制して製剤安定性を高める観点から、組成物中、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上である。また、水馴染みおよび洗い落ちの観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは8質量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。
【0027】
また、本発明のジェル状皮膚洗浄用組成物には、粘性増加による安定性の向上および泡質改善の観点から、両性界面活性剤を含有させることができる。用いられる両性界面活性剤としては、例えば、アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。具体的なアミドプロピルベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタインなどを例示することができる。また、具体的なアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタインなどを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な両性界面活性剤としては、安定性向上および泡質改善の観点から、アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤を用いることが好ましく、中でも、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタインを用いることがより好ましい。
【0028】
両性界面活性剤の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、安定性の向上および泡質の改善の観点から、組成物中、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上である。また、水馴染みの観点から、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。これらの観点から、両性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%である。
【0029】
更に、本発明のジェル状皮膚洗浄用組成物には、離水を抑制して製剤安定性を更に高める観点、並びに泡質改善の観点から、陽イオン性ポリマーを含有させることもできる。用いられる陽イオン性ポリマーとしては、例えば、塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース、塩化グリシジルトリメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース、塩化ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロースなどの第4級窒素含有セルロースエーテル誘導体;塩化ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・グァーガムなどの第4級窒素含有グァーガム誘導体;塩化ジメチルジアリルアンモニウムなどのジアリル第4級アンモニウム塩重合物;塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体などのジアリル第4級アンモニウム塩・アクリルアミド共重合物;ビニルピロリドン・ジメチルアミノメタクリレート共重合体と硫酸ジメチルによる4級化誘導体、ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミドクロリド共重合体などの第4級化ビニルピロリドン誘導体;カチオン性澱粉、ポリグリコールポリアミン縮合物、アジピン酸・ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合物、カチオン化デキストランなどを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な陽イオン性ポリマーとしては、安定性および使用感の観点から、ジアリル第4級アンモニウム塩を用いることが好ましく、中でも、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミドを用いることがより好ましい。
【0030】
陽イオン性ポリマーの含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、安定性および使用感の観点から、組成物中、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上である。また、洗い落ちの観点から、2質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下である。これらの観点から、陽イオン性ポリマーの含有量は、好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.05〜1質量%である。
【0031】
本発明に係るジェル状皮膚洗浄用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記に記した成分の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどの多価アルコール;メントール、メンチルグリセリルエーテル、カンファなどの清涼剤;抗酸化剤、金属封鎖剤、シリコーン類、ビタミン類、動植物抽出エキス、パール化剤、着色剤、各種香料、防腐剤、水などを目的に応じて適宜配合してもよい。
【0032】
尚、本発明のジェル状皮膚洗浄用組成物は、洗い落ちに優れた効果を奏し、洗浄後のサッパリとした使用感が得られることから、洗顔剤の形態として用いられることが好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は特記しない限り「質量%」を表す。また、(C)成分および(D)成分は、コポリマー又はクロスポリマーの純分に換算した。
【0034】
(試料の調製)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1〜6および比較例1〜7のジェル状皮膚洗浄用組成物を調製し、下記評価試験に供した。結果をそれぞれ表1および表2に併記する。
【0035】
(試験例1;製剤安定性の評価)
実施例および比較例で得られた各試料を50mL容の透明ガラス容器に充填し、5℃および40℃の各恒温槽にそれぞれ1ヶ月保管後の性状を目視観察して、以下の評価基準に従って評価した。
【0036】
<製剤安定性(5℃)の評価基準>
◎:ジェル状の形状を維持している
○:ジェル状の形状を維持しているが、表面に僅かな離水が認められる、又は、僅かな結晶化(析出)が認められる
△:ジェル状の形状を維持しておらず、表面に明らかな離水が認められる、又は、明らかな結晶化(析出)が認められる
×:離水(分離)している
【0037】
<製剤安定性(40℃)の評価基準>
◎:ジェル状の形状を維持している
○:ジェル状の形状を維持しているが、表面に僅かな離水が認められる、又は、僅かな液状化が認められる
△:ジェル状の形状を維持しておらず、表面に明らかな離水が認められる、又は、明らかな液状化が認められる
×:液状化している
【0038】
(試験例2;使用感の評価)
官能評価パネル20名により、実施例および比較例で得られた各試料を実際に洗顔剤の形態で使用してもらい、洗顔前の「水馴染み」、並びに、施術後の「洗い落ち(濯ぎ易さ)」について、以下の評価基準に従って官能評価した。
尚、水馴染みについては、洗顔を施す直前の手の平上での水との馴染みについて評価した。
【0039】
<水馴染みの評価基準>
◎:20名中16名以上が水馴染みに優れると回答
○:20名中11〜15名が水馴染みに優れると回答
△:20名中6〜10名が水馴染みに優れると回答
×:20名中5名以下が水馴染みに優れると回答
【0040】
<洗い落ち(濯ぎ易さ)の評価基準>
◎:20名中16名以上が洗い落ちに優れ、濯ぎ易いと回答
○:20名中11〜15名が洗い落ちに優れ、濯ぎ易いと回答
△:20名中6〜10名が洗い落ちに優れ、濯ぎ易いと回答
×:20名中5名以下が洗い落ちに優れ、濯ぎ易いと回答
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
表1および表2の結果から、各実施例のジェル状皮膚洗浄用組成物は、各比較例のものと対比して、高級脂肪酸塩以外の陰イオン性界面活性剤の疎水化による離水を抑制することができ、製剤安定性に格段に優れた効果を奏していることが分かる。また、施術時の水馴染みに優れ、洗浄後は容易に洗い落とすことができることから、濯ぎ易さに優れていることが分かる。
【0044】
これに対し、(B)成分、(C)成分、(D)成分の3成分を充足しない比較例1〜6のジェル状皮膚洗浄用組成物は、評価項目の全てに優れる効果は認められなかった。このことからも、本発明の効果を最大限に発揮させるためには、(B)成分、(C)成分、(D)成分の3成分を充足することが必須であると言える。加えて、比較例7に示す通り、例え(B)成分、(C)成分、(D)成分の3成分を充足したとしても、陰イオン性界面活性剤として高級脂肪酸塩を用いた場合には、使用感は優れるものの、製剤安定性に劣ってしまうことが分かる。
【0045】
以下、本発明に係るジェル状皮膚洗浄用組成物の処方例を示す。尚、含有量は質量%である。また、POEとはポリオキシエチレンの略である。
【0046】
(処方例1)
ラウリルグリコール酢酸ナトリウム 10.0
合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 1.5
アクリル酸アルキルコポリマー 1.0
アクリレーツ/メタクリル酸POEステアリルエーテルコポリマー 2.5
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 6.0
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド 0.15
キサンタンガム 0.1
グリセリン 15.0
ジプロピレングリコール 5.0
水酸化カリウム 適 量
防腐剤 適 量
金属キレート剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0047】
(処方例2)
ラウリルグリコール酢酸ナトリウム 5.0
合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 1.0
アクリル酸アルキルコポリマー 0.5
アクリレーツ/メタクリル酸POEステアリルエーテルコポリマー 1.5
アクリレーツ/メタクリル酸POEステアリルエーテルクロスポリマー 0.2
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 4.0
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド 0.1
キサンタンガム 0.1
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 15.0
水酸化カリウム 適 量
防腐剤 適 量
金属キレート剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0048】
(処方例3)
ラウリルグリコール酢酸ナトリウム 2.0
合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 0.3
アクリル酸アルキルコポリマー 0.2
アクリレーツ/メタクリル酸POEステアリルエーテルコポリマー 0.8
アクリレーツ/メタクリル酸POEステアリルエーテルクロスポリマー 0.1
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 1.5
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド 0.03
キサンタンガム 0.2
グリセリン 3.0
ジプロピレングリコール 15.0
1,2−ペンタンジオール 1.0
オクトキグリセリン 0.5
水酸化カリウム 適 量
防腐剤 適 量
金属キレート剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)高級脂肪酸塩以外の陰イオン性界面活性剤、(B)ケイ酸ナトリウム・マグネシウム、(C)(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー、並びに、(D)下記(a)と(b)からなるコポリマーおよびクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも1種を含有してなるジェル状皮膚洗浄用組成物。
(a)(メタ)アクリル酸および/又は(メタ)アクリル酸アルキル
(b)イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はネオデカン酸ビニル
【請求項2】
(D)成分が、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマーおよび/又は(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマーである請求項1に記載のジェル状皮膚洗浄用組成物。

【公開番号】特開2011−162527(P2011−162527A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30676(P2010−30676)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】