説明

ジエポキシ化合物及びその製造方法、並びに、該化合物を硬化して得られる硬化物

【課題】新規な硬化物及び該硬化物を与え得るジエポキシ化合物が求められている。
【解決手段】式(1)


(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるジエポキシ化合物、
前記式(1)で表わされるジエポキシ化合物及び硬化剤を含むことを特徴とする組成物、並びに、前記組成物を硬化して得られる硬化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジエポキシ化合物及びその製造方法、並びに、該化合物を硬化して得られる硬化物等に関する。
【背景技術】
【0002】
ジエポキシ化合物を硬化して得られる硬化物は、良好な耐熱性及び機械的特性を示すことが知られている。
例えば、非特許文献1には、式(A)

で表わされるジエポキシ化合物(融点240℃)及び該化合物を硬化して得られる硬化物が記載されている。
また、非特許文献2には、式(B)

で表わされるジエポキシ化合物(融点187℃)及び該化合物を硬化して得られる硬化物が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Macromol.Chem.Phys.1994,195,2307.
【非特許文献2】J.Polym.Sci.PartA.Polym.Chem.1999,37,419.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況下、新規な硬化物及び該硬化物を与え得るジエポキシ化合物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の本発明に至った。
<1> 式(1)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるジエポキシ化合物。
<2> 式(1)で表わされる化合物が、式(1’)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表わす。)
で表わされる立体異性体であることを特徴とする<1>記載のジエポキシ化合物。
【0006】
<3> 無機塩基の存在下、式(2)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるジヒドロキシ化合物と式(3)

(式中、Xはハロゲン原子を表わす。)
で表わされるエピハロヒドリンとを反応させる工程を含むことを特徴とする式(1)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表わす。)
で表わされるジエポキシ化合物の製造方法。
<4> 前記工程が、無機塩基及び4級アンモニウム塩の存在下、前記式(2)で表わされるジヒドロキシ化合物と前記式(3)で表わされるエピハロヒドリンとを反応させる工程であることを特徴とする<3>記載の製造方法。
<5> 前記工程が、下記工程A及び工程Bを含むことを特徴とする<4>記載のジエポキシ化合物の製造方法。
工程A:前記式(2)で表わされるジヒドロキシ化合物、前記式(3)で表わされるエピハロヒドリン、及び4級アンモニウム塩を混合する工程。
工程B:工程Aで得られた混合物に無機塩基を混合する工程。
<6> 前記無機塩基が、アルカリ金属水酸化物であることを特徴とする<3>〜<5>のいずれか記載のジエポキシ化合物の製造方法。
【0007】
<7> 式(2)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるジヒドロキシ化合物。
<8> 式(2)で表わされる化合物が式(2’)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされる立体異性体であることを特徴とする<7>記載のジヒドロキシ化合物。
<9> 酸の存在下、式(6)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるヒドロキシナフトエ酸と、式(7)

で表わされる4−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンとを反応させる工程を含むことを特徴とするジヒドロキシ化合物の製造方法。
【0008】
<10> 式(1)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるジエポキシ化合物及び硬化剤を含むことを特徴とする組成物。
<11> 硬化剤が、アミン硬化剤、フェノール硬化剤及び酸無水物硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤であることを特徴とする<10>記載の組成物。
<12> 硬化剤が、アミン硬化剤であることを特徴とする<10>又は<11>記載の組成物。
<13> アミン硬化剤が、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、1,5−ジアミノナフタレン及びp−フェニレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン硬化剤であることを特徴とする<12>記載の組成物。
【0009】
<14> さらに、アルミナを含むことを特徴とする<10>〜<13>のいずれか記載の組成物。
<15> 前記式(1)で表されるジエポキシ化合物と硬化剤とアルミナとの合計100重量部に対して、アルミナを75重量部〜95重量部含むことを特徴とする<14>記載の組成物。
<16> アルミナが、2μm以上100μm以下のD50(累積体積50%の粒子径)を有するアルミナAと、1μm以上10μm以下のD50を有するアルミナBと、0.01μm以上5μm以下のD50を有するアルミナCとの混合物であり、かつ、アルミナAとアルミナBとアルミナCとの合計100体積%に占める各アルミナの割合が、アルミナAが50〜90体積%、アルミナBが5〜40体積%、アルミナCが1〜30体積%であることを特徴とする<14>又は<15>記載の組成物。
【0010】
<17> <10>〜<16>のいずれか記載の組成物を硬化して得られる硬化物。
<18> <10>〜<16>のいずれか記載の組成物を基材に塗布もしくは含浸した後、半硬化して得られるプリプレグ。
<19> <14>〜<16>のいずれか記載の組成物を硬化して得られる硬化物であって、該硬化物に含まれるアルミナの含有割合が、該硬化物100体積%に対し、50〜80体積%であることを特徴とする硬化物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、新規な硬化物及び該硬化物を与え得るジエポキシ化合物が提供可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、式(1)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされる化合物(以下、ジエポキシ化合物(1)と記すことがある)である。
炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができ、メチル基が好ましい。
好ましいR〜Rとしては、それぞれ独立して、水素原子及びメチル基が挙げられ、より好ましくは、R〜Rのいずれも水素原子である。
【0013】
好ましいジエポキシ化合物(1)として、例えば、式(1’)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表わす。)
で表わされる立体異性体(トランス体)を挙げることができる。
【0014】
ジエポキシ化合物(1)としては、例えば、4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−6−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−ナフトアート等が挙げられ、好ましくはトランス−4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−6−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−ナフトアート等を挙げることができる。
【0015】
本発明のジエポキシ化合物(1)は、融点が前記式(A)または式(B)で表されるジエポキシ化合物の融点よりも低く、ジエポキシ化合物(1)と硬化剤とを、より低温で溶融混合して硬化させることが可能となり、低温での加工も可能となる。
【0016】
ジエポキシ化合物(1)の製造方法としては、例えば、無機塩基の存在下、式(2)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、前記と同じ意味を表わす。)
で表わされるジヒドロキシ化合物(以下、ジヒドロキシ化合物(2)と記すことがある)と式(3)

(式中、Xはハロゲン原子を表わす。)
で表わされるエピハロヒドリン(以下、エピハロヒドリン(3)と記すことがある)とを反応させる工程を含む方法(以下、グリシジルエーテル化工程と記すことがある);
【0017】
例えば、塩基の存在下、ジヒドロキシ化合物(2)と式(4)

(式中、XはXと同じ意味を表わす。)
で表わされる化合物(以下、化合物(4)と記すことがある。)とを反応させて、式(5)

で表わされるジアリル化物(以下、ジアリル化物(5)と記すことがある。)を得、次いで、該アリル化物(5)を酸化剤で酸化する工程(以下、アリル化工程と記すことがある)を含む方法;等を挙げることができる。
【0018】
グリシジルエーテル化工程及びアリル化工程のいずれにも用いられるジヒドロキシ化合物(2)におけるR〜Rは、前記ジエポキシ化合物(1)におけるR〜Rと同じ意味を表わす。好ましいジヒドロキシ化合物(2)は、式(2’)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表わす。)
で表わされる立体異性体(トランス体)を挙げることができる。
【0019】
ジヒドロキシ化合物(2)としては、例えば、4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル−6−ヒドロキシ−2−ナフトアート等が挙げられ、好ましくは、トランス−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル−6−ヒドロキシ−2−ナフトアート等を挙げることができる。
【0020】
まず、グリシジルエーテル化工程について説明する。
エピハロヒドリン(3)におけるXは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表わし、塩素原子が好ましい。エピハロヒドリン(3)としては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等を挙げることができる。グリシジルエーテル化工程において、複数種のエピハロヒドリン(3)を併用してもよい。好ましいエピハロヒドリン(3)としては、例えば、エピクロロヒドリンが挙げられる。
エピハロヒドリン(3)の使用量は、ジヒドロキシ化合物(2)1モルに対して、例えば、2〜200モルの範囲等が挙げられ、好ましくは、例えば、5〜150モルの範囲等が挙げられる。
【0021】
無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物などを挙げることができる。無機塩基として、複数種の無機塩基を併用してもよい。
好ましい無機塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等が挙げられ、より好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が挙げられる。
無機塩基の使用量は、ジヒドロキシ化合物(2)1モルに対して、例えば、0.1〜20モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、0.5〜10モルの範囲等が挙げられる。
無機塩基は、例えば、粒状などの固体の形状を挙げることができる。無機塩基が、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属炭酸塩等の水に対して安定な無機塩基を用いる場合は、例えば、1〜60重量%程度の濃度に調製した水溶液の形状を挙げることができる。
【0022】
グリシジルエーテル化工程は、無機塩基に加えて、さらに、4級アンモニウム塩(以下、単にアンモニウム塩と記すことがある)の存在下に行うことが好ましい。4級アンモニウム塩とは、分子内の窒素原子に4つの炭化水素基が結合したカチオンを含む塩であり、4級アンモニウム塩に含まれるアニオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン等を挙げることができる。好ましいアンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリブチルアンモニウムヨージド、等が挙げられ、好ましくは、4級アンモニウムブロミドが挙げられ、より好ましくは、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
アンモニウム塩として、複数種のアンモニウム塩を併用してもよい。
アンモニウム塩の使用量は、ジヒドロキシ化合物(2)1モルに対して、例えば、0.0001〜1モルの範囲等が挙げられ、好ましくは、例えば、0.001〜0.5モルの範囲等が挙げられる。
アンモニウム塩の存在下にグリシジルエーテル化工程を行う場合、無機塩基としてはアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩が好ましい。
【0023】
グリシジルエーテル化工程は無溶媒で行ってもよいし、溶媒の存在下で行ってもよい。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、4−デカノール、2−ドデカノール、3−メチル-2−ブタノール、3,3−ジメチル-2−ブタノール、3−メチル-2−ペンタノール、5−メチル-2−ヘキサノール、4−メチル-3−ヘプタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、3−エチル−2,2−ジメチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール等のアルコール溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル溶媒が挙げられる。
【0024】
溶媒として、異なる複数種の溶媒を併用してもよい。
溶媒を用いる場合の使用量としては、ジヒドロキシ化合物(2)1重量部に対して、例えば、0.01〜100重量部の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、0.1〜50重量部の範囲等が挙げられる。
【0025】
グリシジルエーテル化工程は、常圧条件下で行ってもよいし、加圧条件下で行ってもよいし、あるいは、減圧条件下で行ってもよい。また、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
グリシジルエーテル化工程は、ジヒドロキシ化合物(2)、エピハロヒドリン(3)、アンモニウム塩及び無機塩基、並びに、必要に応じて溶媒を任意の順序で混合すればよい。
グリシジルエーテル化工程の反応温度としては、例えば、−20℃〜150℃の範囲を挙げることができ、好ましくは−10℃〜120℃の範囲が挙げられる。
また、グリシジルエーテル化工程における反応の進行は、液体クロマトグラフィー等の分析手段により、ジヒドロキシ化合物(2)の減少量またはジエポキシ化合物(1)の生成量で確認することができ、ジエポキシ化合物(1)の増加が認められなくなるまで反応を行うことが好ましい。具体的な反応時間としては、例えば、1〜150時間の範囲内を挙げることができる。
【0026】
グリシジルエーテル化工程としては、下記工程A及び工程Bを含む方法が好ましい。
工程A:ジヒドロキシ化合物(2)、エピハロヒドリン(3)、及びアンモニウム塩、並びに、必要に応じて溶媒を混合する工程。
工程B:工程Aで得られた混合物に、さらに、無機塩基を混合する工程。
工程Aは、常圧条件下でおこなってもよいし、加圧条件下でおこなってもよいし、あるいは減圧条件下でおこなってもよい。また、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下でおこなってもよい。
【0027】
工程Aの混合温度としては、例えば、−10℃〜150℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、0℃〜120℃の範囲等が挙げられる。
工程Aの混合時間は、混合温度等によっても異なるが、例えば、0.5〜72時間の範囲等を挙げることができる。
工程Aで得られた混合物には、ジヒドロキシ化合物(2)及びエピハロヒドリン(3)が反応して得られるジエポキシ化合物(1)が含有されていてもよい。
【0028】
工程Bは、常圧条件下でおこなってもよいし、加圧条件下でおこなってもよいし、あるいは減圧条件下でおこなってもよい。また、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下でおこなってもよい。
工程Bの混合温度としては、例えば、−20℃〜120℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、−10℃〜80℃の範囲等が挙げられる。
工程Bの反応の進行度合いを液体クロマトグラフィーなどの測定により追跡することにより調節でき、ジエポキシ化合物(1)の増加が認められなくなるまで反応を行うことが好ましい。具体的な反応時間としては、混合温度等によっても異なるが、例えば、0.5〜72時間の範囲等を挙げることができる。
【0029】
工程B終了後、例えば、反応液に、水を加えた後、必要に応じて水に不溶の溶媒を加えてジエポキシ化合物(1)を含む層を得、水洗した後、必要に応じて不溶分を濾過で除去し、該層から過剰のエピハロヒドリン及び溶媒を留去して、ジエポキシ化合物(1)を得る方法等が挙げられる。
【0030】
ここで、水に不溶な溶媒とは、水と分液し得る溶媒であって、ジエポキシ化合物(1)を溶解し得る溶媒であり、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒およびメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒等を挙げることができる。
水に不溶な溶媒の使用量としては、例えば、ジエポキシ化合物(1)1重量部に対して、例えば、1〜300重量部の範囲等が挙げられ、好ましくは、例えば、10〜200重量部の範囲等が挙げられる。
【0031】
次に、アリル化工程について説明する。
アリル化工程に用いられる化合物(4)としては、例えば、アリルクロリド、アリルブロミド等を挙げることができる。
化合物(4)の使用量としては、ジヒドロキシ化合物(2)1モルに対して、例えば、2〜200モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは2〜100モルの範囲等が挙げられる。尚、必要に応じて、2種類以上の化合物(4)を併用してもよい。
【0032】
アリル化工程に用いられる塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等の無機塩基、例えばピリジン等の有機塩基等を挙げることができる。塩基として、複数種の塩基を併用してもよい。
好ましい塩基としては、例えば、アルカリ金属炭酸塩等の無機塩基が挙げられ、より好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。
塩基の使用量としては、無機塩基の場合、ジヒドロキシ化合物(2)1モルに対して、例えば、2〜10モルの範囲等を挙げることができる。有機塩基の場合、2モル以上であればよく、有機塩基を溶媒として用いるときには、該有機塩基を大過剰に用いてもよい。
【0033】
ジヒドロキシ化合物(2)と化合物(4)との反応は、好ましくは、溶媒中で行われる。溶媒としては、ジヒドロキシ化合物(2)とエピハロヒドリン(3)との反応で用いられる溶媒と同様のものが挙げられる。また、上記で述べたように、有機塩基を用いる場合は、かかる塩基を溶媒として用いてもよい。
【0034】
ジヒドロキシ化合物(2)、化合物(4)及び塩基、並びに、必要に応じて溶媒を任意の順序で混合して、ジヒドロキシ化合物(2)と化合物(4)とを反応させることにより、ジヒドロキシ化合物(2)のジアリル化物(5)を得ることができる。
この反応は、常圧条件下でおこなってもよいし、加圧条件下でおこなってもよいし、あるいは減圧条件下でおこなってもよい。また、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下でおこなってもよい。
この反応の反応温度としては、例えば、−20℃〜120℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、−10℃〜100℃の範囲等が挙げられる。
ジアリル化物(5)を得る反応の進行度合いを液体クロマトグラフィーなどの測定により追跡することにより調節でき、ジアリル化物(5)の増加が認められなくなるまで反応を行うことが好ましい。
【0035】
ジアリル化物(5)を含む反応液を、例えば、そのまま酸化剤による酸化反応を行うことによりジエポキシ化合物(1)を製造してもよいし、例えば、ジアリル化物(5)を含む反応液を水洗等により、生成する塩を除去した後、酸化剤による酸化反応を行うことにより、ジエポキシ化合物(1)を製造してもよい。
酸化剤としては、炭素−炭素二重結合をエポキシ基へ酸化することが可能な酸化剤であればよく、例えば、m−クロロ過安息香酸等の過酸などが挙げられる。酸化剤の使用量は、例えば、ジアリル化物(5)1モルに対して、2〜20モルの範囲等を挙げることができる。
【0036】
酸化反応は、常圧条件下でおこなってもよいし、加圧条件下でおこなってもよいし、あるいは減圧条件下でおこなってもよい。また、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
酸化反応の反応温度としては、例えば、−20℃〜120℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、−10℃〜100℃の範囲等が挙げられる。
酸化反応は、反応の進行度合いを液体クロマトグラフィーなどで測定することができ、ジエポキシ化合物(1)の増加が認められなくなるまで反応を行うことが好ましい。具体的な反応時間は、反応温度等によっても異なるが、例えば、0.5〜72時間の範囲等を挙げることができる。
【0037】
酸化反応の終了後、例えば、必要に応じて残存する酸化剤を分解処理した後、濃縮処理して、ジエポキシ化合物(1)を得ることができる。
【0038】
グリシジルエーテル化工程又はアリル化工程で得られたジエポキシ化合物(1)は、必要に応じて再結晶等の精製手段を施すことにより、さらに精製することもできる。
【0039】
ここで、グリシジルエーテル化工程又はアリル化工程で用いられるジヒドロキシ化合物(2)の製造方法について説明する。
【0040】
ジヒドロキシ化合物(2)の製造方法としては、例えば、酸の存在下、式(6)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表わす。)
で表わされるヒドロキシナフトエ酸(以下、ヒドロキシナフトエ酸(6)と記すことがある)と式(7)

で表わされる4−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)フェノール(以下、フェノール(7)と記すことがある)とを反応させる工程(以下、エステル化工程と記すことがある)を含む方法等を挙げることができる。
【0041】
フェノール(7)としては、式(7’)

で表わされるトランス体(トランス−4−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン)が好ましい
フェノール(7)の使用量は、ヒドロキシナフトエ酸(6)1モルに対して、例えば、1〜30モルの範囲等が挙げられ、好ましくは、1〜15モルの範囲等が挙げられる。
【0042】
エステル化工程に用いる酸としては、例えば、硫酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。その使用量は、ヒドロキシナフトエ酸(6)1モルに対して、例えば、0.001〜0.3モルの範囲等が挙げられる。必要に応じて、2種類以上の酸を併用してもよい。
【0043】
エステル化工程は、溶媒存在下に行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。その使用量は、ヒドロキシナフトエ酸(6)1重量部に対して、例えば、1〜200重量部の範囲等が挙げられ、好ましくは5〜100重量部の範囲等が挙げられる。
【0044】
エステル化工程は、ヒドロキシナフトエ酸(6)、フェノール(7)、酸および必要に応じて溶媒を任意の順序で混合することにより行われる。エステル化工程は、常圧条件下でおこなってもよいし、加圧条件下でおこなってもよいし、あるいは減圧条件下でおこなってもよい。また、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下でおこなってもよい。
エステル化工程の反応温度としては、例えば、50〜250℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、60〜200℃の範囲等が挙げられる。
反応時間は、反応温度等によっても異なるが、例えば、0.5〜72時間の範囲等を挙げることができる。
エステル化工程によって生成する水は、反応系外へ除去することが好ましい。
【0045】
続いて、ジエポキシ化合物(1)と硬化剤とを含む組成物(以下、本組成物と記すことがある)について説明する。
本組成物は、ジエポキシ化合物(1)を少なくとも1種と硬化剤を少なくとも1種とを含むものである。本組成物は、ジエポキシ化合物(1)及び硬化剤に加えて、溶媒を含むことができる。調製が容易という点で、本組成物は溶媒を含むことが好ましい。
溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、例えば酢酸ブチル等のエステル溶媒、例えばプロピレングリゴールモノメチルエーテル等のグリコール溶媒等が挙げられ、好ましくは、ケトン溶媒及び非プロトン性極性溶媒であり、例えばメチルイソブチルケトンやN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。
本組成物の製造方法としては、例えば、ジエポキシ化合物(1)と硬化剤とを溶媒中で混合する方法等を挙げることができる。
本発明のジエポキシ化合物(1)と硬化剤とを溶媒に溶解させることにより得られる溶液から、当該溶媒を除去しても、均一な混合物が得られる傾向がある。また、ジエポキシ化合物(1)と硬化剤と後述するアルミナと溶媒とを混合することにより得られる混合物から、当該溶媒を除去しても、均一な混合物が得られる傾向がある。
【0046】
硬化剤とは、ジエポキシ化合物(1)中のエポキシ基と硬化反応し得る官能基を少なくとも1個有するもの、または、ジエポキシ化合物(1)の硬化反応において触媒作用を示す硬化触媒である。具体的には、前記官能基がアミノ基であるアミン硬化剤、前記官能基が水酸基であるフェノール硬化剤、前記官能基が酸無水物基である酸無水物硬化剤および硬化触媒が挙げられ、アミン硬化剤、フェノール硬化剤および硬化触媒が好ましい。
【0047】
アミン硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の炭素数2〜20の脂肪族多価アミン(すなわち、炭素数2〜20の脂肪族炭化水素に含まれる水素原子の一部がアミノ基に置換された化合物)、例えばp−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン等の芳香族多価アミン、例えば4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式多価アミン、例えばジシアンジアミド等が挙げられ、好ましくは、例えば、芳香族多価アミンやジシアンジアミド等が挙げられ、より好ましくは、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、1,5−ジアミノナフタレン、p−フェニレンジアミン、ジシアンジアミド等が挙げられる。
【0048】
フェノール硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格等を有する)、ナフトールアラルキル樹脂およびポリオキシスチレン樹脂が挙げられる。フェノール樹脂としては、アニリン変性レゾール樹脂、ジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、および、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂等の特殊フェノール樹脂が挙げられる。ポリオキシスチレン樹脂としては、ポリ(p−オキシスチレン)が挙げられる。
【0049】
酸無水物硬化剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0050】
硬化触媒としては、例えば2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。
【0051】
かかる硬化剤の使用量は、用いる硬化剤の種類に応じて適宜選択すればよく、アミン硬化剤やフェノール硬化剤であれば、例えば該硬化剤中のエポキシ基と硬化反応し得る官能基の合計モル数が、ジエポキシ化合物(1)中のエポキシ基1モルに対して、0.5〜1.5モル、好ましくは0.9〜1.1モルとなる量が用いられる。
【0052】
本組成物は、ジエポキシ化合物(1)、硬化剤及び前記溶媒以外に、本組成物を硬化して得られる硬化物が、溶解性、耐熱性及び熱伝導性等の所望の性能の低下を招かない限り、他のエポキシ化合物を含んでいてもよい。
他のエポキシ化合物としては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、オルソクレゾール型エポキシ化合物、ビフェノールジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(3,4−エポキシブテン−1−イロキシ)フェニルベンゾエート、ナフタレンジグリシジルエーテル、α−メチルスチルベン−4,4’−ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0053】
本組成物は、さらに、各種添加剤、例えば、トリフェニルホスフィン、1,8−アザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、2−フェニルイミダゾール等の硬化促進剤、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、例えばカーボンブラック等の着色剤、例えばシリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、例えば天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸またはその金属塩、パラフィン等の離型剤、酸化防止剤等、例えば、溶融破砕シリカ粉末、溶融球状シリカ粉末、結晶シリカ粉末、二次凝集シリカ粉末等のシリカ又はその粉末、例えば、α−アルミナ又は遷移アルミナ(γ−アルミナ、θ−アルミナ、δ−アルミナ)等のアルミナ又はその粉末、例えば、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレイ、マイカ、ガラス繊維等が含有されていてもよい。本組成物における各種添加剤の含有量としては、融点等の所望の性能の低下を招かない程度である。
【0054】
本組成物がアルミナを含有すると、得られる硬化物の熱伝導性の優れる傾向があることから、好ましい。すなわち、本組成物としては、ジエポキシ化合物(1)及び硬化剤に、さらに、アルミナを含む組成物(以下、アルミナ含有組成物と記すことがある)が好ましい。また、アルミナ含有組成物が上記有機溶媒を含有する場合、アルミナ含有組成物の混合が容易になる傾向があることから好ましい。
アルミナ含有組成物におけるアルミナの含有量としては、ジエポキシ化合物(1)と硬化剤とアルミナとの合計100重量部に対して、例えば、75重量部〜95重量部の範囲を挙げることができ、好ましくは83重量部〜90重量部である。アルミナが75重量部以上であると、得られる硬化物の熱伝導性が向上する傾向があり、95重量部以下であると、アルミナ含有組成物の成形が容易となる傾向があることから好ましい。
【0055】
アルミナとしては、粒子状であることが好ましい。粒子状のアルミナとしては、例えば、重量累積粒度分布の微粒子側からの累積体積50%の粒子径をD50(レーザー回折法による平均粒子径)としたとき、2μm以上100μm以下のD50を有するアルミナA、1μm以上10μm以下のD50を有するアルミナB及び0.01μm以上5μm以下のD50を有するアルミナCの混合物であることが好ましい。特に、アルミナAとアルミナBとアルミナCの合計100体積%に占める各アルミナの割合が、アルミナAが50〜90体積%、アルミナBが5〜40体積%及びアルミナCが1〜30体積%であることが好ましい。
このようなアルミナは、例えば、市販されている種々の平均粒子径を有するアルミナを、適宜混合することにより調製することができる。
また、後述する硬化物に含まれるアルミナの含有割合は、硬化物100体積%に対して、50〜80体積%、好ましくは60〜74体積%であることが好ましい。
【0056】
本発明の硬化物は、本組成物を硬化して得られるもの(以下、本硬化物と記すことがある)である。
本硬化物の製造方法としては、例えば、本組成物をそのまま所定温度まで加熱して硬化させる方法;本組成物を加熱溶融して金型等に注ぎ、該金型をさらに加熱して成形する方法;本組成物を溶融させ、得られる溶融物を予め加熱された金型に注入し硬化する方法;本組成物を部分硬化させ、得られる部分硬化物を粉砕し、得られた粉末を金型に充填し、該充填粉末を溶融成形する方法;本組成物を必要に応じて溶媒に溶解し、攪拌しながら部分硬化させ、得られた溶液をキャストした後、溶媒を通風乾燥等で乾燥除去し、必要に応じてプレス機等で圧力をかけながら所定時間加熱する方法等が挙げられる。本硬化物は、熱伝導性に優れる傾向がある。
【0057】
次に、本組成物を用いたプリプレグの製造方法について説明する。まず、有機溶媒を含む本組成物をそのまま、必要に応じて、さらに有機溶媒で希釈し、基材に塗布もしくは含浸させた後、得られた基材を加熱して、該基材中のジエポキシ化合物(1)を半硬化させることによりプリプレグが得られる。この際に用いられる有機溶媒としては、メチルイソブチルケトンなどの前記本組成物の製造方法で用いられた有機溶媒である。かくして得られたプリプレグを、複数個、積層してプレスなどにより加圧及び加熱することにより積層板を調製することができる。
プリプレグに用いられる基材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等の無機質繊維の織布もしくは不織布、例えばポリエステル等の有機質繊維の織布もしくは不織布等が挙げられる。
【0058】
また、本硬化物の中でも、アルミナ含有組成物を硬化したもの(以下、アルミナ含有硬化物と記すことがある)は、一層、熱伝導性に優れる。アルミナ含有硬化物の製造方法としては、例えば、アルミナ含有組成物をそのまま所定温度まで加熱して硬化させる方法;アルミナ含有組成物の一部(例えば、ジエポキシ化合物及び硬化剤)を加熱溶融して金型等に注ぎ、該金型をさらに加熱して成形する方法;アルミナ含有組成物を部分硬化させ、得られる部分硬化物を粉砕してなる粉末を金型に充填し、該充填粉末を溶融成形する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0060】
[ジヒドロキシ化合物(2)の製造例1]

ディーンスターク装置を取り付けた反応容器内にて、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸7.0g(37.2mmol)、トランス−4−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン10.0g(52.1mmol)、p−トルエンスルホン酸0.71g(3.72mmol)及びキシレン80gを室温(約25℃)で混合した。得られた混合物を還流下で7時間30分攪拌した後、室温まで冷却した。尚、反応の進行に伴って生成した水はディーンスターク装置によって反応容器から除去された。その後、析出した固体を濾過し、該固体をメタノール200mLで洗浄した後、50℃で4時間減圧乾燥させて、白色結晶2.79gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーによって分析し、得られたクロマトグラフの面積百分率を算出したところ、96.9%であり、該結晶中の上記式(2−1)で表わされるジヒドロキシ化合物(以下、ジヒドロキシ化合物(2−1)と記すことがある)の含有量を96.9重量%とすると、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を基準とするジヒドロキシ化合物(2−1)の収率は、20%であった。
【0061】
得られたジヒドロキシ化合物(2−1)のスペクトルデータは以下の通りであった。
H−NMR(δ:ppm,DMSO−d) 10.18(s,1H),9.14(s,1H),8.47(s,1H),7.98(d,1H),7.86(d,1H),7.76(d,1H),7.16(m,2H),7.03(d,2H),6.67(d,2H),4.95(m,1H),1.23−2.55(c,9H)
【0062】
[実施例1]

冷却装置を取り付けた反応容器内にて、[ジヒドロキシ化合物(2)の製造例1]で得られたジヒドロキシ化合物(2−1)1.50g(4.0mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド0.068g(0.21mmol)、エピクロロヒドリン16g(173mmol)、及び2−メチル−2−プロパノール10.4g(140mmol)を室温で混合し、さらに、70℃で6時間攪拌した後、さらにテトラブチルアンモニウムブロミド0.34g(1.1mmol)を添加し、さらに8時間攪拌した。その後、13℃まで冷却した。次に、15重量%の水酸化ナトリウム水溶液3.40g(13mmol)を徐々に加えて、13℃で2時間攪拌した後、0℃まで冷却した。
次に、イオン交換水を25mL加え、室温で、クロロホルム75mLを加えた後混合し、有機層と水層とを得た。有機層は、さらにイオン交換水で3回洗浄した後、水洗された有機層に含まれる不溶分を濾過して除去し、得られた濾液を濃縮して粗生成物を得た。
粗生成物にトルエン及び2−プロパノールを加えて70℃まで昇温して同温度で1時間攪拌した後、得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。その後、析出した固体を濾過し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥させて、白色結晶2.21gを得た。得られた結晶に、トルエン及び2−プロパノールを加えて70℃まで昇温して同温度で1時間攪拌した後、得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。その後、析出した固体を濾過し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥させて、上記式(1−1)で表わされるジエポキシ化合物(以下、ジエポキシ化合物(1−1)と記すことがある)を含む白色結晶1.16gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーによって分析し、得られたクロマトグラフの面積百分率を算出したところ、91.8%であり、該結晶中のジエポキシ化合物(1−1)の含有量を91.8重量%とすると、ジヒドロキシ化合物(2−1)を基準とするジエポキシ化合物(1−1)の収率は、55%であった。融点162℃。
【0063】
実施例1で得られたジエポキシ化合物(1−1)のスペクトルデータは以下の通りであった。
H−NMR(δ:ppm,CDCl) 8.53(s,1H),8.05(dd,1H),7.87(d,1H),7.75(d,1H),7.07−7.35(c,4H),6.88(d,2H),5.09(m,1H),4.39(dd,1H),4.20(dd,1H),4.08(m,1H),3.96(m,1H),3.44(m,1H),
3.35(m,1H),2.89−3.01(c,2H),2.70−2.88(c,2H),2.55(m,1H),2.18−2.38(c,2H),1.89−2.12(c,2H),1.50−1.82(c,4H)
【0064】
[実施例2]

冷却装置を取り付けた反応容器内にて、ジヒドロキシ化合物(2−1)15.0g(液体クロマトグラフィーによって分析し、得られたクロマトグラフの面積百分率を含有量(重量%)とすると96.8重量%、40.1mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド4.0g(12.4mmol)、及びエピクロロヒドリン153g(1654mmol)を室温で混合し、さらに、70℃で7時間攪拌した。その後、18℃まで冷却した。次に、15重量%の水酸化ナトリウム水溶液33.1g(124mmol)を徐々に加えて、18℃で4時間攪拌した後、0℃まで冷却した。
次に、イオン交換水を250mL加え、室温で、クロロホルム750mLを加えた後混合し、有機層と水層とを得た。有機層は、さらにイオン交換水で3回洗浄した後、水洗された有機層に含まれる不溶分を濾過して除去し、得られた濾液を濃縮して粗生成物[1]23.4gを得た。
続いて、冷却装置を取り付けた反応容器内にて、粗生成物[1]の一部22.3g、テトラブチルアンモニウムブロミド4.0g(12.4mmol)、クロロホルム644g(5395mmol)、及び2−メチル−2−プロパノール175g(2361mmol)を室温で混合し、18℃まで冷却した。次に、15重量%の水酸化ナトリウム水溶液30.9g(116mmol)を徐々に加えて、18℃で2時間攪拌した後、0℃まで冷却した。
次に、イオン交換水を800mL加えた後混合し、有機層と水層とを得た。有機層は、さらにイオン交換水で3回洗浄した後、水洗された有機層に含まれる不溶分を濾過して除去し、得られた濾液を濃縮して粗生成物[2]を得た。得られた粗生成物[2]にトルエン及び2−プロパノールを加えて70℃まで昇温して同温度で1時間攪拌した後、得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。その後、析出した固体を濾過し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥させて、ジエポキシ化合物(1−1)を含む白色結晶15.1gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーによって分析し、得られたクロマトグラフの面積百分率を算出したところ、95.2%であった。
【0065】
[実施例3:本組成物及びその硬化物の製造例1]
ジエポキシ化合物(1−1)100重量部と、硬化剤として4,4’−ジアミノジフェニルメタン(和光純薬製)21重量部と、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドとを混合し、溶液状の本組成物を得た。
得られた組成物を遠心濃縮装置で濃縮して溶媒を留去し、均一な粉末状の本組成物を得た。得られた粉末状の本組成物をアルミナパンに充填した。本組成物を充填したアルミナパンを、示差走査熱量測定装置(TAインスツルメンツ社製DSC Q2000)の炉内に静置した。炉内を窒素雰囲気下とした後、アルミナパンを140℃で20分間加熱し、続いて、1℃/分の昇温速度で140℃〜180℃まで加熱した後、さらに、200℃で30分間加熱し、20℃まで冷却し、アルミナパン内に硬化物を得た。140℃に昇温した時点で、ジエポキシ化合物(1−1)と硬化剤が硬化反応したことを示す発熱が観測された。
生成した硬化物を、再び、示差走査熱量測定装置で、昇温速度 20℃/分で、室温から200℃まで昇温したところ、当該硬化物のガラス転移点として166℃が測定された。
【0066】
[実施例4:本組成物及びその硬化物の製造例2]
4,4’−ジアミノジフェニルメタン21重量部に代えて、1,5−ジアミノナフタレン(和光純薬工業株式会社製)17重量部を用いた以外は実施例3と同様に行い、溶液状の本組成物を得た。得られた溶液状の本組成物を遠心濃縮装置で濃縮し、均一な粉末状の本組成物を得た。得られた粉末状の本組成物を実施例3と同様に加熱し、硬化物を得た。140℃に昇温した時点で、ジエポキシ化合物(1−1)と硬化剤が硬化反応したことを示す発熱が観測された。硬化物のガラス転移点は、実施例3と同様に測定した結果、139℃であった。
【0067】
[実施例5:本組成物及びその硬化物の製造例3]
4,4’−ジアミノジフェニルメタン21重量部に代えて、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)32重量部を用い、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール2.8重量部をさらに加えた以外は実施例3と同様に行い、溶液状の本組成物を得た。得られた溶液状の本組成物を遠心濃縮装置で濃縮し、均一な粉末状の本組成物を得た。得られた粉末状の本組成物を実施例3と同様に加熱し、硬化物を得た。140℃に昇温した時点で、ジエポキシ化合物(1−1)と硬化剤が硬化反応したことを示す発熱が観測された。硬化物のガラス転移点は、106℃であった。
【0068】
[実施例6:本組成物及びその硬化物の製造例4]
4,4’−ジアミノジフェニルメタン21重量部に代えて、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)28重量部を用い、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール2.6重量部をさらに加えた以外は実施例3と同様に行い、溶液状の本組成物を得た。得られた溶液状の本組成物を遠心濃縮装置で濃縮し、均一な粉末状の本組成物を得た。得られた粉末状の本組成物を実施例3と同様に加熱し、硬化物を得た。140℃に昇温した時点で、ジエポキシ化合物(1−1)と硬化剤が硬化反応したことを示す発熱が観測された。硬化物のガラス転移点は、128℃であった。
【0069】
[実施例7:本組成物及びその硬化物の製造例5]
4,4’−ジアミノジフェニルメタン21重量部に代えて、フェノールノボラック硬化剤「MEH−7851H」(明和化成株式会社製)87重量部を用い、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン4.1重量部をさらに加えた以外は実施例3と同様に行い、溶液状の組成物を得た。得られた溶液状の本組成物を遠心濃縮装置で濃縮し、均一な粉末状の本組成物を得た。得られた粉末状の本組成物を実施例3と同様に加熱し、硬化物を得た。140℃に昇温した時点で、ジエポキシ化合物(1−1)と硬化剤が硬化反応したことを示す発熱が観測された。硬化物のガラス転移点は、112℃であった。
【0070】
[実施例8:本組成物及びその硬化物の製造例6]
4,4’−ジアミノジフェニルメタン21重量部に代えて、ジシアンジアミド(和光純薬工業株式会社製)10重量部を用い、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール2.2重量部をさらに加えた以外は実施例3と同様に行い、溶液状の組成物を得た。得られた溶液状の組成物を遠心濃縮装置で濃縮し、均一な粉末状の本組成物を得た。得られた粉末状の本組成物を実施例3と同様に加熱し、硬化物を得た。140℃に昇温した時点で、ジエポキシ化合物(1−1)と硬化剤が硬化反応したことを示す発熱が観測された。硬化物のガラス転移点は、168℃であった。
【0071】
[実施例9:アルミナ含有組成物及びその硬化物の製造例1]
ジエポキシ化合物(1−1)100重量部と、硬化剤として1,5−ジアミノナフタレン(和光純薬工業株式会社製)17重量部と、アルミナ1076重量部(住友化学株式会社製α−アルミナ;レーザー回折法によって測定された平均粒子径(D50)が18μmであるアルミナA1と、平均粒子径(D50)が3μmであるアルミナB1と、平均粒子径(D50)が0.4μmであるアルミナC1とを、重量比(アルミナA1/アルミナB1/アルミナC1)=796/151/129、体積比(アルミナA1/アルミナB1/アルミナC1)=74/14/12で混合することにより調製)と、溶媒としてメチルイソブチルケトン430重量部とN,N−ジメチルホルムアミド12重量部とを混合し、溶液状のアルミナ含有組成物を調製した。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、アプリケータで、調製したアルミナ含有組成物を400μmの厚みになるよう塗布した。アルミナ含有組成物が塗布されたPETフィルムを1時間室温で乾燥し、さらに150℃で3分間乾燥し、溶媒を留去し、PETフィルムを剥がし、シートを得た。得られたシートを厚さ40μmのアルミ箔で挟み、真空プレス成形(プレス温度:150℃、真空度:1kPa、プレス圧:6MPa、処理時間:20分)を行った。その後、プレス温度を180℃まで40分かけて昇温した。アルミ箔を剥がし、351μmの厚みを有するシート状の硬化物を得た。NETZSCH製キセノンフラッシュアナライザー nanoflash LFA447型により、該硬化物の熱伝導率を測定したところ、10.7W/(m・K)であった。
ジエポキシ化合物(1−1)と1,5−ジアミノナフタレンとを含み、アルミナを含まない組成物を硬化させることにより得られる硬化物の密度を1.2g/cm、アルミナの密度を3.97g/cmとして、得られた硬化物中のアルミナの含有割合を算出したところ、該硬化物中のアルミナの含有割合は、74体積%であった。
【0072】
[実施例10:本組成物及びそのプリプレグの製造例]
ジエポキシ化合物(1−1)100重量部と、硬化剤として1,5−ジアミノナフタレン(和光純薬工業株式会社製)17重量部と、溶媒としてメチルイソブチルケトン430重量部と、N,N−ジメチルホルムアミド70重量部とを混合することにより、溶液状の本組成物を得ることができる。得られる組成物を、厚さ0.2mmのガラス繊維織布に含浸した後、加熱乾燥することにより、プリプレグを得ることができる。得られるプリプレグ4枚を重ね、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間プレス成形することにより、積層板を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、新規な硬化物及び該硬化物を与え得るジエポキシ化合物が提供可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるジエポキシ化合物。
【請求項2】
式(1)で表わされる化合物が式(1’)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表わす。)
で表わされる立体異性体であることを特徴とする請求項1記載のジエポキシ化合物。
【請求項3】
無機塩基の存在下、式(2)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるジヒドロキシ化合物と式(3)

(式中、Xはハロゲン原子を表わす。)
で表わされるエピハロヒドリンとを反応させる工程を含むことを特徴とする式(1)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表わす。)
で表わされるジエポキシ化合物の製造方法。
【請求項4】
前記工程が、無機塩基及び4級アンモニウム塩の存在下、前記式(2)で表わされるジヒドロキシ化合物と前記式(3)で表わされるエピハロヒドリンとを反応させる工程であることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記工程が、下記工程A及び工程Bを含むことを特徴とする請求項4記載のジエポキシ化合物の製造方法。
工程A:前記式(2)で表わされるジヒドロキシ化合物、前記式(3)で表わされるエピハロヒドリン、及び4級アンモニウム塩を混合する工程。
工程B:工程Aで得られた混合物に無機塩基を混合する工程。
【請求項6】
前記無機塩基が、アルカリ金属水酸化物であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか記載のジエポキシ化合物の製造方法。
【請求項7】
式(2)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるジヒドロキシ化合物。
【請求項8】
式(2)で表わされる化合物が式(2’)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされる立体異性体であることを特徴とする請求項7記載のジヒドロキシ化合物。
【請求項9】
酸の存在下、式(6)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるヒドロキシナフトエ酸と、式(7)

で表わされる4−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンとを反応させる工程を含むことを特徴とするジヒドロキシ化合物の製造方法。
【請求項10】
式(1)

(式中、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表わす。)
で表わされるジエポキシ化合物及び硬化剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項11】
硬化剤が、アミン硬化剤、フェノール硬化剤及び酸無水物硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤であることを特徴とする請求項10記載の組成物。
【請求項12】
硬化剤が、アミン硬化剤であることを特徴とする請求項10又は11記載の組成物。
【請求項13】
アミン硬化剤が、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、1,5−ジアミノナフタレン及びp−フェニレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン硬化剤であることを特徴とする請求項12記載の組成物。
【請求項14】
さらに、アルミナを含むことを特徴とする請求項10〜13のいずれか記載の組成物。
【請求項15】
前記式(1)で表されるジエポキシ化合物と硬化剤とアルミナとの合計100重量部に対して、アルミナを75重量部〜95重量部含むことを特徴とする請求項14記載の組成物。
【請求項16】
アルミナが、2μm以上100μm以下のD50(累積体積50%の粒子径)を有するアルミナAと、1μm以上10μm以下のD50を有するアルミナBと、0.01μm以上5μm以下のD50を有するアルミナCとの混合物であり、かつ、アルミナAとアルミナBとアルミナCとの合計100体積%に占める各アルミナの割合が、アルミナAが50〜90体積%、アルミナBが5〜40体積%、アルミナCが1〜30体積%であることを特徴とする請求項14又は15記載の組成物。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれか記載の組成物を硬化して得られる硬化物。
【請求項18】
請求項10〜16のいずれか記載の組成物を基材に塗布もしくは含浸した後、半硬化して得られるプリプレグ。
【請求項19】
請求項14〜16のいずれか記載の組成物を硬化して得られる硬化物であって、該硬化物に含まれるアルミナの含有割合が、該硬化物100体積%に対し、50〜80体積%であることを特徴とする硬化物。

【公開番号】特開2011−246440(P2011−246440A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39476(P2011−39476)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】