説明

ジフルオロアルカンアミド系化合物、それらの製造方法及びそれらを含有する有害生物防除剤

【課題】 長年にわたり、多数の有害生物防除剤が使用されているが、効力が不十分、有害生物が抵抗性を獲得しその使用が制限される等、種々の課題を有するものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない新規な有害生物防除剤の開発が望まれている。
【解決手段】 ジフルオロアルカンアミド系化合物につき種々検討した結果、本発明を完成した。すなわち本発明は、式(I):
【化1】


〔式中、X及びXは各々水素原子、ハロゲンなどであり;Yはアルキルであり;nは1〜10であり;G及びGは各々水素原子、Qなどであり;Aは酸素原子又は硫黄原子であり;Qは置換されてもよいアルキル、置換されてもよいシクロアルキルなどである〕で表されるジフルオロアルカンアミド系化合物又はその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除剤の有効成分として有用な新規ジフルオロアルカンアミド系化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
EP661289とEP432861には、ジフルオロアルカンエステル系化合物が開示されている。しかしながら、そこには後記式(I)のジフルオロアルカンアミド系化合物は記載されていない。
【0003】
【特許文献1】欧州公開公報 第661289号
【特許文献2】欧州公開公報 第432861号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長年にわたり、多数の有害生物防除剤が使用されているが、効力が不十分、有害生物が抵抗性を獲得しその使用が制限される等、種々の課題を有するものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない新規な有害生物防除剤、例えば、農園芸分野で問題となる各種有害生物や、動物に寄生する有害生物を防除できる有害生物防除剤の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、より優れた有害生物防除剤を見出すべくジフルオロアルカンアミド系化合物につき種々検討した。その結果、新規なジフルオロアルカンアミド系化合物が、低薬量で有害生物に対して極めて高い防除効果を有し、且つ、作物、有害生物の天敵或は哺乳動物に対する安全性を併せ持つことを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
〔式中、X及びXは各々水素原子、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシ又はシアノであり;Yはアルキルであり;nは1〜10であり;G及びGは各々水素原子、Q、−C(=B)Q、−C(=B)DQ、−C(=B)N(L)Q、−SQ、−SOQ、−SN(L)Q、−SN(L)C(=B)DQ又は−SON(L)Qであり;Lは水素原子、アルキル、ハロアルキル、フェニルアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、フェニルアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル又はフェニルアルキニルであり;A、B及びDは各々酸素原子又は硫黄原子であり;Qは置換されてもよいアルキル、置換されてもよいシクロアルキル、置換されてもよいアルケニル、置換されてもよいアルキニル、置換されてもよい環式炭化水素基又は酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基は置換されていてもよい)である〕で表されるジフルオロアルカンアミド系化合物又はその塩、それらの製造方法並びにそれらを含有する有害生物防除剤などに関する。
【発明の効果】
【0008】
式(I)の新規ジフルオロアルカンアミド系化合物を有効成分とする有害生物防除剤は、低薬量で有害生物に対して極めて高い防除効果を有し、且つ、作物、有害生物の天敵或は哺乳動物に対する安全性を併せ持っている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
Qで表される置換されてもよいアルキル、置換されてもよいシクロアルキル、置換されてもよいアルケニル、置換されてもよいアルキニル、置換されてもよい環式炭化水素基又は酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基は置換されていてもよい)の置換基としては、ハロゲン、ニトロ、シアノ、Kで置換されてもよいアルキル、Kで置換されてもよいシクロアルキル、Kで置換されてもよいアルケニル、Kで置換されてもよいアルキニル、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)、−OR、−SR、−NR、−COR、−CO、−COSR、−CSOR、−CS、−SONR、−CONR、−CSNR、−C(=NOV)R、−N(R)COR、−N(R)CO、−N(R)COSR、−N(R)CSOR、−N(R)CS、−N(R)SO、−SOR、−SO、−CSR、−OCOR、−OCSR、−SCOR、−SCSR、トリアルキルシリル、トリアルキルシリルオキシなどが挙げられ、置換数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、それらは同一でも相異なってもよい。
【0010】
Kとしては、ハロゲン、ニトロ、シアノ、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)、−OM、−SM、−NM、−COM、−CO、−COSM、−CSOM、−CS、−SONM、−CONM、−CSNM、−C(=NOV)M、−N(M)COM、−N(M)CO、−N(M)COSM、−N(M)CSOM、−N(M)CS、−N(M)SO、−SOM、−SO、−CSM、−OCOM、−OCSM、−SCOM、−SCSMなどが挙げられる。Kの置換数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、それらは同一でも相異なってもよい。
【0011】
としては、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、−OR、−SR、−NR、−COR、−CO、−COSR、−CSOR、−CS、−SONR、−CONR、−CSNR、−C(=NOV)R、−N(R)COR、−N(R)CO、−N(R)COSR、−N(R)CSOR、−N(R)CS、−N(R)SO、−SOR、−SO、−CSR、−OCOR、−OCSR、−SCOR、−SCSRなどが挙げられる。Mの置換数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、それらは同一でも相異なってもよい。
【0012】
及びMとしては、各々水素原子、Mで置換されてもよいアルキル、Mで置換されてもよいシクロアルキル、Mで置換されてもよいアルケニル、Mで置換されてもよいアルキニル、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)などが挙げられる。Mは前述の通りである。
としては、Mで置換されてもよいアルキル、Mで置換されてもよいシクロアルキル、Mで置換されてもよいアルケニル、Mで置換されてもよいアルキニル、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)などが挙げられる。Mは前述の通りである。
【0013】
としては、ハロゲン、Mで置換されていてもよいアルコキシ、Mで置換されていてもよいアルキルチオ、Mで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、Mで置換されていてもよいアルキルスルホニル、−M、−OM、−SMなどが挙げられる。Mの置換数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、それらは同一でも相異なってもよい。Mは前述の通りである。
としては、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)などが挙げられる。Mは前述の通りである。
【0014】
及びRとしては、各々水素原子、Mで置換されてもよいアルキル、Mで置換されてもよいシクロアルキル、Mで置換されてもよいアルケニル、Mで置換されてもよいアルキニル、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)などが挙げられる。Mは前述の通りである。
としては、Mで置換されてもよいアルキル、Mで置換されてもよいシクロアルキル、Mで置換されてもよいアルケニル、Mで置換されてもよいアルキニル、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)などが挙げられる。Mは前述の通りである。
【0015】
としては、ハロゲン、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)、−OM、−SM、−NM、−COM、−CO、−COSM、−CSOM、−CS、−SONM、−CONM、−CSNM、−C(=NOV)M、−N(M)COM10、−N(M)CO10、−N(M)COSM10、−N(M)CSOM10、−N(M)CS10、−N(M)SO10、−SOM10、−SO10、−CSM10、−OCOM10、−OCSM10、−SCOM10、−SCSM10などが挙げられる。Mの置換数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、それらは同一でも相異なってもよい。Mは前述の通りである。
【0016】
及びMとしては、各々水素原子、Mで置換されてもよいアルキル、Mで置換されてもよいシクロアルキル、Mで置換されてもよいアルケニル、Mで置換されてもよいアルキニル、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)などが挙げられる。Mは前述の通りである。
10としては、Mで置換されてもよいアルキル、Mで置換されてもよいシクロアルキル、Mで置換されてもよいアルケニル、Mで置換されてもよいアルキニル、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)などが挙げられる。Mは前述の通りである。
【0017】
Vとしては、水素原子、Mで置換されてもよいアルキル、Mで置換されてもよいシクロアルキル、Mで置換されてもよいアルケニル、Mで置換されてもよいアルキニル、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)などが挙げられる。Mは前述の通りである。
【0018】
及びRとしては、各々水素原子、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アリール、ヘテロアリールなどが挙げられる。
としては、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アリール、ヘテロアリールなどが挙げられる。
ハロゲン又は置換基としてのハロゲンとしては、弗素、塩素、臭素又は沃素の各原子が挙げられる。置換基としてのハロゲンの数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、各ハロゲンは同一でも相異なってもよい。また、ハロゲンの置換位置はいずれの位置でもよい。
【0019】
アルキル又はアルキル部分は直鎖又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルのようなC1−12のものなどが挙げられる。
アルケニル又はアルケニル部分は直鎖又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ヘキセニル、1−ヘプテニル、4−オクテニル、2−デセニル、2−ドデセニルのようなC2−12のものなどが挙げられる。
アルキニル又はアルキニル部分は直鎖又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、エチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−ヘキシニル、4,4−ジメチル−2−ペンチニル、4−オクチニル、2−デシニル、2−ドデシニルのようなC2−12のものなどが挙げられる。
【0020】
環式炭化水素基は、単環式又は縮合多環式のいずれでもよく、また、飽和であっても不飽和部分を有していてもいずれでもよい。単環式炭化水素基の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロヘキサジエニル、シクロオクタジエニル、シクロオクチニル、フェニルなどが挙げられ、縮合多環式炭化水素基の具体例としては、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インデニル、インダニルなどが挙げられる。
【0021】
酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基としては、例えば、当該ヘテロ原子を1〜4個含む、単環式又は縮合多環式のヘテロ環基が挙げられる。当該ヘテロ環基は、飽和であっても、不飽和部分を有していてもよく、メチレン部位がオキソ又はチオキソに変換されていてもよく、また、N−オキシピリジルなどのようにN−オキシドとなっていてもよい。望ましいものとしては、例えば1)チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ジチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、オキサジニル、チアジニル、ピラニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、シクロペンタピラゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾトリアジニル、ナフチリジニル、チアゾロピリジル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ピラゾロピリミジニル、トリアゾロピリミジニル及びプリニルなどよりなる群から選ばれるヘテロ環基、2)これらヘテロ環基の一部が水素添加された部分飽和ヘテロ環基、3)これらヘテロ環基が完全に水素添加された飽和ヘテロ環基、或は4)前記ジチアゾリル、オキサジニル、チアジニル、ピラニル、シクロペンタピラゾリル、ベンゾジオキソリル、部分飽和ヘテロ環基又は飽和ヘテロ環基中のメチレン部位がオキソ又はチオキソに変換されたオキソ又はチオキソヘテロ環基などが挙げられる。
【0022】
前記したヘテロ環基には、ヘテロ原子の位置違いや縮合部位の違いにより、いくつかの組合せが存在する場合があるが、本発明ではそれら全てを含む。例えば、チアジアゾリルには1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリルが含まれ、トリアゾリルには1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリルが含まれ、トリアジニルには1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニルが含まれ、ベンゾチエニルにはベンゾ[b]チエニル、ベンゾ[c]チエニルが含まれ、ベンゾフラニルにはベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[c]フラニルが含まれ、ベンゾイソチアゾリルには1,2−ベンゾイソチアゾリル、2,1−ベンゾイソチアゾリルが含まれ、ベンゾイソキサゾリルには1,2−ベンゾイソキサゾリル、2,1−ベンゾイソキサゾリルが含まれ、ベンゾチアジアゾリルには1,2,3−ベンゾチアジアゾリル、2,1,3−ベンゾチアジアゾリルが含まれる。また、部分飽和ヘテロ環基、飽和ヘテロ環基、或はオキソ又はチオキソヘテロ環基についても同様である。
【0023】
前記した部分飽和ヘテロ環基は、前記ヘテロ環基の一部が水素添加されたものなどである。例えば、4,5−ジヒドロチアゾリル、4,5−ジヒドロオキサゾリル、4,5−ジヒドロイソキサゾリル、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾリル、4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾリル、3,4,5,6−テトラヒドロピリジニル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、4a,5,6,7,8,8a−ヘキサヒドロキノキサリニルなどが挙げられる。
前記した飽和ヘテロ環基は、前記ヘテロ環基が完全に水素添加されたものなどである。例えば、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルなどが挙げられる。
【0024】
前記したオキソ又はチオキソヘテロ環基は、前記ジチアゾリル、オキサジニル、チアジニル、ピラニル、シクロペンタピラゾリル、ベンゾジオキソリル、部分飽和ヘテロ環基又は飽和ヘテロ環基中のメチレン部位がオキソ又はチオキソに変換されたものなどである。例えば、2−オキソテトラヒドロチエニル、2−チオキソテトラヒドロチエニル、2−オキソテトラヒドロフラニル、2−チオキソテトラヒドロフラニル、2−オキソピロリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,4−ジオキソチアゾリジニル、4−オキソ−4,5−ジヒドロオキサゾリル、4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル、5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾリル、3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾリル、5−チオキソ−5H−[1,2,4]ジチアゾリル、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジニル、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジニル、2,6−ジオキソ−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジニル、3−オキソ−3H−[1,2,4]トリアジニル、2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリニル、1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イルなどが挙げられる。
【0025】
シクロアルキル又はシクロアルキル部分としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルのようなC3−8のものなどが挙げられる。
アリール又はアリール部分としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インデニル、インダニルなどが挙げられる。
ヘテロアリール又はヘテロアリール部分としては、前記ヘテロ環基と同様のものなどが挙げられる。
【0026】
前記式(I)のジフルオロアルカンアミド系化合物の塩としては、農業上許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;ジメチルアミン塩、トリエチルアミン塩のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩などが挙げられる。
【0027】
式(I)のジフルオロアルカンアミド系化合物には、幾何異性体、光学異性体又は互変異性体が存在する場合があり、本発明には各異性体及び異性体混合物の双方が含まれる。尚、本発明には、当該技術分野における技術常識の範囲内において、前記したもの以外の各種異性体も含まれる。また、異性体の種類によっては、前記式(I)とは異なる化学構造となる場合があるが、当業者であればそれらが異性体の関係にあることが十分認識できる為、本発明の範囲内であることは明らかである。
式(I)のジフルオロアルカンアミド系化合物又はその塩(以下本発明化合物と略す)は、以下の反応〔A〕〜〔H〕と、通常の塩の製造方法に従って製造することができる。
【0028】
【化2】

【0029】
反応〔A〕中、X、X、Y、n、A、G及びGは前述の通りである。また、式(III)の化合物の塩としては、有機酸又は無機酸との塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩などが挙げられる。
【0030】
反応〔A〕は、必要に応じ塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ピロリジノピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンのような第三級アミン類;ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物;重炭酸ナトリウム、
重炭酸カリウムのようなアルカリ金属重炭酸塩;ブチルリチウムのようなアルキルリチウム類などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。塩基は、式(II)の化合物に対して1〜5倍モル、望ましくは1〜2.5倍モル使用することができる。
【0031】
反応〔A〕は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジンのような芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、アニソールのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような極性非プロトン性溶媒などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0032】
反応〔A〕は、必要に応じ不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンのような各ガスが挙げられる。
反応〔A〕は、通常−78〜+250 ℃、望ましくは−78〜+150 ℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜72時間程度、望ましくは0.1〜24時間程度とすることができる。
【0033】
【化3】

【0034】
反応〔B〕中、X、X、Y、n、A、G及びGは前述の通りであり、Tは酸素原子又は硫黄原子である。また、式(III)で表される化合物の塩としては、前記反応〔A〕で例示されたものと同様のものなどが挙げられる。
反応〔B〕は、溶媒の存在下で共沸脱水するか又は縮合剤の存在下で行うことができる。
共沸脱水で用いる溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、前記反応〔A〕で例示されたものなどから1種又は2種以上を適宜選択することができる。また、縮合剤の存在下で反応を行う場合、必要に応じて溶媒を使用してもよいが、ここで用いる溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば前記反応〔A〕で例示されたものなどから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0035】
反応〔B〕で用いる縮合剤としては、例えば、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩のようなカルボジイミド類;その他に、リン酸ジクロリドフェニルエステル、ジエチルホスホロシアニダート、1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−ヘキサクロリド、シアヌリッククロリド、クロロギ酸イソブチル、クロロスルホニルイソシアネート、N,N'−カルボニルジイミダゾール、
トリフルオロ酢酸無水物などが挙げられる。縮合剤は、式(IV)の化合物に対して1〜5倍モル、望ましくは1〜2倍モル使用することができる。
【0036】
反応〔B〕は、必要に応じ塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ピロリジノピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリンのような第三級アミン類などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。塩基は、式(IV)の化合物に対して0.1〜5倍モル、望ましくは0.1〜2.5倍モル使用することができる。
【0037】
反応〔B〕は、必要に応じ不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンのようなものが挙げられる。
反応〔B〕は、通常−78〜+250 ℃、望ましくは0〜150 ℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜72時間程度、望ましくは0.1〜24時間程度とすることができる。
【0038】
【化4】

【0039】
反応〔C〕中、X、X、Y、n、A、G、G及びTは前述の通りであり、ZはC1−4のアルキルである。また、式(III)で表される化合物の塩としては、前記反応〔A〕で例示されたものと同様のものなどが挙げられる。
反応〔C〕は、必要に応じ塩基の存在下で行うことができる。塩基は、前記反応〔A〕で例示されたもの及びナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシドなどから1種又は2種以上を適宜選択することができる。塩基は、式(V)の化合物に対して0.01〜5倍モル、望ましくは0.01〜2.5倍モル使用することができる。
【0040】
反応〔C〕は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、前記反応〔A〕で例示されたものなどから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
反応〔C〕は、必要に応じ不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンのような各ガスが挙げられる。
反応〔C〕は、通常−78〜+250 ℃、望ましくは0〜150 ℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜72時間程度、望ましくは0.1〜24時間程度とすることができる。
【0041】
【化5】

【0042】
反応〔D〕中、X、X、Y、n、A及びGは前述の通りであり、G2aはQ、−C(=B)Q、−C(=B)DQ、−C(=B)N(L)Q、−SQ、−SOQ、−SN(L)Q、−SN(L)C(=B)DQ又は−SON(L)Qであり、Xはハロゲンであり、Q、B、D及びLは前述の通りである。
反応〔D〕は、必要に応じ塩基の存在下で行うことができる。塩基は、前記反応〔A〕で例示されたものなどから1種又は2種以上を適宜選択することができる。塩基は、式(I-1)の化合物に対して0.01〜10倍モル、望ましくは0.01〜5倍モル使用することができる。
【0043】
反応〔D〕は、必要に応じN−トリアルキルシリル−アルキルカーバメート類の存在下で行うことができる。N−トリアルキルシリル−アルキルカーバメート類は、例えば、N−トリメチルシリル−エチルカーバメート、N−トリエチルシリル−メチルカーバメートなどから1種又は2種以上を適宜選択することができる。N−トリアルキルシリル−アルキルカーバメート類は、式(I-1)の化合物に対して0.01〜10倍モル、望ましくは0.01〜5倍モル使用することができる。
【0044】
反応〔D〕は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば前記反応〔A〕で例示されたものなどから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
反応〔D〕は、必要に応じ不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンのようなものが挙げられる。
反応〔D〕は、通常−78〜+250 ℃、望ましくは0〜150 ℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜72時間程度、望ましくは0.1〜24時間程度とすることができる。
【0045】
【化6】

【0046】
反応〔E〕中、X、X、Y、n、A及びGは前述の通りであり、G2bはアルキルであり、Uはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、フェニル、ハロゲンで置換されたフェニル又はアルキルで置換されたフェニルである。
反応〔E〕は、必要に応じ塩基の存在下で行うことができる。塩基は、前記反応〔A〕で例示されたものなどから1種又は2種以上を適宜選択することができる。塩基は、式(I-1)の化合物に対して0.01〜10倍モル、望ましくは0.01〜5倍モル使用することができる。
【0047】
反応〔E〕は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、前記反応〔A〕で例示されたものなどから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
反応〔E〕は、必要に応じ不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンのような各ガスが挙げられる。
反応〔E〕は、通常−78〜+250 ℃、望ましくは0〜150 ℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜72時間程度、望ましくは0.1〜24時間程度とすることができる。
【0048】
【化7】

【0049】
反応〔F〕中、X、X、Y、n、G及びGは前述の通りである。
反応〔F〕中で使用されるチオン化剤としては、例えば、五硫化リン、ローソン試薬などが挙げられる。チオン化剤は、式(I-2)の化合物に対して1〜10倍モル、望ましくは1〜4倍モル使用することができる。
【0050】
反応〔F〕は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジンのような芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、アニソールのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホランのような極性非プロトン性溶媒などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0051】
反応〔F〕は、必要に応じ不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンのような各ガスが挙げられる。
反応〔F〕は、通常−78〜+250 ℃、望ましくは0〜150 ℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜72時間程度、望ましくは0.1〜24時間程度とすることができる。
【0052】
【化8】

【0053】
反応〔G〕中、X、X、Y、n、A、G及びGは前述の通りである。
反応〔G〕は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ピリジンのような芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、アニソールのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホランのような極性非プロトン性溶媒などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0054】
反応〔G〕は、必要に応じ不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンのような各ガスが挙げられる。
反応〔G〕は、通常−78〜+250 ℃、望ましくは−78〜150 ℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜72時間程度、望ましくは0.1〜24時間程度とすることができる。
【0055】
【化9】

【0056】
反応〔H〕中、X、Y、n、A、G及びGは前述の通りであり、Rはアルキルである。
反応〔H〕は、必要に応じ溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ピリジンのような芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、アニソールのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホランのような極性非プロトン性溶媒などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0057】
反応〔H〕は、必要に応じ不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンのような各ガスが挙げられる。
反応〔H〕は、通常−78〜+250 ℃、望ましくは−78〜150 ℃で行うことができ、その反応時間は、通常0.1〜72時間程度、望ましくは0.1〜24時間程度とすることができる。
【0058】
前記反応〔A〕〜〔C〕中の式(II)、式(IV)又は式(V)及び前記反応〔G〕又は〔H〕中の式(VIII)の各出発物質は、(1)公知化合物であるか、(2)後記する合成例又はそれに準じて製造することができるか、(3)WO92/15555、EP661289又はEP432861に記載された方法或はそれらに準じた方法で製造することができる。
前記(3)につき、より具体的に記載する。イ)WO92/15555公報の15頁16行〜16頁3行に記載された方法、これに引き続いて通常の塩素化又はエステル化を適宜行う方法、同公報の合成例16、22、28又は42に記載された方法、或はそれらに準じた方法。ロ)EP661289公報の13頁25行〜14頁37行に記載された方法、同公報の合成例Z1、Z2又はZ3に記載された方法、或はそれらに準じた方法。ハ)EP432861公報の4頁22行〜8頁45行に記載された方法、同公報の合成例3、4、8、9、10、16、20又は21に記載された方法、或はそれらに準じた方法。
【0059】
本発明化合物を含有する有害生物防除剤の望ましい態様について以下に記述する。本発明化合物を含有する有害生物防除剤は、例えば農園芸分野で問題となる各種有害生物の防除剤、即ち農園芸用有害生物防除剤や、動物に寄生する有害生物の防除剤、即ち動物寄生生物防除剤として特に有用である。
【0060】
農園芸用有害生物防除剤としては、例えば、殺虫、殺ダニ、殺線虫、殺土壌害虫剤として有用であるが、具体的には、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビダニ、ネダニなどのような植物寄生性ダニ類;モモアカアブラムシ、ワタアブラムシのようなアブラムシ類、コナガ、ヨトウムシ、ハスモンヨトウ、コドリンガ、ボールワーム、タバコバッドワーム、マイマイガ、コブノメイガ、チャノコカクモンハマキ、コロラドハムシ、ウリハムシ、ボールウィービル、ウンカ類、ヨコバイ類、カイガラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類、バッタ類、ハナバエ類、コガネムシ類、タマナヤガ、カブラヤガ、アリ類などのような農業害虫類;ネコブセンチュウ類、シストセンチュウ類、ネグサレセンチュウ類、イネシンガレセンチュウ、イチゴメセンチュウ、マツノザイセンチュウなどのような植物寄生性線虫類;ナメクジ、マイマイなどのような腹足類;ダンゴムシ、ワラジムシのような等脚類などのような土壌害虫類;イエダニ、ゴキブリ類、イエバエ、アカイエカなどのような衛生害虫類;バクガ、アズキゾウムシ、コクヌストモドキ、ゴミムシダマシ類などのような貯穀害虫類;イガ、ヒメカツオブシムシ、シロアリ類などのような衣類、家屋害虫類;ケナガコナダニ、コナヒョウダニ、ミナミツメダニなどのような屋内塵性ダニ類などの防除に有効である。なかでも、本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤は、植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類などの防除に特に有効である。また、本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤は、有機リン剤、カーバメート剤、合成ピレスロイド剤などの薬剤に対する各種抵抗性害虫の防除にも有効である。さらに本発明化合物は、優れた浸透移行性を有していることから、本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤を土壌に処理することによって土壌有害昆虫類、ダニ類、線虫類、腹脚類、等脚類の防除と同時に茎葉部の害虫類をも防除することができる。
【0061】
本発明化合物を含有する有害生物防除剤の別の望ましい態様としては、前記した植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類、腹足類、土壌害虫類などを総合的に防除する農園芸用有害生物防除剤が挙げられる。
【0062】
本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤は、通常該化合物と各種農業上の補助剤とを混合して粉剤、粒剤、顆粒水和剤、水和剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤、エアゾール剤、微量散布剤などの種々の形態に製剤して使用されるが、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。製剤に使用する補助剤としては、珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、カオリナイト及びセリサイトの混合物、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉などの固型担体;水、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジオキサン、アセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコールなどの溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩のような陰イオン系の界面活性剤や展着剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤や展着剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィンなどの植物油や鉱物油などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選んで使用することもでき、例えば、増量剤、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤など通常使用される各種補助剤も使用することができる。本発明化合物と各種補助剤との配合割合は0.001:99.999〜95:5、望ましくは0.005:99.995〜90:10である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、または水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して使用することができる。
【0063】
本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤の施用は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用場所、病害虫の種類や発生状況などの相違により一概に規定できないが、一般に0.05〜800000ppm、望ましくは0.5〜500000ppmの有効成分濃度で行ない、その単位面積あたりの施用量は、1ヘクタール当り本発明化合物が0.05〜50000g、望ましくは1〜30000gである。また、本発明化合物を含有する有害生物防除剤の別の望ましい態様である農園芸用の有害生物防除剤の施用は、前記有害生物防除剤の施用に準じて行われる。本発明には、このような施用方法による有害生物の防除方法、特に植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類の防除方法も含まれる。
【0064】
本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤の種々の製剤、またはその希釈物の施用は、通常一般に行なわれている施用方法すなわち、散布(例えば散布、噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粒、水面施用等)、土壌施用(混入、灌注等)、表面施用(塗布、粉衣、被覆等)、浸漬毒餌等により行うことができる。また、家畜に対して前記有効成分を飼料に混合して与え、その排泄物での有害虫、特に有害昆虫の発生及び生育を阻害することも可能である。またいわゆる超高濃度少量散布法(ultra low volume)により施用することもできる。この方法においては、活性成分を100%含有することが可能である。
【0065】
また、本発明化合物を含有する農園芸用有害生物防除剤は、他の農薬、肥料、薬害軽減剤などと混用或は併用することができ、この場合に一層優れた効果、作用性を示すことがある。他の農薬としては、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、殺菌剤、抗ウィルス剤、誘引剤、抗生物質、植物ホルモン、植物成長調整剤などが挙げられる。特に、本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物の1種又は2種以上とを混用或は併用した混合有害生物防除組成物は、適用範囲、薬剤処理の時期、防除活性等を好ましい方向へ改良することが可能である。尚、本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物は各々別々に製剤したものを散布時に混合して使用しても、両者を一緒に製剤して使用してもよい。本発明には、このような混合有害生物防除組成物も含まれる。
【0066】
本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物との混合比は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用場所、病害虫の種類や発生状況などの相違により一概に規定できないが、一般に1:300〜300:1、望ましくは1:100〜100:1である。また、施用適量は1ヘクタール当りの総有効成分化合物量として0.1〜50000g、望ましくは1〜30000gである。本発明には、このような混合有害生物防除組成物の施用方法による有害生物の防除方法も含まれる。
【0067】
上記他の農薬中の、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤或いは殺土壌害虫剤、すなわち害虫防除剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む)としては、例えばプロフェノホス(Profenofos)、ジクロルボス(Dichlorvos)、フェナミホス(Fenamiphos)、フェニトロチオン(Fenitrothion)、EPN、ダイアジノン(Diazinon)、クロルピリホスメチル(Chlorpyrifos-methyl)、アセフェート(Acephate)、プロチオホス(Prothiofos)、ホスチアゼート(Fosthiazate)、ホスホカルブ(Phosphocarb)、カズサホス(Cadusafos)、ジスルホトン(Dislfoton)、クロルピリホス(Chlorpyrifos)、デメトン-S-メチル(Demeton-S-methyl)、ジメトエート(Dimethoate)、メタミドホス(Methamidophos)、パラチオン(Parathion)、AKD-3088[(2−シアノイミノ−3−エチルイミダゾリジン−1−イル)−O−エチル−S−プロピル−ホスホノチオエート]のような有機リン酸エステル系化合物;カルバリル(Carbaryl)、プロポキスル(Propoxur)、アルジカルブ(Aldicarb)、カルボフラン(Carbofuran)、チオジカルブ(Thiodicarb)、メソミル(Methomyl)、オキサミル(Oxamyl)、エチオフェンカルブ(Ethiofencarb)、ピリミカルブ(Pirimicarb)、フェノブカルブ(Fenobucarb)、カルボスルファン(Carbosulfan)、ベンフラカルブ(Benfuracarb)のようなカーバメート系化合物;カルタップ(Cartap)、チオシクラム(Thiocyclam)、ベンスルタップ(Bensultap)のようなネライストキシン誘導体;ジコホル(Dicofol)、テトラジホン(Tetradifon)、エンドスルファン(Endosulfan)のような有機塩素系化合物;酸化フェンブタスズ(Fenbutatin Oxide)のような有機金属系化合物;フェンバレレート(Fenvalerate)、ペルメトリン(Permethrin)、シペルメトリン(Cypermethrin)、デルタメトリン(Deltamethrin)、シハロトリン(Cyhalothrin)、テフルトリン(Tefluthrin)、エトフェンプロックス(Ethofenprox)、フェンプロパトリン(Fenpropathrin)、ビフェントリン(Bifenthrin)のようなピレスロイド系化合物;ジフルベンズロン(Diflubenzuron)、クロルフルアズロン(Chlorfluazuron)、テフルベンズロン(Teflubenzuron)、フルフェノクスロン(Flufenoxuron)、ルフェヌロン(Lufenuron)、ノバルロン(Novaluron)、ビストリフルロン(Bistrifluron)、ノビフルムロン(Noviflumuron)のようなベンゾイルウレア系化合物;メトプレン(Methoprene)、ピリプロキシフェン(Pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(Fenoxycarb)のような幼若ホルモン様化合物;ピリダベン(Pyridaben)のようなピリダジノン系化合物;フェンピロキシメート(Fenpyroximate)、フィプロニル(Fipronil)、テブフェンピラド(Tebufenpyrad)、エチプロール(Ethiprole)、トルフェンピラド(Tolfenpyrad)、アセトプロール(Acetoprole)、ピラフルプロール(Pyrafluprole)、ピリプロール(Pyriprole)のようなピラゾール系化合物;イミダクロプリド(Imidacloprid)、ニテンピラム(Nitenpyram)、アセタミプリド(Acetamiprid)、チアクロプリド(Thiacloprid)、チアメトキサム(Thiamethoxam)、クロチアニジン(Clothianidin)、ジノテフラン(Dinotefuran)などのネオニコチノイド;テブフェノジド(Tebufenozide)、メトキシフェノジド(Methoxyfenozide)、クロマフェノジド(Chromafenozide)、ハロフェノジド(Halofenozide)などのヒドラジン系化合物;ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラゾン系化合物また、その他の化合物として、フロニカミド(Flonicamid)、ブプロフェジン(Buprofezin)、ヘキシチアゾクス(Hexythiazox)、アミトラズ(Amitraz)、クロルジメホルム(Chlordimeform)、シラフルオフェン(Silafluofen)、トリアザメイト(Triazamate)、ピメトロジン(Pymetrozine)、ピリミジフェン(Pyrimidifen)、クロルフェナピル(Chlorfenapyr)、インドキサカルブ(Indoxacarb)、アセキノシル(Acequinocyl)、エトキサゾール(Etoxazole)、シロマジン(Cyromazine)、1,3−ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、ジアフェンチウロン(Diafenthiuron)、ベンクロチアズ(Benclothiaz)、フルフェンリム(Flufenerim)、ピリダリル(Pyridalyl)、スピロジクロフェン(Spirodiclofen)、ビフェナゼート(Bifenazate)、スピロメシフェン(Spiromesifen)、プロパルギット(Propargite)、クロフェンテジン(Clofentezine)、エトキサゾール(Etoxazole)、フルアクリピリム(Fluacrypyrim)、メタフルミゾン(Metaflumizone)、フルベンジアミド(Flubendiamide)、シフルメトフェン(Cyflumetofen)、アミドフルメット(Amidoflumet)のような化合物;などが挙げられる。更に、BT剤、昆虫病原ウイルス剤、昆虫病原糸状菌剤、線虫病原糸状菌剤などのような微生物農薬、アベルメクチン(Avermectin)、エマメクチンベンゾエート(Emamectin-Benzoate)、ミルベメクチン(Milbemectin)、スピノサッド(Spinosad)、イベルメクチン(Ivermectin)、レピメクチン(Lepimectin)のような抗生物質、アザディラクチン(Azadirachtin)、ロテノン(Rotenone)のような天然物などと、混用、併用することもできる。
【0068】
上記他の農薬中の、殺菌剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会供試試験コード)としては、例えば、メパニピリム(Mepanipyrim)、ピリメサニル(Pyrimethanil)、シプロジニル(Cyprodinil)のようなピリミジナミン系化合物;フルアジナム(Fluazinam)のようなピリジナミン系化合物;トリアジメホン(Triadimefon)、ビテルタノール(Bitertanol)、トリフルミゾール(Triflumizole)、エタコナゾール(Etaconazole)、プロピコナゾール(Propiconazole)、ペンコナゾール(Penconazole)、フルシラゾール(Flusilazole)、マイクロブタニル(Myclobutanil)、シプロコナゾール(Cyproconazole)、ターブコナゾール(Terbuconazole)、ヘキサコナゾール(Hexaconazole)、ファーコナゾールシス(Furconazole‐cis)、プロクロラズ(Prochloraz)、メトコナゾール(Metconazole)、エポキシコナゾール(Epoxiconazole)、テトラコナゾール(Tetraconazole)、オキスポコナゾール硫酸塩(Oxpoconazole fumarate)、シプコナゾール(Sipconazole)、プロチオコナゾール(Prothioconazole)、トリアジメノール(Triadimenol)、フルトリアフオール(Flutriafol)、ジフェノコナゾール(Difenoconazole)、フルキンコナゾール(Fluquinconazole)、フェンブコナゾール(Fenbuconazole)、ブロムコナゾール(Bromuconazole)、ジニコナゾール(Diniconazole)ようなアゾール系化合物;キノメチオネート(Quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物;マンネブ(Maneb)、ジネブ(Zineb)、マンゼブ(Mancozeb)、ポリカーバメート(Polycarbamate)、メチラム(Metiram)、プロピネブ(Propineb)のようなジチオカーバメート系化合物;フサライド(Fthalide)、クロロタロニル(Chlorothalonil)、キントゼン(Quintozene)のような有機塩素系化合物;ベノミル(Benomyl)、チオファネートメチル(Thiophanate‐Methyl)、カーベンダジム(Carbendazim)、シアゾファミド(Cyazofamid)のようなイミダゾール系化合物;シモキサニル(Cymoxanil)のようなシアノアセトアミド系化合物;メタラキシル(Metalaxyl)、メタラキシルM(Metalaxyl M)、オキサジキシル(Oxadixyl)、オフレース(Ofurace)、ベナラキシル(Benalaxyl)、フララキシル(Furalaxyl)、シプロフラム(Cyprofuram)のようなフェニルアミド系化合物;ジクロフルアニド(Dichlofluanid)のようなスルフェン酸系化合物;水酸化第二銅(Cuprichydroxide)、有機銅(Oxine Copper)のような銅系化合物;ヒメキサゾール(Hymexazol)のようなイソキサゾール系化合物;ホセチルアルミニウム(Fosetyl‐Al)、トルコホスメチル(Tolcofos‐Methyl)、S−ベンジル O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート、O−エチル S,S−ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネートのような有機リン系化合物;キャプタン(Captan)、キャプタホル(Captafol)、フォルペット(Folpet)のようなN−ハロゲノチオアルキル系化合物;プロシミドン(Procymidone)、イプロジオン(Iprodione)、ビンクロゾリン(Vinclozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物;フルトラニル(Flutolanil)、メプロニル(Mepronil)、ゾキサミド(Zoxamid)、チアジニル(Tiadinil)のようなベンズアニリド系化合物;トリホリン(Triforine)のようなピペラジン系化合物;ピリフェノックス(Pyrifenox)のようなピリジン系化合物;フェナリモル(Fenarimol)、フルトリアフォル(Flutriafol)のようなカルビノール系化合物;フェンプロピディン(Fenpropidine)のようなピペリジン系化合物;フェンプロピモルフ(Fenpropimorph)のようなモルフォリン系化合物;フェンチンヒドロキシド(Fentin Hydroxide)、フェンチンアセテート(Fentin Acetate)のような有機スズ系化合物;ペンシキュロン(Pencycuron)のような尿素系化合物;ジメトモルフ(Dimethomorph)、フルモルフ(Flumorph)のようなシンナミック酸系化合物;ジエトフェンカルブ(Diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物;フルジオキソニル(Fludioxonil)、フェンピクロニル(Fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物;アゾキシストロビン(Azoxystrobin)、クレソキシムメチル(Kresoxim‐Methyl)、メトミノフェン(Metominofen)、トリフロキシストロビン(Trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(Picoxystrobin)、オリザストロビン(Oryzastrobin)、ジモキシストロビン(Dimoxystrobin)、フルオキサストロビン(Fluoxastrobin)、フルアクリピリム(Fluacrypyrin)のようなストロビルリン系化合物;ファモキサドン(Famoxadone)のようなオキサゾリジノン系化合物;エタボキサム(Ethaboxam)のようなチアゾールカルボキサミド系化合物;シルチオファム(Silthiopham)のようなシリルアミド系化合物;イプロバリカルブ(Iprovalicarb)、ベンチアバリカルブ(benthiavalicarb)のようなアミノアシッドアミドカーバメート系化合物;フェナミドン(Fenamidone)のようなイミダゾリジン系化合物;フェンヘキサミド(Fenhexamid)のようなハイドロキシアニリド系化合物;フルスルファミド(Flusulfamid)のようなベンゼンスルホンアミド系化合物;シフルフェナミド(Cyflufenamid)のようなオキシムエーテル系化合物;フェノキサニル(Fenoxanil)のようなフェノキシアミド系化合物;シメコナゾール(Simeconazole)のようなトリアゾール系化合物;ポリオキシン(polyoxins)のような抗生物質;また、その他の化合物として、イソプロチオラン(Isoprothiolane)、トリシクラゾール(Tricyclazole)、ピロキロン(Pyroquilon)、ジクロメジン(Diclomezine)、プロベナゾール(Probenazole)、キノキシフェン(Quinoxyfen)、プロパモカルブ塩酸塩(Propamocarb Hydrochloride)、スピロキサミン(Spiroxamine)、クロルピクリン(Chloropicrin)、ダゾメット(Dazomet)、カーバムナトリウム塩(Metam‐sodium)、ニコビフェン(Nicobifen)、メトラフェノン(Metrafenone)、MTF-753(ペンチオピラド、Pentiopyrad)、UBF-307、ジクロシメット(Diclocymet)、プロキンアジド(Proquinazid)などが挙げられる。
【0069】
その他、本発明化合物と混用或いは併用することが可能な農薬としては、例えは、Farm Chemicals Handbook(2002年版)に記載されているような除草剤の有効成分化合物、特に土壌処理型のものなどがある。
【0070】
動物寄生生物防除剤としては、例えば、宿主動物の体表(背、腋下、下腹部、内股部など)に寄生する外部寄生生物や、宿主動物の体内(胃、腸管、肺、心臓、肝臓、血管、皮下、リンパ組織など)に寄生する内部寄生生物の防除に有効であるが、なかでも、外部寄生生物の防除に有効である。
【0071】
外部寄生生物としては、例えば、動物寄生性のダニやノミなどが挙げられる。これらの種類は非常に多く、全てを列記することが困難であるので、その一例を挙げる。
【0072】
動物寄生性のダニとしては、例えばオウシマダニ(Boophilus microplus)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、ツリガネチマダニ(Haemaphysalis campanulata)、イスカチマダニ(Haemaphysalis concinna)、ヤマトチマダニ(Haemaphysalis japonica)、ヒゲナガチマダニ(Haemaphysalis kitaokai)、イヤスチマダニ(Haemaphysalis ias)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、タネガタマダニ(Ixodes nipponensis)、シュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)、タカサゴキララマダニ(Amblyomma testudinarium)、オオトゲチマダニ(Haemaphysalis megaspinosa)、アミノカクマダニ(Dermacentor reticulatus)、タイワンカクマダニ(Dermacentor taiwanesis)のようなマダニ類;ワクモ(Dermanyssus gallinae);トリサシダニ(Ornithonyssus sylviarum)、ミナミトリサシダニ(Ornithonyssus bursa)のようなトリサシダニ類;ナンヨウツツガムシ(Eutrombicula wichmanni)、アカツツガムシ(Leptotrombidium akamushi)、フトゲツツガムシ(Leptotrombidium pallidum)、フジツツガムシ(Leptotrombidium fuji)、トサツツガムシ(Leptotrombidium tosa)、ヨーロッパアキダニ(Neotrombicula autumnalis)、アメリカツツガムシ(Eutrombicula alfreddugesi)、ミヤガワタマツツガムシ(Helenicula miyagawai)のようなツツガムシ類;イヌツメダニ(Cheyletiella yasguri)、ウサギツメダニ(Cheyletiella parasitivorax)、ネコツメダニ(Cheyletiella blakei)のようなツメダニ類;ウサギキュウセンダニ(Psoroptes cuniculi)、ウシショクヒダニ(Chorioptes bovis)、イヌミミヒゼンダニ(Otodectes cynotis)、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)、ネコショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres cati)のようなヒゼンダニ類;イヌニキビダニ(Demodex canis)のようなニキビダニ類などが挙げられる。なかでも、本発明化合物を含有する動物寄生生物防除剤は、マダニ類などの防除に特に有効である。
【0073】
ノミとしては、例えば、ノミ目(Siphonaptera)に属する外部寄生性無翅昆虫、より具体的には、ヒトノミ科(Pulicidae)、ナガノミ科(Ceratephyllus)などに属するノミ類が挙げられる。ヒトノミ科に属するノミ類としては、例えば、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、ヒトノミ(Pulex irritans)、ニワトリフトノミ(Echidnophaga gallinacea)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)、メクラネズミノミ(Leptopsylla segnis)、ヨーロッパネズミノミ(Nosopsyllus fasciatus)、ヤマトネズミノミ(Monopsyllus anisus)などが挙げられる。なかでも、本発明化合物を含有する動物寄生生物防除剤は、ヒトノミ科に属するノミ類、特にイヌノミ、ネコノミなどの防除に有効である。
【0074】
その他の外部寄生生物としては、例えば、ウシジラミ、ウマジラミ、ヒツジジラミ、ウシホソジラミ、アタマジラミのようなシラミ類;イヌハジラミのようなハジラミ類;ウシアブ、ウアイヌカカ、ツメトゲブユのような吸血性双翅目害虫などが挙げられる。また、内部寄生生物としては、例えば、肺虫、ベンチュウ、結節状ウオーム、胃内寄生虫、回虫、糸状虫類のような線虫類;サナダムシ;吸虫;コクシジウム、マラリア原虫、腸内肉胞子虫、トキソプラズマ、クリプトスポリジウムのような原生動物などが挙げられる。
【0075】
宿主動物としては、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、リス、ウサギ、フェレット、鳥(例えば、ハト、オウム、九官鳥、文鳥、インコ、ジュウシマツ、カナリア)などの愛玩動物;ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジなどの家畜;アヒル、ニワトリなどの家禽などが挙げられる。なかでも、本発明化合物を含有する動物寄生生物防除剤は、愛玩動物又は家畜に寄生する有害生物、特に外部寄生生物の防除に有効である。愛玩動物の中ではイヌ及びネコに特に有効であり、家畜の中ではウシ及びウマに特に有効である。
【0076】
本発明化合物を動物寄生生物防除剤として使用する際、そのまま使用してもよく、また、適当な補助剤と共に粉剤、粒剤、錠剤、散剤、カプセル剤、液状剤、乳剤、水生懸濁剤、油性懸濁剤などの種々の形態に製剤して使用することもできる。尚、前記製剤形態以外にも、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。製剤に使用する補助剤としては、前記した農園芸用有害生物防除剤の製剤用補助剤として例示した陰イオン系の界面活性剤や非イオン系の界面活性剤;セチルトリメチルアンモニウムブロミドのような陽イオン系の界面活性剤;水、アセトン、アセトニトリル、モノメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ケロシン、トリアセチン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体ポリオキシエチレングリコール、ブチルジグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールノルマルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールノルマルブチルエーテルのような溶剤;ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ亜硫酸水素ナトリウム、プロピル没食子酸塩、チオ硫酸ナトリウムのような酸化防止剤;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンのコポリマーのような被膜形成剤;前記した農園芸用有害生物防除剤の製剤用補助剤として例示した植物油や鉱物油;乳糖、蔗糖、ブドウ糖、澱粉、麦粉、コーン粉、大豆油粕、脱脂米糠、炭酸カルシウム、その他市販の飼料原料のような担体などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選択して使用することもでき、更には、前記した農園芸分野で使用される各種補助剤などから適宜選択して使用することもできる。
【0077】
本発明化合物と各種補助剤との配合割合は、通常0.1:99.9〜90:10程度である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、または水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して使用することができる。
【0078】
宿主動物への本発明化合物の投与は、経口又は非経口によって行われる。経口投与法としては、例えば本発明化合物を含有する錠剤、液状剤、カプセル剤、ウエハース、ビスケット、ミンチ肉、その他の飼料等を投与する方法などが挙げられる。非経口投与方法としては、例えば本発明化合物を適当な製剤に調製した上で、静注投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与等により体内に取り込ませる方法;スポットオン(spot-on)処理、ポワオン(pour-on)処理、スプレー処理等により体表面に投与する方法;宿主動物の皮下に本発明化合物を含有する樹脂片等を埋め込む方法などが挙げられる。
【0079】
宿主動物への本発明化合物の投与量は、投与方法、投与目的、疾病症状等によって異なるが、通常、宿主動物の体重1Kgに対して0.01mg〜100g、望ましくは0.1mg〜10gの割合で投与するのが適当である。
本発明には、前記したような投与方法又は投与量による有害生物の防除方法、特に外部寄生生物又は内部寄生生物の防除方法も含まれる。
【0080】
本発明化合物を動物寄生生物防除剤として使用する際、補助剤と共に各種ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、栄養剤、酵素製剤、解熱剤、鎮静剤、消炎剤、殺菌剤、着色剤、芳香剤、保存剤等と混用又は併用することができる。また、必要に応じて他の各種動物薬や農薬、例えば駆虫剤、抗コクシジウム剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺ノミ剤、殺線虫剤、殺菌剤、抗菌剤などと混用又は併用することができ、この場合に一層優れた効果を示すこともある。本発明には、前記したような各種成分を混用又は併用した混合有害生物防除組成物が含まれ、また、それを使用した有害生物の防除方法、特に外部寄生生物又は内部寄生生物の防除方法も含まれる。
【0081】
次に、本発明化合物の望ましい態様として、いくつかを例示する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)X及びXが双方臭素原子である前記式(I)の化合物。
(2)Aが酸素原子である前記式(I)の化合物。
(3)GがQである前記式(I)の化合物。
(4)Gが−C(=B)Qである前記式(I)の化合物。
(5)Gが水素原子である前記式(I)の化合物。
(6)Bが酸素原子である前記式(I)の化合物。
(7)Qが酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基は置換されていてもよい)である前記式(I)の化合物。
【0082】
(8)QがWで置換されてもよい環式炭化水素基である前記式(I)の化合物。ここでWは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、Kで置換されてもよいアルキル、Kで置換されてもよいアルケニル、Kで置換されてもよいアルキニル、Mで置換されてもよい環式炭化水素基、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基はMで置換されていてもよい)、−OR、−SR、−NR、−COR、−CO、−COSR、−CSOR、−CS、−SONR、−CONR、−CSNR、−C(=NOV)R、−N(R)COR、−N(R)CO、−N(R)COSR、−N(R)CSOR、−N(R)CS、−N(R)SO、−SOR、−SO、−CSR、−OCOR、−OCSR、−SCOR、−SCSR、トリアルキルシリル又はトリアルキルシリルオキシである。K、M、R、R、R及びVは前述の通りである。Wの置換数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、それらは同一でも相異なってもよい。
(9)上記(1)〜(8)中のX、X、A、B、G、G及びQを適宜組合せた化合物。
【実施例】
【0083】
次に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず本発明化合物の合成例を記載する。
合成例1
N−(2−ピリジル)−7−ブロモ−7−(ブロモジフルオロメチル)ノナン酸アミド(後記化合物No.64)の合成
N−(2-ピリジル) 7−エチル−8,8−ジフルオロ−7−オクテン酸アミド0.7gを乾燥ジエチルエーテル15mlに溶かし、窒素雰囲気下0℃で、臭素260μlとジクロロメタン5mlの混合液を滴下した。滴下終了後、4時間還流させた後、水に投入、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、酢酸エチルを減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製して油状の目的物0.937gを得た。
【0084】
合成例2
N−(2−ピリジル) 7−ブロモ−7−[ジフルオロ(メトキシ)メチル]ノナン酸アミド(後記化合物No.261)の合成
N−(2-ピリジル) 7−エチル−8,8−ジフルオロ−7−オクテン酸アミド2.5gをメタノール50mlに溶かし、臭素930μlとジクロロメタン20mlの混合液を滴下した。滴下終了後、1時間還流させた後、水に投入、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、酢酸エチルを減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=9/1〜8/2)で精製して油状の目的物0.261gを得た。
【0085】
合成例3
N−(7−ブロモ−7−(ブロモジフルオロメチル)ノナノイル) 2−メチルベンズアミド(後記化合物No.184)の合成
N−(7−エチル−8,8−ジフルオロ−7−オクテノイル) 2−メチルベンズアミド0.3gを乾燥ジエチルエーテル7mlに溶かし、窒素雰囲気下0℃で、臭素57μlとジクロロメタン2mlの混合液を滴下した。同温度で30分攪拌後、水に投入、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、酢酸エチルを減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8.5/1.5〜8/2)で精製して融点65−72.5℃の目的物0.136gを得た。
【0086】
次に、前記式(I)で表される本発明化合物の代表例を第1表〜第3表に挙げ、それらのNMRスペクトルデータを第4表に挙げる。これら化合物は前記合成例或は前記した本発明化合物の種々の製造方法に基づいて合成することができる。尚、第1表〜第3表中、No.は化合物No.を示す。また、第1表〜第3表中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、n-Prはノルマルプロピル基を、i-Prはイソプロピル基を、t-Buはターシャリーブチル基を、c-Prはシクロプロピル基を、c-Buはシクロブチル基を、Phはフェニル基を各々示す。また、第1表〜第3表中、Ph(2-Cl)とあるのは、2位に塩素原子が置換したフェニル基を示し、Ph(4-Ph(4-CF))とあるのは、4位にフェニル基(このフェニル基の4位にCF基が置換)が置換したフェニル基を示し、他の同様の記載もこれに準じる。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
【表9】

【0096】
【表10】

【0097】
【表11】

【0098】
次に試験例を記載する。
試験例1 ナミハダニ殺成虫試験
本発明化合物の濃度が50ppmとなるよう調製した薬液を準備した。インゲンマメの初生葉1枚のみを残してポット(直径8cm、高さ7cm)に移植し、これにナミハダニの成虫20頭を放虫した。このものをインゲン葉とともに前記薬液に浸漬し、風乾後25℃の照明付恒温室内に放置した。処理後2日目又は3日目に生死を判定し、下記計算式により殺成虫率を求めた。尚、離脱した成虫は死亡とみなした。前記化合物No.51、53、64、65、184、及び261について殺成虫率を求めたところ、全ての化合物が80%以上の高い防除効果を示した。
殺成虫率(%)=(死虫数/放虫数)×100
【0099】
試験例2 フタトゲチマダニに対する薬効試験
9cm径シャーレ内面に、本発明化合物のアセトン溶液1ml(濃度:10μmg/ml)をマイクロピペットで滴下処理する。シャーレ内面が乾燥した後、60〜180匹の幼ダニを入れ、ポリエチレンシートで被って輪ゴムで密封する。薬剤接触後の横転(ノックダウン)ダニ数を観察すると、本発明化合物は大部分のフタトゲチマダニを横転させる。
【0100】
試験例3 フタトゲチマダニに対するイヌを用いた薬効試験
フタトゲチマダニの若ダニ50頭をイヌ(ビーグル、8ヶ月齢)の耳介に放ち、人工寄生させる。寄生2日後に定着したダニを計数した後、頸背部に製剤化した本発明化合物を10mg/kgの用量でスポットオンする。薬剤投与後5日目まで観察を行い、寄生数、落下数及び落下したフタトゲチマダニの生死を観察する。尚、イヌはケージに入れて個別に飼育し、水道水を自由に摂取させ、イヌ用飼料の所定量を1日1回与える。その結果、本発明化合物は、寄生させたフタトゲチマダニを落下又は致死させる。
【0101】
試験例4 ネコノミに対するイヌを用いた薬効試験
羽化後3日以内のネコノミ未吸血成虫100頭をイヌ(ビーグル、8ヶ月齢)の背部被毛上に放ち人工寄生させ、頸背部に製剤化した本発明化合物を10mg/kgの用量でスポットオンする。薬剤投与後3日目にノミ取り櫛を用いてネコノミを回収し、その定着数を調べる。尚、イヌはケージに入れて個別に飼育し、水道水を自由に摂取させ、イヌ用飼料の所定量を1日1回与える。その結果、本発明化合物は、ネコノミの定着を抑制する。
【0102】
次に製剤例を記載する。
製剤例1
(1)本発明化合物 20重量部
(2)クレー 72重量部
(3)リグニンスルホン酸ソーダ 8重量部
以上のものを均一に混合して水和剤とする。
製剤例2
(1)本発明化合物 5重量部
(2)タルク 95重量部
以上のものを均一に混合して粉剤とする。
製剤例3
(1)本発明化合物 20重量部
(2)N,N′−ジメチルアセトアミド 20重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 10重量部
(4)キシレン 50重量部
以上のものを均一に混合、溶解して乳剤とする。
【0103】
製剤例4
(1)クレー 68重量部
(2)リグニンスルホン酸ソーダ 2重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート 5重量部
(4)微粉シリカ 25重量部
以上の各成分の混合物と、本発明化合物とを4:1の重量割合で混合し、水和剤とする。
製剤例5
(1)本発明化合物 50重量部
(2)オキシレーテッドポリアルキルフェニルフォスフェート−トリエタノールアミン 2重量部
(3)シリコーン 0.2重量部
(4)水 47.8重量部
以上のものを均一に混合、粉砕した原液に更に
(5)ポリカルボン酸ナトリウム 5重量部
(6)無水硫酸ナトリウム 42.8重量部
を加え均一に混合、造粒、乾燥して顆粒水和剤とする。
製剤例6
(1)本発明化合物 5重量部
(2)ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 1重量部
(3)ポリオキシエチレンの燐酸エステル 0.1重量部
(4)粒状炭酸カルシウム 93.9重量部
(1)〜(3)を予め均一に混合し、適量のアセトンで希釈した後、(4)に吹付け、アセトンを除去して粒剤とする。
【0104】
製剤例7
(1)本発明化合物 2.5重量部
(2)N−メチル−2−ピロリドン 2.5重量部
(3)大豆油 95.0重量部
以上のものを均一に混合、溶解して微量散布剤(ultra low volume formulation)とする。
製剤例8
(1)本発明化合物 40重量部
(2)オキシレーテッドポリアルキルフェニルフォスフェート−トリエタノールアミン 2重量部
(3)シリコーン 0.2重量部
(4)ザンサンガム 0.1重量部
(5)エチレングリコール 5重量部
(6)水 52.7重量部
以上のものを均一に混合、粉砕して水性懸濁剤とする。
製剤例9
(1)本発明化合物 10重量部
(2)ジエチレングリコールモノエチルエーテル 90重量部
以上の成分を均一に混合し、溶状剤とする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、X及びXは各々水素原子、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシ又はシアノであり;Yはアルキルであり;nは1〜10であり;G及びGは各々水素原子、Q、−C(=B)Q、−C(=B)DQ、−C(=B)N(L)Q、−SQ、−SOQ、−SN(L)Q、−SN(L)C(=B)DQ又は−SON(L)Qであり;Lは水素原子、アルキル、ハロアルキル、フェニルアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、フェニルアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル又はフェニルアルキニルであり;A、B及びDは各々酸素原子又は硫黄原子であり;Qは置換されてもよいアルキル、置換されてもよいシクロアルキル、置換されてもよいアルケニル、置換されてもよいアルキニル、置換されてもよい環式炭化水素基又は酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基は置換されていてもよい)である〕で表されるジフルオロアルカンアミド系化合物又はその塩。
【請求項2】
式(I):
【化2】

〔式中、X及びXは各々水素原子、ハロゲン、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシ又はシアノであり;Yはアルキルであり;nは1〜10であり;G及びGは各々水素原子、Q、−C(=B)Q、−C(=B)DQ、−C(=B)N(L)Q、−SQ、−SOQ、−SN(L)Q、−SN(L)C(=B)DQ又は−SON(L)Qであり;Lは水素原子、アルキル、ハロアルキル、フェニルアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、フェニルアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル又はフェニルアルキニルであり;A、B及びDは各々酸素原子又は硫黄原子であり;Qは置換されてもよいアルキル、置換されてもよいシクロアルキル、置換されてもよいアルケニル、置換されてもよいアルキニル、置換されてもよい環式炭化水素基又は酸素原子、硫黄原子及び窒素原子より選択される任意のヘテロ原子を含有する5〜12員のヘテロ環基(ヘテロ環基は置換されていてもよい)である〕で表されるジフルオロアルカンアミド系化合物又はその塩の製造方法であって、
(1)式(II):
【化3】


(式中、X、X、Y、n及びAは前述の通りである)で表される化合物と、式(III):
【化4】


(式中、G及びGは前述の通りである)で表される化合物又はその塩とを反応させるか、或は(2)式(IV):
【化5】

(式中、X、X、Y、n及びAは前述の通りであり、Tは酸素原子又は硫黄原子である)で表される化合物と、式(III):
【化6】

(式中、G及びGは前述の通りである)で表される化合物又はその塩とを反応させるか、或は(3)式(V):
【化7】

(式中、X、X、Y、n、A及びTは前述の通りであり、ZはC1−4のアルキルである)で表される化合物と、式(III):
【化8】

(式中、G及びGは前述の通りである)で表される化合物又はその塩とを反応させるか、或は(4)式(I-1):
【化9】

(式中、X、X、Y、n、A及びGは前述の通りである)で表される化合物と式(VI):
【化10】

(式中、G2aはQ、−C(=B)Q、−C(=B)DQ、−C(=B)N(L)Q、−SQ、−SOQ、−SN(L)Q、−SN(L)C(=B)DQ又は−SON(L)Qであり、Xはハロゲンであり、Q、B、D及びLは前述の通りである)で表される化合物とを反応させるか、或は(5)式(I-1):
【化11】

(式中、X、X、Y、n、A及びGは前述の通りである)で表される化合物と式(VII):
【化12】

(式中、G2bはアルキルであり、Uはアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、フェニル、ハロゲンで置換されたフェニル又はアルキルで置換されたフェニルである)で表される化合物とを反応させるか、或は(6)式(I-2):
【化13】

(式中、X、X、Y、n、G及びGは前述の通りである)で表される化合物とチオン化剤とを反応させるか、或は(7)式(VIII):
【化14】

(式中、Y、n、A、G及びGは前述の通りである)で表される化合物と式(IX):
【化15】

(式中、X及びXは前述の通りである)で表される化合物とを反応させるか、或は(8)式(VIII):
【化16】

(式中、Y、n、A、G及びGは前述の通りである)で表される化合物、式(X):
【化17】

(式中、Xは前述の通りである)で表される化合物及び式(XI):
【化18】

(式中、Rはアルキルである)で表される化合物とを反応させることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1のジフルオロアルカンアミド系化合物又はその塩を有効成分として含有する有害生物防除剤。
【請求項4】
請求項1のジフルオロアルカンアミド系化合物又はその塩を有効成分として含有する農園芸用有害生物防除剤。
【請求項5】
請求項1のジフルオロアルカンアミド系化合物又はその塩を有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤又は殺線虫剤。
【請求項6】
請求項1のジフルオロアルカンアミド系化合物又はその塩の有効量を施用して、有害生物を防除する方法。

【公開番号】特開2007−51105(P2007−51105A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238336(P2005−238336)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】