説明

ジャマー拒否に関するシステム、方法、および装置

【課題】ジャマー拒否に関するシステム、方法、および装置
【解決手段】実施形態による方法は、幾つかの周波数推定の各々に関するピークのリストを得る。各ピークは、エネルギー結果を有し、符号位相推定に対応する。実施形態は、2次元探索空間における信号(例えばGPS信号)の所在位置を識別する際に用いることができる方法及び装置を含む。所在位置情報は、信号取得、信号追跡、受信機の位置探索、等の動作、及び1つ以上のその他のプロセスの同期化等のタイミング動作にさらに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、米国仮特許出願番号69/632,510(出願日:2004年12月1日)の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の分野
本発明は、無線信号の受信に関するものである。
【背景技術】
【0003】
背景
電波測位および時間転送に関するシステムの一例は、"Global Positioning Service Signal Specification"(全地球測位サービス信号仕様)(2nd ed., 1995, USCG Navigation Center, Alexandria, VA)において説明されるNAVSTAR全地球測位システム(GPS)である。その他の例は、ロシア共和国によって維持されるGLONASS GPSと、欧州において提案されているGALILEOシステムと、を含む。電波測位システムに関する典型的用途は、空中航行および海洋航行を含むが、前記システムに関するその他の用途もますます一般的になってきている。携帯電話ネットワーク等の地上型システムも電波測位および時間転送に関して用いることができる。電波測位技術に関する地上での用途例は、資産の追跡(例えば、トラックおよび鉄道車両の追跡)と、時間転送(例えば、携帯電話ネットワークの固定装置と移動装置の間における時間転送)と、(例えば「拡張された911」イニシアチブの一環として)緊急サービスに関して携帯電話ユーザーの所在位置を突き止めることと、高速道路ナビゲーションの援助と、を含む。
【0004】
NAVSTAR GPSは、1.57542−GHz搬送波(L1周波数とも呼ばれる)でナビゲーションメッセージを送信する一組の衛星又は「宇宙ビークル」(SV)を含む。前記ナビゲーションメッセージは、BPSK(2位相偏移)変調されて前記搬送波に含められた直接シーケンス拡散スペクトル(DSSS)信号を介して毎秒50ビットのデータ速度で送信される。前記信号を拡散するために、各SVは、「粗取得」又はC/A符号とも呼ばれる一組の疑似ランダム雑音(PRN又はPN)符号のうちの異なる1つを用いる。各C/A符号は、1.023MHzのチップ速度と1023チップの長さを有しており、このため、前記符号は、1ミリ秒ごとに繰り返す。C/A符号は、自己相関性質を有することを理由に選択されるゴールド符号である。図1は、GPS PRN 1の自己相関関数の一部分を示し、前記部分は、+1乃至+511及び−1乃至−511の全符号オフセットに関して0.1未満の大きさを有する。
【0005】
NAVSTAR GPS SVは、変調されて1.22760GHzの搬送波(L2周波数とも呼ばれる)に含められた10.23MHz P(Y)符号を介してメッセージを送信することもできる。GPS SVは、その他の幾つかの搬送波及び/又は符号を介して同様の方法でメッセージを送信することも可能である。GSP信号の1つの共通の用途は、地上の受信機による位置探索動作をサポートすることである。典型的には、3つの次元における位置を分解するために少なくとも4つのSVからの信号が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地上のユーザーによって受信時の状態のGPS信号は、極端に弱い。例えば、地球の表面におけるGPS信号の受信電力は、−130dBmである。対照的に、熱雑音レベルは−111dB、すなわち約20dB高い。建物内の受信機は、コンクリート又はその他の建設材料からの追加の20dBの信号減衰を被ることが予想され、このため、屋内で受信されたGPS信号は、前記熱雑音レベルを約40dB下回る可能性がある。これらの状況においては、前記熱雑音レベルをはるかに下回る干渉信号は、C/A符号が強力な自己相関性質を有するにもかかわらずGPS受信機が有効信号を受信するのを妨げる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態による信号処理方法は、受信された符号を基準符号と相関させることに基づいて複数の結果を得ることを含む。前記結果の各々は、複数の符号位相推定のうちの1つ及び複数の周波数推定のうちの1つに対応する。前記複数の周波数推定の各々に関して、前記方法は、前記各々の周波数推定に関する前記結果の中から複数のピークを選択することを含む。前記複数の周波数推定の各々に関して、前記方法は、前記選択された複数のピークのリストを格納することを含む。さらなる実施形態は、前記対応するリストに基づいて周波数推定を拒否することを含む。一例においては、前記受信された符号は、GPS SBから受信された信号から得られる。
【0008】
他の実施形態による装置は、受信された符号を基準符号と相関させることに基づいて複数の結果を得るように構成された第1の論理素子アレイを含む。各結果は、複数の符号位相推定のうちの1つ及び複数の周波数推定のうちの1つに対応する。前記装置は、前記複数の周波数推定のうちの各々に関して、前記周波数推定に関する結果から複数のピークを選択するように及び前記選択された複数のピークのソートされたリストを格納するように構成される第2の論理素子アレイも含む。
【0009】
本文において別の記載がない限り、類似の参照数字は、全体にわたって類似の構造を指す。
【発明を実施するための最良の実施形態】
【0010】
本明細書において用いられる「得る」という表現は、(計算すること、導き出すこと、及び/又は(例えば、メモリ又はその他の記憶装置又は他のデバイスから)取り出すこと等の普通の意味を含む。
【0011】
実施形態は、2次元探索空間における信号の所在位置を識別する際に用いることができる方法及び装置を含む。前記用途は、受信された信号の符号位相及び周波数を識別することを含むことができる。識別された情報は、前記信号の取得及び/又は追跡等の動作にさらに適用することができる。符号位相情報は、1つ以上のその他のプロセッサの同期化等のタイミング動作において用いることもできる。
【0012】
実施形態による受信デバイスは、NAVSTAR GPS等の測位衛星システムの1つ以上の測位衛星から信号を受信するように構成することができる。さらに加えて又は代替で、実施形態による受信デバイスは、無線通信ネットワークにおいて情報(例えば、音声及び/又はデータ)を受信及び/又は送信するように構成することができる。前記デバイスは、符号分割多重接続(CDMA)システムにおける1つ以上のチャネルを介して情報を受信及び/又は送信するように構成することができる。例えば、実施形態による受信デバイスは、TIA、EIA、3GPP、3GPP2、CWTS(中国)、ARIB(日本)、TTC(日本)、TTA(韓国)、ITU、及び/又はETSI(欧州)によって発行されている次の基準又はフォーマット、すなわち、CDMA、TD−SCDMA、W−CDMA(例えば、3G TS 25.211/2/3/4)、UMTS、IS−95−A/B/C(cdmaOne)、IS−98、IS−835−A(cdma2000)、IS−856(cdma2000HDR)、IS−2000シリーズ(cdma2000)のIS−2000.1−A及びその他の文書、IS−707−A(データサービス)、cdma2000 1xEV、cdma2000 1x EV−DO、cdma2000 1x EV−DV(1x−EVフェーズ2とも呼ばれる)、cdma2000 3x、3GPP2 cdma2000(例えば、TR−45.5、C.S0005−A、C.S0024)、及びIMT−2000のうちの1つ以上の少なくとも一部分に従った加入者装置、アクセス端末(AT)、基地トランシーバ局(BTS)、及び/又はユーザー装置(UE)の一部の又はすべての機能を果たすことができる。前記受信機又はトランシーバは、800MHz、1800MHz、及び/又は1900MHz、等の帯域又はこれらの周波数付近の帯域で通信するように構成することができる。前記受信機又はトランシーバは、例えば、M−ary形の位相偏移変調(PSK)、例えば、2相PSK(BPSK)、4相PSK(QPSK)、オフセットQPSK(OQPSK)、4相振幅変調(QAM)、オフセットQAM(OQAM)、最低偏移(MSK)、又はガウスMSK(GMSK)、を介して通信するように構成することができる。
【0013】
電波測位及び/又は時間転送に関する方法は、GPS又はCDMA信号等の予め決められた符号(すなわち、1つのシーケンスのシンボル)を有する信号を受信することを含む。前記予め決められた符号は、GPS C/A符号等の繰り返し符号であることができる。代替として、前記予め決められた符号は、繰り返さない符号又は非常に長い期間を有する符号、例えばGPS P(Y)符号、であることができる。多くの用途においては、原符号は、(GPS C/A符号におけるように)+1及び−1等の2進シンボルのシーケンスになる。しかしながら、受信時の状態の前記符号は、シンボル値のうちの一方の値から他方の値までの範囲の値を含むことができる。例えば、受信された符号は、各成分が一方のシンボル値から他方のシンボル値までの(例えば、約+1から−1までの)範囲の値を有する複素値を有することができる。少なくとも幾つかの実施形態は、原符号が2進シーケンスでない状況に対しても応用することができる。
【0014】
受信時の状態の予め決められた符号を前記符号の基準コピーと相関させることが適切に定義されたピークを発生させることを予想できるようにするために、前記符号が疑似雑音(PN)シーケンスであるか又は(例えば図1に示されるような)雑音に似た自己相関性質を有することが望ましい。前記受信信号は、データ変調することも可能である。例えば、前記受信信号は、前記予め決められた符号を用いてデータストリームの帯域幅を拡散させ、次に前記拡散されたデータストリームを用いて(例えばPSK変調を通じて)搬送波を変調する拡散スペクトル信号であることができる。
【0015】
本明細書における説明は、主に、GPS L1搬送波におけるC/A符号への適用例が対象であり、実施形態は、前記符号を受信及び処理するシステム、方法、及び装置を含む。しかしながら、実施形態は、その他の符号で動作するシステム、方法、及び装置、及びこれらの符号及びその他の符号(例えば、GPS P(Y)符号及び/又はCDMA PN符号)で動作するシステム、方法、及び装置も含む。以上のように、実施形態の範囲は、この特定の用途又はこれらの特定の予め決められた符号に限定されない。実施形態を個別に適合化させることができるその他の信号は、GPS L1 M、L1 P/Y、L2 Civil、L2 P/Y、L2 M、及び/又はL5 Civilを含む。本明細書において説明される原理は、データ信号及びパイロット信号(例えば、GPS L5、ガリレオE5a及び/又はE5b)を含む送信の受信に対しても適用することができる。
【0016】
図2Aは、受信時の状態の予め決められた符号S1(時間インデックス0において開始)と前記符号の基準コピーSR(以下「基準コピー」とする)との間の比較例を示す。この例においては、埋められている四角は、一方の2進シンボル(例えば、+1)を示し、あいている四角は、他方の2進シンボル(例えば、−1)を示す。図2Aの例においては、2つの符号が整合されていないことがわかる。
【0017】
図2Bにおいて、基準符号SRは、時間インデックス0に関して8つのチップのオフセットにシフトされる。基準符号がこの位置にある状態においては、2つの符号が整合されている。受信時の状態の符号と基準符号との間のオフセットは、これらの2つの符号が整合されている位置に基準符号があるときには、信号の符号位相と呼ばれる。従って、受信された符号S1は、8チップの符号位相を有する。
【0018】
図2Cは、6チップの符号位相を有する基準符号と他の受信符号S2との間の整合例を示す。この例においては、符号S2を搬送する受信信号は、データ変調もされており、このため、符号期間における受信符号S2のシンボルは、基準符号のシンボルと比較して反転される。
【0019】
前記符号位相は、受信信号の遅延を示す指標として用いることができ、前記遅延は、送信機と受信機との間の距離の尺度として用いることができる。さらに加えて又は代替で、前記符号位相は、1つ以上のその他の信号の受信及び/又は送信に関連する動作を同期化する際に用いることができる。例えば、前記符号位相から導き出されたタイミング情報は、受信機をスロット付アクセスチャネルと同期化させるために用いることができる。スロット付アクセスチャネルの例は、(例えばダウンリンク又は逆方向リンクにおいて)受信符号の送信機によって送信することができるアクセスチャネルと、(例えばアップリンク又は順方向リンクにおいて)前記所在位置の受信機によってモニタリングすることができるページングチャネルと、を含む。
【0020】
受信符号シーケンスと基準符号との相関は、時間領域内において、基準符号の長さの一部分にわたって受信符号と基準符号の積を積分することによって行うことができる。
【数1】

【0021】
ここで、xは、受信符号、rは、長さNの基準符号、y(t)は、オフセットtにおける相関結果である。典型的には、受信符号は、複素ベースバンド信号になり、このため、前記相関は、受信符号のI成分及びQ成分の各々に関して行われる。
【0022】
代替として、所定のオフセットに関する受信信号と基準符号の相関結果は、例えば複素基準符号r + jrのマッチングされたフィルタ(すなわち、基準符号の時間反転複素共役であるインパルス応答を有するフィルタ)を信号に畳み込むことによって得ることができる。
【数2】

【0023】
ここで、r* = r − jrは、複素基準符号の複素共役である。
【0024】
GPS C/A符号に関して、1つのオフセット範囲における式(1)及び(2)の結果は、sinc関数の形を有することになる。いずれかの式(及び/又は、これらの2つの符号の相関度を表す他の式)を用いて得られた相関結果は、対応するオフセットに関するエネルギー結果として用いることができる一方で、典型的には、前記エネルギー結果は、I成分及びQ成分に関する前記相関結果の二乗の和として計算される。1つのオフセット範囲における前記計算の結果は、(sinc)関数の形を有することになり、そのピークは、sinc関数のピークよりも鋭角で、従ってより局在化している。
【0025】
エネルギー計算演算は、典型的にはサンプリングされた受信信号に対して行われるため、式(1)及び(2)において示される演算及びオフセットtにおけるエネルギー計算演算は、次式のように個別の時間で各々表すことができる。
【数3】

【0026】
ここで、xは、受信符号の同相成分、xは、受信符号の4相成分、e(t)は、オフセットtにおけるエネルギー結果である。
【0027】
特定の設計に依存して、エネルギー結果は、固定小数点値又は浮動小数点値になり、例えば前記エネルギー結果がピーク間の相対差を決定するためだけに用いられる場合は任意の単位にすることができる。エネルギー結果が(例えばその他のシステムパラメータと比較して)1つ以上のその他のタスクに関して用いられる場合は、測定スケールは、前記タスクに合わせて適宜選択することができる。
【0028】
図3は、エネルギー結果を得るために用いることができる相関器100の一例のブロック図を示す。乗算器10は、複素受信符号S10に基準符号を乗じ、累積器20は、基準符号の長さにわたる積を累積する。非線形検出器30は、二乗器として実装することができ、各成分に関する二乗和を得て、累積器40は、前記二乗和を加算してエネルギー結果を得る。基準符号生成器110は、線形フィードバックシフトレジスタ(LFSR)等のシフトレジスタとして実装することができ、受信符号又はその何らかの導出物のチップ速度に従ってクロックされる。代替として、基準符号は、該当する速度で記憶装置から読み取るか又は外部のデバイス又は回路から受信することができる。
【0029】
図3の例は直列相関器を示すが、相関器100は、並列相関(符号の2つ以上のビットを同時に乗算)又は直列演算と並列演算の組合せを行うために実装することも可能である。GPS受信機は、2つ以上の符号位相推定に関する結果を一度に得るために、相関器100の複数のインスタンスを含め、各々のインスタンスが異なる対応する遅延を有する基準符号のコピーを受信するようにすることができる。相関器100の複数のインスタンスは、一度に2つ以上の基準符号に関して探索するために用いることもできる。一組の推定に関するエネルギー結果を得るために相関器を制御するように構成された1つ以上の相関器及び論理(例えばプロセッサ)を含むモジュールは、探索器又は探索手段と呼ぶことができる。
【0030】
図2A乃至2Cにおいて理想化されている例とは対照的に、受信時の状態の符号のシンボルは多少不明瞭な場合がある。しかしながら、相関及び/又はエネルギー計算の複雑さは、基準符号の性質及び特定の用途の判定基準に従って多少軽減することができる。例えば、GPS C/A符号の用途においては、受信シンボルに基準符号シンボルを乗じた結果は、前記受信シンボル又はその反転シンボルのいずれかである。関連する信号−雑音比損が受入可能である場合は、前記受信シンボルは+1又は−1として分類することさえでき、このため、前記乗算はXOR演算に軽減することができる。幾つかの実施形態は、これらの及び同様の最適化を採用するシステム、方法、及び装置を含む。
【0031】
上述されるエネルギー結果の計算は、対象となる各オフセット(又は「符号位相推定」)に関して繰り返すことができる。GPS C/A符号位相円においては、1023の可能な推定(1/2チップの分解能においては2046の推定)が存在する。しかしながら、多くの場合には、探索すべき推定数は、以前の探索によって及び/又は外部源(位置決定エンティティ、すなわちPDE)から得られた受信符号の符号位相位置に関する知識を利用することによって大幅に減少させることができる。前記実装においては、探索は、例えば256チップ又は32チップ以下の幅に軽減することができる。
【0032】
代替として、様々な符号位相推定に関する相関及び/又はエネルギー結果は、周波数領域内での演算を介して得ることができる。符号位相円全体は、選択された分解能において、例えば、(例えば高速フーリエ変換(FFT)等の離散フーリエ変換(DFT)演算を用いて)受信符号を変換して周波数領域内に入れ、前記変換された信号に基準符号のマッチングされたフィルタを乗じ、さらに逆変換を用いて時間領域内の対応する結果を得ることによって効率的に探索することができる。周波数領域内のより狭い範囲まで探索するために幾つかの周波数領域相関手法を用いることも可能である。例えば、米国公開特許公報No.2004/0141574(アコピアン、2004年7月22日公開)は、限定された範囲の符号位相における周波数領域探索方法について説明することを主意としている。
【0033】
時間領域内での計算に関しては、時間領域実装において、一度に2つ以上の基準符号の探索をサポートするために、該当する相関器の複数のインスタンス(例えば、FFT、IFFT、及び関連する演算を行うようにプログラミングされた又はその他の形で構成された一組の論理素子、例えば、トランジスタ及び/又はゲート)を含むことを望むことができる。さらに、基準符号の変換を事前に行ってその結果をメモリ(例えば揮発性メモリ)に格納するのが望ましいこともある。
【0034】
符号位相次元における受信符号の位置を突き止めることに加えて、受信するデバイスが周波数空間内における信号の位置を決定することが望ましいこともある。受信機と送信源の間の相対的動き(及び/又は移動する反射体に起因するようなこれらの2つの間の見かけ上の動き)は、(vf/c) cosφとしてヘルツ単位で表すことができるドップラー周波数誤差を引き起こす。ここで、vは受信機及び送信源の見かけの相対速度、fは単位がヘルツの搬送周波数、cは光速、φは受信機の走行方向と受信機から送信源までの方向の間の角度である。受信機が直接送信源方向に走行している場合は、φ=0であり、受信機が送信源から直接的に離れて行っている場合は、φ=πラジアンである。
【0035】
典型的な地上のGPSユーザーに関しては、互いに関するSVとユーザーの結合された動きに起因するドップラーシフトは、約+/−2.7 ppmになる。受信機における1つ以上の発振器の周波数誤差がさらに2ppmを加え、合計4.7ppmの周波数不確実性になる可能性がある(代替として、ローカルな発振器誤差は、例えばPLL又はその他の補正ループを用いて少なくと多少は補正することができる)。この4.7ppmは、1.57542GHzのL1搬送周波数で約+/−7.5kHzに相当する。前記範囲外の周波数成分を除去するためにフィルタを用いることができる。
【0036】
従って、受信するデバイスは、符号空間内において信号を探索することに加えて、周波数空間においても信号を探索することができる。時間領域内及び/又は周波数領域内での演算を用いて2つの次元における探索結果を得るために多くの技術及び対応する相関器及び探索器の構造を用いることができる。一例においては、相関は、特定の符号位相推定に関して時間領域内で行われ、(例えばDFT又はFFTを用いて)その結果が周波数領域に変換され、前記符号位相推定に関して希望される周波数推定範囲が探索される。前記動作は、符号位相推定の希望される範囲全体にわたって繰り返すことができる。
【0037】
非常に低いレベルを有する受信信号(例えばGPS信号)に関しては、コヒーレント積分を用いて特定の格子点におけるエネルギーを累積するのが望ましい場合がある。時間領域においては、コヒーレント積分は、受信符号の2つ以上の連続する符号期間にわたる相関結果又はエネルギー結果を合計することによって行うことができ、周波数領域においては、コヒーレント積分は、経時での周波数成分の各々を合計することによって行うことができる。
【0038】
GPS C/A信号は、50ビット/秒の速度でデータによって変調されるため、前記信号のコヒーレント積分は、典型的には20ミリ秒に制限される。前記データが経験的に既知である場合は、前記信号から除去することができ(データワイプオフ又は変調ワイプオフと呼ばれるプロセス)、コヒーレント積分期間を40ミリ秒さらには160ミリ秒以上にまで拡大することができる。最大で88倍以上までの非連続的な符号期間、又はコヒーレント積分期間、からの結果を結合させるために非コヒーレント積分を利用することも可能である。インテグレーションされたGPS受信デバイスを有する通信デバイスにおいては、積分時間は、通信チャネルの要求に関連する最大チューンアウイ時間によって制限することができる。
【0039】
GPS C/A信号で送信されたデータは、ほとんどが冗長であり、変調ワイプオフをサポートするためのデータをPDE等の外部装置によって提供することができる。PDEは、いずれのSVが現在可視であるか、その近似符号位相及びドップラー等の関連情報を提供することができる。さらに、PDEは、GPS受信デバイスに探索の開始を要求するように構成することも可能である。GPS受信デバイスとPDEの間の通信は、セルラー通信ネットワークを通じて(例えば、GPS受信機がインテグレーションされている携帯電話トランシーバを通じて)起こることができる。
【0040】
符号推定及び/又は周波数推定の間隔及び範囲は、希望されるSV信号の強度、干渉信号強度、符号位相及び周波数の不確実性範囲、希望される精度、希望される検出確率、及び希望されるフィックス時間、等の要因に基づいて変化させることができる。典型的符号位相間隔は、1チップ、1/2チップ、及び1/4チップを含む。典型的周波数帯域は、±31.25Hz、62.5Hz、125Hz、及び250Hzを含み、前記帯域は、例えば20の周波数ビンに分割される。積分期間が長すぎる場合は、2つ以上の符号位相及び/又は周波数ビン間にわたる受信エネルギーのスミアリングが発生する可能性がある。周波数領域内の間隔が狭すぎる場合は、2つ以上の周波数ビン間にわたる受信エネルギーのスミアリングが発生する可能性がある。
【0041】
受信デバイス(又は前記デバイス内の探索器)は、周波数間隔及び積分長などの特性によって区別される幾つかの異なる探索モードのうちの選択可能な1つに従って探索を行うように構成することができる。例えば、探索動作は、低分解能での広範な探索と、より高い分解能での後続する1つ以上の探索と、を含むことができる。探索は、最初の符号取得に関して行い、後続する追跡はタイミングループを用いて行うようにすることができる。他の用途においては、符号の取得で十分なことがある。前記受信デバイス内又は前記デバイスと通信中の他の装置(PDE等)内のいずれであるかにかかわらず、受信符号の符号位相は、受信符号の到着時間(又は「疑似距離」)の測定値を導き出すために用いることができ、幾つかのSVからの疑似距離を結合させて空間内の位置を得ることができる。
【0042】
受信信号は、2つ以上の符号を搬送することができる。例えば、地球の表面上のいずれかの所在位置において、最大で12の異なるGPS SVを見ることが可能であり、このため、受信時の状態のGPS信号は、2つ以上のSVによって送信された符号を含むことができる。GPS受信デバイスは、典型的には、4つ、8つ、又はそれ以上のSVを一度に探索する。前記探索は、受信信号の同じ部分で行うことができ、連続的に及び/又は並行して行うことができる。
【0043】
図4は、周波数次元内の20の推定及び符号位相次元内の32の推定にわたって延びる探索ウィンドー例を示す。前記探索ウィンドーの各次元の推定の特定の所在位置及び/又は間隔の選択は、外部から及び/又は1つ以上の以前の探索から得られた情報によって導くことができる。例えば、希望される信号が所定の符号位相から一定のチップ数内に存在すること、及び/又は前記信号が所定の周波数の周囲の一定の帯域幅内において発見できることを知ること又は推定することが可能であり、このため、前記探索ウィンドーは適宜定義することができる。2つ以上の符号に関して探索が行われる場合は、対応する探索ウィンドーは、同じ次元を有する必要がない。
【0044】
各々がDの周波数推定のうちの1つ及びCの符号推定のうちの1つに対応するD×Cのエネルギー結果の格子を得るために(例えばDの周波数推定×Cの符号推定の探索ウィンドーに従って)探索を行うことができる。本明細書では、特定の周波数推定に関する符号位相推定に対応するエネルギー結果の組を「ドップラービン」と呼ぶ。
【0045】
図5は、各々のドップラービンが64の符号推定を有する20のドップラービンから成るエネルギー格子内におけるピーク例を示す。この例においては、隣接する符号位相推定は1/2チップ離れており、このため、前記格子は、符号空間内において32チップにわたっている。この図におけるエネルギーピークは、ドップラービン10内の符号位相推定16において選択されたSV信号が存在することを示す。GPS受信デバイス(又は前記デバイス内の探索器)は、受信信号の同じ部分からの幾つかの異なる対応するSVに関するエネルギー格子であって異なる次元を有することが可能なエネルギー格子、を生成することができる。
【0046】
受信信号は、同じ送信信号のうちで異なる経路を伝搬して異なる時間に受信機に到着する型の送信信号を含むことができる。前記受信信号を対応する基準符号と相関させることは、各々のピークが送信信号の異なるインスタンス(マスチパスとも呼ばれる)に起因する幾つかのピークが異なる格子点において発生する可能性がある。これらのマルチパスピークは、通常は、送信機と受信機の間の相対速度が様々なマルチパス間の遅延に関して有意に変化しないかぎり、同じドップラービン内に入る。図6は、送信信号のマルチパスインスタンスに起因する幾つかのピークがすべて同じドップラービン内に所在する例を示す。
【0047】
エネルギー格子は、基準符号と探索中の特定のSVの信号との有効な相関以外の影響に起因するピークを含むこともできる。例えば、他の源からの帯域内信号は、格子内において1つ以上のピークを生み出すための十分なエネルギーを有することもできる。前記信号は、広義でジャマー(jammer)と呼ぶことができる。
【0048】
受信デバイスは、自己ジャミングすることがある。すなわち、ジャミング信号は、内部源から発生する可能性がある。共通の内部ジャマーは、位相固定ループ(PLL)、電圧制御発振器(VCO)、ローカル発振器(LO)又は他の発振器等の内部発振器、又は周波数変換のために及び/又はプロセッサ等のデジタル論理回路のクロッキングのために用いられるクロック回路からのクロックスパー又は漏れを含む。ジャミング信号は、外部源、例えば、近くのGPS受信機からのクロックスパー又は発振器漏れ、から発生することもある。
【0049】
連続波(CW)帯域内ジャミング信号は、相関演算によって符号空間全体にわたって拡散され、このことも前記信号を約30dBc減衰させることになる。図7の例において示されるように、ジャマーは、対応する周波数での符号位相推定の多く又は全部において同様のエネルギーを有する一連のピークを引き起こすことができる。受信されたGPS信号は非常に弱いため、熱雑音レベルをはるかに下回るジャマーでさえも、エネルギー格子内において数多くの相対的に強いピークを発生させ、それによってGPS受信デバイスが既存の有効な相関ピークを見つけ出すのを妨げる上で十分な場合がある。
【0050】
1つの理想的な状況においては、格子内において最高のエネルギーを有するピークは、有効な相関に対応することになり、このため、様々な推定の中で符号の所在位置を突き止めることは、単純に最高のエネルギーを有するピークを見つけ出すだけの問題になる。しかしながら、図6のマルチパス例において実証されるように、格子内における最高ピークが最も正確ではないことがある。従って、受信符号の所在位置を突き止めるために格子値の少なくとも一部の追加処理を行うことが望ましい。
【0051】
一般的にはチップ面積を最小にするのが望ましい。データ記憶素子(メモリセル等)のアレイは、大きなチップ面積を占める傾向があるため、一般的には、その他の動作パラメータに対して不当な影響を及ぼさずにデータ記憶素子数を減らすような形でチップ設計を行うのが望ましい。格子値が格納される記憶素子のアレイが後続する探索(例えば、異なる基準符号を用いた探索、又は受信符号の異なる部分に置いて同じ基準符号を用いる探索)において再利用されるような形で探索器(又はその処理論理)実装することが望まれる場合がある。前記探索器は、最良のピークの探索をサポートするための十分な情報を格子から抽出するように、及び格子のオーバーライトを許容する前にこの情報を格納するか又は(例えば格納及び処理するために)その他の方法で他の装置に提供するように構成することができる。例えば、探索を指示する動作およびピークを報告する動作は、(例えばファームウェア内の)1つ以上の処理装置によって実行することができ、いずれが最良のピークであるかを決定する動作は、格子全体にアクセスできない(例えばソフトウェア内の)他の処理装置によって実行することができる。典型的には、格納された情報は、最大ピークリスト、すなわち格子の最強ピーク(例えば、最高のエネルギーを有する10のピーク)のリストと、これらのピークが対応する符号位相推定と周波数推定と、を含む。
【0052】
いずれかの次元で又は両方の次元において希望される探索空間を幾つかのより小さいウィンドーにセグメンテーションすることによって大規模な探索を行うことができる。例えば、符号空間内において隣接する探索ウィンドーから得られた結果を結合させて符号空間内においてより大きな探索ウィンドーを有効に生成することができる。このような方法で、(各々が例えば64の推定を網羅する)8つの32ビットウィンドーを結合させて約256チップ(例えば、約512の推定)の有効なウィンドーを生成することができる。同様に、周波数空間内において隣接する探索ウィンドーから得られた結果を結合させて周波数空間内においてより大きな探索ウィンドーを有効に生成することができる。
【0053】
特に結果的に得られた格子が互いに独立して処理されることになる場合においては、結合させるウィンドーをオーバーラップさせるのが望ましいことがある。例えば、格子縁部での推定がローカルでの最大値であるかどうか決定できるようにするために少なくとも1つのオーバーラップが望まれる。さらに、より早いマルチパスに起因するピークを識別できるようにするために符号空間内のウィンドーを幾つかのチップだけオーバーラップさせるのが望まれる。
【0054】
一例においては、 格子内の最大ピークは、有効な相関結果の所在位置として選択される。しかしながら、最大ピークと同じドップラービンにおいて、及びその前の8チップ以内において相対的に強力なピークが見つかった場合は、より早いピークは、同じ信号の第1の(すなわち最も直接的な)マルチパスであると想定され、代わりに有効な相関結果として選択される。より早いピークが最大ピークと異なるウィンドーセグメントにおいて発生する場合は、これらの2つのピーク間の関連性は不明である。従って、図8に示されるように個々のウィンドーセグメントを(今回の場合は4チップだけ)オーバーラップさせるのが望ましい。
【0055】
残念なことに、前記オーバーラップは、探索プロセスにオーバーヘッドを追加させる。図8の8つのウィンドーセグメントの各々の幅が64の推定である場合は、実施される総探索数における幅が512である場合でも、結果的に得られる有効探索ウィンドーは幅がわずか484の推定になる。
【0056】
セグメンテーションされた探索ウィンドーと関連するオーバーヘッドを回避するため、代わりに探索ウィンドーの大きさを大きくすることが望ましい。例えば、符号空間及び/又は周波数空間内の次元を(例えば、符号空間内において1/2の推定を64から512にまで)動的に変化させることができる探索ウィンドーを実装するのが望まれる場合がある。
【0057】
図9は、ジャマー隆起のピークがすべて有効なピークよりも高いエネルギー値を有するエネルギー格子を示す。このような場合には、妥当な大きさの最大ピークリストのすべてのエントリがジャマーによって占有されて信号の所在位置の探索を妨げる場合がある。ジャマーによって引き起こされたスプリアスピーク数は、符号位相次元内の探索格子の大きさに応じて増加することが予想されるため、符号位相内に拡大されている探索ウィンドー内のジャマーは、最大ピークリストをオーバーロードする可能性がさらに高くなる。
【0058】
図10は、実施形態による方法M100の流れ図を示す。前記方法は、エネルギー格子内のDのビンの各々に関して実行することができ、又は前記ビンの一部をこの処理動作から除外するのを望むことができる。例えば、外側ドップラービン内のエネルギー結果のうちのいずれかがローカル最大であるかを決定する上での十分な情報を入手できない場合がある。従って、前記方法を(D−2)のその他のビンに関して実行するように決定することができる。その他のビンを除外する理由も存在することができる。例えば、1つ以上のビンが壊れすぎているため信頼できる結果を生み出せないことを以前の探索が示す場合があり、又は、(例えば追加情報に基づいて)周波数空間のより狭い部分に探索を絞るのを望むことができる。従って、方法M100は、エネルギー格子内のdのビンの各々に関して実行することができ、ここで、dは、1よりも大きくD以下である。
【0059】
この説明は、都合上エネルギー値格子概念を対象にしているが、いずれかの1つの時点において前記格子内のすべての値が存在する必要があるわけではないことが理解されるべきである。(例えば、方法M100の実装に従って)一部の値が処理中である一方で、「格子」のその他の値はまだ計算されていない場合があり、他方、既に処理されている「格子」の値は交換されている可能性がある。実際には、ビット内においても、いずれかの1つの時点においてすべての値が存在する必要はなく、方法M100の幾つかの実装によるビンの処理は、すべてのビン値が入手可能になる前に開始することができる。
【0060】
タスクT110は、ビン内のピークを識別する。例えば、タスクT110は、符号空間及び周波数空間におけるローカル最大値であるエネルギー結果をピークとして分類するために実装することができる。各ビンに関する最初の及び/又は最後の符号位相推定における結果がローカル最大値であるかどうかを決定する上での十分な情報を入手できないため、タスクT110は、これらの格子点をスキップすることができる。しかしながら、試験対象となっている結果がローカル最大ピークであるかどうかを決定する際に方法M100から除外された格子点における結果が依然として考慮されるようにタスクT110を実行するのを希望することができる。タスクT110の幾つかの実装においては、計算の複雑さは、(符号位相及び/又は周波数において)いずれかの次元における識別されたローカル最大ピークに隣接する格子点をスキップすることによって低減させることができる。
【0061】
タスクT120は、ビン内のピークの中からPの最大ピークを選択する。Pの値は、希望される最大許容マルチパス数Nに従って選択することができる。Nの値は、発見的に選択することができ、受信信号及び/又は受信環境の特性に従って一組の値の中から選択することができる。分離可能なマルチパスの存在は、ほとんどの場合は超低信号−雑音比において発生することが判明しており、最大数のマルチパスは、アーバンキャニオン環境において発生する。一例においては、Nの値は4に設定される。Pの値は少なくとも(N+1)に設定するのが望ましい。
【0062】
例えば過去の探索結果に基づいて異なるビンから異なる数のピークを選択するのを望むことができる。幾つかの実装においては、パラメータP及び/又はNの値は、ビンによって異なる。例えば、1つ以上のビンを方法M100から除外する好ましい方法は、タスクT120において前記ビンに関してゼロのピークを選択する方法であることができる。タスクT110及びT120は、連続して及び/又は並行して行うことができる。
【0063】
タスクT130は、ビンのPの最大ピークのソートされたリストを戻す。例えば、タスクT130は、各ピークリストをソートし、前記ソートされたピークリストをさらに処理するために他のタスクに転送することができる。一例においては、方法M100は、ファームウェアプログラムに従って第1の論理素子アレイによって実行され、タスクT130は、ソフトウェアプログラムに従ってさらに処理するために第2の論理素子アレイ(例えばマイクロプロセッサ)にソートされたビンリストを渡す。ピークリストは、各ピークが選択されるのに応じてソートすることができるため、ビンピークリストのソートは、タスクT120の完了とともに完遂させることができる。
【0064】
図11は、方法M100の実装によって生成することができる一組のdのピークリストを示す。各リストは、ビン0乃至(d−1)のうちの1つに対応し、各リストのエントリは、エネルギー結果を示し、対応する符号位相推定と関連する。各リストは、エネルギー別に大きさの降順でソートされる。
【0065】
図12は、方法M100の実装M110の流れ図を示す。タスクT210は、一組のエントリn(1)乃至n(P)を初期設定し、各エントリは、符号位相及び対応するエネルギー結果を示すように構成される。タスクT220は、第1のPのピークをn(1)−n(P)に格納し、前記エントリをエネルギー別に大きさの降順でソートする。タスクT230及びT240は、前記方法にビン内の格子点間を進ませるループメンテナンスタスクである。タスクT250は、現在の格子点におけるエネルギー結果がピークであるかどうかを決定する。例えば、タスクT250は、エネルギー結果が符号位相及び周波数における(代替として、一方の又は他方の次元における)ローカル最大であるかどうかを決定することができる。前記結果がピークである場合は、タスクT260は、前記ピークのエネルギー値をn(P)のエネルギー値と比較する。前記ピークのエネルギー値がn(P)よりも大きい場合は、タスクT270は、エントリn(P)を前記ピークと交換し、エントリn(1)乃至n(P)をエネルギー別に大きさの降順で再ソートする。
【0066】
一用途においては、方法M110は、ファームウェア内のルーチンに従ってモジュール(例えば、専用プロセッサ又は埋込型プロセッサ等の論理素子のアレイであることができる探索プロセッサ)によって実行され、その結果得られたリストは、格納されるか又はソフトウェア内のルーチンに従ったさらなる処理のために他のモジュール(例えば、マイクロプロセッサ等の論理素子のアレイ)に提供される。
エネルギー格子は、1つ以上の有効なピークに加えて、1つ以上のジャマー及び/又は相互相関等の干渉信号からのピークを含むことができる。図9の例に示されるように、ジャマーは、有効なピークよりも高いエネルギーを有するピークを、合理的な大きさの最大ピークリストを溢れさせる上で十分な数だけ発生させ、それによって前記有効なピークが見つけ出されるのを妨げる可能性がある。方法M100によって生成された一組のピークビンリストは、2つ以上のドップラービン内のピークに関する情報を提供する。方法M100の少なくとも幾つかの実装は、1つ以上の壊れたビンの拒否及び信号の所在を成功裡に見つけ出すことをサポートするために用いることができる。方法M100の少なくとも幾つかの実装は、(可能なことに動的に)少なくとも符号位相次元内に拡大されている探索ウィンドーとともに有利に適用し、1つ以上のその他のビン内のジャマーに起因する大量のピークに起因して1つのビン内の有効なピークを失う可能性を低下させることができる。
【0067】
図13Aは、方法M100によって生成されたビンリストに関して及び/又はこれらのリスト内のピークに関して実行することができるその他の幾つかのタスク例を示す。ピーク強度試験タスクT500は、リスト内の少なくとも1つのピークのエネルギー値を雑音レベルに関連する最低値と比較する。リストエネルギー分布試験タスクT600は、リスト内におけるピーク間でのエネルギー分布を試験する。ビンエネルギー分布試験タスクT700は、1つ以上のピークのエネルギー値をビンに関する雑音尺度と比較する。
【0068】
実施形態は、方法M100の1つの実施形態を、周波数推定のうちの1つ以上がタスクT500、T600、及びT700のうちの1つ以上のタスクの結果に基づいて拒否されるようにする(例えば、さらなる処理動作中に考慮されないようにする)ことができるビン選択(culling)手順と結合される方法を含む。代替として、タスクT500、T600、及びT700のいずれも、1つのピークの拒否が同じビンからの他のピークが考慮されるのを妨げないようにピークごとに適用することができる。ビンリスト内のピークに関して行うことができるその他の試験は、その他の符号との相互相関に起因する可能性があるピークを拒否する相互相関試験タスクT800と、他のピークのサイドローブである可能性があるピークを拒否するサイドローブ試験タスクT900と、を含む。
【0069】
図13Bは、実施形態による方法M300の流れ図を示す。ビン選択手順は、ピーク強度試験タスクT500及びリストエネルギー分布試験タスクT600のうちの1つ以上を含むことができる。最も可能性が高い有効な最大ピークを存続しているビンの中から選択する最良最大ピーク試験T300は、ビンエネルギー分布試験タスクT700、相互相関試験タスクT800、及び/又はサイドローブ試験タスクT900等のタスクを含む。最良の最大ピークと関連するより直接的なマルチパスの存在を決定する最良の早期ピーク試験T400も、ビンエネルギー分布試験タスクT700、相互相関試験タスクT800、及び/又はサイドローブ試験タスクT900等のタスクを含むことができる。前記方法は、疑似距離を計算するために用いることができる符号位相内のドップラーオフセット及び/又は所在位置を戻す。
【0070】
選択手順は、対応するビンリスト内のピークがノイズフロアと十分に異なっていないということが決定された場合に該当するビンを廃棄するのを含めることができる。ピーク強度試験タスクT500の実装T510は、リストn(1)内の第1の最大ピークのエネルギー値を最小値L1と比較する。値L1は、ノイズフロアに基づくことができる。例えば、L1は、ノイズフロアの値であることができ、又は、L1は、ノイズフロアとしきい値T1の和であることができ、又は、L1は、ノイズフロアの割合(例えば110%として計算される値であることができる。ノイズフロアの値は、測定すること(例えば、個別のレベル検出器を用いて又は受信されたサンプルストリームのデジタル解析によって得ること)又は(例えばジャマーが存在しないと想定する理論に基づいて)予測することができる。ノイズフロア値は、コヒーレント積分時間及び非コヒーレント積分時間のうちの1つ又は両方に依存することもできる。第1のピークのエネルギーがL1よりも小さい場合は、ソートされたリスト内のその他のピークのエネルギーもこの値よりも低くなり、さらなる試験を行わずにビンを捨てることができる。図14Aは、前記試験においてピークのエネルギー値がノイズフロアと比較される合格領域及び不合格領域の例を示す。
【0071】
さらなる選択手順においては、ビンリスト内のピーク間でのエネルギー分布が考慮される。例えば、前記タスクは、対応するビンリストに含まれている有効なピークが多すぎる場合にビンを拒否することができる。ビンリストは順序が付けられているため、(N+1)番目のピークの試験は、前記ビンがNを超える有効ピークを有していない判定基準を満たしているかどうかを確立させる上で十分である。図15は、ビンリスト内の(N+1)番目のピークのエネルギーに関する2部から成る試験を含むリストエネルギー分布試験タスクT600の実装T602の流れ図である。一方の部分においては、タスクT610は、(N+1)番目のピークのエネルギーを、測定又は予測されたノイズフロア値に基づくことができる最低値L2と比較することができる。例えば、L2は、ノイズフロアの値であることができ、又は、L2は、ノイズフロア及びしきい値T2の和であることができ(ここで、T2はT1に等しくすることができる)、又はL2は、ノイズフロアの割合(例えば、110%)として計算される値であることができる。タスクT610は、(N+1)番目のピークのエネルギーが最低値L2を下回る場合に合格を登録する。図14Bは、タスクT610の実装に関する合格及び不合格エネルギー領域の例を示す。
【0072】
ピークエネルギー分布試験タスクT602の他方の部分においては、タスクT620は、ビンリスト内の第1の及び(N+1)番目のピークのエネルギー値間の差をしきい値T3と比較する。ジャマー隆起のピークを互いに分離させるのを回避する上で十分に低いが、関連性のない環境(例えば、自己相関サイドローブ)からのピークが有効であると識別されてビンを捨てさせるのを防止する上で十分に高いT3の値を選択することが望ましい。GPS C/A符号に関する自己相関メインローブとサイドローブの間における最悪時の分離は、21.6 dBであり、一例においては、T3の値は、変動及び誤差に関する余裕を考慮して15dBに設定される。第1のピーク及び(N+1)番目のピークのエネルギー値間の差が15dB未満である場合は、(N+1)番目のピークは自己相関サイドローブに起因しないと想定され、有効なピークが多すぎることを理由にビンが拒否される。
【0073】
(N+1)番目のピークがノイズフロアを下回る場合は、ビンは、雑音レベルよりも上ではN以下のピークしか有していない。(N+1)番目のピークがノイズフロアを上回るが最大ピークよりもしきい値超だけ下回る場合は、自己相関サイドローブに起因し従って無効である可能性があり、このためビンが依然としてNを超える数の有効なピークを有していない。いずれの場合においても、ビン内の有効なピーク数は、ビンがジャマーによって壊されていないという結論をサポートする上で十分に制限されている。しかしながら、ピークが両方の試験に不合格である(すなわち。有効ピークである)場合は、ビンは、入っている有効ピークが多すぎて捨てられる。タスクT610及びT620は、並行して又は順序どおりに行うことができ、さらに、他方の試験が不合格になった時点でいずれかの試験をスキップすることができる。その他の実装においては、タスクT610及びT620のうちの1つ又は両方を代替論理に従って構成することができる。例えば、タスクは、ノイズフロアを上回るピークが試験タスクT610に合格し、しきい値内のピークが試験タスクT620に合格し、両方の試験に合格することは有効なピークであることを示すように構成することができる。
【0074】
タスクT500の実装によるピーク強度試験およびタスクT600の実装によるリストエネルギー分布試験を実行する潜在的な利点は、ビン全体を保持又は除外するかどうかの決定を、方法M100によって生成されたリストのピークのうちの2つだけを検討することに基づいて行うことができる点である。図16は、方法M100及びタスクT500及びT600の実装を含む実施形態による方法M200の流れ図を示す。
【0075】
タスクT600の実装によるリストエネルギー分布試験の他の潜在的利点は、前記試験が、異なる符号との相互相関に起因する強力なピークを有するビンを除外できることである。2つの異なるGPS C/A符号間の相互相関は、ジャマー等の隆起を生成しない一方で、前記相互相関によって引き起こされるピークは、符号空間における周期性に起因する有効信号のピークと区別することができる。この周期性に起因して、前記相互相関に起因する強力なピークは、有効ピーク数に最大許容マルチパス数Nを超えさせる可能性がある。相互相関ビンをジャマーとして除外する機会は、(相互相関関数のより多くの期間を含めるために)探索ウィンドーの大きさが符号位相において大きくなるに応じて大きくなる。さらなる実施形態は、いずれのSVが可能性のある相互相関の周期及び/又はドップラー周波数を識別するために現在可視であるかについての知識を利用することと、前記判定基準に一致するピークが格子内に存在するかどうかを決定することと、前記ピーク又はそのビンを拒否すること、とを含む。
【0076】
本明細書において説明される方法の少なくとも幾つかの実装の潜在的利点は、エネルギー格子の幾つかの又は多くのビンがジャマーによって壊された場合でも、他のビン内の有効なピークを依然として見つけることができる点である。符号空間において非常に大きく、ジャマーが大量のエネルギーピークを引き起こす可能性がある探索ウィンドーに関する場合でも、実施形態による方法は、壊されているビンを考慮対象から除外しその一方でdのビンの他方のビンの各々に関する幾つかのピークを保全することによって有効なピークの後続する識別をサポートすることによって処理サイクルの初期にジャマーピークの拒否をサポートするために用いることができる。図17は、圧倒的に強力なジャマー隆起が存在する場合でも検出することができる初期のマルチパスの一例を示す。
【0077】
強力なジャミング信号は、受信デバイスの動作に対してその他の望ましくない影響を有することがある。受信機は、一般的には、(例えば、信号レベルをADCの動的範囲内に維持するために)受信信号が弱いときに増幅器利得を増大させ、受信信号が強いときに前記利得を低減させる何らかの形態の自動利得制御(AGC)を含む。強力なジャミング信号は、AGCに、有効な信号ピークをノイズフロアより低く押し下げる上で十分に利得を低減させる可能性がある。いくつの場合は、ジャマーは、圧倒的な帯域内エネルギー源であることができる。AGCは、(例えばビン選択中に)前記ジャマーを検出した時点でディスエーブルにするか又はその他の方法で抑止することが可能である一方で、このような方法で信号レベルを上昇させることは、前記信号がクリッピングされるようにする可能性がある。さらなる実施形態においては、ジャマーによって壊された周波数帯域が着信信号から除去される。例えば、1つ以上のバンドストップフィルタは、ジャマーが検出されているRF帯域を減衰するように選択的に構成することができる。前記減衰は、アナログ領域において及び/又はデジタルで信号に関して行うことができる。一実装においては、選択可能な減衰は、さらなる処理のために信号がより低い分解能(例えば4ビット)に変換される前に高ダイナミック範囲デジタル信号(例えば12乃至18ビット)に関して行うことができる。
【0078】
さらなる処理は、方法M100又はM200の実装に引き続いてピークビンリストに関して行うことができる。例えば、米国公開特許公報No.2004/0042568(ローウィッチ、2004年3月4日公開)において説明される手順等の手順を、リスト内又は存続するリスト内のピークに適用することができる。
【0079】
ビンエネルギー分布試験タスクT700は、最良の最大ピークを識別するために一組のビンリストを処理する。図18は、前記ビンリスト間での最良の最大ピークを戻すように構成されるタスクT702の実装に関する流れ図を示す。この実装は、1つ以上の試験を含み、試験に合格するピークが見つかるまで最大ピークリスト全体にわたって繰り返す。本明細書において説明される相互相関試験タスクT800及び/又はサイドローブ試験タスクT900の実装は、タスクT700のその他の実装内にインテグレーションすることができる。
【0080】
ピーク選択タスクT710は、各ビンリストから(又はビンの選択が実施されている場合は各存続しているビンリストから)最高のエネルギーを有するピークを選択することによって、最大ピークリストをビンリストから生成する。タスクT710は、このリスト内のピークをエネルギー値別に(例えば降順で)ソートすることもできる。幾つかの用途においては、タスク710は、ビンのうちの1つ以上から2つ以上のピークを選択してリスティングするために実装することができる。ループ初期設定タスクT720は、リスト内において最高のエネルギーを有するピークを現在のピークとして試験のために選択する。
【0081】
現在のピークがノイズフロア値を上回る場合においても、対応するビンは、雑音によって壊されていて前記ピークは信頼できないことがある。現在のピークに関して、雑音推定タスクT730は、対応するビンに関する平均雑音エネルギーの尺度を得る。この雑音エネルギー尺度は、平均測定雑音推定値と呼ぶことができ、ビンの非ピークサンプルの平均エネルギーとして計算することができる。
【0082】
一実装においては、タスクT730は、ビンに関するエネルギー合計を計算することと、ピークに起因するエネルギーを減じることと、その結果得られた合計を、ビン内の値数から前記減じられた値数を引いた数で割ること、とを含む。減じられるピークは、ビンリスト内に現れるピークのみを含むことができ、又は何らかのしきい値を上回るエネルギー値を有するその他のローカル最大値を含むこともできる。一例においては、減じられるピークは、ノイズフロアを上回っていてさらにビン内の最大ピークから15dB以内にあるローカル最大ピークを含む。ピークに起因するエネルギーを減じることは、各ピークに関して3つの値がビンから減じられるようにビン内においてピークに隣接する格子点のエネルギー値を減じすることを含むこともできる。幾つかの実装においては、平均雑音エネルギー尺度は、探索器によって計算されて対応するビンリストとともに提供される。
【0083】
ジャマーに起因するピークに関するエネルギー値と対応するドップラービンに関する雑音推定値の比は、典型的には、有効なピークに関するエネルギー値と対応するドップラービンに関する雑音推定値の比よりもはるかに小さい。比試験タスクT740は、現在のピークに関するエネルギー値をビンに関する平均雑音エネルギーと比較する。これらの値間の比がしきい値T4よりも小さいか(又は等しい)場合は、現在のピークは拒否される。ビン内の最大ピークがこの試験に不合格である場合は、前記ビン内のその他のすべてのピークも不合格になり、無視することができる。
【0084】
しきい値T4は、固定又は可変であることができる。例えば、T4の値は、コヒーレント積分期間及び/又は非コヒーレント積分数に従って選択することができる。下表は、T4の一組の異なる値の一例を示す。
【表1】

【0085】
タスクT700は、平均雑音エネルギー尺度を得るためにビンから減じられたエネルギー値の総数がしきい値T5を上回る場合にビンを拒否する粗ジャマー検出タスクT750も含むことができる。一例においては、T5の値は、各ピークに関してビンから減じられたエネルギー値の数(上例においては3)と最大許容マルチパス数Nの積に設定される。
【0086】
エネルギー格子は、基準符号と探索中の符号の間の相互相関に起因するピークに加えて、基準符号とその他の符号の間の相互相関に起因するピークも含むことができる。例えばGPS受信シナリオにおいては、受信された信号は、12もの異なるSVによって送信された符号を含むことができ、エネルギー格子は、基準符号とこれらのSVのうちの幾つかのSVの符号の間の相互相関に起因するピークを含むことを予想することができる。
【0087】
C/A符号間における最悪時符号分離は、わずか21.6dBである。基準符号と他のSVからの符号の相互相関は、探索中のSVからの信号が他方のSVの信号に対して大きく減衰されるときに問題を発生させる可能性が最も高い。前記シナリオは、例えば、探索中のSVが水平線の近くにあるとき又は障害物によって遮断されており、他方のSVが見通し線内にあるときに発生する可能性がある。1つ以上のスードライト、シンクロライト、又はGPSの中継器からの信号も強力な相互相関を引き起こす可能性がある。
【0088】
C/A符号は、1ミリ秒の期間を有するため、干渉中のSV信号とターゲットSV信号の差が1kHzの倍数であるときに最も有意な相互相関が発生する。従って、干渉する可能性があるSV信号のドップラー周波数オフセットに関する情報は、周波数空間における前記信号との最も可能性のある相互相関位置を決定するために用いることができる。
【0089】
相互相関試験タスクT800は、ピークのエネルギー値及び周波数推定を相互相関マスクのパラメータと比較する。図19は、相互相関タスクT800の実装T802の流れ図を示す。タスクT810は、相互相関ビン及びしきい値を得る。タスクT820は、現在のピークのビンを相互相関ビンと比較する。タスクT830は、現在のピークのエネルギー値を相互相関しきい値と比較する。ピークがマスク内にある場合は、おそらく他の可視SVの信号との相互相関に起因するとして拒否される。タスクT802は、1つ以上のその他のSVに関するマスクと照合してピークを試験するために繰り返すことができる。
【0090】
マスクパラメータを得る際には、タスクT810は、その他の可視SVのアイデンティティ及び現在のドップラー所在位置を含むルックアップテーブルを参照することができる。このテーブルは、過去の探索から得られた情報及び/又はPDE等の他のデバイスから得られた情報に基づくことができる。現在のピークの所在位置と他方のSVの所在位置との間のドップラー差が決定され、相互相関ビンを示すためにこの値のモジュロ1kHzの余りが計算される。その他のマスクパラメータ、例えば、エネルギー値しきい値、単位がヘルツ又はビンのマスク幅、及び/又はモジュロ除算器は、他方のSVの信号のエネルギー値及び/又は現在の探索の側面、例えばビン間隔及びコヒーレント及び/又は非コヒーレント積分長、に基づくことができる。ピークと他方のSV信号の間の大きなドップラー差に関しては、(例えば、大きなドップラーオフセットにおける符号スミアリングに起因する)より低いエネルギーしきい値を用いることができる。
【0091】
タスクT800のさらなる実装は、追加の影響を有する複数の源(例えば、2つ以上のその他のSV)から発生する複合相互相関の有無を試験するように構成することができる。相互相関タスクT800の実装に含むことができるその他の側面に関する説明は、(例えば、段落[0111]乃至[0161]において)メインローブ、周波数サイドローブ、及びサンプル・アンド・ホールド相互相関に関するマスク等の詳細を開示する米国公開特許公報No.2004/0196183(ロー、2004年10月7日公開)において示されている。
【0092】
最良の最大ピーク選択プロセスは、相互相関試験が実施されるときに前記選択プロセスが前記ピークに既に関わっているように実装することができる。タスクT702のさらなる実装においては、例えば相互相関試験タスクT800は、タスクT760又はT780の後に実施することができる。タスクT800が前記ピークを相互相関として捨てる場合は、他のピークを格子から選択するのは遅すぎる場合がある。
【0093】
T702等の最良の最大ピーク試験タスクのさらなる実装は、代替候補を考慮した先取り的な相互相関試験タスクT850を含む。タスクT850は、最良の最大ピークに関する現在の候補が疑わしいビンからの候補であるかどうかを決定する。例えば、タスクT850は、上述されるように、疑わしいビンの所在位置を計算するためにその他の可視SVのドップラーオフセットを含むルックアップテーブルを参照することができる。現在の候補が疑わしいビンからの候補である場合は、タスクT850は、可能性のある相互相関としてのタグをピークに付け、最良の最大ピークの探索が続く。他の実装においては、タスクT850は、最初に、前記疑わしいビンにしきい数(例えば2又は3)よりも多いその他のピークが入っているかどうかを決定することができ、この決定は、相互相関に起因するピークが前記ビンに入っているという決定を補強することができる。その他の受入可能な候補が見つからない場合は、タグが付けられたピークが用いられる。他の実装においては、タスクT850は、2つ以上の候補ピークが相互相関試験タスクT850に送られるようにし、このため、第1の候補が拒否された場合に他の候補を利用することができる。
【0094】
一実施形態による方法は、(例えば、最良の最大ピーク試験T300の実装内において)サイドローブ試験タスクT900を含むこともできる。サイドローブ試験タスクT900は、現在のピークのサイドローブに起因すると思われる候補ピークを拒否する。タスクT900の一実装は、(通常はメインローブから1つの符号推定内にある)サイドローブを拒否するために、現在のピークの符号位相の前の1/2チップ以上遅れている符号位相に対応するピークを拒否するマスクを適用する(図内の時間軸は、1/2チップ間隔で表示されている)。タスクT900は、前記マスクを、現在のピークと同じビンに対して、周囲の幾つかのビンを含む範囲に対して、又は格子内の全ビンに対して適用することができる。前記マスクは、その他の不要なピーク、例えば自己相関サイドローブに起因するピーク、を拒否するように構成することもできる。GPS C/A符号自己相関関数のサイドローブは、メインローブから21.6bB下方であり、タスクT900は、変動及び誤差に関するマージンを含むしきい値に従って構成されるマスクを適用することができる。図20は、現在のピークよりも15dB超低いエネルギー値を有するピークを拒否するマスク例を示す。サイドローブ試験タスクT900は、最良の最大ピーク候補リストからピークを選択するための別個のルーチンとして実装することもできる。
【0095】
ビン内の最強のピークが該当する格子に関する必ずしも最良のピークであるわけではない。例えば図6及び17に示されるように、より早いがより弱いマルチパスがより正確なピークである場合もある。さらなる実施形態による方法は、より早いマルチパスに起因するピークに関する試験を含む。
【0096】
最良の早期ピーク試験タスクT400は、最良の最大ピークよりも早いピークを識別するために1つ以上のビンリストを探索する。タスクT400は、最良の最大ピークよりもT6チップ早いしきい値までの符号位相推定に対応するピークに探索を制限することができる。一例においては、T6の値は6チップである。1つのGPSチップの誤差は、約300mの距離に相当するため、マルチパス信号のより早いピークの所在位置を見つけ出すことは、位置探索精度の大幅な向上を提供することができる。
【0097】
早期ピーク探索の範囲を、最良の最大ピークを含む周波数ビン又はおそらく2、3の近隣ビンに制限するのが望ましいこともある。さもないと、選択されたピークが他の符号との相互相関に起因する可能性がある。マルチパスは、屈折と散乱が一般的である屋内で発生する可能性が最も高い。従って、早期ピーク探索ウィンドーの時間的期間における経時での送信機と受信機の間の相対的動きに起因するドップラーの変化は、いずれにしても低くなる可能性がある。さらに、屋内で受信された信号も弱くなる可能性があり、弱い信号のシナリオは相互相関を受けやすい。
【0098】
一例においては、現在選択されているピークの前の8チップまでのピークは、早期ピーク候補とみなされる。(例えばサイドローブの選択を回避するために)現在選択されているピークから1/2チップ以内のピークを除外するのが望ましいことがある。図21は、早期ピークの探索の際に用いることができるマスクの一例を示し、円は、現在選択されているピーク(例えば、最良の最大ピーク)を表し、長方形は、3つの周波数ビンを8チップずつ測定するマスクを表す(この例においては、符号位相における分解能は1/2チップである)。周波数空間におけるマスクの幅は、ドップラー変化及び/又は屈折の影響の予想範囲に依存し、その他の例においては、マスクは、現在選択されているピークのいずれかの側において2、3、4又はそれ以上の周波数ビンにわたって延びる。関連する最大ピークからある値(例えば、15dB、9dB、又は6dB)の範囲内にあるエネルギー値を有する早期ピーク候補のみを受け入れるのが望ましいことがある。最良の早期ピーク候補が信号の所在位置を示すとして受け入れられる前に、相互相関試験(例えばT800)、サイドローブ試験(例えばT900)、及び/又は該当するピーク又はそのビンに関してまだ実行されていないタスクT500、T600、及びT700のうちのいずれかに従って前記ピークを試験するのが望ましい。
【0099】
本明細書において開示されるシステム、方法、又は装置の幾つかの実装においては、様々なレベルL1、L2、L3、及びしきい値T1、T2、T3、T4、T5、T6のうちの1つ以上を、探索ウィンドーの大きさ、信号強度、総受信電力、及び以前の結果等の1つ以上の要因に基づいて動的に変化させることができる。異なる探索モードを用いることができ、各モードは、ウィンドーの大きさ、ビン間隔、及び/又は積分長の異なる組合せを用いる。試験は、希望される偽アラーム率に従って構成することができ、特定の実装の設計は、失われる検出と偽アラーム率、又はフィックス精度と時間、等の要因間の二者択一を含むことができる。例えばより狭い探索ウィンドーを各々有する探索を繰り返すことができる。
【0100】
図21は、本明細書において説明される方法M100の実装を行うように構成することができるベースバンドプロセッサ260の実装262のブロック図を示す。プロセッサ430は、Cの符号位相推定及びDの周波数推定の探索ウィンドーに関する相関結果を得るために探索器410を制御し、dのビンの各々に関するピークのソートされたリストを得る。格子記憶装置420は、相関結果(又は相関結果に基づくエネルギー結果)の一部又は全部を格納するために用いることができる。格子記憶装置420は、前記方法を実行する際にプロセッサ430によって実行される命令を格納することもできる。この例においては、ソートされたリストは、(例えば本明細書において説明される最良の最大ピーク試験タスク及び/又はその他のタスクに従った)さらなる処理のために他のプロセッサに提供することができる。しかしながら、他の例においては、前記リストの少なくとも何らかのさらなる処理をプロセッサ430によって行うことができる。ベースバンドプロセッサ262の様々な素子は、(おそらくその他の素子、例えば携帯電話ネットワークと通信するためのデバイスの一部分、とともに)同じチップ上に実装することができ、又は異なるチップ上、さらには異なるデバイス上において分散させることも可能である。
【0101】
ハンドヘルド式又はその他の方式のポータブルデバイスにおいて、又は遠隔地において自己の電源で動作することが意図されているデバイスにおいては、前記デバイスの電力消費量を最小にするように設計するのが望ましいことがある。RFハードウェアは、典型的には大量の電力を消費するため、RF回路を起動させて信号を受信及びサンプリングして前記サンプリングされた信号を中間記憶装置に格納し、次にRF回路の電源を切るのが望ましい。探索器410は、受信時の状態の受信符号を処理するために起動させることができ、又は相関結果及び/又はエネルギー結果を得るために後の時点に記憶装置から前記符号にアクセスするために起動させることができる。探索器410からの結果も同じく中間記憶装置に格納することができる。次に、プロセッサ430は、起動させるか又は他のタスクから割り込み、探索器410からの結果を処理してソートされたリスト又はさらなる結果を提供し、他のプロセッサが起動されるか又は割り込まれるときにアクセスされる中間記憶装置内にこの情報を格納することができる。
【0102】
図18は、実施形態による受信デバイス200の実装202のブロック図を示す。前記デバイスは、例えば、携帯する、装着(例えば手首に装着)する、又は車両に搭載するように構成することができる。前記デバイスは、可能なことに地理情報システム(GIS)情報、例えば拡張型地図ディスプレイと組み合わせて位置情報を提供するように構成することも可能である。代替として、前記デバイスは、遠隔操作用に構成することができる。
【0103】
GPS受信機280は、GPS衛星による送信を受信及び復調して前記復調信号をベースバンドプロセッサ260に提供するように構成される。ベースバンドプロセッサ260は、前記復調信号から相関情報を導出するように構成される。所定の基準符号に関して、ベースバンドプロセッサ260は、探索ウィンドーWを定義する1つの範囲の符号位相推定にわたって、及び1つの範囲のドップラー周波数推定にわたって定義される相関関数を生成する。個々の相関は、定義されたコヒーレントな及び非コヒーレントな積分パラメータに従って行われる。
【0104】
RFフロントンエンドは、典型的にはアンテナ(例えばアンテナ295)を通じて受信された信号を増幅及び/又はコンディショニングする働きをし、1つ以上の増幅器(例えば、低雑音増幅器LNA)及び/又はフィルタ(例えば、特定の周波数又は帯域を減衰するためのフィルタ)を含むことができる。RF経路は、アンテナフィード内の異なる周波数帯域を分離するためのダイプレクサ(又はマルチプレクサ)等の素子を含むことも可能である。図20Aは、LNA及びフィルタ(LC、セラミック、又は表面音響波(SAW)フィルタ)を含むGPSフロントエンド282の実装310を示す。
【0105】
ダウンコンバータは、RF信号を受信し、ベースバンドで又はベースバンド付近で複素信号を出力する。図20Bは、GPSダウンコンバータ285のヘテロダイン実装の一例322のブロック図を示す。RFミキサは、前記RF信号を例えば10MHzのオーダーの中間周波数(IF)に変換するために第1のローカル発振器信号を加える。前記IF信号は、この例においては(例えば1つ以上の画像を減衰するための)フィルタ及び可変利得増幅器(VGA)を含むIFステージにおいて処理される。IFミキサは、前記IF信号をベースバンドに変換するために第2のローカル発振器信号を加える。前記ベースバンド信号は、(例えば1つ以上の画像を減衰するために)フィルタリングすることができる。
【0106】
アナログ−デジタル変換器(ACD)は、前記ベースバンド信号をアナログからデジタルのサンプルストリームに変換する。受信信号が(例えば、PSK、QAM、MSK、及び/又はOOK変調を通じて)特定の速度(例えばチップ速度)でデジタル情報によって変調される場合は、前記ADCは、前記ベースバンド信号を(チップ×2、チップ×4、チップ×8、チップ×12、又はチップ×16の速度で、又は前記速度の周囲の何らかの範囲内の速度で)オーバーサンプリングすることができる。前記ADCは、並行して実行する(例えば、各々がダウンコンバータの複素信号路の異なる各々の成分を受信してデジタル化する)2つのADCを含むように構成することも可能である。ADCサンプリングクロックは、周波数基準信号等のローカル発振器源から導出することができる。サンプリング速度は、符号位相次元における希望される探索分解能及び/又は逆拡散された信号の希望される帯域幅に依存して選択することができる。デジタル出力の各成分は、例えば1、2、4、8、又はそれ以上のビットの幅を有することができる。1ビット幅の信号に関しては、ADCは、比較器として実装することができる。前記ダウンコンバータは、ADCのうちの1つ以上のADCの上流のAGCステージを含むこともできる。
【0107】
図20Cは、ダウンコンバータ285のボモダイン(又はゼロIF)実装の例324のブロック図を示す。ゼロIF変換(直接ダウンコンバージョンとも呼ばれる)においては、RF信号は、直接ベースバンドに変換される。前記ダウンコンバータは、典型的には、ベースバンド信号内のDCオフセットの除去又は補償のための回路も含む。前記ダウンコンバータは、(例えば漏れを低減させるために)ローカル発振器信号の振幅制御を含むこともできる。ほぼゼロのIF(又は超低IFすなわちVLIF)変換と呼ばれる関連技術においては、RF信号は、数百kHz以下であることができるほぼベースバンドの周波数に直接変換される。VLIFダウンコンバータは、IFステージ付きで又はIFステージなしで(例えば、IFからベースバンドへの変換が変換された信号の位相回転によって行われる)実装することができる。
【0108】
ローカル発振器信号は、特定の用途に適したいずれかの波形(例えば、正弦波、方形波、三角波、のこぎり波、等)を有するように実装することができる基本周波数を有する周期信号である。ローカル発振器信号のうちの1つ以上は、可変周波数発振器(VFO)から得ることができ、前記可変周波数発振器(VFO)は、水晶発振器(XO)、温度補償発振器(TCO)、温度補償XO(TCXO)、電圧制御発振器(VCO)、電圧制御TCO(VCTCO)、又は電圧制御TCXO(VCTCXO)であることができる。典型的な安価なTCXOは、約1ppm(part per million)の安定性を有する。1つの特定の用途は、±5ppmにおいて定格19.68MHzの公称出力周波数を有するVCTCXOを含む。±5ppmの公差は、800MHzのうちの±4MHz、又は1.9GHzのうちの±9.5kHzの範囲に対応する。
【0109】
ダウンコンバータ120において加えられるローカル発振器信号のうちの1つ以上は、(例えばVFOから得られた)周波数基準信号に基づくことができる。例えば、ダウンコンバータ285及び/又はデバイス200は、他の周波数の信号が導出されるタイミング基準として前記周波数基準信号を用いる1つ以上の周波数シンセサイザを含むことができる。前記シンセサイザは、例えば、周波数乗算器又は除算器として実装することができ、さらに位相固定ループ(PLL)等の回路を含むことができる。
【0110】
ローカル発振器信号は、位相の点で90度分離された2つの成分(例えばI及びQ)としてダウンコンバータ120のミキサに供給することができ、各成分は、複素ダウンコンバート信号が得られるように別個のミキシング経路で加えられる。ローカル発振器信号の振幅は、例えば可変利得増幅器を用いて制御することができる。周波数基準信号(又は周波数基準信号に基づく信号)は、ADCがベースバンド(又は近ベースバンド)信号をサンプリングするときのサンプリングクロックとして用いることもできる。
【0111】
ベースバンドプロセッサ260は、(例えば、本明細書において説明される最良の最大ピーク試験タスク及び/又はその他のタスクに従って)ソートされたリストをさらなる処理のためにマイクロプロセッサ220に提供するための方法M100の実装を行うことができる。しかしながら、他の例においては、前記リストの少なくとも何らかのさらなる処理は、ベースバンドプロセッサ260によって行うことができる。マイクロプロセッサ220、メモリ230、及びベースバンドプロセッサ262は、同じチップ上に実装することができ、又は異なるチップにおいて、さらには異なるデバイスにおいて分散させることができる。
【0112】
マイクロプロセッサ220は、1つ以上の時間測定値(例えば疑似距離)を選択されたピークから導き出すように構成される。マイクロプロセッサ220は、時間測定値と関連する誤差(例えば、二乗平均平方根誤差、すなわちRMSE)を決定するように構成することもできる。マイクロプロセッサ220は、幾つかのSVに対応する選択されたピークに基づいてデバイス202の所在位置を決定するように構成される。
【0113】
メモリ230は、本明細書において説明又は提案される方法を実行する際にベースバンドプロセッサ260及び/又はマイクロプロセッサ220によって実行される命令を格納するように構成することができる。メモリ230は、その他の動作のための命令を格納するように及び/又は前記方法又は動作の中間結果を格納するように構成することもできる。マイクロプロセッサ220は、ユーザーインタフェース210を介してユーザーコマンドを受信するように及び/又は前記方法及び/又は動作の結果を出力するように構成することができる。
【0114】
ユーザーインタフェース210は、ユーザーコマンドを入力するための及び/又は位置情報、例えば地図上の座標及び/又は緯度、経度、及び/又は高度、を出力するための複数のデバイスを具備する。ユーザーインタフェース21は、キーパッド及び/又はキーボード及び表示画面(例えば、液晶又は有機LEDディスプレイ)等のデバイスを含むことができる。
【0115】
実施形態による受信デバイスは、通信デバイス内にインテグレーションすることができる。前記デバイスは、異なるタスクに関して周波数を切り換えるように構成された1つのチューナーを含むことができる。前記デバイスにおいては、GPS周波数に対処中にサンプリングされた信号を格納し、前記チューナーが通信(例えば、CDMA)周波数に戻った後に処理することができる。通信ネットワーク及び/又は希望される動作性能に関する要求は、最大利用可能チューンアウェイ時間を制限することができる。代替として、前記デバイスは、2つ以上のチューナーを含むことができる。例えば、前記デバイスは、GPS受信専用チューナー及びその他の通信専用の他のチューナーを含むことができる。
【0116】
図25は、実施形態による通信デバイスの実装302のブロック図を示す。前記デバイスは、図23に示される受信デバイス202の素子を含むことができ、前記素子のうちの1つ以上は、追加機能を含むこと又は改修することが可能である。通信デバイス302は、フロントエンド272(図24Aにおいて示されるように及び/又は上述されるように実装することができる)と、ダウンコンバータ275(図24B又は24Cにおいて示されるように及び/又は上述されるように実装することができる)と、音声又はデータ等の情報をアンテナ290を通じて送信するために変調してRF搬送波に含めるように構成された変調器278と、を含む通信受信機270も含む。トランシーバフロントエンド272は、CDMA信号等の通信信号又は携帯電話ネットワークとの通信のためのその他の信号を受信するように構成され、さらにアンテナ290を通じての受信活動及び送信活動をサポートするためのデュプレクサを含むこともできる。通信デバイス300の幾つかの実装においては、フロントエンド及び/又はダウンコンバータの一部分は、通信経路及びGPS信号経路にとって共通であることができる。
【0117】
このデバイスにおいて、ベースバンドプロセッサ260は、無線通信リンクを通じて送信するためにベースバンド情報をマイクロプロセッサ220からトランシーバ1206に提供するように構成される。マイクロプロセッサ220は、ユーザーインタフェース210内の入力デバイスからこのベースバンド情報を得る。ベースバンドプロセッサ260は、トランシーバ1206からユーザーインタフェース210内の出力デバイスにこのベースバンド情報を提供する。ユーザーインタフェース210は、音声又はデータ等のユーザー情報を入力又は出力するための1つ以上のデバイスを含むために実装することができる。前記ユーザーインタフェース内に典型的に含められているデバイスは、キーボード、表示画面、マイク、及びスピーカーを含む。
【0118】
ベースバンドプロセッサ260は、通信トランシーバ270によって提供されたパイロット信号に関連する情報からパイロット関連相関関数を導き出すように構成することもできる。この情報は、無線通信サービスを取得するために通信デバイス302によって用いることができる。メモリ230は、通信デバイス302の通信動作を実行するのに関わっている命令及び/又は中間結果を格納するように構成することができる。
【0119】
アンテナ290を通じて受信される情報は、変調ワイプオフをサポートするためのデータと、現在可視であるSV及びその近似符号位相とドップラーを記載したリストと、M100又は実施形態による他の方法の実装を開始させるためのコマンドと、を含むことができる。マイクロプロセッサ220は、時間測定値及び誤差をPDEに提供するように構成することができ、前記PDEは、コンピュータネットワークに接続されたサーバー等のネットワーク素子であることができる。一例においては、前記PDEは、対応するRMSE値の逆数に基づいて前記測定値の各々に重みを付け、前記重みが付けられた測定値に基づいて通信デバイス302の位置を推定する。前記PDEによって計算された位置は、911番通報時又はその他の緊急通報時に利用できるようにデバイス302にダウンロードすることができる。その他の可能な用途は、ユーザーによって要求された所在位置サービス、例えばレストラン又はATM(自動預金・預け払い機)の所在位置、及び売り込み型のサービス、例えば位置に依存する広告、を含む。デバイス302とPDEとの間の通信は、セルラー通信ネットワークを通じて行うことができる。
【0120】
実施形態、例えば受信デバイス200又は通信デバイス300の実装、によるデバイスは、(例えば電力管理、ユーザーインタフェースサポート、GPS又はその他の受信機から受信された情報のさらなる処理のためのその他の素子を含むことができる)独立した装置であること、又はその他の回路及び/又は機能も含むデバイス又はシステムの一部分であることができる。例えば、前記デバイスは、(基地局ネットワークを含みさらにマイク、スピーカー、キーパッド、及び関連する回路と処理を含むシステムと通信するように構成された)送信機、例えば携帯電話等のアクセス端末及び/又は(無線チャネルと例えばPCMCIA又はUSBポートとの間のデータ転送をサポートするように構成された)無線モデムも含むトランシーバ内に含めることができる。前記トランシーバは、前記デバイス内において動作をコンフィギュレーションし、前記デバイス内において信号を処理し、及び/又は入力デバイス(例えば、マイク、キーボード又はキーパッド)及び/又は出力デバイス(例えば、スピーカー、音声出力ジャック、表示画面)を含むことができる前記デバイスのユーザーインタフェースを制御するための1つ以上のプロセッサと通信することができる。
【0121】
前記デバイスは、例えば(MP3、WMA、AAC3、等の圧縮形式に符号化された音声情報、及び/又はMPEG−2、MPEG−4、WMV、等の圧縮形式に符号化された映像情報を復号するように構成された)メディアプレーヤー、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ポータブルコンピュータ、等を含む追加機能をサポートするデバイス内に含めることも可能である。前記追加機能は、前記デバイスの受信機及び/又は送信機の動作とインテグレーションすることができる。例えば、前記受信機を介して受信されたマルチメディア情報の再生、ローカルで実行中のアプリケーション(例えば、電子メールクライアント)と外部サーバーとの間の無線モデムを介した通信、無線モデムを介してのローカルな外部のスケジュール、コンタクト、又はその他のデーターベースの同期化、等である。
【0122】
説明される実施形態の上記提示は、当業者が本発明を製造又は使用できるようにすることを目的とするものである。これらの実施形態に対する様々な修正が可能であり、さらに、本明細書において示されている一般原理は、その他の実施形態に対しても同様に適用することができる。
【0123】
「ソフトウェア」という用語は、1つのアレイの論理素子によって実行可能なソースコード、アセンブリ言語コード、機械コード、バイナリコード、ファームウェア、マクロコード、ミクロコード、1つ以上の組の又はシーケンスの命令、及び前記例のあらゆる組合せを含むことが理解されるべきである。
【0124】
本明細書において開示される相関器は、(例えば、受信された符号及び基準符号を)相関させるための手段と呼ぶことができること、及び、本明細書において開示されるプロセッサ又はその他の論理素子アレイは、(例えば、記憶装置及び/又は他の回路又はアレイから受信された情報を)処理するための手段と呼ぶことができることが理解されるべきである。
【0125】
実施形態は、ハードワイヤで接続された回路として又は特定用途向け集積回路に組み込まれた回路構成として実装することができる。さらに、実施形態は、非揮発性記憶装置内にローディングされたファームウェアプログラムとして、又は記憶装置、例えば、データ記憶媒体(例えば、半導体又は磁気ランダムアクセスメモリ(揮発性、非揮発性、一体化又は取り外し可能)、磁気、光学、又は位相変化ディスク媒体、等)から又は該記憶装置へ機械によって読み取り可能なコードとしてローディングされたソフトウェアとして、一部分又は全体を実装することができる。前記コードは、分離されている、一体化されている、及び/又は埋め込まれているのいずれであるかにかかわらず1つ以上のアレイの論理素子、例えば、マイクロコントローラ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DPS)、又はその他の処理装置又は有限状態マシン、によって実行可能な命令を含むことができる。以上のように、本発明は、本明細書において示されている実施形態に限定することを意図するものではなく、本明細書において開示されている原理及び斬新な特長に一致する限りにおいて最も広範な適用範囲が認められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】GPS C/A符号の自己相関関数の一部分を示す図である。
【図2A】受信符号と基準符号の比較を示す図である。
【図2B】受信符号と基準符号の比較を示す図である。
【図2C】受信符号と基準符号の比較を示す図である。
【図3】相関器100及び基準符号生成器110の一例のブロック図である。
【図4】2次元探索ウィンドーを示すブロック図である。
【図5】見通し線信号から得ることができるピークを示すエネルギー図である。
【図6】同じ送信信号のマルチパスインスタンスに起因する幾つかのピークを示すエネルギー図である。
【図7】ジャマーによって引き起こされたエネルギーの隆起を示すエネルギー図である。
【図8】符号位相空間における隣接する探索ウィンドーセグメント間のオーバーラップを示す図である。
【図9】エネルギーピーク及びエネルギー隆起を示すエネルギー図である。
【図10】実施形態による方法M100の流れ図である。
【図11】一組のソートされたピークリストを表すブロック図である。
【図12】方法M100の実装M110の流れ図である。
【図13A】方法M100の実装と結合させることができる幾つかのタスクを示す図である。
【図13B】実施形態による方法M300の流れ図である。
【図14A】ピーク強度試験タスクT500の実装の合格領域及び不合格領域を示す図である。
【図14B】リストエネルギー分布試験タスクT600の実装の合格領域及び不合格領域を示す図である。
【図14C】リストエネルギー分布試験タスクT600の実装の合格領域及び不合格領域を示す図である。
【図15】リストエネルギー分布試験タスクT600の実装T602の流れ図である。
【図16】実施形態による方法M200の流れ図である。
【図17】マルチパス及びエネルギー隆起に起因するエネルギーピークを示すエネルギー図である。
【図18】ビンエネルギー分布試験タスクT700の実装T702の流れ図である。
【図19】相互相関試験タスクT800の実装T802の流れ図である。
【図20】サイドローブ試験タスクT900の実装において用いられるマスクの例を示す図である。
【図21】最良の早期ピーク検出タスクT400の実装において用いられるマスクの例を示す図である。
【図22】1つの状況におけるベースバンドプロセッサ260の実装262のブロック図である。
【図23】受信デバイス200の実装202のブロック図である。
【図24A】RFフロントエンドの例310のブロック図である。
【図24B】ダウンコンバータの例322及び324のブロック図である。
【図24C】ダウンコンバータの例322及び324のブロック図である。
【図25】通信デバイス300の実装302のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号処理方法であって、
受信符号を基準符号と相関させることに基づいて複数の結果を得ることであって、各結果は、複数の符号位相推定のうちの1つ及び複数の周波数推定のうちの1つに対応することと、
前記複数の周波数推定の各々に関して、前記周波数推定に関する結果の中から複数のピークを選択することと、
前記複数の周波数推定の各々に関して、前記選択された複数のピークの順序が付けられたリストを格納すること、とを具備する方法。
【請求項2】
複数のピークを前記選択することは、前記ピークのエネルギー値に従って複数のピークを選択することを含む請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項3】
前記リストの各々は、前記リスト内の前記ピークのエネルギー値に従って順序が付けられている請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項4】
周波数推定を拒否することを具備し、前記拒否することは、前記対応するリストに基づく請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項5】
前記拒否することは、(A)ノイズフロア(noise floor)と(B)前記順序が付けられたリスト内のピークのエネルギー値の間の関係に基づく請求項4に記載の信号処理方法。
【請求項6】
前記拒否することは、(A)ノイズフロアと(B)前記順序が付けられたリスト内のピークの最大エネルギー値を有する前記ピークの前記エネルギー値の間の関係に基づく請求項4に記載の信号処理方法。
【請求項7】
前記拒否することは、前記順序が付けられたリスト内のピークのエネルギー値間の関係に基づく請求項4に記載の信号処理方法。
【請求項8】
前記拒否することは、前記順序が付けられたリスト内のピークのエネルギー値が、前記順序が付けられたリスト内の他のピークのエネルギー値のしきい値内にあるという決定に基づく請求項4に記載の信号処理方法。
【請求項9】
前記拒否することは、前記順序が付けられたリスト内の2つのピークのエネルギー値の差がしきい値よりも大きくないという決定に基づき、前記2つのピークのうちの1つは、前記順序が付けられたリスト内において最大のエネルギー値を有する前記ピークである請求項4に記載の信号処理方法。
【請求項10】
前記拒否することは、(A)前記順序が付けられたリスト内のピークのエネルギー値と(B)雑音値の比に基づき、前記雑音値は、前記周波数推定に関する前記複数の結果の中の値に基づき、前記対応する複数のピークの値を除く請求項4に記載の信号処理方法。
【請求項11】
前記拒否することは、
前記周波数推定に関する前記結果の合計を計算することと、
前記周波数推定に関する雑音値を計算することであって、前記計算は、複数のエネルギー値を前記合計から減じることを含むことと、
前記減じられたエネルギー値の数をしきい値と比較すること、とを含む請求項4に記載の信号処理方法。
【請求項12】
前記順序が付けられたリストのうちの1つにおいてピークを選択することと、
前記選択されたピークに対応する符号位相推定に基づいて疑似距離を計算すること、とを具備する請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項13】
前記疑似距離に基づく情報を無線通信ネットワークに送信することを具備する請求項12に記載の信号処理方法。
【請求項14】
前記順序が付けられたリストのうちの1つから最良の最大ピークを選択することと、
前記最良の最大ピークよりも早い符号推定に対応するピークを前記順序が付けられたリストから選択することと、
前記より早い符号推定に基づいて疑似距離を計算すること、とを具備する請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項15】
前記受信符号は、全地球測位システムの宇宙ビークルから受信された信号から得られる請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項16】
前記順序が付けられたリストのうちの1つにおけるピークを拒否することであって、前記拒否することは、前記全地球測位システムの他の宇宙ビークルから受信された信号の周波数における所在位置に基づくことを具備する請求項15に記載の信号処理方法。
【請求項17】
請求項1に記載の信号処理方法を記述する、機械によって読み取り可能な命令を有するデータ記憶媒体。
【請求項18】
信号を処理するための装置であって、
受信符号を基準符号と相関させることに基づいて複数の結果を得るように構成される第1の論理素子アレイであって、各結果は、複数の符号位相推定のうちの1つ及び複数の周波数推定のうちの1つに対応する第1の論理素子アレイと、
前記複数の周波数推定の各々に関して、前記周波数推定に関する前記結果の中から複数のピークを選択するように、及び前記複数の周波数推定の各々に関して、前記選択された複数のピークの順序が付けられたリストを格納するように構成される第2の論理素子アレイと、を具備する信号処理装置。
【請求項19】
前記第1のアレイは、相関器を含む請求項18に記載の信号処理装置。
【請求項20】
前記第1のアレイを含む探索器を具備し、前記探索器は、複数の相関器を具備する請求項19に記載の信号処理装置。
【請求項21】
前記第1のアレイを含む探索手段を具備する請求項18に記載の信号処理装置。
【請求項22】
前記第1のアレイの少なくとも一部分及び前記第2のアレイの少なくとも一部分は、同じチップ上にある請求項18に記載の信号処理装置。
【請求項23】
前記第2のアレイは、前記複数の周波数推定の各々に関して、雑音値を計算するように構成され、前記雑音値の各々は、前記周波数推定に関する前記複数の結果の中の値に基づき、前記対応する複数のピークの値を除く請求項18に記載の信号処理装置。
【請求項24】
前記順序が付けられたリストのうちの1つにおけるピークに対応する符号位相推定に基づく情報を無線通信チャネルを通じて送信するように構成される請求項18に記載の信号処理装置。
【請求項25】
前記周波数推定のうちの少なくとも1つに関して、前記対応する順序が付けられたリスト内のピークのエネルギー値間の関係を決定するように及び前記決定された関係に基づいて前記周波数推定を拒否するように構成される第3の論理素子アレイを具備する請求項18に記載の信号処理装置。
【請求項26】
前記第3のアレイは、前記順序が付けられたリストのうちの1つにおけるピークを選択するように及び前記選択されたピークに対応する符号位相推定に基づいて疑似距離を計算するように構成される請求項25に記載の信号処理装置。
【請求項27】
前記周波数推定のうちの少なくとも1つに関して、(A)ノイズフロアと(B)前記順序が付けられたリスト内のピークのエネルギー値の間の関係を決定するように及び前記決定された関係に基づいて前記周波数推定を拒否するように構成される第3の論理素子アレイを具備する請求項18に記載の信号処理装置。
【請求項28】
信号を処理するための装置であって、
受信符号を基準符号と相関させて複数の結果を得るための手段であって、各結果は、複数の符号位相推定のうちの1つ及び複数の周波数推定のうちの1つに対応する手段と、
前記複数の周波数推定の各々に関して、前記周波数推定に関する前記結果から得られた複数のピークを選択するように及び前記選択された複数のピークの順序が付けられたリストを格納するように構成される論理素子アレイと、を具備する、信号処理装置。
【請求項29】
前記論理素子アレイは、前記複数の周波数推定の各々に関して、雑音値を計算するように構成され、前記雑音値の各々は、前記周波数推定に関する前記複数の結果の中の値に基づき、前記対応する複数のピークの値を除く請求項28に記載の信号処理装置。
【請求項30】
前記順序が付けられたリストのうちの1つにおけるピークに対応する符号位相推定に基づく情報を無線通信チャネルを通じて送信するように構成される請求項28に記載の信号処理装置。
【請求項31】
前記周波数推定のうちの少なくとも1つに関して、前記対応する順序が付けられたリスト内のピークのエネルギー値間の関係を決定するように及び前記決定された関係に基づいて前記周波数推定を拒否するように構成される第2の論理素子アレイを具備する請求項28に記載の信号処理装置。
【請求項32】
前記第2のアレイは、前記順序が付けられたリストのうちの1つにおけるピークを選択するように及び前記選択されたピークに対応する符号位相推定に基づいて疑似距離を計算するように構成される請求項31に記載の信号処理装置。
【請求項33】
前記周波数推定のうちの少なくとも1つに関して、(A)ノイズフロアと(B)前記順序が付けられたリスト内のピークのエネルギー値との間の関係を決定するように及び前記決定された関係に基づいて前記周波数推定を拒否するように構成される第2の論理素子アレイを具備する請求項28に記載の信号処理装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図25】
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【公表番号】特表2008−522558(P2008−522558A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544520(P2007−544520)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/043529
【国際公開番号】WO2006/060605
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】