説明

ジャー炊飯器

【課題】経年使用による高圧、高電流部品の破損時の瞬間的な光を使用者からみえなくすることで、不安感を感じさせなくするとともに、吸気口あるいは排気口から高圧、高電流部品までの距離を少なくし回路基板を小さくすることで本体高さを減じ、製品をコンパクトにする。
【解決手段】着脱自在な鍋と、上面に有底筒状の鍋収納部を有する本体と、前記鍋を加熱する加熱手段と前記加熱手段に高周波電力を供給する高周波電力供給手段と前記高周波電力供給手段を冷却する冷却ファンを有し、前記本体は冷却ファンへ外気を吸気および排気する吸気口と排気口を底面に有するものであって、本体外部から前記吸気口および排気口より前記高周波電力供給手段に取り付けた高周波電力用コンデンサもしくは高周波電力発生用半導体素子が目視できないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、あるいは業務用に使用するジャー炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の機器の構成は以下のようなものであった。特許文献1によれば、加熱手段を備える加熱調理器の本体内に、電気部品が取付けられる回路基板と、複数のフィンが並設されたヒートシンクと、このヒートシンクを冷却するための冷却ファンとを設け、特定の電気部品を上記ヒートシンクの部品取付部に取付けて、この特定電気部品のリード端子を上記回路基板に固定してなる電気部品の冷却構造であって、 上記ヒートシンクに冷却ファンのファンケースを取り付け、この冷却ファンの送風方向側に向かって延びる各フィンの先端面と上記ファンケースとの間に所定の空隙を設けて、この空隙を冷却ファンからの送風通路としたことを特徴とする電気部品の冷却構造を有する炊飯器である。
【特許文献1】特開2000−332474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
誘導加熱方式の炊飯器では、誘導加熱を実現するために高圧、高電流の電子部品を回路基板上に設けている。また、これら高圧、高電流の電子部品は自己発熱するので、電子回路の正常な動作を維持するための冷却ファンによる冷却が必要である。このため、本体底部に冷却用の風を取り込む吸気口や排気口を設けなければならない。
【0004】
しかしながら特許文献1のような構成では、経年使用による高圧、高電流部品の破損時の現象として、瞬時的に部品定格をはるかに上回る高電流が流れ、瞬間的な光を発生するが、吸気口あるいは排気口から外部に光が漏れることで、製品上は不安全な状態になることはないにも係わらず、使用者は一瞬発火したかのごとく錯覚してしまい、不安感を感じてしまう。また、万が一、これら電子部品に誤って触れると高圧部であるので大変危険であるので、簡単に触れることができないように本体外郭の穴部から十分な距離を確保して部品を配置しなければならず、特に吸気口や排気口に誤ってヘアピンやクリップなどの導電性の日用小物が入り込んで、高圧、高電流の電子部品に触れることのないことを想定し、外郭から十分な距離を確保して高圧、高電流の部品を配置しないとならないので、回路基板が大きくなり、製品高さが高くなってしまう課題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、経年使用による高圧、高電流部品の破損時の瞬間的な光を使用者からみえなくすることで、不安感を感じさせなくするとともに、吸気口あるいは排気口から高圧、高電流部品までの距離を少なくし回路基板を小さくすることで本体高さを減じ、製品をコンパクトにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために本発明は、着脱自在な鍋と、上面に有底筒状の鍋収納部を有する本体と、鍋を加熱する加熱手段と、加熱手段に高周波電力を供給する高周波電力供給手段と、高周波電力供給手段を冷却する冷却ファンとを有して、本体は冷却ファンへ外気を吸気および排気する吸気口と排気口とを底面に備え、本体外部から吸気口および排気口より、高周波電力供給手段に取り付けた高周波電力用コンデンサと高周波電力発生用半導体素子の少なくともいずれか一方が目視できないようにした誘導加熱方式のジャー炊飯器である。
【0007】
これにより、高圧、高電流部品の破損時に発生する瞬間的な光は、直線方向にしか進ま
ないので、吸気口あるいは排気口から外部に漏れ出すことがない。そのため、使用者からは、高圧、高電流部品の破損時に発生する瞬間的な光が見えることはなく、製品故障時に使用者に不安感を感じさせることがないジャー炊飯器を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、経年使用による高圧、高電流部品の破損時の瞬間的な光を使用者からみえなくすることで、不安感を感じさせなくするとともに、吸気口あるいは排気口から高圧、高電流部品までの距離を少なくし回路基板を小さくすることで本体高さを減じ、製品をコンパクトにするジャー炊飯器を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明のジャー炊飯器は、着脱自在な鍋と、上面に有底筒状の鍋収納部を有する本体と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記加熱手段に高周波電力を供給する高周波電力供給手段と、前記高周波電力供給手段を冷却する冷却ファンとを有し、前記本体は前記冷却ファンへ外気を吸気および排気する吸気口と排気口とを底面に備え、前記本体外部から前記吸気口および排気口より、前記高周波電力供給手段に取り付けた高周波電力用コンデンサと高周波電力発生用半導体素子の少なくともいずれか一方が目視できないようにした誘導加熱方式のジャー炊飯器である。
【0010】
これにより、高圧、高電流部品の破損時に発生する瞬間的な光は、直線方向にしか進まないので、吸気口あるいは排気口から外部に漏れ出すことがない。そのため、使用者からは、高圧、高電流部品の破損時に発生する瞬間的な光が見えることはなく、製品故障時に使用者に不安感を感じさせることがない。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、高周波電力用コンデンサもしくは高周波電力発生用半導体素子の少なくともいずれか一方を不燃性材料からなる不燃カバーで覆ったものである。
【0012】
これにより、高圧、高電流部品の破損時に発生する瞬間的な光が外部へ漏れ出すのを防ぎつつ、非導電性の不燃材料でおおっているため、これら部品近傍に誤ってヘアピンやクリップなどの導電性の日用小物が入り込んでも、高圧、高電流の電子部品に直接触れることのないので、吸気口あるいは排気口から高圧、高電流部品までの距離を近づけることができる。これにより、回路基板の面積を小さくでき、製品高さが低くて済むことから製品をコンパクト化することができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、不燃性材料は、UL−94の5VA相当以上の難燃性を付与した樹脂材料で構成したものである。
【0014】
高圧、高電流部品は破損時に瞬間的な光だけでなく、高温に発熱する。しかしながら、不燃カバーにUL−94の5VA相当以上の難燃性を付与することで周囲部品の溶解等を防止し、高圧、高電流部品の破損時に、併せて周囲の部品まで破損してしまうことを防止できる。
【0015】
第4の発明は、第2の発明において、高周波電力発生用半導体素子の放熱を促すヒートシンクを有し、前記ヒートシンクは冷却ファンと隣接して配置するとともに、前記不燃カバーはその少なくとも一部を前記ヒートシンクにおける、前記冷却ファンと対向する側もしくはその側面に設けたものである。
【0016】
これにより、冷却ファンからの風を有効的に高圧、高電流部品に当てることができ、これら部品の冷却効率を向上できる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、不燃カバーに冷却ファンの風向きを変える風向板を設けたものである。
【0018】
これにより、高圧、高電流部品の配置場所がヒートシンクの冷却ファンと対向する位置以外であっても効率的に冷却ファンの風を高圧、高電流部品に当てることができ、これら部品の冷却効率を向上できるため、部品配置の自由度が高まり、よりコンパクトな炊飯器を実現できる。
【0019】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における炊飯器について、図1から図3を用いて説明する。図1において、炊飯器本体1は上面を構成する上枠3と側面および底面を構成するボディ4でその外郭が構成されている。上枠3は円筒状の穴部3a有し、穴部より連なる筒状で金属製の保護枠胴5と皿状の保護枠6により有底筒状の鍋収納部1aを構成し、着脱自在に鍋2を収納する。保護枠6の底部に設けられた底誘導コイル7が鍋加熱手段となり、鍋2を誘導加熱し炊飯・保温を行う。ここで磁性材料にて構成された複数の底フェライト8が底誘導コイル7に対向しかつ底誘導コイル7に直交した配置で鍋2と反対側に設けられている。
【0020】
9は底センサーで、鍋2の底面に当接して、鍋2の温度を検知し、マイコン10へ信号を送る。マイコン10は底センサー9の信号より底誘導コイル7の通電量を変化させ、鍋2の高周波電力供給手段12から底誘導コイル7へ供給する高周波電流を可変することで鍋2の温度を炊飯・保温時に適温に制御する。
【0021】
底誘導コイル7の外周には反射枠32が環状に設けてある。そして保護枠胴5の外周には側面加熱手段である側面ヒーター20が巻かれている。高周波電力供給手段12は片側にパターン面50aを有する基板50とパターン面50aと反対側の面に取り付けられる電子部品51とアルミやアルミダイキャスト等でできたヒートシンク13およびヒートシンク13に外気を送風する冷却ファン11で構成される。冷却ファン11は冷却ファン排気部11aがヒートシンク13と隣接するように配置される。ヒートシンク13は冷却ファン排気部11aからの風の吹き出し方向に沿った複数のリブ13aを有している。そして、図2に示すように、ボディ4は冷却ファン吸気部11bと対向する面に本体吸気口4aがあり、ボディ4の底面であって本体吸気口4aからもっとも離れた位置の近傍には排気口4bがある。ここで吸気口4aは冷却ファン吸気部11bと対向する部分のほぼ全域に格子穴形状で設けられている。
【0022】
図3に示すように、電子部品51の中には、高周波電力発生用半導体素子51aと高周波コンデンサ51bがある。そして高周波電力発生用半導体素子51aはヒートシンク13と密着しており、本体外部より吸気穴4aを通じて高周波電力供給手段12を目視したとき、高周波電力発生用半導体素子51aはヒートシンク13に阻まれ、ボディ4の吸気口4aより直接目視できない位置に配設されている。
【0023】
高周波コンデンサ51bはヒートシンク13の側部であって、冷却ファン排気部11aからの風の吹き出し方向から外れた位置の配置されている。また高周波コンデンサ51bは本体外部より吸気穴4aを通じて高周波電力供給手段12を目視したとき、ボディ4の吸気口4aより高周波コンデンサ51bが直接目視できないよう不燃カバー52で周囲を覆われている。そして不燃カバー52は冷却ファン11からの風を取り込み高周波コンデンサ51bへと流す風向き板52aがある。ここで不燃カバー52はUL−94の5VA相当以上の難燃性を有する樹脂材料で構成され、不燃カバー52を挟んで高周波コンデンサ51bと対向する部分には各種電子部品が配置されている。
【0024】
図1において、本体後方で上枠3の上面にはヒンジ部14が設けられており、蓋体15がヒンジ部14に取り付けたヒンジ軸16にて軸支され、開閉自在に本体上面を覆っている。ヒンジ部14にはヒンジバネ17が蓋体15と本体1双方に係合するように取り付けてあり、蓋体15に対し開放する方向の付勢力を有している。そして、ヒンジ部14の後部はヒンジカバー19がその外郭を覆い、外部よりヒンジ軸16やヒンジバネ17が見えないようにしている。
【0025】
本体前方のフックレバー18はヒンジバネ17の力に対し、蓋が開かないよう蓋体15先端に設けたフック嵌合部15aと嵌合し、閉蓋状態を保つ。フックレバー18を押すと、フック嵌合部15aとフックレバー18の嵌合が外れ、蓋はヒンジバネ17の力で開く。
【0026】
図4に示すように、蓋体15はその表面を外蓋22で構成し、鍋2側は外蓋カバー23で構成されている。外蓋カバー23は筒状に穴部を有し、穴部には非磁性金属かつその厚さが0.5mm以下の薄板でできた蒸気加熱板24が取り付けられている。ここで非磁性金属の代表的なものとしてはオーステナイト系ステンレスなどがある。蒸気加熱板24の上部には蓋コイル支え25に載置された環状の蓋誘導コイル26が設けてある。蓋コイル支え25と蓋コイル26に挟持される形で蓋温度ヒューズ27が設置されている。蓋誘導コイル26の上方には蓋反射板34があり、蓋誘導コイルからの高周波磁界が外部に漏れ出すのを防止している。
【0027】
外蓋カバー23の鍋側には加熱板支え28にカシメ結合で一体に保持され、蓋体15より加熱板支え28と一体となった状態で着脱自在な磁性金属製の加熱板29がある。ここで磁性金属の代表的なものとしては、鉄板やフェライト系ステンレスなどがある。
【0028】
加熱板29と鍋2のフランジ部2aの間は加熱板支え28で加熱板29と一体に結合された鍋パッキン31が加熱板29と鍋2のフランジ部2aを水密にシールしている。また、蒸気加熱板24と加熱板29の間には蒸気加熱板パッキン47がその外周部に設けてあり、加熱板29と蒸気加熱板24の間を水密にシールする。30は蓋センサーで蓋センサーバネ33による押し圧で加熱板29に当接し、加熱板の温度を検知する。また蓋センサー30と蒸気加熱板24の間には蓋センサーパッキン46が設けてある。
【0029】
外蓋22の内部には、操作部15bと表示部15cを構成する操作基板35が基板カバー36に覆われて設置されている。操作基板35上の液晶39は炊飯器の設定状態や動作状態を表示する。外蓋22はその一部を透明な樹脂で構成されており、その表面をフィルム22bで一体に覆われている。そして、部分的にフィルムのみの部分からなるエンボス部22aを有している。エンボス部22aは上下に撓み、エンボス部22aと操作基板35上に設けたキートップ37およびタクトSW38で操作スイッチを構成し、複数の操作スイッチにより操作部15bを構成している。
【0030】
基板カバーパッキン40は基板カバー36の外周部と外蓋22に設けた基板カバーシールリブ22cで挟持され、基板カバー36と外蓋22の間を水密にシールし、万が一、蓋体15内に蒸気が侵入しても基板35が結露しないようにしてある。基板カバー36のおよそ中心部分には蒸気通路部36aが設けてある。蒸気通路部36aは外蓋を貫通して外部へと臨む形の筒状で、蒸気筒41を着脱自在に保持する。蒸気通路部36a外周と外蓋22の間は蒸気通路パッキン42で水密にシールされている。この基板カバーパッキン40と蒸気通路パッキン42によるシールで蓋体15内部に配置した操作基板35は外部からの水や蒸気が直接かからない構成となっている。また蒸気板パッキン45は蒸気通路部36aと蒸気加熱板24および加熱板29を水密にシールする。
【0031】
次に上記構成において動作を説明する。フックレバー18を押し、蓋を開け、炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋2に入れ、鍋収納部1aの所定の状態に内挿する。引き続き、操作部15bの炊飯開始スイッチ(図示せず。)を使用者が操作すると、マイコン10が炊飯開始スイッチよりの入力を受け、炊飯工程が実施される。このとき液晶39に動作状態が表示され、液晶39上の透明な樹脂を透過して、外部より液晶39の表示を目視可能にすることで表示部15cを構成し、使用者に炊飯器の動作状態を知らせる。
【0032】
底センサー9は鍋2の底面の温度を検知し、マイコン10へと信号を送る。底センサー9よりの信号を受けマイコン10は浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分された炊飯工程のそれぞれにおいて鍋2の内部の水と米の状態が適正値として設定された温度に所定時間に維持されるよう、高周波電力供給手段12より通電される底誘導コイル7や蓋誘導コイル26および側面ヒーター20の通電量を出力として制御する。
【0033】
誘導加熱方式は、各誘導コイルに通電した高周波電流から発生する高周波磁界が被加熱金属を通過する際に誘導加熱を引き起こし発熱する。ここで、高周波電力供給手段12のうち、高周波電力発生用半導体素子51aと高周波コンデンサ51bは高周波電流を各誘導コイルへ供給する際、電気抵抗ロスおよび高周波発生時のスイッチングロスで自己発熱するのであるが、高周波電力発生用半導体素子51aと高周波コンデンサ51bは自己発熱により許容温度以上に高温となると破壊する場合があり、特に高周波電力発生用素子51aは自己発熱量が大きい。そのため、自己発熱による熱で破壊しないように高周波電力発生用半導体素子51aはヒートシンク13と密着させてあり、自己発熱による熱はヒートシンク13に伝わり、冷却ファン11の風によって冷却されることで放熱され、高周波電力発生用半導体素子51aが破壊に至るようなことはない。
【0034】
しかしながら超長期間にわたる使用により、高周波電力発生用半導体素子51aは部品劣化を起こし、自己発熱量が増加していく。また本体吸気口4aにも吸気による埃などが付着し、冷却ファン11からの風の吸気効率もわるくなる。これら要因が複合的に重なり、超長期間にわたる使用状況によっては高周波電力発生用半導体素子51aが破壊に至る。高周波電力発生用半導体素子51aの破壊時には、素子内部にある半導体に大電流が流れ、高温・高熱を発して破壊するのだが、併せて一瞬光を発生する。破壊後、機器は動作停止し、不安全な現象等に至ることはないが、破壊時に発生する光を使用者が見たとき、発火したかのごとく錯覚を起こす場合があり、不安感を感じてしまう。しかしながら、本例では、高周波電力発生用半導体素子51aはヒートシンク13と密着して、本体外部より吸気穴4aを通じて高周波電力供給手段12を目視したとき、高周波電力発生用半導体素子51aはヒートシンク13に阻まれ、ボディ4の吸気口4aより直接目視できない位置に配設されているため、破壊時に発生する光が直接外部に漏れ出すことはなく、使用者からは見えない。よって、不安感を感じるようなことはない。
【0035】
前述のとおり、高周波電力発生用半導体素子51aほどではないものの、高周波コンデンサ51bも自己発熱する。そして高周波電力発生用半導体素子51aと同様に高周波コンデンサ51bも破壊時に高温・高熱を発して破壊し、併せて一瞬光を発生する。そのため、自己発熱による熱で破壊しないように冷却ファン排気部11aの風を高周波コンデンサに当てる必要がある。しかしながら、図5のような従来の構成であれば、冷却ファン60の風が直接当たるようにするには冷却ファン排気部60aからの風の吹き出し方向に高周波コンデンサ61bを配置するよう位置が限定されてしまう。加えて吸気口に対して、冷却ファン60から直線上に高周波コンデンサ61bを配置することとなり、吸気口に誤ってヘアピンやクリップなどの導電性の日用小物が入り込んで、高圧、高電流の電子部品に触れることのないことを想定して、外郭から十分な距離を確保しないとならず。高周波電力供給手段が大きくなり、製品高さが高くなってしまう。
【0036】
ここで、図1および図3のように、本例では高周波コンデンサ51bはヒートシンク13の側部であって、冷却ファン排気部11aからの風の吹き出し方向から外れた位置の配置されている。また高周波コンデンサ51bは本体外部より吸気穴4aを通じて高周波電力供給手段12を目視したとき、ボディ4の吸気口4aより高周波コンデンサ51bが直接目視できないよう不燃カバー52で周囲を覆われている。そして不燃カバー52は冷却ファン11からの風を取り込み高周波コンデンサ51bへと流す風向き板52aがある。さらに不燃カバー52はUL−94の5VA相当以上の難燃性を有する樹脂材料で構成され、不燃カバー52を挟んで高周波コンデンサ51bと対向する部分には各種電子部品が配置されている。これにより、高周波コンデンサ51bは外部から目視できないため、破壊時の光が吸気口より外部に漏れ出すことはなく、使用者に不安感を感じさせることはない。また、不燃カバー52の風向板52aで効率的に冷却ファン11の風を当てることができ、自己発熱による熱を放熱させることができる。そして、吸気口に誤ってヘアピンやクリップなどの導電性の日用小物が入り込んでも不燃カバー52により、高周波コンデンサ51bに触れることはない。併せて不燃カバー52で遮ることで高周波コンデンサ51bのすぐ近傍にも電子部品が配置可能となる。これらにより、高周波コンデンサ51bはその配置を限定されず高周波電力発生手段12の配置でき、結果として高周波電力発生手段12をコンパクト化することができる。そのため製品を小さくすることが可能となる。
【0037】
底誘導コイル7は高周波電力供給手段12より供給される電流で誘導加熱により鍋2の底面を発熱させる。ここで、底フェライト8は磁性材料で構成されており、底誘導コイル7から発生する磁界を効率よく鍋側へ集める。これにより鍋2周辺に高密度の磁界が発生し、鍋はより高効率に高発熱する。また、反射枠32が底誘導コイル7からの高周波磁界が本体1の外部に漏れ出すのを防止し、周囲の機器に影響を及ぼさないような工夫がなされている。
【0038】
蓋誘導コイル26は高周波電力供給手段12より供給される電流で誘導加熱により蒸気加熱板24と加熱板29を同時に発熱させる。ここで蒸気加熱板24は前出のとおり非磁性金属かつ0.4mm以下の薄板で構成されるため、蓋誘導コイル26から発生する高周波磁界を透過しつつ誘導加熱で自己発熱する。蒸気加熱板24を透過した高周波磁界は磁性金属でできた加熱板29の誘導加熱を引き起こし、加熱板29を自己発熱させる。これにより、蒸気加熱板24と加熱板29は同時発熱が可能となる。また蒸気加熱板24と加熱板29の発熱比は蓋誘導コイル26からの距離と蒸気加熱板24の材料物性や板圧にて任意に設定が可能である。また蓋誘導コイル26の上方の蓋反射板34が蓋誘導コイルからの高周波磁界が外部に漏れ出すのを防止し、マイコン10や周囲の機器に影響を及ぼさないような工夫がなされている。側面ヒーター20は高周波電力供給手段12より供給される電流で自己発熱し、保護枠胴を加熱する。保護枠胴が熱せられることによる輻射熱および対流熱で鍋2の側面を加熱する。
【0039】
続いて、各工程での炊飯器の動作を説明する。まず、浸水工程では米の糊化が開始しない温度まで米と水の温度が上昇するように底誘導コイル7を通電し鍋2を発熱させる。そして所定の温度で所定時間米を浸水し、米全体に十分な吸水を促す。浸水工程において、鍋2の米全体を目的の温度で均一に維持し、鍋2の米の吸水条件を均一に保つことがおいしいごはんを炊くため重要である。
【0040】
次に炊き上げ工程では、底誘導コイル7で鍋2の底面を発熱させるとともに、蓋誘導コイル26では蒸気加熱板24および加熱板29を発熱させ、側面ヒーター20では鍋側面を加熱し、鍋2全体を包み込むように加熱する。強火の加熱で一気に炊き上げ、米の芯まで熱を伝えることが重要である。誘導加熱方式だと熱板によって鍋を加熱する方式に比べ高火力で鍋を加熱することができ、よりおいしいごはんが炊き上がる。鍋2の水が沸騰す
ることにより発生した蒸気は、加熱板29に設けた加熱板蒸気口(図示せず)から蒸気通路部36aの蒸気筒41へと流れる。また、鍋パッキン31と蒸気板パッキン45により蒸気筒41以外から蒸気が外部に流出したり、蓋体15内部に流入したりすることはない。
【0041】
最後に、むらし工程では底誘導コイル7が鍋2の底面の飯が乾燥したりこげたりしない程度に鍋2の底面を発熱させる。炊飯が終了すると、保温工程へと移行する。保温工程では、底誘導コイル7が底センサー9の検知した温度にもとづき、鍋2内のごはんの温度を所定の温度に維持するよう鍋2を加熱する。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、コンパクトな炊飯器を提供することができるので、家庭用のみならず、業務用の炊飯器にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態1の炊飯器の断面図
【図2】本発明の実施の形態1の炊飯器の底面目視図
【図3】本発明の実施の形態1の炊飯器の高周波電力供給手段の斜視図
【図4】本発明の実施の形態1の炊飯器の蓋体部断面図
【図5】従来の炊飯器の断面図
【符号の説明】
【0044】
1 炊飯器本体
1a 鍋収納部
2 鍋
4a 本体吸気口
4b 本体排気口
7 底誘導コイル(加熱手段)
11 冷却ファン
12 高周波電力供給手段
13 ヒートシンク
51a 高周波電力発生用半導体素子
51b 高周波コンデンサ
52 不燃カバー
52a 風向板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在な鍋と、上面に有底筒状の鍋収納部を有する本体と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記加熱手段に高周波電力を供給する高周波電力供給手段と、前記高周波電力供給手段を冷却する冷却ファンとを有し、前記本体は前記冷却ファンへ外気を吸気および排気する吸気口と排気口とを底面に備え、前記本体外部から前記吸気口および排気口より、前記高周波電力供給手段に取り付けた高周波電力用コンデンサと高周波電力発生用半導体素子の少なくともいずれか一方が目視できないようにした誘導加熱方式のジャー炊飯器。
【請求項2】
高周波電力用コンデンサもしくは高周波電力発生用半導体素子の少なくともいずれか一方を非導電性の不燃材料からなる不燃カバーで覆った請求項1記載のジャー炊飯器。
【請求項3】
不燃性材料は、UL−94の5VA相当以上の難燃性を付与した樹脂材料で構成した請求項2記載のジャー炊飯器。
【請求項4】
高周波電力発生用半導体素子の放熱を促すヒートシンクを有し、前記ヒートシンクは冷却ファンと隣接して配置するとともに、前記不燃カバーはその少なくとも一部を前記ヒートシンクにおける、前記冷却ファンと対向する側もしくはその側面に設けた請求項2記載のジャー炊飯器。
【請求項5】
不燃カバーに冷却ファンの風向きを変える風向板を設けた請求項4記載のジャー炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−214037(P2010−214037A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67420(P2009−67420)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】