説明

ジョイントコネクタ及びジョイントコネクタの組み立て方法

【課題】 リークを防止するジョイントコネクタを提供する。また、このようなジョイントコネクタを組み立てるための組み立て方法を提供する。
【解決手段】 コネクタ側接触部22、ハウジング固定部23、及びプレスフィット部24を有する複数の接続端子13と、ハウジング固定部23の部分で接続端子13を各々固定する端子固定部1)を有するコネクタハウジング12と、複数のスルーホール(貫通孔)31を有しこのスルーホール31にプレスフィット部24を圧入して所望の接続端子13同士を電気的に接続させる多層基板(基板)14と、を備えてジョイントコネクタ11を構成する。ジョイントコネクタ11は、多層基板14を端子固定部17に対して接触状態に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば相手側コネクタハウジング内の複数個の接続端子を相互接続するジョイントコネクタに関する。また、このジョイントコネクタの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジョイントコネクタは、例えば自動車等の電気系統においてワイヤハーネスの一つの幹線路から複数の分岐路を得る場合に利用されており、下記特許文献1に開示されるような技術が一般的に知られている。図9において、下記特許文献1のジョイントコネクタ101は、コネクタハウジング102と、複数の接続端子103と、基板104と、カバー105とを備えて構成されている。
【0003】
コネクタハウジング102には、複数の接続端子103を各々固定するための端子固定部106が形成されている。この端子固定部106は、コネクタハウジング102の内部中間に形成されている。端子固定部106は、コネクタハウジング102の内部を前後二つの空間に分けるように形成されている。端子固定部106には、接続端子103を圧入固定するための複数の貫通孔107(図10参照)が形成されている。コネクタハウジング102の後端108は、基板104を載置して固定することができるように形成されている。
【0004】
図9及び図10において、接続端子103は、コネクタ側接触部109と、コネクタ側接触部109に連続するハウジング固定部110と、ハウジング固定部110に連続するプレスフィット部111とを有して図示のようなピン状となる形状に形成されている。コネクタ側接触部109は、コネクタハウジング102のコネクタ嵌合空間112側に突出して相手側コネクタと電気的に接続されるように形成されている。ハウジング固定部110は、端子固定部106に圧入されるように形成されている。プレスフィット部111は、基板104に対して電気的に接続されるように形成されている。
【0005】
基板104には、この表裏面に導電路113が形成されている。また、基板104には、この表裏面を貫通する貫通孔114が形成されている。貫通孔114には、表裏面の導電路113に導通する導電部115が形成されている。カバー105は、基板104を覆いつつコネクタハウジング102の後端108側に嵌合するように形成されている。
【0006】
上記構成において、ジョイントコネクタ101は、基板104をコネクタハウジング102の後端108に固定する第一工程と、接続端子103をコネクタハウジング102及び基板104に圧入して電気的に接続する第二工程と、カバー105をコネクタハウジング102に嵌合させる第三工程とを順に経ることにより組み立てられている。
【0007】
ここで、上記第二工程に関してもう少し詳しく説明すると、接続端子103は、コネクタハウジング102のコネクタ嵌合空間112側から差し込まれるようになっている。この時、接続端子103のハウジング固定部110は、端子固定部106の貫通孔107に圧入固定され、また、端子固定部106から突出した接続端子103のプレスフィット部111は、基板104の導電部115に圧入され電気的に接続されるようになっている。
【特許文献1】特開2004−229335号公報 (第4−5頁、第2−4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記従来技術にあっては、ハウジング固定部110と基板104との間に空間116が形成されている。従って、接続端子103を差し込み、端子固定部106から突出したプレスフィット部111を導電部115に電気的に接続する際に、プレスフィット部111のメッキが導電部115への差し込みによって削り取られると、メッキのカスが空間116を介して他接点に移動する恐れがある。上記従来技術は、リークの発生があるという問題点を有している。
【0009】
また、上記従来技術にあっては、基板104とカバー105の底面との間に空間117が形成されている。従って、空間117に導電性のゴミ等が介在した場合には、リークの発生があるという問題点を有している。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、リークを防止することが可能なジョイントコネクタを提供することを課題とする。また、このようなジョイントコネクタを組み立てるための組み立て方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のジョイントコネクタは、コネクタ側接触部、ハウジング固定部、及びプレスフィット部を有する複数の接続端子と、前記ハウジング固定部の部分で前記接続端子を各々固定する端子固定部を有するコネクタハウジングと、複数の貫通孔を有し該貫通孔に前記プレスフィット部を圧入して所望の前記接続端子同士を電気的に接続させる基板と、を備えるジョイントコネクタにおいて、前記基板を前記端子固定部に対し接触状態に配置することを特徴としている。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、基板をコネクタハウジングの端子固定部に接触させる構造となる。基板と端子固定部とを接触状態にすれば、メッキのカスや導電性のゴミ等が移動する空間の形成が阻害される。基板と端子固定部とを接触状態にするためには、端子固定部を厚肉にすることが一例として挙げられる。
【0013】
請求項2記載の本発明のジョイントコネクタは、請求項1に記載のにジョイントコネクタおいて、前記コネクタハウジングに嵌合するカバーを備え、該カバーを前記基板に対して接触可能に形成するとともに、前記カバーの基板接触面に前記基板から突出する前記プレスフィット部の端部を収容する複数の凹部を形成することを特徴としている。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、カバーに基板接触面を形成し、この基板接触面を基板に接触させる構造となる。また、各プレスフィット部の端部をカバーの対応する凹部に収容する構造となる。カバーと基板とを接触状態にし、プレスフィット部の端部を凹部に収容すれば、メッキのカスや導電性のゴミ等が移動する空間の形成が阻害される。
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の本発明のジョイントコネクタの組み立て方法は、コネクタ側接触部、ハウジング固定部、及びプレスフィット部を有する複数の接続端子を、前記ハウジング固定部及び前記プレスフィット部が突出するよう端子受け治具に差し込む工程と、端子固定部を有するコネクタハウジングを前記複数の接続端子に対して被せ、前記端子固定部を前記ハウジング固定部に当接させる工程と、複数の貫通孔を有する基板を前記コネクタハウジングの基板収納部にセットし、前記貫通孔を前記プレスフィット部に当接させる工程と、前記基板を前記端子固定部に接触させる方向に荷重をかけて前記基板を前記端子固定部に接触させるとともに、前記端子固定部と前記ハウジング固定部、及び前記貫通孔と前記プレスフィット部をそれぞれ圧入状態にする工程と、を含むことを特徴としている。
【0016】
このような特徴を有する本発明によれば、基板をコネクタハウジングの端子固定部に接触させるとともに、端子固定部とハウジング固定部、及び貫通孔とプレスフィット部をそれぞれ圧入状態にする作業が一括して行われる。作業を一括して行わない場合には、各作業の合間にメッキのカスや導電性のゴミ等が移動する恐れがある。本発明によればこれを防止することが可能になる。
【0017】
請求項4記載の本発明のジョイントコネクタの組み立て方法は、請求項3に記載のジョイントコネクタの組み立て方法において、前記基板を前記端子固定部に接触させた状態で前記基板から突出する前記プレスフィット部の端部を収容する複数の凹部を有するカバーを、該カバーの基板接触面が前記基板に接触した状態で前記コネクタハウジングに嵌合させる工程をさらに含むことを特徴としている。
【0018】
このような特徴を有する本発明によれば、カバーの嵌合と同時にカバーの基板接触面が基板に接触する。また、プレスフィット部の端部が凹部に収容される。カバーが嵌合することにより、メッキのカスや導電性のゴミ等が移動する空間の形成が阻害される。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載された本発明によれば、基板をコネクタハウジングの端子固定部に接触させることによってリークを防止するジョイントコネクタの提供をすることができるという効果を奏する。
【0020】
請求項2に記載された本発明によれば、リーク防止効果を高めたジョイントコネクタを提供することができるという効果を奏する。
【0021】
請求項3に記載された本発明によれば、基板をコネクタハウジングの端子固定部に接触させたジョイントコネクタの、効率の良い組み立て方法を提供することができるという効果を奏する。
【0022】
請求項4に記載された本発明によれば、リーク防止効果を高めたジョイントコネクタの組み立て方法を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明のジョイントコネクタの一実施の形態を示す分解斜視図である。また、図2はジョイントコネクタの斜視図、図3は図2のA−A線断面図、図4は図3の要部拡大断面図である。
【0024】
図1ないし図4において、引用符号11は本発明のジョイントコネクタを示している。本発明のジョイントコネクタ11は、コネクタハウジング12と、コネクタハウジング12に固定される複数の接続端子13と、接続端子13が各々差し込まれる多層基板14(基板)と、コネクタハウジング12の後面に嵌合するカバー15とを備えて構成されている。本発明のジョイントコネクタ11は、リーク防止効果を奏する構造と、ジョイントコネクタ11を組み立てる方法とに特徴を有している。先ず、各構成部材について詳細に説明する。
【0025】
上記コネクタハウジング12は、絶縁性を有する合成樹脂材料を用いて成形されている。コネクタハウジング12の前面側には、図示しない複数の相手側コネクタの各コネクタハウジングを嵌合させるための嵌合部16が形成されている。コネクタハウジング12の中間内部には、上記複数の接続端子13に対する端子固定部17が形成されている。コネクタハウジング12の後面側には、上記多層基板14を収納するとともに、上記カバー15が外側に嵌合する基板収納部18が形成されている。
【0026】
嵌合部16は、差し込まれる相手側コネクタの各コネクタハウジングを案内するとともに、この各コネクタハウジングを係止することができる形状に形成されている。また、嵌合部16は、特に限定するものではないが、三つの嵌合部(第一嵌合部16a〜第三嵌合部16c)を有するように形成されている。
【0027】
端子固定部17は、嵌合部16の奥に存在する奥壁に相当する部分であって、端子圧入用の貫通孔19が複数形成されている。この貫通孔19は、端子固定部17の前面及び後面に対して直交するように貫通形成されている。貫通孔19は、段付き形状に形成されている。貫通孔19は、嵌合部16側(端子固定部17の前面)から差し込まれることになる接続端子13が所定の位置で止まるように形成されている。このような貫通孔19は、本形態において、次の数だけ形成されている(一例であるものとする)。すなわち、第一嵌合部16a及び第二嵌合部16bに対応する部分には、それぞれ3×9個の貫通孔19が形成されている。また、第三嵌合部16c対応する部分には、11×9個の貫通孔19が形成されている。
【0028】
基板収納部18は、コネクタハウジング12の後面を解放するように形成されている。また、基板収納部18は、上記多層基板14と上記カバー15との厚みを考慮してその深さ及び広さが設定されている。このような基板収納部18には、上記カバー15の先端部が差し込まれる凹部20と、上記カバー15の後述する係止突起35が引っ掛かる係止部21とが形成されている。
【0029】
上記接続端子13は、導電性を有する金属材料から製造されている。接続端子13は、コネクタ側接触部22とハウジング固定部23とプレスフィット部24とを有しており、例えば図示のような略ピン形状に形成されている。接続端子13は、プレスフィット部24を有することから、プレスフィット端子と称してもよいものとする。
【0030】
コネクタ側接触部22は、接続端子13をコネクタハウジング12に固定した際に、嵌合部16側に突出して上記相手側コネクタの接続端子に接触する部分として形成されている。コネクタ側接触部22は、本形態においてピン形状に形成されているが、これに限らずタブ形状に形成してもよいものとする。
【0031】
ハウジング固定部23は、接続端子13の中間に形成されている。ハウジング固定部23は、接続端子13をコネクタハウジング12に固定した際に、端子固定部17の貫通孔19に圧入される部分として形成されている。このようなハウジング固定部23には、貫通孔19の段付き部分に当接する当接部25と、貫通孔19の内面に食い込む抜け止め部26とが形成されている。当接部25はコネクタ側接触部22側に、抜け止め部26はプレスフィット部24側に形成されている。
【0032】
プレスフィット部24は、接続端子13をコネクタハウジング12に固定した際に、基板収納部18側に突出して上記多層基板14に差し込まれる部分として形成されている。このようなプレスフィット部24は、ハウジング固定部23側に位置するとともに弾性変形可能な例えば楕円形状の本体部分27と、その本体部分27に連続するとともに先端側に位置するピン形状の案内部28とを有している。
【0033】
上記多層基板14は、複数の基板29を積層して構成される部材であって、特に限定するものではないが、四つの基板29a〜29dにより形成されている。各基板29同士は、接着剤や固定部材を用いる適宜固定手段により固定されている。各基板29には、所望の経路の回路30がプリントにより複数配索されている。回路30は、本形態において、接続端子13が差し込まれる側の面(表面)に複数、プリント配索されている。各基板29は、既知のプリント回路基板と同様に形成されている。
【0034】
多層基板14の各基板29には、スルーホール31(貫通孔)が複数形成されている。スルーホール31は、接続端子13のプレスフィット部24が差し込まれる部分であって、接続端子13の上記数及び配置に合わせて形成されている。また、スルーホール31は、差し込まれるプレスフィット部24の本体部分27が弾性変形するような大きさに形成されている。
【0035】
スルーホール31は、本体部分27と回路30とを導通させるための回路導通部(不図示)を有するスルーホール31aと、上記回路導通部(不図示)を設けない単なる貫通孔のスルーホール31bとに分けられており、使い分けによって所望の接続端子13同士を電気的に接続することができるようになっている。スルーホール31aは、上記回路導通部(不図示)を有することから、回路30を貫通するように形成されている。これに対し、スルーホール31bは、基板29の回路30がない部分を貫通するように形成されている。
【0036】
尚、多層基板14を用いずに基板単体を用いてもよいものとする。基板単体は、特に図示しないが、一枚のプリント回路基板であって、上記基板29よりも厚みを有しており、その表裏面には、それぞれ所望の経路の回路がプリント配索されている。基板単体は、多層基板14よりも回路数が少ない場合に有用になっている。多層基板14は、特に図示しないが、基板収納部18に収容されるとネジ止めによって固定されるようになっている(一例であるものとする)。
【0037】
上記カバー15は、コネクタハウジング12の基板収納部18に差し込まれて係止される部材であって、底部32と側部33とを有しており、浅底の箱形状に形成されている。カバー15の底部32は、平坦な板状に形成されており、内側の面が多層基板14に接触する基板接触面32aとして形成されている(特に限定するものではないが、基板接触面32aを多層基板14に接触させる構造が好ましいものとする)。基板接触面32aには、多層基板14を貫通して突出するプレスフィット部24の先端(端部)が差し込まれる凹部34が複数形成されている。凹部34は、接続端子13の上記数及び配置に合わせて形成されている。
【0038】
カバー15の側部33には、コネクタハウジング12の係止部21に係止される係止突起35が複数形成されている。係止突起35は、爪形状に形成されている。係止突起35には、スムーズな係止を図るためのテーパ面が形成されている。
【0039】
尚、カバー15の設定は任意であるものとする。本形態のように構成に含めた場合には、多層基板14の保護と保持とリーク防止とに効果的である。
【0040】
次に、上記構成に基づいて、本発明のジョイントコネクタ11の組み立て方法を説明する。本発明のジョイントコネクタ11は、大きく分けると四つの工程を順に経ることによって組み立てられるものとする。図5〜図8は各組み立て工程の説明図である。
【0041】
第一工程では、先ず、図示しないリールから接続端子13を必要な数だけカットする作業を行う。本形態の場合では、接続端子13が9個で横一列になるようにカットする(一例であるものとする)。次に、カットした接続端子13の列を、一列ずつ端子受け治具36にセットする作業を行う。端子受け治具36へのセットは、接続端子13のコネクタ側接触部22を端子受け治具36の差し込み穴37に差し込んで行う。この時、接続端子13のハウジング固定部23の当接部25を差し込み穴37の開口縁部に当接させるように差し込んでセットする。端子受け治具36へのセットが完了すると、接続端子13は、ハウジング固定部23とプレスフィット部24と接続端子13の列のキャリア(図示省略)とが突出する。続いて、図示しないキャリアカット治具を用いて、接続端子13の列のキャリア(図示省略)を一括してカットする作業を行う。以上の第一工程の各作業が完了すると図5に示される状態になる。
【0042】
第二工程では、コネクタハウジング12を端子受け治具36の複数の接続端子13に対して被せ、コネクタハウジング12の端子固定部17を接続端子13のハウジング固定部23に当接させる作業を行う。端子固定部17の貫通孔19は、段付き形状であり、この貫通孔19の段がハウジング固定部23の抜け止め部26に当接する。第二工程では、図6に示される状態になる。端子固定部17は、ハウジング固定部23の抜け止め部26に当接すると、端子受け治具36から離れた位置の配置となる。
【0043】
第三工程では、多層基板14をコネクタハウジング12の基板収納部18にセットし、多層基板14のスルーホール31を接続端子13のプレスフィット部24に当接させる作業を行う。多層基板14のスルーホール31は、コネクタハウジング12の端子固定部17から突出状態にあるプレスフィット部24の本体部分27に当接する。プレスフィット部24の案内部28は、多層基板14を貫通して先端(端部)が突出する。第三工程では、図7に示される状態になる。多層基板14は、プレスフィット部24の本体部分27に当接すると、端子固定部17から僅かに離れた位置の配置となる。
【0044】
第四工程では、多層基板14を端子固定部17に接触させるとともに、端子固定部17とハウジング固定部23とを圧入状態に、及びスルーホール31とプレスフィット部24とを圧入状態にする作業を行う。第四工程では、図8に示されるように、端子打ち込み治具38を用いて多層基板14を端子固定部17に接触させる方向に荷重をかける。端子打ち込み治具38から受ける荷重により、多層基板14及び端子固定部17は端子受け治具36側へ押し込まれ、この結果、多層基板14と端子固定部17とが密着状態のように接触する。また、端子固定部17とハウジング固定部23とが圧入状態に、さらにスルーホール31とプレスフィット部24とが圧入状態になる。接続端子13は、端子固定部17に固定されるとともに、多層基板14との接続も一括して行われる(多層基板14と端子固定部17とが密着状態のように接触することから、仮に接続端子13のメッキ削れが生じても他接点へのメッキ移動は阻止される。削れたメッキは、スルーホール31又は貫通孔19に溜まる)。
【0045】
第四工程において、端子打ち込み治具38を用いての接続端子13の打ち込み作業が完了すると、端子打ち込み治具38を取り外して多層基板14を端子固定部17に対しネジ止めする作業を行う。続いて、多層基板14から若干突出したプレスフィット部24の先端(端部)及び基板表面に防湿コーティングを施す作業を行う。最後に、コネクタハウジング12の後面にカバー15を嵌合させる作業を行う。図3及び図4に示されるように、カバー15の嵌合が完了すると、多層基板14から若干突出したプレスフィット部24の先端(端部)は、カバー15の凹部34に収容され、カバー15の基板接触面32aは、多層基板14に密着状態のように接触する(仮にメッキ削れが生じても、この削れたメッキは、スルーホール31又は凹部34に溜まる)。これにより一連の組み立て工程が終了し、本発明のジョイントコネクタ11は完成する。
【0046】
本発明のジョイントコネクタ11の嵌合部16に相手側コネクタをコネクタ接続させると、例えばワイヤハーネスの一つの幹線路から複数の分岐路が得られるようになる。
【0047】
以上、図1ないし図8を参照しながら説明してきたように、多層基板14と端子固定部17とを密着状態のように接触させる構造を有することから、仮に接続端子13のメッキ削れが生じても他接点へのメッキ移動を阻止することができる。従って、リークを防止することができる。
【0048】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のジョイントコネクタの一実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】ジョイントコネクタの斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図3の要部拡大断面図である。
【図5】ジョイントコネクタの組み立てに係る第一工程の説明図である。
【図6】ジョイントコネクタの組み立てに係る第二工程の説明図である。
【図7】ジョイントコネクタの組み立てに係る第三工程の説明図である。
【図8】ジョイントコネクタの組み立てに係る第四工程の説明図である。
【図9】従来例のジョイントコネクタの断面図である。
【図10】図9の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0050】
11 ジョイントコネクタ
12 コネクタハウジング
13 接続端子
14 多層基板(基板)
15 カバー
16 嵌合部
17 端子固定部
18 基板収納部
19 貫通孔
20 凹部
21 係止部
22 コネクタ側接触部
23 ハウジング固定部
24 プレスフィット部
25 当接部
26 抜け止め部
27 本体部分
28 案内部
29 基板
30 回路
31 スルーホール(貫通孔)
32 底部
32a 基板接触面
33 側部
34 凹部
35 係止突起
36 端子受け治具
37 差し込み穴
38 端子打ち込み治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ側接触部、ハウジング固定部、及びプレスフィット部を有する複数の接続端子と、前記ハウジング固定部の部分で前記接続端子を各々固定する端子固定部を有するコネクタハウジングと、複数の貫通孔を有し該貫通孔に前記プレスフィット部を圧入して所望の前記接続端子同士を電気的に接続させる基板と、を備えるジョイントコネクタにおいて、
前記基板を前記端子固定部に対し接触状態に配置する
ことを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のジョイントコネクタおいて、
前記コネクタハウジングに嵌合するカバーを備え、該カバーを前記基板に対して接触可能に形成するとともに、前記カバーの基板接触面に前記基板から突出する前記プレスフィット部の端部を収容する複数の凹部を形成する
ことを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項3】
コネクタ側接触部、ハウジング固定部、及びプレスフィット部を有する複数の接続端子を、前記ハウジング固定部及び前記プレスフィット部が突出するよう端子受け治具に差し込む工程と、
端子固定部を有するコネクタハウジングを前記複数の接続端子に対して被せ、前記端子固定部を前記ハウジング固定部に当接させる工程と、
複数の貫通孔を有する基板を前記コネクタハウジングの基板収納部にセットし、前記貫通孔を前記プレスフィット部に当接させる工程と、
前記基板を前記端子固定部に接触させる方向に荷重をかけて前記基板を前記端子固定部に接触させるとともに、前記端子固定部と前記ハウジング固定部、及び前記貫通孔と前記プレスフィット部をそれぞれ圧入状態にする工程と、
を含む
ことを特徴とするジョイントコネクタの組み立て方法。
【請求項4】
請求項3に記載のジョイントコネクタの組み立て方法において、
前記基板を前記端子固定部に接触させた状態で前記基板から突出する前記プレスフィット部の端部を収容する複数の凹部を有するカバーを、該カバーの基板接触面が前記基板に接触した状態で前記コネクタハウジングに嵌合させる工程をさらに含む
ことを特徴とするジョイントコネクタの組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−216501(P2006−216501A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30631(P2005−30631)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】