説明

ジョイントユニット

【課題】ホルダに対するアームの回転角の固定を行うための機構の大型化や、作動不良を招くことのないジョイントユニットを構成する。
【解決手段】筒状のケース10の端部に形成したホルダ12に対してアーム13の基端側のボール状のジョイント部14を収容し、このジョイント部14をホルダ内面12Sに圧接させ、回動角の固定を行うロック機構Lを備えた。ロック機構Lはノブ19の人為操作によりボルト18をケース10内に突出させ、この押圧力をローラ状の第1押圧体21、これに接触する第2押圧体22に伝える。更に、第1押圧体21の押圧力を圧力ブロック16に伝え、この圧力ブロック16の押圧力でジョイント部14をホルダ内面12Sに圧接させる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルダと、このホルダに収容されるジョイント部を有するアームと、前記ジョイント部を前記ホルダの内面に圧接させることで前記アームを任意の回動角で固定するロック機構とを備えているジョイントユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成されたジョイントユニットに関連するものとして特許文献1が存在し、圧接に関連する技術として特許文献2に記載されるものが存在する。
【0003】
特許文献1には、ボールジョイントの基部16に形成された球頭部21をハウジング17の内部に抜け止め状態で収容し、球頭部21に一体形成された首部22をハウジング17の外部に突出させ、更に、保持部11に備えられたネジ棒19からの圧力をハウジング17の内部のアタッチメント18から球頭部21に伝え、この球頭部21をハウジング17の内面に圧接されることで、ハウジング17に対する基部16の回転角を任意に固定できる構成が示されている。
【0004】
特許文献2には、被把握物100の円筒形の外周面101に当接し、被把握物100の中心方向に変形することで被把握物100を把握する3つの把握部11A、11B、11Cを備え、第1の部材21と、これの両側に回動可能に連結された板状の第2の部材22A、22Bと、この第2の部材22A、22Bの端部に配設された円筒部材23A、22Bとを備えており、円筒部材23Aと把握部11Aとの間にボール26を配置し、六角レンチ40で操作による圧力を第1の部材21に作用させる雄ねじ部材43を備えた構成が示されている。
【0005】
この特許文献2では、第2の部材22Aと第2の部材22Bとが屈曲状態で屈曲部材収容孔33に収容され、雄ねじ部材43の回転操作で、雄ねじ部材43からの圧力を第1の部材21に作用させ、この第1の部材21からの力で第2の部材22Aと円筒部材23とを変位させ、結果として、3つの把握部11A、11B、11Cで被把握物100に圧接して把握する点が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004‐52911号公報 (段落番号〔0010〜0024〕、図3、図4)
【特許文献2】特開2006‐123105号公報 (段落番号〔0017〜0031〕、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されるボールジョイントでは、筒状に構成されたハウジング(本発明のホルダ)の端部を小径部化することにより球頭部(本発明のジョイント部)の抜け止め部を形成している。そして、基部(本発明のアーム)の回転角を固定する場合には、ネジ棒(本発明のロック機構の一部)からの押圧力をアタッチメントから球頭部に作用させ、この球頭部を抜け止め部の内面に圧接させることにより、夫々の接触面の摩擦力で基部とハウジングとがロック状態に達し相対的な角度が保持される。
【0008】
また、特許文献1に記載されるボールジョイントでロックを行う場合には、球頭部(本発明のジョイント部)を抜け止め部の内面に対してできるだけ広い面で均等に圧接することが安定的なロック状態を現出するため、筒状に構成されたハウジング(本発明のホルダ)の軸芯(筒状の部位の軸芯)上にネジ棒を配置することで、この軸芯に沿う方向から圧力を作用させる構成が採用されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されるネジ棒を配置したものでは、軸芯方向での寸法が拡大しやすく改善の余地がある。
【0010】
そこで、例えば、軸芯と直交する姿勢でロック用のネジ体を配置し、このネジ体からの力を軸芯に沿う方向に変換してジョイント部に伝える楔型等のスライド部材を用いることが考えられる。しかしながら、この種のスライド部材を用いるものでは、スライド部材の滑動性の低下やコジリの発生によって円滑な作動を損なうことも考えられた。
【0011】
このような不都合を解消するために、特許文献2に記載されるように、複数の把持部でロック対象を把持するロック構成を利用することも考えられるが、この特許文献2では部品点数が多く、コスト上昇を招き、組み立てにも手間が掛かる点において採用し難いものであった。
【0012】
本発明の目的は、ホルダに対するアームの回転角の固定を行うための機構の大型化や、作動不良を招くことのないジョイントユニットを合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の特徴は、ホルダと、このホルダに収容されるジョイント部を有するアームと、前記ジョイント部を前記ホルダの内面に圧接させることで前記アームを任意の回動角で固定するロック機構とを備えているジョイントユニットであって、
前記ロック機構が、ホルダ内にクランプからの押圧力が作用する断面形状円形の第1押圧体と、この第1押圧体との接触により押圧力が伝えられる断面形状円形の第2押圧体と、第1押圧体又は第2押圧体からの力をジョイント部に作用させホルダ内面に圧接させる圧力ブロックとを備えている点にある。
【0014】
この構成によると、クランプを押圧力作用方向に操作した場合には、このクランプからの押圧力第1押圧体に作用し、この第1押圧体から第2押圧体に作用し、更に、これらの一方からの押圧力が圧力ブロックに作用することでジョイント部がホルダ内面に圧接してホルダとアームとが固定状態に達する。このように第1押圧体と第2押圧体とを介して圧力ブロックに押圧力を作用させる構成であるため、圧力ブロックに圧力を作用させる方向に沿う姿勢でネジ等を備えない構成を採用できる。また、第1押圧体と第2押圧体との断面形状が円形であるので、円形となる夫々の外面同士を介して押圧力を伝えることが可能となり、押圧力が作用する場合にも夫々が回動し、押圧力が解除された場合にも夫々が容易に回動する。従って、ホルダに対するアームの回転角の固定を行うための機構の作動不良を招くことのないジョイントユニットが構成された。
【0015】
本発明は、前記圧力ブロックを軸芯の方向に移動自在に収容し、かつ、前記第1押圧体と第2押圧体とを収容する内部空間が形成された筒状のケースが備えられると共に、
前記クランプが、前記ケースに形成した雌ネジ部に螺合するボルトに回転操作部を備えた構造を有しており、このクランプのボルトの先端部が前記ケースの内壁面と一致する状態で前記第1押圧体と第2押圧体との相対的な位置関係が維持されるように設定しても良い。
【0016】
この構成により、ケースに備えたクランプの回転操作部の操作でボルトが回動した場合には、このボルトからの力が第1押圧体と第2押圧体とに伝えられ、更に、圧力ブロックに伝えられる。また、ボルトの先端がケースの内壁面と一致する位置まで操作された場合にも、第1押圧体と第2押圧体との相対的な位置関係が維持される結果、ボルトからの押圧力を確実に第1押圧体に伝えることが可能となる。
【0017】
本発明は、前記内部空間の前記軸芯と直交する方向での寸法と、第1押圧体の断面寸法と、第2押圧体の断面寸法と、前記圧力ブロックにおける内部空間側の面から前記軸芯の方向で対向する面までの寸法との設定により、前記第1押圧体と第2押圧体との相対的な位置関係が維持されても良い。これによると、ホルダの内部空間において第1押圧体と第2押圧体とが接触し、第1押圧体と第2押圧体とが互いに接触することにより自由な移動が規制され第1押圧体と第2押圧体との相対的な位置関係を維持することが可能となる。
【0018】
本発明は、前記第1押圧体を保持する第1保持部材と、前記第2押圧体を保持する第2保持部材とを備えると共に、前記第1押圧体と第2押圧体とを圧接させる方向に前記第1部材と第2保持部材との何れか一方に対して前記クランプからの押圧力を作用させても良い。これによると、クランプからの押圧力によって第1保持部材と第2保持部材とが相対的に偏位することから第1押圧体と第2押圧体との一方からの押圧力を圧力ブロックに作用させホルダとアームとを固定状態にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、定盤やテーブルに支持されるベースユニットBと、ジョイントユニットJと、ダイヤルゲージ型のゲージユニットGとを一連に連結して測定器が構成されている。
【0020】
この測定器は、先ず、ベースユニットBを鉄製の定盤やテーブルに対しマグネットの磁力により吸着固定した状態でベースユニットBとゲージユニットGとの相対的な位置関係を設定する。この後に、ジョイントユニットJでベースユニットBとゲージユニットGとの相対的位置を固定する。そして、定盤やテーブルに治具等を介して支持したワークや工具等の計測対象の外面にゲージユニットGの接触子4の端部を接触させ、ゲージユニットGの指針5Aから計測値の読み取りを実現するものである。
【0021】
ベースユニットBは、筐体1の外面にハンドル2を備え、このハンドル2の回動操作で筐体1の内部のマグネット(永久磁石・図示せず)の位置を変更し、鉄製のテーブルに吸着固定する状態と、吸着を解除する状態とに切り換え自在に構成されている。
【0022】
ゲージユニットGは、緩衝構造を介してジョイントユニットJに支持されたゲージハウジング3と、このゲージハウジング3に備えられた軸状の接触子4と、ゲージハウジング3に形成されたダイヤル表示部5とを備えている。接触子4の外端部には球体4Aが形成され、この球体4Aを計測対象に接触させた際の接触子4の軸芯方向への変位量が機械的な回動量としてダイヤル表示部5の指針5Aに与えられる構造を備えている。
【0023】
緩衝構造は、ブロック状のフレーム7に対して湾曲成形した板バネ部8を一体的に備え、フレーム7に対してグリップ9Aで回動操作される調整ボルト9を螺合させた構造を有している。そして、グリップ9Aの回動操作により調整ボルト9の先端を板バネ部8の遊端側に接当させることにより初期弾性変形量を設定し、計測時には板バネ部8の弾性変形により計測方向での融通を作り出す。
【0024】
ジョイントユニットJは、円筒状の鋼材で成るケース10の両端部にホルダ11、12が備えられると共に、このケース10の中間部にロック機構Lが備えられている。尚、一方のホルダ11はケース10に回転自在に支持された別部材(鋼材)で成り、他方のホルダ12はケース10と一体的に形成されている。
【0025】
ベースユニットBに連結するアーム13の基端のボール状のジョイント部14が一方のホルダ11に収容され、ゲージユニットGに連結するアーム13の基端のボール状のジョイント部14が他方のホルダ12に収容されている。
【0026】
アーム13は、外周にネジ溝を形成したボルト構造を有しており、一方のアーム13をベースユニットBの筐体1に螺合させロックナット13Nにより固定し、他方のアーム13をゲージユニットGのフレーム7に螺合させ、ロックナット13Nにより連結固定している。
【0027】
ホルダ11、12の外端部を小径化することでジョイント部14の抜け止め部が形成され、また、この外端部の内側には、ジョイント部14の半径と等しい半径の凹面状となるホルダ内面11S、12Sが形成されている。更に、このホルダ11、12のうちアーム13が挿通する開口の周囲の一部にアーム13が嵌り込む切り欠き溝11T、12Tが半径方向に沿う姿勢で形成され、この切り欠き溝11T、12Tにアーム13が嵌り込む姿勢で大きい回動角を得るように構成されている。
【0028】
ケース10の外周の中心位置(内周面の中心位置と一致する)にケース軸芯Xを想定しており、このケース10のうちホルダ11が配置される部位の外周面が小径化されている。この小径化部分にホルダ11に一体形成されたスリーブ11Aを外嵌し、スリーブ11Aとケース10との間に抜け止めを行う係合体15を配置している。この構成により、ホルダ11がケース10に対してケース軸芯Xの方向での位置が維持される状態で、ケース軸芯X周りで回転自在に支持される。
【0029】
ロック機構Lは、クランプLcからの押圧力が伝えられるケース内部のローラ状の第1押圧体21と、この第1押圧体21からの押圧力が伝えられるローラ状の第2押圧体22と、第1押圧体21からの押圧力が伝えられるゲージユニット側の圧力ブロック16と、第2押圧体22からの押圧力が伝えられるベースユニット側の圧力ブロック16とを備えている。また、ケース10の内部でクランプLcと対向する位置には第2押圧体22を支持するプレート23がケース10の内面に接着や溶接の技術又はケース10とピンの係合により固定状態で備えられている。
【0030】
図3及び図4に示すように、クランプLcは、ケース10に形成した雌ネジ部に対しケース軸芯Xと直交する姿勢で螺合するボルト18と、このボルト18を手動により回転操作する回転操作部としてのノブ19とを備えている。尚、第1押圧体21と第2押圧体22とは断面形状円形の鋼材を用いてローラ状に成形されている。2つの圧力ブロック16は夫々とも、金属あるいは樹脂を用いて全体的にピストン状に成形され、ケース10の内部においてケース軸芯Xに沿って移動可能に嵌め込まれている。
【0031】
このジョイントユニットJでは、クランプLcのボルト18がケース10の内壁面と一致する位置に設定された状態でも、第1押圧体21と第2押圧体22との相対的な位置関係が維持されるように、ケース10の内部空間においてケース軸芯Xに沿う方向で第1押圧体21と第2押圧体22とが移動可能な領域の寸法Sと、ボルト18の軸芯と平行する方向(ケース軸芯Xとプレート23の表面とに直交する方向)で第1押圧体21と第2押圧体22とが移動可能な領域の寸法Hと、横方向で第1押圧体21と第2押圧体22とが移動可能な領域の寸法Wとが設定されている。
【0032】
尚、寸法Sは、クランプLcのボルト18から第1押圧体21に作用する圧力が解除された状態で、一対の圧力ブロック16夫々の内部空間側の面同士のケース軸芯Xの方向での距離となる。更に、第1押圧体21と第2押圧体22とがローラで構成され、前述したようにプレート23がケース10の内面に固定状態で備えられているため、夫々がケース軸芯Xを中心として、ケース内部で回転する不都合も解消される。
【0033】
具体的には、第1押圧体21と第2押圧体22とに同じ半径rのローラを用いていることから、前述した寸法Sが、第1押圧体21の直径(2r)と、第2押圧体22との直径(2r)との和より小さくなる(S<4r)ように寸法関係が設定されている。また、前述した寸法Hが、第1押圧体21の直径(2r)と、第2押圧体22との直径(2r)との和より小さくなる(H<4r)ように寸法関係が設定される。
【0034】
この実施形態では、クランプLcのボルト18がケース10の内壁面と一致する位置にある状態では、2つの圧力ブロック16がプレート23に接触する位置関係を想定しているため、寸法Sとはケース軸芯Xに沿う方向でのプレート23の寸法と一致する。また、クランプLcのボルト18がケース10の内壁面と一致する位置にある状態においてプレート23の表面位置と、これに対向するケース10内面に第1押圧体21の両端部が接触する位置との間の距離が寸法Hとなる。
【0035】
また、クランプLcのボルト18がケース10の内壁面と一致する位置にある状態で第2押圧体22が、長手方向に移動し得る領域の長さが寸法Wとなる。
【0036】
尚、相対的な位置関係が維持される状態とは、以下の状態の組み合わせによって成立する。つまり、第1押圧体21が、ケース10の内面に接触して長手方向の移動が規制された状態で、この第1押圧体が、第2押圧体22又はゲージユニット側の圧力ブロック16に接触する。第2押圧体22が、ケース10の内面に接触して長手方向の移動が規制された状態で、第2押圧体22が第1押圧体21又はプレート23に接触すること、又は、ベースユニット側の圧力ブロック16に接触する状態。
【0037】
このように相対的な位置関係が維持されることにより、第2押圧体22がプレート23に接触又は近接し、かつ、この第2押圧体22がベースユニット側の圧力ブロック16に接触又は近接する位置にあり、しかも、第1押圧体21がクランプLcのボルト18の先端に接触又は近接し、かつ、この第1押圧体21がゲージユニット側の圧力ブロック16に接触又は近接する位置にある位置関係となり、外部から衝撃が作用した場合や、何れの方向から重力が作用した場合でも、この位置関係が維持される。
【0038】
このような構成のため、クランプLcのノブ19をロック方向に操作した場合には、ノブ19の回転操作力によってボルト18の先端から第1押圧体21に押圧力を作用させると同時に、この第1押圧体21に接触する第2押圧体22にボルト18の先端からの押圧力を作用させる。
【0039】
この押圧力により、第1押圧体21と第2押圧体22とが夫々の外周面を廻るように移動し、第1押圧体21と第2押圧体22とが2つの圧力ブロック16の距離(ケース軸芯X方向での距離)を拡大する方向に、各々が接触する圧力ブロック16に力を作用させる。この結果、圧力ブロック16からの押圧力が作用するジョイント部14はホルダ内面11S、12Sに押し付けられ、ロック状態に達し、アーム13が任意の回動角で固定される。これと同時に、ホルダ11のケース軸芯Xでの回転が阻止され、ケース10に固定される。
【0040】
これとは逆に、クランプLcのノブ19をロック解除方向に操作した場合には、ノブ19の回転操作力によってボルト18の先端が第1押圧体21から離間する方向に移動し、第1押圧体21と第2押圧体22とに作用する押圧力が同時に解除されるため、2つの圧力ブロック16の距離(ケース軸芯X方向での距離)が短縮する方向へ夫々の移動が許され、ジョイント部14とホルダ内面11S、12Sとの圧接が解除され、アーム13の自由な回動が可能になる(ロック解除状態に達する)。これと同時に、ケース軸芯X周りでのホルダ11の自由な回転が許される。
【0041】
特に、クランプLcからの押圧力を断面形状円形の第1押圧体21から、断面形状円形の第2押圧体22に伝える構成であるため、例えば、クランプLcからの押圧力をスライド作動する中間部材に伝えるものと比較して作動不良を招くことがなく、円滑な作動を行え、確実で迅速なロックとロック解除とを行えるものにしている。
【0042】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い(以下の別実施形態では前記実施形態と同じ機能を有するものに、前記実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0043】
(a)図5に示すように、ジョイントユニットJとして、円筒状のケース10の一方の端部にホルダ12が備えられ、他方の端部にケース軸芯Xと直交する姿勢の平坦な案内面10Gが形成され、この端部側に開口10Sが形成されている。ケース10の他方の端部側には案内面10Gに対して、その端面が接触する第1保持部材31が配置され、この第1保持部材31に形成された凹部31Aに対してローラ状の第1押圧体21を嵌め込む状態で支持されている。この第1保持部材31は、案内面10G平行する操作軸芯Yと同軸芯でネジ孔が形成され、
【0044】
アーム13の基端に形成されたボール状のジョイント部14がホルダ12に収容され、このジョイント部14に押圧力を作用させる圧力ブロック16と、第2保持部材32とがケース軸芯Xに沿って移動自在に収容されている。第2保持部材32には凹部32Aが形成され、この凹部32Aに対してローラ状の第2押圧体22を嵌め込む状態で支持されている。第1押圧体21と第2押圧体22とは同図に示す位置関係で外周同士が接触する位置関係で配置される。
【0045】
ロック機構LのクランプLcのボルト18がケース10を貫通する状態で第1保持部材31のネジ孔に螺合している。これにより、クランプLcのノブ19を手動で回転操作した場合には、第1保持部材31が案内面10Gに摺接する状態で操作軸芯Yに沿って同図において上方に偏位する。この偏位に伴い第1押圧体21が第2押圧体22に圧接し、第2押圧体22から押圧力が第2保持部材32、圧力ブロック16夫々にケース軸芯Xに沿って順次作用し、結果として、ジョイント部14がホルダ内面12Sに押し付けられロック状態に達するのである。
【0046】
この別実施形態(a)では、クランプLcのボルト18を第1保持部材31に螺合させていたが、ボルト18の先端を第1保持部材31に押し付けて押圧力を作用させるように構成しても良い。
【0047】
(b)図6に示すように、ジョイントユニットJとして、円筒状のケース10の両端部にホルダ11、12が備えられ、夫々のホルダ11、12に対してアーム13に連結するボール状のジョイント部14が収容され、このジョイント部14に押圧力を作用させる圧力ブロック16がケース軸芯Xに沿って移動自在にケース10に収容されている。
【0048】
このケース10の中間部に形成された雌ネジ部に対してケース軸芯Xと直交する姿勢でクランプLcのボルト18が螺合しており、ケース10の内部にはボルト18からの押圧力が作用するローラ状の第1押圧体21が収容されている。一対の圧力ブロック16の対向する面には第1押圧体21に接触する第2押圧体22が形成されている。この第2押圧体22はローラ状の部材の一部を取り除いた形状であり、断面形状が不完全な円形に成型されている。
【0049】
同図に示すように、第1押圧体21と2つの第2押圧体22とが接触する位置関係に夫々が配置されている。これにより、クランプLcのノブ19を手動で回転操作した場合には、ボルト18の先端から第1押圧体21に押圧力を作用させると同時に、この第1押圧体21に接触する一対の第2押圧体22に対しても押圧力が作用し、この一対の第2押圧体22からの押圧力が対応する圧力ブロック16に作用する結果、ジョイント部14はホルダ内面11S、12Sに押し付けられ、ロック状態に達する。
【0050】
(c)第1押圧体21と第2押圧体22とに等しい長さのものを用いているが、例えば、第2押圧体22の長さを第1押圧体21より長く設定する等、異なる長さのものを用いることや、第1押圧体21と第2押圧体22として鋼球等のボールを使用しても良い。
【0051】
(d)円筒状のケース10に代えて、断面形状が矩形となる角パイプを状のケース10を用いても良い。このように角パイプを用いた場合には、寸法H、寸法Wとの値はケース10の内面の距離に一致する。また、このように断面形状が矩形となる角パイプを用いた場合には、第1押圧体21と第2押圧体22とにボールを用いても、このボールがケース10の内面に沿ってケース軸芯Xの周りで回転する不都合を招くこともない。
【0052】
(e)ジョイント部として、3次元的な回動が可能となるボール状のものに代えて、2次元的な回動を行う構造のものであっても良い。具体的には、棒状の支軸部をアームの基端部に形成し、この支軸部をホルダに支持し、支軸部の外周部分に圧力ブロックを接触させることでロックを行う構成でも良い。
【0053】
(f)ケースの一方の端部にのみアームを備えた構造のジョイントユニットを構成しても良い。
【0054】
(g)このジョイントユニットを、測定器以外にカメラでの撮影に使用される三脚の雲台部分の姿勢を固定するために使用することや、照明用のライトを支持するジョイント部分に使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】測定器の斜視図
【図2】測定器の側面図及びジョイントユニットの断面図
【図3】ロック状態及びロック解除状態での第1押圧体と第2押圧体との位置関係を示すジョイントユニットの断面図
【図4】ロック状態及びロック解除状態でのケース軸芯に沿う方向視での第ジョイントユニットの断面図
【図5】別実施形態(a)のジョイントユニットの断面図
【図6】別実施形態(b)のジョイントユニットの断面図
【符号の説明】
【0056】
10 ケース
11 ホルダ
11S 内面(ホルダ内面)
12 ホルダ
12S 内面(ホルダ内面)
13 アーム
14 ジョイント部
16 圧力ブロック
18 ボルト
19 回転操作部(ノブ)
21 第1押圧体
22 第2押圧体
31 第1保持部材
32 第2保持部材
L ロック機構
Lc クランプ
S 寸法
H 寸法
X 軸芯(ケース軸芯)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダと、このホルダに収容されるジョイント部を有するアームと、前記ジョイント部を前記ホルダの内面に圧接させることで前記アームを任意の回動角で固定するロック機構とを備えているジョイントユニットであって、
前記ロック機構が、ホルダ内にクランプからの押圧力が作用する断面形状円形の第1押圧体と、この第1押圧体との接触により押圧力が伝えられる断面形状円形の第2押圧体と、第1押圧体又は第2押圧体からの力をジョイント部に作用させホルダ内面に圧接させる圧力ブロックとを備えているジョイントユニット。
【請求項2】
前記圧力ブロックを軸芯の方向に移動自在に収容し、かつ、前記第1押圧体と第2押圧体とを収容する内部空間が形成された筒状のケースが備えられると共に、
前記クランプが、前記ケースに形成した雌ネジ部に螺合するボルトに回転操作部を備えた構造を有しており、このクランプのボルトの先端部が前記ケースの内壁面と一致する状態で前記第1押圧体と第2押圧体との相対的な位置関係が維持されるように設定している請求項1記載のジョイントユニット。
【請求項3】
前記内部空間の前記軸芯と直交する方向での寸法と、第1押圧体の断面寸法と、第2押圧体の断面寸法と、前記圧力ブロックにおける内部空間側の面から前記軸芯の方向で対向する面までの寸法との設定により、前記第1押圧体と第2押圧体との相対的な位置関係が維持されている請求項2記載のジョイントユニット。
【請求項4】
前記第1押圧体を保持する第1保持部材と、前記第2押圧体を保持する第2保持部材とを備えると共に、前記第1押圧体と第2押圧体とを圧接させる方向に前記第1保持部材と第2保持部材との何れか一方に対して前記クランプからの押圧力を作用させる請求項1記載のジョイントユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−60111(P2010−60111A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228715(P2008−228715)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(390016344)ビッグアルファ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】