説明

ジョブ管理装置、ジョブ管理システム、ジョブ管理プログラム及び記録媒体

【課題】 印刷文書、FAX文書等の文書データに対するセキュリティを考慮したジョブ管理装置、ジョブ管理システム、ジョブ管理プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】 文書データに対する所定のジョブの実行要求に基づくジョブデータを管理するジョブ管理装置であって、前記ジョブデータの表示要求を受信する表示要求受信手段と、前記表示要求に応じ、管理されている前記ジョブデータを取得し、該ジョブデータの少なくとも一部の情報をユーザに認識できない形式に変換して表示させるジョブデータ提供手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブ管理装置、ジョブ管理システム、ジョブ管理プログラム及び記録媒体に関し、特に、印刷文書やFAX送信文書等の電子文書管理技術やセキュリティ技術に属する。
【背景技術】
【0002】
近年の技術の発展により、コンピュータは小型化、高性能化、廉価化が進み、様々な分野でコンピュータが利用されるようになっている。利用者は、パーソナルコンピュータやワークステーションのようなコンピュータを用いて様々な文書を作成し、それをコンピュータに保存し、必要に応じて印刷を行っている。また、近年のコンピュータでは、作成した文書をスキャンすることなく、FAX送信を行うことも可能である。
【0003】
更に、近年では、コンピュータシステムは、ネットワークシステム化が急速に進み、一方のコンピュータAから他方のコンピュータBへネットワークを介してアクセスし、コンピュータBのデータを参照する、等の行為を行うことも非常に容易である。
【0004】
このような技術背景においては、システム管理者あるいはシステム運用者は、本来ネットワークに参加すべきでないユーザが、ネットワークに参加しデータを参照する、等のセキュリティの問題を考慮しなければならない。
【0005】
本発明に類似する技術として、例えば、特許文献1には、電子文書の状況を簡単かつ的確に把握し、かつ効率的にマスク処理が行える文書管理システム等について、その技術内容が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、システムユーザのデータの閲覧権レベルに応じて、情報の公開領域/非公開領域を設定する情報公開システムについて、その技術内容が開示されている。
【特許文献1】特開2001−101169号公報
【特許文献2】特開2002−298122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ネットワークシステムにおいては、上述のように、予期せぬユーザがネットワークに参加し、コンピュータに記憶されたファイル(電子データ)を直接的に参照するだけではなく、コンピュータの動作履歴等から、間接的にファイルの情報を取得することも可能である。
【0008】
例えば、プリンタを用いた印刷においては、プリンタサーバには、印刷を行うデータ(印刷ジョブ)がキューに蓄積されていて、印刷ジョブを参照することにより、どのユーザがどのようなデータを印刷したのかを知ることも可能である。
【0009】
また、FAXの送信においては、FAX送信ジョブがキューに蓄積され、そのFAX送信ジョブを参照することにより、どのユーザが誰にFAX送信を行ったのかを知ることも可能であり、送信先のFAX番号が漏洩するという危険性を孕んでいる。そのため、顧客データや事業者固有のデータを含むようなコンピュータシステムにおいては、情報の管理という側面からも非常に重要視すべき問題である。
【0010】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、印刷文書、FAX文書等の文書データに対するセキュリティを考慮したジョブ管理装置、ジョブ管理システム、ジョブ管理プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、文書データに対する所定のジョブの実行要求に基づくジョブデータを管理するジョブ管理装置であって、前記ジョブデータの表示要求を受信する表示要求受信手段と、前記表示要求に応じ、管理されている前記ジョブデータを取得し、該ジョブデータの少なくとも一部の情報をユーザに認識できない形式に変換して表示させるジョブデータ提供手段とを有することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、上記ジョブ管理装置を有するジョブ管理システム、コンピュータを前記ジョブ管理装置として機能させるためのジョブ管理プログラム、又は前記ジョブ管理プログラムを記録した記録媒体としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印刷文書、FAX文書等の文書データに対するセキュリティを考慮したジョブ管理装置、ジョブ管理システム、ジョブ管理プログラム及び記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施例である電子文書管理システムの構成を示した図である。
【0015】
電子文書管理システムは、電子文書管理サーバ1と、これに付随する電子文書管理GUI2、プリンタ3、FAX4と、ネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)を介して接続される電子文書管理クライアント10a,10b,・・・,10nとを含む形で構成される。
【0016】
電子文書管理サーバ1は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100と、補助記憶装置102と、メモリ装置103と、CPU104と、インタフェース装置105とを有するように構成される。
【0017】
電子文書管理サーバ1での処理を実現するプログラムは、例えばCD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。
【0018】
補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って電子文書管理サーバ1に係る機能を実行する。インタフェース装置105はネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0019】
図2に、電子文書管理クライアントからの印刷ジョブ取得のシーケンスの一例を示す。
【0020】
例えば、クライアントからの印刷実行指示として電子文書管理クライアント10aは、電子文書管理サーバ1に対して文書の印刷実行を指示する(ステップS1)。印刷実行の指示を受けた電子文書管理サーバ1は、プリンタ3に対して印刷実行を指示し(ステップS2)、ユーザ名と文書名、例えば、ユーザ名「A」と文書名「A文書」、を含む形式で印刷ジョブを保持し(ステップS3)、クライアント10aに応答する(ステップS4)。
【0021】
また、電子文書管理クライアント10bの文書を印刷する場合、クライアント10bは、電子文書管理サーバ1に対して文書の印刷実行を指示する(ステップS5)。該印刷実行指示を受けた電子文書管理サーバ1は、プリンタ3に対して印刷実行を指示し(ステップS6)、ユーザ名と文書名、例えば、ユーザ名「B」、文書名「B文書」を含む形式で印刷ジョブを保持し(ステップS7)、クライアント10bに応答する(ステップS8)。
【0022】
このような場合に、クライアント10bが印刷ジョブリストの取得を要求すると(ステップS9)、図3に示すような印刷ジョブリストがクライアント10bの画面に表示出力される(ステップS10,S11)。
【0023】
図3に示すように、印刷ジョブ20aはクライアント10aの印刷指示による印刷ジョブであるので、印刷ジョブ20aの一部の情報であるユーザ名及び文書名は、ユーザに認識出来ない形式に変換(マスキング)されている。一方、印刷ジョブ20bは、クライアント10b自身の印刷指示による印刷ジョブであるので、印刷ジョブリストに詳細が表示されている。
【0024】
このように、印刷を実行した自分以外のユーザが印刷している印刷ジョブをマスクする、すなわち、自分以外のユーザ名とそのユーザの文書名をマスクすることにより、他人の印刷文書に対するセキュリティを守ることが可能となる。
【0025】
また、全ての印刷ジョブをリスト形式で表示することにより、自分の印刷ジョブが全体から見て何番目のジョブであるのかを把握することが可能となる。
【0026】
次に、図4を用いて、電子文書管理クライアントからのFAX送信ジョブ取得のシーケンスの一例を示す。
【0027】
例えば、クライアントからのFAX送信指示として電子文書管理クライアント10aは、電子文書管理サーバ1に対して文書のFAX送信を指示する(ステップS21)。FAX送信の指示を受けた電子文書管理サーバ1は、FAX4に対してFAX送信を指示し(ステップS22)、ユーザ名とFAX番号、例えば、ユーザ名「A」とFAX番号「03-1234-0987」、を含む形式でFAX送信ジョブを保持し(ステップS23)、クライアント10aに応答する(ステップS24)。
【0028】
また、電子管理文書クライアント10bからFAXを送信する場合、クライアント10bは、電子文書管理サーバ1に対してFAX送信を指示する(ステップS25)。該FAX送信指示を受けた電子文書管理サーバ1は、FAX4に対してFAXの送信実行を指示し(ステップS26)、ユーザ名とFAX番号、例えば、ユーザ名「B」、FAX番号「03-1234-5678」を含む形式でFAX送信ジョブを保持し(ステップS27)、クライアント10bに応答する(ステップS28)。
【0029】
このような場合に、クライアント10bがFAX送信ジョブリストの取得を要求すると(ステップS29)、図5に示すようなFAX送信ジョブリストがクライアント10bの画面に表示出力される(ステップS30,S31)。
【0030】
図5に示すように、FAX送信ジョブ21aは、クライアント10aのFAX送信指示によるFAX送信ジョブであるので、ユーザ名「A」及びFAX番号「03-1234-0987」がマスキングされている。一方、FAX送信ジョブ21bは、クライアント10b自身の送信指示によるFAX送信ジョブであるので、FAX送信ジョブリストに詳細が表示されている。
【0031】
このように、FAX送信を実行した自分以外のユーザがFAX送信しているFAX送信ジョブをマスクする、すなわち、自分以外のユーザとそのユーザの文書名をマスクすることにより、他人のFAX送信文書に対するセキュリティを守ることが可能となる。
【0032】
また、全てのFAX送信ジョブをリスト形式で表示することにより、自分のFAX送信ジョブが全体から見て何番目のジョブであるのかを把握することが可能となる。
【0033】
次に、図6を用いて、管理者レベルのユーザが印刷ジョブを取得するシーケンスの一例を示す。
【0034】
図6において、電子文書管理クライアント10aからの印刷実行指示のシーケンス(ステップS41〜S44)と、クライアント10bからの印刷実行指示のシーケンス(ステップS45〜S48)については、図2で示したシーケンス(ステップS1〜S8)と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
このような場合に、電子文書管理GUI2が印刷ジョブリストの取得を要求すると(ステップS49)、電子文書管理サーバ1は管理者種別を判別し(ステップS50)、図7、図8又は図9に示すような印刷ジョブリストが電子文書管理GUI2の画面に表示出力される(ステップS51,S52)。
【0036】
図7は、印刷ジョブの詳細がマスクされていない例であり、ユーザ名、文書名が明示されている。一方で、図8はマスクされている例であり、ユーザ名は明示されているものの、文書名はマスキングされている。更に、図9は、ユーザ名及び文書名の双方がマスキングされている例である。
【0037】
管理者レベルのユーザが印刷ジョブを参照する場合には、その管理者のレベルに応じて、文書名のマスクの有無を決めることにより、セキュリティを守ることが可能となる。
【0038】
該システムの絶対的な管理者が印刷ジョブを参照する場合は、印刷ジョブリストのマスクは必要ない。例えば、会社の社長が管理者である場合や、セキュリティ面の管理の責任を完全に委託された受託の管理責任者などの場合には、全社員の印刷ジョブを参照できる。
【0039】
しかしながら、そうでない管理者の場合には一部のデータをマスクすることによりセキュリティが守られる。
【0040】
次に、図10を用いて、管理者レベルのユーザがFAX送信ジョブを取得するシーケンスの一例を示す。
【0041】
図10において、電子文書管理クライアント10aからのFAX送信指示のシーケンス(ステップS61〜S64)と、クライアント10bからのFAX送信指示のシーケンス(ステップS65〜S68)については、図4で示したシーケンス(ステップS21〜S28)と同様であるので、説明を省略する。
【0042】
このような場合に、電子文書管理GUI2がFAX送信ジョブリストの取得を要求すると(ステップS69)、電子文書管理サーバ1は管理車種別を判別し(ステップS70)、図11、図12又は図13に示すようなFAX送信ジョブリストが電子文書管理GUI2の画面に表示出力される(ステップS71,S72)。
【0043】
図11は、FAX送信ジョブの詳細がマスクされていない例であり、ユーザ名、FAX番号が明示されている。一方で、図12は、マスクされている例であり、ユーザ名は明示されているものの、FAX番号はマスキングされている。更に、図13は、ユーザ名及びFAX番号の双方がマスキングされている例である。
【0044】
管理者レベルのユーザがFAX送信ジョブを参照する場合には、その管理者のレベルに応じて、FAX番号のマスクの有無を決めることにより、セキュリティを守ることが可能となる。
【0045】
該システムの絶対的な管理者がFAX送信ジョブを参照する場合は、FAX送信ジョブリストのマスクは必要ない。例えば、会社の社長が管理者である場合や、セキュリティ面の管理の責任を完全に委託された受託の管理責任者などの場合には、全社員のFAX送信ジョブを参照できる。
【0046】
しかしながら、そうでない管理者の場合には一部のデータをマスクすることによりセキュリティが守られる。
【0047】
次に、本発明に係る電子文書管理システムにおいて、セキュリティを考慮したジョブリスト表示を行うメカニズムを説明する。なお、以下の説明では印刷実行時のジョブについて説明しているが、FAX送信ジョブについても処理は同じである。
【0048】
図14は、電子文書管理システムにおけるプロセス構成を示した図である。
【0049】
電子文書管理クライアント10もしくは電子文書管理GUI2は、事前に電子文書管理サーバ1の認証管理プロセス12にて認証済みのチケットを使用して印刷プロセス11に対しセッション確立要求を行う(ステップS101)。
【0050】
電子文書管理サーバ1の印刷プロセス11は、認証管理プロセス12に対して、前記チケットの正当性を確認する(ステップS102)。印刷プロセス11は、チケットの正当性が確認できたら、チケットの情報(クライアント名(ユーザ名)、ユーザタイプ(一般/管理者))を保持し、セッションIDを前記電子文書管理クライアント10もしくは電子文書管理GUIへ返す(ステップS103)。以降、電子文書管理クライアント10及び電子文書管理GUI2は、該セッションIDを使用して印刷プロセス11にアプローチする。
【0051】
前記電子文書管理クライアント10は、該セッションIDを用いて、印刷の実行を要求する(ステップS104)。なお、電子文書管理GUI2からは、印刷実行は行わない。
【0052】
印刷プロセス11は、電子文書管理プロセス13より、前記ステップS104で電子文書クライアント10が指定したドキュメントをPULLし、印刷ジョブをエントリーして印刷を実行する(ステップS105)。なお、前記ステップS104にて、電子文書管理クライアント10が直接PUSHした場合には、本動作は実行されない。
【0053】
プリンタ3は印刷プロセス11からの指示により、印刷を実行する(ステップS106)。
【0054】
電子文書管理クライアント10もしくは電子文書管理GUI2は、前記セッションIDを用いて、印刷ジョブリストの取得を要求する(ステップS107)。
【0055】
電子文書管理サーバ1の印刷プロセス11は、前記クライアント若しくは電子文書管理GUIのユーザ名、ユーザタイプ(一般/管理者)からマスクの必要可否を判断し、印刷ジョブリストを返す(ステップS108)。
【0056】
ここで、実際に印刷ジョブデータの作成と、そのジョブを必要に応じてマスキングするのは、電子文書管理サーバ1の印刷プロセス11である。そこで、以下に印刷プロセス11の処理内容の詳細を説明する。
【0057】
図15は、電子文書管理サーバの印刷プロセスの内部構成を示した図である。
【0058】
図15において、電子文書管理サーバ1の印刷プロセス11はWebサービス化されているため、DCOM(Distributed COM)インターフェースのクライアントアプリケーションにも対応できるよう、DCOMインターフェースクライアントとのやり取りをSOAP(Simple Object Access Protocol)インターフェースに変換するクライアントSOAP変換部111を設けている。
【0059】
インターフェース部112は、SOAP通信(クライアントSOAP変換部111経由を含む)を行うインターフェースであり、認証管理(セッション管理)やユーザタイプによるチェックもインターフェース部112で行っている。
【0060】
制御部113は、印刷ジョブの投入、ジョブリストの取得等、電子文書クライアント10及び電子文書管理GUI12からの要求に対する制御を行う。制御部113は、また、ジョブリストのマスク処理も行う。
【0061】
情報管理部114では、制御部113から投入された印刷ジョブを管理する。本発明に係る電子文書管理システムでは、データベース(DB)115を具備しており、全てのジョブ情報はこのDB115で管理されている。また、情報管理部114ではDBアクセスを行っている。
【0062】
印刷実行部116では、情報管理部114を経由して定周期で投入された印刷ジョブをチェックし、実行すべき印刷ジョブがあった場合、それを実行する。また、PULL印刷を実行する場合は、文書管理接続部117を経由して電子文書管理プロセス13から印刷すべき文書を取得する。
【0063】
以下に、実際に電子文書管理サーバ1の印刷プロセス11での処理(データ)の流れを、図16〜図19を用いて説明する。
【0064】
図16は、電子文書管理クライアント及び電子文書管理GUIからのセッション確立の流れを示した図である。
【0065】
電子文書管理クライアント10または電子文書管理GUI2からセッション確立の要求を行う。このとき、認証管理プロセス12で取得した認証チケットをパラメータとする(ステップS111)。
【0066】
次に、インターフェース部112及び認証管理プロセス12間で認証チケットの正当性を確認する。このとき、インターフェース部112はチケットに含まれるクライアント名(ユーザ名)、ユーザタイプ(一般/管理者)を保持する(ステップS112)。
【0067】
正当性が確認できたら、セッションIDを返し、セッションを確立する(ステップS113)。
【0068】
以降、セッションを開放するまで、該セッションIDを電子文書管理クライアント10及び電子文書管理GUI12からのパラメータとする。これにより余計な認証手続を行わないようにしている。
【0069】
また、認証チケットの正当性を確認するとき、インターフェース部112はユーザ名、ユーザタイプとセッションIDを関連付けて管理している。
【0070】
図17は、電子文書管理クライアントからの印刷ジョブ投入の流れを示した図である。
【0071】
電子文書管理クライアント10は、印刷実行(ジョブ投入)の要求を行う(ステップS121)。これに対してインターフェース部112はセッションIDが有効であれば、制御部113に対して印刷ジョブの投入を要求する(ステップS122)。
【0072】
制御部113は情報管理部114に対して印刷ジョブの投入を要求する(ステップS123)。このとき、情報管理部114はDB115に印刷ジョブをストアする。すなわち、印刷待ちジョブが作成され、ジョブIDが作成される。この時点で、クライアントから印刷ジョブの取得を行うと、ステータスは「印刷待ち」となる。
【0073】
制御部113は、インターフェース部112に対して、ジョブIDを返す応答を行う(ステップS124)。該ジョブIDを受け取ったインターフェース部112は、電子文書管理クライアント10に対して、該ジョブIDを返す応答を行う(ステップS125)。
【0074】
図18は、印刷ジョブ実行の流れを示した図である。
【0075】
印刷実行部116は、定周期で情報管理部114(DB115)から印刷すべきジョブを取得する(ステップS131)。
【0076】
印刷実行部116は、PULL印刷の場合は文書管理接続部117を経由して電子文書管理プロセス13から印刷すべき文書を取得し(ステップS132)、印刷を実行する(ステップS133)。
【0077】
その後、印刷実行部116は、印刷結果を情報管理部114のDB115にストアする(ステップS134)。
【0078】
この時点で、電子文書管理クライアント10から印刷ジョブリストの取得を行うと、ステータスは「印刷完了」となる。また、印刷エラーの場合は、印刷するドライバによってその詳細もストアすることが可能である。
【0079】
図19は、電子文書管理クライアントまたは電子文書管理GUIからの印刷ジョブリスト取得の流れを示した図である。
【0080】
電子文書管理クライアント10または電子文書管理GUI2は、印刷ジョブリストの取得を要求する(ステップS141)。インターフェース部112は、セッションIDの有効性とユーザタイプ(一般/管理者)をチェックし、問題がなければ制御部113に対して印刷ジョブの取得を要求する(ステップS142)。
【0081】
ステップS142の後、制御部113は情報管理部114のDB115から対象となる印刷ジョブを取得し(ステップS143)、マスク処理を行い(詳細については後述)、インターフェース部112に印刷ジョブリストを返す(ステップS144)。該リストを受け取ったインターフェース部112は、電子文書管理クライアント10または電子文書管理GUIに対して、印刷ジョブリストを返す(S145)。
【0082】
ここで、クライアントからのジョブリスト取得要求メソッドの引数にセッションIDが入るが、このセッションIDとユーザ名、ユーザタイプの紐付けから、ジョブリストをそのまま見せてよいか、マスクすべきかが判断される。
【0083】
更に、制御部113によるマスク処理等についてより詳細に説明するため、上述したステップS141からステップS145までの処理についてフローチャートを用いて説明する。
【0084】
図20は、印刷ジョブリストを要求された際の電子文書管理サーバにおける処理を説明するためのフローチャートである。
【0085】
電子文書管理クライアント10または電子文書管理GUI2からの印刷ジョブリストの取得要求を受信(上記S141に該当)に応じて、図20の処理は開始される。電子文書管理クライアント10または電子文書管理GUI2からの印刷ジョブリストの取得要求には、パラメータとしてセッションID、マスクタイプが含まれている。ここで、マスクタイプとは、取得を要求する印刷ジョブの対象(自分のジョブのみか又は他人のジョブも含めるのか)と印刷ジョブについてマスクを行うか否かが指定されているパラメータである。
【0086】
まず、インターフェース部112は、セッションIDの有効性をチェックする(S201)。セッションIDが有効であった場合、インターフェース部112は、セッションIDに関連付けられているユーザタイプ(一般/管理者)を取得する(S202)。続いて、インターフェース部112は、クライアント(電子文書管理クライアント10又は電子文書管理GUI2)より要求されているマスクタイプの適否を判定する(S203)。マスクタイプの適否は、補助記憶装置102に保存されているマスクタイプ判定テーブルに基づいて行われる。
【0087】
図21は、マスクタイプ判定テーブルの構成例を示す図である。図21のマスクタイプ判定テーブル1021は、印刷ジョブの取得要求に対する電子文書管理サーバ10の振る舞いが、マスクタイプごと、かつユーザタイプ(一般、管理者)ごとに登録されているテーブルである。
【0088】
マスクタイプについては、「自身のジョブ」、「全ジョブ(マスク有り)」、及び「全ジョブ(マスク無し)」について定義されている。「自身のジョブ」とは、自身の印刷ジョブのみの取得要求を意味する。「全ジョブ(マスク有り)」は、全ジョブの取得要求を意味するが、自身のジョブ以外のジョブの情報についてはマスクすることを意味する。「全ジョブ(マスク無し)」は、全ジョブの取得要求を意味し、自身のジョブ以外のジョブについてもマスクは行わないことを意味する。なお、「全ジョブ(マスク無し)」については、文書名のみをマスクする場合とそれ以外(マスク無し)とについて更に細分化して設定可能となっている。
【0089】
ところで、各ジョブはその状態によって「完了ジョブ」と「待ちジョブ」とに分類される。完了ジョブとは、印刷が完了したジョブをいい、待ちジョブとは印刷待ち状態のジョブをいう。クライアントから、完了ジョブ又は待ちジョブのいずれを取得対象とするかについても指定可能であり、かかる旨を考慮してマスクタイプ判定テーブル1021は構成されている。
【0090】
図21のマスクタイプ判定テーブル1021によれば、例えば、一般ユーザの場合、自身のジョブのみの取得要求であれば、完了ジョブ及び待ちジョブのいずれについても印刷ジョブリストが作成される。また、他のユーザのジョブについてマスクするのであれば、全ジョブの取得要求に対して完了ジョブ及び待ちジョブのいずれについても印刷ジョブリストが作成される。しかし、他のユーザのジョブについてマスクをしないのであれば、禅ジョブの取得要求に対して印刷ジョブリストは作成されず、エラーが応答される。
【0091】
一方、管理者ユーザの場合、マスクタイプがいずれの場合も印刷ジョブリストは作成される。
【0092】
なお、マスタタイプ判定テーブル1021の内容は、例えば、管理者等の所定のユーザによって予め設定されている。また、運用状況に応じて適宜変更も可能である。マスタタイプ判定テーブル1021の内容の変更は、電子文書管理クライアント10又は電子文書管理GUI12から行えばよい。この場合、設定用の専用画面を電子文書管理クライアント10又は電子文書管理GUI12に表示させ、その専用画面からの要求をインターフェース部112が受信する。そのままインターフェース部112がマスタタイプ判定テーブル1021を変更してもよいし、インターフェース部112からの指示に基づいて制御部113がマスタタイプ判定テーブル1021を変更してもよい。
【0093】
クライアントより要求されたマスクタイプの適否がユーザタイプに応じて判定され、エラーを応答すべきと判定された場合、すなわち、マスクタイプ判定テーブル1021において「×」に該当する場合(S203でNo)、クライアントに対してエラーが応答され(S204)、処理が終了する。
【0094】
クライアントより要求されたマスクタイプが適切であった場合、すなわち、マスクタイプ判定テーブル1021において「○」に該当する場合(S203でYes)、ステップS205に進み、マスクタイプに応じた処理が実行される。
【0095】
すなわち、「自身のジョブ」が要求されている場合、制御部113は、印刷ジョブリストの取得要求に係るユーザ(以下「カレントユーザ」という。)のジョブのみを情報管理部114のDB115における全ジョブの中から抽出し、抽出されたジョブによって構成される印刷ジョブリストをインターフェース部112に出力する(S206)。
【0096】
また、「全ジョブ(マスク有り)」が要求されている場合、制御部113は、情報管理部114のDB115における全ジョブを取得し、取得された全ジョブによって構成される印刷ジョブリストを生成する(S207)。続いて、制御部113は、その印刷ジョブリストにおけるカレントユーザ以外のジョブについては、ユーザ名及び文書名をマスクし、その印刷ジョブリストをインターフェース部112に出力する(S208)。
【0097】
更に、「全ジョブ(マスク無し)」が要求されている場合、制御部113は、情報管理部114のDB115における全ジョブを取得し、取得された全ジョブによって構成されるジョブリストを生成する(S209)。続いて、制御部113は、レジストリを参照し、カレントユーザ以外のジョブについてのマスクの要否について判定する(S210)。
【0098】
すなわち、図21に示したマスクタイプ判定テーブル1021とは別に、管理者ユーザによって全ジョブ(マスク無し)が要求された場合に、要求通りマスク無しのジョブリストを提供するか否かを示す情報がレジストリに登録されており、制御部113は、そのレジストリに登録されている情報に基づいて、マスクの要否についての判定を行う。
【0099】
これは、管理者は絶対的権限があり、全ジョブを参照できるのは当然との考え(例えば、上司が部下の印刷ジョブを参照できるという考え)と、たとえ管理者であっても他人のジョブは参照することは許されないという考え(例えば、管理者が部下である場合、上司の印刷ジョブは参照すべきでないという考え)との両方に対応するための仕組みである。
【0100】
レジストリにマスクが必要である旨が登録されている場合、制御部113は、S209において生成された印刷ジョブリストのうちカレントユーザのジョブ以外のジョブについてはユーザ名及び文書名をマスクし、そのジョブリストをインターフェース部112に出力する(S211)。
【0101】
ステップS206、S208又はS211に続いてステップS212に進み、インターフェース部112は、制御部113より出力された印刷ジョブリストを電子文書管理クライアント10又は電子文書管理GUIに対して送信する。
【0102】
なお、図14〜図21では、印刷実行時のジョブについて説明したが、FAX送信ジョブについても、処理は同様である。すなわち、図14〜図21において、
「印刷プロセス」→「FAX送信プロセス」
「プリンタ」→「FAX」
「印刷実行部」→「FAX送信実行部」
「印刷ジョブリスト」→「FAX送信ジョブリスト」
などと置き換えることにより、FAX送信時のジョブについても同様の説明が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施例である電子文書管理システムの構成を示した図である。
【図2】電子文書管理クライアントからの印刷ジョブ取得のシーケンスを示した図である。
【図3】電子文書管理クライアントにおける印刷ジョブリストの画面表示例を示した図である。
【図4】電子文書管理クライアントからのFAX送信ジョブ取得のシーケンスを示した図である。
【図5】電子文書管理クライアントにおけるFAX送信ジョブリストの画面表示例を示した図である。
【図6】電子文書管理GUIからの印刷ジョブ取得のシーケンスを示した図である。
【図7】電子文書管理GUIにおける印刷ジョブリストの画面表示例を示した図である(マスク無し)。
【図8】電子文書管理GUIにおける印刷ジョブリストの画面表示例を示した図である(マスク有り)。
【図9】電子文書管理GUIにおける印刷ジョブリストの画面表示例を示した図である(マスク有り)。
【図10】電子文書管理GUIからのFAX送信ジョブ取得のシーケンスを示した図である。
【図11】電子文書管理GUIにおけるFAX送信ジョブリストの画面表示例を示した図である(マスク無し)。
【図12】電子文書管理GUIにおけるFAX送信ジョブリストの画面表示例を示した図である(マスク有り)。
【図13】電子文書管理GUIにおけるFAX送信ジョブリストの画面表示例を示した図である(マスク有り)。
【図14】電子文書管理システムにおけるプロセス構成を示した図である。
【図15】電子文書管理サーバの印刷プロセスの内部構成を示した図である。
【図16】電子文書管理クライアント及び電子文書管理GUIからのセッション確立の流れを示した図である。
【図17】電子文書管理クライアントからの印刷ジョブ投入の流れを示した図である。
【図18】印刷ジョブ実行の流れを示した図である。
【図19】電子文書管理クライアントまたは電子文書管理GUIからの印刷ジョブリスト取得の流れを示した図である。
【図20】印刷ジョブリストを要求された際の電子文書管理サーバにおける処理を説明するためのフローチャートである。
【図21】マスクタイプ判定テーブルの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1 電子文書管理サーバ
2 電子文書管理GUI
3 プリンタ
4 FAX
10 電子文書管理クライアント
20 印刷ジョブ(プリンタジョブ)
21 FAX送信ジョブ
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 演算処理装置
105 インタフェース装置
B バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データに対する所定のジョブの実行要求に基づくジョブデータを管理するジョブ管理装置であって、
前記ジョブデータの表示要求を受信する表示要求受信手段と、
前記表示要求に応じ、管理されている前記ジョブデータを取得し、該ジョブデータの少なくとも一部の情報をユーザに認識できない形式に変換して表示させるジョブデータ提供手段とを有することを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項2】
前記ジョブデータ提供手段は、前記表示要求に係るユーザに応じて、前記ジョブデータの少なくとも一部の前記ユーザに認識できない形式への変換の要否を判断することを特徴とする請求項1記載のジョブ管理装置。
【請求項3】
前記ジョブデータの少なくとも一部の表示の可否を示す表示可否情報をユーザに応じて管理する表示可否情報管理手段を有し、
前記ジョブデータ提供手段は、前記表示可否情報に基づいて前記変換の要否を判断することを特徴とする請求項2記載のジョブ管理装置。
【請求項4】
前記表示可否情報の変更要求に応じ、前記表示可否情報管理手段における前記表示可否情報を変更する表示可否情報変更手段を有することを特徴とする請求項3記載のジョブ管理装置。
【請求項5】
前記ジョブデータ提供手段は、前記表示要求に係るユーザと前記所定のジョブの実行要求に係るユーザとが同一である前記ジョブデータについては前記ユーザに認識できない形式への変換を行わないことを特徴とする請求項2乃至4いずれか一項記載のジョブ管理装置。
【請求項6】
前記ジョブデータ提供手段は、前記表示要求に係るユーザに応じて、前記ジョブデータを構成する情報のうち、前記ユーザに認識できない形式に変換する情報を判断することを特徴とする請求項2乃至5いずれか一項記載のジョブ管理装置。
【請求項7】
前記所定のジョブは、前記文書データの印刷に関するジョブであり、
前記ジョブデータは、前記文書データの文書名と、印刷要求に係るユーザ名と、前記印刷が実行された日時とを含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか一項記載のジョブ管理装置。
【請求項8】
前記ジョブデータ提供手段は、少なくとも前記文書名を前記ユーザに認識できない形式に変換することを特徴とする請求項7記載のジョブ管理装置。
【請求項9】
前記所定のジョブは、前記文書のFAX送信に関するジョブであり、
前記ジョブデータは、送信先のFAX番号と、FAXの送信要求に係るユーザ名と、前記FAX送信が実行された日時とを含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか一項記載のジョブ管理装置。
【請求項10】
前記ジョブデータ提供手段は、少なくとも前記FAX番号を前記ユーザに認識できない形式に変換することを特徴とする請求項9記載のジョブ管理装置。
【請求項11】
文書データに対する所定のジョブの実行要求を行うジョブ要求装置と、前記所定のジョブの実行要求に基づくジョブデータを管理するジョブ管理装置とを有するジョブ管理システムであって、
前記ジョブ管理装置は、
前記ジョブ要求装置より前記ジョブデータの表示要求を受信する表示要求受信手段と、
前記表示要求に応じ、管理されている前記ジョブデータを取得し、該ジョブデータの少なくとも一部の情報をユーザに認識できない形式に変換して前記ジョブ要求装置に表示させるジョブデータ提供手段とを有することを特徴とするジョブ管理システム。
【請求項12】
前記ジョブデータ提供手段は、前記表示要求に係るユーザに応じて、前記ジョブデータの少なくとも一部の前記ユーザに認識できない形式への変換の要否を判断することを特徴とする請求項11記載のジョブ管理システム。
【請求項13】
前記ジョブ管理装置は、前記ジョブデータの少なくとも一部の表示の可否を示す表示可否情報をユーザに応じて管理する表示可否情報管理手段を有し、
前記ジョブデータ提供手段は、前記表示可否情報に基づいて前記変換の要否を判断することを特徴とする請求項12記載のジョブ管理システム。
【請求項14】
前記ジョブ管理装置は、
前記表示可否情報の変更要求に応じ、前記表示可否情報管理手段における前記表示可否情報を変更する表示可否情報変更手段を有することを特徴とする請求項13記載のジョブ管理システム。
【請求項15】
前記ジョブデータ提供手段は、前記表示要求に係るユーザと前記所定のジョブの実行要求に係るユーザとが同一である前記ジョブデータについては前記ユーザに認識できない形式への変換を行わないことを特徴とする請求項12乃至14いずれか一項記載のジョブ管理システム。
【請求項16】
前記ジョブデータ提供手段は、前記表示要求に係るユーザに応じて、前記ジョブデータを構成する情報のうち、前記ユーザに認識できない形式に変換する情報を判断することを特徴とする請求項12乃至15いずれか一項記載のジョブ管理システム。
【請求項17】
文書データに対する所定のジョブの実行要求に基づくジョブデータの管理をコンピュータに実行させるジョブ管理プログラムであって、
前記ジョブデータの表示要求を受信する表示要求受信手順と、
前記表示要求に応じ、管理されている前記ジョブデータを取得し、該ジョブデータの少なくとも一部の情報をユーザに認識できない形式に変換して表示させるジョブデータ提供手順とを有することを特徴とするジョブ管理プログラム。
【請求項18】
請求項17記載のジョブ管理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−12124(P2006−12124A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140183(P2005−140183)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】