説明

ジョークラッシャ

【課題】篩部材を開放してエンジンを停止してからでもグリズリフィーダの下方のシュートに無理なくアクセスすることができるジョークラッシャを提供する。
【解決手段】固定歯42及び動歯43を有する破砕装置20と、破砕装置20の後方に設けたグリズリフィーダ15と、破砕装置20の周囲に設けたメンテナンスフロア21とを備え、グリズリフィーダ15が、フィーダ本体16と、フィーダ本体16に固定した受け板18と、受け板18と破砕装置20との間に前後方向に複数段設置され、各段が後端部を基端部として該基端部が左右に延びる回転軸61a,61bを介してフィーダ本体16にそれぞれ支持された篩部材17a,17bと、篩部材17a,17bとフィーダ本体16とをそれぞれ連結し、篩部材17a,17bを作業姿勢から上方に回動させたメンテナンス姿勢に変位させる駆動装置68a,68bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩石等の被破砕物を破砕するジョークラッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
ジョークラッシャは対向設置された固定歯と動歯の間のV字状の破砕室に岩石等の被破砕物を投入し、固定歯に対する動歯の揺動運動によって被破砕物を破砕する形式の破砕装置である。このジョークラッシャに被破砕物を供給する装置としては、ジョークラッシャに供給すると却って破砕効率を低下させるような粒径の小さな細粒分(ズリ等)を篩い落として予め被破砕物から取り除いておくいわゆるグリズリフィーダと称される振動ふるい機能を有するフィーダがある(特許文献1等参照)。グリズリフィーダは、被破砕物の送り方向の前方側に櫛歯状の篩部材を設けた受け板を備えていて、この受け板が加振されると、受け板上に投入された被破砕物が移動し、櫛歯状の篩部材上を通過する際に粒径の細粒分と分離されてジョークラッシャに供給される(特許文献1等参照)。
【0003】
他方、ジョークラッシャに被破砕物を供給するフィーダではないが、同様の構成の振動ふるい機として、前後2段の篩部材を観音開き状に上方に回動させて開放することで、振動ふるい機の篩部材の下方に配置したシュートの内壁等に付着した付着物を清掃できるようにしたものがある(特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−247603号公報
【特許文献2】特許第3647559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1でも図示されているようにジョークラッシャのグリズリフィーダは機体の中でも比較的高い位置に配置されるが、その下方空間(コンベヤとの間)にはシュートやフレーム等があってシュートの内壁等にアクセスするには狭隘であることが多く、また下方からアクセスするのでは清掃でシュートから剥離させた付着物が作業者に向かって落下してきてしまう。そのため、例えば特許文献1の自走式ジョークラッシャにおいては、走行装置(履帯)上に上がって機体側部に設けた梯子を上り、ジョークラッシャの周囲に設けたメンテナンスフロアからグリズリフィーダの内部にアクセスすることが多い。また、グリズリフィーダはホッパ内に配置されており、左右及び後方はホッパを構成する側壁で囲われているため、メンテナンスフロアに上がってもグリズリフィーダには前方側(ジョークラッシャ側)からしかアクセスすることができないことが多い。
【0006】
ここで、ジョークラッシャのグリズリフィーダ内部の清掃性を考慮して特許文献2の構成を適用した場合を考えると、例えば前側の篩部材の下方空間を清掃しようとすれば当然ながら前側の篩部材を開放する必要があるが、前側の篩部材は前部に支点を備えていて、開放した際には作業者の侵入を阻害する柵のようにグリズリフィーダの前部に起立するため、当該篩部材を開放してからではシュートにアクセスすることができない。そのため、手順上、事前にグリズリフィーダの受け板上に作業者が移動してから前側の篩部材を開放することになるが、受け部材上では篩部材の開閉操作ができないので、清掃のための人員の他、篩部材を開放操作する人員を要する。しかもこの場合、グリズリフィーダ上に作業者が居る状態でエンジンをかけることになるため、安全上望ましくない。
【0007】
そこで本発明は、篩部材を開放してエンジンを停止してからでもグリズリフィーダの下方のシュートに無理なくアクセスすることができるジョークラッシャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、破砕装置フレーム、この破砕装置フレームに固定した固定歯、及びこの固定歯との間に破砕室を形成し前記固定歯に対して揺動する動歯を備えた破砕装置と、この破砕装置の後方に設けられ前記破砕装置に被破砕物を供給するグリズリフィーダと、前記破砕装置の周囲に設けたメンテナンスフロアとを備えたジョークラッシャであって、グリズリフィーダは、フィーダ本体と、このフィーダ本体に固定した受け板と、この受け板と前記破砕装置との間に前後方向に複数段設置され、各段が後端部を基端部として該基端部が左右に延びる回転軸を介して前記フィーダ本体にそれぞれ支持された篩部材と、これら複数の篩部材と前記フィーダ本体とをそれぞれ連結し、前記各篩部材を、前記基端部と反対側の先端部を前記破砕装置に向けた作業姿勢から前記先端部を上方に回動させたメンテナンス姿勢に変位させる複数の駆動装置とを備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記破砕装置の左右に位置する前記メンテナンスフロアは、前記グリズリフィーダの前部の左右に臨んでいる
ことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記破砕装置から排出された破砕物を搬出するコンベヤと、前記篩部材の下方に設けられ前記篩部材で篩い落とされた細粒分を前記コンベヤ上に導くシュートとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、篩部材を開放してエンジンを停止してからでもグリズリフィーダの下方のシュートに無理なくアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るジョークラッシャの全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るジョークラッシャの全体構造を表す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るジョークラッシャに備えられた破砕装置の内部構造を表す側断面図で、作業状態を表している。
【図4】本発明の一実施形態に係るジョークラッシャに備えられた破砕装置の内部構造を表す側断面図で、動歯が退避した状態を表している。
【図5】本発明の一実施形態に係るジョークラッシャに備えられたグリズリフィーダを一部の部材を図示省略して表した側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るジョークラッシャに備えられたグリズリフィーダの清掃手順を説明するための図面であり、前後の篩部材がいずれも作業姿勢にある状態を表している。
【図7】本発明の一実施形態に係るジョークラッシャに備えられたグリズリフィーダの清掃手順を説明するための図面であり、後側の篩部材がメンテナンス姿勢に変位した状態を表している。
【図8】本発明の一実施形態に係るジョークラッシャに備えられたグリズリフィーダの清掃手順を説明するための図面であり、前側の篩部材がメンテナンス姿勢に変位した状態を表している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係るジョークラッシャの全体構造を表す側面図、図2はその平面図である。以下の説明において、図1中の右側をジョークラッシャの前方、左側をジョークラッシャの後方とする。
【0015】
図1及び図2に示したジョークラッシャは、例えばビル解体時に搬出されるコンクリート塊や道路補修時に排出されるアスファルト塊等の建設現場で発生する大小様々な建設廃材、産業廃棄物、若しくは岩石採掘現場や切羽で採掘される岩石・自然石等を破砕対象とし、これらを被破砕物として受け入れて破砕するものである。本実施形態のジョークラッシャは、走行体1とこの走行体1に搭載した破砕機能構成部2とを備えており、走行体1によって自力走行することができるようになっている。但し、このような自走式のジョークラッシャに限らず、牽引走行可能なジョークラッシャや定置式のジョークラッシャにも本発明は適用可能である。
【0016】
走行体1は、走行装置3とこの走行装置3の上方にほぼ水平に設けた本体フレーム4とで構成されている。走行装置3は、トラックフレーム5、トラックフレーム5の両端に設けた従動輪6及び駆動輪7、従動輪6及び駆動輪7に掛け回した履帯8、並びに駆動輪7の軸に出力軸が連結された走行用駆動装置9を備えている。本体フレーム4はトラックフレーム5上に設けられており、前後にほぼ水平に延在している。
【0017】
破砕機能構成部2は、破砕対象(被破砕物)を受け入れるホッパ12、ホッパ12に受け入れた被破砕物を粒度選別し後段工程に供給するグリズリフィーダ15、グリズリフィーダ15から供給された被破砕物を破砕する破砕装置(ジョークラッシャ)20、破砕装置20で破砕した破砕物等を機外に搬出するコンベヤ25、及び機体各所に搭載した作動装置の動力源等を内蔵した動力装置(パワーユニット)40を備えている。
【0018】
ホッパ12は、上方に向かって拡開した枠状の部材であり、本体フレーム4の後方部分の上部に設けた支持部材13に対して支持ポスト9,10を介して固定されている。図2に示したように、このホッパ12は、グリズリフィーダ15の上部の左右両側部及び後部を囲う一方で、グリズリフィーダ15の前部、すなわち破砕装置20との対向部を開放している。
【0019】
グリズリフィーダ15は、ホッパ12の下方で破砕装置20の後方に位置し、ホッパ12とは別個に枠型のその本体16がスプリング14を介して支持部材13に支持されている。フィーダ本体16の内部には、投入される被破砕物を受け止める受け板18が後半部分に、被破砕物を粒度選別する櫛歯状の篩部材(グリズリプレート)17a,17bが前半部分に設けられている。そしてグリズリフィーダ本体16の下部には、このグリズリフィーダ本体16を振動させる起振機(フィーダ用駆動装置)19が固定されている。また、篩部材17a,17bの下方には、篩部材17a,17bで篩い落とされた細粒分をコンベヤ25上に導くシュート11が設けられている。
【0020】
なお、篩部材17a,17bとしてグリズリバーを例示しているが、いわゆるグリズリカセットや、フィンガースクリーン、格子状の篩部材、多数の選別穴が穿設された篩部材等、他の種の篩部材を用いることも可能である。
【0021】
破砕装置20は、ホッパ12及びグリズリフィーダ15の前方に位置し、本体フレーム4の前後方向中央部に支持されている。詳細は後で図3等を用いて説明するが、この破砕装置20には、互いの間の空間(破砕室)が下方に向かって縮径するよう対向配置した一対の固定歯及び動歯を備えている。動歯のスイングジョーは上端部がフライホイール(図示せず)に連結されており、フライホイールに破砕装置用駆動装置(図示せず)の回転動力が伝達されると、フライホイールの回転運動が動歯の揺動運動に変換され、これにより固定歯に対して概略前後方向に動歯が揺動するようになっている。
【0022】
また、破砕装置20の周囲にはメンテナンスフロア21が設けられている。メンテナンスフロア21は、本体フレーム4の上部に設けられていて、破砕装置20の左右両側の前後に延びる部分と、破砕装置20及び動力装置40の間の左右の延びる部分とを有していて、平面視で開口を後方に向けたコの字状に展開されている。このメンテナンスフロア21は、その破砕装置20の左右に位置する部分の後端部がグリズリフィーダ15の近傍まで延在していて、グリズリフィーダ15の前部の左右に臨んでいる。ホッパ12の左右の壁面の前部は前方に向かって高さを減じるように上縁部が斜めに形成されており、作業者がメンテナンスフロア21と篩部材17bとの間を用意に行き来する際にホッパ12が障害とならないようになっている。メンテナンスフロア21上の縁部には安全柵22が設置されている。なお、機体の左右の側部の少なくとも一方には、メンテナンスフロア21に上がるための梯子23が設けられている。この梯子23は、履帯8の上方からメンテナンスフロア21まで立ち上がっている。
【0023】
コンベヤ25は、本体フレーム4等に吊り下げられたコンベアフレーム26、コンベアフレーム26の両端に設けた従動輪及び駆動輪(ともに図示せず)、従動輪及び駆動輪に掛け回したコンベアベルト29、及び駆動輪を回転駆動させるコンベヤ用駆動装置(図示せず)等を備えている。コンベヤ用駆動装置によって駆動輪が回転駆動されると、従動輪との間に掛け回されたコンベアベルト29が循環駆動する。このコンベヤ25は、左右のトラックフレーム5の間でシュート11の下方位置(履帯8の後端部付近)から破砕装置20の下方を通って前方に延び、動力装置40の下方位置(履帯8の前端部付近)で屈曲して斜めに立ち上がり、その傾斜角度を保ったまま動力装置40の前端下部付近を通って機体の全高付近まで延在している。
【0024】
コンベヤ25の上方には、排出する破砕物中の鉄筋等の磁性異物を除去する磁選機35が備えられている。この磁選機35は、動力装置40の前部に設けたアーム部材36から吊り下げられており、駆動輪及び従動輪(ともに図示せず)と、これら駆動輪及び従動輪巻き回されてコンベヤ25の延在方向と直交する方向(左右方向)に循環駆動する磁選機ベルト39と、駆動輪及び従動輪の間の磁選機ベルト39に覆われた空間に設けられた磁力発生手段(図示せず)とを備えている。
【0025】
動力装置40は、本体フレーム4の前側部分の上部に支持されており、破砕装置20よりも前方側に位置している。特に図示していないが、この動力装置40内には、本ジョークラッシャの動力源となるエンジンや、エンジンによって駆動される油圧ポンプ、油圧ポンプから吐出された圧油の流通方向や流量を制御して対応の油圧アクチュエータに供給する制御弁装置等が備えられている。
【0026】
図3及び図4は破砕装置20の内部構造を表す側断面図で、図3は作業状態、図4は動歯が退避した状態をそれぞれ表している。
【0027】
図3及び図4において、破砕装置20は、本体フレーム4に固定した破砕装置フレーム41、破砕装置フレーム41に固定した固定歯42、固定歯に対して揺動する動歯43、及び動歯43の下部側を支持するトグルプレート44を備えている。
【0028】
固定歯42は、破砕装置フレーム41に固定された支持部材45と、この支持部材45の前面(動歯43側)に固定された固定歯板42aとを備えている。また動歯43は、破砕装置フレーム41にフライホイール(図示せず)の偏心軸47を介して揺動自在に取り付けたスイングジョー48と、このスイングジョー48の固定歯42との対向面に固定された可動歯板43aとを備えている。そして固定歯42と動歯43は互いの歯板42a,43aが向かい合うように対向配置され、両歯板42a,43a間に下方に向かって縮径する破砕室49が形成される。この破砕室49に供給された被破砕物は動歯43の揺動運動により固定歯42及び動歯43によって噛み砕かれるようにして破砕される。破砕装置20から排出される破砕物の粒度は、破砕室49の排出間口、つまり固定歯板42aと可動歯板43aの最小間隙(下端部間隙)により規定される。破砕装置フレーム41にはチークプレート41aが交換可能に取り付けられ、このチークプレート41aが破砕室49の左右の側壁を構成する。
【0029】
ここで、動歯43の破砕室49と反対側(図3中右側)の空間には、例えば破砕室49で異物の噛み込み等が起こる等して過負荷が生じた場合にトグルプレート44等の部材を過大な荷重から保護する過負荷保護装置50が設置されている。この過負荷保護装置50は、スイングジョー48に作用する破砕反力が設定範囲を超えた場合、図3の作業状態から図4のように縮退し過大な破砕反力を逃がすジャッキ51を備えている。
【0030】
ジャッキ51は破砕装置フレーム41に固定されており、ジャッキ51のロッド52の先端部とスイングジョー48の前面下部にはそれぞれトグルシート53,54が設けられている。トグルシート53,54には、それらの間に介設されたトグルプレート44の両端が当接しており、油圧シリンダ55(図4参照、図3では図示省略)によってスイングジョー48の下端部がジャッキ51側に付勢されることでトグルプレート44がトグルシート53,54間に挟み込まれて保持される。油圧シリンダ55の両端は、ジャッキ51の下部とスイングジョー48の前面下端部近傍部分に回動可能に連結されている。なお、本実施形態では、油圧シリンダ55によってスイングジョー48をジャッキ51側に付勢する構成を採ったが、油圧シリンダ55に代えてスプリングによってスイングジョー48をジャッキ51側に付勢する構成としても良い。
【0031】
図5は上記支持部材13を一部図示省略して表したグリズリフィーダ15の側面図である。
【0032】
前述したように、グリズリフィーダ15には、受け板18と、篩部材17a,17bとが備えられている。受け板18は、フィーダ本体16の内側に渡された左右に延びるビーム(図示せず)上に支持されていて、フィーダ16の後半部分の内法空間を塞ぐように当該フィーダ本体16に固定されている。
【0033】
篩部材17a,17bは、複数のグリズリバーを機体幅方向に列設して構成されており(図2も参照)、フィーダ本体16の前半部に内方空間に設置されている。篩部材17aは受け板18の前側に、篩部材17bは篩部材17aの前側に配置されており、これら篩部材17a,17bは、受け板18と破砕装置20との間に前後方向に設置されている。また、前方の篩部材17bの上面は後方の篩部材17aの上面に対して低くなっていて、篩部材17a,17bは破砕装置20に向かう下り階段状に形成されている。本実施形態では前後2段の場合を例示するが、前後方向に3段以上並設する構成とすることもできる。
【0034】
また、各段の篩部材17a,17bはその基端部となる後端部に左右に延びる回転軸61a,61bを有している。回転軸61a,61bはフィーダ本体16の左右の外壁部に設けた軸受62a,62bに支持されていて、これによって各基端部が回転軸62a,62bを介してフィーダ本体16にそれぞれ支持されている。このとき、フィーダ本体16の左右の側壁の内壁面には固定座63a,63bが設けられており、篩部材17a,17bは、各先端部(破砕装置20側の部分)の下面に設けた着座面64a,64bを固定座63a,63b上に着座させることで、それぞれ先端部を破砕装置20の入口に向けた姿勢(以下「作業姿勢」)で保持される。
【0035】
また、篩部材17a,17bの左右の側部における回転軸61a,61bの前方の位置には、左右に延びる軸65a,65bを介してブラケット66a,66bが固定されている。軸65a,65bはフィーダ本体16の左右の側壁を貫通していて、ブラケット66a,66bはフィーダ本体16の外側に存在する。図示していないが、フィーダ本体16の左右の側壁には回転軸61a,61bを支点に篩部材17a,17bが回動する場合に軸65a,65bの移動を許容するための弧状の長穴が設けられている。また、フィーダ本体16の左右の外壁部には、ブラケット67a,67bが設けられており、これらブラケット67a,67bがそれぞれ駆動装置68a,68bによってブラケット66a,66bと連結されている。本実施形態の駆動装置68a,68bは、例えば動力装置40内の油圧ポンプ(図示せず)からの圧油で作動する油圧シリンダであるが、バッテリ電源で駆動する電動のシリンダであっても良い。また、軸65a,65bに対して適宜動力伝達機構(カップリングやギヤ、ベルト等)を介して出力軸が連結した油圧又は電動のモータを用いることもできる。
【0036】
前述したシュート11は、図5に示したように、フィーダ本体16の内法空間において篩部材17a,17bの下方に位置するように上部開口11aを篩部材17a,17bに向けた姿勢でフィーダ本体16に取り付けられており、その下部開口11bに向かって前後方向及び左右方向に縮径している。下部開口11bの下方には、コンベヤ25の搬送面の後端部近傍が位置している。
【0037】
次に、上記構成の本実施形態のジョークラッシャの動作を説明する。
【0038】
油圧ショベル等により被破砕物を投入すると、投入された被破砕物はホッパ12によってグリズリフィーダ15上に導かれる。起振機19によってフィーダ本体16とともに加振される受け板18上の被破砕物は振動によって前方に搬送される。被破砕物が篩部材17a,17b上を移動する際に、篩部材17a,17bの選別粒度よりも小さな細粒分(いわゆるズリ等)が篩部材17a,17bの隙間から落下して被破砕物から分離され、選別粒度よりも粒径の大きな被破砕物が篩部材17a,17b上を前方に移動して破砕装置20に供給される。篩部材17a,17bで被破砕物と分離された細粒分は、シュート11を介してコンベヤ25上の後端付近に導かれる。破砕装置20に供給された被破砕物は、固定歯42と動歯43との出口隙間に応じた所定の粒度に破砕処理される。破砕装置20から排出された破砕物は、コンベヤ25上に導かれてシュート11を介して導かれた細粒分と合流し、コンベヤ25によって前方(図1中右側)に搬送されて機外に排出される。
【0039】
なお、コンベヤ25による搬出と途中、破砕物等に鉄筋等の磁性異物が混入している場合には、磁性異物が磁選機35によって吸着除去される。磁選機35においては、コンベヤ25上の破砕物等に対して磁選機ベルト39越しに作用させる磁力発生手段からの磁力によって磁性異物を磁選機ベルト39に吸着し、循環駆動する磁選機ベルト39によってコンベヤ25の側方に磁性異物を搬送し落下させる。
【0040】
本実施形態の場合、例えばシュート11の内壁面の斜面部分等に篩部材17a,17bで選別した細粒分が固着して堆積したら、上記駆動装置68a,68bを適宜駆動して篩部材17a,17bを開放し、篩部材17a又は17b等に立った状態でシュート11に付着した細粒分を除去することができる。
【0041】
例えばシュート11を構成する壁面のうち後半部分の壁面を清掃する場合、作業者は、グリズリフィーダ15の加振機19や破砕装置20、コンベヤ25等の運転を止め、作業姿勢(図6参照)から駆動装置68aを駆動して後側の篩部材17aを上方に開放したメンテナンス姿勢(図7参照)に変位させる。篩部材17aをメンテナンス姿勢に変位させたら、そのままエンジン及び電気系統を切って、エンジンキースイッチ(図示せず)からキー(図示せず)を抜き取ってそのキーを携行し、シャベルやバール等の適当な清掃用具を持って履帯8上から梯子23を上り、メンテナンスフロア21上を移動して前側の篩部材17b上に移動する。これによって、篩部材17bを足場にしてシュート11の後半部分を清掃することができる。
【0042】
その後シュート11の前半部分を清掃する場合、携行するキーでエンジンを始動させ、必要であれば篩部材17aを作業姿勢に移行させ、上記と同じ手順で駆動装置68bを駆動して前側の篩部材17bを上方に開放させる(図8参照)。篩部材17bをメンテナンス姿勢に変位させたら、そのままエンジン及び電気系統を切ってキーを携行し、梯子23を上ってメンテナンスフロア21に上がる。これによって、メンテナンスフロア21の後端部分からシュート11の前半部分を清掃することができる。
【0043】
なお、シュート11の前半部分及び後半部分の清掃の順序に制約はなく、また前半部分及び後半部分の清掃手順のいずれか一方のみを行うことも当然できる。
【0044】
本実施形態によれば、このように篩部材17a,17bを片方ずつ開放することで、グリズリフィーダ15の下側からアクセスしなくてもシュート11を適宜清掃することができるので、清掃の作業性が良い。このとき、本実施形態では、各篩部材17a,17bがそれぞれ後端部に軸61a,61bを備え、軸61a,61bを支点にして各前方部分を上方に開放することができるので、起立させた篩部材17bでグリズリフィーダ15の前部が塞がれることがなく、上記でシュート11等の清掃手順を説明した通り、篩部材17a,17bを開閉する際に事前に受け部材18上に作業者を移動しなくても、篩部材17a,17bをそれぞれ開放した後、エンジンを停止してシュート11に無理なくアクセスすることができる。このように篩部材17a,17bを開放してエンジンを停止してから、グリズリフィーダ15の篩部材17a,17bの下方空間に無理なくアクセスすることができるので、単独の作業者でも安全に清掃作業を行うことができる。
【0045】
また、メンテナンスフロア21がグリズリフィーダ15の前部の左右に臨んでいるため、別途梯子を使ったり橋を架けたりすることなく、作業者はグリズリフィーダ15に無理なくアクセスすることができる。
【符号の説明】
【0046】
11 シュート
15 グリズリフィーダ
16 フィーダ本体
17a,b 篩部材
18 受け板
20 破砕装置
21 メンテナンスフロア
25 コンベヤ
41 破砕装置フレーム
42 固定歯
43 動歯
49 破砕室
61a,b 回転軸
68a,b 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕装置フレーム、この破砕装置フレームに固定した固定歯、及びこの固定歯との間に破砕室を形成し前記固定歯に対して揺動する動歯を備えた破砕装置と、
この破砕装置の後方に設けられ前記破砕装置に被破砕物を供給するグリズリフィーダと、
前記破砕装置の周囲に設けたメンテナンスフロアとを備えたジョークラッシャであって、
前記グリズリフィーダは、
フィーダ本体と、
このフィーダ本体に固定した受け板と、
この受け板と前記破砕装置との間に前後方向に複数段設置され、各段が後端部を基端部として該基端部が左右に延びる回転軸を介して前記フィーダ本体にそれぞれ支持された篩部材と、
これら複数の篩部材と前記フィーダ本体とをそれぞれ連結し、前記各篩部材を、前記基端部と反対側の先端部を前記破砕装置に向けた作業姿勢から前記先端部を上方に回動させたメンテナンス姿勢に変位させる複数の駆動装置と
を備えていることを特徴とするジョークラッシャ。
【請求項2】
前記破砕装置の左右に位置する前記メンテナンスフロアは、前記グリズリフィーダの前部の左右に臨んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載のジョークラッシャ。
【請求項3】
前記破砕装置から排出された破砕物を搬出するコンベヤと、
前記篩部材の下方に設けられ前記篩部材で篩い落とされた細粒分を前記コンベヤ上に導くシュートと
を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のジョークラッシャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−135743(P2012−135743A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291173(P2010−291173)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】