説明

スイッチの取付枠及びその製造方法並びにスイッチ装置

【課題】歩留まりの向上を図ることのできる構造のスイッチの取付枠及びその製造方法、並びにこの取付枠を備えたスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチの取付枠2は、スイッチ本体を保持する2つの第1取付体21と、スイッチボックスに取り付けられる2つの第2取付体22とを有する。そして、第1取付体21及び第2取付体22には、それぞれ接合部21d,22dが設けられている。第1取付体21の接合部21dと第2取付体22の接合部22dを互いに接合することにより、取付枠2は形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造営材に取り付けられるスイッチ装置のスイッチを取り付ける取付枠及びその製造方法、並びにこの取付枠を備えたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記取付枠は、造営物の照明等の電気機器の電源のオン/オフの操作を行うスイッチ装置において、造営材に埋設されたスイッチボックスにねじによって取り付けられるとともに、スイッチのオン/オフの切換を行う操作部(押釦ハンドル)を内側に配置した空間が設けられる構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図17及び図18を参照して、従来の取付枠の構造について説明する。
図17に示すように、単一部材から構成された取付枠100は、互いに所定の距離を介して配置されて、スイッチを保持する一対の第1取付体101と、この一対の第1取付体101を互いに接続するとともにスイッチボックスに取り付けられる一対の第2取付体102とにより構成されている。そして、取付枠100において、一対の第1取付体101及び一対の第2取付体102によって囲まれることにより、押釦ハンドルを配置する空間SRが形成されている。
【特許文献1】特開2000−251579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、単一部材から構成される取付枠100の形成方法としては、一般に、鋼板をプレス加工する方法が採用されている。しかしながら、図18に示すように、鋼板PRにおいて、空間SRを形成するために打ち抜かれた部分(図18中の斜線部分)は、廃材となってしまう。したがって、鋼板の体積に対して、取付枠100を形成する体積の比率(以下、単に「歩留まり」という。)が高いとは言い難く、この点において改善の余地が残されている。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、歩留まりの向上を図ることのできる構造のスイッチの取付枠及びその製造方法、並びにこの取付枠を備えたスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、スイッチの取付枠において、前記スイッチを保持する2つの第1取付体と、スイッチボックスに取り付けられる2つの第2取付体とを組み合わせることにより構成されることを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、取付枠を2つの第1取付体と2つの第2取付体とを組み合わせることにより、取付枠のスイッチを配置する空間を形成することができるため、スイッチを配置する空間の形成に伴う廃材の量を低減することができる。したがって、図17及び図18に示す取付枠を単一部材から構成される従来構造と比較して、取付枠の歩留まりの向上を図ることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチの取付枠において、前記第1取付体の板厚は、前記第2取付体の板厚よりも小さいことを要旨とする。
この発明によれば、第2取付体の板厚と比較して、第1取付体の板厚が小さく形成されるため、第2取付体の形成において、第1取付体を形成するための鋼板より板厚の小さい鋼板を使用することができる。したがって、第1取付体の板厚と第2取付体の板厚とが同一である場合と比較して、取付枠の形成のための鋼板の使用量を低減することができる。その結果、取付枠の材料費の低減を図ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、スイッチの取付枠において、前記スイッチを保持する第1取付部と前記スイッチボックスに取り付けられる第2取付部とを有する2つの取付体を互いに組み合わせることにより構成され、前記2つの取付体は、同一形状であることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、取付枠を第1取付部及び第2取付部を有する取付体を2つ組み合わせることにより、取付枠のスイッチを配置する空間を形成することができるため、図17及び図18に示す取付枠を単一部材から構成される従来構造と比較して、取付枠の歩留まりの向上を図ることができる。さらに、取付体が同一形状であることにより、プレス機による打ち抜き形状を1種類とすることができる。即ち、プレス機の金型を1種類とすることができる。したがって、取付枠の製造コストを低減することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、スイッチの取付枠において、前記スイッチを保持するとともに、スイッチを保持するとともに、空間を介して対向して配置される2つの第1取付部と、スイッチボックスに取り付けられるとともに、空間を介して対向して配置される2つの第2取付部とを備え、前記2つの第1取付部のうち、一方を第1取付部Aとし、他方を第1取付部Bとし、また前記2つの第2取付部のうち、一方を第2取付部Aとし、他方を第2取付部Bとして、当該取付枠は、単一部材から構成され、且つ、前記第1取付部A及び前記第2取付部Aの間、前記第2取付部A及び前記第1取付部Bの間、並びに前記第1取付部B及び前記第2取付部Bの間は、それぞれ接続部を介して連続するとともに、前記第1取付部A及び前記第2取付部Bの間は不連続であり、前記第1取付部A及び前記第2取付部Bが互いに接合されることにより、枠形状が形成されることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、取付枠を2つの第1取付部及び2つの第2取付部を有する単一部材から構成されるとともに、不連続である第1取付部A及び第2取付部Bを接合することによって枠形状が形成されることにより、取付枠のスイッチを配置する空間を形成することができるため、図17及び図18に示す取付枠を単一部材から構成される従来構造と比較して、取付枠の歩留まりの向上を図ることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、電気機器のオンとオフとを切り換えるスイッチと、前記スイッチを保持する取付枠とを備えるスイッチ装置において、前記取付枠として、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠を備えることを要旨とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、スイッチの取付枠の製造方法において、それぞれ鋼板をプレス加工することにより、スイッチを保持する2つの第1取付体と、スイッチボックスに取り付けられる2つの第2取付体とを形成する工程と、前記第1取付体と前記第2取付体とを組み合わせる工程とを備え、前記第2取付体を形成する鋼板の板厚は、前記第1取付体を形成する鋼板の板厚よりも小さいことを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、取付枠を2つの第1取付体と2つの第2取付体とを組み合わせることにより製造されることにより、取付枠のスイッチを配置する空間を形成することができるため、図17及び図18に示す取付枠を単一部材から構成される従来構造と比較して、取付枠の歩留まりの向上を図ることができる。
【0016】
その上、第2取付枠を形成する鋼板の板厚が第1取付体を形成する鋼板の板厚より小さいことにより、取付枠を形成するのに使用する鋼板の量を低減することができる。したがって、取付枠の材料費の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、歩留まりの向上を図ることのできる構造のスイッチの取付枠及びその製造方法、並びにこの取付枠を備えたスイッチ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
図1〜図7を参照して、本発明に係るスイッチの取付枠を電気機器のスイッチ装置を構成する取付枠として、具体的には、造営物に設置される照明のオンとオフとの切り換えを行うピアノハンドル式のスイッチ装置の取付枠として具体化した第1の実施形態について説明する。
【0019】
図1に示すように、スイッチ装置Aには、押釦ハンドル11を備えるスイッチ本体1が設けられている。このスイッチ本体1には、押釦ハンドル11を覆うピアノハンドル3が取り付けられている。また、スイッチ本体1は、矩形状に形成された取付枠2に取り付けられている。即ち、取付枠2を構成する4つの辺に囲まれた矩形状の空間S1にスイッチ本体1の一部が配置された状態において、スイッチ本体1の一部が取付枠2に取り付けられている。また、取付枠2には、ピアノハンドル3を外囲する矩形状のプレート4が取り付けられている。
【0020】
スイッチ本体1は、内蔵した接点を押釦ハンドル11の操作に伴い反転させることにより、照明のオンとオフとを切り換えている。特に、スイッチ装置Aでは、ピアノハンドル3を介して、押釦ハンドル11の操作が行われている。
【0021】
プレート4は、ねじ7により取付枠2に固定されることにより、ピアノハンドル3を外囲するプレート枠5と、プレート枠5に取り付けられることにより、ピアノハンドル3を外囲する化粧プレート6とにより構成されている。プレート枠5において、プレート枠5を構成する4つの辺に囲まれた矩形状の空間S2にピアノハンドル3の一部が配置されている。また、化粧プレート6において、化粧プレート6を構成する4つの辺に囲まれた矩形状の空間S3にピアノハンドル3の一部が配置されている。化粧プレート6の空間S3の面積は、プレート枠5の空間S2の面積よりも小さく設定されている。これにより、ピアノハンドル3の外周縁と、この外周縁と対応する化粧プレート6の内周縁との間隙が十分に小さく設定されている。
【0022】
スイッチ装置Aにおいて、化粧プレート6により、プレート枠5の表側が覆われている。また、ピアノハンドル3により、スイッチ本体1が覆われている。これにより、造営材に設けられたスイッチボックスSBに取付枠2が取り付けられた際、スイッチ装置Aの表側からは、化粧プレート6及びピアノハンドル3のみが視認されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、取付枠2は、複数の分割された取付体を組み合わせることにより構成されている。即ち、スイッチ本体1を保持する2つの第1取付体21と、2つの第1取付体21を互いに接合するとともに、スイッチボックスSB(図1参照)に取り付けられる2つの第2取付体22とを組み合わせることにより構成されている。
【0024】
以降では、第1取付体21に沿う方向を取付枠2の「長手方向」とし、また、第2取付体22に沿う方向を取付枠2の「短手方向」とし、長手方向及び短手方向に直行する方向を「奥行き方向」とする。
【0025】
一対の第1取付体21は、短手方向において、所定の距離を介して互いに平行に配置されている。また、第1取付体21には、長手方向に延設された保持部21aと、保持部21aから短手方向の内側に向かい延設された補強部21bとが設けられている。これら保持部21a及び補強部21bにより、第1取付体21において、長手方向に沿う断面の形状は、略L字状に形成されている。また、長手方向において、保持部21aには、スイッチ本体1を取り付ける貫通孔21cが所定の距離を介して複数設けられている。
【0026】
また、長手方向において、保持部21aの両端には、第2取付体22と接合する接合部21dがそれぞれ設けられている。これら接合部21dは、短手方向において、保持部21aよりも内側に延設されている。
【0027】
一対の第2取付体22は、長手方向において、所定の距離を介して互いに平行に配置されている。そして、第2取付体22のそれぞれには、長手方向において、第2取付体22の外側に設けられるとともに、プレート枠5(図1参照)が取付枠2に取り付けられる際、ねじ7(図1参照)が螺合するねじ穴22aと、ねじによって、取付枠2がスイッチボックスSBに取り付けられる際、ねじが挿入される貫通孔22bとが設けられている。ここで、貫通孔22bは、ねじ穴22aより長手方向の内側に設けられるとともに、短手方向が長軸となる長穴形状である。また、短手方向において、ねじ穴22aの両側には、スイッチボックスSBに対して取付枠2の位置を決定する位置決め部22cが設けられている。この位置決め部22cは、第2取付体22を奥行き方向に貫通する円形の貫通孔である。
【0028】
また、短手方向において、各第2取付体22の両端には、第1取付体21と接合する接合部22dがそれぞれ設けられている。これら接合部22dは、長手方向において、貫通孔22bと略同位置に配置される。また、短手方向において、接合部22dより内側には、屈曲部22eが設けられている。屈曲部22eは、短手方向の外側に向かい奥行き方向の表側に延設される。即ち、接合部22dの表面22f(図3参照)は、ねじ穴22aが設けられる部位22g以外の第2取付体22のその他の部位の表面22hよりも奥行き方向の表側に設けられている。
【0029】
各第2取付体22において、接合部22d及び貫通孔22bは、長手方向に沿って、一列に配置されている。また、長手方向において、貫通孔22bより内側の部位22nは、奥行き方向に対して凹凸のない平面にて構成されている。
【0030】
この取付枠2は、ねじが、各第2取付体22にそれぞれ設けられた貫通孔22bに挿入されるとともに、スイッチボックスSBの一対の突出部SB1に設けられた貫通孔SB2(図1参照)に螺合されることにより、スイッチボックスSBに取り付けられる。
【0031】
図4に示すように、奥行き方向において、第1取付体21の接合部21dは、第2取付体22の接合部22dよりも表側に配置されているとともに、各接合部21d,22dは、互いに重ねられている。即ち、接合部21dの裏面21eは、接合部22dの表面22fに接触している。
【0032】
第2取付体22の接合部22dのそれぞれには、奥行き方向において、接合部22dの表面22fから表側に向かい突出する突起部22jが設けられている。突起部22jは、長手方向において、所定の距離を介して2つ設けられている。
【0033】
第1取付体21の接合部21dにおいて、第2取付体22の突起部22jと対向する位置には、開口部21fがそれぞれ設けられている。開口部21fは、長手方向において、所定の距離を介して2つ設けられるとともに、接合部21dを奥行き方向に貫通する貫通孔である。
【0034】
第1取付体21の接合部21dと第2取付体22の接合部22dとが互いに重なる際、接合部22dの突起部22jが接合部21dの開口部21fに挿入される。そして、突起部22jを開口部21fに挿入された状態において、突起部22jを押圧することにより、突起部22jが変形して各接合部21d,22dが互いに接合される、即ち、各接合部21d,22dにかしめが行われる。また、取付枠2では、第1取付体21の接合部21dと第2取付体22の接合部22dとの接合構造が4つ設けられるが、これら接合構造は、同一の接合手段及び構造である。
【0035】
図4に示すように、第1取付体21の接合部21dの開口部21fには、突起部22jの変形部位22k(図4(b)参照)が収容される第1開口部21gと、奥行き方向において、第1開口部21gより裏側に形成されるとともに、第1開口部21gの内径D1より小さい内径D2を有する第2開口部21hとが設けられている。また、第1開口部21gと第2開口部21hとの間には、第1開口部21gに向かい拡径する、即ち、奥行き方向において、表側に向かい拡径する拡径開口部21jが設けられている。また、図4(a)に示すように、第2開口部21hの内径D2は、第2取付体22の接合部22dの突起部22jの外径D3と略同一となるように形成される。
【0036】
図4(b)に示すように、突起部22jが変形した状態において、突起部22j(変形部位22k)と拡径開口部21jとは互いに接触する。また、変形部位22kと、第1開口部21gを構成する内周面と第2開口部21hを構成する内周面とを連結する連結面とは互いに接触する。
【0037】
また、奥行き方向において、突起部22jの変形部位22kの表面22mは、第1取付体21の接合部21dの表面21pよりも裏側となるように配置される。なお、スイッチ本体1(図1参照)に取り付けられたピアノハンドル3(図1参照)の裏面、即ち、ピアノハンドル3の奥行き方向の裏側の面は、第1取付体21の接合部21dの表面21pと近接して配置されている。
【0038】
次に、図1及び図5を参照して、スイッチ装置Aの製造方法について説明する。
まず、ステップS1において、取付枠2を作製する。具体的には、一対の第1取付体21及び一対の第2取付体22を形成した後、一対の第1取付体21及び一対の第2取付体22を互いにかしめにより接合することによって、取付枠2を作製する。ここで、ステップS1の取付枠2を作製した状態において、スイッチ本体1は取り付けられていない状態である。
【0039】
次に、ステップS2において、取付枠2にスイッチ本体1を取り付ける。具体的には、スイッチ本体1の筐体12の短手方向の側面に設けられた爪部と第1取付体21の保持部21aの貫通孔21cとを係合する。
【0040】
次に、ステップS3において、スイッチ本体1が取り付けられた状態の取付枠2をスイッチボックスSBに取り付ける。具体的には、第2取付体22の位置決め部22cをスイッチボックスSBに対する取付枠2の位置決めとしてスイッチボックスSBに取付枠2を配置する。そして、ねじを取付枠2の第2取付体22の貫通孔22bに挿入するとともに、スイッチボックスSBの突出部SB1の貫通孔SB2に螺合する。
【0041】
次に、ステップS4において、ピアノハンドル3及びプレート枠5をスイッチ本体1及び取付枠2にそれぞれ取り付ける。具体的には、ピアノハンドル3に設けられた爪部31をスイッチ本体1に設けられた開口部に挿入する。そして、ねじ7を第2取付体22のねじ穴aに螺合することにより、プレート枠5を取付枠2に取り付ける。最後に、ステップS5において、化粧プレート6をプレート枠5に取り付ける。以上により、スイッチ装置Aは、組み立てられる。
【0042】
次に、図2〜図4、図6、及び図7を参照して、取付枠2の作製について説明する。
まず、ステップS11において、平板状の鋼板から第1取付体21及び第2取付体22をプレス加工により形成する。具体的には、図7に示すように、第1鋼板P1から第1取付体21をプレス加工により形成し、第2鋼板P2から第2取付体22をプレス加工により形成する。この工程により、2つの第1取付体21及び2つの第2取付体22が形成される。ここで、第1取付体21及び第2取付体22は、プレス機によって、打ち抜き及び曲げ加工を複数の工程に分けて行われる。即ち、上述した第1取付体21及び第2取付体22の形状は、プレス加工によって形成される。また、第1鋼板P1の板厚と第2鋼板P2の板厚とは、等しい。
【0043】
次に、ステップS12において、第1取付体21及び第2取付体22を接合することにより、取付枠2を形成する。具体的には、第1取付体21の2つの接合部21d及び第2取付体22の2つの接合部22dをそれぞれかしめにより接合する。即ち、4つの接合部21d,22dの接合構造をそれぞれ同一の接合手段により接合する。より詳細には、接合部22dの突起部22jを接合部21dの開口部21fに挿入した状態において、プレス機に備えられたかしめピンによって、突起部22jを押圧する。そして、図4(b)に示すように、突起部22jに形成された変形部位22kと開口部21fの第1開口部21g及び拡径開口部21jとが接合されることにより、かしめが行われる。なお、本実施形態では、かしめピンによって、全ての突起部22jを同時に押圧する。また、第1取付体21と第2取付体22とのかしめを行う際、第2取付体22の位置決め部22cをかしめピンに対する位置基準とする。より詳細には、第2取付体22の位置決め部22cに基づいて、第2取付体22の突起部22jに第1取付体21の開口部21fを挿入する。そして、第2取付体22の位置決め部22cに基づいて、かしめピンと各突起部22jとの位置合わせを行う。以上により、取付枠2が作製される。
【0044】
本実施形態のスイッチ装置の取付枠2によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態の取付枠2では、取付枠2が、2つの第1取付体21及び2つの第2取付体22を組み合わせることにより構成される。この構成によれば、図17及び図18に示す取付枠100を単一部材にて構成した場合と比較して、取付枠の歩留まりを大幅に向上させることができる。即ち、取付枠100を単一部材にて構成した場合、取付枠100の空間SRを形成するため、空間SRに相当する部分の材料は廃材となってしまう。一方、取付枠2では、第1取付体21及び第2取付体22を接合することにより、取付枠2の空間S1を形成するため、第1取付体21及び第2取付体22を形成する際に、空間S1を形成しないため、空間S1に相当する部分には、材料(鋼板)が使用されず、廃材とならない。したがって、図17及び図18に示す取付枠100を単一構造にて構成した場合と比較して、取付枠2では、取付枠2を形成するための廃材の量を低減することができるため、取付枠の歩留まりの大幅な向上を図ることができる。
【0045】
(2)また、第1取付体21の接合部21d及び第2取付体22の接合部22dをかしめによって接合するため、接合部21d,22dをねじによる接合及び圧入並びに接着による接合と比較して、第1取付体21及び第2取付体22の接合強度を向上させることができる。また、接合部21d,22dを溶接により接合した場合と比較して、接合部21d,22dのような接合する部分が小さい場合の接合では、かしめの方が接合強度を高くすることができる。
【0046】
(3)本実施形態の取付枠2では、第1取付体21の2つの接合部21d及び第2取付体22の4つの接合部22dの接合構造の接合手段がそれぞれ同一である構成とする。この構成によれば、取付枠2では、接合部21d,22dが接合する接合構造が4つ設けられるが、これら4つの接合構造の接合手段が同一であることにより、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業を同一にすることができる。したがって、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業を容易に行うことができる。
【0047】
(4)特に、本実施形態の取付枠2では、2つの接合構造がかしめにより行われるため、例えば、かしめによる接合とねじによる接合とを併用した場合等の接合方法を異ならせた場合と比較して、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業を容易に行うことができる。
【0048】
(5)本実施形態の取付枠2では、第2取付体22に突起部22jが設けられるとともに、第1取付体21に開口部21fが設けられる構成とする。この構成によれば、突起部22jを開口部21fに挿入した状態において、突起部22jを押圧することにより変形部位22kを形成してかしめを行うため、かしめの際、かしめのための部材、即ち、接合部同士を接合するのに用いる部材が不要となる。したがって、接合部同士を接合するのに用いる部材であるハトメやリベットを用いたかしめと比較して、部品点数を削減することができる。
【0049】
(6)本実施形態の取付枠2では、奥行き方向において、第1取付体21の接合部21dが第2取付体22の接合部22dより表側に配置されるとともに、接合部21d,22dは、奥行き方向において、互いに重ねられる構成とする。この構成によれば、奥行き方向において、接合部21d,22dが互いに重ねられる構成であるため、接合方向を一方向にて行うことができる。したがって、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業を容易に行うことができる。
【0050】
(7)本実施形態の取付枠2では、第1取付体21及び第2取付体22の接合を全てかしめにより行うため、例えば、プレス機によって、2つの接合構造を同時に行うことができる。即ち、2つの接合構造に設けられた8つの突起部22jを同時に変形させることができる。したがって、第1取付体21及び第2取付体22の接合構造を個別に接合しなければならない接合方法である、ねじ、接着及び溶接による接合と比較して、第1取付体21及び第2取付体22の接合作業の容易化を図るとともに、接合作業の時間の短縮を達成することができる。
【0051】
(8)本実施形態の取付枠2では、奥行き方向において、第2取付体22の接合部22dの突起部22jの変形部位22kの表面22mは、第1取付体21の表面21pよりも裏側に配置される構成とする。この構成によれば、第1取付体21の表面21pに対して近接して配置されるピアノハンドル3と突起部22jとの接触を抑制することができる。ここで、ピアノハンドルと突起部とが接触した場合、ピアノハンドルがスイッチ本体の押釦ハンドルに対して離れてしまう。その結果、ピアノハンドルの押圧が、押釦ハンドルに伝達されにくい場合があった。しかしながら、本実施形態の取付枠2では、突起部22jとピアノハンドル3との接触を防ぐため、奥行き方向において、スイッチ本体1に対してピアノハンドル3の位置を高精度に決めることができるため、ピアノハンドル3が押釦ハンドル11を確実に押圧することができる。
【0052】
(9)本実施形態の取付枠2では、第1取付体21の開口部21fの第2開口部21hには、第1開口部21gに向かい拡径する拡径開口部21jが設けられる構成とする。この構成によれば、拡径開口部が設けられない場合と比較して、突起部22jと開口部21fを構成する内周面との奥行き方向において対向する面積が大きくなることにより、接合部21d,22dが互いに離れる方向に対する強度を向上させることができる。
【0053】
(10)本実施形態の取付枠2では、長手方向において、第2取付体22の貫通孔22bより内側の部位22nが平面にて構成される。この構成によれば、取付枠2をスイッチボックスSBに取り付ける際、即ち、第2取付体22の貫通孔22bにねじが挿入される際、第2取付体22の中央部、即ち、短手方向において、第2取付体22の内側を奥行き方向の裏側に向かい変形する量を大きくすることができる。したがって、第2取付体22の中央部の変形量を大きくすることにより、第2取付体22の撓みに起因する第1取付体21の接合部21d及び第2取付体22の接合部22dに加わる力を低減することができる。したがって、第1取付体21及び第2取付体22の接合の信頼性を向上させることができる。
【0054】
(11)本実施形態の取付枠2では、かしめを行う際、第2取付体22のスイッチボックスSBを取り付ける際の位置決め部22cを、突起部22jを開口部21fに挿入する基準及びかしめピンに対する基準とする構成とする。この構成によれば、スイッチボックスSBを取り付ける際の位置決め部22cを用いることにより、別個、突起部22jを開口部21fに挿入する基準及びかしめピンに対する基準を設けることが不要となる。したがって、第2取付体22の形状を単純化することができる。また、かしめを行う際、第2取付体22を位置決め部22cによって位置決めするため、突起部22jとかしめピンとの位置精度を向上させることができる。したがって、第1取付体21と第2取付体22とのかしめの精度を向上させるとともに、取付枠2のコストダウンを図ることができる。
【0055】
(第2の実施形態)
図8及び図9を参照して、本発明に係るスイッチの取付枠を電気機器のスイッチ装置を構成する取付枠として、具体的には、造営物に設置される照明のオンとオフとの切り換えを行うピアノハンドル式のスイッチ装置の取付枠として具体化した第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態のスイッチ装置と第1の実施形態のスイッチ装置とでは、取付枠の構造が異なるのみであるため、第1取付体と第2取付体との構造のみを説明する。また、同一構成要素には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図8に示すように、取付枠2aは、スイッチ本体1(図1参照)を保持する第1取付部81と、スイッチボックスSBにねじによって取り付けられる第2取付部82と、第1取付部81と第2取付部82とを接続する接続部83とを有する取付体80を2つ組み合わせることにより構成されている。即ち、取付枠2aは、同一形状の2つの取付体80を互いに接合することにより、形成されている。これにより、取付枠2aは、2つの取付体80を互いに接合することにより、空間S1aが形成されている。また、第2取付部82は、長手方向において、保持部81aの一端から接続部93を介して短手方向の内側に延設されている。
【0057】
第1取付部81は、長手方向に沿って断面がL字形状に形成されている。詳細には、第1取付部81には、奥行き方向に沿うとともに、長手方向に沿って形成される保持部81aと、保持部81aから短手方向の内側に向かい延びる補強部81bとが設けられている。また、保持部81aには、スイッチ本体1の筐体12(図1参照)の爪部と係合する貫通孔81cが設けられている。貫通孔81cは、長手方向に沿って、所定の距離を介して複数形成されている。
【0058】
第2取付部82には、長手方向において、第2取付部82の外側に設けられるとともに、プレート枠5(図1参照)を取付枠2aに取り付ける際、ねじ7(図1参照)が螺合されるねじ穴82aと、取付枠2aをスイッチボックスSBに取り付けられる際、ねじが挿入される貫通孔82bとが設けられている。ここで、貫通孔82bは、ねじ穴82aより長手方向の内側に設けられるとともに、短手方向が長軸となる長穴形状である。
【0059】
また、短手方向において、ねじ穴82aの両側には、スイッチボックスSBに対して取付枠2aの位置を決定する一対の位置決め部82cが設けられている。この位置決め部82cは、第2取付体22を奥行き方向に貫通する円形の貫通孔である。
【0060】
接続部83は、第1取付部81と第2取付部82との境界部に設けられている。第2取付部82は、第1取付部81の長手方向の一端から接続部83を介して、短手方向に向かい延設されている。
【0061】
長手方向において、第1取付部81の接続部83とは反対側の端部には、接合部84が設けられている。そして、短手方向において、第2取付部82の接続部83とは反対側の端部には、接合部85が設けられている。
【0062】
接合部84は、補強部81bから短手方向の内側に向かい延設されている。そして、接合部84には、長手方向において、所定の距離を介して接合部84の奥行き方向に貫通する複数の開口部84aが設けられている。そして、接合部85は、第2取付部82に屈曲部85aを介して短手方向の外側に向かい延設されている。そして、接合部85の表面85bには、長手方向において、所定の距離を介して表面85bから奥行き方向の表側に向かい延設される複数の突起部85cが設けられている。なお、開口部84a及び突起部85cの形状は、第1の実施形態の取付枠2の開口部21f及び突起部22jの形状と同様である。
【0063】
次に、図8及び図9を参照して、取付枠2aの製造工程について説明する。
まず、ステップS21において、鋼板から取付体80をプレス加工により打ち抜く。具体的には、鋼板から、第1取付部81及び第2取付部82を略平板状に打ち抜くことにより形成する。そして、第1取付部81の外郭形状と、第2取付部82の外郭形状とを形成する。また、第1取付部81の貫通孔81c及び接合部84の開口部84aは、この工程において、同時に形成される。そして、第2取付部82のねじ穴82a、貫通孔82b、位置決め部82c、及び接合部85の突起部85cも、この工程において、同時に形成される。
【0064】
次に、ステップS22において、接続部83において、第1取付部81を第2取付部82に対して略垂直、即ち、保持部81aが奥行き方向に沿うように折り曲げる。具体的には、第2取付部82に屈曲部85aを形成するとともに、接合部84,85及び補強部81bから保持部81aを奥行き方向の裏側に折り曲げる。この工程により、取付体80は形成される。
【0065】
次に、ステップS23において、2つの取付体80を互いに接合する。具体的には、ステップS22の工程において形成された取付体80を2つ用意する。そして、図8に示すように、1つの取付体80の接合部84,85ともう1つの取付体80の接合部84,85とを互いに接合する。より詳細には、1つの取付体80の接合部85の突起部85cをもう1つの取付体80の接合部84の開口部84aに挿入した状態において、プレス機によって、突起部85cを奥行き方向の裏側に向かい押圧することにより、かしめが行われる。そして、同様に、1つの取付体80の接合部84の開口部にもう1つの取付体80の接合部85の突起部85cを挿入した状態において、プレス機によって、突起部85cを奥行き方向の裏側に向かい押圧することにより、かしめが行われる。この工程により、取付枠2aは形成される。
【0066】
本実施形態のスイッチ装置の取付枠によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(11)に加え、以下の効果を奏することができる。
(12)本実施形態の取付枠2aでは、2つの取付体80が同一形状に形成されるため、プレス機による打ち抜き形状を1種類とすることができる。即ち、プレス機の金型を1種類とすることができる。したがって、取付枠2aの製造のコストダウンを図ることができる。
【0067】
(13)また、第1の実施形態の取付枠2と比較して、接合箇所が半分に減少するため、即ち、第1の実施形態の取付枠2では、1対の第1取付体21と1対の第2取付体22との接合箇所が4箇所であるのに対し、本実施形態の取付枠2aでは、2つの取付体80の接合箇所が2箇所であるため、第1の実施形態の取付枠2の剛性と比較して、取付枠2aの剛性を向上させることができる。
【0068】
(第3の実施形態)
図10〜図12を参照して、本発明に係るスイッチの取付枠を電気機器のスイッチ装置を構成する取付枠として、具体的には、造営物に設置される照明のオンとオフとの切り換えを行うピアノハンドル式のスイッチ装置の取付枠として具体化した第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態のスイッチ装置と第1の実施形態のスイッチ装置とでは、取付枠の構造が異なるのみであるため、取付枠の構造のみを説明する。また、同一構成要素には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図10に示すように、取付枠2bは、単一部材から構成される。即ち、取付枠2bは、2つの第1取付部91と2つの第2取付部92とを有する1つの取付体90を環状に折り曲げることにより構成される。これにより、取付枠2bには、空間(図2の空間S1に相当)が形成されている。
【0070】
第1取付部91は、長手方向に沿って断面がL字形状に形成されている。詳細には、第1取付部91には、奥行き方向に沿うとともに、長手方向に沿って形成される保持部91aと、保持部91aから短手方向の内側に向かい延びる補強部91bとが設けられている。そして、保持部91aには、スイッチ本体1(図1参照)の筐体12に設けられた爪部と係合する貫通孔91cが設けられている。貫通孔91cは、長手方向に沿って、所定の距離を介して複数設けられている。
【0071】
第2取付部92には、長手方向において、第2取付部92の外側に設けられるとともに、プレート枠5(図1参照)を取付枠2bに取り付ける際、ねじ7(図1参照)が螺合されるねじ穴92aと、スイッチボックスSBに取付枠2bを取り付ける際、ねじが挿入される貫通孔92bとが設けられている。ここで、貫通孔92bは、ねじ穴92aより長手方向の内側に設けられるとともに、短手方向が長軸となる長穴形状である。また、短手方向において、ねじ穴92aの両側には、スイッチボックスSBに対して取付枠2bの位置を決定する一対の位置決め部92cが設けられている。この位置決め部92cは、第2取付部92を奥行き方向に貫通する円形の貫通孔である。
【0072】
第1取付部91及び第2取付部92の境界部分には、第1取付部91と第2取付部92とを接続する接続部93が設けられている。また、第1取付部91のうち、1つの第1取付部91の長手方向の端部には、接合部94が設けられている。そして、第2取付部92のうち、1つの第2取付部92の短手方向の端部には、接合部95が設けられている。そして、第1取付部91と第2取付部92とは、接合部94,95が互いに接合することにより構成されている。より詳細には、2つの第1取付部91のうち、一方の第1取付部Aである第1取付部911は、2つの第2取付部92のうち、一方の第2取付部Aである第2取付部921と接続部93を介して連続している。そして、第2取付部921は、2つの第1取付部91のうち、他方の第1取付部Bである第1取付部912と接続部93を介して連続している。そして、第1取付部912は、2つの第2取付部92のうち、他方の第2取付部Bである第2取付部922と接続部93を介して連続している。また、第1取付部911と第2取付部922とは、不連続である。ここで、第1取付部911の長手方向の端部には、接合部94が設けられている。そして、第2取付部922の短手方向の端部には、接合部95が設けられている。第1取付部911の接合部94と第2取付部922の接合部95とを互いに接合することにより、取付体90は枠形状に形成されている。
【0073】
接合部94は、第1取付部91の上端から短手方向の内側に向かい延設されている。そして、接合部94には、長手方向において、所定の距離を介して接合部94の奥行き方向に貫通する複数の開口部94aが設けられている。そして、接合部95の表面95bには、長手方向において、所定の距離を介して表面95bから奥行き方向の表側に向かい延設される複数の突起部95cが設けられている。なお、開口部94a及び突起部95cの形状は、第1の実施形態の取付枠2の開口部21f及び突起部22jの形状と同様である。
【0074】
次に、図10〜図12を参照して、取付枠2bの製造方法について説明する。
まず、ステップS31において、鋼板から取付体90をプレス加工により打ち抜く。具体的には、図12に示すように、帯形状の鋼板から、帯形状に形成された取付体90を形成する。即ち、帯形状の鋼板から、2つの第1取付部91の外郭形状と、2つの第2取付部92の外郭形状と、3つの接続部93の外郭形状とを有する帯形状の取付体90を形成する。より詳細には、第1取付部911及び第2取付部921との間、第2取付部921及び第1取付部912との間、第1取付部912と第2取付部922との間には、接続部93を介して連続して形成されている。そして、第1取付部911及び第2取付部922は、取付体90の両端を形成するとともに、互いに不連続である。そして、第1取付部911には、接合部94、第2取付部922には、接合部95がそれぞれ形成されている。この工程において、接合部94,95は、それぞれ取付体90の両端に形成されている。また、第1取付部91の貫通孔91c及び接合部94の開口部94aは、この工程において、同時に形成される。そして、第2取付部92のねじ穴92a、貫通孔92b、位置決め部92c、及び接合部95の突起部95cも、この工程において、同時に形成される。
【0075】
次に、ステップS32において、各接続部93を折り曲げることにより、第1取付部91及び第2取付部92を環状に折り曲げる。この工程において、接合部94を第1取付部91の上端から短手方向の内側に向かうように折り曲げる。即ち、ステップS31において、帯形状の取付体90は、枠形状の取付体90に形成する。また、この工程において、第1取付部91の補強部91bが同時に形成される。
【0076】
次に、ステップS33において、接合部94,95を互いに接合する。具体的には、取付体90を環状に折り曲げた後、図10に示すように、接合部94,95を奥行き方向において、互いに重なるように配置する。そして、接合部94,95を互いに接合する。より詳細には、接合部95の突起部95cを接合部94の開口部94aに挿入した状態において、プレス機によって、突起部95cを奥行き方向の裏側に向かい押圧することにより、かしめが行われる。この工程により、取付枠2bは形成される。
【0077】
本実施形態のスイッチ装置の取付枠によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(11)に加え、以下の効果を奏することができる。
(14)本実施形態の取付枠2bでは、単一部材で構成された帯形状の取付体90を環状に折り曲げることにより枠形状を形成し、接合部94,95を接合することにより、取付枠2bを形成する構成である。この構成によれば、プレス機による打ち抜き形状を1種類とすることができる。したがって、プレス機を簡素化することができるため、プレス機を安価なものにすることができる。その結果、取付枠2bの製造のコストダウンを図ることができる。
【0078】
(15)特に、取付枠2bを単一部材から構成することにより、鋼板において、2つの第1取付部91及び2つの第2取付部92からなる取付体90を一直線状とすることができる。したがって、第1の実施形態の取付枠2及び第2の実施形態の取付枠2aと比較して、本実施形態の取付枠2bは、より歩留まりの向上を図ることができる。
【0079】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は、上記各実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下のように変更することもできる。
【0080】
・第1の実施形態において、第1取付体21の板厚と、第2取付体22の板厚とは、同一であったが、本発明は、これに限定されることはない。例えば、第2取付体22の板厚と比較して、第1取付体21の板厚が小さく形成されてもよい。即ち、第2取付体22の形成するための鋼板の板厚が、第1取付体21を形成するための鋼板の板厚より小さいものを使用してもよい。したがって、第1取付体21の板厚と第2取付体22の板厚とが同一であった場合と比較して、取付枠2の形成のための鋼板の使用量を低減することができる。即ち、したがって、取付枠2の材料費の低減を図ることができる。
【0081】
・第1の実施形態において、第2取付体22に突起部22jが設けられるとともに、第1取付体21に開口部21fが設けられたが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、図13及び図14に示すように、第2取付体22に開口部21f1が設けられるとともに、第1取付体21に突起部22j1が設けられる構成であってもよい。この変更した構造は、第2の実施形態の取付枠2a及び第3の実施形態の取付枠2bに対しても適用することができる。
【0082】
・第1の実施形態において、接合部21d,22dは、奥行き方向において、互いに重ねられたが、本発明は、これに限定されることはない。例えば、図15及び図16に示すように、接合部21d,22dは、奥行き方向に対して直交する方向において、互いに重ねられてもよい。この変更した構造は、第2の実施形態の取付枠2a及び第3の実施形態の取付枠2bに対しても適用することができる。
【0083】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、接合部21d,84,94には、開口部21fに、第1開口部21g及び第2開口部21hが設けられたが、本発明は、これに限定されることはない。突起部22j及び開口部21fがかしめを行うことができる形状であればよいため、例えば、開口部21fは、第2開口部21hのみから構成されてもよい。この場合、突起部22jが押圧されることにより、突起部22jは、第2開口部21hを押圧するように変形するとともに、第2開口部21hに接合される。
【0084】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、奥行き方向において、かしめが行われた後の突起部22jは、接合部21d,84,94の表面より裏側に配置されていたが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、突起部22jと接合部21d,84,94の表面とは略同一であってもよい。
【0085】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、取付枠2の第1取付体21及び第2取付体22には、突起部22jに表面が形成されたが、本発明は、これに限定されることない。突起部22jの形状は、開口部21fに対してかしめが行うことができる形状であればよいため、例えば、突起部は、中空の円筒形状、即ち、貫通孔が設けられた円筒形状であってもよい。
【0086】
・本発明のスイッチ装置Aの第1の実施形態〜第3の実施形態において、取付枠2の第1取付体21及び第2取付体22は、かしめにより接合されたが、本発明は、これに限定されることなく、例えば、第1取付体及び第2取付体は、溶接により接合されてもよい。第1取付体及び第2取付体を溶接により接合することにより、第1取付体の接合部及び第2取付体の接合部に、突起部及び開口部を設けることが不要となるため、第1取付体及び第2取付体の形状を簡素化することができる。したがって、第1取付体及び第2取付体の形成を容易とするとともに、第1取付体及び第2取付体の製造コストを低減することができる。
【0087】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、スイッチ装置Aは、スイッチ本体1及びピアノハンドル3がそれぞれ1個であったが、本発明は、これに限定されることはない。例えば、スイッチ本体1及びピアノハンドル3が、2個及び3個であってもよい。
【0088】
・第1の実施形態〜第3の実施形態において、取付枠2,2a,2bは、一つの空間S1,S1aが形成されたが、本発明は、これに限定されることはない。例えば、取付枠に複数の空間が形成されてもよい。即ち、取付枠の他に、複数の空間を形成するための部材が配置される構造であっても本発明の技術的思想を適用することができる。
【0089】
・本発明のスイッチ装置Aでは、スイッチ本体1として、ピアノハンドル3を介して、機械式にオンとオフとを切り換えるスイッチであったが、本発明は、このスイッチの種類に限定されることはない。例えば、機械式のスイッチに替えて、光学式のセンサであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明のスイッチの取付枠を具体化した第1の実施形態について、同取付枠を一構成要素として備えるスイッチ装置の分解斜視構造を示す斜視図。
【図2】同実施形態のスイッチの取付枠について、同取付枠の斜視構造を示す斜視図。
【図3】同実施形態のスイッチの取付枠について、同取付枠の分解斜視構造を示す斜視図。
【図4】(a)同実施形態のスイッチの取付枠について、接合部のかしめが行われる前の状態の断面構造を示す断面図。(b)同実施形態のスイッチの取付枠について、接合部のかしめが行われた後の状態の断面構造を示す断面図。
【図5】同実施形態のスイッチ装置の製造過程を示すフローチャート。
【図6】同実施形態のスイッチの取付枠の製造過程を示すフローチャート。
【図7】(a)同実施形態のスイッチの取付枠の第1取付体と鋼板との関係を示す平面図。(b)同実施形態のスイッチの取付枠の第2取付体と鋼板との関係を示す平面図。
【図8】本発明のスイッチの取付枠を具体化した第2の実施形態について、同取付枠の分解斜視構造を示す斜視図。
【図9】同実施形態のスイッチの取付枠の製造過程を示すフローチャート。
【図10】本発明のスイッチの取付枠を具体化した第3の実施形態について、同取付枠の分解斜視構造を示す斜視図。
【図11】同実施形態のスイッチの取付枠の製造過程を示すフローチャート。
【図12】同実施形態のスイッチの取付枠について、同取付枠を構成する取付体を示す斜視図。
【図13】第1の実施形態のスイッチの取付枠の変形例について、同取付枠の接合前の状態の斜視構造を示す斜視図。
【図14】第1の実施形態のスイッチの取付枠の変形例について、同取付枠の接合前の状態の分解斜視構造を示す斜視図。
【図15】第1の実施形態のスイッチの取付枠の変形例について、同取付枠の接合前の状態の斜視構造を示す斜視図。
【図16】第1の実施形態のスイッチの取付枠の変形例について、同取付枠の接合前の状態の分解斜視構造を示す斜視図。
【図17】従来のスイッチの取付枠について、同取付枠の斜視構造を示す斜視図。
【図18】従来のスイッチの取付枠について、同取付枠と鋼板との関係を示す平面図。
【符号の説明】
【0091】
A…スイッチ装置、P1,P2…鋼板、SB…スイッチボックス、SB1…突出部、SB2…貫通孔、1…スイッチ本体、2,2a,2b…取付枠、3…ピアノハンドル、4…プレート、5…プレート枠、6…化粧プレート、7…ねじ、11…押釦ハンドル、12…筐体、21…第1取付体、21a…保持部、21b…補強部、21c…貫通孔、21d…接合部、21e…裏面、21f,21f1…開口部、21g…第1開口部、21h…第2開口部、21j…拡径開口部、21p…表面、22…第2取付体、22a…ねじ穴、22b…貫通孔、22c…位置決め部、22d…接合部、22e…屈曲部、22f…表面、22g…部位、22h…表面、22j,22j1…突起部、22k…変形部位、22m…表面、22n…部位、31…爪部、80…取付体、81…第1取付部、81a…保持部、81b…補強部、81c…貫通孔、82…第2取付部、82a…ねじ穴、82b…貫通孔、82c…位置決め部、83…接続部、84,85…接合部、84a…開口部、85a…屈曲部、85b…表面、85c…突起部、90…取付体、91,911,912…第1取付部、91a…保持部、91b…補強部、91c…貫通孔、92,921,922…第2取付部、92a…ねじ穴、92b…貫通孔、92c…位置決め部、93…接続部、94,95…接合部、94a…開口部、95b…表面、95c…突起部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチの取付枠において、
スイッチを保持する2つの第1取付体と、スイッチボックスに取り付けられる2つの第2取付体とを組み合わせることにより構成されること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチの取付枠において、
前記第1取付体の板厚は、前記第2取付体の板厚よりも小さいこと
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項3】
スイッチの取付枠において、
スイッチを保持する第1取付部とスイッチボックスに取り付けられる第2取付部とを有する2つの取付体を互いに組み合わせることにより構成され、
前記2つの取付体は、同一形状であること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項4】
スイッチの取付枠において、
前記スイッチを保持するとともに、スイッチを保持するとともに、空間を介して対向して配置される2つの第1取付部と、スイッチボックスに取り付けられるとともに、空間を介して対向して配置される2つの第2取付部とを備え、
前記2つの第1取付部のうち、一方を第1取付部Aとし、他方を第1取付部Bとし、また前記2つの第2取付部のうち、一方を第2取付部Aとし、他方を第2取付部Bとして、
当該取付枠は、単一部材から構成され、且つ、前記第1取付部A及び前記第2取付部Aの間、前記第2取付部A及び前記第1取付部Bの間、並びに前記第1取付部B及び前記第2取付部Bの間は、それぞれ接続部を介して連続するとともに、前記第1取付部A及び前記第2取付部Bの間は不連続であり、
前記第1取付部A及び前記第2取付部Bが互いに接合されることにより、枠形状が形成されること
を特徴とするスイッチの取付枠。
【請求項5】
電気機器のオンとオフとを切り換えるスイッチと、前記スイッチを保持する取付枠とを備えるスイッチ装置において、
前記取付枠として、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のスイッチの取付枠を備えることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
スイッチの取付枠の製造方法において、
それぞれ鋼板をプレス加工することにより、スイッチを保持する2つの第1取付体と、スイッチボックスに取り付けられる2つの第2取付体とを形成する工程と、
前記第1取付体と前記第2取付体とを組み合わせる工程とを備え、
前記第2取付体を形成する鋼板の板厚は、前記第1取付体を形成する鋼板の板厚よりも小さいこと
を特徴とするスイッチの取付枠の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−50067(P2010−50067A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215940(P2008−215940)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】