説明

スイッチの操作装置

【課題】スイッチのアクチュエータを押し込むカムの移動方向とアクチュエータの移動方向が異なる場合においても、アクチュエータを押し込んだ状態からスイッチを復帰させる際に、アクチュエータを更に押し込んだ後、元の状態に復帰させる。
【解決手段】アクチュエータ3aの押圧部に凸部2bを有し、アクチュエータ3aの移動スイッチ3方向に対して直交方向に移動するカム3を備え、アクチュエータ3aを押し込んだ状態から復帰させる際に、アクチュエータ3aを更に押し込んだ後、元の状態に復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動復帰するスイッチの復帰不良を有効に防止できるスイッチの操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自己復帰するスイッチが操作部材によって押し込まれた状態で放置されると、スイッチ内部の復帰バネの機械的な劣化や、スイッチに対して外部から及ぼされる例えば塵の侵入や温度変化などの様々な要因により、スイッチが復帰しなくなる可能性が生じることがある。
【0003】
上記した課題を解決するために従来、自己復帰するスイッチのアクチュエータの移動方向と同一方向に移動して該アクチュエータを操作するスイッチ操作機構と、スイッチ操作機構によりスイッチのアクチュエータが押し込まれている状態を解除する際に、アクチュエータに対して押し込まれている状態から更に押し込む方向へ押しこみ動作を実行した後、アクチュエータの押し込まれている状態を解除する押しこみ動作制御手段とを備えたスイッチの操作装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−134468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に開示された技術によれば、アクチュエータを操作するスイッチ操作機構の移動方向とアクチュエータの移動方向は同じである。しかしながら、アクチュエータの移動量が大きかったり、少なかったりすると、スイッチ自体にダメージを与え、あるいは押し込み量が不足して効果が不十分であったりする可能性がある。また、それを回避するために、温度補正等複雑なプログラム処理が必要になっていた。
更に、アクチュエータを押し込むスイッチ操作機構の移動方向とアクチュエータの移動方向が異なる場合、例えば、アクチュエータの移動方向に対して直交方向にスイッチ操作機構が移動する場合、上記の処理を実現すること事態に無理があった。
【0006】
この発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、簡単な構造により、スイッチのアクチュエータを押し込むカムの移動方向とアクチュエータの移動方向が異なる場合においても、アクチュエータを押し込んだ状態からスイッチを復帰させる際に、アクチュエータを更に押し込んだ後、元の状態に復帰させることのできるスイッチの操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るスイッチの操作装置は、アクチュエータを押圧した状態から復帰させる際に、アクチュエータを更に押し込んだ後、元の状態に復帰させる凸部を押圧部に設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明のスイッチの操作装置によれば、簡単な構造により、スイッチ操作機構の移動方向とアクチュエータの移動方向が異なる場合においても、アクチュエータを押し込んだ状態からスイッチを復帰させる際に、アクチュエータを更に押し込んだ後、元の状態に復帰させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るスイッチの操作装置が適用されるディスクローディング装置を搭載した車載用コンパクトディスクプレイヤ(以下、CDプレーヤという)の基本的な構成を示す平面図である。
【0010】
図1において、CDプレーヤ筐体(以下、筐体という)1には、ディスクの搬入および排出動作に伴い動作するスイッチ操作部材としてのカムプレート2(以下、単にカムと称する)、ディスク搬入動作完了位置検出用のスイッチ3、CDプレーヤ制御用基板4が設けられ、筐体1に対しディスク5が着脱される。カム2には、スイッチ3のアクチュエータ3aを押し込む押圧部2aを有し、この押圧部2aには、アクチュエータ3aを押し込んだ状態から、更に押し込んだ後、元の状態に復帰させる凸部2bが設けられている。
【0011】
なお、図示省略したが、カム2はスリットを有し、このスリットを通るガイドピンにより支えられているものとし、また、CDプレーヤ制御用基板4上にはCPU(Central Processing Unit)を含む制御回路部品が実装されている。
【0012】
図2(a)(b)(c)は、この発明の実施の形態1に係るスイッチの操作装置の動作を説明するために示した図である。
ここでは、カム2は、アクチュエータ3aの移動方向に対し、直交方向に移動し、カム2の押圧部2aでアクチュエータ3aを押し込んでスイッチ3の内部接点を切り換えている。
【0013】
以下、CDプレーヤのディスク搬入および排出動作について、図2(a)(b)(c)を参照しながらカム2の動きを中心に説明する。
【0014】
図2(a)の状態からディスク5の搬入動作が行われるとき、カム2はディスク搬入動作に伴い、図2(a)に示す状態から矢印で示す下側方向に動いて押圧部2aでアクチュエータ3aを押し込み、更に凸部2bでアクチュエータ3aを押し込む。(図2(b))。この結果、スイッチ3がオンになり、CDプレーヤ制御用基板4上の制御装置はディスク5の搬入動作が完了したと判断し、一定時間もしくは一定の距離を空走し停止する。そして、ディスク5の搬入動作を終了させるとともにカム2は凸部2bがアクチュエータ3aを乗り越え押圧部2aでアクチュエータ3aを押し込んだ状態で停止して図2(c)に示す状態になる。このとき、スイッチ3はオン状態となっている。
【0015】
次に、筐体1に対してディスク5の搬入動作が完了した図2(c)に示す状態で、筐体1の外部の図示しない検出部、あるいは操作部等から制御装置に対してディスクイジェクト命令が入力されると、制御装置はイジェクト命令を出力してディスク排出動作が開始される。このときカム2の凸部2bは、図2(c)に示す状態から、図2(b)に示す状態になってアクチュエータ3aを更に一度押し込む。
【0016】
そして、カム2が図2(b)に示す状態から図2(a)に示す状態になるまで移動すると、カム2の押圧部2aにより解放されて、アクチュエータ3aは自己復帰する。
【0017】
上記したように、実施の形態1によれば、カム2の移動方向がアクチュエータ3aの移動方向に対し直交方向であっても、アクチュエータ3aを押し込んだ状態からスイッチ3を復帰させる際、その状態からアクチュエータ3aを一旦更に押し込んだ後、元の状態に復帰させることができる。
【0018】
この結果、アクチュエータ3aがカム2によって押し込まれた状態で放置され、スイッチ3内部の復帰バネの機械的な劣化や、スイッチ3に対して外部から及ぼされる、例えば塵の侵入や温度変化などの様々な要因により、アクチュエータ3aが押し込まれた状態から復帰しなくなった場合であっても、スイッチ3内部での引っかかり等を取り除き、また、復帰バネを押し込むことによりバネの復元力を増大させることで復帰不良の発生を防ぐことができる。
【0019】
実施の形態2.
図3(a)(b)(c)は、この発明の実施の形態2に係るスイッチの操作装置の動作を説明するために示した図である。
なお、以下に説明する実施の形態2においても図1に示すCDプレーヤへの適用例を説明するものとし、ここでは、扇形状を有する回転体12を用いる。
【0020】
この回転体12は、ディスク5の搬入出に伴い移動するカム2により、一方の端部12aが押圧されてアクチュエータ3aの移動軸方向に対し直交方向に回転駆動され、回転体12の他方の端部12bの周面でアクチュエータ3aを押し込むとともに、端部12bの周面に設けられた凸部12b−1でアクチュエータ3aを更に押し込む構造である。
【0021】
以下、CDプレーヤのディスク搬入および排出動作について、図3(a)(b)(c)を参照しながら回転体12の動きを中心に説明する。
【0022】
図3(a)の状態からディスク5の搬入動作が行われるとき、回転体12の一方の端部12aは、ディスク5の搬入動作に伴いカム2により押され、図3(a)に示す状態から時計廻りに回転動作を開始し、他方の端部12bの周面でアクチュエータ3aを押し込むとともに、端部12bの周面に設けられた凸部12b−1でアクチュエータ3aを更に押し込む(図3(b))。この結果、スイッチ3がオンになると、CDプレーヤ制御用基板4上の制御装置はディスク搬入動作が完了したと判断し、一定時間もしくは一定の距離を空走し停止する。そして、ディスク搬入動作を終了させるとともに回転体12は凸部12b−1がアクチュエータ3aを乗り越え端部12bの周面でアクチュエータ3aを押し込んだ状態で停止して図3(c)に示す状態になる。このとき、スイッチ3はオン状態となっている。
【0023】
筐体1に対してディスク5の搬入動作が完了した図3(c)に示す状態で、筐体1外部の図示しない検出部、あるいは操作部等から制御装置に対してディスクイジェクト命令が入力されると、制御装置はイジェクト命令を出力してディスク排出動作が開始される。このとき回転体12は、図3(c)に示す状態から反時計方向に回転することにより、図3(b)に示す状態になって、凸部12b−1でアクチュエータ3aを更に一度押し込む。そして、回転体12が更に回転して図3(a)の状態になると、アクチュエータ3aの押し込みを解放する。
【0024】
上記したように、実施の形態2によれば、回転体12により、アクチュエータ3aを押し込んだ状態から復帰させる際、その押し込んだ状態から凸部12b−1でアクチュエータ3aを一旦更に押し込んだ後、元の状態に復帰させることができる。
【0025】
このため、アクチュエータ3aがカム2によって押し込まれた状態で放置され、スイッチ3内部の復帰バネの機械的な劣化や、スイッチ3に対して外部から及ぼされる例えば塵の侵入や温度変化などの様々な要因により、アクチュエータ3aが押し込まれた状態から復帰しなくなった場合であっても、スイッチ3内部での引っかかり等を取り除き、また、復帰バネを押し込むことによりバネの復元力を増大させることで復帰不良の発生を防ぐことができる。
【0026】
図4は、アクチュエータ3aの動きを、横軸にカム2の変位、縦軸にアクチュエータ3aのストロークを目盛ったグラフで示している。以下、このグラフを参照しながらアクチュエータ3aの動きについて説明する。
【0027】
図4に示されるように、カム2は、スイッチ3のONの領域でアクチュエータ3aのストロークをオーバーシュートさせてから、オフの領域に遷移するように動作する。つまりカム2の凸部2bまたは回転体12の凸部12b−1は、例えば、テーパ形状、曲線状等、アクチュエータ3aを一度押し込む動作が実現できる形状であれば問題ない。
すなわち、カム2のアクチュエータ3aの押圧部2aに設けられた凸部2bまたは回転体12の凸部12b−1の形状は、アクチュエータ3aを更に押し込んでから元の状態に復帰させることができる形状であればよい。
【0028】
以上説明したように、この発明の実施の形態1および実施の形態2におけるスイッチの操作装置によれば、アクチュエータ3aを押し込むカム2(回転体12)の移動方向がアクチュエータ3aの移動方向に対し直交方向であっても、アクチュエータ3aを押し込んだ状態から復帰させる際に、アクチュエータ3aを更に押し込んだ後、元の状態に復帰させることができる。この結果、アクチュエータ3aの復帰不良の発生を確実に防止することができる。
【0029】
なお、上記した実施の形態1、実施の形態2によれば、自己復帰するスイッチ3を用いたCDプレーヤについてのみ説明したが、CDプレーヤに制限されるものではなく、自己復帰するスイッチ3を用いた装置であればいずれの装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施の形態1に係るスイッチの操作装置が適用されるディスクローディング装置を搭載した車載用CDプレーヤの基本的な構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るスイッチの操作装置のCDプレーヤのディスク搬入および排出動作時における動作を説明するために示した図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係るスイッチの操作装置のCDプレーヤのディスク搬入および排出動作時における動作を説明するために示した図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るスイッチの操作装置の動作をグラフ上に模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0031】
1 筐体、2 カム、2a 押圧部、2b、12b−1 凸部、3 スイッチ、3a アクチュエータ、4 基板、5 ディスク、12 回転体、12a,12b 端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータが押し込まれると内部接点が切り換わり、前記アクチュエータを押し込む操作が解除されると前記切り換わっている内部接点が元の状態に復帰する自己復帰動作を行なうスイッチの操作装置において、前記アクチュエータの押圧部を有するスイッチ操作部材を備え、前記アクチュエータを押圧した状態から復帰させる際に、前記アクチュエータを更に押し込んだ後、元の状態に復帰させる凸部を前記押圧部に設けたことを特徴とするスイッチの操作装置。
【請求項2】
前記アクチュエータの押圧部を有し、前記スイッチ操作部材で押し動かされる回転体を備え、前記アクチュエータを押圧した状態から復帰させる際に、前記アクチュエータを更に押し込んだ後、元の状態に復帰させる凸部を前記押圧部に設けた請求項1記載のスイッチの操作装置。
【請求項3】
前記凸部は、スイッチ操作部材の移動に応じて前記アクチュエータを押圧できる形状とする、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のスイッチの操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−138620(P2011−138620A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110321(P2008−110321)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】