説明

スイッチング素子補償回路

【課題】スイッチング素子の電力損失を低減することのできるスイッチング素子補償回路の提供を図る。
【解決手段】スイッチング素子1の制御端子に制御パルスを与えてスイッチング制御するスイッチング素子補償回路であって、前記スイッチング素子を介して制御される出力電圧Voutから該スイッチング素子の閾値電圧の変動を検出する第1閾値電圧変動検出部2,24,25と、該第1閾値電圧変動検出部の出力に応じて第1制御信号を生成する第1制御信号生成部22,23,26,27と、前記第1制御信号生成部の出力に応じて前記制御パルスの振幅を制御する振幅制御部21,28,29と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願で言及する実施例は、スイッチング素子補償回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野におけるエネルギー資源の節約が注目され、例えば、電源の分野においてもその影響が波及している。具体的には、例えば、スイッチング電源のさらなる高効率化が求められるようになってきている。
【0003】
現在では、既に、その出力効率が90%を超えるスイッチング電源も提案されているが、例えば、使用するスイッチング用トランジスタ(スイッチング素子)で消費される電力がボトルネックになり、出力効率をさらに向上させるには限界が見え始めている。
【0004】
このスイッチング用トランジスタによるボトルネックの原因は、トランジスタのオン抵抗と呼ばれる寄生抵抗成分で、特に、トランジスタに電流が流入する端子側に存在するもの、並びに、トランジスタ全ての端子間に見える容量成分にあると考えられている。
【0005】
まず、トランジスタの電流流入端子側に存在する寄生抵抗成分に起因した問題は、トランジスタがオン状態の時に生じる。すなわち、トランジスタのオン抵抗は、トランジスタをオン状態にして、トランジスタに電流を流したとき、オームの法則によって、そのオン抵抗および電流によりトランジスタの電流の流れる端子間に電圧を発生させる。
【0006】
ここで、トランジスタで消費される電力は、トランジスタに流れる電流と、トランジスタに電流が流れる両端子間に生じる電圧の積となるため、この電力は、スイッチング電源の出力として取り出せるものでは無く、トランジスタで熱に変換されて電力損失となる。
【0007】
次に、トランジスタ全ての端子間に見える容量成分に起因した問題は、トランジスタのオン/オフ動作の際に電流および電圧が急激に変化するときに生じる。すなわち、トランジスタがオン/オフ動作するとき、まず、トランジスタの各端子間に見える容量に電荷が充放電される。
【0008】
さらに、トランジスタのスイッチ動作が開始されると、この容量の充放電は、トランジスタの電圧および電流間のスイッチ動作のタイミングを遅らせることになる。そして、容量が大きければ大きいほど、そのタイミング遅延は大きくなる。
【0009】
その結果、電流が完全に零にならない状態で電圧が印加されしまうため、その間、トランジスタの電流流入端子側に存在する寄生抵抗成分による問題と同様に、電力損失が生じることになる。
【0010】
ところで、従来、電界効果型のスイッチング用トランジスタを使用し、軽負荷時の損失を低減して効率を改善するスイッチング電源装置としては、様々なものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2005/078910号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、スイッチング電源のスイッチング素子としては、一般的に、電界効果型トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)が使われてきており、代表的なトランジスタとして、シリコン材料を用いた金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタがある。そして、上述した電力損失の問題は、このMOS(Metal-Oxide-Semiconductor (-Silicon))トランジスタにおいて大きな問題となっている。
【0013】
そこで、上述した電力損失を低減するために、シリコンではない化合物半導体材料を用いたスイッチング電源用トランジスタが開発されている。すなわち、化合物半導体の多くはシリコンに比べて電子の移動度が大きく相互コンダクタンスが大きいため、オン抵抗を小さくすることができ、また、トランジスタの各端子間に見える容量も小さいという特徴がある。
【0014】
しかしながら、化合物半導体を用いた電界効果型トランジスタのスイッチングの定常的動作における電気的特性は、周囲の環境温度や印加される電流および電圧によって変化する場合があり、例えば、トランジスタの閾値電圧が大きく変化する場合もある。
【0015】
具体的に、通常、スイッチング電源に用いられるnチャネル型のトランジスタの閾値電圧は、プラスでなければならないが、例えば、化合物半導体のトランジスタでは、動作状況・動作環境によりマイナス側へ動いてしまう場合がある。
【0016】
このような化合物半導体を用いた電界効果型トランジスタにおける閾値のマイナス側への変動は、スイッチング動作の状態において発生し、その詳細な原因については、半導体表面、半導体−半導体界面、半導体−絶縁体界面に存在すると考えられている電子捕獲準位からの電子の充放電に強く依存していると言われているが、今のところ十分に理解されておらず、また、その動作を完全に制御することもできていない。
【0017】
なお、トランジスタにおける閾値電圧の変動は、例えば、窒化ガリウムHEMT(GaN High Electron Mobility Transistor)を始めとする化合物半導体によるトランジスタだけでなく、程度に差はあるものの一般的なMOS等の様々なトランジスタにおいても生じている。
【0018】
すなわち、後述する各実施例のスイッチング素子補償回路は、GaN HEMT等の化合物半導体やMOS等の電界効果型トランジスタといった様々なスイッチング素子に対して幅広く適用することができる。
【0019】
さらに、制御対象となるスイッチング素子は、スイッチング電源のスイッチング素子として使用されるトランジスタに限定されず、様々な電気回路におけるスイッチング素子であるのはいうまでもない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本実施形態によれば、スイッチング素子の制御端子に制御パルスを与えてスイッチング制御するスイッチング素子補償回路であって、第1閾値電圧変動検出部と、第1制御信号生成部と、振幅制御部と、を有するスイッチング素子補償回路が提供される。
【0021】
前記第1閾値電圧変動検出部は、前記スイッチング素子を介して制御される出力電圧から該スイッチング素子の閾値電圧の変動を検出し、前記第1制御信号生成部は、前記第1閾値電圧変動検出部の出力に応じて第1制御信号を生成する。前記振幅制御部は、前記第1制御信号生成部の出力に応じて前記制御パルスの振幅を制御する。
【発明の効果】
【0022】
開示のスイッチング素子補償回路は、スイッチング素子の電力損失を低減するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、スイッチング電源装置の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1のスイッチング電源装置におけるスイッチング素子の閾値電圧変動を説明するための図(その1)である。
【図3】図3は、図1のスイッチング電源装置におけるスイッチング素子の閾値電圧変動を説明するための図(その2)である。
【図4】図4は、図1のスイッチング電源装置の動作を説明するための図である。
【図5】図5は、本実施例のスイッチング素子補償回路を適用したスイッチング電源装置の一例を示すブロック図である。
【図6】図6は、図5のスイッチング電源装置の具体例を示す回路図である。
【図7】図7は、図6のスイッチング電源装置における可変利得増幅器を抜き出して示す回路図である。
【図8】図8は、図7の可変利得増幅器の変形例を説明するためのブロック図である。
【図9】図9は、図6のスイッチング電源装置におけるサンプリング部を示すブロック図である。
【図10】図10は、図9(a)のサンプリング部の一例を示す回路図である。
【図11】図11は、図6のスイッチング電源装置の動作を説明するための図である。
【図12】図12は、図5のスイッチング電源装置の変形例を示すブロック図である。
【図13】図13は、図5のスイッチング電源装置を適用したモータ装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、スイッチング素子補償回路の実施例を詳述する前に、図1〜図4を参照してスイッチング電源装置の一例を説明する。
【0025】
図1は、スイッチング電源装置(電源回路)の一例を示すブロック図であり、降圧型スイッチング電源装置を示すものである。
【0026】
図1において、参照符号101はスイッチング用トランジスタ(スイッチング素子)、102は電流検出用インピーダンス素子(インピーダンス素子)、そして、103はダイオード(ダイオード素子)を示す。また、参照符号104はインダクタ(インダクタンス素子)、105はキャパシタ(平滑用キャパシタンス素子)、そして、106は負荷抵抗を示す。
【0027】
また、参照符号107は電圧分割器、108は参照用電源、109は電圧・位相補償器、110は鋸波信号源、111は比較およびパルス発生器、112はセット・リセット(SR)ラッチ回路、そして、113はゲートドライバを示す。さらに、参照符号114はゲートドライバIC、115はクロック用電源、116は入力電源、そして、117は誤差増幅器を示す。
【0028】
図1に示されるように、降圧型スイッチング電源装置において、例えば、負側端子が接地され,入力電圧Vinを与える入力電源116の正側端子は、スイッチング用トランジスタ101のドレインに接続される。
【0029】
スイッチング用トランジスタ101のソースは、インピーダンス素子102の一端に接続され、インピーダンス素子102の他端は、ダイオード103のアノードおよびインダクタ104の一端に接続される。
【0030】
ダイオード103のカソードは接地され、また、インダクタ104の他端は、キャパシタ105の一端に接続されると共に、出力電圧Voutを出力する出力電圧端子に接続される。なお、キャパシタ105の他端は接地され、また、出力電圧端子と接地間には、負荷抵抗106が接続されることになる。
【0031】
ここで、インピーダンス素子102は、スイッチング用トランジスタ101を介してインダクタ104に流れる電流(コイル電流)ILを検出するためのもので、インピーダンス素子102の両端に発生する電圧は、検出器124により検出される。
【0032】
出力電圧(Vout)端子と接地間には、直列接続された抵抗171および172を有する電圧分割器107が接続され、誤差増幅器117により、その電圧分割器107の出力電圧を参照電源108の電圧と比較して、出力電圧Voutをフィードバック制御する。
【0033】
誤差増幅器117は、正入力(非反転入力)の参照用電源108の電圧と、負入力(反転入力)の電圧分割器107における抵抗171および172で分圧された電圧との差を増幅して出力し、誤差増幅器117の出力は、電圧・位相補償器109に供給される。
【0034】
ここで、誤差増幅器117の出力は、電圧・位相補償器109を介して比較およびパルス発生器111に供給されているが、例えば、誤差増幅器117の負入力端子と出力端子との間に電圧・位相補償器109を並列に設けてもよい。
【0035】
すなわち、電圧・位相補償器109は、誤差増幅器117から出力される信号の電圧および位相を補償して、所望の出力電圧の時間的変化の速度を調整するものであり、様々な回路を適用することができる。
【0036】
比較およびパルス発生器111の入力には、電圧・位相補償器109の出力以外に、インピーダンス素子102の両端で発生した電圧を検出する検出器124の出力、並びに、パルス波を生成するための鋸波信号源110の出力も供給されている。
【0037】
そして、比較およびパルス発生器111は、入力された各信号を比較(加減算)した後、所望のパルス信号を発生する。比較およびパルス発生回路111により発生されたパルス信号は、SRラッチ回路112のリセット端子(R)に入力される。
【0038】
ここで、SRラッチ回路112のセット端子(S)には、そのSRラッチ回路112を動作させるために、専用のクロック用電源115の出力が入力される。これにより、SRラッチ回路112のQ出力は、適切なデューティ比を持ったパルス信号になり、そのパルス信号は、ゲートドライバ113に入力される。
【0039】
ゲートドライバ113の出力は、スイッチング用トランジスタ101のゲートに供給され、スイッチング用トランジスタ101のドレイン・ソース間に流れる電流をオン/オフ制御する。なお、図1では、ゲートドライバ113には、スイッチング用トランジスタ101のソースおよび接地が接続されている。
【0040】
ところで、スイッチング用トランジスタ(スイッチング素子)として、GaN HEMT等の化合物半導体やMOS等の電界効果型トランジスタを適用した場合、周囲の環境温度や印加される電流および電圧によって、トランジスタの閾値電圧が変化することがある。
【0041】
図2および図3は、図1のスイッチング電源装置におけるスイッチング素子の閾値電圧変動を説明するための図であり、図2は閾値電圧Vthが正に変動した場合を示し、また、図3は閾値電圧Vthが負に変動した場合を示す。
【0042】
なお、図2および図3は、スイッチング素子としてnチャネル型MOSトランジスタやGaN HEMTを使用したときの閾値電圧Vthの変動を示しているが、他のスイッチング素子でも、周囲の環境温度や印加電圧等によって、その閾値電圧が変動する。
【0043】
まず、図2(a)〜図2(d)を参照して、スイッチング素子(スイッチング用トランジスタ)の閾値電圧Vthが正に変動した場合を説明する。
【0044】
ここで、図2(a)は、スイッチング用トランジスタの各ゲートソース間電圧Vgsに対する、ドレイン−ソース間電圧Vdsとドレイン−ソース間電流Idsとの関係(IV特性)を示し、参照符号LL1は、負荷線を示す。
【0045】
図2(c)は、スイッチング用トランジスタの閾値電圧がVth11のときのVgsとIdsとの関係を示し、参照符号CL11は、そのときのスイッチング用トランジスタの特性曲線を示す。なお、参照符号PA1は、スイッチング用トランジスタのゲートに印加される振幅電圧Vp1の制御パルスを示す。
【0046】
図2(d)は、スイッチング用トランジスタの閾値電圧が図2(c)のVth11からΔVth1だけ正に変動したVth12になったときのVgsとIdsとの関係を示し、参照符号CL12は、そのときのスイッチング用トランジスタの特性曲線を示す。
【0047】
図2(c)と図2(d)との比較から明らかなように、閾値電圧がΔVth1だけ正に変動すると、スイッチング用トランジスタの変動後の特性曲線CL12は、変動前の特性曲線CL11をΔVth1だけ正にシフトしたものになる。
【0048】
図2(d)に示されるように、閾値電圧がΔVth11からΔVth1だけ正に変動してVth12になると、ソースードレイン間電流Idsは、ΔIds1だけ小さくなる。また、図2(b)に示されるように、各ゲートソース間電圧Vgsにおいて、それぞれドレイン−ソース間電圧Vdsは、所定の電圧(例えば、Vgs=10Vのときは、ΔVds1)だけ増大する。
【0049】
すなわち、図1のスイッチング電源装置において、例えば、スイッチング素子の閾値電圧Vthが動作中に正に変動すると、制御パルスPA1では、出力電圧を所望の電圧値にすることが困難になり、また、スイッチング素子による電力損失の増大を招くことになる。
【0050】
次に、図3(a)〜図3(d)を参照して、スイッチング用トランジスタの閾値電圧Vthが負に変動した場合を説明する。
【0051】
ここで、図3(b)は、スイッチング用トランジスタの各ゲートソース間電圧Vgsにおける、ドレイン−ソース間電圧Vdsとドレイン−ソース間電流Idsとの関係(IV特性)を示し、参照符号LL2は、負荷線を示す。
【0052】
図3(d)は、スイッチング用トランジスタの閾値電圧がVth21(例えば、Vth21=0V)のときのVgsとIdsとの関係を示し、参照符号CL21は、そのときのスイッチング用トランジスタの特性曲線を示す。なお、参照符号PA2は、スイッチング用トランジスタのゲートに印加される振幅電圧Vp2の制御パルスを示す。
【0053】
図3(c)は、スイッチング用トランジスタの閾値電圧が図2(d)のVth21からΔVth2だけ負に変動したVth22になったときのVgsとIdsとの関係を示し、参照符号CL22は、そのときのスイッチング用トランジスタの特性曲線を示す。
【0054】
なお、上述した閾値電圧Vthが正に変動した場合を説明する図2(a),図2(b),図2(c)および図2(d)は、目盛りは異なるが、それぞれ閾値電圧Vthが負に変動した場合を説明する図3(b),図3(a),図3(d)および図3(c)に相当する。
【0055】
図3(d)と図3(c)との比較から明らかなように、閾値電圧がΔVth2だけ負に変動すると、スイッチング用トランジスタの変動後の特性曲線CL22は、変動前の特性曲線CL21をΔVth2だけ負にシフトしたものになる。
【0056】
これは、図3(a)に示されるように、例えば、スイッチング用トランジスタのゲートに対して制御パルスPA2を与えなくても(すなわち、Vgs=0V)、スイッチング用トランジスタがオンしてドレイン−ソース間電流Idsが流れる(オフしない)ことになる。
【0057】
すなわち、図1のスイッチング電源装置において、例えば、スイッチング素子の閾値電圧Vthが動作中に負に変動すると、電力損失が増加して出力効率が大きく劣化する。換言すると、スイッチング用トランジスタでの発熱が大きくなり、そのスイッチング用トランジスタが破壊されるおそれも生じることになる。
【0058】
図4は、図1のスイッチング電源装置の動作を説明するための図であり、閾値電圧Vthを+5Vから−5Vまで正弦波で変化させたときのシミュレーション結果を示すものである。ここで、図4(a)は、閾値電圧Vthの時間Tによる変化を示し、図4(b)は、そのときのドレイン−ソース間電流Idsの時間Tによる変化を示し、そして、図4(c)は、出力電圧Voutの時間Tによる変化を示す。
【0059】
図4(a)〜図4(c)に示されるように、閾値電圧Vthが図4(a)のように変化するとき、ドレイン−ソース間電流Idsは、図4(b)のように変化し、また、出力電圧Voutは、図4(c)のように変化する。
【0060】
すなわち、スイッチング素子の閾値電圧Vthが正に変化すると、一定の振幅電圧(Vp1)を有する制御パルスPA1ではスイッチング素子をオンすることができず、電流Idsを流すことができない状態が生じる。
【0061】
さらに、スイッチング素子の閾値電圧Vthが負に変化すると、一定の振幅電圧(Vp2)を有する制御パルスPA2ではスイッチング素子が常にオンして電流Idsが流れ続ける状態が生じる。
【0062】
このように、スイッチング素子の閾値電圧Vthが正および負に変動すると、出力電圧Voutを所望の電圧(例えば、略40V)に維持することができず、その出力電圧Voutの変動は、100%を超えるような非常に大きなものとなる。また、スイッチング素子による電力損失が大きくなり、さらに、スイッチング素子が破壊されるおそれも生じる。
【0063】
以下、スイッチング素子補償回路の実施例を,添付図面を参照して詳述する。図5は、本実施例のスイッチング素子補償回路を適用したスイッチング電源装置(電源回路)の一例を示すブロック図であり、降圧型スイッチング電源装置を示すものである。
【0064】
図5において、参照符号1はスイッチング用トランジスタ(スイッチング素子)、2は電流検出用インピーダンス素子(インピーダンス素子)、そして、3はダイオード(ダイオード素子)を示す。また、参照符号4はインダクタ(インダクタンス素子)、5はキャパシタ(平滑用キャパシタンス素子)、6は負荷抵抗、そして、7は電圧分割器を示す。
【0065】
さらに、参照符号8は参照用電源(第1参照用電源)、9は電圧・位相補償器(第1電圧・位相補償器)、10は鋸波信号源(第1鋸波信号源)、11は比較およびパルス発生器(第1比較およびパルス発生器)、そして、16は入力電源を示す。
【0066】
また、参照符号17は誤差増幅器(第1誤差増幅器)、18は濾波器(第1濾波器)、19は緩衝増幅器(第1緩衝増幅器)、20は変換器(第1変換器)、21は可変利得増幅器、22は参照用電源(第2参照用電源)そして、24は検出器を示す。
【0067】
さらに、参照符号23は鋸波信号源(第2鋸波信号源)、25はサンプリング部、26は誤差増幅器(第2誤差増幅器)、27は比較およびパルス発生器(第2比較およびパルス発生器)、28はスイッチ、そして、29は直流電圧レベル供給電源を示す。
【0068】
図5と前述した図1との比較から明らかなように、図5の降圧型スイッチング電源装置は、図1の電源装置に対してスイッチング用トランジスタ1のゲートに供給する制御パルスの振幅を補償する回路を加えたものに相当する。
【0069】
図5に示されるように、降圧型スイッチング電源装置において、例えば、負側端子が接地され,入力電圧Vinを与える入力電源16の正側端子は、スイッチング用トランジスタ1のドレインに接続される。
【0070】
スイッチング用トランジスタ1のソースは、インピーダンス素子2の一端に接続され、インピーダンス素子2の他端は、ダイオード3のアノードおよびインダクタ4の一端に接続される。
【0071】
ダイオード3のカソードは接地され、また、インダクタ4の他端は、キャパシタ5の一端に接続されると共に、出力電圧Voutを出力する出力電圧端子に接続される。
【0072】
なお、キャパシタ5の他端は接地され、また、出力電圧端子と接地間には、負荷抵抗6が接続されることになる。また、ダイオード(ダイオード素子)3として、スイッチング制御可能なトランジスタを適用し、同期整流を行ってスイッチング電源装置とすることもできる。
【0073】
ここで、インピーダンス素子2は、スイッチング用トランジスタ1を介してインダクタ4に流れる電流(コイル電流)ILを検出するためのもので、インピーダンス素子2の両端に発生する電圧は、検出器24により検出される。
【0074】
出力電圧(Vout)端子と接地間には、直列接続された抵抗71および72を有する電圧分割器7が接続され、誤差増幅器17により、その電圧分割器7の出力電圧を参照電源8の電圧と比較して、出力電圧Voutをフィードバック制御する。
【0075】
誤差増幅器17は、正入力(非反転入力)の参照用電源8の電圧と、負入力(反転入力)の電圧分割器7における抵抗71および72で分圧された電圧との差を増幅して出力し、その誤差増幅器17の出力は、電圧・位相補償器9に供給される。
【0076】
ここで、誤差増幅器17の出力は、電圧・位相補償器9を介して比較およびパルス発生器11および濾波器18に供給されているが、例えば、誤差増幅器17の負入力端子と出力端子との間に電圧・位相補償器9を並列に設けてもよい。
【0077】
すなわち、電圧・位相補償器9は、誤差増幅器17から出力される信号の電圧および位相を補償して、所望の出力電圧の時間的変化の速度を調整するものであり、様々な回路を適用することができる。
【0078】
具体的に、誤差増幅器17の出力に挿入するもの以外に、例えば、電圧・位相補償器9は、誤差増幅器17の負入力端子と出力端子との間に並列に接続したもの、或いは、誤差増幅器17の負入力端子と接地間に接続したもの等の様々なものが適用され得る。
【0079】
電圧・位相補償器9の出力は、比較およびパルス発生器11の一方の入力および濾波器18に供給され、比較およびパルス発生器11の他方の入力には、パルス波を生成するための鋸波信号源110の出力が供給されている。
【0080】
比較およびパルス発生器11の出力は、可変利得増幅器21に供給され、また、電圧・位相補償器9および濾波器18を通った誤差増幅器17の出力は、緩衝増幅器19で増幅された後、変換器20を介して可変利得増幅器21に供給される。
【0081】
ここで、濾波器18、緩衝増幅器19および変換器20は、可変利得増幅器21を介してスイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅を調整するための第1制御信号を生成する第1制御信号生成部に相当する。
【0082】
第1制御信号生成部は、スイッチング電源装置の出力電圧Voutから検出されたスイッチング用トランジスタ1の閾値電圧の変動に応じて、そのスイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅を調整するための第1制御信号を生成する。
【0083】
すなわち、例えば、第1制御信号生成部(変換器20)の出力により、可変利得増幅器21に入力される比較およびパルス発生器11の出力振幅(スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅)が調整されることになる。
【0084】
一方、検出器24により検出されたインピーダンス素子2の両端で発生した電圧は、後述するサンプリング部25に入力され、そのサンプリング部25の出力は、誤差増幅器26の正入力に供給される。
【0085】
誤差増幅器26は、その負入力に供給された参照用電源22の出力と、上記正入力に供給されたサンプリング部25の出力との差電圧を増幅し、その出力を比較およびパルス発生器27に供給する。
【0086】
比較およびパルス発生器27には、鋸波信号源23の出力も供給され、この比較およびパルス発生器27の出力により、直流電圧レベル供給電源29が接続されたスイッチ28のスイッチングが制御される。
【0087】
ここで、参照用電源22、鋸波信号源23、誤差増幅器26、並びに、比較およびパルス発生器27は、第2制御信号生成部に相当する。
【0088】
第2制御信号生成部は、スイッチング用トランジスタ1を流れる電流(インダクタ2の両端子間の電圧)から検出されたスイッチング用トランジスタ1の閾値電圧の変動に応じて、第2制御信号を生成する。
【0089】
この第2制御信号は、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅を調整するために使用される。
【0090】
すなわち、例えば、第2制御信号生成部(比較およびパルス発生器27)の出力により、スイッチ28を制御して可変利得増幅器21に印加される直流電圧レベル(スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスのオフセット電圧)を調整する。
【0091】
なお、本実施例のスイッチング素子補償回路は、降圧型スイッチング電源装置におけるスイッチング用トランジスタへの適用に限定されるものではなく、様々な回路において、閾値電圧が変動するスイッチング素子に対して幅広く適用することが可能である。
【0092】
ところで、トランジスタの閾値電圧が変動(変化)するということは、(1) そのトランジスタを駆動するゲート電圧で所望の電流が流れないか、或いは、(2) ゲートのオン/オフ動作においてトランジスタに流れる電流(Ids)が零にならない場合である。
【0093】
まず、上記(1) の状態は、多くの場合、トランジスタ(スイッチング用トランジスタ1)の閾値電圧が初期状態より正側へ移動した場合に発生する。この状態を正常な動作に復帰させるためには、例えば、トランジスタの直流ゲート電圧を正側へシフトし、トランジスタのゲートに印加されるパルス電圧(制御パルスの振幅)を大きくすればよい。
【0094】
これを実現するのが第1制御信号生成部であり、誤差増幅器17(電圧・位相補償器9)の出力から、濾波器18,緩衝増幅器19および変換器20を通して第1制御信号を生成し、その第1制御信号を可変利得増幅器21の利得調整用端子に供給する。
【0095】
ここで、スイッチング電源装置の出力電圧Voutは、電圧分割器7により分圧され、その分圧された電圧が、誤差増幅器17により参照用電源8の出力電圧と比較される。
【0096】
このとき、出力電圧Voutが所望の電圧に等しくないと、誤差増幅器17の出力電圧は0Vにならず、或る一定の電圧が出力される。この誤差増幅器17の出力電圧レベルは、閾値電圧Vthと比例関係にはなっていない。
【0097】
そこで、誤差増幅器17の出力電圧レベルを、任意の値へ変換するのが変換器20であり、この変換器20の出力により、可変利得増幅器21の利得を制御してスイッチング用トランジスタ1に供給される制御パルスの振幅を制御する。これにより、スイッチング用トランジスタ1は、そのトランジスタ1に流れる電流Idsが適切な値となるように制御される。
【0098】
このように、第1制御信号生成部は、スイッチング電源装置の出力電圧Voutのレベルに従って、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅を調整するための第1制御信号を生成するものである。
【0099】
もちろん、変換器20により可変利得増幅器21の利得を制御するだけでなく、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給する制御パルスの直流電圧レベルをシフト、すなわち、オフセット電圧を調整することも可能である。
【0100】
次に、上記(2) の状態は、多くの場合トランジスタ(スイッチング用トランジスタ1)の閾値電圧が初期状態より負側へ移動した場合に発生する。この状態を正常な動作へ復帰させるためには、例えば、トランジスタの直流ゲート電圧を負側へシフトし、トランジスタのゲートに印加されるパルス電圧が0Vの時に直流の電流が流れないようにすればよい。
【0101】
すなわち、トランジスタのゲートに印加される制御パルスの電圧が0Vの時、そのトランジスタのドレイン電流Idsの直流成分を監視して、常にそれが0になるように適切に制御する。
【0102】
これを実現するのが第2制御信号生成部であり、誤差増幅器26によりサンプリング部25から出力される信号が所望の信号レベル(参照用電源22の出力電圧)になっているかどうかを比較し、誤差増幅器26の出力を比較およびパルス発生器27へ供給する。
【0103】
そして、比較およびパルス発生器27は、誤差増幅器26の出力および鋸波信号源23の出力から第2制御信号を生成し、この第2制御信号によりスイッチ28のスイッチングを制御する。
【0104】
ここで、スイッチ28は、可変利得増幅器21に供給する直流電圧のレベルを制御するもので、直流電圧レベル供給電源29の両端の電圧のいずれか一方を選択して可変利得増幅器21に供給する。
【0105】
ここで、検出器24は、インピーダンス素子2の両端に発生する電圧を検出し、その検出器24から出力される信号の直流成分(ボトムホールド値)をサンプリング部25で抽出する。
【0106】
このように、第2制御信号生成部は、インピーダンス素子2の両端子間の電圧、すなわち、スイッチング用トランジスタ1を流れる電流Idsに従って、そのトランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの直流電圧レベルを調整する第2制御信号を生成する。
【0107】
図6は、図5のスイッチング電源装置の具体例を示す回路図であり、電圧・位相補償器9、濾波器18、変換器20および可変利得増幅器21等を具体的な回路として示すものである。なお、図6の回路において、電圧・位相補償器9は、誤差増幅器17の後段ではなく、誤差増幅器17の負入力と出力間に接続されている。
【0108】
図6に示されるように、電圧・位相補償器9は、誤差増幅器17の負入力と出力間に接続される、直列接続された抵抗91およびキャパシタ92、並びに、キャパシタ93を有する。この電圧・位相補償器9により、スイッチング電源装置は、所望の出力電圧の時間的変化の速度が調整され、装置全体の動作が不安定にならないように制御される。
【0109】
なお、電圧・位相補償器9は、例えば、図5のように、誤差増幅器17の出力と比較およびパルス発生器11の入力間、或いは、誤差増幅器17の負入力端子と接地間に設けるといった様々な回路が適用可能である。
【0110】
濾波器18は、インダクタ181およびキャパシタ182を有する回路構成であり、誤差増幅器17から出力される信号を直流の値に近くなるようにする。濾波器18の出力は、正入力が接地された緩衝増幅器19の負入力に供給され、この緩衝増幅器19により、濾波器18の出力レベルが調整されて変換器20に供給される。
【0111】
変換器20は、例えば、電界効果トランジスタを用いた電圧変換回路とすることができ、増幅器201,トランジスタ202および抵抗203を有する。この変換器20は、濾波器18および緩衝増幅器19を介して供給される誤差増幅器17の出力を任意の電圧または電圧関数に変換し、その出力を可変利得増幅器21の利得調整用端子に供給する。
【0112】
可変利得増幅器21は、抵抗R1,R2,R3,R4および増幅器210を有する。ここで、抵抗R3は可変抵抗とされ、変換器20(第1制御信号生成部)の出力により抵抗値を制御して、比較およびパルス発生器11の出力振幅、すなわち、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅を調整するようになっている。
【0113】
また、可変利得増幅器21には、比較およびパルス発生器11の出力端子、直流電圧レベル供給電源29の負電位端子、並びに、直流電圧レベル供給電源29の正または負電位端子を選択して接続するスイッチ28のスイッチング端子も接続されている。
【0114】
ここで、直流電圧レベル供給電源29の負電位端子は、スイッチング用トランジスタ1のソースに接続され、直流電圧レベル供給電源29の電圧は、スイッチング用トランジスタ1のソース電圧Vsと同じ電位となっている。
【0115】
さらに、スイッチ28は、比較およびパルス発生器27の出力により制御され、直流電圧レベル供給電源29負電位(スイッチング用トランジスタ1のソース電圧Vs)または正電位が選択され、その直流電圧レベルが可変利得増幅器21に供給される。
【0116】
スイッチ28のスイッチング端子は、抵抗R4を介して増幅器210の正入力に接続され、また、増幅器210の出力は、制御パルスとしてスイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される。
【0117】
抵抗R2は、増幅器210の負入力と出力間に接続され、また、抵抗R3は、比較およびパルス発生器11の出力によりその抵抗値が可変制御され、そして、抵抗R4は、変換器20(増幅器201)の出力によりその抵抗値が可変制御される。
【0118】
ここで、比較およびパルス発生器27の出力(第2制御信号生成部からの第2制御信号)によりスイッチ28を制御して、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの直流電圧レベルをシフト、すなわち、オフセット電圧を調整する。
【0119】
なお、図7を参照して後述するように、抵抗R4を可変抵抗とし、第2制御信号生成部の出力(第2制御信号)によりその抵抗値を制御してオフセット電圧の調整を行うこともできる。
【0120】
図7は、図6のスイッチング電源装置における可変利得増幅器を抜き出して示す回路図である。図7に示されるように、可変利得増幅器21は、抵抗R1,R2,R3,R4および増幅器210を有し、抵抗R3およびR4は、可変抵抗とされている。
【0121】
ここで、端子215から増幅器210の正入力に供給される信号(比較およびパルス発生器11の出力信号)の振幅は、例えば、端子214から供給される変換器20(第1制御信号生成部)の出力により制御される可変抵抗R3の抵抗値に従って調整される。これにより、端子211を介して出力されるスイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅が調整されることになる。
【0122】
また、端子213を介して印加される直流電圧レベルは、例えば、比較およびパルス発生器27(第2制御信号生成部)の出力により制御される可変抵抗R4の抵抗値に従って調整される。これにより、端子211から出力されるスイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスのオフセット電圧が調整されることになる。
【0123】
なお、可変利得増幅器21の具体的な回路やその制御手法は、様々に変形することができ、例えば、前述した図6の例では、スイッチ28により端子213を介して印加される直流電圧レベルを直接制御するようになっている。なお、図6の例では、端子216に対してスイッチング用トランジスタ1のソース電圧Vsを印加するようになっている。
【0124】
図8は、図7の可変利得増幅器の変形例を説明するためのブロック図である。上述したように、可変利得増幅器21は、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅の調整(利得の調整)とオフセット電圧の調整(直流電圧レベルの調整)を両方とも同時に行うことができる。
【0125】
しかしながら、これらの機能は、図8(a)または図8(b)のように、別々の回路ブロックにより実現することも可能である。ここで、参照符号21aは、制御パルスの振幅の調整を行うための可変利得増幅部を示し、また、21bは、制御パルスのオフセット電圧の調整を行うための直流電圧レベル補正部(レベルシフト回路)を示す。
【0126】
すなわち、図8(a)に示されるように、例えば、入力信号Sinを、制御信号CSaに従って利得の調整を行う可変利得増幅部21aを通した後、制御信号CSbに従って直流電圧レベルの調整を行う直流電圧レベル補正部21bを通してもよい。
【0127】
或いは、図8(b)に示されるように、例えば、入力信号Sinを、制御信号CSbに従って直流電圧レベルの調整を行う直流電圧レベル補正部21bを通した後、制御信号CSaに従って利得の調整を行う可変利得増幅部21aを通してもよい。
【0128】
すなわち、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの利得の調整(振幅の調整)と直流電圧レベルの調整(オフセット電圧の調整)は、同一または別々の回路ブロックにより、或いは、同時または任意の順序で行うことが可能である。
【0129】
図9は、図6のスイッチング電源装置におけるサンプリング部を説明するための図であり、図9(a)はサンプリング部のブロック図を示し、また、図9(b)はサンプリング部の動作を説明するための図を示している。
【0130】
図9(a)に示されるように、サンプリング部25は、交流成分抽出部51,整流部52,電圧平滑化部53,加算器54,55および電圧平均化部56を有する。
【0131】
交流成分抽出部51は、入力信号(検出器24の出力信号)S1から交流成分を抽出して整流部52および加算器55の負入力に供給する。整流部52は、交流成分抽出部51により抽出された交流成分を整流して電圧平滑化部53に供給する。
【0132】
加算器54は、入力信号S1の直流成分から交流成分抽出部51により抽出された交流成分を差し引いて、電圧平均化部56に供給する。そして、加算器55は、電圧平均化部56の出力から電圧平滑化部53の出力を差し引いて信号S2を出力する。
【0133】
すなわち、図9(b)に示されるように、サンプリング部25は、オフセット電圧が乗っている交流信号である入力信号S1において、その入力信号S1の最小値(バレー)Pvの電圧Vvを保持するバレーホールド回路として機能する。なお、図9(b)において、参照Ppは、入力信号S1の最大値(ピーク)を示している。
【0134】
図10は、図9(a)のサンプリング部の一例を示す回路図である。図10に示されるように、サンプリング部25は、キャパシタ251,255,259、緩衝増幅器252,257、ダイオード253、抵抗254、インダクタ258および緩衝用差動増幅器256を有する。
【0135】
ここで、図10と図9(a)の比較から明らかなように、交流成分抽出部51はキャパシタ251および緩衝増幅器252に対応し、整流部52はダイオード253に対応し、そして、電圧平滑化部53は抵抗254およびキャパシタ255に対応する。
【0136】
また、加算器54は緩衝用差動増幅器256に対応し、加算器55は緩衝増幅器257に対応し、そして、電圧平均化部56はインダクタ258およびキャパシタ258に対応する。この図10に示す回路により、図9(a)のサンプリング部25を実現することができる。
【0137】
すなわち、まず、入力信号S1を交流成分および直流成分に分け、その交流成分を、キャパシタ251を介して緩衝増幅器252の正入力に供給する。なお、緩衝増幅器252の負入力は、その出力に接続されている。
【0138】
入力信号S1の直流成分は、緩衝用差動増幅器257の正入力子に供給され、また、緩衝増幅器252の出力信号は、緩衝用差動増幅器257の負入力子に供給される。緩衝増幅器252の出力信号は、インダクタ258を介しての緩衝用差動増幅器256の正入力に供給される。
【0139】
ここで、緩衝用差動増幅器256の正入力と接地間にはキャパシタ259が設けられ、これらインダクタ258およびキャパシタ259によるローパスフィルタで平均化された電圧が緩衝用差動増幅器256の正入力に供給される。
【0140】
また、緩衝増幅器252の出力信号は、ダイオード253により整流(半波整流)され、緩衝用差動増幅器256の負入力に供給される。ここで、緩衝用差動増幅器256の負入力には、接地との間に抵抗254およびキャパシタ255が設けられ、ダイオード253により整流された信号を平滑化して緩衝用差動増幅器256の正入力に供給するようになっている。
【0141】
ここで、ダイオード253は、交流信号化された入力信号S1のバレー(ピーク)電圧を検出することになり、このバレー電圧が平滑化されて緩衝用差動増幅器256の負入力に供給される。
【0142】
そして、緩衝用差動増幅器256は、インダクタ258およびキャパシタ259によるローパスフィルタで平均化された緩衝用差動増幅器257の出力信号をその正入力で受け取り、負入力で受け取るバレー電圧が平滑化された信号との差動増幅を行う。
【0143】
これにより、緩衝用差動増幅器256は、入力信号S1において、交流信号成分が除去され、最小直流信号成分(バレーホールド電圧)を示す信号S2が出力されることになる。
【0144】
図11は、図6のスイッチング電源装置の動作を説明するための図であり、閾値電圧Vthを+5Vから−5Vまで正弦波で変化させたときのシミュレーション結果を示すものである。ここで、図11(a)は、閾値電圧Vthの時間Tによる変化を示し、図11(b)は、そのときのドレイン−ソース間電流Idsの時間Tによる変化を示し、そして、図11(c)は、出力電圧Voutの時間Tによる変化を示す。
【0145】
図11(a)〜図11(c)に示されるように、閾値電圧Vthが図11(a)のように変化するとき、ドレイン−ソース間電流Idsは、図11(b)のように変化し、また、出力電圧Voutは、図11(c)のように変化する。
【0146】
すなわち、スイッチング素子の閾値電圧Vthが正に変化しても、また、負に変化しても、図11(b)に示されるように、スイッチング素子には、ほぼ一定の振幅電圧を有する制御パルスが供給され、出力電圧Voutは、所望の電圧(ほぼ40V)を維持する。
【0147】
具体的に、図11(c)に示されるように、出力電圧Vout=39.8Vとすると、閾値電圧Vthが図11(a)のように変化しても、出力電圧Voutの変動は、ほぼ5%以下に抑えることができるのが分かる。
【0148】
このことは、スイッチング素子による電力損失が小さいことを意味し、例えば、スイッチング電源装置の効率をより一層向上させることを可能にする。
【0149】
図12は、図5のスイッチング電源装置の変形例を示すブロック図である。図12と図5との比較から明らかなように、本変形例では、第2制御信号生成部を第1制御信号生成部と同様のものとしている。
【0150】
すなわち、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスのオフセット電圧を調整するための第2制御信号を生成する第2制御信号生成部が、濾波器31、緩衝増幅器32および変換器33を有している。
【0151】
なお、本変形例において、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅を調整するための第1制御信号生成部は、図5の実施例と同様に、濾波器18、緩衝増幅器19および変換器20を有している。
【0152】
すなわち、サンプリング部25の出力は、電圧・位相補償器30に供給され、電流の時間的変化の速度が調節され、また、電圧・位相補償器30の出力は、濾波器31に供給され、その出力における高い周波数成分が除去される。
【0153】
なお、電圧・位相補償器30は、前述した電圧・位相補償器9と同様に、様々な変形が可能であり、サンプリング部25と濾波器31との間に挿入されるものに限定されないのはいうまでもない。
【0154】
濾波器31の出力は、緩衝増幅器32に供給され、また、緩衝増幅器32の出力は、その出力を任意の適切な出力(所定のレベル)に変換するための変換器33を介して可変利得増幅器21に供給される。
【0155】
すなわち、変換器33は、緩衝増幅器32の出力を、例えば、スイッチング用トランジスタ1に流れる直流成分が零となるような出力に変換して可変利得増幅器21に供給する。これにより、例えば、スイッチング用トランジスタ1の閾値電圧が負側へシフトした状態でも、適切にスイッチング用トランジスタ1の直流ゲート電圧を設定することが可能になる。
【0156】
本変形例の第2制御信号生成部は、電圧・位相補償器30によりサンプリング部25から出力される信号の電圧および位相補償を行った後、濾波器31を介して緩衝増幅器32で増幅し、さらに、変換器33で所定の信号(第2制御信号)に変換して出力する。
【0157】
ここで、変換器33の出力信号は、例えば、図7の端子212に供給され可変抵抗R4の抵抗値を制御して、可変利得増幅器21に印加される直流電圧レベルを調整する。これにより、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスのオフセット電圧が調整されることになる。
【0158】
なお、変換器20の出力信号は、例えば、図7の端子214に供給され可変抵抗R3の抵抗値を制御して、比較およびパルス発生器11の出力信号の振幅を調整する。これにより、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅が調整されることになる。
【0159】
上述した実施例および変形例では、第1制御信号生成部および第2制御信号生成部の両方を有しているが、それらの一方でも、スイッチング用トランジスタ1の電力損失を低減する効果が期待できる。
【0160】
すなわち、スイッチング用トランジスタ1のゲートに供給される制御パルスの振幅、或いは、オフセット電圧のどちらか一方を調整するだけでも、電力損失の低減を図ることが可能である。換言すると、第1制御信号生成部または第2制御信号生成部の一方を有するスイッチング素子補償回路でも、スイッチング素子の電力損失を低減することが可能である。
【0161】
図13は、図5のスイッチング電源装置を適用したモータ装置の一例を示すブロック図であり、負荷抵抗6として直流モータ300を設け、スイッチング電源装置の出力電圧Voutにより直流モータ300を駆動するモータ装置を示している。
【0162】
図13に示されるように、上述したスイッチング素子補償回路は、例えば、直流モータ300を駆動するモータ装置に適用することもできる。さらに、各実施例のスイッチング素子補償回路は、知られている、交流モータ(例えば、三相モータ)の回転数や回転トルクを自在に変えることができるモータ用インバータにおけるスイッチング素子補償回路等として幅広く適用することができる。
【0163】
さらに、上述した各実施例のスイッチング素子補償回路は、前述したように、GaN HEMT等の化合物半導体やMOS等の電界効果型トランジスタといった様々なスイッチング素子に対して幅広く適用することができる。
【0164】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
スイッチング素子の制御端子に制御パルスを与えてスイッチング制御するスイッチング素子補償回路であって、
前記スイッチング素子を介して制御される出力電圧から該スイッチング素子の閾値電圧の変動を検出する第1閾値電圧変動検出部と、
該第1閾値電圧変動検出部の出力に応じて第1制御信号を生成する第1制御信号生成部と、
前記第1制御信号生成部の出力に応じて前記制御パルスの振幅を制御する振幅制御部と、を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0165】
(付記2)
付記1に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記振幅制御部は、前記第1制御信号に応じて前記スイッチング素子の制御端子に与えられる前記制御パルスの振幅を制御する可変利得増幅器を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0166】
(付記3)
付記2に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記第1制御信号生成部は、
前記第1閾値電圧変動検出部の出力を濾波する第1濾波器と、
該第1濾波器の出力を緩衝増幅する第1緩衝増幅器と、
該第1緩衝増幅器の出力を変換して前記第1制御信号を出力する第1変換器と、を有し、
前記第1変換器からの前記第1制御信号により、前記可変利得増幅器における利得を調整することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0167】
(付記4)
付記1〜3のいずれか1項に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記第1閾値電圧変動検出部は、前記出力電圧を分圧した電圧と、第1参照電源の電圧とを比較する第1誤差増幅器を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0168】
(付記5)
スイッチング素子の制御端子に制御パルスを与えてスイッチング制御するスイッチング素子補償回路であって、
前記スイッチング素子に流れる電流から該スイッチング素子の閾値電圧の変動を検出する第2閾値電圧変動検出部と、
該第2閾値電圧変動検出部の出力に応じて第2制御信号を生成する第2制御信号生成部と、
前記第2制御信号生成部の出力に応じて前記制御パルスのオフセット電圧を制御するオフセット電圧制御部と、を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0169】
(付記6)
付記5に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記オフセット電圧制御部は、前記第2制御信号に応じて前記スイッチング素子の制御端子に与えられる前記制御パルスのオフセット電圧を制御する可変利得増幅器を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0170】
(付記7)
付記6に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記第2制御信号生成部は、
前記第2閾値電圧変動検出部の出力電圧を第2参照用電源の電圧と比較する第2誤差増幅器と、
該第2誤差増幅器の出力に応じて所定パルスの前記第2制御信号を出力する第2比較およびパルス発生器と、を有し、
前記第2比較およびパルス発生器からの前記第2制御信号により、前記可変利得増幅器に印加される直流電圧レベルを調整することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0171】
(付記8)
付記7に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記振幅制御部は、さらに、
前記第2比較およびパルス発生器からの前記第2制御信号によりスイッチング制御され、前記可変利得増幅器に対して異なるレベルの直流電圧を印加するスイッチを有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0172】
(付記9)
付記6に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記第2制御信号生成部は、
前記第2閾値電圧変動検出部の出力を濾波する第2濾波器と、
該第2濾波器の出力を緩衝増幅する第2緩衝増幅器と、
該第2緩衝増幅器の出力を変換して前記第2制御信号を出力する第2変換器と、を有し、
前記第2変換器からの前記第2制御信号により、前記可変利得増幅器における直流電圧レベルを調整することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0173】
(付記10)
付記5〜9のいずれか1項に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記第2閾値電圧変動検出部は、
前記スイッチング素子に直列に設けられたインピーダンス素子と、
該インピーダンス素子の両端の電圧を検出する検出器と、
該検出器の出力信号をサンプリングして、該検出部の出力信号におけるバレー電圧を保持して出力するサンプリング部と、を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0174】
(付記11)
付記1〜4のいずれか1項に記載のスイッチング素子補償回路における前記第1閾値電圧変動検出部,前記第1制御信号生成部および前記振幅制御部と、付記5〜10のいずれか1項に記載のスイッチング素子補償回路における前記第2閾値電圧変動検出部,前記第2制御信号生成部および前記オフセット電圧制御部と、の両方を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【0175】
(付記12)
付記1〜11のいずれか1項に記載のスイッチング素子補償回路と、
一端が入力電源に接続された前記スイッチング素子と、
該スイッチング素子の他端に一端が接続されたインダクタンス素子と、
該インダクタンス素子の他端に設けられた平滑用キャパシタンス素子と、を有することを特徴とする電源回路。
【0176】
(付記13)
付記12に記載の電源回路において、さらに、
前記スイッチング素子の他端と前記インダクタンス素子の一端の接続ノードに設けられたダイオード素子を有することを特徴とする電源回路。
【0177】
(付記14)
入力信号から交流信号の振幅成分を抽出する交流成分抽出部と、
前記入力信号から前記交流成分抽出部の出力を差し引く第1加算部と、
該第1加算部の出力を平均化する平均化部と、
前記交流成分抽出部の出力を整流する整流部と、
前記整流部の出力を平滑する平滑化部と、
前記平均化部の出力から前記平滑化部の出力を差し引いて、ボトムホールド値を出力する第2加算部と、を有することを特徴とするサンプリング回路。
【0178】
(付記15)
付記10に記載のスイッチング素子補償回路において、前記サンプリング部は、付記14に記載のサンプリング回路を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【符号の説明】
【0179】
1,101 スイッチング用トランジスタ(スイッチング素子)
2,102 電流検出用インピーダンス素子(インピーダンス素子)
3,103 ダイオード
4,104 インダクタ(インダクタンス素子)
5,105 キャパシタ(平滑用キャパシタンス素子)
6,106 負荷抵抗
7,107 電圧分割器
8,22,108 参照用電源
9,109 電圧・位相補償器
10,23,110 鋸波信号源
11,27,111 比較およびパルス発生器
16,116 入力電源
17,26,117 誤差増幅器
18 濾波器
19 緩衝増幅器
20 変換器
21 可変利得増幅器
21a 可変利得増幅部
21b 直流電圧レベル補正部
24,124 検出器
25 サンプリング部
28 スイッチ
29 直流電圧レベル供給電源
51 交流成分抽出部
52 整流部
53 電圧平滑化部
54,55 加算器
56 電圧平均化部
112 セット・リセット(SR)ラッチ回路
113 ゲートドライバ
114 ゲートドライバIC
115 クロック用電源
117 誤差増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子の制御端子に制御パルスを与えてスイッチング制御するスイッチング素子補償回路であって、
前記スイッチング素子を介して制御される出力電圧から該スイッチング素子の閾値電圧の変動を検出する第1閾値電圧変動検出部と、
該第1閾値電圧変動検出部の出力に応じて第1制御信号を生成する第1制御信号生成部と、
前記第1制御信号生成部の出力に応じて前記制御パルスの振幅を制御する振幅制御部と、を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記振幅制御部は、前記第1制御信号に応じて前記スイッチング素子の制御端子に与えられる前記制御パルスの振幅を制御する可変利得増幅器を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記第1制御信号生成部は、
前記第1閾値電圧変動検出部の出力を濾波する第1濾波器と、
該第1濾波器の出力を緩衝増幅する第1緩衝増幅器と、
該第1緩衝増幅器の出力を変換して前記第1制御信号を出力する第1変換器と、を有し、
前記第1変換器からの前記第1制御信号により、前記可変利得増幅器における利得を調整することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【請求項4】
スイッチング素子の制御端子に制御パルスを与えてスイッチング制御するスイッチング素子補償回路であって、
前記スイッチング素子に流れる電流から該スイッチング素子の閾値電圧の変動を検出する第2閾値電圧変動検出部と、
該第2閾値電圧変動検出部の出力に応じて第2制御信号を生成する第2制御信号生成部と、
前記第2制御信号生成部の出力に応じて前記制御パルスのオフセット電圧を制御するオフセット電圧制御部と、を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【請求項5】
請求項4に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記オフセット電圧制御部は、前記第2制御信号に応じて前記スイッチング素子の制御端子に与えられる前記制御パルスのオフセット電圧を制御する可変利得増幅器を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【請求項6】
請求項5に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記第2制御信号生成部は、
前記第2閾値電圧変動検出部の出力電圧を第2参照用電源の電圧と比較する第2誤差増幅器と、
該第2誤差増幅器の出力に応じて所定パルスの前記第2制御信号を出力する第2比較およびパルス発生器と、を有し、
前記第2比較およびパルス発生器からの前記第2制御信号により、前記可変利得増幅器に印加される直流電圧レベルを調整することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【請求項7】
請求項5に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記第2制御信号生成部は、
前記第2閾値電圧変動検出部の出力を濾波する第2濾波器と、
該第2濾波器の出力を緩衝増幅する第2緩衝増幅器と、
該第2緩衝増幅器の出力を変換して前記第2制御信号を出力する第2変換器と、を有し、
前記第2変換器からの前記第2制御信号により、前記可変利得増幅器における直流電圧レベルを調整することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか1項に記載のスイッチング素子補償回路において、
前記第2閾値電圧変動検出部は、
前記スイッチング素子に直列に設けられたインピーダンス素子と、
該インピーダンス素子の両端の電圧を検出する検出器と、
該検出器の出力信号をサンプリングして、該検出部の出力信号におけるバレー電圧を保持して出力するサンプリング部と、を有することを特徴とするスイッチング素子補償回路。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のスイッチング素子補償回路と、
一端が入力電源に接続された前記スイッチング素子と、
該スイッチング素子の他端に一端が接続されたインダクタンス素子と、
該インダクタンス素子の他端に設けられた平滑用キャパシタンス素子と、を有することを特徴とする電源回路。
【請求項10】
入力信号から交流信号の振幅成分を抽出する交流成分抽出部と、
前記入力信号から前記交流成分抽出部の出力を差し引く第1加算部と、
該第1加算部の出力を平均化する平均化部と、
前記交流成分抽出部の出力を整流する整流部と、
前記整流部の出力を平滑する平滑化部と、
前記平均化部の出力から前記平滑化部の出力を差し引いて、ボトムホールド値を出力する第2加算部と、を有することを特徴とするサンプリング回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−50300(P2012−50300A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192483(P2010−192483)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】