説明

スイッチング電源、及び、スイッチング電源を搭載した画像形成装置

【課題】 負荷変動が生じても、共振電流の向きを正確に検知して貫通電流を防止し、かつ、安定した出力電圧を得る。
【解決手段】 電流共振方式のスイッチング電源装置において、電流共振コンデンサの電圧の変化量に応じて二つのスイッチング素子のオンオフ動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電流共振方式のスイッチング電源であって、過負荷状態においてスイッチング素子に貫通電流を防止したスイッチング電源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電流共振方式のスイッチング電源装置の回路構成を図6(A)に示す。図6(A)において、全波整流回路2は、商用交流電源1からの交流電圧を整流して全波整流回路2によって整流した電圧を平滑コンデンサ3に出力する。そして、平滑コンデンサ3は、全波整流回路2から出力される全波整流された電圧を平滑して直流電圧Vdcを出力する。
【0003】
平滑コンデンサ3の両端には、2つのスイッチング素子としてMOSFET8と9(以下、MOSFET8をハイサイドFET8、MOSFET9をローサイドFET9という)からなる直列回路が接続されている。
【0004】
ローサイドFET9には並列にトランス11が接続されている。トランス11の一次巻線は、励磁インダクタンス12とリーケージインダクタンス13で等価的に表され、リーケージインダクタンス13と電流共振コンデンサ14により直列共振回路が構成される。なお、リーケージインダクタンス13としては、トランス11とは別にインダクタンスが設けられる構成でもよい。また、電圧共振コンデンサ10がローサイドFET9に並列に接続されている。
【0005】
トランス11の二次巻線は、二相巻かれており、一方は一次巻線と同相電圧が発生するように巻かれ、もう一方は一次巻線とは逆相電圧が発生するように巻かれている。トランス11の二次巻線には、ダイオード15A、ダイオード15Bと平滑コンデンサ16とからなる整流平滑回路と負荷抵抗17(接続される負荷を示す)が接続されている。この整流平滑回路は、トランス11の二次巻線に誘起された電圧(オン/オフ制御されたパルス電圧)を全波整流及び平滑して直流出力電圧Voutを負荷抵抗17に出力する。
【0006】
直流出力電圧Voutは、シャントレギュレータ19内の誤差増幅器にも入力される。誤差増幅器ではVoutと基準電圧を比較して、その誤差の値に応じた誤差信号をフォトカプラに供給する。フォトカプラ21は一次側と二次側の絶縁を維持した状態で、誤差信号を二次側から一次側にフィードバックする。なお、抵抗20は、フォトカプラ21の発光素子であるフォトダイオードに流す電流を制限するために挿入された制限抵抗である。
【0007】
制御回路7は、のフォトカプラ21の受光素子であるフォトトランジスタに流れる電流値に応じて、制御回路7に内蔵される発振器(不図示)の発振周波数を変更する。発振器の発振周波数を変更することによってハイサイドFET8とローサイドFET9のスイッチング周波数が変化して、トランス11の一次側から二次側に伝送されるエネルギー量も変化する。その結果、二次側からの出力される直流出力電圧Voutの値が可変制御される。また、制御回路7はハイサイドFET8とローサイドFET9の各ゲート端子に対して電圧を印加しない期間(デッドタイムともいう)を持たせて電圧を制御し、FET8及びFET9が同時にオンすることを抑制しながら、両FETを交互にオンオフするように制御する。
【0008】
このような電流共振方式のスイッチング電源装置において、制御回路7は、二次側の直流出力電圧Voutの値が低下すればスイッチング周波数が低くなるように制御する。これにより二次側へのエネルギー伝送量が増加する。逆に、二次側の直流出力電圧Voutの値が上昇したときは、制御回路7は、スイッチング周波数を高くするように制御して、二次側へのエネルギー伝送量を減少させる。
【0009】
図6(B)は、図6(A)におけるトランスの一次側の共振回路部の詳細を示している。図6(B)において、D1はハイサイドFET8の寄生ダイオード(ボディダイオードともいう)、D2はローサイドFET9の寄生ダイオード(ボディダイオードともいう)である。また、図7(A)は、図6(B)の回路の動作波形を示したものである。図7(A)及び(B)において、VQ1gsは、ハイサイドFET8を駆動するゲート信号、VQ2gsは、ローサイドFET9を駆動するゲート信号、IQ1は、ハイサイドFET8に流れる電流、IQ2は、ローサイドFET9に流れる電流、Iresは共振回路に流れる電流、Vcrは電流共振コンデンサ14の両端電圧を示している。
【0010】
まず、入力電圧及び負荷電流が安定した状態(定常時ともいう)の動作について図7(A)を用いて説明する。ハイサイドFET8がオン、ローサイドFET9はオフの状態である期間Aにおいて、ハイサイドFET8 → リーケージインダクタンス13 → 電流共振コンデンサ14の経路で電流が流れる。トランス11の一次巻線の励磁インダクタンス12とリーケージインダクタンス13を介して電流共振コンデンサ14にエネルギーが蓄えられて電流コンデンサ14の両端電圧は上昇する。
【0011】
次に、ハイサイドFET8及びローサイドFET9が共にオフしているデッドタイムの期間Bにおいて、ローサイドFET9のボディダイオードD2 → リーケージインダクタンス13 → 電流共振コンデンサ14の経路で電流が流れる。ボディダイオードD2に電流が流れている状態で、ローサイドFET9をオンすることでゼロボルトスイッチング(以下、ZVSという。ZVSはZero Voltage Switchingの略)動作を実現している。
【0012】
次に、ハイサイドFET8がオフ、ローサイドFET9がオンである期間Cにおいて、電流共振コンデンサ14への充電が継続し、リーケージインダクタンス13に蓄えられたエネルギーを放出し終わると、共振電流の向きが変わり、電流共振コンデンサ14 → リーケージインダクタンス13 → ローサイドFET9の経路で電流が流れる。このとき電流共振コンデンサ14の電圧は下降する。
【0013】
次に、デッドタイムの期間D(上記、期間Bと同様にFET8と9がオフの期間)において、電流共振コンデンサ14 → リーケージインダクタンス13 → ボディダイオードD1の経路で電流が流れる。ボディダイオードD1に電流が流れている状態で、ハイサイドFET8をオンすることでZVSを実現している。
【0014】
以上のように、安定(定常)動作時においては、リーケージインダクタンス13と電流共振コンデンサ14が共振動作を行いながら、FET8とFET9のスイッチング周波数を可変制御してトランス11の一次巻線への電圧を変化させて、二次側へ伝送するエネルギーを可変に制御している。
【0015】
次に、入力電圧が低く、かつ、負荷電流が大きい、変動した状態の動作について説明する。従来の電流共振方式のスイッチング電源装置では、共振回路に入力される電圧(Vdc)が低く、かつ、負荷抵抗17が小さい(負荷電流が大きい)場合、共振回路の駆動周波数が共振回路の共振周波数を大きく下回る。このときハイサイドFET8とローサイドFET9の夫々のボディダイオードD1とD2を経由して流れる貫通電流が発生して、ハイサイドFET8とローサイドFET9にダメージを与えてしまう。貫通電流の大きさによってはFETが破損する可能性もある。
【0016】
次に、この貫通電流が発生する際の動作波形について図7(B)に示す。図7(B)において、E点ではハイサイドFET8がオン、ローサイドFET9はオフとする。このときハイサイドFET8 → リーケージインダクタンス13 → 電流共振コンデンサ14の経路で電流が流れ、電流共振コンデンサ14の電圧は徐々に上昇する。
【0017】
次に、制御回路7はフォトカプラ21によってフィードバックされた二次側からの情報に応じて、F点でハイサイドFET8をオフし、ローサイドFET9はオフを維持する。共振回路の共振周波数よりも低い周波数で駆動するため、F〜Gの期間では、リーケージインダクタンス13に蓄えられたエネルギーは放出し終わり、共振電流の向きが変わる。このとき、電流共振コンデンサ14 → リーケージインダクタンス13 → ハイサイドFET8のボディダイオードD1の経路で電流が流れる。このデッドタイムの期間(F〜Gの期間)を経て、G点でローサイドFET9をオンさせる。電流は継続して電流共振コンデンサ14 → リーケージインダクタンス13 → ハイサイドFET8のボディダイオードD1の経路で流れている。そのため、G点でローサイドFET9をオンすると、ボディダイオードD1内のキャリアが消滅するまでの期間、ボディダイオードD1(逆回復) → ローサイドFET9の経路で電源VdcとGNDを短絡した貫通電流が流れる。この貫通電流は単位時間当たりの変化量(傾き)が大きい。つまり、瞬時に過大な電流が流れることになる。そのため、FET8及び9の内部に構成される寄生トランジスタがオンして、FET8及び9に多大な負荷を与えてしまい、場合によっては破壊する可能性がある。
【0018】
この貫通電流が流れる問題を解決する方法が特許文献1に提案されている。特許文献1には、電流共振方式のスイッチング電源装置において、スイッチング素子(FET)のボディダイオードの電流を検出して、ボディダイオードに電流が流れる期間は、スイッチング素子がオンまたはオフしないように制御する。また、別の解決方法として、特許文献2では、スイッチング素子であるFETのドレイン・ソース間の電圧を検出することで共振電流の向きを検出して、FETのオフ期間を維持するようにしてスイッチング動作を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2005−198457
【特許文献2】特開2007−006614
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかし、特許文献1のスイッチング電源装置では、ボディダイオードに電流が流れている間はFETのスイッチング状態を維持する。そのため、過負荷状態になると、ダイオードの電流が流れなくなる迄は、ハイサイドFETとローサイドのFETがオフし続けて出力電圧が低下してしまう。これでは、負荷の状態が変動した際に十分な出力が得られない。また、特許文献2のスイッチング電源装置ではFETをオフした後にFETのスイッチング後のリンギングによりFETのドレイン・ソース間の電圧が不安定な期間が発生している。そのため、電圧が不安定な期間は検知した電圧の精度がよくないため、共振電流の向きを正確に捉えることができない場合がある。
【0021】
本発明は、電流共振方式のスイッチング電源装置において、負荷変動が発生しても、共振電流の向きを正確に検知して貫通電流を防止し、かつ、安定した出力電圧を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するため、本発明のスイッチング電源装置は、トランスと、第一スイッチング部と第二スイッチング部が直列に接続されたスイッチング手段と、前記スイッチング手段の前記第一スイッチング部と前記第二スイッチング部の間と接続された前記トランスの一次巻線と、前記一次巻線と前記第二のスイッチング部との間に接続された容量素子と、前記スイッチング手段の前記第一スイッチング部と前記第二スイッチング部を交互に駆動する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記容量素子の電圧の変化量を検知して、検知した変化量に応じて前記スイッチング手段の前記第一スイッチング部と前記第二スイッチング部の駆動を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、電流共振方式のスイッチング電源装置において、負荷変動が発生しても、共振電流の向きを正確に検知して貫通電流を防止し、かつ、安定した出力電圧を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1の電源回路図
【図2】実施例1の電源回路の動作波形を示す図
【図3】実施例2の電源回路図
【図4】実施例2の電源回路の動作波形を示す図
【図5】実施例2の電源回路図
【図6】従来の回路図
【図7】従来の回路の動作波形を示す図
【図8】電源装置の適用例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、上述した課題を解決するための本発明の具体的な構成について、以下に実施例に基づき説明する。なお、以下に示す実施例は一例であって、この発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0026】
実施例1の電流共振方式の電源装置を説明する。図1(A)はハーフブリッジ方式の電流共振方式の電源装置を示すものである。図1(A)において、1は商用交流電源で、2の全波整流回路により整流され、3の平滑コンデンサに出力される。平滑コンデンサ3は全波整流電圧を平滑して直流出力電圧Vdcを得る。7は制御回路で、フォトカプラ21から入力された信号に応じて、第一スイッチング部としてのMOSFET8と、第二スイッチング部としてのMOSFET9を駆動するための駆動周波数を制御する駆動制御部である。電流共振方式のスイッチング電源装置では、この二つのスイッチング素子を直列に接続してトランスの一次巻線に流れる共振電流の向きを制御する。なお、8はハイサイドのMOSFETであり、9はローサイドMOSFETである。以降、ハイサイドFET8、ローサイドFET9、また、FET8、FET9という。これらのFET8とFET9は交互にオンオフするように駆動制御される。10はローサイドFET9のドレイン端子とソース端子に接続される電圧共振用コンデンサである。11は絶縁トランスであり、一次巻線(励磁インダクタンス)12とリーケージインダクタンス(または漏洩インダクタンス)13の等価回路で示される。14は容量素子としての電流共振コンデンサであり、リーケージインダクタンス13と直列接続されて直列共振回路を構成し、この直列共振回路が所定の共振周波数で共振する。
【0027】
15A、15Bはトランスの二次巻線に生じる電圧を整流するためのダイオード、16はダイオード15A,15Bで整流された電圧を平滑するためのコンデンサ、17は負荷抵抗(出力対象の負荷を示す)である。19はシャントレギュレータで、その内部に設定された基準電圧と二次側からの直流出力電圧Vdcを比較して、基準電圧と直流出力電圧Vdcとの誤差に応じた電流を出力する。21はフォトカプラで、シャントレギュレータ19より出力された誤差に応じた信号をフィードバック情報として一次側の制御回路7へ伝達する。
【0028】
図1(B)は制御回路7のブロック図を示したものである。図において35はバッファで、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrをタイマ43の出力に応じて取り込んで保持する。タイマ43に設定される値は、電流共振コンデンサ14とトランス11のリーケージインダクタンス13で決まる共振周期より十分に短い値が望ましい。36はバッファ36の値を格納するための記憶部で、1回前に取り込んだ電流共振コンデンサ14の電圧Vcrが保持される。37は差分演算器で、バッファ35と記憶部36の値の差分を演算する。39は比較器で、差分演算器37の出力値ΔVcrと設定部38の閾値とを比較する。比較器39からの出力信号VcrSTは、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrの変化量が小さくなったこと(設定された閾値以下になったこと)を検知して論理が切り替わる。設定部38の閾値は、実施例1の構成ではVcrの変化が小さくなったことを検知するために設定される。発振器32はフォトカプラ21のフィードバック情報により、発振周波数が変化する。タイマ比較部42は、発振器32の発振周期と周期設定部40の設定値(予め定められた閾値)を比較する。タイマ比較部42は発振周期が長くなった場合(設定値より大きくなった場合)にHighレベル信号(以下、Hレベルという)を出力する構成である。Hレベル信号を出力した場合にスイッチ41がオンし、VcrSTがゲートドライバ31へ接続される。ゲートドライバ31は発振器32の出力をもとに出力部46により、ハイサイドFET8とローサイドFET9のゲートを駆動する。44は二つのFETのゲートの駆動状態を示すGateST信号で、ハイサイドFET8のVQ1gs信号の立下りに同期してローレベルになり、ローサイドFET9のVQ2gs信号の立下りに同期してハイレベルとなる。45はゲート強制切り替え判定部で、VcrST信号とGateST信号の状態を監視し、周期STがハイレベルでVcrST信号がGateST信号よりも早く切り替わった場合に、出力部46からの出力を強制的に切り替える。
【0029】
次に図1の電源回路の動作を図2のタイミングチャートを参照して説明する。図2のタイミングチャートは定常状態から負荷電流が上昇するまでの状況を示している。時刻J以降、負荷電流が大きくなり、時刻M〜Nの期間で負荷電流が過大となる、時刻Nで本実施例1の特徴的動作を行う。VQ1gs、VQ2gsは、ハイサイドFET8、ローサイドのFET9の夫々のゲート駆動電圧を表す。IQ1、IQ2はハイサイド、FET8、ローサイドFET8のドレイン電流を表す。Iresは共振回路に流れる共振電流、Vcrは電流共振コンデンサ14の電圧を表す。ΔVcrは電流共振コンデンサ14の時間あたりの電圧変化量を示す。VcrSTは、ΔVcrと上記の閾値との比較結果により反転する信号である。VcrSTがHレベルになったことはΔVcrの減少量が小さくなったことを表す。また、VcrSTがLowレベル(以下、Lレベルという)に切り替わったことはΔVcrの増加量が小さくなったことを表す。制御回路7は、電流共振コンデンサ14の単位時間当たりの電圧変化量ΔVcrが減少したことを検知することで、共振電流の向きの切り替わりを予測する。
【0030】
GateSTはハイサイドFET8とローサイドFET9のゲート駆動電圧の立下りに同期して切り替わる信号である。周期タイマ値(前述のタイマ40による)は、FET8又はFET9がオンされている期間を測定した結果である。周期タイマ値は周期設定値40と一致すると、判定部としてタイマ比較部42の出力(周期ST)がHレベルに切り替わる。また、タイマ40のカウント値はFET9又は8がオフされるとリセットされる。制御回路7は Gate強制切り替え信号を、GateSTとVcrSTの状態に応じて切り替える。制御回路7は周期STがHレベルとなると、周波数が所定周波数より低いと判断する。この状態で GateSTの論理が切り替る前に、VcrSTの論理が切り替わる場合について、制御回路7はGATE強制切り替え信号をHレベルとする。
【0031】
以下、時系列に回路動作を説明する。まず時刻Iでは、制御回路7はハイサイドFET8をオフ、ローサイドFET9をオンとする。制御回路7はフォトカプラ21のフィードバック情報に応じて、時刻Iから時刻Jの期間、スイッチの状態(FET8オン、FET9オフ)を維持する。
【0032】
時刻Iから時刻Jの間、共振回路に流れる共振電流は2つの状態を遷移する。まず、電流はトランス11 → 電流共振コンデンサ14 → ローサイドFET9と流れ、電流共振コンデンサ14の電圧は上昇する。続いて、トランス11に蓄えられたエネルギーが放出されると、共振電流の向きが反転する。共振電流は、電流共振コンデンサ14 → トランス11 → ローサイドFET9と流れ、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrは徐々に下降する。前記スイッチの状態(FET8オン、FET9オフ)が維持されている間(時刻I〜時刻Jの間)、タイマ40(周期タイマ値)はカウントアップを続ける。
【0033】
制御回路7により決定したオン時間が経過する時刻Jでは、制御回路7は、ローサイドFET9をオフし、時刻Kまでの期間デッドタイムを形成する。また、周期タイマのカウントをリセットする。時刻Jから時刻Kの間、共振電流は、電流共振コンデンサ14 → トランス11 → ハイサイドFET8のボディダイオードと電流が流れ、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrは減少を続ける。この区間では、電流共振コンデンサ14の電圧 Vcrが低くなると、共振電流は徐々に減少しゼロに近づく。共振電流が減少すると、電流共振コンデンサ14の電荷移動量が減るため、電流共振コンデンサ14の単位時間あたりの電圧変化ΔVcrが小さくなる。
【0034】
制御回路7は、ΔVcrの値が設定した閾値VcrHを上回ると、VcrSTをHレベルに切り替える。この後、制御回路7は、時刻KでハイサイドFET8をオンする。このとき、ハイサイドFET8のボディダイオードD1には電流が流れている。この状態でFET8をオンすることで、ZVSが実現できる。
【0035】
制御回路7は、フォトカプラ21からのフィードバック情報に応じて、所定期間、前記スイッチ状態(FET8オン、FET9オフ)を維持する。実行I〜時刻Jの期間と比較すると負荷電流が増え、駆動周波数を低くなるため、時刻K〜時刻Lの期間の方がスイッチ状態の維持時間は長くなる。
【0036】
時刻Kから時刻Lの間、電流は2つの状態を遷移する。まず、共振電流は電流共振コンデンサ14 → トランス11 → ハイサイドFET8と流れ、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrは減少を続ける。電流共振コンデンサ14に蓄えられたエネルギーが放出されると、電流の向きが反転し、共振電流は、ハイサイドFET9 → トランス11 → 電流共振コンデンサ14と流れる。電流共振コンデンサ14に電流が流れ込むため、コンデンサの電圧Vcrは徐々に上昇する。前記スイッチの状態(FET8オン、FET9オフ)が維持されている間、タイマ40(周期タイマ値)はカウントアップを継続する。
【0037】
制御回路7により決定されたオン時間が経過する時刻Lで、制御回路7は、ハイサイドFET8をオフし、時刻Mまでの期間、デッドタイムを形成する。タイマ40(周期タイマ値)のカウント値は時刻Lでリセットされる前に、設定した値と一致したため、周期STはHレベルとなり、所定周期よりも長くなったことを示す。
【0038】
時刻Lから時刻Mの期間、電流はトランス11 → 電流共振コンデンサ14 → ローサイドFET9のボディダイオードと流れ、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrは上昇する。電流共振コンデンサ14の電圧Vcrが上昇するに従い、共振電流Iresは徐々に減少してゼロに近づく。共振電流Iresが減少すると、電流共振コンデンサ14の電荷移動量が減るため、電流共振コンデンサ14の単位時間あたりの電圧変化ΔVcrは小さくなる。制御回路7は、このΔVcrが設定した閾値を下回ると、VcrSTをLレベルに切り替える。制御回路7は、時刻Mで、ローサイドFET9をオンする。このときローサイドFET9のボディダイオードD1に電流が流れている。この状態でFETをオンするため、ZVSが実現される。
【0039】
制御回路7は、フォトカプラ21からのフィードバック情報に応じて、前記スイッチ状態(FET8オン、FET9オフ)を維持する。時刻K〜時刻Lの期間と比較すると、さらに負荷電流が増え、駆動周波数が低くなるため、時刻M〜時刻Nの期間の方がスイッチ状態の維持時間は長くなる。
【0040】
時刻Mから時刻Nの間、共振電流は2つの状態を遷移する。まず、共振電流はトランス1 →電流共振コンデンサ14 → ローサイドFET9と流れ、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrは上昇を続ける。トランス11に蓄えられたエネルギーが放出されると、電流の向きが反転する。共振電流は、電流共振コンデンサ14 → トランス11 → ローサイドFET9と流れ、電流共振コンデンサ14の電圧は徐々に下降する。前記スイッチの状態(FET8オン、FET9オフ)が維持されている間、タイマ40(周期タイマ値)はカウントアップを継続する。
【0041】
制御回路7はフォトカプラ21からのフィードバック情報により決定されたオン時間が経過する時刻N’で、ローサイドFET9をオフしようとする。一方、時刻Nに到達するまでに、周期タイマ値は周期設定値と一致するため、周期STはHレベルを維持する。その後、共振電流の減少に伴い、ΔVcrの値は小さくなり、ΔVcrSTがHレベルへ切り替わる。
【0042】
制御回路7はGateSTとVcrSTを監視し、周期STがHレベルで、且つ、GateSTの切り替わりより早くVcrSTが切り替わったことを検出し、時刻Nを待たずに強制的にゲート駆動信号を切り替える。
【0043】
ここでは時刻N’でローサイドFET9を強制的にオフする。所定のデッドタイムを経て、時刻OでハイサイドFETをオンする。時刻Oでは、共振電流は、電流共振コンデンサ14 → トランス11 → ハイサイドFET8のボディダイオードD1と流れている。このタイミングでハイサイドFET8をオンすることで、ZVSを実現することができる。
【0044】
以上説明したように、実施例1によれば、電流平滑コンデンサの電圧の変化をモニタしてハイサイドFETとローサイドFETの動作を制御する。これにより、負荷電流が大きくなった場合に発生するFETとダイオードを経路として流れる貫通電流を抑制することが可能となる。その結果、FETに加わるストレスを回避して、FETの破壊を防止することができ、かつ、スイッチング動作の信頼性を向上することができる。
【実施例2】
【0045】
実施例2は、実施例1における制御回路を含む一次側の回路をアナログ回路で構成したものである。なお、実施例1と重複する個所については同様の動作であるため説明を省略する。図3は実施例2の回路構成を示しており、ハーフブリッジ方式のコンバータである。特に、特徴部であるトランスの一次側の電流共振回路部について詳細な構成を示している。共振回路部以外は実施例1の図1で示した入力部とトランスの二次側の出力部と同じ構成である。
【0046】
図3において、49は制御回路である。50と51は抵抗であり、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrを分圧する分圧抵抗である。抵抗50と51の接続点の電圧をモニタ電圧Vdとする。抵抗50と51の抵抗値の比によって、後述する回路の感度を変えることができる。また、52〜60の素子が、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrが上昇中であることを検知する回路を構成している。52は NPNトランジスタ、55と58は抵抗である。54と57はコンデンサで、コンデンサ54は電流共振コンデンサ14の電圧Vcrが上昇している間、充電される。56はNPNトランジスタで、NPNトランジスタ56が導通した際に、コンデンサ54の電荷が放電される。59は定電流源であり、コンデンサ57を所定電圧VrHまで充電する。60はコンパレータでコンデンサ57の電圧Vrと所定値Vref1を比較し、比較結果をゲートドライバ31へ出力する。
【0047】
また、61〜66の素子が電流共振コンデンサの電圧Vcrが下降中であることを検知する回路を構成している。61は、PNPトランジスタで電流共振コンデンサ14の電圧Vcrが下降すると導通して、コンデンサ63の電荷を放電する。62と64は抵抗である。65は定電流源であり、コンデンサ63を所定電圧VfHまで充電する。66はコンパレータでコンデンサ63の電圧Vfと所定値Vref2を比較し、比較結果をゲートドライバ31へ出力する。
【0048】
次に、実施例2の回路動作について、図4に示すタイミングチャートに基づいて、時系列で説明する。図4において時刻Q以降、負荷が大きくなり、時刻T〜Uで負荷が過大となり、時刻Uで実施例2の特徴的な動作が実行される。
【0049】
VQ1gs、VQ2gsは夫々ハイサイドFET8とローサイドFET9のゲート駆動波形を表す。IQ1、IQ2はハイサイドFET8とローサイドFET9のドレイン電流を表す。Iresは共振回路に流れる共振電流値、Vcrは電流共振コンデンサ14の電圧を表す。Vdは抵抗50と51の接続点の電圧でありVcrの変化に比例した変位を示す。制御回路49はリセット信号をハイレベルにしてコンデンサ54を放電する。トランジスタ52はVdがトランジスタ52のVe(エミッタ電圧)+Vbe(ベース−エミッタ間電圧)を上回ると導通する。Vdが上昇して、Vbeを維持している間、トランジスタ52は導通を継続することができる。このとき、コンデンサ54にはコンデンサ57から電荷が移動するため、コンデンサ57の電圧Vrは低下する。モニタ電圧Vdがトランジスタ52のVe+Vbeより小さくなると、トランジスタ52は徐々に非導通状態に移行する。
【0050】
一方、トランジスタ61はモニタ電圧VdがVfH−Vbeの値を下回ると導通し、VdがVf−Vbeの値を上回ると徐々に非導通となる。Vrはコンデンサ57の電圧値、Vfはコンデンサ63の電圧値である。Vout1はコンパレータ60の出力、Vout2はコンパレータ66の出力を表す。リセット信号はトランジスタ56を駆動するための信号で、ローサイドFET9のゲート電圧波形に同期して論理が切り替わる。ローサイドFET9がオンしている間にリセット信号はハイレベルとなり、コンデンサ54の電荷が放電される。
【0051】
図4において、まずP点では制御回路49はハイサイドFET8はオフ、ローサイドFET9はオンの状態とする。制御回路7はフォトカプラ21からのフィードバック情報に応じて、時刻Pから時刻Qの期間、前記スイッチ状態(ハイサイドFET8はオフ、ローサイドFET9はオン)を維持する。
【0052】
次に、時刻Pから時刻Qの間、共振回路に流れる共振電流は2つの状態を遷移する。まず、共振電流Iresは、トランス11 → 電流共振コンデンサ14 → ローサイドFET9と流れ、電流共振コンデンサ14の電圧は上昇する。トランス11に蓄えられたエネルギーが放出されると、共振電流の向きが反転する。共振電流Iresは、電流共振コンデンサ14 → トランス11 → ローサイドFET9と流れ、電流共振コンデンサの電圧Vcrは徐々に下降する。これと同時にモニタ電圧Vdも変位していく。
【0053】
トランジスタ61は、モニタ電圧Vdが下降し、VfH−Vbeの値より低くなると導通し、コンデンサ63の電荷を放電する。以降、トランジスタ61はモニタ電圧Vdが継続して減少するため、導通を継続する。その結果、Vfは減少する。トランジスタ61はVdの変位が小さくなると、トランジスタ61のVbeを維持できなくなり、十分に導通できなくなる。Vfの電位は定電流源65の電流による充電電流により徐々に上昇する。その後、トランジスタ61がオフすると、所定電圧VfHまで上昇する。このときコンパレータ61の出力Vout2は、コンパレータ61の他方の入力Vref2を上回ると反転する。
【0054】
制御回路49が決定したオン時間が経過する時刻Qでは、制御回路49は、ローサイドFET9をオフし、時刻Rまでの期間はデッドタイムを形成する。時刻Qから時刻Rの期間、共振電流Iresは電流共振コンデンサ14 → トランス11 → ハイサイドFET8のボディダイオードと流れ、共振コンデンサの電圧Vcrは減少する。この区間では、電流共振コンデンサ14の電Vcrが低くなると、共振電流Iresは徐々に減少しゼロに近づく。この後、制御回路49は、時刻RでハイサイドFET8をオンする。このときハイサイドFET8のボディダイオードD1に電流が流れている。この状態でハイサイドFET8をオンすることでZVSが達成される。
【0055】
制御回路49は、フォトカプラ21からのフィードバック情報に応じて、所定期間、前記スイッチ状態(ハイサイドFET8オン、ローサイドFET9オフ)を維持する。P〜Qの期間と比較すると負荷電流が増え、駆動周波数を低くしようとするため、R〜Sの期間の方がスイッチ状態の維持時間は長くなる。
【0056】
時刻Rから時刻Sの間、共振電流Iresは2つの状態を遷移する。まず、共振電流Iresは電流共振コンデンサ14 → トランス11 → ハイサイドFET8と流れる。電流共振コンデンサ14の電圧Vcrは減少を続ける。電流共振コンデンサ14に蓄えられたエネルギーが放出されると、電流の向きが反転する。共振電流Iresは、ハイサイドFET9 → トランス11 → 電流共振コンデンサ14と流れ、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrは徐々に上昇する。電流共振コンデンサ14の電圧Vcrと同期してモニタ電圧Vdも変位する。モニタ電圧Vdがコンデンサ54の電位+Vbeの値より高くなると、トランジスタ52が導通し、コンデンサ57の電荷を放電する。
【0057】
以降、トランジスタ52はモニタ電圧Vdが上昇を継続する間、導通を継続する。その結果Vrは減少していく。コンパレータ60の出力Vout1はVrがVref1を下回ると反転してローレベルとなる。トランジスタ52は、Vdの上昇変位が小さくなると十分に導通できなくなる。Vrの電位は、定電流源65の電流による充電電流が多くなるため、徐々に上昇する。トランジスタ52がオフすると、Vrは所定電圧VrHまで上昇する。コンパレータ60の出力Vout1は、Vrがコンパレータ60の他方の入力Vref1を上回ると反転してハイレベルとなる。
【0058】
制御回路49が決定したオン時間が経過する時刻Sでは、制御回路49は、ハイサイドFET8をオフし、時刻Tまでの期間はデッドタイムを形成する。
【0059】
時刻Sから時刻Tの期間、共振電流Iresはトランス11 → 電流共振コンデンサ14 → ローサイドFET9のボディダイオードと流れるため、電流共振コンデンサ14の電圧Vcrは上昇する。電流共振コンデンサ14の電圧Vcrが上昇するに従って、共振電流Iresは徐々に減少する。制御回路49は、時刻TでローサイドFET9をオンする。このときローサイドFET9のボディダイオードD1に電流が流れている。この状態でローサードFET9をオンするためZVSが達成される。
【0060】
時刻Tでは制御回路49はローサイドFET9をオン、ハイサイドFET8をオフとする。制御回路49はフィードバック情報に応じて、前記スイッチ状態(ローサイドFET9をオン、ハイサイドFET8をオフ)を維持する。R〜Sの期間と比較するとさらに負荷電流が増え、駆動周波数を低くしようとするため、T〜Uの期間の方が前記スイッチ状態の維持時間は長くなる。
【0061】
時刻Tから時刻Uの間、共振電流は2つの状態を遷移する。まず、トランス11 → 電流共振コンデンサ14 → ローサイドFET9と電流が流れ電流共振コンデンサ14の電圧Vcrは上昇を続ける。トランス11に蓄えられたエネルギーが放出されると、電流の向きが反転する。共振電流は、電流共振コンデンサ14 → トランス11→ローサイドFET9と流れるため、電流共振コンデンサの電圧は徐々に下降する。電流共振コンデンサ14の電圧Vcrと同期してVdも変位していく。
【0062】
トランジスタ61は、モニタ電圧Vdが下降し、VfH−Vbeの値より低くなると導通し、コンデンサ63の電荷を放電する。コンパレータ66の出力Vout2は、Vfがコンパレータ66の他方の入力であるVref2を下回ると反転してローレベルとなる。以降、トランジスタ61はVdが継続して減少するため、導通が継続する。その結果、Vfも減少していく。トランジスタ61は、Vdの変位が小さくなると十分に導通できなくなる。Vfの電位は定電流源65の電流により徐々に上昇する。Vfはトランジスタ61がオフすると、所定電圧VfHまで上昇する。このときコンパレータ61の出力Vout2は、コンパレータ66の他方の入力Vref2を上回ると反転してハイレベルとなる。
【0063】
Vout2は制御回路49が決定したオン時間が経過する時刻U’に到達するまでに、ハイレベルとなる。ZVSが維持できている場合は、VQ2gsがオフとなった後に、Vout2がハイレベルになる。一方、時刻UではVQ2gsがオンの状態でVout2がハイレベルとなる。この状態を31のゲートドライバで検知して、VQ2gsを強制的にオフする。
【0064】
ゲートドライバ31の内部は図5に示すようにAND回路67と、イネーブル付きバッファ68とローサイドゲートオフ回路69とゲート出力回路70からなる。同様の回路構成をハイサイドFET8のゲートに対しても有する。イネーブル付きバッファ68はVout2の出力の立下りでENABLEとなり、VQ2gsの立下りでDISABLEとなる。AND回路67の出力は、VQ2gsがオフする前に、Vout2がハイレベルとなった場合に、ハイレベルの出力となる。このとき、ローサイドゲートオフ回路69が動作し、ローサイドゲートオフ信号が出力されてFET9のゲート出力を強制的にオフする。
【0065】
制御回路49は、ゲートドライバの動作により、時刻U‘でローサイドFET9をオフする。所定期間のデッドタイムを経てから、時刻VでハイサイドFET8をオンする。時刻Vで、共振電流Iresは共振コンデンサ14 → トランス11 → ハイサイドFET8のボディダイオードへ流れている。このタイミングでハイサイドFET8をオンすることでZVSを維持することが可能となる。
【0066】
以上の構成により、共振回路に対して負荷が大きくなった場合でも、電流共振コンデンサ14の電圧の変位する方向と、二つのFET(ハイサイドFETとローサイドFET)の駆動状況とにより、共振状態を逸脱しないようにFETをオフさせることが可能となる。その結果、FETに流れる貫通電流を防止することが可能となる。
【0067】
<スイッチング電源の適用例>
上記の実施例1、2で説明した電流共振方式のスイッチング電源装置を、例えばレーザビームプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置における低電圧電源として適用することができる。以下にその適用例を説明する。スイッチング電源は、画像形成装置における制御部としてのコントローラへの電力供給、また、用紙を搬送する搬送ローラの駆動部としてのモータへの電力供給のための電源として適用される。
【0068】
図8(a)に画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す。レーザビームプリンタ200は、画像形成部210として潜像が形成される像担持体としての感光ドラム211、感光ドラムに形成された潜像をトナーで現像する現像部212を備えている。そして感光ドラム211に現像されたトナー像をカセット216から供給された記録媒体としてのシート(不図示)に転写して、シートに転写したトナー像を定着器214で定着してトレイ215に排出する。また、図8(b)に画像形成装置の制御部としてのコントローラと駆動部としてのモータへの電源からの電力供給ラインを示す。前述の電流共振電源は、このような画像形成動作を制御するCPU310有するコントローラへ300の電力供給、また、画像形成のための駆動部としてのモータ312、313に電力を供給する低圧電源として適用できる。供給する電力としては、コントローラ300へは3.3V、モータへは24Vを供給する。例えばモータ312はシートを搬送する搬送ローラを駆動するモータ、モータ313は定着器214を駆動するモータである。レーザビームプリンタのような画像形成装置は、シートを搬送するモータや画像形成部としての感光ドラムや現像部等を駆動するモータの負荷に変動が生じる場合があり、これらの負荷変動に対応して上記のスイッチング電源装置からモータに安定して電力を供給する必要がある。上記の電流共振方式のスイッチング電源装置を適用すれば、負荷に変動が生じた場合でも、貫通電流を防止して、かつ、安定した電圧を供給することができる。
【0069】
なお、上記実施例1,2で説明した電流共振電源は、ここで示した画像形成装置に限らず他の電子機器の低電圧電源としても適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 商用電源
2 整流回路
3 平滑コンデンサ
4、5 抵抗
6 比較器
7 制御回路
8、9 スイッチング素子(FET)
10 コンデンサ
11 トランス
12 励磁インダクタンス
13 リーケージインダクタンス
14 電流共振コンデンサ
15 ダイオード
16 平滑コンデンサ
17 負荷抵抗
19 シャントレギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスと、
第一スイッチング部と第二スイッチング部が直列に接続されたスイッチング手段と、
前記スイッチング手段の前記第一スイッチング部と前記第二スイッチング部の間と接続された前記トランスの一次巻線と、
前記一次巻線と前記第二スイッチング部との間に接続された容量素子と、
前記スイッチング手段の前記第一スイッチング部と前記第二スイッチング部を交互に駆動する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記容量素子の電圧の変化量を検知して、検知した変化量に応じて前記スイッチング手段の前記第一スイッチング部と前記第二スイッチング部の駆動を制御することを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記容量素子の電圧の変化量が閾値以下のときに、前記スイッチング手段の第一スイッチング部と第二スイッチング部の駆動状態を切り替えることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
更に、前記トランスの二次巻線から出力される電圧をフィードバックするフィードバック手段を備え、
前記制御手段は、前記フィードバック手段からの信号に応じて、前記スイッチング手段の駆動周波数を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記スイッチング手段の駆動周波数が、前記トランスの漏洩インダクタンスと前記容量素子による共振周波数より低い周波数となった場合に、検知した変化量に応じて前記スイッチング手段の前記第一スイッチング部と前記第二スイッチング部の駆動を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記容量素子の電圧が上昇中であることを検知する手段と、前記容量素子の電圧が下降中であることを検知する手段を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
像担持体に画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置において、
前記画像形成手段による画像形成動作を制御する制御手段と、
前記画像形成手段を駆動する駆動手段と
前記制御手段または前記駆動手段に電力を供給する電源と、を備え、
前記電源は、トランスと、第一スイッチング部と第二スイッチング部が直列に接続されたスイッチング手段と、前記スイッチング手段の前記第一スイッチング部と前記第二スイッチング部の間と接続された前記トランスの一次巻線と、前記一次巻線と前記第二スイッチング部との間に接続された容量素子と、前記スイッチング手段の前記第一スイッチング部と前記第二スイッチング部を交互に駆動する駆動制御手段と、を備え、前記駆動制御手段は、前記容量素子の電圧の変化量を検知して、検知した変化量に応じて前記スイッチング手段の前記第一スイッチング部と前記第二スイッチング部の駆動を制御することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−120314(P2012−120314A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267289(P2010−267289)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】