説明

スイッチング電源装置

【課題】製造コストを抑えつつ安定的な出力を供給することが可能なスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】平滑回路5において、第1環状磁路B1における磁束と、第2環状磁路B2における磁束と、チョークコイル5Lc1を流れる電流によって形成される磁束と、チョークコイル5Lc2を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯UCc,DCcの内部において互いに共有化されているようにする。チョークコイル5L1,5L3を流れる電流と、チョークコイル5L2,5L4を流れる電流とが均衡状態となり、安定化する。また、この平滑回路5では、自動的にこのような均衡状態が保持されるため、素子の特性値等の調整が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流入力電圧をスイッチングして得られるスイッチング出力を電力変換トランスの出力巻線に取り出すように構成されたスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スイッチング電源装置として種々のDC−DCコンバータが提案され、実用に供されている。その多くは、電力変換トランス(変圧素子)の1次側巻線に接続されたスイッチング回路のスイッチング動作により直流入力電圧をスイッチングし、スイッチング出力を電力変換トランスの2次側巻線に取り出す方式である。スイッチング回路のスイッチング動作に伴い、2次側巻線に現れる電圧は、整流回路によって整流された後、平滑回路によって直流に変換されて出力される。
【0003】
ところで、このようなスイッチング電源装置において、大電流を取り扱うために整流回路や平滑回路での電圧降下を小さく抑えることなどを目的として複数の整流回路を使う場合などには、LC回路を用いた平滑回路を用いて各整流回路から流れる電流同士を均衡化させることにより、出力を安定化させる必要がある。そこで例えば特許文献1では、2つの磁芯を有するインダクタを用いることにより、各整流回路から流れる電流により生ずる磁束同士を均衡化させるようにしたものが提案されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許6,362,986号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1による手法ではある程度磁束同士が均衡化するものの、そのためには素子の特性値等の調整や選別を行うか、もしくは特性値等の余裕度が大きくなるような素子を使用せざるを得なかった。したがって、設計の自由度が低くなると共に、製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、製造コストを抑えつつ安定的な出力を供給することが可能なスイッチング電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1のスイッチング電源装置は、直流入力電圧をスイッチングして入力交流電圧を生成するインバータ回路と、前記インバータ回路側の1次側巻線と、2次側巻線とを有し、入力交流電圧を変圧して出力交流電圧を出力するトランスと、このトランスの2次側に並列接続され、各々が出力交流電圧の整流動作を行う2つの整流回路と、これら2つの整流回路からの出力電圧を平滑化して直流出力電圧を生成する平滑回路とを備えたものである。ここで、この平滑回路は、容量素子と、第1および第2の磁芯と、これら第1および第2の磁芯の間に配置された共通磁芯と、一端が整流回路に接続されると共に第1の磁芯に巻回された第1および第2の巻線と、一端が整流回路に接続されると共に第2の磁芯に巻回された第3および第4の巻線と、第1および第3の巻線の他端同士と容量素子の一端とを接続すると共に共通磁芯に巻回された第1の共通巻線と、第2および第4の巻線の他端同士と容量素子の他端とを接続すると共に共通磁芯に巻回された第2の共通巻線とを有している。また、第1の巻線を流れる電流と第2の巻線を流れる電流とによって、第1の磁芯および共通磁芯の内部を通る第1の環状磁路が形成され、第1の巻線を流れる電流と第2の巻線を流れる電流とに同期して、第3および第4の巻線に電流が流れると共に、これら第3の巻線を流れる電流と第4の巻線を流れる電流とによって、第2の磁芯および共通磁芯の内部を通る第2の環状磁路が形成され、第1の環状磁路における磁束と、第2の環状磁路における磁束と、第1の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束と、第2の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯の内部において互いに共有化されている。なお、「同期して」とは、文字通り完全に同期している場合には限られず、実質的に同期しているものを意味する。
【0008】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、インバータ回路によって直流入力電圧がスイッチングされることにより入力交流電圧が生成され、この入力交流電圧がトランスにより変圧され、2次側に出力交流電圧が出力される。そして2つの整流回路によってそれぞれ出力交流電圧の整流動作がなされ、これら2つの整流回路からの出力電圧が平滑回路によって平滑化されることにより、直流出力電圧が生成される。ここで、上記平滑回路では、第1ないし第4の巻線と第1および第2の共通巻線とが、第1および第2の磁芯と共通磁芯とに適切に巻回されることにより、第1の巻線を流れる電流と第2の巻線を流れる電流とによって、第1の磁芯および共通磁芯の内部を通る第1の環状磁路が形成され、第1の巻線を流れる電流と第2の巻線を流れる電流とに同期して、第3および第4の巻線に電流が流れると共に、これら第3の巻線を流れる電流と第4の巻線を流れる電流とによって、第2の磁芯および共通磁芯の内部を通る第2の環状磁路が形成される。また、上記第1の環状磁路における磁束と、上記第2の環状磁路における磁束と、上記第1の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束と、上記第2の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯の内部において、互いに向きが等しくなると共に互いに共有化されるようになる。これにより、第1および第2の巻線を流れる電流と、第3および第4の巻線を流れる電流とが均衡状態となり、安定化する。また、自動的にこのような均衡状態が保持されるため、素子の特性値等の調整が不要となる。
【0009】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、上記2つの整流回路を、各々が電流流入端および電流流出端を有する第1および第2の整流回路により構成すると共に、上記第1の巻線の一端を第1の整流回路の電流流出端に接続し、上記第2の巻線の一端を第1の整流回路の電流流入端に接続し、上記第3の巻線の一端を第2の整流回路の電流流出端に接続し、上記第4の巻線の一端を第2の整流回路の電流流入端に接続するようにしてもよい。
【0010】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、上記2つの整流回路を、各々が電流流入端および電流流出端を有する第1および第2の整流回路により構成すると共に、上記第1の巻線の一端を第2の整流回路の電流流出端に接続し、上記第2の巻線の一端を第1の整流回路の電流流入端に接続し、上記第3の巻線の一端を第1の整流回路の電流流出端に接続し、上記第4の巻線の一端を第2の整流回路の電流流入端に接続するようにしてもよい。
【0011】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、上記トランスを、一対の2次側巻線を有する第1のトランスと、一対の2次側巻線を有する第2のトランスとにより構成すると共に、上記2つの整流回路を、電流流入端および電流流出端を有すると共に第1のトランスの一方の2次側巻線と第2のトランスの他方の2次側巻線とに接続された第1の整流回路と、電流流入端および電流流出端を有すると共に第1のトランスの他方の2次側巻線と第2のトランスの一方の2次側巻線とに接続された第2の整流回路とにより構成し、上記第1の巻線の一端を第1の整流回路の電流流出端に接続し、上記第2の巻線の一端を第1の整流回路の電流流入端に接続し、上記第3の巻線の一端を第2の整流回路の電流流出端に接続し、上記第4の巻線の一端を第2の整流回路の電流流入端に接続するようにしてもよい。
【0012】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、上記トランスが、互いに直列接続されると共にインバータ回路によるスイッチング動作時の交流抵抗が交互に高くなる一対の1次側巻線を有するようにするのが好ましい。このように構成した場合、トランスの1次側巻線と2次側巻線との間で互いに逆向きの電流が流れるときに、表皮効果および近接効果により、交流抵抗が低くなる。したがって、相対的に交流抵抗の高い1次側巻線によって発振成分が吸収されるため、出力のリンギングが抑制される。
【0013】
本発明の第1のスイッチング電源装置では、上記インバータ回路を、単一のインバータ回路により構成するようにするのが好ましい。このように構成した場合、上記インバータ回路を複数のインバータ回路により構成した場合と比べ、回路構成が簡素化すると共に、製造コストがより抑えられる。
【0014】
本発明の第2のスイッチング電源装置は、第1および第2の入出力端子対のうちの一方の入出力端子対から入力される直流入力電圧を電圧変換して、他方の入出力端子対から直流出力電圧を出力するものであって、第1の入出力端子対側に配置された第1のトランス巻線と、第2の入出力端子対側に配置された第2のトランス巻線とを有するトランスと、第1のトランス巻線側に配置され、複数の第1のスイッチング素子と、これら複数の第1のスイッチング素子にそれぞれ並列接続された第1の整流素子とを含む第1の回路と、第2のトランス巻線側に配置され、各々が、複数の第2のスイッチング素子と、これら複数の第2のスイッチング素子にそれぞれ並列接続された第2の整流素子とを含む2つの第2の回路と、これら2つの第2の回路と第2の入出力端子対との間に配置された平滑回路とを備えたものである。ここで、この平滑回路は、容量素子と、第1および第2の磁芯と、これら第1および第2の磁芯の間に配置された共通磁芯と、一端が第2の回路に接続されると共に第1の磁芯に巻回された第1および第2の巻線と、一端が第2の回路に接続されると共に第2の磁芯に巻回された第3および第4の巻線と、第1および第3の巻線の他端同士と容量素子の一端とを接続すると共に共通磁芯に巻回された第1の共通巻線と、第2および第4の巻線の他端同士と容量素子の他端とを接続すると共に共通磁芯に巻回された第2の共通巻線とを有している。また、第1の巻線を流れる電流と第2の巻線を流れる電流とによって、第1の磁芯および共通磁芯の内部を通る第1の環状磁路が形成され、第1の巻線を流れる電流と第2の巻線を流れる電流とに同期して、第3および第4の巻線に電流が流れると共に、これら第3の巻線を流れる電流と第4の巻線を流れる電流とによって、第2の磁芯および共通磁芯の内部を通る第2の環状磁路が形成され、第1の環状磁路における磁束と、第2の環状磁路における磁束と、第1の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束と、第2の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯の内部において互いに共有化されている。
【0015】
本発明の第2のスイッチング電源装置では、順方向動作時には、第1の入出力端子対から直流入力電圧が入力され、インバータ回路として機能する第1の回路内の第1のスイッチング素子によって、入力交流電圧が生成される。また、この入力交流電圧がトランスの第1のトランス巻線側に入力すると変圧され、第2のトランス巻線側から出力交流電圧が出力される。そしてこの出力交流電圧が、整流回路として機能する2つの第2の回路内の第2の整流素子によってそれぞれ整流され、これら2つの第2の回路からの出力電圧が平滑回路によって平滑化されることにより、第2の入出力端子から直流出力電圧が出力される。一方、逆方向動作時には、第2の入出力端子対から直流入力電圧が入力され、平滑回路を介して、各々がインバータ回路として機能する2つの第2の回路内の第2のスイッチング素子によって、入力交流電圧が生成される。また、この入力交流電圧がトランスの第2のトランス巻線側に入力すると変圧され、第1のトランス巻線側から出力交流電圧が出力される。そしてこの出力交流電圧が、整流回路として機能する第1の回路内の第1の整流素子によって整流され、第1の入出力端子から直流出力電圧が出力される。ここで、上記平滑回路では、第1ないし第4の巻線と第1および第2の共通巻線とが、第1および第2の磁芯と共通磁芯とに適切に巻回されることにより、第1の巻線を流れる電流と第2の巻線を流れる電流とによって、第1の磁芯および共通磁芯の内部を通る第1の環状磁路が形成され、第1の巻線を流れる電流と第2の巻線を流れる電流とに同期して、第3および第4の巻線に電流が流れると共に、これら第3の巻線を流れる電流と第4の巻線を流れる電流とによって、第2の磁芯および共通磁芯の内部を通る第2の環状磁路が形成される。また、上記第1の環状磁路における磁束と、上記第2の環状磁路における磁束と、上記第1の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束と、上記第2の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯の内部において、互いに向きが等しくなると共に互いに共有化されるようになる。これにより、第1および第2の巻線を流れる電流と、第3および第4の巻線を流れる電流とが均衡状態となり、安定化する。また、自動的にこのような均衡状態が保持されるため、素子の特性値等の調整が不要となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のスイッチング電源装置によれば、平滑回路において、第1の磁芯および共通磁芯の内部を通る第1の環状磁路を形成すると共に第2の磁芯および共通磁芯の内部を通る第2の環状磁路を形成し、第1の環状磁路における磁束と、第2の環状磁路における磁束と、第1の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束と、第2の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯の内部において、互いに向きが等しくなると共に互いに共有化されるようにしたので、第1および第2の巻線を流れる電流と第3および第4の巻線を流れる電流とを均衡状態とし、安定化することができる。また、自動的にこのような均衡状態が保持されるために素子の特性値等の調整が不要となり、素子の特性値等に大きな余裕度を必要としなくなる。よって、製造コストを抑えつつ安定的な出力を供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1)の回路構成を表すものである。このスイッチング電源装置1は、高圧バッテリ10から供給される高圧の直流入力電圧Vinをより低い直流出力電圧Voutに変換し、図示しない低圧バッテリに供給して負荷6を駆動するDC−DCコンバータとして機能するものである。
【0019】
このスイッチング電源装置1は、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとの間に設けられた入力平滑コンデンサ2と、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとの間で互いに並列して設けられたインバータ回路11,12と、1次側巻線311および2次側巻線312A,312Bを有するトランス31と、1次側巻線321および2次側巻線322A,322Bを有するトランス32とを備えている。1次側高圧ラインL1Hの入力端子T1と1次側低圧ラインL1Lの入力端子T2との間には、高圧バッテリ10から出力される直流入力電圧Vinが印加されるようになっている。このスイッチング電源装置1はまた、2つの整流回路、すなわち、トランス31の2次側に設けられた整流回路41およびトランス32の2次側に設けられた整流回路42と、これら整流回路41,42に接続された平滑回路5とを備えている。
【0020】
入力平滑コンデンサ2は、入力端子T1,T2から入力された直流入力電圧Vinを平滑化するためのものである。
【0021】
インバータ回路11は、4つのスイッチング素子S11〜S14から構成されたフルブリッジ型の回路構成となっている。具体的には、スイッチング素子S11,S12の一端同士が互いに接続されると共にスイッチング素子S13,S14の一端同士が互いに接続され、これらの一端同士は、トランス31の1次側巻線311を介して互いに接続されている。また、スイッチング素子S11,S13の他端同士が互いに接続されると共にスイッチング素子S12,S14の他端同士が互いに接続され、これらの他端同士は、それぞれ入力端子T1,T2に接続されている。インバータ回路11はこのような構成により、図示しない駆動回路から供給される駆動信号に応じて、入力端子T1,T2間に印加される直流入力電圧Vinを入力交流電圧に変換するようになっている。
【0022】
インバータ回路12もまた、4つのスイッチング素子S21〜S24から構成されたフルブリッジ型の回路構成となっている。具体的には、スイッチング素子S21,S22の一端同士が互いに接続されると共にスイッチング素子S23,S24の一端同士が互いに接続され、これらの一端同士は、トランス32の1次側巻線321を介して互いに接続されている。また、スイッチング素子S21,S23の他端同士が互いに接続されると共にスイッチング素子S22,S24の他端同士が互いに接続され、これらの他端同士は、それぞれ入力端子T1,T2に接続されている。インバータ回路12もこのような構成により、図示しない駆動回路から供給される駆動信号に応じて、入力端子T1,T2間に印加される直流入力電圧Vinを入力交流電圧に変換するようになっている。
【0023】
なお、これらスイッチング素子S11〜S14,S21〜S24としては、例えば電界効果型トランジスタ(MOS−FET;Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)などのスイッチ素子が用いられる。
【0024】
トランス31の一対の2次側巻線312A,312Bの一端同士はセンタタップP1で互いに接続され、このセンタタップP1からの配線が平滑回路5の端子TL1に導かれている。このトランス31は、インバータ回路11によって生成された入力交流電圧を変圧し、一対の2次側巻線312A,312Bの各端部(センタタップP1とは反対側の端部)から、互いに180度位相が異なる出力交流電圧を出力するようになっている。なお、この場合の変圧の度合いは、1次側巻線311と2次側巻線312A,312Bとの巻数比によって定まる。
【0025】
トランス32の一対の2次側巻線322A,322Bの一端同士はセンタタップP3で互いに接続され、このセンタタップP3からの配線が平滑回路5の端子TL3に導かれている。このトランス32は、インバータ回路12によって生成された入力交流電圧を変圧し、一対の2次側巻線322A,322Bの各端部(センタタップP3とは反対側の端部)から、互いに180度位相が異なる出力交流電圧を出力するようになっている。なお、この場合の変圧の度合いは、1次側巻線321と2次側巻線322A,322Bとの巻数比によって定まる。
【0026】
整流回路41は、一対の整流ダイオード41A,41Bからなる単相全波整流型のものである。整流ダイオード41Aのカソードはトランス31の2次側巻線312Aの他端に接続され、整流ダイオード41Bのカソードはトランス31の2次側巻線312Bの他端に接続されている。また、これら整流ダイオード41A,41Bのアノード同士は互いに接続点P2において接続され、平滑回路5の端子TL2に導かれている。つまり、この整流回路41はセンタタップ型のアノードコモン接続の構成となっており、トランス31からの出力交流電圧の各半波期間を、それぞれ整流ダイオード41A,41Bによって個別に整流して直流電圧を得るようになっている。
【0027】
整流回路42もまた、一対の整流ダイオード42A,42Bからなる単相全波整流型のものである。整流ダイオード42Aのカソードはトランス32の2次側巻線322Aの他端に接続され、整流ダイオード42Bのカソードはトランス32の2次側巻線322Bの他端に接続されている。また、これら整流ダイオード42A,42Bのアノード同士は互いに接続点P4において接続され、平滑回路5の端子TL4に導かれている。つまり、この整流回路42もセンタタップ型のアノードコモン接続の構成となっており、トランス32からの出力交流電圧の各半波期間を、それぞれ整流ダイオード42A,42Bによって個別に整流して直流電圧を得るようになっている。
【0028】
平滑回路5は、後述するコア部材(図示せず)と、チョークコイル5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2と、出力平滑コンデンサ5Cとにより構成されている。チョークコイル5L1は、出力ラインLO(接続点P51と出力端子T3との間を結ぶラインであり、負荷6に対して出力電流を供給するライン)上に挿入配置されており、一端が端子TL1に接続され、他端が接続点P51に接続されている。チョークコイル5L2は、接地ラインLG(接続点P52と出力端子T4との間を結ぶ接地ライン)上に挿入配置されており、一端が端子TL2に接続され、他端が接続点P52に接続されている。チョークコイル5L3は、出力ラインLO上に挿入配置されており、一端が端子TL3に接続され、他端が接続点P51に接続されている。チョークコイル5L4は、接地ラインLG上に挿入配置されており、一端が端子TL4に接続され、他端が接続点P52に接続されている。チョークコイル5Lc1は、出力ラインLO上に挿入配置されており、一端が接続点P51に接続され、他端が接続点P53(出力平滑コンデンサ5Cの一端)に接続されている。チョークコイル5Lc2は、接地ラインLG上に挿入配置されており、一端が接続点P52に接続され、他端が接続点P54(出力平滑コンデンサ5Cの他端)に接続されている。また、チョークコイル5L1とチョークコイル5L2との間は、コア部材のうちの第1磁芯UC1,DC1(詳細は後述)によって磁気的に結合され、チョークコイル5L3とチョークコイル5L4との間は、コア部材のうちの第2磁芯UC2,DC2(詳細は後述)によって磁気的に結合されている。また、チョークコイル5L1,5Lc1,5Lc2,5L3の間はそれぞれ、コア部材のうちの共通磁芯(中央磁芯)UCc,DCc(詳細は後述)によって互いに磁気的に結合されている。また、平滑コンデンサ5Cは、出力ラインLO(具体的には、接続点P53)と接地ラインLG(具体的には、接続点P54)との間に接続されている。なお、出力ラインLOの端部には出力端子T3が設けられており、接地ラインLGの端部には出力端子T4が設けられている。このような構成により平滑回路5では、整流回路41,42で整流された直流電圧を平滑化して直流出力電圧Voutを生成し、これを出力端子T3,T4から低圧バッテリ(図示せず)に給電するようになっている。
【0029】
次に、図2を参照して、本発明の主な特徴的部分である平滑回路5の詳細構成について説明する。図2は、平滑回路5の外観構成を斜視図で表したものである。
【0030】
この平滑回路5は、互いに対向する上部E型コアUCおよび下部E型コアDCからなるE−Eコアであるコア材Uの周囲に、チョークコイル5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2が巻回された構造となっている。なお、上部E型コアUCおよび下部E型コアDCはそれぞれ、例えばフェライトなどの磁性材料により構成され、チョークコイル5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2は、例えば銅やアルミニウムなどの導電性材料により構成される。
【0031】
上部E型コアUCは、ベースコアUCbと、このベースコアUCbから延びた3本の脚部分である第1の磁芯UC1、第2磁芯UC2および共通磁芯(中央磁芯)UCcとから構成されている。下部E型コアDCは、ベースコアDCbと、このベースコアDCbから延びた3本の脚部分である第1の磁芯DC1、第2磁芯DC2および共通磁芯(中央磁芯)DCcとから構成されている。なお、共通磁芯UCc,DCc間や、第1の磁芯UC1,DC1間や、第2の磁芯UC2,DC2間には、所定のギャップを設けるようにしてもよい。具体的には、共通磁芯UCc,DCc間のみに所定のギャップを設けるようにしてもよく、あるいは第1の磁芯UC1,DC1間および第2の磁芯UC2,DC2間にのみ所定のギャップをもうけるようにしてもよく、あるいは共通磁芯UCc,DCc間、第1の磁芯UC1,DC1間および第2の磁芯UC2,DC2間の全てに所定のギャップを設けるようにしてもよい。また、磁束が分流している両外脚(第1の磁芯UC1,DC1および第2の磁芯UC2,DC2)に完全に等価なギャップを入れることは困難であるが、中央磁心(共通磁芯UCc,DCc)であれば共通で磁束が流れているため、両ループにとって完全に等価なギャップとなる。
【0032】
チョークコイル5L1は、一端が端子TL1に接続されると共に、第1の磁芯UC1,DC1に図中の上からみて右回りに1ターン分巻回されることにより、他端が接続点P51に接続されている。また、チョークコイル5L2は、一端が端子TL2に接続されると共に、第1の磁芯UC1,DC1に図中の上からみて左回りに1ターン分巻回されることにより、他端が接続点P52に接続されている。また、チョークコイル5L3は、一端が端子TL3に接続されると共に、第2の磁芯UC2,DC2に図中の上からみて右回りに1ターン分巻回されることにより、他端が接続点P51に接続されている。また、チョークコイル5L4は、一端が端子TL4に接続されると共に、第2の磁芯UC2,DC2に図中の上からみて左回りに1ターン分巻回されることにより、他端が接続点P52に接続されている。
【0033】
また、図1に示したように、チョークコイル5L1の一端は、端子TL1を介して接続点P1(センタタップ)に接続され、チョークコイル5L2の一端は、端子TL2を介して接続点P2に接続され、チョークコイル5L3の一端は、端子TL3を介して接続点P3(センタタップ)に接続され、チョークコイル5L4の一端は、端子TL4を介して接続点P4に接続されている。
【0034】
チョークコイル5L1,5L3の他端同士は接続点P51において互いに接続され、チョークコイル5Lc1の一端に接続されている。このチョークコイル5Lc1は、共通磁芯UCc,DCcに図中の上からみて左回りに0.5ターン分巻回される(図中の上からみて、共通磁芯UCc,DCcの右側面付近を通過する)ことにより、他端が出力平滑コンデンサ5Cの一端(接続点P53)に接続されている。また、チョークコイル5L2,5L4の他端同士は接続点P52において互いに接続され、チョークコイル5Lc2の一端に接続されている。このチョークコイル5Lc2は、共通磁芯UCc,DCcに図中の上からみて右回りに0.5ターン分巻回される(図中の上からみて、共通磁芯UCc,DCcの左側面付近を通過する)ことにより、他端が出力平滑コンデンサ5Cの他端(接続点P54)に接続されている。
【0035】
なお、詳細は後述するが、これらチョークコイル5L1〜5L4およびチョークコイル5Lc1,5Lc2を流れる電流によって、所定の還流磁路等が形成されるようになっている。
【0036】
ここで、出力平滑コンデンサ5Cが本発明における「容量素子」の一具体例に対応する。また、チョークコイル5L1が本発明における「第1の巻線」の一具体例に対応し、チョークコイル5L2が本発明における「第2の巻線」の一具体例に対応し、チョークコイル5L3が本発明における「第3の巻線」の一具体例に対応し、チョークコイル5L4が本発明における「第4の巻線」の一具体例に対応する。また、チョークコイル5Lc1が本発明における「第1の共通巻線」の一具体例に対応し、チョークコイル5Lc2が本発明における「第2の共通巻線」の一具体例に対応する。また、整流回路41が本発明における「第1の整流回路」の一具体例に対応し、整流回路42が本発明における「第2の整流回路」の一具体例に対応する。また、接続点P1(センタタップ)が本発明における「第1の整流回路における電流流出端」の一具体例に対応し、接続点P2が本発明における「第1の整流回路の電流流入端」の一具体例に対応し、接続点P3(センタタップ)が本発明における「第2の整流回路における電流流出端」の一具体例に対応し、接続点P4が本発明における「第2の整流回路の電流流入端」の一具体例に対応する。
【0037】
次に、図3〜図5を参照して、本実施の形態のスイッチング電源装置1の作用について説明する。
【0038】
最初に、図3および図4を参照して、スイッチング電源装置1の基本動作について説明する。
【0039】
このスイッチング電源装置1では、インバータ回路11において、入力端子T1,T2から供給される直流入力電圧Vinがスイッチングされて入力交流電圧が生成され、この入力交流電圧がトランス31の1次側巻線311へ供給される。そしてトランス31では入力交流電圧が変圧され、2次側巻線312A,312Bから、変圧された出力交流電圧が出力される。同様に、インバータ回路12において、入力端子T1,T2から供給される直流入力電圧Vinがスイッチングされて入力交流電圧が生成され、この入力交流電圧がトランス32の1次側巻線321へ供給される。そしてトランス32では入力交流電圧が変圧され、2次側巻線322A,322Bから、変圧された出力交流電圧が出力される。
【0040】
整流回路41では、トランス31から出力された出力交流電圧が、整流ダイオード41A,41Bによって整流される。これにより、センタタップP1と整流ダイオード41A,41Bの接続点P2との間に、整流出力が発生する。同様に、整流回路42では、トランス32から出力された出力交流電圧が、整流ダイオード42A,42Bによって整流される。これにより、センタタップP3と整流ダイオード42A,42Bの接続点P4との間に、整流出力が発生する。
【0041】
平滑回路5では、これら整流回路41,42において発生する整流出力が、チョークコイル5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2と出力平滑コンデンサ5Cとによって平滑化され、出力端子T3,T4から直流出力電圧Voutとして出力される。そしてこの直流出力電圧Voutは、図示しない低圧バッテリに給電されてその充電に供されると共に、負荷6が駆動される。
【0042】
また、本実施の形態のスイッチング電源装置1では、インバータ回路11,12においてそれぞれ、スイッチング素子S11,S14およびスイッチング素子S21,S24がオン状態になる期間と、スイッチング素子S12,S13およびスイッチング素子S22,S23がオン状態になる期間とが、交互に繰り返される。したがって、スイッチング電源装置1の動作をより詳細に説明すると、以下のようになる。
【0043】
まず、図3に示したように、インバータ回路11のスイッチング素子S11,S14およびインバータ回路12のスイッチング素子S21,S24がそれぞれオン状態になると、スイッチング素子S11からスイッチング素子S14の方向に1次側ループ電流Ia11が流れると共に、スイッチング素子S21からスイッチング素子S24の方向に1次側ループ電流Ia12が流れる。すると、トランス31の2次側巻線312A,312Bにそれぞれ現れる電圧は、整流ダイオード41Bに対して逆方向となる一方、整流ダイオード41Aに対して順方向となる。このため、整流ダイオード41Aから2次側巻線312A、チョークコイル5L1,5Lc1、出力平滑コンデンサ5C、チョークコイル5Lc2,5L2を順に通る2次側ループ電流Ia21が流れる。同様に、トランス32の2次側巻線322A,322Bにそれぞれ現れる電圧は、整流ダイオード42Bに対して逆方向となる一方、整流ダイオード42Aに対して順方向となる。このため、整流ダイオード42Aから2次側巻線322A、チョークコイル5L3,5Lc1、出力平滑コンデンサ5C、チョークコイル5Lc2,5L4を順に通る2次側ループ電流Ia22が流れる。そしてこれら2次側ループ電流Ia21,Ia22により、直流出力電圧Voutが図示しない低圧バッテリに給電されると共に、負荷6が駆動される。
【0044】
一方、図4に示したように、インバータ回路11のスイッチング素子S11,S14およびインバータ回路12のスイッチング素子S21,S24がそれぞれオフ状態になると共に、インバータ回路11のスイッチング素子S12,S13およびインバータ回路12のスイッチング素子S23,S23がそれぞれオン状態になると、スイッチング素子S13からスイッチング素子S12の方向に1次側ループ電流Ib11が流れると共に、スイッチング素子S23からスイッチング素子S22の方向に1次側ループ電流Ib12が流れる。すると、トランス31の2次側巻線312A,312Bにそれぞれ現れる電圧は、整流ダイオード41Aに対して逆方向となる一方、整流ダイオード41Bに対して順方向となる。このため、整流ダイオード41Bから2次側巻線312B、チョークコイル5L1,5Lc1、出力平滑コンデンサ5C、チョークコイル5Lc2,5L2を順に通る2次側ループ電流Ib21が流れる。同様に、トランス32の2次側巻線322A,322Bにそれぞれ現れる電圧は、整流ダイオード42Aに対して逆方向となる一方、整流ダイオード42Bに対して順方向となる。このため、整流ダイオード42Bから2次側巻線322B、チョークコイル5L3,5Lc1、出力平滑コンデンサ5C、チョークコイル5Lc2,5L4を順に通る2次側ループ電流Ib22が流れる。そしてこれら2次側ループ電流Ib21,Ib22により、直流出力電圧Voutが図示しない低圧バッテリに給電されると共に、負荷6が駆動される。
【0045】
次に、図5を参照して、本実施の形態のスイッチング電源装置1における特徴的部分の作用について詳細に説明する。
【0046】
このスイッチング電源装置1では、図1,図2に示した構成の平滑回路5において、図3および図4に示したように各チョークコイル5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2および出力平滑コンデンサ5Cに電流(2次側ループ電流Ia21,Ia22,Ib21,Ib22)が流れると、コア材Uでは、図5に示したような磁路が形成される。すなわち、この平滑回路5では、チョークコイル5L1〜5L4とチョークコイル5Lc1,5Lc2とが、図2に示したように、第1磁芯UC1,DC1、第2磁芯UC2,DC2および共通磁芯UCc,DCcに適切に巻回されることにより、チョークコイル5L1を流れる電流とチョークコイル5L2を流れる電流とによって、第1磁芯UC1,DC1および共通磁芯UCc,DCcの内部を通る第1環状磁路B1が形成され、これらチョークコイル5L1を流れる電流とチョークコイル5L2を流れる電流とに同期して、チョークコイル5L3,5L4にそれぞれ電流が流れると共に、これらチョークコイル5L3を流れる電流とチョークコイル5L4を流れる電流とによって、第2磁芯UC2,DC2および共通磁芯UCc,DCcの内部を通る第2環状磁路B2が形成される。また、これら第1還流磁路B1および第2還流磁路B2における磁束は、共通磁芯UCc,DCcの部分において、互いに向きが等しくなっている。
【0047】
このようにして、本実施の形態の平滑回路5では、第1環状磁路B1における磁束と、第2環状磁路B2における磁束と、チョークコイル5Lc1を流れる電流によって形成される磁束と、チョークコイル5Lc2を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯UCc,DCcの内部において、互いに向きが等しいと共に互いに共有化されている。これにより、チョークコイル5L1,5L3を流れる電流と、チョークコイル5L2,5L4を流れる電流とが均衡状態となり、安定化する。
【0048】
また、この平滑回路5では自動的にこのような均衡状態が保持されるため、素子の特性値等の調整が不要となる。
【0049】
以上のように本実施の形態では、平滑回路5において、第1環状磁路B1における磁束と、第2環状磁路B2における磁束と、チョークコイル5Lc1を流れる電流によって形成される磁束と、チョークコイル5Lc2を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯UCc,DCcの内部において、互いに向きが等しいと共に互いに共有化されているようにしたので、チョークコイル5L1,5L2を流れる電流とチョークコイル5L3,5L4を流れる電流とを均衡状態とし、安定化することができる。また、この平滑回路5では自動的にこのような均衡状態が保持されるために素子の特性値等の調整が不要となり、素子の特性値等に大きな余裕度を必要としなくなる。よって、製造コストを抑えつつ安定的な出力を供給することが可能となる。
【0050】
また、チョークコイル5L1の一端を、端子TL1を介して接続点P1(センタタップ)に接続し、チョークコイル5L2の一端を、端子TL2を介して接続点P2に接続し、チョークコイル5L3の一端を、端子TL3を介して接続点P3(センタタップ)に接続し、チョークコイル5L4の一端を、端子TL4を介して接続点P4に接続するようにしたので、上記したような効果を得ることができる。
【0051】
また、コア部材Uを、共通磁芯UCc,DCcを介して2つの還流磁路B1,B2を有するE−Eコアにより構成すると共に、共通磁芯UCc,DCcの外側の第1の磁芯UC1,DC1および第2の磁芯UC2,DC2に巻線を巻回するようにしたので、共通磁芯UCc,DCcのみに巻線を巻回するようにした場合と比べ、コアが巻線に重なる面積を減少させることができ、チョークコイル5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2の放熱面積をより増大させることができる。よって、放熱特性が改善するため、チョークコイル5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2の安定化した動作が可能となる。
【0052】
以下、本発明の変形例をいくつか挙げて説明する。なお、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0053】
[変形例1]
図6および図7は、変形例1に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1A)の回路構成を表したものである。このスイッチング電源装置1Aは、上記実施の形態で説明したスイッチング電源装置1において、整流回路41、42と平滑回路5との間の接続関係を変更したものである。具体的には、チョークコイル5L1の一端が、端子TL1を介して接続点P3(センタタップ)に接続され、チョークコイル5L2の一端が、端子TL2を介して接続点P2に接続され、チョークコイル5L3の一端が、端子TL3を介して接続点P1(センタタップ)に接続され、チョークコイル5L4の一端が、端子TL4を介して接続点P4に接続されている。すなわち、上記実施の形態で説明したスイッチング電源装置1において、端子TL1,TL3と接続点P1,P3との接続関係を入れ換えたものとなっている。
【0054】
このような構成により本変形例のスイッチング電源装置1Aでは、1次側ループ電流Ia11,Ia12に基づき、トランス31,32の2次側において、図6に示したような2次側ループ電流Ia23,Ia24が流れる一方、1次側ループ電流Ib11,Ib12に基づき、図7に示したような2次側ループ電流Ib23,Ib24が流れる。
【0055】
このようにして本変形例においても、平滑回路5において、第1環状磁路B1における磁束と、第2環状磁路B2における磁束と、チョークコイル5Lc1を流れる電流によって形成される磁束と、チョークコイル5Lc2を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯UCc,DCcの内部において互いに共有化されているようにしたので、製造コストを抑えつつ安定的な出力を供給することが可能となる。
【0056】
[変形例2]
図8は、変形例2に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1B)の回路構成を表したものである。このスイッチング電源装置1Aは、上記実施の形態で説明したスイッチング電源装置1において、トランス31B,32Bがそれぞれ、一対の2次側巻線312A,312Bおよび一対の2次側巻線322A,322Bを有するようにすると共に、トランス31Bの一方の2次側巻線312Aとトランス32Bの他方の2次側巻線322Bとに接続された整流回路と、トランス31Bの他方の2次側巻線312Bとトランスの32B一方の2次側巻線322Aとに接続された整流回路とにより構成されるようにしたものである。また、チョークコイル5L1の一端は、端子TL1を介して接続点P6に接続され、チョークコイル5L2の一端は、端子TL2を介して接続点P2に接続され、チョークコイル5L3の一端は、端子TL3を介して接続点P7に接続され、チョークコイル5L4の一端は、端子TL4を介して接続点P4に接続されている。
【0057】
なお、トランス31Bが本発明における「第1のトランス」の一具体例に対応し、トランス32Bが本発明における「第2のトランス」の一具体例に対応する。また、接続点P6が本発明における「第1の整流回路の電流流出端」に対応し、接続点P7が本発明における「第2の整流回路の電流流出端」に対応する。
【0058】
このような構成により本変形例においても、平滑回路5において、第1環状磁路B1における磁束と、第2環状磁路B2における磁束と、チョークコイル5Lc1を流れる電流によって形成される磁束と、チョークコイル5Lc2を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯UCc,DCcの内部において互いに共有化されているようにしたので、製造コストを抑えつつ安定的な出力を供給することが可能となる。
【0059】
[変形例3]
図9は、変形例3に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1C)の回路構成を表したものである。このスイッチング電源装置1Cでは、トランス31C,32Cが、互いに直列接続されると共にインバータ回路11,12によるスイッチング動作時の交流抵抗が交互に高くなる一対の1次側巻線311A,311Bおよび1次側巻線321A,321Bを有するようになっている。
【0060】
このような構成により本変形例のスイッチング電源装置1Cでは、図中に示したように、トランス31C,32Cの1次側巻線311A,311B,321A,321Bと2次側巻線312A,312B,322A,322Bとの間で互いに逆向きの電流が流れるときに、表皮効果および近接効果により、交流抵抗が低くなる。具体的には、1次側ループ電流Ia11,Ia12が1次側巻線311A,311Bおよび1次側巻線321A,321Bを流れているときには、2次側ループ電流Ia21,Ia22が流れる2次側巻線312A,322Aの近くに配置されている1次側巻線311A,321Aでは、1次側ループ電流Ia11,Ia12と2次側ループ電流Ia21,Ia22との電流の向きが互いに逆向きとなるため、これら1次側巻線311A,321Aでは、電流の向きが互いに同一である巻線同士を近接させた場合と比べ、表皮効果および近接効果により、交流抵抗が低くなる。また、1次側ループ電流Ib11,Ib12が1次側巻線311A,311Bおよび1次側巻線321A,321Bを流れているときには、2次側ループ電流Ib21,Ib22が流れる2次側巻線312B,322Bの近くに配置されている1次側巻線311B,321Bでは、1次側ループ電流Ib11,Ib12と2次側ループ電流Ib21,Ib22との電流の向きが互いに逆向きとなるため、これら1次側巻線311B,321Bでは、電流の向きが互いに同一である巻線同士を近接させた場合と比べ、表皮効果および近接効果により、交流抵抗が低くなる。これらにより、相対的に交流抵抗の高い1次側巻線によって発振成分が吸収されるため、出力のリンギングを抑制することができる。
【0061】
以上のように本変形例では、上記実施の形態における効果に加え、出力のリンギングを抑制することができ、出力をより安定化することが可能となる。
【0062】
[変形例4]
図10は、変形例4に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1D)の回路構成を表したものである。このスイッチング電源装置1Dは、上記変形例3で説明したスイッチング電源装置1Cにおいて、インバータ回路11,12とトランス31D,32D内の一対の1次側巻線311A,311Bおよび1次側巻線321A,321Bとの接続関係を互いに入れ換えたものとなっている。
【0063】
このような構成により本変形例においても、平滑回路5において、第1環状磁路B1における磁束と、第2環状磁路B2における磁束と、チョークコイル5Lc1を流れる電流によって形成される磁束と、チョークコイル5Lc2を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯UCc,DCcの内部において互いに共有化されているようにしたので、製造コストを抑えつつ安定的な出力を供給することが可能となる。
【0064】
[変形例5]
図11は、変形例5に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1E)の回路構成を表したものである。このスイッチング電源装置1Eは、上記実施の形態で説明したスイッチング電源装置1において、トランス31,32の1次側に配置されたインバータ回路を、単一のインバータ回路10Eにより構成するようにしたものである。
【0065】
このような構成により本変形例においても、平滑回路5において、第1環状磁路B1における磁束と、第2環状磁路B2における磁束と、チョークコイル5Lc1を流れる電流によって形成される磁束と、チョークコイル5Lc2を流れる電流によって形成される磁束とが、共通磁芯UCc,DCcの内部において互いに共有化されているようにしたので、製造コストを抑えつつ安定的な出力を供給することが可能となる。
【0066】
また、上記実施の形態のようにインバータ回路を複数のインバータ回路11,12により構成した場合と比べ、回路構成が簡素化すると共に、製造コストをより抑えることが可能となる。
【0067】
[変形例6]
図12は、変形例6に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1F)の回路構成を表したものである。このスイッチング電源装置1Fは、上記実施の形態で説明したスイッチング電源装置1において、整流回路41,42の代わりに、整流回路(スイッチング回路)41F,42Fを設けるようにしたものである。
【0068】
整流回路41F,42Fでは、整流素子として、FET(電界効果型トランジスタ)が用いられている。すなわち、これまでは、整流素子の一例として整流ダイオードを挙げて説明したが、本変形例では、整流素子としてFETを用いている。これにより、上記実施の形態における整流ダイオード素子41A,41B,42A,42Bを、スイッチング素子S41A,S41B,S42A,S42Bと、それらに並列接続された整流ダイオードD41A,D41B,D42A,D42B(スイッチング素子S41A,S41B,S42A,S42Bの寄生ダイオード)とから構成することができる。
【0069】
このような構成により本変形例では、整流回路41F,42Fにおいて同期整流動作を行うことにより、上記実施の形態等と比べて回路の効率を向上させることが可能となる。
【0070】
[変形例7]
図13は、変形例7に係るスイッチング電源装置(スイッチング電源装置1G)の回路構成を表したものである。このスイッチング電源装置1Gは、上記実施の形態で説明したスイッチング電源装置1において、整流回路41,42の代わりに、上記変形例7で説明したスイッチング回路41F,42Fを設けると共に、インバータ回路11,12の代わりに、スイッチング回路11G,12Gを設けるようにしたものである。
【0071】
スイッチング回路11G,12Gでは、上記実施の形態におけるスイッチング素子S11〜S14が、MOS−FET等により構成されている。これにより、スイッチング回路11G,12Gでは、上記実施の形態におけるスイッチング素子S11〜S14が、スイッチング素子S11〜S14と、それらに並列接続された整流ダイオードD11〜D14(スイッチング素子S11〜S14の寄生ダイオード)とからなるとみなすことができる。
【0072】
このような構成により本変形例では、上記実施の形態で説明したような、入力端子T1,T2から入力される直流入力電圧Vinを降圧して、直流出力電圧Voutを出力端子T3,T4から出力する降圧動作に加え、以下説明するような、出力端子T3,T4から入力される直流入力電圧Vinを昇圧して、直流出力電圧Voutを入力端子T1,T2から出力する昇圧動作も行うことが可能となる(双方向動作が可能となる)。その場合、降圧動作時(順方向動作時)には、スイッチング回路11G,12Gがインバータ回路として機能すると共にスイッチング回路41F,42Fが整流回路として機能し、昇圧動作時(逆方向動作時)には、スイッチング回路41F,42Fがインバータ回路として機能すると共にスイッチング回路11G,12Gが整流回路として機能することになる。
【0073】
ここで、入力端子T1,T2が本発明における「第1の入出力端子」の一具体例に対応し、出力端子T3,T4が本発明における「第2の入出力端子」の一具体例に対応する。また、スイッチング回路11G,12Gが本発明における「第1の回路」の一具体例に対応し、スイッチング回路41F,42Fが本発明における「2つの第2の回路」の一具体例に対応する。また、スイッチング素子S11〜S14,S21〜S24が本発明における「第1のスイッチング素子」の一具体例に対応し、整流ダイオードD11〜D14,D21〜D24が本発明における「第1の整流素子」の一具体例に対応する。また、スイッチング素子S41A,S41B,S42A,S42Bが本発明における「第2のスイッチング素子」の一具体例に対応し、整流ダイオードD41A,D41B,D42A,D42Bが本発明における「第2の整流素子」の一具体例に対応する。
【0074】
なお、上記した昇圧動作時(逆方向動作時)には、スイッチング素子S11〜S14,S21〜S24の駆動信号は常に0Vとなっており、スイッチング素子S11〜S14,S21〜S24が常にオフ状態となる。ただし、前述した同期整流を行う場合には、スイッチング素子S11〜S14,S21〜S24もオン・オフ動作することになり、整流ダイオードの場合よりも損失が小さくなる。なお、以下の図14〜図16では、スイッチング素子S11〜S14,S21〜S24がこのような同期整流を行う場合について説明する。
【0075】
まず、図14に示したように、スイッチング素子S41A,S42Aおよびスイッチング素子S41B,S42Bとも、オン状態となる。したがって、スイッチング回路41F,42Fを含む低圧側には、図中に示したようなループ電流Ic11,Ic12,Id11,Id12が低圧バッテリ70から流れ、チョークコイル5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2が励磁される。また、トランス31における巻線312A,312Bおよびトランス32における巻線322A,322Bはそれぞれ、互いに巻回し方向が逆であると共に巻数が等しいため、巻線312A,312Bおよび巻線322A,322Bに流れる電流によって発生する磁束がそれぞれ、互いに打ち消し合うこととなり、巻線312A,312Bの両端間および巻線322A,322Bの両端間の電圧は、いずれも0Vとなっている。よって、この期間では、低圧側から高圧側への電力伝送はなされない。ただし、高圧側では、図中に示したような出力電流Ioutが、入力平滑コンデンサ2から負荷Lへと流れている。
【0076】
次に、図15に示したように、スイッチング素子S41A,S42Aのみがオフ状態となる。よって、低圧側には、図中に示したようなループ電流Ic11,Ic12のみが流れ、チョークコイル5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2に蓄積されたエネルギーに基づいて、低圧側から高圧側への電力伝送がなされる。このとき、スイッチング回路11Gでは、スイッチング素子S12,S13がオン状態となると共にスイッチング素子S11,S14がオフ状態となっており、同期整流動作がなされている。また、同様にスイッチング回路12Gでは、スイッチング素子S22,S23がオン状態となると共にスイッチング素子S21,S24がオフ状態となっており、同期整流動作がなされている。なお、この図15に示した動作状態の期間の後は、再び、図14に示した動作状態となる。
【0077】
次に、そのような再度の図14に示した状態の後は、図16に示したように、スイッチング素子S41B,S42Bのみがオフ状態となる。よって、低圧側には、図中に示したようなループ電流Id11,Id12のみが流れ、チョークコイル5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2に蓄積されたエネルギーに基づいて、低圧側から高圧側への電力伝送がなされる。このとき、スイッチング回路11Gでは、スイッチング素子S11,S14がオン状態となると共にスイッチング素子S12,S13がオフ状態となっており、同期整流動作がなされている。また、同様にスイッチング回路12Gでは、スイッチング素子S21,S24がオン状態となると共にスイッチング素子S22,S23がオフ状態となっており、同期整流動作がなされている。
【0078】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0079】
例えば、チョークコイル5L1を流れる電流およびチョークコイル5L2を流れる電流と、チョークコイル5L3を流れる電流およびチョークコイル5L4を流れる電流とは、上記実施の形態等で説明したように文字通り完全に同期している場合には限られず、実質的に同期していればよい。また、チョークコイル5L1を流れる電流およびチョークコイル5L2を流れる電流同士や、チョークコイル5L3を流れる電流およびチョークコイル5L4を流れる電流同士は、完全に同時に流れている必要はなく、実質的に同時であればよい。
【0080】
また、上記実施の形態等では、コア材UがE−Eコアにより構成されている場合について説明したが、例えばE−Iコアなどにより構成してもよい。
【0081】
また、インバータ回路の構成は、フルブリッジ型以外(例えば、ハーフブリッジ型など)の構成でもよい。
【0082】
また、整流回路の構成は、アノードコモン接続ではなく、カソードコモン接続でもよく、またセンタタップ型以外(例えば、ブリッジ型やフォワード型など)の構成でもよい。また、全波整流型の整流回路ではなく、半波整流型の整流回路でもよい。
【0083】
さらに、上記実施の形態等において説明した変形例等を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を表す回路図である。
【図2】図1に示した平滑回路の外観構成を表す斜視図である。
【図3】図1に示したスイッチング電源装置の基本動作を説明するための回路図である。
【図4】図1に示したスイッチング電源装置の基本動作を説明するための回路図である。
【図5】図2に示したコア材における電流および磁束の方向を説明するための断面図である。
【図6】本発明の変形例1に係るスイッチング電源装置の構成および基本動作を表す回路図である。
【図7】本発明の変形例1に係るスイッチング電源装置の構成および基本動作を表す回路図である。
【図8】本発明の変形例2に係るスイッチング電源装置の構成および基本動作を表す回路図である。
【図9】本発明の変形例3に係るスイッチング電源装置の構成および基本動作を表す回路図である。
【図10】本発明の変形例4に係るスイッチング電源装置の構成および基本動作を表す回路図である。
【図11】本発明の変形例5に係るスイッチング電源装置の構成および基本動作を表す回路図である。
【図12】本発明の変形例6に係るスイッチング電源装置の構成を表す回路図である。
【図13】本発明の変形例7に係るスイッチング電源装置の構成を表す回路図である。
【図14】図13に示したスイッチング電源装置の動作を説明するための回路図である。
【図15】図13に示したスイッチング電源装置の動作を説明するための回路図である。
【図16】図13に示したスイッチング電源装置の動作を説明するための回路図である。
【符号の説明】
【0085】
1,1A〜1G…スイッチング電源装置、10…高圧バッテリ、11,12,10E…インバータ回路、11G,12G…スイッチング回路、2…入力平滑コンデンサ、31,31B,31C,31D,32,32B,32C,32D,30E…トランス、310,320,30…磁芯、311,311A,311B,321,321A,321B,31E…1次側巻線、312A,312B,322A,322B…2次側巻線、41,41B,41F,42,42B,42F…整流回路、41F,42F…整流回路(スイッチング回路)、41A,41B,42A,42B,D11〜D14,D21〜D24,D41A,D41B,D42A,D42B…整流ダイオード、5…平滑回路、5L1〜5L4,5Lc1,5Lc2…チョークコイル、5C…出力平滑コンデンサ、6…負荷、70…低圧バッテリ、L1H…1次側高圧ライン、L1L…1次側低圧ライン、LO…出力ライン、LG…接地ライン、T1,T2…入力端子、T3,T4…出力端子、TL1〜TL4…平滑回路の端子、S1〜S4,S11〜S14,S21〜S24,S41A,S41B,S42A,S42B…スイッチング素子、U…コア材、UC…上部E型コア、DC…下部E型コア、UCb,DCb…ベースコア、UC1,DC1…第1磁芯、UC2,DC2…第2磁芯、UCc,DCc…共通磁芯(中央磁芯)、P1,P3…接続点(センタタップ)、P2,P4,P51〜P54,P6,P7,P81,P82,P91,P92…接続点、Vin…直流入力電圧、Vout…直流出力電圧、Ia1,Ia11,Ia12,Ib1,Ib11,Ib12,Ic11,Ic12,Id11,Id12…電流(1次側ループ電流)、Ia21,Ia22,Ia23,Ia24,Ib21,Ib22,Ib23,Ib24,Ic21,Ic22,Id21,Id22…電流(2次側ループ電流)、Iout…出力電流、B1…第1環状磁路、B2…第2環状磁路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流入力電圧をスイッチングして入力交流電圧を生成するインバータ回路と、
前記インバータ回路側の1次側巻線と、2次側巻線とを有し、前記入力交流電圧を変圧して出力交流電圧を出力するトランスと、
前記トランスの2次側に並列接続され、各々が前記出力交流電圧の整流動作を行う2つの整流回路と、
前記2つの整流回路からの出力電圧を平滑化して直流出力電圧を生成する平滑回路と
を備え、
前記平滑回路は、
容量素子と、
第1および第2の磁芯と、
前記第1および第2の磁芯の間に配置された共通磁芯と、
一端が前記整流回路に接続されると共に、前記第1の磁芯に巻回された第1および第2の巻線と、
一端が前記整流回路に接続されると共に、前記第2の磁芯に巻回された第3および第4の巻線と、
前記第1および第3の巻線の他端同士と前記容量素子の一端とを接続すると共に、前記共通磁芯に巻回された第1の共通巻線と、
前記第2および第4の巻線の他端同士と前記容量素子の他端とを接続すると共に、前記共通磁芯に巻回された第2の共通巻線と
を有し、
前記第1の巻線を流れる電流と前記第2の巻線を流れる電流とによって、前記第1の磁芯および前記共通磁芯の内部を通る第1の環状磁路が形成され、
前記第1の巻線を流れる電流と前記第2の巻線を流れる電流とに同期して、前記第3および第4の巻線に電流が流れると共に、これら第3の巻線を流れる電流と第4の巻線を流れる電流とによって、前記第2の磁芯および前記共通磁芯の内部を通る第2の環状磁路が形成され、
前記第1の環状磁路における磁束と、前記第2の環状磁路における磁束と、前記第1の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束と、前記第2の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束とが、前記共通磁芯の内部において互いに共有化されている
ことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記2つの整流回路が、各々が電流流入端および電流流出端を有する第1および第2の整流回路により構成され、
前記第1の巻線の一端が、前記第1の整流回路の電流流出端に接続され、
前記第2の巻線の一端が、前記第1の整流回路の電流流入端に接続され、
前記第3の巻線の一端が、前記第2の整流回路の電流流出端に接続され、
前記第4の巻線の一端が、前記第2の整流回路の電流流入端に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記2つの整流回路が、各々が電流流入端および電流流出端を有する第1および第2の整流回路により構成され、
前記第1の巻線の一端が、前記第2の整流回路の電流流出端に接続され、
前記第2の巻線の一端が、前記第1の整流回路の電流流入端に接続され、
前記第3の巻線の一端が、前記第1の整流回路の電流流出端に接続され、
前記第4の巻線の一端が、前記第2の整流回路の電流流入端に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記トランスが、一対の前記2次側巻線を有する第1のトランスと、一対の前記2次側巻線を有する第2のトランスとにより構成され、
前記2つの整流回路が、電流流入端および電流流出端を有すると共に前記第1のトランスの一方の2次側巻線と前記第2のトランスの他方の2次側巻線とに接続された第1の整流回路と、電流流入端および電流流出端を有すると共に前記第1のトランスの他方の2次側巻線と前記第2のトランスの一方の2次側巻線とに接続された第2の整流回路とにより構成され、
前記第1の巻線の一端が、前記第1の整流回路の電流流出端に接続され、
前記第2の巻線の一端が、前記第1の整流回路の電流流入端に接続され、
前記第3の巻線の一端が、前記第2の整流回路の電流流出端に接続され、
前記第4の巻線の一端が、前記第2の整流回路の電流流入端に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記トランスは、互いに直列接続されると共に前記インバータ回路によるスイッチング動作時の交流抵抗が交互に高くなる一対の前記1次側巻線を有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記インバータ回路が、単一のインバータ回路により構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
第1および第2の入出力端子対のうちの一方の入出力端子対から入力される直流入力電圧を電圧変換して、他方の入出力端子対から直流出力電圧を出力するスイッチング電源装置であって、
前記第1の入出力端子対側に配置された第1のトランス巻線と、前記第2の入出力端子対側に配置された第2のトランス巻線とを有するトランスと、
前記第1のトランス巻線側に配置され、複数の第1のスイッチング素子と、これら複数の第1のスイッチング素子にそれぞれ並列接続された第1の整流素子とを含む第1の回路と、
前記第2のトランス巻線側に配置され、各々が、複数の第2のスイッチング素子と、これら複数の第2のスイッチング素子にそれぞれ並列接続された第2の整流素子とを含む2つの第2の回路と、
前記2つの第2の回路と前記第2の入出力端子対との間に配置された平滑回路と
を備え、
前記平滑回路は、
容量素子と、
第1および第2の磁芯と、
前記第1および第2の磁芯の間に配置された共通磁芯と、
一端が前記第2の回路に接続されると共に、前記第1の磁芯に巻回された第1および第2の巻線と、
一端が前記第2の回路に接続されると共に、前記第2の磁芯に巻回された第3および第4の巻線と、
前記第1および第3の巻線の他端同士と前記容量素子の一端とを接続すると共に、前記共通磁芯に巻回された第1の共通巻線と、
前記第2および第4の巻線の他端同士と前記容量素子の他端とを接続すると共に、前記共通磁芯に巻回された第2の共通巻線と
を有し、
前記第1の巻線を流れる電流と前記第2の巻線を流れる電流とによって、前記第1の磁芯および前記共通磁芯の内部を通る第1の環状磁路が形成され、
前記第1の巻線を流れる電流と前記第2の巻線を流れる電流とに同期して、前記第3および第4の巻線に電流が流れると共に、これら第3の巻線を流れる電流と第4の巻線を流れる電流とによって、前記第2の磁芯および前記共通磁芯の内部を通る第2の環状磁路が形成され、
前記第1の環状磁路における磁束と、前記第2の環状磁路における磁束と、前記第1の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束と、前記第2の共通巻線を流れる電流によって形成される磁束とが、前記共通磁芯の内部において互いに共有化されている
ことを特徴とするスイッチング電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−178020(P2009−178020A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246500(P2008−246500)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】