説明

スイッチング電源装置

【課題】簡単な構成で装置を小型化、薄型化することができるとともに、異常な発熱等の発生を防止することができるスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】1次側巻線同士が並列接続され、1次側巻線が電源装置のスイッチング素子Q1と直列に挿入された同一の2つのカレントトランスCT1,CT2と、カレントトランスCT1,CT2の2次側巻線の各々に並列接続され、スイッチング素子Q1のオン期間の電流を整流する2つの整流回路14,16を有する。2つの整流回路14,16の出力の各々に並列接続され、抵抗値が同一である2つの電流検出抵抗RS1,RS2を備える。カレントトランスCT1,CT2の2次側に接続された各整流回路14,16が直列に接続され、電流検出抵抗RS1,RS2が直列に接続されている。2つの整流回路14,16の出力の中点と、2つの電流検出抵抗RS1,RS2の中点とに両端が接続された異常電流検出抵抗Rxを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチング電源装置のスイッチング電流の制御のため、電流−電圧変換回路にカレントトランスを備えたスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源においては、スイッチング電流を検出する方法として、カレントトランスで構成した電流−電圧変換回路が用いられる。例えば、1次側巻線を1ターン、2次側巻線を150ターンとしたカレントトランスの場合であれば、1次側巻線にスイッチング電流が1次側巻線に流れると、2次側巻線からその150分の1の小電流が発生し、その電流が流出する経路に設けた電流検出抵抗に発生する電圧降下をもって電圧信号に変換する方法が一般的である。
【0003】
この方法は、スイッチング電流(大電流)の経路に電流検出抵抗を直接挿入して電圧信号に変換する方法に比べ、電力損失が少なく、発熱が小さくできるという特徴がある。すなわち、カレントトランスで構成した電流−電圧変換回路の場合、電力損失としてはスイッチング電流(大電流)が流れる1次側巻線の抵抗損失がその多くを占めるが、カレントトランスの1次側巻線は例えば1ターンという少ない巻数でよいため、太い電線や銅板を用いるなどの設計的な工夫によって比較的容易に抵抗値を低く抑えることができ、全体として低損失な変換回路を実現していた。
【0004】
特に近年、スイッチング電源装置の小型化、薄型化、大電流化のニーズが高まり、内部に使用するカレントトランスにおいても、より一層小型、薄型の形状で、かつ低損失のものが求められるようになってきた。しかしながら、1次側巻線の抵抗値を低く抑えるにも上記のような設計的な工夫のみでは構造的制約上の限界があるため、小型、薄型のカレントトランスを2つ使用し、その1次側巻線を並列接続して使用する回路がある。
【0005】
このような2つのカレントトランスで構成した電流−電圧変換回路を備えたスイッチング電源装置の例を、図4の回路図を基に説明する。スイッチング電源装置30は一般的なシングルフォワード方式に構成された回路であって、入力電圧を供給する直流電源Einの両端間には、カレントトランスCT1,CT2の1次側巻線CT1a,CT2aの並列回路と、例えばMOS型FETからなるスイッチング素子Q1と、出力トランスT1の1次側巻線T1aとの直列回路が接続されている。出力トランスT1の2次側巻線T1bには、出力整流平滑回路10が接続されており、これは周知のように整流ダイオードD11とフライホイルダイオードD12、およびチョークコイルL11と平滑コンデンサC11により構成され、1次側巻線T1bに誘起された電圧を整流平滑するものである。平滑コンデンサC11の両端間には負荷12が接続され、出力電圧Voを供給している。
【0006】
さらに、出力電圧Voの変動に応じた信号が図示しないパルス幅制御回路に帰還入力され、パルス導通幅が可変制御された駆動パルス信号によってスイッチング素子Q1が駆動され、出力電圧Voが安定化制御されている。
【0007】
カレントトランスCT1,CT2は同一のものであって、共に1次側巻線CT1a,CT2aが1ターン、2次側巻線CT1b,CT2bが所定の複数Nターンに形成されている。カレントトランスCT1の2次側巻線CT1bの両端間には、スイッチング素子Q1がオンのときに流れる電流を整流出力する整流ダイオードD1からなる整流回路14が接続され、さらに整流回路14の出力には電流検出抵抗RS1が並列に接続されている。同様に、カレントトランスCT2の2次側巻線CT2bの両端間には、スイッチング素子Q1がオンのときに流れる電流を整流出力する整流ダイオードD2からなる整流回路16が接続され、さらに整流回路16の出力には、電流検出抵抗RS2が並列に接続されている。電流検出抵抗RS1,RS2は直列回路を構成し、その両端が電流制御部18に接続されている。
【0008】
電流制御部18は、後述する所定の基準電圧Vr1と、電流検出抵抗RS1,RS2の発生電圧の合計値Vsとを比較する比較器CPと、比較器CPの出力に応じた駆動パルスを発生する駆動回路18aを備え、駆動回路18aの出力はスイッチング素子Q1の駆動端子に接続されている。
【0009】
次に、スイッチング電流を検知してスイッチング素子Q1を制御する動作について説明する。スイッチング素子Q1は断続的にオン・オフを繰り返す動作をし、オンの期間のみ電流が流れるため、スイッチング電流Iは略台形状を繰り返すパルス波形となる。このスイッチング電流Iは、並列接続された1次側巻線CT1a,CT2aに分流するが、カレントトランスCT1,CT2は同一の部品を用いているため、I/2の電流がそれぞれに均等に流入する。
【0010】
1次側巻線CT1aに流入した電流は、カレントトランスCT1の巻数比によりI/(2・N)に変換され2次側巻線CT1bから流出し、整流ダイオードD1を介して電流検出抵抗RS1に流れ込む。同様に、1次側巻線CT2aに流入した電流は、カレントトランスCT2の巻数比によりI/(2・N)に変換され2次側巻線CT2bから流出し、整流ダイオードD2を介して電流検出抵抗RS2に流れ込む。ここで、電流検出抵抗RS1,RS2は同一の抵抗値RSを有しているので、電流検出抵抗RS1,RS2の電圧降下はともにRS・I/(2・N)となり、電流検出抵抗RS1,RS2の直列回路の両端には、各々の電圧降下分が合算された電圧Vs=RS・I/Nが発生する。このように、スイッチング電流Iは、それにほぼ比例した電圧信号Vsに変換される。
【0011】
電流制御部18は、スイッチング電流Iが正常な場合は動作せず、スイッチング電流Iが想定以上に増大し、そのピーク値がある値を超えたときに動作するように設定されている。例えば負荷12の故障などによりスイッチング電流Iが増大したとき、それに比例して増大した電圧信号Vsは電流制御部18の比較器CPに入力され、基準電圧Vr1と比較される。基準電圧Vr1はスイッチング電源装置および負荷の安全性を考慮して規定されており、比較器CPは、入力された電圧信号Vsのピーク値が基準電圧Vr1を超えると、異常が発生したものと判断してその出力が反転し、その反転信号を受けた駆動回路18aは、スイッチ素子Q1のデューティを狭める動作を開始する。これによってスイッチング電源装置30は電力供給能力が制限され、負荷12やスイッチング電源回路自体の内部部品の発煙、発火などの事故を防止することができるものである。したがって、スイッチング電流Iが正常値を示している場合には、電圧信号Vsのピーク値は基準電圧Vr1を超えることがなく、電流制御部18は動作しない。
【0012】
また、2つのカレントトランスで構成した電流−電圧変換回路を用いたスイッチング電源装置の他の例を、図5の回路図を基に説明する。ここで、図4のスイッチング電源装置30と同様の構成部分は、同一の符号を付して説明を省略する。スイッチング電源装置40は、スイッチング電源装置30の整流回路14,16の出力を並列に接続し、電流検出抵抗RS1,RS2の直列回路に代えて、電流検出抵抗RS3を設けたものである。
【0013】
次に、スイッチング電源装置40において、スイッチング電流Iを検知してスイッチング素子Q1を制御する動作について説明する。スイッチング素子Q1は断続的にオン・オフを繰り返す動作をし、オンの期間のみ電流が流れるため、スイッチング電流Iは略台形状を繰り返すパルス波形となる。このスイッチング電流Iは、並列接続された1次側巻線CT1a,CT2aに分流するが、カレントトランスCT1,CT2は同一の部品を用いているため、I/2の電流がそれぞれに均等に流入する。
【0014】
1次側巻線CT1aに流入した電流は、カレントトランスCT1の巻数比によりI/(2・N)に変換され2次側巻線CT1bから流出し、整流ダイオードD1を介して電流検出抵抗RS3に流れ込む。同様に、1次側巻線CT2aに流入した電流は、カレントトランスCT2の巻数比によりI/(2・N)に変換され2次側巻線CT2bから流出し、整流ダイオードD2を介して電流検出抵抗RS3に流れ込む。すなわち、電流検出抵抗RS3には合わせてI/Nの電流が流れ、Vs=RS3・I/Nなる電圧が発生する。このように、スイッチング電流Iは、それにほぼ比例した電圧信号Vsに変換される。
【0015】
その他、スイッチング電源装置40の電流制御部18の動作等については、前述のスイッチング電源装置30と同様である。
【0016】
以上説明したスイッチング電源装置30,40においては、カレントトランスCT1,CT2は小型で薄型のものを2つ使用することができる。カレントトランスの損失の多くを占める1次側巻線CT1a,CT2aの抵抗損失については、並列接続した一方の1次側巻線にはスイッチング電流の半分のI/2しか流さなくて済むのでカレントトランス1つ当たりの損失は低減される。同時に、電流が少ないことにより小型の部品を使用することができ、カレントトランスを2つ並べて実装すれば結果的に部品の低背実装が実現される。それに対し、部品高さが同じで抵抗損失も同じとなるカレントトランスを1つで実現しようとすると、その構成材料である磁性コアや絶縁ボビンは必然的にその床面積が広く扁平な形状となり、金型によるプレス、焼成、成形などの製造工程における歩留まりの問題を考慮すると量産化が困難なものであった。
【0017】
また、特許文献1に開示されているように、複数のカレントトランスの1次側巻線を複数の出力トランス巻線に各々直列に挿入し、2次側巻線出力に接続した電流検出抵抗に発生する各々の電圧信号の差分を検出して、電源の異常を検出する方法が提案されている。
【特許文献1】特開2002−51544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、従来のスイッチング電源装置30,40においては、カレントトランスCT1,CT2の巻線自体が断線故障したとき、カレントトランスCT1又はCT2がプリント基板へハンダ付け実装された接続部分に環境負荷によるクラック断線が発生したとき、あるいはスイッチング電源装置の組み立て工程でカレントトランスCT1又はCT2に端子未接続の実装不良が発生したとき等に、スイッチング電源装置の安全性に問題が生じる場合があった。
【0019】
例えば、スイッチング電源装置30において1次側巻線CT1aの一端が断線となった場合、スイッチング電流Iのうち1次側巻線CT1aに流れるはずのI/2も合わせて1次側巻線CT2aに流れ込む。従って、1次側巻線CT2aには正常時の2倍の電流が流れ、その抵抗損失は想定の4倍となる。
【0020】
このとき、断線した1次側巻線CT1aには電流が流れないので、2次側巻線CT1bから電流は流出せず、整流ダイオードD1を介して接続された電流検出抵抗RS1に電圧降下は発生しない。一方、スイッチング電流Iは全て1次側巻線CT2aに流れ込み、カレントトランスCT2の巻数比によりI/Nに変換され2次側巻線CT2bから流れ出し、整流ダイオードD2を介して電流検出抵抗RS2に流れる。ここで、電流検出抵抗RS1,RS2は同一の抵抗値RSを有しているので、電流検出抵抗RS1,RS2の直列回路の両端には、各々の電圧降下分が合算された電圧Vs=RS・I/Nが発生する。すなわち、1次側巻線CT1aの一端が断線故障したときも、故障のない正常なときと同じ電圧信号Vsが発生するため、電流制御部18は正常に動作しているものと判断し、スイッチ素子Q1のデューティを狭める動作を行わない。
【0021】
従って、カレントトランスCT2aは想定を大きく超える4倍の抵抗損失により異常に発熱し、かつ、スイッチング素子Q1のデューティを狭めて電力供給能力を制限する動作も行わないので、その発熱状態が継続し、結果、カレントトランスCT2の発熱により発煙、発火などの事故に至るおそれがあった。
【0022】
また、2次側巻線CT1bの一端の接続が断線となった場合においても、スイッチング電流Iが1次側巻線CT2aに大きく偏り、1次側巻線CT2aは想定を大きく超える2〜3倍程度の抵抗損失により異常に発熱し、かつ、スイッチング素子Q1のデューティを狭めて電力供給能力を制限する動作も行わないので、その発熱状態が継続し、結果、カレントトランスCT2の発熱により発煙、発火などの事故に至るおそれがあった。
【0023】
さらに、カレントトランスCT1と対称の関係にあるカレントトランスCT2に断線が発生した場合であっても、上記のカレントトランスCT1の断線時と同様の動作となり、結果、カレントトランスCT1の発熱により発煙、発火などの事故に至るおそれがあった。また、スイッチング電源装置40においても、スイッチング電源装置30と同様に、断線していない方のカレントトランスの発熱により発煙、発火などの事故に至るおそれがあった。
【0024】
特許文献1に開示された回路にあっては、スイッチング電流は複数の出力トランスの巻線に分流され、各トランス巻線電流は、複数のカレントトランスを介して各々独立した電圧信号に変換され、いずれかレベルの大きい信号のみが過電流検出回路に入力されているため、スイッチング電流全体を精度良く検出するものではなかった。また、DC−DCコンバータの一方に出力回路の異常が発生したときに生じる前記各々独立した電圧信号のアンバランスは、差分検出回路という複雑な回路手段によって単一の電圧信号に変換される技術が開示されているだけで、特に小型、ローコストのスイッチング電源装置においてはその複雑な回路手段を採用することは困難なものであった。
【0025】
この発明は上記背景技術に鑑みて成されたもので、簡単な構成で装置を小型化、薄型化することができるとともに、異常な発熱等の発生を防止することができるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この発明は、入力電源に接続されたスイッチング素子と出力トランスの1次側巻線の直列回路と、前記直列回路に流れる電流に対応した電圧信号が入力され、その電圧信号のピーク値が規定値を超えると前記スイッチング素子のデューティを狭める電流制御部と、1次側巻線同士が並列接続されその1次側巻線が前記スイッチング素子と直列に挿入された同一の2つのカレントトランスと、前記2つのカレントトランスの2次側巻線の各々に並列接続され、前記スイッチング素子のオン期間の電流を整流する2つの整流回路と、前記2つの整流回路の出力の各々に並列接続され、その抵抗値が同一である2つの電流検出抵抗とを備えたスイッチング電源装置であって、前記2つのカレントトランスの2次側に接続された各整流回路が直列に接続されているとともに、前記2つの電流検出抵抗も直列に接続され、その電流検出抵抗の直列回路の両端は前記電流制御部の入力に接続され、直列接続された前記2つの整流回路出力の中点と、前記2つの電流検出抵抗の中点とに両端が接続された異常電流検出抵抗を設けたスイッチング電源装置である。
【0027】
前記異常電流検出抵抗に発生する電圧をモニタし、その電圧が規定値を超えたときに前記スイッチング素子のデューティを狭める制御を行う異常時制御部を備えたものである。
【0028】
前記異常電流検出抵抗に発生する電圧をモニタし、その電圧が規定値を超えたときに前記スイッチング素子のスイッチング動作をラッチ停止させる異常時制御部を備えたものである。
【0029】
さらに、前記2つの整流回路の出力には、整流された電流を阻止する向きの転流ダイオードが各々並列接続され、前記異常電圧検出抵抗は、前記転流ダイオードの順方向インピーダンスと前記電流検出抵抗インピーダンスの合計値よりも大きな値に設定されているスイッチング電源装置である。
【発明の効果】
【0030】
この発明のスイッチング電源装置によれば、1次側巻線が並列に接続された2つのカレントトランスが有する何れかの巻線に発生した断線故障を簡単な回路で検出することができ、電源装置の製造工場の出荷検査段階でも容易に故障製品を発見して除外することができる。また、出荷後の稼働中に断線故障が発生した場合も、電力制限動作によってカレントトランスの発熱による発煙、発火などの事故を防止することが可能である。また、2つの薄型のカレントトランスを使用しているので、小型、薄型、低損失、かつ安全性の高い電流−電圧変換回路とすることができ、ひいては電源装置の小型化、薄型化にも寄与する。さらに、2つのカレントトランスの1次側巻線に分流したスイッチング電流は、カレントトランスを介して各々電圧信号に変換された後、電圧検出抵抗の直列回路にて合算されるので、スイッチング電流に比例した電圧信号を精度良く得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、この発明スイッチング電源装置の第一の実施形態について、図1を基に説明する。スイッチング電源装置50は一般的なシングルフォワード方式に構成された回路であって、入力電圧を供給する直流電源Einの両端間には、カレントトランスCT1,CT2の1次側巻線CT1a,CT2aの並列回路と、例えばMOS型FETからなるスイッチング素子Q1と、出力トランスT1の1次側巻線T1aとの直列回路が接続されている。出力トランスT1の2次側巻線T1bには、出力整流平滑回路10が接続されており、これは周知のように整流ダイオードD11とフライホイルダイオードD12、およびチョークコイルL11と平滑コンデンサC11により構成され、2次側巻線T1bに誘起された電圧を整流平滑するものである。平滑コンデンサC11の両端間には負荷12が接続され、出力電圧Voを供給している。
【0032】
さらに、出力電圧Voの変動に応じた信号が図示しないパルス幅制御回路に帰還入力され、パルス導通幅が可変制御された駆動パルス信号によってスイッチング素子Q1が駆動され、出力電圧Voが安定化制御されている。
【0033】
カレントトランスCT1,CT2は同一のものであって、共に1次側巻線が1ターン、2次側巻線が所定の複数Nターンに形成されている。カレントトランスCT1の2次側巻線CT1bの両端間には、スイッチング素子Q1がオンのときに流れる電流を整流出力する整流回路14が接続され、さらに整流回路14の出力には電流検出抵抗RS1が並列に接続されている。同様に、カレントトランスCT2の2次側巻線CT2bの両端間には、スイッチング素子Q1がオンのときに流れる電流を整流出力する整流回路16が接続され、さらに整流回路16の出力には、電流検出抵抗RS2が並列に接続されている。電流検出抵抗RS1,RS2は直列回路を構成し、その両端が電流制御部18に接続されている。電流制御部18は、後述する所定の基準電圧Vr1と、電流検出抵抗RS1,RS2の発生電圧の合計値Vsとを比較する比較器CPと、比較器CPの出力に応じた駆動パルスを発生する駆動回路18aを備え、駆動回路18aの出力はスイッチング素子Q1の駆動端子に接続されている。
【0034】
以上は従来のスイッチング電源装置30と実質同一の構成であるが、本実施形態においては、整流回路14,16の直列回路の中点と、電流検出抵抗RS1,RS2の直列回路の中点との短絡接続を切り離し、そこに異常検出抵抗Rxが挿入されている。さらに、異常検出抵抗Rx両端は、後述する異常時制御部20に入力され、その異常時制御部20が出力する制御信号は、電流制御部18の入力18bに入力されるよう構成されている。
【0035】
次に、スイッチング電流Iを検知してスイッチング素子Q1を制御する動作について説明する。スイッチング素子Q1は断続的にオン・オフを繰り返す動作をし、オンの期間のみ電流が流れるため、スイッチング電流Iは略台形状を繰り返すパルス波形となる。このスイッチング電流Iは、並列接続されたカレントトランスCT1,CT2の1次巻線CT1a,CT2aに分流するが、カレントトランスCT1,CT2は同一の部品を用いているため、I/2の電流がそれぞれに均等に流入する。
【0036】
1次側巻線CT1aに流入した電流は、カレントトランスCT1の巻数比によりI/(2・N)に変換され2次側巻線CT1bから流出し、整流ダイオードD1を介して電流検出抵抗RS1及び異常検出抵抗Rxに流れ込む。同様に、2次側巻線CT2aに流入した電流は、カレントトランスCT2の巻数比によりI/(2・N)に変換され2次側巻線CT2bから流出し、整流ダイオードD2を介して電流検出抵抗RS2及び異常検出抵抗Rxに流れ込む。ここで、電流検出抵抗RS1,RS2は同一の抵抗値RSを有しているので、電流検出抵抗RS1,RS2の電圧降下はともにRS・I/(2・N)となり、電流検出抵抗RS1,RS2の直列回路の両端には、各々の電圧降下分が合算された電圧Vs=RS・I/Nが発生する。結果、スイッチング電流Iは、それにほぼ比例した電圧信号Vsに変換される。
【0037】
一方、2次側巻線CT1b,CT2bから流出し、異常検出抵抗Rxに流れる電流は、その値はそれぞれ等しくI/(2・N)であって、かつその向きが逆であるため、結果的に相殺され、異常検出抵抗Rxの両端には電圧降下が生じない。つまり、実質的には、異常検出抵抗Rxが短絡除去された従来のスイッチング電源装置30と同様の動作をする。また、異常検出抵抗Rxの両端に電圧降下が生じないので、後述する異常時制御回路20も動作しない。
【0038】
電流制御部18は、スイッチング電流Iが正常な場合は動作せず、スイッチング電流Iが想定以上に増大し、そのピーク値がある値を超えたときに動作するように設定されている。例えば負荷12の故障などによりスイッチング電流Iが増大したとき、それに比例して増大した電圧信号Vsは電流制御部18の比較器CPに入力され、基準電圧Vr1と比較される。基準電圧Vr1はスイッチング電源装置および負荷の安全性を考慮して規定されており、比較器CPは、入力された電圧信号Vsのピーク値が基準電圧Vr1を超えると異常が発生したものと判断してその出力が反転し、その反転信号を受けた駆動回路18aは、スイッチ素子Q1のデューティを狭める動作を開始する。したがって、スイッチング電流Iが正常値を示している場合には、電圧信号Vsのピーク値は基準電圧Vr1を超えることがなく、電流制御部18は動作しない。
【0039】
次に、カレントトランスCT1の1次側巻線CT1aの一端が断線した場合の動作を説明する。1次側巻線CT1aが断線すると、スイッチング電流Iのうち1次側巻線CT1aに流れるはずのI/2も合わせてカレントトランスCT2aに流れ込む。従って、1次側巻線CT2aには正常時の2倍の電流が流れ、その抵抗損失は想定の4倍となる。
【0040】
このときの、断線した1次側巻線CT1aには電流が流れないので、1次側巻線CT1bから電流は流出せず、整流ダイオードD1を介して接続された電流検出抵抗RS1に電圧降下は発生しない。一方、スイッチング電流Iは全て1次側巻線CT2aに流れ込み、カレントトランスCT2の巻数比によりI/Nに変換され2次側巻線CT2bから流れ出し、整流ダイオードD2を介して電流検出抵抗RS2及び異常検出抵抗Rxに流れる。ここで、電流検出抵抗RS1,RS2は同一の抵抗値RSを有しているので、電流検出抵抗RS1,RS2の直列回路の両端には、各々の電圧降下分が合算された電圧Vs=RS・I/Nという1次側巻線CT1aが正常なときと同じ電圧信号が発生している。しかし、異常検出抵抗Rxには2次側巻線CT2bから流れ出す電流I/Nのみが流れ、それを相殺する電流が供給されないため、一定の電圧降下が生じる。
【0041】
同様に、2次側巻線CT1bの一端が断線した場合は、異常検出抵抗Rxには、1次側巻線CT1aが断線したときと同一方向に一定の電圧降下が発生する。また、1次側巻線CT2aまたは2次側巻線CT2bの一端が断線した場合には、異常検出抵抗Rxには、上記と逆方向に一定の電圧降下が発生する。従って、カレントトランスCT1またはカレントトランスCT2の一端が断線故障したことを、異常検出抵抗Rxの両端に発生する電圧をモニタすることによって検出することができる。
【0042】
次に、異常検出抵抗Rxの両端の電圧が入力される異常時制御部20について、図2を基に説明する。異常時制御部20は、異常電流検知回路22とバイアス回路24を備えている。異常検知回路22は、異常検出抵抗Rxの両端電圧と正の基準電圧Vr2とを比較する比較器CP1と、異常検出抵抗Rxの両端電圧と負の基準電圧Vr3とを比較する比較器CP2と、比較器CP1,CP2の出力が入力されるOR回路26を備えている。バイアス回路24は、OR回路26の出力信号に応じてオン・オフするスイッチSWと、内部電源E1とバイアス抵抗Rを備えている。
【0043】
次に、異常時制御部20の動作を説明する。カレントトランスCT1又はカレントトランスCT2の何れかの巻線が断線したときに異常検出抵抗Rxの両端に正方向または負方向に電圧が発生し、その発生電圧は、基準電圧Vr2,Vr3と比較される。基準電圧Vr2,Vr3は、2つのカレントトランスCT1,CT2の特性のばらつきや外来ノイズの影響等によって異常検出抵抗Rx両端に発生する電圧よりも高い値であって、かつ、カレントトランスCT1またはCT2の断線を確実に検知できる低い値に設定してある。格別の理由がなければ、基準電圧Vr2,Vr3は同じ値とすることが適切である。異常検出抵抗Rxの両端の電圧が基準電圧Vr2またはVr3を超えると、比較器CP1またはCP2の一方の出力が反転し、同時にOR回路26の出力が反転する。OR回路26が反転すると、スイッチSWがオンし、内部電源E1からバイアス抵抗R10を介してバイアス電流を供給することが可能な状態になる。
【0044】
異常時制御部20の出力は、電流制御部18の入力部18aに接続され、上記バイアス電流は電流検出抵抗RS1,RS2からなる直列回路に流れて電圧信号Vsを強制的に上昇させ、基準電圧Vr1を超える電圧を発生させる。結果、比較器CPは、異常が発生したものと判断してその出力が反転し、その反転信号を受けた駆動回路18aは、スイッチ素子Q1のデューティを狭める動作を開始する。これによってスイッチング電源装置は電力供給能力が制限され、カレントトランスCT1,CT2に流れる電流を制限し、発煙、発火などの事故に至ることを防止することができる。
【0045】
この実施形態のスイッチング電源装置50によれば、異常時制御部20を備えることにより、正確に2つのカレントトランスCT1,CT2の異常を正確に検知することができ、電源装置の出荷検査段階でも容易に断線等のある不良品を発見して除外することができる。さらに、出荷後の稼働中に断線故障が発生した場合も、電力制限動作によってカレントトランスCT1,CT2の発熱による発煙、発火などの事故を確実に防止することができる。また、2つの薄型のカレントトランスを使用しているので、小型、薄型の電流−電圧変換回路とすることができ、電源装置の小型化、薄型化にも寄与する。
【0046】
次に、この発明のスイッチング電源装置の第二の実施形態について、図3を基に説明する。ここで、第一の実施形態のスイッチング電源装置50と同様の構成部分は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態は、スイッチング電源装置50の整流回路14,16を整流ダイオードD1,D2で構成し、また異常時制御部20の代わりに整流回路14,16の出力に転流ダイオードD3,D4を、整流ダイオードD1,D2の電流を阻止する向きに各々並列に接続したものである。
【0047】
スイッチング電流を検知してスイッチング素子Q1を制御する動作については、カレントトランスCT1,CT2に故障等なく正常なときは、第一の実施形態と同様であって、電流検出抵抗RS1,RS2の電圧降下はともにRS・I/(2・N)となり、電流検出抵抗RS1,RS2の直列回路の両端には、各々の電圧降下分が合算された電圧Vs=RS・I/Nが発生する。このとき、スイッチング電流Iは正常値であるので電圧信号Vsのピーク値は基準電圧Vr1を超えることがなく、電流制御部18は動作しない。また、転流ダイオードD3,D4には逆電圧が印可されており、電流は流れず動作しない。
【0048】
次に、1次側巻線CT1aの一端が断線した場合の動作を説明する。1次側巻線CT1aが断線すると、スイッチング電流Iのうち1次側巻線CT1aに流れるはずのI/2も合わせて1次側巻線CT2aに流れ込む。従って、1次側巻線CT2aには正常時の2倍の電流が流れ、その抵抗損失は想定の4倍となる。
【0049】
このとき、断線した1次側巻線CT1aには電流が流れないので、2次側巻線CT1bから電流は流出しない。一方、スイッチング電流Iは全て1次側巻線CT2aに流れ込み、カレントトランスCT2の巻数比によりI/Nに変換され2次側巻線CT2bから流れ出し、整流ダイオードD2で整流される。整流ダイオードD2で整流された電流I/Nは、転流ダイオードD3と電流検出抵抗RS1の直列回路と異常検出抵抗Rxからなる並列回路を経由して電流検出抵抗RS2に流れる。ここで、転流ダイオードD3の順方向インピーダンスをZ3としたとき、Rx>Z3+RS1の関係を有するように異常検出抵抗Rxの抵抗値が設定されており、整流ダイオードD2から流出する電流I/Nは、異常検出抵抗Rxには少ししか流れず、その多くが転流ダイオードD3と電流検出抵抗RS1を経由して電流検出抵抗RS2に流れ、電流検出抵抗RS1両端に電圧降下が発生する。例えば、Rx>>Z3+RS1の関係を有するように異常検出抵抗Rxを設定しておけば、整流ダイオードD2から流出する電流I/Nのほとんどが転流ダイオードD3と電流検出抵抗RS1を経由して電流検出抵抗RS2に流れることになり、同一の抵抗値RSを有している電流検出抵抗RS1,RS2の直列回路の両端には、各々の電圧降下分が合算された電圧Vs=2・RS・I/Nが発生する。これは、1次側巻線CT1aが断線せず正常なときの発生電圧Vs=RS・I/Nに比べて2倍の電圧に相当する。
【0050】
基準電圧Vr1は、RS・I/N<Vr1<2・RS・I/Nの関係を有するように設定されており、このとき、電圧信号Vsには基準電圧Vr1を超える電圧が発生しているので、比較器CP1は異常が発生したものと判断してその出力が反転し、その反転信号を受けた駆動回路18aは、スイッチ素子Q1のデューティを狭める動作を開始する。これによってスイッチング電源装置は電力供給能力が制限され、カレントトランスに流れる電流を減少させ、カレントトランスの発熱による発煙、発火などの事故を防止することができる。
【0051】
なお、RxはRx>>Z3+RS1の関係を有するような大きな値を選定すると異常の検出感度が高くなるが、カレントトランスCT1,CT2の部品特性のばらつきや外来ノイズなどの影響によって誤動作しやすくなるおそれがあり、異常検出抵抗Rxは、Rx=(5〜20)・(Z4+RS2)程度において、好ましい動作特性が得られる。
【0052】
また、2次側巻線CT1bの一端が断線した場合においても、1次側巻線CT1aが断線したときと同様な動作により発煙、発火などの事故を防止することができる。
【0053】
次に、1次側巻線CT2aの一端が断線した場合の動作を説明する。1次側巻線CT2aが断線すると、スイッチング電流Iのうち1次側巻線CT2aに流れるはずのI/2も合わせて1次側巻線CT1aに流れ込む。従って、1次側巻線CT1aには正常時の2倍の電流が流れ、その抵抗損失は想定の4倍となる。
【0054】
このとき、断線した1次側巻線CT2aには電流が流れないので、2次側巻線CT2bから電流は流出しない。一方、スイッチング電流Iは全て1次側巻線CT1aに流れ込み、カレントトランスCT1の巻数比によりI/Nに変換され、1次側巻線CT1bから流れ出し、整流ダイオードD1で整流される。整流ダイオードD1で整流された電流I/Nは、転流ダイオードD4と電流検出抵抗RS2の直列回路と異常検出抵抗Rxからなる並列回路を経由して電流検出抵抗RS1に流れる。ここで、転流ダイオードD4の順方向インピーダンスをZ4としたとき、Rx>Z4+RS2の関係を有するようにRxが設定されており、整流ダイオードD1から流出する電流I/Nは、異常検出抵抗Rxには少ししか流れず、その多くが転流ダイオードD4と電流検出抵抗RS2を経由して電流検出抵抗RS1に流れ、電流検出抵抗RS2両端に電圧降下が発生する。例えば、Rx>>Z4+RS2の関係を有するようにRxを設定しておけば、整流ダイオードD2から流出する電流I/Nのほとんどが転流ダイオードD4と電流検出抵抗RS2を経由して電流検出抵抗RS1に流れることになり、同一の抵抗値RSを有している電流検出抵抗RS1,RS2の直列回路の両端には、各々の電圧降下分が合算された電圧Vs=2・RS・I/Nが発生する。これは、2次側巻線CT2aが断線せず正常なときの発生電圧Vs=RS・I/Nに比べて2倍の電圧に相当する。
【0055】
ここで基準電圧Vr1は、RS・I/N<Vr1<2・RS・I/Nの関係を有するように設定されており、このとき、電圧信号Vsには基準電圧Vr1を超える電圧が発生しているので、比較器CP1は異常が発生したものと判断してその出力が反転し、その反転信号を受けた駆動回路18aは、スイッチ素子Q1のデューティを狭める動作を開始する。これによってスイッチング電源装置は電力供給能力が制限され、カレントトランスに流れる電流を減少させ、カレントトランスの発熱による発煙、発火などの事故を防止することができる。
【0056】
なお、RxはRx>>Z4+RS2の関係を有するような大きな値を選定すると異常の検出感度が高くなるが、カレントトランスCT1,CT2の部品特性のばらつきや外来ノイズなどの影響によって誤動作しやすくなるおそれがあり、異常検出抵抗Rxは、Rx=(5〜20)・(Z4+RS2)程度に設定したときに、好ましい回路特性が得られる。
【0057】
また、2次側巻線CT2bの一端が断線した場合においても、1次側巻線CT2aが断線したときと同様な動作により発煙、発火などの事故を防止することができる。
【0058】
なお本発明は、上記実施形態に限定するものではなく、整流回路14,16は、例えばダイオードやその他半導体素子で構成したものであればよい。また、異常電流検知回路22は、異常検出抵抗Rxの発生電圧が所定の規定値を超えたときにロジック反転した信号を出力するものであればよく、本実施形態の回路構成に限定するものではない。また、バイアス回路24は、異常を示すロジック信号が入力されたときに、入力部18aにバイアス電流を供給し、基準電圧Vrを超える電圧を発生させる機能を有するものであればよく、本実施形態に限定するものではない。また、異常時制御部20は、スイッチング素子Q1を制御してスイッチング電源装置の電力供給能力を制限するものであれば、例えば、スイッチング素子Q1のスイッチング動作自体をラッチ停止させるものや、出力電圧を制御するパルス幅変調回路に信号入力してデューティを狭めるものであってもよく、本実施形態で示した回路構成や機能に限定するものではない。
【0059】
また、スイッチング電源装置の電力変換方式はシングルフォワード方式に限定するものではなく、スイッチングによる電力変換であれば、公知のフライバック方式、ハーフブリッジ方式、プッシュプル方式、或いはチョッパ方式などでもよい。また、本発明が目的とする回路動作が確実に行われるようにする目的のものであれば、例えば異常検出抵抗Rx、電流検出抵抗Rs1,Rs2にサージ吸収コンデンサを接続したり、2次側巻線CT1b,CT2bにカレントトランスの励磁リセット動作の補助用コンデンサや抵抗を接続したり、これらに相当する誤動作防止用の部品等が付加されても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明のスイッチング電源装置の第一の実施形態を示す概略回路図である。
【図2】この実施形態が備える異常時制御部の一例を示す回路ブロック図である。
【図3】この発明のスイッチング電源装置の第二の実施形態を示す概略回路図である。
【図4】一般的なスイッチング電源装置を示す概略回路図である。
【図5】他の一般的なスイッチング電源装置を示す概略回路図である。
【符号の説明】
【0061】
10 出力整流平滑回路
12 負荷
14,16 整流回路
18 電流制御部
18a 駆動回路
20 異常時制御部
22 異常電流検知回路
24 バイアス回路
30,40,50,60 スイッチング電源装置
Ein 直流電源
T1 出力トランス
Q1 スイッチング素子
D1,D2,D11 整流ダイオード
D12 フライホイルダイオード
L11 チョークコイル
C11 平滑コンデンサ
CT1,CT2 カレントトランス
CT1a,CT2a 1次側巻線
CT1b,CT2b 2次側巻線
RS1,RS2,RS3 電流検出抵抗
Rx 異常電流検出抵抗
CP,CP1,CP2 比較器
Vr1,Vr2 基準電圧
D3,D4 転流ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源に接続されたスイッチング素子と出力トランスの1次側巻線の直列回路と、前記直列回路に流れる電流に対応した電圧信号が入力され、その電圧信号のピーク値が規定値を超えると前記スイッチング素子のデューティを狭める電流制御部と、1次側巻線同士が並列接続されその1次側巻線が前記スイッチング素子と直列に挿入された同一の2つのカレントトランスと、前記2つのカレントトランスの2次側巻線の各々に並列接続され、前記スイッチング素子のオン期間の電流を整流する2つの整流回路と、前記2つの整流回路の出力の各々に並列接続され、その抵抗値が同一である2つの電流検出抵抗とを備えたスイッチング電源装置において、
前記2つのカレントトランスの2次側に接続された各整流回路が直列に接続されているとともに、前記2つの電流検出抵抗も直列に接続され、その電流検出抵抗の直列回路の両端は前記電流制御部の入力に接続され、直列接続された前記2つの整流回路出力の中点と、前記2つの電流検出抵抗の中点とに両端が接続された異常電流検出抵抗を設けたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記異常電流検出抵抗に発生する電圧をモニタし、その電圧が規定値を超えたときに前記スイッチング素子のデューティを狭める制御を行う異常時制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記異常電流検出抵抗に発生する電圧をモニタし、その電圧が規定値を超えたときに前記スイッチング素子のスイッチング動作をラッチ停止させる異常時制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記2つの整流回路の出力には、整流された電流を阻止する向きの転流ダイオードが各々並列接続され、前記異常電圧検出抵抗は、前記転流ダイオードの順方向インピーダンスと前記電流検出抵抗インピーダンスの合計値よりも大きな値に設定されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−50071(P2009−50071A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212902(P2007−212902)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(000103208)コーセル株式会社 (80)
【Fターム(参考)】