説明

スイッチング電源装置

【課題】迅速な交流電源の瞬断の検出を行うことが可能なスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】スイッチング電源装置1Aは、メイン電源回路7と、待機電源回路10Aと、メイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号Vinの入力端子10d、10eを有するメイン動作制御回路18と、交流電圧v1を1次側直流電圧VC1に変換する1次側整流平滑回路3と、メイン動作モード時に1次側直流電圧を所定の昇圧電圧に昇圧するアクティブフィルタ回路6と、待機電源回路の待機電源用トランスT2の2次巻線Nbに誘起された電圧を直流化した負電圧に基づいて生成された検出電圧V(+)と基準電圧V(-)を比較して、検出電圧が基準電圧よりも小さくなるときに警告信号を出力して交流電圧の低下を検出する低電圧検出回路13Aと、入力端子と低電圧検出回路の間に接続され、メイン動作制御信号の指示に応じて基準電圧を変更する基準電圧変更回路16Aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置に関し、特に、メイン電源電圧を出力するメイン電源回路と待機電源電圧を出力する待機電源回路とを備えた2電源方式のスイッチング電源装置であって、交流電源からの交流電圧の低下を検出する低電圧検出回路を備えたスイッチング電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電源からの交流電圧の低下を検出する低電圧検出回路を備えたスイッチング電源装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
この低電圧検出回路(電圧比較回路)は、交流電源からの交流電圧を1次側整流平滑回路(入力整流回路および入力平滑回路)によって整流および平滑して得られた1次側直流電圧と、基準電圧とを比較して、1次側直流電圧が基準電圧よりも小さくなったときに警告信号を出力し、交流電圧の低下を検出するようになっている。
【0003】
ところで、この低電圧検出回路を、メイン電源回路と待機電源回路とを備えた2電源方式のスイッチング電源装置に搭載した応用例として、図11の回路図に示すようなスイッチング電源装置が知られている。
【0004】
図11に示すように、このスイッチング電源装置1Zは、1次側整流平滑回路3と、アクティブフィルタ回路6と、メイン動作制御回路18と、メイン電源回路7と、待機電源回路10Zと、低電圧検出回路13Zとを備える。
【0005】
1次側整流平滑回路3は、整流部4と平滑部5から構成され、交流電源2からの交流電圧v1を整流および平滑して1次側直流電圧VC1に変換する。整流部4はダイオードブリッジDBからなる。平滑部5は平滑コンデンサC1からなる。
【0006】
アクティブフィルタ回路6は、整流部4と平滑部5の間に接続され、コイルL1と、アクティブフィルタ用スイッチング素子(MOSFET)M1と、制御用IC1と、ダイオードD2とで構成されている。制御用IC1は、後述するメイン動作制御回路18に入力されるメイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号Vinに応じて、アクティブフィルタ用スイッチング素子M1のスイッチング動作を制御する。すなわち、このアクティブフィルタ回路6は、待機モード時には非稼動状態となって1次側直流電圧VC1の昇圧を行わない一方、メイン動作モード時には稼動状態となって1次側直流電圧VC1を所定の昇圧電圧に昇圧するように動作する昇圧型チョッパ方式のものである。
【0007】
メイン動作制御回路18は、後述する待機電源回路10Zが出力する待機電源電圧Vsの供給を受けて駆動され、メイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号Vinが入力される入力端子10d,10eを有する。メイン動作制御回路18は、また、抵抗R3、R4と、NPNトランジスタQ1、Q2と、フォトカプラX1と、ドライブ抵抗R1と、ツェナーダイオードD7とを含んでいる。入力端子10d,10e間に、メイン動作制御信号Vinとして、メイン動作モードを指示するHレベルの電圧が入力されると、抵抗R3およびR4で分圧された電圧によってNPNトランジスタQ2がオンし、フォトカプラX1がオンし、ドライブ抵抗R1によってNPNトランジスタQ1がオンし、ツェナーダイオードD7の安定した電圧が制御用IC1、IC2に供給される。こうして、アクティブフィルタ回路6および後述するメイン電源回路7が、メイン動作制御回路18によって稼動状態に制御される。一方、入力端子10d,10e間に、メイン動作制御信号Vinとして、待機モードを指示するLレベルの電圧が入力されると、NPNトランジスタQ2、フォトカプラX1およびNPNトランジスタQ1がオフとなり、制御用IC1、IC2もオフとなる。こうして、アクティブフィルタ回路6および後述するメイン電源回路7が、メイン動作制御回路18によって非稼動状態に制御される。
【0008】
メイン電源回路7は、1次側整流平滑回路3の後段に接続されており、メイン電源用DC−DCコンバータ8を含む。
メイン電源用DC−DCコンバータ8は、1次巻線および2次巻線を有するメイン電源用トランスT1を有する。メイン電源用トランスT1の1次巻線の一端は1次側整流平滑回路3に接続される一方、メイン電源用トランスT1の1次巻線の他端はメイン電源用スイッチング素子(MOSFET)M2に接続されている。また、メイン電源用スイッチング素子M2には制御用IC2が接続されている。制御用IC2は、メイン動作モードを指示するHレベルの電圧のメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10e間に入力されている間、ツェナーダイオードD7の安定した電圧の供給を受けて駆動され、メイン電源用スイッチング素子M2のスイッチング動作を制御する。すなわち、メイン電源用DC−DCコンバータ8は、メインモード時においては稼動状態となって、1次側直流電圧VC1をメイン電源用スイッチング素子M2によってスイッチングし、メイン電源用トランスT1の2次巻線にスイッチング電圧を誘起させ、この誘起されたスイッチング電圧を、メイン電源用トランスT1の2次巻線に接続されたメイン電源用整流平滑回路9によって整流および平滑して、直流化されたメイン電源電圧Vmを出力端子7a、7bから出力する。また、メイン電源用DC−DCコンバータ8は、待機モード時においては非稼動状態となる。
【0009】
待機電源回路10Zは、1次側整流平滑回路3の後段に上記メイン電源回路7とは独立して接続されており、待機電源用DC−DCコンバータ11を含んでいる。
待機電源用DC−DCコンバータ11は、1次巻線Na(巻数をNaとする)および2次巻線Nb(巻数をNbとする)を有する待機電源用トランスT2を有する。待機電源用トランスT2の1次巻線Naの一端は1次側整流平滑回路3に接続される一方、1次巻線Naの他端は待機電源用スイッチング素子(MOSFET)M3に接続されている。待機電源用スイッチング素子M3には制御用IC3が接続されている。制御用IC3は、交流電源2の投入時に、1次巻線Naの一端に接続された起動抵抗Rinを介して1次側直流電圧VC1が供給されることにより起動し、待機電源用スイッチング素子M3のスイッチング動作を制御する。すなわち、待機電源用DC−DCコンバータ11は、交流電源2の投入時においては、メイン動作制御回路18に入力されるメイン動作制御信号Vinの有無にかかわらず、1次側直流電圧VC1を待機電源用スイッチング素子M3によってスイッチングし、2次巻線Nbに1次巻線Naのスイッチング電圧Vaに比例したスイッチング電圧Vb=(Nb/Na)×Vaを誘起させ、この誘起されたスイッチング電圧Vbを、2次巻線Nbに接続された待機電源用整流平滑回路12によって整流および平滑し、直流化された待機電源電圧Vsを出力端子10a、10bから出力する。なお、待機電源用整流平滑回路12は、2次巻線Nbの負極側にアノードが接続された整流ダイオードD5と、該ダイオードD5のカソードと2次巻線Nbの正極側を接続する平滑コンデンサC5とから構成されている。
【0010】
低電圧検出回路13Zは、待機電源電圧Vsの供給を受けて駆動され、2次巻線Nbに上記待機電源用整流平滑回路12とは独立して接続された負電圧生成用整流平滑回路14と、該負電圧生成用整流平滑回路14の後段に接続された比較回路15とを有する。
負電圧生成用整流平滑回路14は、2次巻線Nbの負極側にカソードが接続された整流ダイオードD9と、該ダイオードD9のアノードと2次巻線Nbの正極側を接続する平滑コンデンサC7とから構成されている。負電圧生成用整流平滑回路14は、待機電源用スイッチング素子M3によって2次巻線Nbに誘起されたスイッチング電圧Vbを、整流および平滑して、直流化された負電圧VC7に変換する。
比較回路15は、ツェナーダイオードD10と、抵抗R5〜R8、R10と、オペアンプX2とから構成されている。ツェナーダイオードD10のアノードは、出力端子10bおよびメイン動作制御回路18の入力端子10eに接続される。一方、ツェナーダイオードD10のカソードは抵抗R5およびR10を介して負電圧生成用整流平滑回路14に接続され、抵抗R6を介して出力端子10bおよび入力端子10eに接続され、さらに、抵抗R7を介してオペアンプX2に接続されている。
オペアンプX2の(+)側入力端子には、抵抗R7およびR8が接続されており、次式(1)に示されるような、ツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10を該抵抗R7およびR8で分圧した基準電圧V(+)が入力される。
【0011】
【数1】

【0012】
一方、オペアンプX2の(−)側入力端子には、抵抗R5、R10が接続されており、次式(2)に示されるような、負電圧VC7とツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10の電圧差(VD10−(−VC7))を該抵抗R5、R10で分圧した検出電圧V(−)が入力される。
【0013】
【数2】

【0014】
オペアンプX2は、検出電圧V(−)と基準電圧V(+)とを比較して、検出電圧V(−)が基準電圧V(+)よりも小さくなったときに、該オペアンプX2の出力端子10cからHレベルの警告信号を出力する一方、検出電圧V(−)が基準電圧V(+)以上となったときに、該出力端子10cからLレベルの警告信号を出力する。
基準電圧V(+)の大きさは、一般的に、1次側直流電圧VC1が所定電圧(例えば100V)になった時に、オペアンプX2の出力端子10cからHレベルの警告信号がでるように決定される。
【0015】
次に、このスイッチング電源装置1Zの動作について、特に、低電圧検出回路13Zの動作を中心に詳細に説明する。
【0016】
図12は、このスイッチング電源装置1Zの、待機モード時(メイン動作制御信号VinがLレベルの電圧の時)における回路動作を説明するためのグラフである。図13は、このスイッチング電源装置1Zの、待機モードからメイン動作モードに移行した時(メイン動作制御信号VinがLレベルの電圧からHレベルの電圧に移行した時)の回路動作を説明するためのグラフである。
【0017】
まず、図12(A)および(C)に示すように、交流電源2からの交流電圧v1(AC100Vとする)の投入後(同図12の時間t1参照)、ダイオードブリッジDB、コイルL1、ダイオードD2および平滑コンデンサC1を介して、1次側直流電圧VC1が約125〜130Vまで上昇する。そして、起動抵抗Rinを介して制御IC3が起動され、出力端子10a、10b間に、待機電源用DC−DCコンバータ11によって電圧変換された待機電源電圧Vsが出力される。また、図12(D)に示すように、整流ダイオードD9のアノード側に、負電圧生成用整流平滑回路14によって直流化された負電圧VC7が出力される。
交流電圧v1の投入後、メイン動作制御信号VinはLレベルの電圧(0V)であるため、NPNトランジスタQ2、フォトカプラX1、NPNトランジスタQ1、制御用IC1およびIC2がオフとなり、アクティブフィルタ回路6およびメイン電源回路7はいずれも非稼動状態となっている。
また、交流電圧v1の投入後、図12(E)に示すように、オペアンプX2の(+)側入力端子には上記の式(1)に示される基準電圧V(+)が入力される一方、オペアンプX2の(−)側入力端子には上記の式(2)に示される検出電圧V(−)が入力される。交流電圧v1の投入後、1次側直流電圧VC1が約125〜130Vに上昇し、検出電圧V(−)が1次側直流電圧VC1の上昇に伴って下がっていく。そして、検出電圧V(−)が基準電圧V(+)よりも小さくなった時(同図12の時間t2参照)に、図12(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからHレベルの警告信号が出力される。さらに、交流電圧v1が瞬間的に遮断状態(以下「瞬断」という)となった時(同図12の時間t3参照)、約125〜130Vであった1次側直流電圧VC1が0Vに下がり、2次巻線Nbに誘起されたスイッチング電圧Vbが0Vに下がり、負電圧VC7が0Vに近づく。そして、図12(E)に示すように、検出電圧V(−)が1次側直流電圧VC1の低下に伴って上がっていき、検出電圧V(−)が基準電圧V(+)以上となったとき(同図12の時間t4参照)に、図12(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからLレベルの警告信号が出力される。検出電圧V(−)は、最終的には、上記の式(2)においてVC7=0とした次式(3)に示される検出電圧V(−)まで上昇する。
【0018】
【数3】

【0019】
このように、このスイッチング電源装置1Zの低電圧検出回路13Zでは、待機モード時において、交流電圧v1が瞬断となってから時間ts=(t4−t3)経過後に、Lレベルの警告信号が出力される。
【0020】
次に、図13(A)および(C)に示すように、交流電圧v1の投入後(同図13の時間t5参照)、1次側直流電圧VC1が約125〜130Vまで上昇する。そして、出力端子10a、10b間に待機電源電圧Vsが出力される。また、図13(D)に示すように、整流ダイオードD9のアノード側に負電圧VC7が出力される。さらに、図13(E)に示すように、オペアンプX2の(+)側入力端子には上記の式(1)に示される基準電圧V(+)が入力される一方、オペアンプX2の(−)側入力端子には上記の式(2)に示される検出電圧V(−)が入力される。このとき、検出電圧V(−)が1次側直流電圧VC1の上昇に伴って下がっていく。そして、検出電圧V(−)が基準電圧V(+)よりも小さくなった時(同図13の時間t6参照)に、図13(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからHレベルの警告信号が出力される。
【0021】
そして、交流電圧v1が投入された状態で、さらに、図13(B)に示すようなメイン動作モードを指示するHレベルの電圧Vinが入力端子10d、10e間に入力された時(同図13の時間t7参照)、NPNトランジスタQ2、フォトカプラX1およびNPNトランジスタQ1がオンし、ツェナーダイオードD7の安定した電圧が制御用IC1およびIC2に供給され、アクティブフィルタ回路6およびメイン電源回路7がともに稼動状態となる。こうして、アクティブフィルタ用スイッチング素子M1のスイッチング動作によって、約125V〜130Vの1次側直流電圧VC1が所定の昇圧電圧である約390〜400Vまで上昇する(同図13の時間t7〜t10参照)。また、メイン電源用スイッチング素子M2のスイッチング動作によって、メイン電源回路7の出力端子7a、7b間に、メイン電源用DC−DCコンバータ8によって電圧変換されたメイン電源電圧Vmが出力される。また、待機電源回路10Zの出力端子10a、10b間に待機電源電圧Vsが出力される。さらに、図13(D)に示すように、整流ダイオードD9のアノード側に、待機モード時よりも絶対値の大きな負電圧VC7が出力される(同図13の時間t7〜t10参照)。
【0022】
最後に、このメイン動作モード時において交流電圧v1が瞬断となった時(同図13の時間t10参照)、約390〜400Vの1次側直流電圧VC1が0Vに下がり、2次巻線Nbに誘起されたスイッチング電圧Vbが0Vに下がり、負電圧VC7が0Vに近づく(同図13の時間t10〜t12参照)。そして、図13(E)に示すように、検出電圧V(−)が1次側直流電圧VC1の低下に伴って上昇していき、検出電圧V(−)が基準電圧V(+)以上となったとき(同図13の時間t12参照)に、図13(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからLレベルの警告信号が出力される。検出電圧V(−)は、最終的には上記の式(3)に示される検出電圧V(−)まで上昇する。
このように、このスイッチング電源装置1Zの低電圧検出回路13Zでは、メイン動作モード時において、交流電圧v1が瞬断となってから時間tx=(t12−t10)経過後に、Lレベルの警告信号が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平5−60804号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、このスイッチング電源装置1Zでは、図12の時間tsおよび図13の時間txを比較して判るように、待機モード時とメイン動作モード時において、交流電圧v1の瞬断時からLレベルの警告信号が出力されるまでの時間(以下「瞬断検出時間」という)が大きく異なっている。すなわち、メイン動作モード時においては、待機モード時に比べ、アクティブフィルタ回路の稼動によって1次側直流電圧VC1がより大きく昇圧されるため、交流電源の瞬断検出時間が長くなる。このため、メイン動作モード時において迅速な交流電源の瞬断の検出を行うことができないという問題があった。
【0025】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、迅速な交流電源の瞬断の検出を行うことが可能なスイッチング電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題を解決するため、本発明は、メイン電源電圧を出力するメイン電源回路と、待機電源電圧を出力する待機電源回路と、メイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号が入力される入力端子を有し、該入力端子に前記メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号が入力されると、前記メイン電源回路から前記メイン電源電圧を出力させるメイン動作制御回路と、交流電源からの交流電圧を整流および平滑して1次側直流電圧に変換する1次側整流平滑回路と、前記メイン動作モード時に前記1次側直流電圧を所定の昇圧電圧に昇圧するアクティブフィルタ回路と、前記交流電圧の低下を検出する低電圧検出回路とを備え、前記メイン電源回路は、前記昇圧電圧をメイン電源用スイッチング素子によりスイッチングし、メイン電源用トランスの2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化して前記メイン電源電圧として出力し、前記待機電源回路は、前記1次側直流電圧が供給されることにより起動し、前記1次側直流電圧を待機電源用スイッチング素子によりスイッチングし、待機電源用トランスの2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化して待機電源電圧として出力し、前記低電圧検出回路は、前記待機電源用トランスの2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化した負電圧に基づいて生成された検出電圧と、基準電圧とを比較して前記検出電圧が前記基準電圧よりも小さくなったときに警告信号を出力し、前記交流電圧の低下を検出するスイッチング電源装置において、前記入力端子と前記低電圧検出回路の間に接続され、前記入力端子に入力される前記メイン動作制御信号の指示に応じて、前記基準電圧を変更する基準電圧変更回路をさらに備えることを特徴とするスイッチング電源装置としたものである。
この構成によれば、基準電圧変更回路が、メイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号に応じて、低電圧検出回路の基準電圧として両モード時において互いに異なる2種類の基準電圧を生成するように構成されている。したがって、従来のスイッチング電源装置のような、これら両モードのいずれの場合においても負電圧に基づいて生成された検出電圧と1種類のみの基準電圧とを比較することに起因した、各モード時の交流電圧の低下の検出時間の違いをなくすことができる。
【0027】
上記構成において、前記基準電圧変更回路は、前記待機モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力された場合に、前記基準電圧を第1基準電圧に変更し、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力された場合に、前記基準電圧を前記第1基準電圧よりも小さな第2基準電圧に変更するようになっていることが好ましい。
この構成によれば、基準電圧変更回路が、待機モードを指示するメイン動作制御信号に従って低電圧検出回路の基準電圧を第1基準電圧に変更し、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号に従って低電圧検出回路の基準電圧を第1基準電圧よりも小さな第2基準電圧に変更するように構成されている。したがって、従来のスイッチング電源装置のような、メイン動作モード時においてアクティブフィルタ回路の昇圧動作に起因して長くなっていた、交流電圧の低下の検出時間を短くすることができる。
【0028】
上記構成において、前記基準電圧変更回路は、時定数回路をさらに含み、前記時定数回路は、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力されてから所定期間経過後に、前記第1基準電圧を前記第2基準電圧に変更するようになっていることが好ましい。
この構成によれば、基準電圧変更回路が、待機モードを指示するメイン動作制御信号に従って低電圧検出回路の基準電圧を第1基準電圧に変更し、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号に従って、時定数回路で定められた所定期間経過後に、低電圧検出回路の基準電圧を第1基準電圧よりも小さな第2基準電圧に変更するように構成されている。したがって、上記の効果に加え、時定数回路によって第2基準電圧の変更タイミングを制御できる点で有用となる。
【0029】
上記構成において、前記所定期間は、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力されてから、前記1次側直流電圧が前記昇圧電圧に昇圧されるまでの期間以上であることが好ましい。
【0030】
上記課題を解決するため、本発明は、メイン電源電圧を出力するメイン電源回路と、待機電源電圧を出力する待機電源回路と、メイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号が入力される入力端子を有し、該入力端子に前記メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号が入力されると、前記メイン電源回路から前記メイン電源電圧を出力させるメイン動作制御回路と、交流電源からの交流電圧を整流および平滑して1次側直流電圧に変換する1次側整流平滑回路と、前記メイン動作モード時に前記1次側直流電圧を所定の昇圧電圧に昇圧するアクティブフィルタ回路と、前記交流電圧の低下を検出する低電圧検出回路とを備え、前記メイン電源回路は、前記昇圧電圧をメイン電源用スイッチング素子によりスイッチングし、メイン電源用トランスの2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化して前記メイン電源電圧として出力し、前記待機電源回路は、前記1次側直流電圧が供給されることにより起動し、前記1次側直流電圧を待機電源用スイッチング素子によりスイッチングし、待機電源用トランスの第1の2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化して待機電源電圧として出力し、前記低電圧検出回路は、前記待機電源用トランスにおいて前記第1の2次巻線とは別に設けられた第2の2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化した正電圧に基づいて生成された検出電圧と、基準電圧とを比較して前記検出電圧が前記基準電圧よりも大きくなったときに警告信号を出力し、前記交流電圧の低下を検出するスイッチング電源装置において、前記入力端子と前記低電圧検出回路の間に接続され、前記入力端子に入力される前記メイン動作制御信号の指示に応じて、前記基準電圧を変更する基準電圧変更回路をさらに備えることを特徴とするスイッチング電源装置としたものである。
この構成によれば、基準電圧変更回路が、メイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号に応じて、低電圧検出回路の基準電圧として両モード時において互いに異なる2種類の基準電圧を生成するように構成されている。したがって、従来のスイッチング電源装置のような、これら両モードのいずれの場合においても正電圧に基づいて生成された検出電圧と1種類のみの基準電圧とを比較することに起因した、各モード時の交流電圧の低下の検出時間の違いをなくすことができる。
【0031】
上記構成において、前記基準電圧変更回路は、前記待機モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力された場合に、前記基準電圧を第1基準電圧に変更し、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力された場合に、前記基準電圧を前記第1基準電圧よりも大きな第2基準電圧に変更するようになっていることが好ましい。
この構成によれば、基準電圧変更回路が、待機モードを指示するメイン動作制御信号に従って低電圧検出回路の基準電圧を第1基準電圧に変更し、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号に従って低電圧検出回路の基準電圧を第1基準電圧よりも大きな第2基準電圧に変更するように構成されている。したがって、従来のスイッチング電源装置のような、メイン動作モード時においてアクティブフィルタ回路の昇圧動作に起因して長くなっていた、交流電圧の低下の検出時間を短くすることができる。
【0032】
上記構成において、前記基準電圧変更回路は、時定数回路をさらに含み、前記時定数回路は、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力されてから所定期間経過後に、前記第1基準電圧を前記第2基準電圧に変更するようになっていることが好ましい。
この構成によれば、基準電圧変更回路が、待機モードを指示するメイン動作制御信号に従って低電圧検出回路の基準電圧を第1基準電圧に変更し、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号に従って、時定数回路で定められた所定期間経過後に、低電圧検出回路の基準電圧を第1基準電圧よりも大きな第2基準電圧に変更するように構成されている。したがって、上記の効果に加え、時定数回路によって第2基準電圧の変更タイミングを制御できる点で有用となる。
【0033】
上記構成において、前記所定期間は、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力されてから、前記1次側直流電圧が前記昇圧電圧に昇圧されるまでの期間以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、迅速な交流電源の瞬断の検出を行うことが可能なスイッチング電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施例によるスイッチング電源装置の回路図である。
【図2】図1のスイッチング電源装置の、待機モード時における回路動作を説明するためのグラフである。
【図3】図1のスイッチング電源装置の、待機モードからメイン動作モードに移行した時の回路動作を説明するためのグラフである。
【図4】本発明の第2実施例によるスイッチング電源装置の回路図である。
【図5】図4のスイッチング電源装置の、待機モードからメイン動作モードに移行した時の回路動作を説明するためのグラフである。
【図6】本発明の第3実施例によるスイッチング電源装置の回路図である。
【図7】図6のスイッチング電源装置の、待機モード時における回路動作を説明するためのグラフである。
【図8】図6のスイッチング電源装置の、待機モードからメイン動作モードに移行した時の回路動作を説明するためのグラフである。
【図9】本発明の第4実施例によるスイッチング電源装置の回路図である。
【図10】図9のスイッチング電源装置の、待機モードからメイン動作モードに移行した時の回路動作を説明するためのグラフである。
【図11】従来のスイッチング電源装置の回路図である。
【図12】図11のスイッチング電源装置の、待機モード時における回路動作を説明するためのグラフである。
【図13】図11のスイッチング電源装置の、待機モードからメイン動作モードに移行した時の回路動作を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【0037】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例によるスイッチング電源装置の回路図である。
図1に示すように、このスイッチング電源装置1Aは、1次側整流平滑回路3と、アクティブフィルタ回路6と、メイン動作制御回路18と、メイン電源回路7と、待機電源回路10Aと、低電圧検出回路13Aと、基準電圧変更回路16Aとを備える。
【0038】
1次側整流平滑回路3は、整流部4と平滑部5から構成され、交流電源2からの交流電圧v1を整流および平滑して1次側直流電圧VC1に変換する。整流部4はダイオードブリッジDBからなる。平滑部5は平滑コンデンサC1からなる。
【0039】
アクティブフィルタ回路6は、整流部4と平滑部5の間に接続され、コイルL1と、アクティブフィルタ用スイッチング素子(MOSFET)M1と、制御用IC1と、ダイオードD2とで構成されている。制御用IC1は、後述するメイン動作制御回路18に入力されるメイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号Vinに応じて、アクティブフィルタ用スイッチング素子M1のスイッチング動作を制御する。すなわち、このアクティブフィルタ回路6は、待機モード時には非稼動状態となって1次側直流電圧VC1の昇圧を行わない一方、メイン動作モード時には稼動状態となって1次側直流電圧VC1を所定の昇圧電圧に昇圧するように動作する昇圧型チョッパ方式のものである。
【0040】
メイン動作制御回路18は、後述する待機電源回路10Aが出力する待機電源電圧Vsの供給を受けて駆動され、メイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号Vinが入力される入力端子10d,10eを有する。メイン動作制御回路18は、また、抵抗R3、R4と、NPNトランジスタQ1、Q2と、フォトカプラX1と、ドライブ抵抗R1と、ツェナーダイオードD7とを含んでいる。入力端子10d,10e間に、メイン動作制御信号Vinとして、メイン動作モードを指示するHレベルの電圧が入力されると、抵抗R3およびR4で分圧された電圧によってNPNトランジスタQ2がオンし、フォトカプラX1がオンし、ドライブ抵抗R1によってNPNトランジスタQ1がオンし、ツェナーダイオードD7の安定した電圧が制御用IC1、IC2に供給される。こうして、アクティブフィルタ回路6および後述するメイン電源回路7が、メイン動作制御回路18によって稼動状態に制御される。一方、入力端子10d,10e間に、メイン動作制御信号Vinとして、待機モードを指示するLレベルの電圧が入力されると、NPNトランジスタQ2、フォトカプラX1およびNPNトランジスタQ1がオフとなり、制御用IC1、IC2もオフとなる。こうして、アクティブフィルタ回路6および後述するメイン電源回路7が、メイン動作制御回路18によって非稼動状態に制御される。
【0041】
メイン電源回路7は、1次側整流平滑回路3の後段に接続されており、メイン電源用DC−DCコンバータ8を含む。
メイン電源用DC−DCコンバータ8は、1次巻線および2次巻線を有するメイン電源用トランスT1を有する。メイン電源用トランスT1の1次巻線の一端は1次側整流平滑回路3に接続される一方、メイン電源用トランスT1の1次巻線の他端はメイン電源用スイッチング素子(MOSFET)M2に接続されている。また、メイン電源用スイッチング素子M2には制御用IC2が接続されている。制御用IC2は、メイン動作モードを指示するHレベルの電圧のメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10e間に入力されている間、ツェナーダイオードD7の安定した電圧の供給を受けて駆動され、メイン電源用スイッチング素子M2のスイッチング動作を制御する。すなわち、メイン電源用DC−DCコンバータ8は、メインモード時においては稼動状態となって、1次側直流電圧VC1をメイン電源用スイッチング素子M2によってスイッチングし、メイン電源用トランスT1の2次巻線にスイッチング電圧を誘起させ、この誘起されたスイッチング電圧を、メイン電源用トランスT1の2次巻線に接続されたメイン電源用整流平滑回路9によって整流および平滑し、直流化されたメイン電源電圧Vmを出力端子7a、7bから出力する。また、メイン電源用DC−DCコンバータ8は、待機モード時においては非稼動状態となる。
【0042】
待機電源回路10Aは、1次側整流平滑回路3の後段に上記メイン電源回路7とは独立して接続されており、待機電源用DC−DCコンバータ11を含んでいる。
待機電源用DC−DCコンバータ11は、1次巻線Na(巻数をNaとする)および2次巻線Nb(巻数をNbとする)を有する待機電源用トランスT2を有する。待機電源用トランスT2の1次巻線Naの一端は1次側整流平滑回路3に接続される一方、1次巻線Naの他端は待機電源用スイッチング素子(MOSFET)M3に接続されている。待機電源用スイッチング素子M3には制御用IC3が接続されている。制御用IC3は、交流電源2の投入時に、1次巻線Naの一端に接続された起動抵抗Rinを介して1次側直流電圧VC1が供給されることにより起動し、待機電源用スイッチング素子M3のスイッチング動作を制御する。すなわち、待機電源用DC−DCコンバータ11は、交流電源2の投入時においては、メイン動作制御回路18に入力されるメイン動作制御信号Vinの有無にかかわらず、1次側直流電圧VC1を待機電源用スイッチング素子M3によってスイッチングし、2次巻線Nbに1次巻線Naのスイッチング電圧Vaに比例したスイッチング電圧Vb=(Nb/Na)×Vaを誘起させ、この誘起されたスイッチング電圧Vbを、2次巻線Nbに接続された待機電源用整流平滑回路12によって整流および平滑し、直流化された待機電源電圧Vsを出力端子10a、10bから出力する。なお、待機電源用整流平滑回路12は、2次巻線Nbの負極側にアノードが接続された整流ダイオードD5と、該ダイオードD5のカソードと2次巻線Nbの正極側を接続する平滑コンデンサC5とから構成されている。
【0043】
低電圧検出回路13Aは、待機電源電圧Vsの供給を受けて駆動され、2次巻線Nbに上記待機電源用整流平滑回路12とは独立して接続された負電圧生成用整流平滑回路14と、該負電圧生成用整流平滑回路14の後段に接続された比較回路15とを有する。
負電圧生成用整流平滑回路14は、2次巻線Nbの負極側にカソードが接続された整流ダイオードD9と、該ダイオードD9のアノードと2次巻線Nbの正極側を接続する平滑コンデンサC7とから構成されている。負電圧生成用整流平滑回路14は、待機電源用スイッチング素子M3によって2次巻線Nbに誘起されたスイッチング電圧Vbを、整流および平滑して、直流化された負電圧VC7に変換する。
比較回路15は、ツェナーダイオードD10と、抵抗R5〜R8、R10と、オペアンプX2とから構成されている。ツェナーダイオードD10のアノードは、出力端子10bおよびメイン動作制御回路18の入力端子10eに接続される。一方、ツェナーダイオードD10のカソードは抵抗R5およびR10を介して負電圧生成用整流平滑回路14に接続され、抵抗R6を介して出力端子10bおよび入力端子10eに接続され、さらに、抵抗R7を介してオペアンプX2に接続されている。
オペアンプX2の(+)側入力端子には、抵抗R7、R8およびR9が接続されている。一方、オペアンプX2の(−)側入力端子には、抵抗R5、R10が接続されている。オペアンプX2は、検出電圧V(−)と基準電圧V(+)を比較して、検出電圧V(−)が基準電圧V(+)よりも小さくなったときに、該オペアンプX2の出力端子10cからHレベルの警告信号を出力する一方、検出電圧V(−)が基準電圧V(+)以上となったときに、該出力端子10cからLレベルの警告信号を出力する。なお、オペアンプX2の(−)側入力端子には、上記の式(2)に示されるような、負電圧VC7とツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10の電圧差(VD10−(−VC7))を該抵抗R5、R10で分圧した検出電圧V(−)が入力される。なお、オペアンプX2の(+)側入力端子には、後述する第1の基準電圧Vαまたは第2の基準電圧Vβが入力される。
【0044】
基準電圧変更回路16Aは、入力端子10d、10eと低電圧検出回路13Aの間に接続され、該入力端子10d、10eに入力されるメイン動作制御信号Vinの指示に応じて、低電圧検出回路13Aの基準電圧を変更するものである。
基準電圧変更回路16Aは、この実施例では、抵抗R9、R11〜R14と、NPNトランジスタQ3〜Q5とから構成される。基準電圧変更回路16Aは、後述するように、待機モードを指示するLレベルの電圧のメイン動作制御信号Vinが入力端子10d,10e間に入力された場合に、基準電圧を第1基準電圧Vαに変更し、メイン動作モードを指示するHレベルの電圧のメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10e間に入力された場合に、基準電圧を第1基準電圧Vαよりも小さな第2基準電圧Vβに変更するようになっている。
【0045】
次に、このスイッチング電源装置1Aの動作について、特に、低電圧検出回路13Aおよび基準電圧変更回路16Aの各動作を中心に詳細に説明する。
【0046】
図2は、スイッチング電源装置1Aの、待機モード時における回路動作を説明するためのグラフである。また、図3は、スイッチング電源装置1Aの、待機モードからメイン動作モードに移行した時の回路動作を説明するためのグラフである。
【0047】
まず、図2(A)および(C)に示すように、交流電源2からの交流電圧v1(AC100Vとする)の投入後(同図2の時間t1参照)、ダイオードブリッジDB、コイルL1、ダイオードD2および平滑コンデンサC1を介して、1次側直流電圧VC1が約125〜130Vまで上昇する。そして、起動抵抗Rinを介して制御IC3が起動され、出力端子10a、10b間に、待機電源用DC−DCコンバータ11によって電圧変換された待機電源電圧Vsが出力される。また、図2(D)に示すように、整流ダイオードD9のアノード側に、負電圧生成用整流平滑回路14によって直流化された負電圧VC7が出力される。
交流電圧v1の投入後、メイン動作制御信号VinはLレベルの電圧(0V)であるため、アクティブフィルタ回路6およびメイン電源回路7が両方とも非稼動状態になるとともに、NPNトランジスタQ3がオフ、NPNトランジスタQ4がオン、NPNトランジスタQ5がオフとなるため、抵抗R9の両端がショートされない。したがって、この時、図2(E)に示すように、オペアンプX2の(+)側入力端子には、次式(4)に示されるような、ツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10を抵抗R7、R8およびR9で分圧した第1の基準電圧V(+)=Vαが入力される。
【0048】
【数4】

【0049】
一方、図2(E)に示すように、オペアンプX2の(−)側入力端子には、次式(5)に示されるような、負電圧VC7とツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10の電圧差(VD10−(−VC7))を該抵抗R5、R10で分圧した検出電圧V(−)が入力される。
【0050】
【数5】

【0051】
交流電圧v1の投入後、1次側直流電圧VC1が約125〜130Vに上昇し、検出電圧V(−)が1次側直流電圧VC1の上昇に伴って下がっていく。そして、検出電圧V(−)が基準電圧V(+)よりも小さくなった時(同図2の時間t2参照)に、図2(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからHレベルの警告信号が出力される。さらに、この待機モード時において交流電圧v1が瞬断となった時(同図2の時間t3参照)、約125〜130Vであった1次側直流電圧VC1が0Vに下がり、2次巻線Nbに誘起されたスイッチング電圧Vbが0Vに下がり、負電圧VC7が0Vに近づく。そして、図2(E)に示すように、検出電圧V(−)が1次側直流電圧VC1の低下に伴って上がっていき、検出電圧V(−)が基準電圧V(+)以上となったとき(同図2の時間t4参照)に、図2(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからLレベルの警告信号が出力される。検出電圧V(−)は、最終的には、上記の式(5)においてVC7=0とした次式(6)に示される検出電圧V(−)まで上昇する。
【0052】
【数6】

【0053】
このように、このスイッチング電源装置1Aの低電圧検出回路13Aでは、待機モード時において、交流電圧v1が瞬断となってから時間ts=(t4−t3)経過後に、Lレベルの警告信号が出力される。
【0054】
次に、図3(A)および(C)に示すように、交流電圧v1の投入後(同図3の時間t5参照)の待機モード時においては、1次側直流電圧VC1が約125〜130Vまで上昇する。そして、出力端子10a、10b間に待機電源電圧Vsが出力される。また、図3(D)に示すように、整流ダイオードD9のアノード側に負電圧VC7が出力される。また、この待機モード時においては、メイン動作制御信号VinはLレベルの電圧(0V)であるため、アクティブフィルタ回路6およびメイン電源回路7が非稼動状態になるとともに、基準電圧変更回路16AのNPNトランジスタQ3がオフし、NPNトランジスタQ4がオンし、NPNトランジスタQ5がオフとなるため、抵抗R9の両端がショートされない。したがって、この時、図3(E)に示すように、オペアンプX2の(+)側入力端子には、上記の式(4)に示されるような、ツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10を抵抗R7、R8およびR9で分圧した第1の基準電圧V(+)=Vαが入力される。一方、オペアンプX2の(−)側入力端子には、上記の式(5)に示される検出電圧V(−)が入力される。そして、検出電圧V(−)が1次側直流電圧VC1の上昇に伴って下がっていく。そして、検出電圧V(−)が第1の基準電圧V(+)=Vαよりも小さくなった時(同図3の時間t6参照)に、図3(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからHレベルの警告信号が出力される。
【0055】
そして、交流電圧v1が投入された状態で、さらに、図3(B)に示すようなメイン動作モードを指示するHレベルの電圧Vinが入力端子10d、10e間に入力された時(同図3の時間t7参照)、NPNトランジスタQ2、フォトカプラX1およびNPNトランジスタQ1がオンし、ツェナーダイオードD7の安定した電圧が制御用IC1およびIC2に供給され、アクティブフィルタ回路6およびメイン電源回路7がともに稼動状態となる。こうして、アクティブフィルタ用スイッチング素子M1のスイッチング動作によって、約125V〜130Vの1次側直流電圧VC1が所定の昇圧電圧である約390〜400Vまで上昇する(同図3の時間t7〜t10参照)。また、メイン電源用スイッチング素子M2のスイッチング動作によって、メイン電源回路7の出力端子7a、7b間に、メイン電源用DC−DCコンバータ8によって電圧変換されたメイン電源電圧Vmが出力される。また、待機電源回路10Aの出力端子10a、10b間に待機電源電圧Vsが出力される。さらに、図3(D)に示すように、整流ダイオードD9のアノード側に、待機モード時よりも絶対値の大きな負電圧VC7が出力される(同図3の時間t7〜t10参照)。また、このメイン動作モードに移行した時、Hレベルのメイン動作制御信号Vinによって、基準電圧変更回路16AのNPNトランジスタQ3がオンし、NPNトランジスタQ4がオフし、NPNトランジスタQ5がオンし、抵抗R9の両端がショートされる(同図3の時間t7参照)。この時、図3(E)に示すように、オペアンプX2の(+)側入力端子には、次式(7)に示されるような、ツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10を抵抗R7およびR8で分圧した第2の基準電圧V(+)=Vβが入力される。
【0056】
【数7】

【0057】
したがって、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10eに入力された直後、第1基準電圧V(+)=Vαが、該第1の基準電圧V(+)=Vαよりも小さな第2基準電圧V(+)=Vβに変更される。
【0058】
最後に、このメイン動作モード時において交流電圧v1が瞬断となった時(同図3の時間t10参照)、約390〜400Vの1次側直流電圧VC1が0Vに下がり、2次巻線Nbに誘起されたスイッチング電圧Vbが0Vに下がり、負電圧VC7が0Vに近づく(同図3の時間t10〜t12参照)。そして、図3(E)に示すように、検出電圧V(−)が1次側直流電圧VC1の低下に伴って上がっていき、検出電圧V(−)が第2の基準電圧V(+)=Vβ以上となったとき(同図3の時間t11参照)に、図3(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからLレベルの警告信号が出力される。検出電圧V(−)は、最終的には上記の式(6)に示される検出電圧V(−)まで上昇する。
このように、このスイッチング電源装置1Aの低電圧検出回路13Aでは、メイン動作モード時において、交流電圧v1が瞬断となってから時間tx=(t11−t10)経過後に、Lレベルの警告信号が出力される。
【0059】
このスイッチング電源装置1Aによれば、従来技術(図13(C)と比較して明らかなようにメイン動作モード時の瞬断検出時間:txを短縮することができる。しかも、図2の時間tsおよび図3の時間txを比較して判るように、待機モード時とメイン動作モード時において、交流電圧v1の瞬断検出時間をほぼ同じとすることができる。このため、迅速な交流電源の瞬断の検出を行うことができる。
【0060】
(第2実施例)
ところで、第1実施例によるスイッチング電源装置1Aでは、図3(B)、(E)および(F)に示すように、交流電圧v1が投入された状態で、さらに、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10eに入力された直後(同図3の時間t7参照)に、第1基準電圧V(+)=Vαが、該第1の基準電圧V(+)=Vαよりも小さな第2基準電圧V(+)=Vβに変更されるので、検出電圧V(−)が第2の基準電圧V(+)=Vβ以上となる時間(同図3の時間t7からt8参照)が生じ、この一瞬の時間だけオペアンプX2の出力端子10cからLレベルの警告信号が出力される。このため、この現象によって該スイッチング電源装置の動作に何らかの影響(誤動作)が生じるおそれがあった。そこで、第2実施例によるスイッチング電源装置1Bでは、この現象を回避するために、基準電圧変更回路にさらに時定数回路を追加した構成とした。
図4は、本発明の第2実施例によるスイッチング電源装置の回路図である。第2実施例のスイッチング電源装置1Bは、時定数回路17を備えている点が、第1実施例のスイッチング電源装置1Aと異なっている。したがって、この点に関してのみ、説明する。
【0061】
図4に示すように、時定数回路17は、メイン動作モードを指示するHレベルの電圧のメイン動作制御信号Vinが入力端子10d,10eに入力されてから所定期間経過後に、第1基準電圧Vαを第2基準電圧Vβに変更するためのもので、抵抗R14と、コンデンサC6と、ツェナーダイオードD11とからなる。
【0062】
次に、このスイッチング電源装置1Bの動作について、特に、低電圧検出回路13B、および基準電圧変更回路16Bの時定数回路17の各動作を中心に詳細に説明する。
【0063】
図5は、スイッチング電源装置1Bの、待機モードからメイン動作モードに移行した時の回路動作を説明するためのグラフである。
スイッチング電源装置1Bは時定数回路17を備えているため、図5(A)に示すように、交流電圧v1が投入された状態で、さらに、図5(B)に示すようなメイン動作モードを指示するHレベルの電圧Vinが入力端子10d、10e間に入力された時(同図5の時間t7参照)、基準電圧変更回路16BのNPNトランジスタQ3がオンし、NPNトランジスタQ4がオフし、時定数回路17の抵抗R14およびコンデンサC6の時定数τで決定される時間だけ該コンデンサC6が充電された後、ツェナーダイオードD11を介してNPNトランジスタQ5がオンし、抵抗R9の両端がショートされる(同図5の時間t9参照)。この時、図5(E)に示すように、オペアンプX2の(+)側入力端子には、上記の式(7)に示されるような、ツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10を抵抗R7およびR8で分圧した第2の基準電圧V(+)=Vβが入力される。
【0064】
すなわち、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10eに入力されてから、抵抗R14およびコンデンサC6の時定数τで決定される所定期間経過後に、第1基準電圧V(+)=Vαが、該第1の基準電圧V(+)=Vαよりも小さな第2基準電圧V(+)=Vβに変更される。ここで、この所定期間は、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10eに入力されてから、1次側直流電圧VC1がアクティブフィルタ回路6によって所定の昇圧電圧(本実施例の場合は約390〜400V)に昇圧されるまでの期間(t8−t7)以上であることが好ましい。
したがって、この時定数回路17によって、第1実施例によるスイッチング電源装置1Aにおいて懸念されるような、スイッチング電源装置の誤動作を防止することができる。
【0065】
(第3実施例)
図6は、本発明の第3実施例によるスイッチング電源装置の回路図である。第3実施例のスイッチング電源装置1Cは、待機電源回路10Cの待機電源用トランスT2、低電圧検出回路13Cおよび基準電圧変更回路16Cの各構成が第1実施例のスイッチング電源装置1Aと異なっている。したがって、これらの点に関してのみ、説明する。
【0066】
図6に示すように、このスイッチング電源装置1Cは、待機電源回路10Cと、低電圧検出回路13Cと、基準電圧変更回路16Cとを備える。
【0067】
待機電源回路10Cの待機電源用トランスT2は、1次巻線Na(巻数をNaとする)および2つの2次巻線Nb、Nd(各巻数をそれぞれNb、Ndとする)を有している。待機電源用DC−DCコンバータ11は、交流電源2の投入時においては、1次側直流電圧VC1を待機電源用スイッチング素子M3によってスイッチングして、第1の2次巻線Nbに1次巻線Naのスイッチング電圧Vaに比例したスイッチング電圧Vb=(Nb/Na)×Vaを誘起させ、この誘起されたスイッチング電圧Vbを、第1の2次巻線Nbに接続された待機電源用整流平滑回路12によって整流および平滑して、直流化された待機電源電圧Vsを出力端子10a、10bから出力するようになっている。またこの時、待機電源用スイッチング素子M3のスイッチングによって、上記第1の第1の2次巻線Nbとは別に設けられた第2の2次巻線Ndに1次巻線Naのスイッチング電圧Vaに比例したスイッチング電圧Vd=(Nd/Na)×Vaが誘起される。
【0068】
低電圧検出回路13Cは、待機電源電圧Vsの供給を受けて駆動され、第2の2次巻線Ndに接続された正電圧生成用整流平滑回路20と、該正電圧生成用整流平滑回路20の後段に接続された比較回路21とを有する。
正電圧生成用整流平滑回路20は、第2の2次巻線Ndの正極側にアソードが接続された整流ダイオードD9と、該ダイオードD9のカソードと第2の2次巻線Ndの負極側を接続する平滑コンデンサC7とから構成されている。正電圧生成用整流平滑回路20は、待機電源用スイッチング素子M3によって第2の2次巻線Ndに誘起されたスイッチング電圧Vdを、整流および平滑して、直流化された正電圧VC7に変換する。
比較回路21は、ツェナーダイオードD10と、抵抗R5〜R8、R10と、オペアンプX2とから構成されている。ツェナーダイオードD10のアノードは、出力端子10bおよびメイン動作制御回路18の入力端子10eに接続されるとともに、正電圧生成用整流平滑回路20に接続される。一方、ツェナーダイオードD10のカソードは、抵抗R6を介して出力端子10bおよび入力端子10eに接続され、さらに、抵抗R7を介してオペアンプX2に接続されている。
オペアンプX2の(+)側入力端子には、抵抗R5、R10が接続されている一方、オペアンプX2の(−)側入力端子には、抵抗R7、R8およびR9が接続されている。この実施例では、オペアンプX2の(+)側入力端子に入力される電圧V(+)が検出電圧となり、(−)側入力端子に入力される電圧V(−)が基準電圧となる。オペアンプX2は、検出電圧V(+)と基準電圧V(−)を比較して、検出電圧V(+)が基準電圧V(−)よりも大きくなったときに、該オペアンプX2の出力端子10cからHレベルの警告信号を出力する一方、検出電圧V(+)が基準電圧V(−)以下となったときに、該出力端子10cからLレベルの警告信号を出力する。なお、オペアンプX2の(+)側入力端子には、次式(8)に示されるような、正電圧VC7を該抵抗R5、R10で分圧した検出電圧V(+)が入力される。
【0069】
【数8】

【0070】
なお、オペアンプX2の(−)側入力端子には、後述する第1の基準電圧Vαおよび第2の基準電圧Vβが入力される。
【0071】
基準電圧変更回路16Cは、入力端子10d、10eと低電圧検出回路13Cの間に接続され、該入力端子10d、10eに入力されるメイン動作制御信号Vinの指示に応じて、低電圧検出回路13Cの基準電圧を変更するものである。
基準電圧変更回路16Cは、この実施例では、抵抗R9、R11〜16と、NPNトランジスタQ3〜Q6とから構成される。基準電圧変更回路16Cは、待機モードを指示するLレベルの電圧のメイン動作制御信号Vinが入力端子10d,10e間に入力された場合に、基準電圧を第1基準電圧Vαに変更し、メイン動作モードを指示するHレベルの電圧のメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10e間に入力された場合に、基準電圧を第1基準電圧Vαよりも大きな第2基準電圧Vβに変更するようになっている。
【0072】
次に、このスイッチング電源装置1Cの動作について、特に、低電圧検出回路13Cおよび基準電圧変更回路16Cの各動作を中心に詳細に説明する。
【0073】
図7は、スイッチング電源装置1Cの、待機モード時における回路動作を説明するためのグラフである。また、図8は、スイッチング電源装置1Cの、待機モードからメイン動作モードに移行した時の回路動作を説明するためのグラフである。
【0074】
まず、図7(A)および(C)に示すように、交流電源2からの交流電圧v1(AC100Vとする)の投入後(同図7の時間t1参照)、ダイオードブリッジDB、コイルL1、ダイオードD2および平滑コンデンサC1を介して、1次側直流電圧VC1が約125〜130Vまで上昇する。そして、起動抵抗Rinを介して制御IC3が起動され、出力端子10a、10b間に、待機電源用DC−DCコンバータ11によって電圧変換された待機電源電圧Vsが出力される。また、図7(D)に示すように、整流ダイオードD9のカソード側に、正電圧生成用整流平滑回路20によって直流化された正電圧VC7が出力される。
交流電圧v1の投入後、メイン動作制御信号VinはLレベルの電圧(0V)であるため、アクティブフィルタ回路6およびメイン電源回路7が両方とも非稼動状態になるとともに、NPNトランジスタQ3がオフ、NPNトランジスタQ4がオン、NPNトランジスタQ5がオフ、NPNトランジスタQ6がオンとなるため、抵抗R9の両端がショートされる。したがって、この時、図7(E)に示すように、オペアンプX2の(−)側入力端子には、次式(9)に示されるような、ツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10を抵抗R7およびR8で分圧した第1の基準電圧V(−)=Vαが入力される。
【0075】
【数9】

【0076】
一方、図7(E)に示すように、オペアンプX2の(+)側入力端子には上記の式(8)に示される検出電圧V(+)が入力される。交流電圧v1の投入後、1次側直流電圧VC1が約125〜130Vに上昇し、検出電圧V(+)が1次側直流電圧VC1の上昇に伴って上がっていく。そして、検出電圧V(+)が基準電圧V(−)よりも大きくなった時(同図7の時間t2参照)に、図7(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからHレベルの警告信号が出力される。さらに、この待機モード時において交流電圧v1が瞬断となった時(同図7の時間t3参照)、約125〜130Vであった1次側直流電圧VC1が0Vに下がり、第2の2次巻線Ndに誘起されたスイッチング電圧Vdが0Vに下がり、正電圧VC7が0Vに近づく。そして、図7(E)に示すように、検出電圧V(+)が1次側直流電圧VC1の低下に伴って下がっていき、検出電圧V(+)が基準電圧V(−)以下となったとき(同図7の時間t4参照)に、図7(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからLレベルの警告信号が出力される。検出電圧V(+)は、最終的には、上記の式(8)においてVC7=0とした0Vまで下がる。
このように、このスイッチング電源装置1Cの低電圧検出回路13Cでは、待機モード時において、交流電圧v1が瞬断となってから時間ts=(t4−t3)経過後に、Lレベルの警告信号が出力される。
【0077】
次に、図8(A)および(C)に示すように、交流電圧v1の投入後(同図8の時間t5参照)の待機モード時においては、1次側直流電圧VC1が約125〜130Vまで上昇する。そして、出力端子10a、10b間に待機電源電圧Vsが出力される。また、図8(D)に示すように、整流ダイオードD9のカソード側に正電圧VC7が出力される。また、この待機モード時においては、メイン動作制御信号VinはLレベルの電圧(0V)であるため、アクティブフィルタ回路6およびメイン電源回路7が非稼動状態になるとともに、NPNトランジスタQ3がオフ、NPNトランジスタQ4がオン、NPNトランジスタQ5がオフ、NPNトランジスタQ6がオンとなるため、抵抗R9の両端がショートされる。この時、図8(E)に示すように、オペアンプX2の(−)側入力端子には、上記の式(9)に示されるような、ツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10を抵抗R7およびR8で分圧した第1の基準電圧V(−)=Vαが入力される。一方、オペアンプX2の(+)側入力端子には上記の式(8)に示される検出電圧V(+)が入力される。このとき、検出電圧V(+)が1次側直流電圧VC1の上昇に伴って上がっていく。そして、検出電圧V(+)が第1の基準電圧V(−)=Vαよりも大きくなった時(同図8の時間t6参照)に、図8(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからHレベルの警告信号が出力される。
【0078】
そして、交流電圧v1が投入された状態で、さらに、図8(B)に示すようなメイン動作モードを指示するHレベルの電圧Vinが入力端子10d、10e間に入力された時(同図8の時間t7参照)、NPNトランジスタQ2、フォトカプラX1およびNPNトランジスタQ1がオンし、ツェナーダイオードD7の安定した電圧が制御用IC1およびIC2に供給され、アクティブフィルタ回路6およびメイン電源回路7がともに稼動状態となる。こうして、アクティブフィルタ用スイッチング素子M1のスイッチング動作によって、約125V〜130Vの1次側直流電圧VC1が所定の昇圧電圧である約390〜400Vまで上昇する(同図8の時間t7〜t10参照)。また、メイン電源用スイッチング素子M2のスイッチング動作によって、メイン電源回路7の出力端子7a、7b間に、メイン電源用DC−DCコンバータ8によって電圧変換されたメイン電源電圧Vmが出力される。また、待機電源回路10Cの出力端子10a、10b間に待機電源電圧Vsが出力される。さらに、図8(D)に示すように、整流ダイオードD9のカソード側に、待機モード時よりも大きな正電圧VC7が出力される(同図8の時間t7〜t10参照)。また、このメイン動作モードに移行した時、Hレベルのメイン動作制御信号Vinによって、基準電圧変更回路16CのNPNトランジスタQ3がオンし、NPNトランジスタQ4がオフし、NPNトランジスタQ5がオンし、NPNトランジスタQ6がオフし、抵抗R9の両端がショートされなくなる(同図8の時間t7参照)。この時、図8(E)に示すように、オペアンプX2の(+)側入力端子には、次式(10)に示されるような、ツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10を抵抗R7、R8およびR9で分圧した第2の基準電圧V(−)=Vβが入力される。
【0079】
【数10】

【0080】
したがって、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10eに入力された直後、第1基準電圧V(−)=Vαが、該第1の基準電圧V(−)=Vαよりも大きな第2基準電圧V(−)=Vβに変更される。
【0081】
最後に、このメイン動作モード時において交流電圧v1が瞬断となった時(同図8の時間t10参照)、約390〜400Vの1次側直流電圧VC1が0Vに下がり、第2の2次巻線Ndに誘起されたスイッチング電圧Vdが0Vに下がり、正電圧VC7が0Vに近づく(同図8の時間t10〜t12参照)。そして、図8(E)に示すように、検出電圧V(+)が1次側直流電圧VC1の低下に伴って下がっていき、検出電圧V(+)が第2の基準電圧V(−)=Vβ以下になったとき(同図8の時間t11参照)に、図8(F)に示すように、オペアンプX2の出力端子10cからLレベルの警告信号が出力される。検出電圧V(+)は、最終的には、上記の式(8)においてVC7=0とした0Vまで下がる。
このように、このスイッチング電源装置1Cの低電圧検出回路13Cでは、メイン動作モード時において、交流電圧v1が瞬断となってから時間tx=(t11−t10)経過後に、Lレベルの警告信号が出力される。
【0082】
このスイッチング電源装置1Cによれば、従来技術と比較して明らかなようにメイン動作モード時の瞬断検出時間:txを短縮することができる。しかも、図7の時間tsおよび図8の時間txを比較して判るように、待機モード時とメイン動作モード時において、交流電圧v1の瞬断検出時間をほぼ同じとすることができる。このため、迅速な交流電源の瞬断の検出を行うことができる。
【0083】
(第4実施例)
ところで、第3実施例によるスイッチング電源装置1Cでは、図8(B)、(E)および(F)に示すように、交流電圧v1が投入された状態で、さらに、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10eに入力された直後(同図8の時間t7参照)に、第1基準電圧V(−)=Vαが、該第1の基準電圧V(−)=Vαよりも大きな第2基準電圧V(−)=Vβに変更されるので、検出電圧V(+)が第2の基準電圧V(−)=Vβ以下となる時間(同図8の時間t7からt8参照)が生じ、この一瞬の時間だけオペアンプX2の出力端子10cからLレベルの警告信号が出力される。このため、この現象によって該スイッチング電源装置の動作に何らかの影響(誤動作)が生じるおそれがあった。そこで、第4実施例によるスイッチング電源装置1Dでは、この現象を回避するために、基準電圧変更回路にさらに時定数回路を追加した構成とした。
図9は、本発明の第4実施例によるスイッチング電源装置の回路図である。第4実施例のスイッチング電源装置1Dは、時定数回路17を備えている点が、第3実施例のスイッチング電源装置1Cと異なっている。したがって、この点に関してのみ、説明する。
【0084】
図9に示すように、時定数回路17は、メイン動作モードを指示するHレベルの電圧のメイン動作制御信号が入力端子10d,10eに入力されてから所定期間経過後に、第1基準電圧Vαを第2基準電圧Vβに変更するためのもので、抵抗R14と、コンデンサC6と、ツェナーダイオードD11とからなる。
【0085】
次に、このスイッチング電源装置1Dの動作について、特に、低電圧検出回路13D、および基準電圧変更回路16Dの時定数回路17の各動作を中心に詳細に説明する。
【0086】
図10は、スイッチング電源装置1Dの、待機モードからメイン動作モードに移行した時の回路動作を説明するためのグラフである。
スイッチング電源装置1Dは時定数回路17を備えているため、図10(A)に示すように、交流電圧v1が投入された状態で、さらに、図10(B)に示すようなメイン動作モードを指示するHレベルの電圧Vinが入力端子10d、10e間に入力された時(同図10の時間t7参照)、基準電圧変更回路16DのNPNトランジスタQ3がオンし、NPNトランジスタQ4がオフし、時定数回路17の抵抗R14およびコンデンサC6の時定数τで決定される時間だけ該コンデンサC6が充電された後、ツェナーダイオードD11を介してNPNトランジスタQ5がオンし、NPNトランジスタQ6がオフし、抵抗R9の両端がショートされなくなる(同図10の時間t9参照)。この時、図10(E)に示すように、オペアンプX2の(+)側入力端子には、上記の式(10)に示されるような、ツェナーダイオードD10の安定した電圧VD10を抵抗R7、R8およびR9で分圧した第2の基準電圧V(−)=Vβが入力される。
【0087】
すなわち、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10eに入力されてから、抵抗R14およびコンデンサC6の時定数τで決定される所定期間経過後に、第1基準電圧V(−)=Vαが、該第1の基準電圧V(−)=Vαよりも大きな第2基準電圧V(−)=Vβに変更される。ここで、この所定期間は、メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号Vinが入力端子10d、10eに入力されてから、1次側直流電圧VC1がアクティブフィルタ回路6によって所定の昇圧電圧(本実施例の場合は約390〜400V)に昇圧されるまでの期間(t8−t7)以上であることが好ましい。
したがって、この時定数回路17によって、第3実施例によるスイッチング電源装置1Cにおいて懸念されるような、スイッチング電源装置の誤動作を防止することができる。
【0088】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0089】
例えば、基準電圧比較回路は、上記第1実施例〜第4実施例の回路に限定されず、本明細書中に説明した原理に基づく回路であれば、どのような回路構成としてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1A〜1D、1Z スイッチング電源装置
2 交流電源
3 1次側整流平滑回路
4 整流部
5 平滑部
6 アクティブフィルタ回路
7 メイン電源回路
7a、7b 出力端子
8 メイン電源用DC−DCコンバータ
9 メイン電源用整流平滑回路
10A〜10D、11Z 待機電源回路
10a〜c 出力端子
10d、e 入力端子
11 待機電源用DC−DCコンバータ
12 待機電源用整流平滑回路
13A〜13D、13Z 低電圧検出回路
14 負電圧生成用整流平滑回路
15 比較回路
16A〜16D 基準電圧変更回路
17 時定数回路
18 メイン動作制御回路
19 補助電源用整流平滑回路
20 正電圧生成用整流平滑回路
21 比較回路
C1〜C7 コンデンサ
D2〜D6、D8、D9 ダイオード
D7、D10、D11 ツェナーダイオード
L1、L4 コイル
M1 アクティブフィルタ用スイッチング素子
M2 メイン電源用スイッチング素子
M3 待機電源用スイッチング素子
R1〜R16 抵抗
Rin 起動抵抗
Q1〜Q6 NPNトランジスタ
Na 1次側巻線
Nb 2次側巻線(第1の2次側巻線)
Nd 2次側巻線(第2の2次側巻線)
T1 メイン電源用トランス
T2 待機電源用トランス
X2 オペアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン電源電圧を出力するメイン電源回路と、
待機電源電圧を出力する待機電源回路と、
メイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号が入力される入力端子を有し、該入力端子に前記メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号が入力されると、前記メイン電源回路から前記メイン電源電圧を出力させるメイン動作制御回路と、
交流電源からの交流電圧を整流および平滑して1次側直流電圧に変換する1次側整流平滑回路と、
前記メイン動作モード時に前記1次側直流電圧を所定の昇圧電圧に昇圧するアクティブフィルタ回路と、
前記交流電圧の低下を検出する低電圧検出回路と
を備え、
前記メイン電源回路は、前記昇圧電圧をメイン電源用スイッチング素子によりスイッチングし、メイン電源用トランスの2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化して前記メイン電源電圧として出力し、
前記待機電源回路は、前記1次側直流電圧が供給されることにより起動し、前記1次側直流電圧を待機電源用スイッチング素子によりスイッチングし、待機電源用トランスの2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化して待機電源電圧として出力し、
前記低電圧検出回路は、前記待機電源用トランスの2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化した負電圧に基づいて生成された検出電圧と、基準電圧とを比較して前記検出電圧が前記基準電圧よりも小さくなったときに警告信号を出力し、前記交流電圧の低下を検出するスイッチング電源装置において、
前記入力端子と前記低電圧検出回路の間に接続され、前記入力端子に入力される前記メイン動作制御信号の指示に応じて、前記基準電圧を変更する基準電圧変更回路をさらに備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記基準電圧変更回路は、前記待機モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力された場合に、前記基準電圧を第1基準電圧に変更し、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力された場合に、前記基準電圧を前記第1基準電圧よりも小さな第2基準電圧に変更することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記基準電圧変更回路は、時定数回路をさらに含み、
前記時定数回路は、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力されてから所定期間経過後に、前記第1基準電圧を前記第2基準電圧に変更することを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記所定期間は、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力されてから、前記1次側直流電圧が前記昇圧電圧に昇圧されるまでの期間以上であることを特徴とする請求項3に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
メイン電源電圧を出力するメイン電源回路と、
待機電源電圧を出力する待機電源回路と、
メイン動作モードと待機モードのいずれかを指示するメイン動作制御信号が入力される入力端子を有し、該入力端子に前記メイン動作モードを指示するメイン動作制御信号が入力されると、前記メイン電源回路から前記メイン電源電圧を出力させるメイン動作制御回路と、
交流電源からの交流電圧を整流および平滑して1次側直流電圧に変換する1次側整流平滑回路と、
前記メイン動作モード時に前記1次側直流電圧を所定の昇圧電圧に昇圧するアクティブフィルタ回路と、
前記交流電圧の低下を検出する低電圧検出回路と
を備え、
前記メイン電源回路は、前記昇圧電圧をメイン電源用スイッチング素子によりスイッチングし、メイン電源用トランスの2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化して前記メイン電源電圧として出力し、
前記待機電源回路は、前記1次側直流電圧が供給されることにより起動し、前記1次側直流電圧を待機電源用スイッチング素子によりスイッチングし、待機電源用トランスの第1の2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化して待機電源電圧として出力し、
前記低電圧検出回路は、前記待機電源用トランスにおいて前記第1の2次巻線とは別に設けられた第2の2次巻線に誘起されたスイッチング電圧を直流化した正電圧に基づいて生成された検出電圧と、基準電圧とを比較して前記検出電圧が前記基準電圧よりも大きくなったときに警告信号を出力し、前記交流電圧の低下を検出するスイッチング電源装置において、
前記入力端子と前記低電圧検出回路の間に接続され、前記入力端子に入力される前記メイン動作制御信号の指示に応じて、前記基準電圧を変更する基準電圧変更回路をさらに備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記基準電圧変更回路は、前記待機モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力された場合に、前記基準電圧を第1基準電圧に変更し、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力された場合に、前記基準電圧を前記第1基準電圧よりも大きな第2基準電圧に変更することを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記基準電圧変更回路は、時定数回路をさらに含み、
前記時定数回路は、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力されてから所定期間経過後に、前記第1基準電圧を前記第2基準電圧に変更することを特徴とする請求項6に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
前記所定期間は、前記メイン動作モードを指示する前記メイン動作制御信号が前記入力端子に入力されてから、前記1次側直流電圧が前記昇圧電圧に昇圧されるまでの期間以上であることを特徴とする請求項7に記載のスイッチング電源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−19583(P2012−19583A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154534(P2010−154534)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】