説明

スイッチ操作ボタンおよびスイッチ機構

【課題】狭い場所にも配置することのできるスイッチ操作ボタンおよび該スイッチ操作ボタンを使用したスイッチ機構を提供する。
【解決手段】スイッチ操作ボタン1は、第1,第2の被押圧部2,3を上面4に備え、下面5側に第1,第2のスイッチを押圧するスイッチ押圧部6,7を設けたボタン本体部8と、ボタン本体部8の第1,第2の被押圧部2,3の中間部において、これら第1,第2の被押圧部2,3を押圧する方向に延びる弾性を有するアーム部9と、で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーソーのように揺動して複数のスイッチを操作する所謂シーソー式のスイッチ操作ボタンおよび該スイッチ操作ボタンを使用したスイッチ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シーソー式のスイッチ操作ボタンおよび該スイッチ操作ボタンを使用したスイッチ機構は、小型の電子機器、例えばCDプレーヤやMDプレーヤ等のディスク記録及び/又は再生装置、カメラ一体型ビデオテープレコーダやデジタルカメラ等に用いられていて、スイッチ操作ボタンの一端側を押圧することにより第1のスイッチを操作し、他端側を押圧することにより第2のスイッチを操作するようになっている。
【0003】
例えば、図13に示すように、シーソー式のスイッチ操作ボタン101は、電子機器102に取付けられていて、一端側の第1の被押圧部103を押圧すると、該第1の被押圧部103が押し下げられて、第1のタクトスイッチ104を押圧操作し、他端側の第2の被押圧部105を押圧すると該第2の被押圧部105が押し下げられて第2のタクトスイッチ106を押圧するようになっている。
【0004】
シーソー式のスイッチ操作ボタン101は、図14に示すように、一端側に前記第1の被押圧部103を設け、他端側に前記第2の被押圧部105を設けたレバー111と、該レバー111の外側に配置された可撓性(弾性)を有する連結部材としてのヒンジ部112と、を備えている。前記ヒンジ部112の略中央部にはボス穴113が設けられている。
【0005】
前記スイッチ操作ボタン101は、図15に示すように、前記ヒンジ部112のボス穴113に電子機器102に設けたボス114を挿入、溶着することにより電子機器102に取付けられている。そして、前述したように、前記レバー111の一端側の第1の被押圧部103を押圧すると、前記第1の被押圧部103が押し下げられて、第1のタクトスイッチ104を押圧操作し、他端側の第2の被押圧部105を押圧することにより第2のタクトスイッチ106を押圧操作するようになっている。なお、図13に示すように、電子機器102側には、レバー支持部材115が設けられている。前記レバー支持部材115は、前記レバー111の下面の中央部を支持している。そして、前記第1,第2の被押圧部103,105を押圧すると前記レバー111は、前記レバー支持部材115の上端部を支点にして揺動(回動)するようになっている。(例えば特許文献1)
【特許文献1】特開平5−205576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記従来のスイッチ操作ボタンおよび該スイッチ操作ボタンを使用したスイッチ機構には、次に述べるような問題点があった。
(1)図14に示すように、レバー111の外側にヒンジ部112を配置しているために、スイッチ操作ボタン101の幅Wが大きなものになる。従って、前記スイッチ操作ボタン101の幅Wよりも狭い場所、例えば図16に示すように、前記幅Wよりも肉厚Tの小さい(W>T)ディスク記録及び/又は再生装置や薄型カメラ201の側面202等に前記スイッチ操作ボタン101を配置することができない。
(2)電子機器102側にレバー支持部材115を設けなければならないという面倒がある。
【0007】
本発明の目的は、狭い場所にも配置することのできるスイッチ操作ボタンおよび該スイッチ操作ボタンを使用したスイッチ機構を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、電子機器側にレバー支持部材を設ける必要のないスイッチ操作ボタンおよび該スイッチ操作ボタンを使用したスイッチ機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスイッチ操作ボタンは、電子機器に取付けられて一端側の第1の被押圧部を押圧すると該第1の被押圧部が押し下げられて電子機器に設けた第1のスイッチを押圧操作し、他端側の第2の被押圧部を押圧すると該第2の被押圧部が押し下げられて電子機器に設けた第2のスイッチを押圧操作するスイッチ操作ボタンであって、該スイッチ操作ボタンを、前記第1,第2の被押圧部を第1の面に備え該第1の面と反対側の第2の面に前記第1,第2のスイッチを押圧するスイッチ押圧部を設けたボタン本体部と、該ボタン本体部の前記第1の被押圧部と第2の被押圧部の中間部において、これら第1,第2の被押圧部を押圧する方向に延びる弾性を有するアーム部と、で構成すると共に、前記アーム部の先端部を電子機器に取付けた。
【0010】
前記アーム部を、前記ボタン本体部から第1,第2の被押圧部を押圧する方向に延びるアーム本体部と、該アーム本体部の先端部から両側に向かって延びる一対の補助アーム部と、で構成した。
【0011】
前記補助アーム部の先端部に、ボス受部を設け、該ボス受部に前記電子機器に設けたボス部を挿入して、該ボス部に前記補助アーム部の先端部を取付け固定した。また、前記一対の補助アーム部の先端部を、前記アーム本体部の先端部よりも前記スイッチ操作ボタン側に位置させた。前記ボタン本体部の前記アーム部の根元部分に軸部を設け、該軸部を電子機器の軸受部に回動可能に支持した。
【0012】
電子機器に取付けられてスイッチ操作ボタンの一端側の第1の被押圧部を押圧すると該第1の被押圧部が押し下げられて電子機器に設けた第1のスイッチを押圧操作し、他端側の第2の被押圧部を押圧すると該第2の被押圧部が押し下げられて電子機器に設けた第2のスイッチを押圧操作するスイッチ機構において、前記スイッチ操作ボタンを、前記第1,第2の被押圧部を第1の面に設け、該第1の面と反対側の第2の面に前記第1,第2のスイッチを押圧するスイッチ押圧部を設けたボタン本体部と、該ボタン本体部の前記第1の被押圧部と第2の被押圧部の中間部においてこれら第1,第2の被押圧部を押圧する方向に延びる弾性を有するアーム部と、で構成し、該アーム部の先端部が電子機器に取付けた。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスイッチ操作ボタンは、ボタン本体部の第1のスイッチ押圧部と第2のスイッチ押圧部の間に、これら第1,第2の被押圧部を押圧する方向に延びる弾性を有するアーム部を設け、該アーム部の先端部を電子機器に取付ける構成にしたので、アーム部の存在によってスイッチ操作ボタンの幅が拡大するのを防止することができ、肉厚の小さなディスク記録及び/又は再生装置やデジタルカメラの側面等にスイッチ操作ボタンを配置することが可能になる。
【0014】
前記アーム部を、前記ボタン本体部から第1,第2の被押圧部を押圧する方向に延びるアーム本体部と、該アーム本体部の先端部から両側に向かって延びる一対の補助アーム部と、で構成したので、一方の補助アーム部の先端部と他方の補助アーム部の先端部の2箇所において、前記アーム部の先端部を確実に電子機器に取付けることができる。
【0015】
前記アーム部の先端部にボス受部を設けたので、該ボス受部に前記電子機器に設けたボス部を挿入して、該ボス部に前記補助アーム部の先端部を確実、容易に取付け固定することができる。また、前記一対の補助アーム部の先端部を、前記アーム本体部の先端部よりも前記スイッチ操作ボタン側に位置させたので、前記アーム部の長さの範囲内に前記一対の補助アーム部の先端部を位置を収めることができる。
【0016】
また、ボタン本体部の前記アーム部の根元部分に軸部を設け、該軸部を電子機器の軸受部に回動可能に支持したので、前記軸部を中心にして、前記ボタン本体部を回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1はスイッチ操作ボタン1の斜視図、図2はスイッチ操作ボタン1を背面側から見た斜視図、図3のAはスイッチ操作ボタン1の正面図、図3のBは平面図、図3のCは底面図、図3のDは左側面図、図3のEは左側面図、図4は図3のAのa−a断面図、図5は図3のBのb−b断面図である。
【0018】
前記スイッチ操作ボタン1は、前記第1,第2の被押圧部2,3を第1の面(以下、上面と称する)4側に備え、該上面4と反対側の第2の面(以下、下面と称する)5側に第1,第2のスイッチ押圧部6,7を設けたボタン本体部8と、該ボタン本体部の前記第1,第2の被押圧部2,3(第1,第2のスイッチ押圧部6,7)の中間部において、これら第1,第2の被押圧部2,3を押圧する方向(P方向)に延びる弾性を有するアーム部9と、を備えている。図5に示すように、前記ボタン本体部8は、中空状に形成されていて、前記下面5側に前記第1,第2のスイッチ押圧部6,7およびアーム部9が突出している。
【0019】
図1〜図3に示すように、前記アーム部9は、先端部に両側に向かって延びる一対の補助アーム部10,11と、を備えている。これら補助アーム部10,11の先端部には丸穴状のボス受部12が設けられている。前記一対の補助アーム部10,11の先端部、即ち丸穴状のボス受部12は、前記アーム部9の先端13よりも前記ボタン本体部8側に位置している。換言すれば、図3のAに示すように、前記ボタン本体部8の下面5から前記ボス受部12までの距離L1は、前記ボタン本体部8の下面5から前記アーム部9の先端13までの距離L2よりも小になっていて(L1<L2)、前記距離L2を大きくすることなく前記補助アーム部11,12の長さをより長くすることができるようになっている。
【0020】
前記ボタン本体部8は、前記アーム部9の根元部分に軸部14を備えている。前記軸部14は、前記ボタン本体部8の第1の側面15側に設けられている。一方、前記アーム部9は、前記第1の側面15と反対側の第2の側面16側に設けられている。前記ボタン本体部8の上面4の前記第1の被押圧部2の近傍には、被押圧部2であることを示唆するための突起17が形成されている。なお、前記スイッチ操作ボタン1は、プラスチックにより一体的に形成されている。
【0021】
次に、前記スイッチ操作ボタン1の使用方法並びに前記スイッチ操作ボタン1を使用したスイッチ機構の一例について説明する。
【0022】
前記スイッチ操作ボタン1は、CDやMD等のディスクプレーヤ、デジタルカメラ等の小型電子機器に使用される。図6、図7に示すように、前記スイッチ操作ボタン1は、前記軸部14を小型電子機器の筐体21内に設けた軸受部22の軸受孔23内に挿入し、且つ、前記一対の補助アーム部10,11の先端のボス受部12に前記小型電子機器の筐体21の内面に設けたボス25を挿入、固定することにより、前記軸部14を中心にして回動可能に前記筐体21内に取付けられていて、前記ボタン本体部8の上面4が前記筐体21の側面26に設けた切欠き窓部27から外部に臨んでいる。
【0023】
前記小型電子機器の筐体21内には、前記ボタン本体部8の下面5側から突出する前記第1,第2のスイッチ押圧部6,7に対応する位置に第1,第2のタクトスイッチ31,32が配置されて、例えばボリューム用のスイッチ機構が構成されている。
【0024】
次に、前記スイッチ操作ボタン1並びにスイッチ機構の作用について説明する。前記スイッチ操作ボタン1を押圧、操作しない状態においては、図8に示すように、前記弾性を有するアーム部9のバネ力は、前記軸部14を中心にして前記ボタン本体部8の両側に均等に作用して、前記ボタン本体部8を傾斜させることなく、前記アーム部9に対して前記ボタン本体部8を直角(以下、水平状態と称する)に支持する。この状態においては、前記第1,第2のタクトスイッチ31,32のいずれも押圧、操作されていない。
【0025】
この状態から、前記ボタン本体部8の上面4の第1の被押圧部2を押圧すると、図9に示すように、前記ボタン本体部8は、前記軸部14を中心にして、反時計方向に回動して、前記第1のスイッチ押圧部6で前記第1のタクトスイッチ31を押圧、操作する。このとき、前記アーム部9が図9の右方に撓う。前記第1の被押圧部2の押圧を解除すると、前記ボタン本体部8は、前記アーム部9の復元力で元の水平状態に復帰して、前記第1のタクトスイッチ31の押圧を解除する。
【0026】
また、前記ボタン本体部8の上面4の第2の被押圧部3を押圧すると、図10に示すように、前記ボタン本体部8は、前記軸部14を中心にして、時計方向に回動して、前記第2のスイッチ押圧部7で前記第1のタクトスイッチ32を押圧、操作する。このとき、前記アーム部9が図10の左方に撓う。前記第2の被押圧部3の押圧を解除すると、前記ボタン本体部8は、前記アーム部9の復元力で元の水平状態に復帰して、前記第2のタクトスイッチ32の押圧を解除する。なお、上記実施例では、前記アーム部9の先端に補助アーム部10,11を設け、該補助アーム部10,11の先端を固定する構成にしたが、これは補助アーム部10,11を含むアーム部9全体の長さをより長くすることによりアーム部9のバネ定数を下げて、アーム部9をより撓み易くするためである。図11に示すように、補助アーム部10,11を設けることなく、アーム部9の先端にボス受部12等を設け、アーム部9の先端を直接、固定する構成にしても良い。また、図12に示すように、軸部14を挿入する前記軸受孔23を長孔状に形成し、前記ボタン本体部8を水平状態に保ったままの状態で押し下げることを可能にし、前記ボタン本体部8の下面5の略中央部に設けたの第3のスイッチ押圧部18で第3のタクトスイッチ33を押圧する構成にしても良い。その他の構成は、図1〜図10に示す基本となる実施例の場合と同じであるので重複する説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】スイッチ操作ボタンの斜視図。
【図2】スイッチ操作ボタンを背面側から見た斜視図。
【図3】Aはスイッチ操作ボタンの正面図、Bは同平面図、Cは同底面図、Dは同左側面図、Eは右側面図。
【図4】図3のAのa−a断面図。
【図5】図3のBのb−b断面図。
【図6】スイッチ操作ボタンを組付けた状態の斜視図。
【図7】スイッチ操作ボタンを組付けた状態の断面図。
【図8】第1,第2のスイッチ押圧部を押圧していない状態の平面図。
【図9】第1のスイッチ押圧部を押圧した状態の平面図。
【図10】第2のスイッチ押圧部を押圧した状態の平面図。
【図11】他の実施例を示す平面図。
【図12】他の実施例を示す平面図。
【図13】従来例の断面図。
【図14】従来のスイッチ操作ボタンの平面図。
【図15】図14のa−a断面図。
【図16】従来例の問題点を示す説明図。
【符号の説明】
【0028】
1…スイッチ操作ボタン、2…第1の被押圧部、3…第2の被押圧部、4…スイッチ操作ボタンの第1の面(上面)、5…スイッチ操作ボタンの第2の面(下面)、6…第1のスイッチ押圧部、7…第2のスイッチ押圧部、8…ボタン本体部、9…アーム部、10,11…一対の補助アーム部、12…ボス受部、14…軸部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に取付けられて一端側の第1の被押圧部を押圧すると該第1の被押圧部が押し下げられて電子機器に設けた第1のスイッチを押圧操作し、他端側の第2の被押圧部を押圧すると該第2の被押圧部が押し下げられて電子機器に設けた第2のスイッチを押圧操作するスイッチ操作ボタンであって、
前記スイッチ操作ボタンは、前記第1,第2の被押圧部を第1の面に備え、該第1の面と反対側の第2の面に前記第1,第2のスイッチを押圧するスイッチ押圧部を設けたボタン本体部と、該ボタン本体部の前記第1の被押圧部と第2の被押圧部の中間部においてこれら第1,第2の被押圧部を押圧する方向に延びる弾性を有するアーム部と、を備え、該アーム部の先端部が電子機器に取付けられていることを特徴とするスイッチ操作ボタン。
【請求項2】
前記アーム部は、先端部に両側に向かって延びる一対の補助アーム部と、を備え、前記一対の補助アーム部の先端部が前記電子機器に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ操作ボタン。
【請求項3】
前記補助アーム部の先端部にボス受部を設け、該ボス受部に前記電子機器に設けたボス部を挿入して、該ボス部に前記補助アーム部の先端部を固定したことを特徴とする請求項2に記載のスイッチ操作ボタン。
【請求項4】
前記一対の補助アーム部の先端部は、前記アーム本体部の先端部よりも前記ボタン本体部側に位置していることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ操作ボタン。
【請求項5】
前記ボタン本体部は、前記アーム部の根元部分に軸部を備えていて、該軸部が電子機器の軸受部に回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ操作ボタン。
【請求項6】
電子機器に取付けられてスイッチ操作ボタンの一端側の第1の被押圧部を押圧すると該第1の被押圧部が押し下げられて電子機器に設けた第1のスイッチを押圧操作し、他端側の第2の被押圧部を押圧すると該第2の被押圧部が押し下げられて電子機器に設けた第2のスイッチを押圧操作するスイッチ機構であって、
前記スイッチ操作ボタンは、前記第1,第2の被押圧部を第1の面に備え、該第1の面と反対側の第2の面に前記第1,第2のスイッチを押圧するスイッチ押圧部を設けたボタン本体部と、該ボタン本体部の前記第1の被押圧部と第2の被押圧部の中間部においてこれら第1,第2の被押圧部を押圧する方向に延びる弾性を有するアーム部と、を備え、該アーム部の先端部が電子機器に取付けられていることを特徴とするスイッチ機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate