説明

スイッチ構造並びにそれを備える電子機器及び光学機器

【課題】押圧釦のストロークの変更を容易に行うことのできるスイッチ構造及び電子機器を提供する。
【解決手段】本発明のスイッチ構造は、押圧部23と、押圧部23から延びる延在部25とを有し、延在部25の側面の所定位置に第1導通部32が形成された押圧釦9と、押圧釦9の延在部25が挿入される挿入孔28が設けられた釦受け部21と、前記挿入孔28の内面に形成された、該挿入孔28の深さ方向に延びる第2導通部34と、前記挿入孔28の開口端部からの距離が異なる複数の位置に形成された複数の第3導通部36と、を備え、押圧釦9の延在部25が挿入孔28に挿入されたときに、第1導通部32により、第2導通部34と、延在部25が挿入された深さに応じて前記所定位置に形成された第1導通部32が接触する第3導通部36と、が導通すること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ構造並びにそれを備える電子機器及び光学機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えばカメラは、レリーズ釦を備えている。従来、そのレリーズ釦の押し力量は、レリーズ釦の付勢ばねの力量を機械的に変更することにより調整されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−295299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、レリーズ釦の半押しや全押しの際のストロークの変更を簡単な構造で達成できる技術は知られていない。
【0005】
本発明の課題は、押圧釦のストロークの変更を容易に行うことのできるスイッチ構造及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、挿入孔(31C,61B)が設けられ、該挿入孔(31C,61B)の内面に形成された深さ方向に延びる第1導通部(34,66)、及び、前記挿入孔(31C,61B)の開口端部からの距離が異なる複数の位置に形成された複数の第2導通部(35,67)を有する本体部(10B)と、押圧部(32A,64A)、及び、前記押圧部(32A,64A)の押圧によって前記挿入孔(31C,61B)に挿入される挿入部(32B,62A)を有すると共に、該挿入部(32B,62A)の側面の所定位置に第3導通部(36,68)が形成された挿入部材(32,62,64)と、前記複数の第2導通部(35,67)のうちの、いずれの前記第2導通部(35,67)を外部と導通させるかを切り替える切替部(40)と、を備え、前記押圧部(32A,64A)の前記挿入部(32B,62A)が前記挿入孔(31C,61B)に挿入された際に、前記第3導通部(36,68)は、一方で前記第1導通部(34,66)と導通しつつ、他方で挿入深さに応じていずれかの前記第2導通部(35,67)と導通し、前記第3導通部(36,68)が、前記切替部(40)により選択された前記第2導通部(35,67)と導通したときに、前記第1導通部(34,66)が前記第3導通部(36,68)及び前記第2導通部(35,67)を介して外部と導通すること、を特徴とするスイッチ構造(1)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ構造(1)であって、前記切替部(40)は、前記第2導通部(35)のそれぞれ(35Aa,35Ab,35Ac,35Ba,35Bb,35Bc,35Bd)と導通する複数の接点部(41a,41b,41c,42a,42b,42c,42d)と、該接点部(41a,41b,41c,42a,42b,42c,42d)間をスライド移動可能なスライド部(41C,42C)と、を有することを特徴とするスイッチ構造(1)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスイッチ構造(1)であって、複数の前記第2導通部(35)がグループ分けされており、前記切替部(40)がグループごとに設けられていること、を特徴とするスイッチ構造(1)である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスイッチ構造(1)であって、前記複数の前記第2導通部(35)が前記挿入孔(31C,61B)の開口端部に近い側の第1グループ(35Aa,35Ab,35Ac)と、遠い側の第2グループ(35Ba,35Bb,35Bc,35Bd)とにグループ分けされ、前記切替部(40)が、前記第1グループに対応する第1切替部(41)と、前記第2グループに対応する第2切替部(42)と、有することを特徴とするスイッチ構造(1)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ構造(1)であって、前記挿入部材(64)は、前記押圧部(64A)と、該押圧部(64A)から延びる延在部(64B)を有する第1挿入部材(64)と、前記挿入部(62A)と、前記第1挿入部材(64)の前記延在部(64B)が挿入される開口部(62C)と、を有する第2挿入部材(62)と、を有し、前記第1挿入部材(64)を前記開口部(62C)に挿入していくと、前記第1挿入部材(64)の前記押圧部(64A)が前記第2挿入部材(62)の上面に当接し、さらなる前記押圧部(64A)の押圧により、前記第1挿入部材(64)と前記第2挿入部材(62)とが一体となって、前記挿入部(61B)に挿入されること、を特徴とするスイッチ構造(1)である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のスイッチ構造(1)であって、前記挿入部(62A)の内面に第4導通部(62a)が設けられ、前記延在部(64B)の外面に第5導通部(64a)が設けられ、前記第1挿入部材(64)の前記延在部(64B)を前記挿入部(62A)に挿入していき、第5導通部(64a)が第4導通部(62a)と接触するとオンになる第1スイッチ(71)を備えること、を特徴とするスイッチ構造(1)である。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載のスイッチ構造(1)であって、前記第2挿入部材(62)の上面の前記第1挿入部材(64)の前記押圧部(64A)に対する相対的位置を変更する位置調整部材(63)を備えること、を特徴とするスイッチ構造(1)である。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のスイッチ構造(1)であって、前記導通部(34,35,36,62,64a,66,67,68)の少なくとも一つは二色成型により形成されていること、を特徴とするスイッチ構造(1)である。
請求項9に記載の発明は、請求項4に記載のスイッチ構造(1)を具備し、前記第1切替部(41)によって選択された前記第2導通部(35Aa,35Ab,35Ac)が外部と導通すると半押し状態が検出され、フォーカシング動作が開始され、前記第2切替部(42)によって選択された前記第2導通部(35Ba,35Bb,35Bc,35Bd)が外部と導通すると全押し状態が検出され、シャッタレリーズ動作が開始されること、を特徴とする光学機器(10)である。
請求項10に記載の発明は、請求項6に記載のスイッチ構造(1)を具備し、前記第1スイッチ(71)がオンになると前記第4導通部(62b)が外部と導通して半押し状態が検出され、フォーカシング動作が開始され、前記切替部によって選択された前記第2導通部(67a,67b,67c,67d)が外部と導通すると全押し状態が検出され、シャッタレリーズ動作が開始されること、を特徴とする光学機器(10)である。
【0007】
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、押圧釦のストロークの変更を容易に行うことのできるスイッチ構造及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態のカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】レリーズスイッチのスイッチ構造を概念的に示す断面図である。
【図3】レリーズ調整部の切り替えスイッチ構造を概念的に示し、(A)は半押し調整スイッチ、(B)は全押し調整スイッチの断面図である。
【図4】レリーズストローク調整制御回路のブロック図である。
【図5】第2の実施形態のレリーズスイッチのスイッチ構造を概念的に示す断面図である。
【図6】中間フロートの斜視図である。
【図7】調整リングの斜視図である。
【図8】第2の実施形態のレリーズストローク調整制御回路のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態のスイッチ構造について説明する。なお、本実施形態では、一眼レフのデジタルカメラを例に説明するが、これに限定されず、いわゆるコンパクトカメラでもよく、さらにカメラに限らず、スイッチ構造を有するものであれば、他の電子機器であってもよい。
【0011】
図1は、電子機器及び光学機器としてのカメラ10の構成を示すブロック図である。
カメラ10は、光軸OAに沿って、撮影レンズ11、ミラー部12及び撮像素子13を備えている。また、撮影レンズ11に入射した光のうちの、ミラー部12によって図中上方に向けられた光が入射するファインダー部14と、ミラー部12によって図中下方に向けられた光が入射する測距部15とを備えている。カメラ10は、また、撮像素子13及び測距部15からの情報が入力される制御部20を備えている。カメラ10は、さらに、レリーズスイッチ30、レリーズ調整部40、操作部16、表示部17、及びフォーカス制御部18を備えている。なお、レリーズスイッチ30とレリーズ調整部40とで本実施形態のスイッチ構造1を構成する。
制御部20には、レリーズスイッチ30、レリーズ調整部40、操作部16、表示部17、及びフォーカス制御部18が接続されている。
【0012】
撮影レンズ11は、被写体像光を撮像素子13の撮像面等に結像させる光学系であり、この光学系の焦点位置を調整するためのフォーカスレンズを含む複数のレンズ群を備えている。
【0013】
ミラー部12は、撮影レンズ11の出射側に配置されており、メインミラー12a及びサブミラー12bを備えている。
メインミラー12aは、撮影レンズ11を通過した光をファインダー部14に向けて反射する鏡である。メインミラー12aは、その一部がハーフミラーとなっており、光の一部を透過させる。また、メインミラー12aは、撮影時にレリーズスイッチ30が押圧操作されると、その端部に設けられた不図示の軸の回りに回動して反射面が光軸Aに対して略平行となる位置に退避すると共に撮影終了後には初期位置に戻る、いわゆる、クイックリターンミラーである。
サブミラー12bは、メインミラー12aのハーフミラー部分を透過した光の進路を、例えば90°、メインミラー12aとは反対の方向に屈曲させて後述する測距部15に反射させる鏡である。
【0014】
撮像素子13は、メインミラー12aが退避したときに、光軸Aに沿った光が届く位置に設けられ、撮影レンズ11が結像した像を電気信号に変換する例えばCCD等の撮像素子である。
ミラー部12と撮像素子13との間には、露光時間を制御するシャッタ19が設けられている。
【0015】
ファインダー部14は、メインミラー12aによって図中上方に反射偏向された光が入射するものであり、ペンタプリズム14aと焦点板14bと備えている。
ペンタプリズム14aは、メインミラー12aが反射した光の進路を屈曲させて接眼部(接眼レンズ14c)に導く光学素子である。ペンタプリズム14aは、例えば、カメラ10を通常撮影位置としたときに、ミラー部12の上方に設けられている。なお、本明細書において、カメラの通常撮影位置とは、光軸を水平にして横長の画像を撮影する際のカメラの位置をさすものとする。
【0016】
測距部15は、サブミラー12bによって屈曲された光を2つに分けて視差のある二つの像を生成し、生成した二つの像をそれぞれ電気信号に変換する。そして、変換した電気信号を制御部20に出力する。
【0017】
制御部20は、カメラ10を構成する各要素を統括的に制御する情報処理部である。制御部20は、測距部15からの出力に基づいて、デフォーカス量を算出する。そして、フォーカス制御部18により公知の位相差検出方式のオートフォーカス制御(AF制御)を行い、デフォーカス量がゼロとなるようにAFモータ11Mを作動させてフォーカスレンズを駆動する。
【0018】
また、制御部20は、撮像素子13により電気信号に変換された撮像情報を図示しない記録メディアに保存すると共に表示部17に表示するように制御する。さらに、制御部20は、表示部17に各種操作画面を表示させ、操作部16の操作によって表示部17の画面上で任意の項目を選択できるように制御する。
【0019】
レリーズスイッチ30は、フォーカス制御部18や露出測光及びシャッタ19等の撮影に係る機能を作動させるための押し釦スイッチである。使用者の押圧操作による押圧ストローク(半押し状態及び全押し状態)に応じて、異なる作用のスイッチとして機能する。
【0020】
レリーズ調整部40は、レリーズスイッチ30の押圧操作に係る押圧ストローク(半押し状態及び全押し状態)を、変更調整するためのスイッチ(半押し調整スイッチ41及び全押し調整スイッチ42)を備えている。これにより、各作用に係るレリーズスイッチ30の押圧ストロークをユーザの好みに合わせることができるようになっている。
なお、レリーズスイッチ30及びレリーズ調整部40の構成及び作用については、後に詳述する。
【0021】
操作部16は、図示しない操作キーやメニュー釦、再生釦等の各種スイッチを含み、それらの操作によって後述する表示部17に表示された各種機能の選択乃至解除等を行うことができるようになっている。
【0022】
表示部17は、LCD等からなり、カメラ10のボディ背面に設けられており、撮影済みの画像やスルー画像を表示する。さらに表示部17は、再生条件、撮影条件、カメラの基本設定等の設定が可能なメニュー画面等を表示することができるようになっている。
【0023】
つぎに、レリーズスイッチ30及びレリーズ調整部40の構成及び作用について詳細に説明する。
図2は、本実施形態のレリーズスイッチ30のスイッチ構造を概念的に示す断面図である。図3は、レリーズ調整部40の切り替えスイッチ構造を概念的に示し、(A)は半押し調整スイッチ41、(B)は全押し調整スイッチ42の断面図である。図4は、レリーズスイッチ30及びレリーズ調整部40が介設されたレリーズストローク調整制御回路50のブロック図である。
【0024】
図2に示すように、レリーズスイッチ30は、カメラ本体10Bの上面に形成された凹状の支持部31と、この支持部31に移動可能に支持されたレリーズ釦32と、支持部31及びレリーズ釦32の間に介設されてレリーズ釦32を初期位置に押圧付勢するリターンスプリング33と、を備えて構成されている。
【0025】
そして、レリーズスイッチ30は、リターンスプリング33の押圧付勢力に抗してレリーズ釦32が押圧操作される(押し下げられる)と、その押圧状況(押圧ストローク)に応じて図4に示すレリーズストローク調整制御回路50を接続する。制御部20は、その接続されたレリーズストローク調整制御回路50の電気信号に基づいて、レリーズの半押し及び全押しの制御を行うようになっている。本実施形態では、制御部20は、半押しの信号によってフォーカス制御部18を駆動すると共に測光して露出を決定し、全押しの信号によってシャッタ19を駆動する。
【0026】
支持部31は、円柱状の凹部31Aの略中央部分に、円筒状の支持壁部31Bが所定高さに立設されている。
支持壁部31Bの中央には挿入孔としての支持嵌合孔31Cが形成されており、この支持嵌合孔31Cに、後述する挿入部材としてのレリーズ釦32の、挿入部としての支持軸部32Bが嵌合している。
【0027】
支持嵌合孔31Cの内周面には、第1導通部としての第1接点部34と、第2導通部としての第2接点部35とが設けられている。この第1接点部34と第2接点部35とは、周方向に隔離し、電気的に絶縁状態として配置されている。これら第1接点部34と第2接点部35が導通状態となることで、レリーズストローク調整制御回路50が接続されるようになっている。
【0028】
第1接点部34は、支持壁部31Bの内周面に周方向所定の幅で、支持部31の中心軸方向全域に亘って延設されている。この第1接点部34は、レリーズストローク調整制御回路50のグランド(GND)側に接続されている。
【0029】
一方、第2接点部35は、支持壁部31Bの内周面の第1接点部34と対向する位置に、支持部31の中心軸方向に所定間隔で離隔形成された複数(7個)の第2導通部としての接点35Aa,35Ab,35Ac,35Ba,35Bb,35Bc,35Bdから成っている。これら7個の接点35Aa,35Ab,35Ac,35Ba,35Bb,35Bc,35Bdは、支持部31の中心軸方向に、第1グループとしての半押し接点群35A(接点35Aa,35Ab,35Ac)と、第2グループとしての全押し接点群35B(接点35Ba,35Bb,35Bc,35Bd)との、機能の異なる二群に区分されている。
【0030】
レリーズ釦32は、円盤状の押圧部32Aの下面に、支持軸部32Bと取付脚部32Cとがそれぞれ突設されている。これら支持軸部32Bと取付脚部32Cは、押圧部32Aと一体に形成されている。
押圧部32Aは、使用者によって押圧操作される部位であり、所定厚さの円盤状で、上面は平面となっている。
【0031】
支持軸部32Bは、所定径の円柱状で所定長さに形成されている。この支持軸部32Bが、前述のごとく支持部31の支持嵌合孔31Cに移動可能に嵌合している。支持軸部32Bの外面は、支持嵌合孔31Cの内面に接触しつつ摺動するようになっている。
【0032】
支持軸部32Bの下端近傍の外周面所定位置には、所定幅の第3導通部としての導通部36が周囲を巡って形成されている。
導通部36は、レリーズ釦32が初期位置(押圧操作されない状態)では、支持部31の支持嵌合孔31Cに設けられた第2接点部35の最も上側の接点(接点35Aa)より所定量上側に位置するように設定されている。そして、レリーズ釦32が初期位置から押し下げられて、導通部36が第2接点部35のいずれかの接点(35Aa,35Ab,35Ac,35Ba,35Bb,35Bc,35Bdのいずれか)に接触すると、その接点と第1接点部34とが当該導通部36を介して導通状態となり、レリーズストローク調整制御回路50が接続するようになっている。
【0033】
取付脚部32Cは、押圧部32Aの外周部分の下面から下方に延設されており、その先端が支持部31の底部31Dを貫通している。取付脚部32Cの先端は、フック部32Dとなっており、このフック部32Dが支持部31の底部31Dに係止されている。これによって、レリーズ釦32は、支持部31から外れず、且つ、押圧移動は可能として支持部31に装着されている。この取付脚部32Cは、押圧部32Aに対し、円周方向に離隔して2〜3箇所に設けられることが好ましい。
【0034】
リターンスプリング33は、レリーズ釦32の押圧部32Aの下面と、支持部31の底部31Dとの間に介装されており、その弾性復帰力でレリーズ釦32を支持部31から突出する側(初期状態の側)に押圧付勢している。
【0035】
上記のごとく構成されたレリーズスイッチ30は、リターンスプリング33の付勢力に抗してレリーズ釦32を押圧操作すると、その押圧量に応じて第2接点部35の接点35Aa,35Ab,35Ac,35Ba,35Bb,35Bc,35Bdと第1接点部34とが導通部36を介して導通する。
【0036】
ここで、図4に示すように、レリーズストローク調整制御回路50は、
レリーズスイッチ30の第1接点部34と半押し接点群35Aの接点35Aaとを接続可能な半押し回路51Aa、第1接点部34と接点35Abとを接続可能な半押し回路51Ab、及び、第1接点部34と接点35Acとを接続可能な半押し回路51Acを備えている。
【0037】
また、レリーズストローク調整制御回路50は、レリーズスイッチ30の第1接点部34と全押し接点群35Bの接点35Baとを接続可能な全押し回路51Ba、第1接点部34と接点35Bbとを接続可能な全押し回路51Bb、第1接点部34と接点35Bcとを接続可能な全押し回路51Bc、及び、第1接点部34と接点35Bdとを接続可能な全押し回路51Bdを備えている。
【0038】
そして、半押し回路51Aa,51Ab,51Acのいずれかを択一的に選択し、その回路に介設された第1接点部34と接点35Aa,35Ab,35Acとが導通状態となると、その電気信号で制御部20がレリーズの半押しを判断するようになっている。
また、全押し回路51Ba,51Bb,51Bc,51Bdのいずれかを択一的に選択し、その回路に介設された第1接点部34と接点35Ba,35Bb,35Bc,35Bdとが導通状態となると、その電気信号で制御部20がレリーズの全押しを判断するようになっている。
【0039】
半押し回路51Aa,51Ab,51Ac及び全押し回路51Ba,51Bb,51Bc,51Bdの切り替えは、切替部としてのレリーズ調整部40によって行われる。
すなわち、半押し回路51Aa,51Ab,51Acには、レリーズ調整部40の第1切替部としての半押し調整スイッチ41が接続されており、この半押し調整スイッチ41によって半押し回路51Aa,51Ab,51Acを択一的に切り替えることができるようになっている。また、全押し回路51Ba,51Bb,51Bc,51Bdには、レリーズ調整部40の第2切替部としての全押し調整スイッチ42が接続されており、この全押し調整スイッチ42によって全押し回路51Ba,51Bb,51Bc,51Bdを択一的に切り替えることができるようになっている。
【0040】
図3(A)に示すように、レリーズ調整部40の半押し調整スイッチ41は、カメラ本体10Bに形成されたスイッチ凹部41Aに、スライド部としての切替レバー41Bがカメラ本体10Bの外面に沿って所定のストロークでスライド可能に設けられている。切替レバー41Bの下面には、バネ接点41Cが装着されている。
【0041】
一方、スイッチ凹部41Aの底面には、切替レバー41Bのスライド方向に所定の間隔で半押し回路51Aa,51Ab,51Acとそれぞれ対応する3個の接点部としての接点41a,41b,41cが設けられている。これら3個の接点41a,41b,41cは、レリーズストローク調整制御回路50のグランド側(GND)に接続されている。
【0042】
そして、半押し調整スイッチ41は、切替レバー41Bをスライド操作することで、そのバネ接点41Cが接点41a,41b,41cと接触し、半押し回路51Aa,51Ab,51Acのいずれかが接続状態となる。つまり、半押し回路51Aa,51Ab,51Acの内の一つを選択して接続することになる。
【0043】
このような構成により、半押し調整スイッチ41によって選択された半押し回路51Aa,51Ab,51Acに介設されたレリーズスイッチ30の半押し接点群35Aの接点35Aa,35Ab,35Acが導通状態となると、その半押し回路51Aa,51Ab,51Acが接続されて制御部20が電気信号を検知する。制御部20は、この電気信号を半押し信号として、フォーカス制御部18の駆動及び測光等の所定の作動制御を行う。
【0044】
図3(B)に示すように、レリーズ調整部40の全押し調整スイッチ42は、カメラ本体10Bに形成されたスイッチ凹部42Aに、スライド部としての切替レバー42Bがカメラ本体10Bの外面に沿って所定のストロークでスライド可能に設けられている。切替レバー42Bの下面には、バネ接点42Cが装着されている。
【0045】
一方、スイッチ凹部42Aの底面には、切替レバー42Bのスライド方向に所定の間隔で4個の接点部としての接点42a,42b,42c,42dが設けられている。これら4個の接点42a,42b,42c,42dは、レリーズストローク調整制御回路50のグランド側(GND)に接続されている。
【0046】
そして、全押し調整スイッチ42は、切替レバー42Bのスライド操作によってバネ接点42Cが接点42a,42b,42c,42dと接触することで、全押し回路51Ba,51Bb,51Bc,51Bdのいずれかが接続状態となる。つまり、全押し回路51Ba,51Bb,51Bc,51Bdの内の一つを選択して接続することになる。
【0047】
このような構成により、全押し調整スイッチ42によって選択された全押し回路51Ba,51Bb,51Bc,51Bdに介設されたレリーズスイッチ30の全押し接点群35Bの接点35Ba,35Bb,35Bc,35Bdが導通状態となると、その全押し回路51Ba,51Bb,51Bc,51Bdが接続され、制御部20が電気信号を検知する。制御部20は、この電気信号を全押しの信号として、シャッタ19の駆動等の所定の作動制御を行う。
【0048】
上記のごとく構成されたレリーズスイッチ30及びレリーズ調整部40によれば、半押し調整スイッチ41によって半押し回路51Aa,51Ab,51Acを択一的に切り替えることで、半押しのストロークを三段階のうちから選択することができる。また、全押し調整スイッチ42によって全押し回路51Ba,51Bb,51Bc,51Bdを択一的に切り替えることで、全押しのストロークを四段階のうちから選択することができる。
【0049】
すなわち、半押し回路51Aa,51Ab,51Acに介設された半押し接点群35Aの各接点35Aa,35Ab,35Acは、レリーズスイッチ30の支持部31の中心軸方向(レリーズ釦32の押圧移動方向)に所定間隔で配設されており、したがって、半押し調整スイッチ41による半押し回路51Aa,51Ab,51Acの択一的な選択(接点35Aa,35Ab,35Acの択一的な選択)によって、半押し信号が生ずるレリーズ釦32の押圧ストロークを任意に設定することができる。
【0050】
また、同様に、全押し調整スイッチ42による全押し回路51Ba,51Bb,51Bc,51Bdの択一的な選択によって、全押し信号が生ずるレリーズ釦32の押圧ストロークを任意に設定することができる。
【0051】
なお、本実施形態において、支持部31の第1接点部34及び第2接点部35の各接点35Aa,35Ab,35Ac,35Ba,35Bb,35Bc,35Bdと、レリーズ釦32の導通部36と、レリーズ調整部40の半押し調整スイッチ41の接点41a,41b,41cと、レリーズ調整部40の全押し調整スイッチ42の接点42a,42b,42c,42dとは、樹脂の2色成形により形成されたものである。2色成形は、メッキ用ABS樹脂等のメッキしやすい第1樹脂材料と、ポリカーボネート等のメッキしにくい第2樹脂材料とを用いて行う成形である。
【0052】
例えば、レリーズ釦32を2色成形により成形する場合には、金型に第2樹脂材料を注入して導通部36の対応部分を除いた外形のベースを成形し、次にその金型の一部を交換又は移動して、その交換又は移動によって導通部36の対応部分に空間を形成する。そして、この空間に第1樹脂材料を注入して導通部36の対応部分の外形を形成する。この2色成形で成形された部材に対して化学メッキ処理を行うと、メッキしやすい第1樹脂材料の表面にのみメッキが施され、メッキしにくい第2樹脂材料の表面はメッキされない。化学メッキ処理としては、第1樹脂材料の表面に下地としての銅をメッキする第1メッキ処理を行い、次に銅の上に金をメッキする第2メッキ処理を行う。これにより、レリーズ釦32の支持軸部32Bの外周面に対してリング状の導通部36を形成することができる。
【0053】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)第2接点部35の半押し接点群35Aの各接点35Aa,35Ab,35Ac内のいずれかの接点を選択することによって半押しのストロークを変更することができ、全押し接点群35Bの各接点35Ba,35Bb,35Bc,35Bdの内のいずれかの接点を選択することによって全押しのストロークを変更することができる。これにより、簡単な構造で半押しのストローク及び全押しのストロークを変更することができ、低コスト且つ省スペース化も可能となる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、図5乃至図8に示すレリーズスイッチの第2実施形態を説明する。
図5は、本実施形態のレリーズスイッチ60のスイッチ構造を概念的に示す断面図である。図6は、半押しストロークを規定する中間フロート62の斜視図である。図7は、半押しストロークを可変調整する調整リング63の斜視図である。図8は、レリーズスイッチ60が介設されたレリーズストローク調整制御回路70のブロック図である。
【0055】
図5に示すように、レリーズスイッチ60は、カメラ本体10Bの上面に形成された凹状の支持部61と、この支持部61に移動可能に支持された第2挿入部材としての中間フロート62と、中間フロート62の位置を調整する位置調整部材としての調整リング63と、中間フロート62に移動可能に支持された第1挿入部材としてのレリーズ釦64と、支持部61及び中間フロート62の間に介設されて中間フロート62を外側に向けて押圧付勢する付勢スプリング65Aと、支持部61及びレリーズ釦64の間に介設されてレリーズ釦64を初期位置に押圧付勢するリターンスプリング65Bと、により構成されている。
【0056】
そして、レリーズスイッチ60は、リターンスプリング65Bの押圧付勢力に抗してレリーズ釦64が押圧操作される(押し下げられる)と、その押圧状況(押圧ストローク)に応じてレリーズストローク調整制御回路70を接続する。制御部20は、その接続されたレリーズストローク調整制御回路70の電気信号に基づいてレリーズの半押し及び全押しの制御(フォーカス制御部の駆動や測光等及びシャッタの駆動)を行う。
【0057】
支持部61は、大径の大径部61Aの中央に小径の挿入孔としての小径部61Bが形成されて、径の異なる二段に形成されている。
小径部61Bには、後述する中間フロート62のフロート本体62Aが移動可能に嵌合しており、これによって支持部61が中間フロート62を支持している。
小径部61Bの内周面には、第1導通部としての第1接点部66と、第2導通部としての第2接点部67とが設けられている。第1接点部66と第2接点部67とは、周方向に隔離し、電気的に絶縁状態として配置されている。これら第1接点部66と第2接点部67とが導通状態となることでレリーズストローク調整制御回路70が接続されるようになっている。
【0058】
第1接点部66は、小径部61Bの内周面に周方向所定の幅で、小径部61Bの中心軸方向には後述する第2接点部67の配設域全域に亘って延設されている。この第1接点部66は、レリーズストローク調整制御回路70のグランド(GND)側に接続されている。
【0059】
一方、第2接点部67は、小径部61Bの内周面の第1接点部66と対向する位置に、支持部61の中心軸方向に所定間隔で離隔形成された複数(4個)の第2導通部としての接点67a,67b,67c,67dを備えている。これら4個の接点67a,67b,67c,67dは、レリーズストローク調整制御回路70として全押しのストローク調整に用いられる。
【0060】
支持部61の大径部61Aの開口縁部には、内周フランジ61Cが所定の厚さで内周側に突出形成されている。その内周フランジ61Cに、調整リング63が装着されている。
【0061】
図6に示すように、中間フロート62は、円筒状の挿入部としてのフロート本体62Aの上縁部に、所定厚さで所定径の円盤状のフランジ62Bを備えている。フランジ62Bの外周縁には、操作突起62Dが径方向所定高さに突設されている。本実施形態では、操作突起62Dは周方向に等間隔で3箇所(すなわち120°間隔で)設けられている。なお、この操作突起62Dの数及び配置は、この例に限らず適宜変更可能である。
【0062】
そして、中間フロート62は、そのフロート本体62Aが、前述のごとく支持部61の小径部61Bに移動可能に嵌合している。フロート本体62Aの外面は、小径部61Bの内面に接触しつつ摺動するようになっている。
【0063】
フロート本体62Aの開口部としての中央孔62Cには、レリーズ釦64の支持軸部64Bが嵌合しており、これによって中間フロート62がレリーズ釦64を支持している。
【0064】
図5に示すように、フロート本体62Aの中央孔62Cの内周面には、それぞれ第4導通部としての第3接点部62aと第4接点部62bとが設けられている。この第3接点部62aと第4接点部62bとは、中間フロート62の中心軸方向には同一位置であるが周方向には隔離し、電気的に絶縁状態として配置されている。第3接点部62aは、レリーズストローク調整制御回路50のグランド(GND)側に接続されている。そして、これら第3接点部62aと第4接点部62bとが導通状態となることで、レリーズストローク調整制御回路70が接続されるようになっている。
【0065】
フロート本体62Aの下端近傍の外周面所定位置には、所定幅の第3導通部としての導通部68が周囲を巡って形成されている。
図5に示すように、導通部68は、中間フロート62が初期位置(押圧操作されない状態)では、支持部61の小径部61Bに設けられた第2接点部67の最も上側の接点67aより上側に位置するように設定されている。そして、初期位置から押し下げられて、その導通部68が第2接点部67のいずれかの接点67a,67b,67c,67dに接触すると、その接点と第1接点部66とが当該導通部68を介して導通状態となり、レリーズストローク調整制御回路70が接続するようになっている。
【0066】
中間フロート62は、当該中間フロート62と支持部61の底部61Dとの間に介設された付勢スプリング65Aによって、図5中上側に押圧付勢されており、その位置は支持部61の大径部61Aの開口部に設けられた調整リング63によって規定されている。
すなわち、中間フロート62の操作突起62Dが、後述する調整リング63の操作カム面63Bに当接し、これによって中間フロート62の上側への移動及び脱落が規制されている。
【0067】
図7に示すように、調整リング63は、概略形状がリング状で、支持部61の開口部の内周フランジ61Cに回転可能に嵌る嵌合部63Aと、中間フロート62の操作突起62Dが当接する操作カム面63Bと、を備えている。
【0068】
操作カム面63Bは、図7中下側に突出した円筒状のリブの下端面であって、周方向の角度に応じて高さが漸次変化するように形成されている。本実施形態では、中間フロート62の操作突起62Dと対応するように、周方向を三等分する領域ごとに同形状が繰り返して形成されている。
【0069】
調整リング63は、その嵌合部63Aで支持部61の内周フランジ61Cに回転自在に装着されており、その操作カム面63Bで、中間フロート62の操作突起62Dの位置(すなわち中間フロート62の位置)を規定している。
【0070】
このような構成により、調整リング63を回転操作することで、操作突起62Dが当接する操作カム面63Bの周方向の位置が変化し、それに伴って操作カム面63Bの高さ(支持部61の中心軸方向の位置)が変化するため、中間フロート62の位置が変化する。
つまり、調整リング63を回転操作することによって、中間フロート62の、支持部61の中心軸方向の位置を調整することができるようになっている。
【0071】
レリーズ釦64は、円盤状の押圧部64Aの下面に、延在部としての支持軸部64Bと取付脚部64Cとがそれぞれ突設されている。これら支持軸部64Bと取付脚部64Cは、押圧部64Aと一体に形成されている。
押圧部64Aは、使用者によって押圧操作される部位であり、所定厚さの円盤状で、上面は平面となっている。
【0072】
支持軸部64Bは、所定径の円柱状で所定長さに形成されている。この支持軸部64Bが、前述のごとく中間フロート62の中央孔62Cに移動可能に嵌合している。支持軸部64Bの外面は、中央孔62Cの内面に接触しつつ摺動するようになっている。
【0073】
支持軸部64Bの所定位置には、所定幅の第5導通部としての導通部64aが周囲を巡って形成されている。
導通部64aは、レリーズ釦64が初期位置(押圧操作されない状態)では、中間フロート62の中央孔62Cに設けられた第3接点部62a及び第4接点部62bより上側に位置するように設定されている。レリーズ釦64が通常位置から押し下げられて、導通部64aが第3接点部62a及び第4接点部62bに接触すると、その第3接点部62aと第4接点部62bとが当該導通部64aを介して導通状態となり、レリーズストローク調整制御回路70が接続するようになっている。
【0074】
取付脚部64Cは、支持軸部64Bの下面中心部から下方に延設されており、その先端が支持部61の底部61Dを貫通している。取付脚部64Cの先端は、大径の脱落防止部64Dとなっており、この脱落防止部64Dが支持部61の底部61Dに係止されている。これによって、レリーズ釦64は、支持部61から外れず、且つ、押圧移動は可能として支持部61に装着されている。
【0075】
リターンスプリング65Bは、レリーズ釦64の押圧部64Aの下面と、支持部61の底部61Dとの間に介装されており、その弾性復帰力でレリーズ釦64を支持部61から突出する側に押圧付勢している。
これにより、レリーズ釦64は、初期状態(図5に示す押圧操作されない状態)において支持部61から最も突出した状態で装着され、押圧部64Aの押圧操作によって支持部61に対してその中心軸方向に移動する。
【0076】
ここで、図5に示す初期状態において、レリーズ釦64の押圧部64Aの下面と、中間フロート62の上面との間隔:Lは、導通部64aと第3接点部62a及び第4接点部62bとの間隔:lより大きく設定されている。中間フロート62は、前述のごとく調整リング63の回転操作によってその位置が支持部61の中心軸方向に移動するために間隔:Lは変化する。しかし、その値が最小の状態においてなお、間隔:lより大きく設定される。
【0077】
また、調整リング63の回転操作による中間フロート62の調節移動範囲は、中間フロート62が突出する側では、間隔:lが間隔:L未満であるように設定される。一方、中間フロート62が陥入する側では、中間フロート62の外周面に形成された導通部68が、支持部61の内周面に形成された第2接点部67の最も上側に位置する接点67aと接しない位置までに設定される。
【0078】
上記のごとく構成されたレリーズスイッチ60は、リターンスプリング65Bの付勢力に抗してレリーズ釦64を押圧操作すると、レリーズ釦64は中間フロート62に対して移動して、その導通部64aが第3接点部62aと第4接点部62bに接触し、導通部64aを介して第3接点部62aと第4接点部62bとが導通する。さらに押圧を続け、レリーズ釦64の押圧部64Aの下面が中間フロート62の上面に当接すると、中間フロート62を付勢スプリング65Aの付勢力に抗して押し下げることとなり、その押圧量に応じて第1接点部66と第2接点部67の接点67a,67b,67c,67dとが導通部68を介して導通する。
【0079】
ここで、図8に示すように、レリーズストローク調整制御回路70は、レリーズスイッチ60の第3接点部62a及び第4接点部62bが介設された半押し回路71を備えている。この第3接点部62aと第4接点部62bとで半押し回路71を断続切替する第1スイッチとしての半押しスイッチ74を構成している。
【0080】
また、レリーズストローク調整制御回路70は、第1接点部66及び第2接点部67の接点67a,67b,67c,67dが介設された全押し回路72a,72b,72c,72dを、並列に備えている。
【0081】
そして、半押し回路71が導通状態となると、その電気信号で制御部20がレリーズの半押しを判断するようになっている。また、全押し回路72a,72b,72c,72dのいずれかを択一的に選択し、その回路に介設された第1接点部66と接点67a,67b,67c,67dが導通状態となると、その電気信号で制御部20がレリーズの全押しを判断するようになっている。
【0082】
上記のごとき構成により、レリーズ釦64の押圧操作によって、導通部64aを介して第3接点部62aと第4接点部62bとが導通すると、半押し回路71が接続されて制御部20が電気信号を検知する。この電気信号が半押しの信号となり、制御部20はフォーカス制御部18の駆動及び測光を行う。
【0083】
ここで、前述のごとく、中間フロート62は、調整リング63の回転操作によって支持部61の中心軸方向に移動可能である。この中間フロート62の移動によって、レリーズ釦64の押圧部64Aの下面と、中間フロート62の上面との間隔:Lは変化する。また、中間フロート62の中央孔62Cに形成された第3接点部62a及び第4接点部62bと、レリーズ釦64の導通部64aとの間隔:lが変化する。その結果、レリーズ釦64の押し初めから半押し回路71が接続されまでのストローク(半押しストローク)が変化する。つまり、調整リング63の回転操作によって中間フロート62の位置を変化させることで、半押しストロークを所定の範囲で任意に設定することができる。
【0084】
一方、全押し回路72a,72b,72c,72dの切り替えは、レリーズストローク調整制御回路70に介設された全押し調整スイッチ73によって行われるようになっている。この全押し調整スイッチ73は、前述の実施形態における全押し調整スイッチ42と同様に構成すればよく、説明は省略する。
【0085】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)全押し調整スイッチ73による全押し回路72a,72b,72c,72dの選択により、全押しのストロークを選択(本実施形態においては四段階のうちから選択)することができる。
すなわち、全押し回路72a,72b,72c,72dに介設された接点67a,67b,67c,67dは、レリーズスイッチ60の支持部61の中心軸方向(レリーズ釦64及び中間フロート62の移動方向)に所定間隔で配設されており、したがって、全押し調整スイッチ73による全押し回路72a,72b,72c,72dの択一的な選択(接点67a,67b,67c,67dの択一的な選択)によって、全押し信号が生ずるレリーズ釦64の押圧ストロークを任意に設定することができる。
【0086】
(2)上記のごとく構成されたレリーズスイッチ60及びレリーズストローク調整制御回路70によれば、レリーズスイッチ60に設けられた調整リング63を回転操作することで半押しストロークを所定の範囲で任意に設定することができる。また、全押し調整スイッチ73によって全押し回路72a,72b,72c,72dを択一的に切り替えることで、全押しのストロークを四段階のうちから選択することができる。
【0087】
(変形形態)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態では、カメラのレリーズスイッチに対して半押しのストローク及び全押しのストロークを変更する場合を説明したが、これに限らず、パソコン等の電子機器の釦に対して適用することができる。すなわち、電子機器の釦に対して、ストロークを変更することにより、そのストロークに応じた処理や表示のスイッチングを行うことができる。
(2)また、ストロークの調節に係る接点の数等は、適宜変更可能である。
(3)さらに、実施形態では、各接点を2色成形によって形成する例を示したが、接点の形成はこれに限らず、通常の樹脂成形を行った後に導電材料を貼り付けて形成してもよい。
【0088】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0089】
1:スイッチ構造、10:カメラ、10B:カメラ本体、30:レリーズスイッチ、31:支持部、31C:支持嵌合孔、32:レリーズ釦、32A:押圧部、32B:支持軸部、34:第1接点部、35:第2接点部、35A:半押し接点群、35Aa,35Ab,35Ac:接点、35B:全押し接点群、35Ba,35Bb,35Bc,35Bd:接点、36:導通部、40:レリーズ調整部、41:半押し調整スイッチ、41B:切替レバー、41C:バネ接点、41a,41b,41c:接点、42:全押し調整スイッチ、42B:切替レバー、42C:バネ接点、42a,42b,42c,42d:接点、60:レリーズスイッチ、61:支持部、61B:小径部、62:中間フロート、62A:フロート本体、62C:中央孔、62a:第3接点部、62b:第4接点部、63:調節リング、64:レリーズ釦、64A:押圧部、64B:支持軸部、64a:導通部、66:第1接点部、67:第2接点部、67a,67b,67c,67d:接点、68:導通部、73:全押し調整スイッチ、74:半押しスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入孔が設けられ、該挿入孔の内面に形成された深さ方向に延びる第1導通部、及び、前記挿入孔の開口端部からの距離が異なる複数の位置に形成された複数の第2導通部を有する本体部と、
押圧部、及び、前記押圧部の押圧によって前記挿入孔に挿入される挿入部を有すると共に、該挿入部の側面の所定位置に第3導通部が形成された挿入部材と、
前記複数の第2導通部のうちの、いずれの前記第2導通部を外部と導通させるかを切り替える切替部と、を備え、
前記押圧部の前記挿入部が前記挿入孔に挿入された際に、前記第3導通部は、一方で前記第1導通部と導通しつつ、他方で挿入深さに応じていずれかの前記第2導通部と導通し、前記第3導通部が、前記切替部により選択された前記第2導通部と導通したときに、前記第1導通部が前記第3導通部及び前記第2導通部を介して外部と導通すること、
を特徴とするスイッチ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ構造であって、
前記切替部は、
前記第2導通部のそれぞれと導通する複数の接点部と、
該接点部間をスライド移動可能なスライド部と、
を有することを特徴とするスイッチ構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスイッチ構造であって、
複数の前記第2導通部がグループ分けされており、
前記切替部がグループごとに設けられていること、
を特徴とするスイッチ構造。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチ構造であって、
前記複数の前記第2導通部が前記挿入孔の開口端部に近い側の第1グループと、
遠い側の第2グループとにグループ分けされ、
前記切替部が、前記第1グループに対応する第1切替部と、前記第2グループに対応する第2切替部と、
有することを特徴とするスイッチ構造。
【請求項5】
請求項1に記載のスイッチ構造であって、
前記挿入部材は、
前記押圧部と、該押圧部から延びる延在部を有する第1挿入部材と、
前記挿入部と、前記第1挿入部材の前記延在部が挿入される開口部と、を有する第2挿入部材と、
を有し、
前記第1挿入部材を前記開口部に挿入していくと、前記第1挿入部材の前記押圧部が前記第2挿入部材の上面に当接し、
さらなる前記押圧部の押圧により、前記第1挿入部材と前記第2挿入部材とが一体となって、前記挿入部に挿入されること、を特徴とするスイッチ構造。
【請求項6】
請求項5に記載のスイッチ構造であって、
前記挿入部の内面に第4導通部が設けられ、
前記延在部の外面に第5導通部が設けられ
前記第1挿入部材の前記延在部を前記挿入部に挿入していき、第5導通部が第4導通部と接触するとオンになる第1スイッチを備えること、
を特徴とするスイッチ構造。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のスイッチ構造であって、
前記第2挿入部材の上面の前記第1挿入部材の前記押圧部に対する相対的位置を変更する位置調整部材を備えること、
を特徴とするスイッチ構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のスイッチ構造であって、
前記導通部の少なくとも一つは二色成型により形成されていること、
を特徴とするスイッチ構造。
【請求項9】
請求項4に記載のスイッチ構造を具備し、
前記第1切替部によって選択された前記第2導通部が外部と導通すると半押し状態が検出され、フォーカシング動作が開始され、
前記第2切替部によって選択された前記第2導通部が外部と導通すると全押し状態が検出され、シャッタレリーズ動作が開始されること、
を特徴とする光学機器。
【請求項10】
請求項6に記載のスイッチ構造を具備し、
前記第1スイッチがオンになると前記第4導通部が外部と導通して半押し状態が検出され、フォーカシング動作が開始され、
前記切替部によって選択された前記第2導通部が外部と導通すると全押し状態が検出され、シャッタレリーズ動作が開始されること、
を特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−177169(P2010−177169A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21537(P2009−21537)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】