説明

スイッチ構造体

【課題】歪みゲージを用いた多方向入力スイッチにおいて誤操作及び破損等を防止することができるスイッチ構造体を提供する。
【解決手段】本スイッチ構造体は、押圧又は接触によりスイッチ操作を行う操作部位を複数具備するノブ4、先端側にノブが取り付けられている軸部31と、軸部の基端側に設けられ、軸部の先端側に加えられる力の方向を検出する複数の歪みゲージ321を具備する検出板32と、を具備する構造体本体3、及びノブを覆うように構造体本体に配設され、且つノブの操作部位を露出させる開口部71〜76を複数具備するガイドカバー7、を備えることを特徴とする。このような、スイッチの各操作部位を手探りで探して、操作する場合であっても、ノブの操作部位以外の部位に手が触れて、誤操作をしてしまうことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーシートの操作を行うことができるシートスイッチ等に用いられる、1軸で多方向入力が可能なスイッチ構造体に関し、更に詳しくは、歪みゲージを用いた多方向入力スイッチにおいて誤操作及び破損等を防止することができるスイッチ構造体に関する。
本スイッチ構造体は、乗用車等の電動シートである、パワーシート操作用のシートスイッチとして主に用いられる。また、室内用等の他のパワーシート操作用スイッチや、空調制御及びテレビ操作等のスイッチとして用いることができる。
【背景技術】
【0002】
自動車に設けられモータ等を用いて、リクライニング角度及びシートの前後位置等のシートの各箇所の調節を行うことができるパワーシートは、近年において調節できる箇所が増え、それに伴ってスイッチ構造体に配設するスイッチ及びノブの数が増加している(例えば、特許文献1を参照。)。このため、利用者が意図する操作に対応したノブと、そのノブの操作方法を把握することが難しくなっている。
これに対応するために、1つのノブで、多方向の入力ができるようにするため、多方向入力装置(例えば、特許文献2及び3を参照。)等を利用することが検討されている。
例えば、特許文献2の多方向入力装置は、歪みセンサによりノブの傾きを検出することができる。また、特許文献3の多方向入力装置は、ノブの傾きのほか、ノブの軸を中心とする回動及びノブの押し込みを、接点や光センサによって検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−97935号公報
【特許文献2】特開2007−250389号公報
【特許文献3】特開2007−48481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2及び3に示す多方向入力装置を用いた場合は、手が軽くノブに接触しただけでスイッチが反応し、シートの調整動作が行われてしまうため、シートの調整箇所を探すために手探りでノブを触ってしまい、誤って動作させてしまうこともあった。また、意図しないでノブに触れてしまったときでも動作するなど、誤操作となる場合がある。
【0005】
また、従来の接点を用いたシートスイッチのノブと軸との接合は、外れやすくなっている。これにより、ノブに大きな力が掛かったときにノブが取り付けられている軸から外れて、軸やスイッチの接点等が破損しないように保護することができる。
一方、歪みゲージを用いたスイッチは、ノブに加わった力が軸を介して歪みゲージに伝達されるようにする必要があるため、ノブと軸とをがたつくことなく固着する必要がある。しかし、ノブに大きな力が掛かったときに、ノブと軸とが固着されていると、軸に力がそのまま伝わるため、スイッチが破損する恐れがある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、歪みゲージを用いた多方向入力スイッチにおいて誤操作及び破損等を防止することができるスイッチ構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.押圧又は接触によりスイッチ操作を行う操作部位を複数具備するノブ、先端側に前記ノブが取り付けられている軸部と、前記軸部の基端側に設けられ、該軸部の先端側に加えられる力の方向を検出する複数の歪みゲージを具備する検出板と、を具備する構造体本体、及び前記ノブを覆うように前記構造体本体に配設され、且つ前記ノブの操作部位を露出させる開口部を複数具備するガイドカバー、を備えることを特徴とするスイッチ構造体。
2.前記ノブの操作部位の表面は、前記ガイドカバーの表面より奥側に位置する上記1.記載のスイッチ構造体。
3.前記検出板は複数の歪みゲージを備え、前記軸部に加えられる複数方向の力を検出する上記2.記載のスイッチ構造体。
4.前記ノブは、車両用電動シートのシート形状の一部分又は全体に対応する形状を備え、且つスイッチ操作により可動する前記車両用電動シートの部位に対応する前記ノブの位置に前記操作部位が具備されている上記3.記載のスイッチ構造体。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスイッチ構造体によれば、接点切替え式のスイッチよりも軽い動作でスイッチ操作が可能な歪みゲージを用いたスイッチであっても、スイッチ操作を行うためのノブを覆うようにガイドカバーを設けることにより、スイッチの各操作部位を手探りで探して、操作する場合であっても、ノブの操作部位以外の部位に手が触れて、誤操作をしてしまうことを防止することができる。また、スイッチ構造体に物をぶつけた等の衝撃によってノブ、軸部及び検出板等を破損しないように保護することができる。
更に、歪みゲージを用いたセンサは、機械的な接点を用いる場合と比べてノブを動かす必要がなく、ノブに加えられた応力によって検出することができるため、従来と比べてノブ間の隙間を極めて狭くすることができる。このため、ガイドカバーを設けた状態であっても、スイッチ構造体の操作面が占める面積を狭くすることができる。
【0008】
また、ノブの操作部位の表面が、ガイドカバーの表面より奥側に位置する場合は、ガイドカバーの表面を指先でなぞるだけでは操作部位に触れることが困難となり、スイッチの各操作部位を手探りで探す場合等に、誤って意図しない操作部位を触って、意図しないスイッチ操作を行うことを防止することができる。更に、ガイドカバーの開口部の底がより深くなるので、手触りであっても操作部位の位置がより分かりやすくなる。
また、軸部に加えられる複数方向の力を検出する場合は、歪みゲージを用いたセンサによってノブに加えられる方向を検出して、その方向に対応するスイッチ操作を行うことができるため、従来の機械的な接点を用いるスイッチ手段と比べて小型化することができ、且つノブの操作方向の自由度が高くすることができる。
更に、ノブが車両用電動シートの各電動による可動要素を操作する一部分又は全部に対応している場合は、ノブの操作部位が対応するシートの位置を視覚的に把握することができ、利用者にとって分かりやすいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施例に係るスイッチ構造体を示す正面図である。
【図2】本実施例に係るスイッチ構造体において、開口部を説明するための底面図である。
【図3】軸部及び検出板を具備する構造体本体を示す模式斜視図である。
【図4】構造体本体にノブを設けた状態を示す模式斜視図である。
【図5】検出板の一方の面を示す模式図である。
【図6】検出板の他方の面を示す模式図である。
【図7】異なる形状のノブを備えるスイッチ構造体を示す正面図である。
【図8】シートの調節位置及び動きを説明するための模式斜視図である。
【図9】異なる形状のノブを備えるスイッチ構造体を示す正面図である。
【図10】異なる形状のノブを備えるスイッチ構造体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜10を参照しながら本発明のスイッチ構造体を詳しく説明する。
本発明に係るスイッチ構造体は、歪みゲージを用いたスイッチの構造体であって、ノブ、先端側にノブが取り付けられている軸部と、軸部の基端側に設けられる複数の歪みゲージを具備する検出板と、を具備する構造体本体、及びノブを覆うように構造体本体に配設され、且つノブの操作部位を露出させる開口部を複数具備するガイドカバーを備えることを特徴とする。また、本スイッチ構造体は任意のケース内に設けられたり、パネル等に取り付けたり等に例示する等、任意の配設方法によって配設することができる。このような例として、車両用電動シートに配設することを挙げることができる。
【0011】
上記「ノブ」は、スイッチ操作を行うための操作部位を複数具備する。また、「操作部位」は、図2及び図4に例示する操作部位42、44、46に示すように、スイッチ操作をする者がノブ4を押圧又は接触するための場所である。このようなノブの形状及び材質等は任意に選択することができる。操作部位を配設する位置は任意に設定できるが、例えば図4に例示するノブ4の側面、即ち軸部31の軸に対して直角となる方向を好例とすることができる。意図すること無しにノブに触れる場合は、軸部の軸と平行な方向から触れることが多いからである。
更に、ノブはスイッチ構造体により制御される対象の形状を模した形状とすることができる。このような例として図7のノブ4に例示するように、図8に例示する車両用電動シート8を側面から見た形状を模したノブとすることができる。また、対象の形状の一部分のみを模した形状としてもよいし、全体を模した形状としても良い。更に、対象の形状の一部分のみを模した形状とした場合は、複数のノブを適宜配置したときに、対象の形状の全体を模するようにすることができる。尚、スイッチ構造体に設けるノブは、対象の形状を模した形状のノブだけに限られず、例えばシートの形状を模したノブと、通常の形状のノブとを共に配設したスイッチ構造体としてもよい。また、各ノブは、独立していてもよいし、蝶番や弾性体等のノブの操作を妨げないものを介してつながっていてもよい。
【0012】
構造体本体に具備する上記「軸部」及び「検出板」は、ノブの操作を検出するためのものである。
軸部は、ノブに加えられた力に応じて検出板に歪みを生じさせることができればよく、その材質、形状及び固定方法は特に問わない。また、軸部の基端部は検出板に設けられるが、その位置や向きは任意に選択することができる。この例として図3の軸部31に例示するように検出板32の中心位置に直交するように設けることを挙げることができる。検出板の全体に対して均一に歪みを与えることができ、歪みの検出が容易になるからである。
ノブに加えられる力によって軸部に加えられる力の方向は任意に選択することができる。この例として、検出板に配設されている基端側を支点として傾けるように力を加える傾動方向、軸部の軸を中心にして回転するように力を加える回動方向、及び軸部の軸方向に押し込んだり引っ張ったりするように力を加える方向等を挙げることができる。これら軸部の傾動方向、回動方向、押し込み及び引っ張り方向等の力の強さは、板状部に設けられている歪みゲージによって検出できる程度の歪みを与える力であればよい。また、これら力を加えることでわずかにノブの位置が変化する場合があるが、それにより他のノブに接触しない程度であれば好ましい。
【0013】
検出板は、軸部の基端側に設けられる板状部、及び複数の歪みゲージを具備する。板状部は、軸部に加えられる力によって変形することができればよく、通常板状である。また、板状部の材質は特に問わず、例えば樹脂及び金属等とすることができる。更に、板状部の形状も特に問わない。
歪みゲージは、自身の形状のひずみを電気抵抗値の変化として検出することができる薄膜抵抗体であり、通常、板状部に貼付される。また、任意の数だけ板状部の任意の位置に設けることができる。例えば、図5に示すように、軸部31を囲うように4つの歪みゲージ321を配設することにより、軸部31の傾動方向の力を検出することができる。更に、図6に示すように、図5とは向きが異なる歪みゲージ321を更に配設することにより軸部31の軸を中心とした回転方向や、軸部31の軸方向の押し込み及び引っ張り等の力を検出することができる。また、歪みゲージは、板状部の片面のみ設けてもよいし、両面に設けてもよい。更に、検出板が複数の板状部を積層して構成され、歪みゲージが板状部のいずれか又はいくつかに設けられていてもよい。
また、歪みゲージによって得られる抵抗値の変化は、コントローラ等によって検出され、所定の信号に加工されてスイッチ構造体外に出力される。この信号は、任意の形式とすることができ、例えば歪みゲージの抵抗値に比例する値とすることができる。更に、抵抗値の変化から軸部31に加えられた力の方向を求めて求められた、その方向に対応するシートの各調節部位を調節するモータ等の制御信号とすることができる。また、歪みゲージの抵抗値変化の大きさに基づいて軸部31に加えられた力の大きさを求め、信号として出力することができる。
更に、軸部に加えられた力がいずれかの方向のどちらとも取れる場合、例えば、1つの構造体本体により左右方向と上下方向とを受け付ける場合において斜め方向の力が加えられる場合は、適宜解釈することができる。例えば、両方向の入力を同時に受け付けてもよいし、一方のみの入力として受け付けてもよいし、入力がないものとしてもよい。
【0014】
上記「ガイドカバー」は、ノブの操作部位以外の場所を触れることができないように、保護するためのカバーであり、ノブを覆うように構造体本体に配設される。また、配設したときに、ノブの各操作部位を触れることができるように形成されている開口部を備えている。この「開口部」は、ノブの各操作部位を触れることができるようガイドカバーに設けられている連通孔である。また、ノブの操作部位の表面は、ガイドカバーの表面より奥側(図1における深さD)に位置するように配設することができる。この「ガイドカバーの表面より奥側」となる深さは、適宜選択できるが、例えば0.5〜5mm(より好ましくは1〜4mm)とすることができる。深さが浅すぎると誤って操作部位に触れることが多くなるし、深すぎると意図して操作部位に触れようとしても困難となるからである。
【0015】
ガイドカバー及びノブを透光性とし、構造体本体にLED等の発光素子を設けることができる。このようなスイッチ構造体は、発光素子の制御によりガイドカバー及びノブを光らせることができる。特に、各操作部位付近に発光素子を備え、操作に応じた点滅を行うことで、操作に対応して動作する部位が明確となり、より操作が容易となる。
【0016】
このようなスイッチ構造体の具体例を説明する。
図1に示す本スイッチ構造体1は、図1に示すように、ケース21及び基板22と、ケース21に設けられた軸部31及び検出板32を具備する構造体本体3と、軸部31の先端側(図4に示す軸部31の先端側312を参照。)にそれぞれ設けられるノブ4と、基板22に設けられ且つ検出板上の歪みゲージに接続される回路部5と、基板22に設けられて端部がケース21外に露出し、且つ回路部に接続されているコネクタ6と、ノブ4を覆うようにケース21に配設されるガイドカバー7と、を備える。
【0017】
ケース21は樹脂製であり、基板22、構造体本体3の検出板、回路部5及びコネクタ6等を収容する。また、基板22は、後述する構造体本体3の検出板上の歪みゲージ321と回路部5との間の配線、及び回路部5とコネクタ6との間の配線がされている。
構造体本体3は、図3に示すように樹脂製で略円柱形状の軸部31と、軸部31の基端側311に設けられている円板形状の検出板32を具備する。また、軸部31は、検出板32の中心に位置し、直交する向きで固定されている。更に、検出板は円筒形状の枠体30内に収まった状態でケース21に設けられており、図5及び6に示すように樹脂製円板の板状部322の両面にそれぞれ4つずつ歪みゲージ321が配設されている。また、歪みゲージ321は、軸部31の基端側311を支点とした傾動の方向、及び回動の方向を板状部322の形状の歪みとして検出できるよう、軸部31を中心とした周りに貼付されている。
【0018】
ノブ4は、略長方形の樹脂製である。また、図1、2及び4に示すように、ノブ4の側面の6箇所には他の部位よりも突出した操作部位41〜46が形成されている。この操作部位41〜46の具体的場所は短手方向の両側面の操作部位41、42、並びに長手方向の端部側側面の操作部位43〜46である。更に、長手方向の一端側が軸部31に接続されており、図1に示すようにノブ4の操作部位41、42に触れて長手方向に力を加えることで、そのまま軸部31の左右方向に力を加えることができる。また、長手方向の軸部31が接続されている側のノブ4の操作部位43、44に触れて短手方向に力を加えることで、軸部31の上下方向に力を加えることができる。更に、長手方向の反対側ノブ4の操作部位45、46に触れて短手方向に力を加えることで、軸部31の回転方向に力を加えることができる。
【0019】
回路部5は、図1に示すように軸部31に加えられた力によって変形する板状部322に貼付されている歪みゲージ321の抵抗値をホイートストンブリッジ等の回路を利用して求め、その変化から軸部31の傾動方向及び回動方向の力を求め、シート8の調節箇所を制御するための駆動信号を生成するソフトウェアを具備するマイクロコントローラ(MCUともいう、図示せず)等からなる。尚、回路部は、マイクロコントローラに限られずデジタル信号プロセッサ、プログラム可能な論理回路、ゲートアレー等の論理回路から構成されていてもよい。
コネクタ6は、回路部5により生成された駆動信号を出力するための端子であり、ワイヤハーネス等によってECU等に接続される。
ガイドカバー7は、ノブ4より一回り大きな略長方形状の樹脂製であり、各操作部位41〜46が露出するように開口部71〜76が設けられている。尚、開口部周縁の表面から操作部位表面までの深さDは約1.5mmである。また、ガイドカバー7の内表面と、ノブ4の表面との隙間は約2mm設けられている。
【0020】
このような、スイッチ構造体は、図1に示すようにガイドカバー7の開口部71〜76に指先を入れて、ノブ4の操作部位41〜46に触れることによって、回路部5が軸部の左右方向、上下方向及び回転方向に加えられる力として検出することができ、それぞれの方向に対応する信号をコネクタ6に出力することができる。
また、ガイドカバー7に触れても、覆っているノブ4と隙間が形成されているため、ガイドカバー7の内表面がノブ4に接触して意図しない信号を出力することを防止することができる。これにより、ノブ4の各操作部位41〜46を手探りで探して、操作する場合であっても、操作部位41〜46以外の部位に手が触れて、誤操作をしてしまうことを防止することができる。また、スイッチ構造体1に物をぶつけた等の衝撃がノブ4に伝わることを防ぎ、ノブ4、軸部31及び検出板32等を破損しないように保護することができる。
【0021】
更に、歪みゲージ321を用いて軸部31に加わった力の方向を検出することにより、軸部31等を可動させる必要がないため構造体本体3を小型化することができる。
更に、3種類の方向を検出するために必要な構造体本体3が1つで済むため、スイッチ構造体の部品点数を減らすことができる。
【0022】
図7に示す他の態様のスイッチ構造体1’は、図8に示す車両用電動シートである自動車のパワーシート8の各調節可能な箇所(例えば矢印91〜93を参照。)をモータ等で操作するためのパワーシートスイッチであり、図7に示すように、ケース21及び基板22と、ケース21に設けられた軸部31及び検出板32を具備する構造体本体3と、軸部31の先端側にそれぞれ設けられるノブと、基板22に設けられ且つ検出板上の各歪みゲージに接続される回路部5と、基板22に設けられて端部がケース21外に露出し、且つ回路部に接続されているコネクタ6と、ノブ4を覆うように配設されるガイドカバー7と、を備える。
尚、ケース21、基板22、構造体本体3、回路部5及びコネクタ6は図1に示すスイッチ構造体1と同様の構成であるため説明を省略する。
【0023】
ノブ4は、樹脂製であり、図8に示すシート8を側面側から見た形状を模している。
ノブ4は、座面部83を模している部位の略中央となる位置に軸部31に接続されている。また、操作部位41、42は、座面部83を模している部位の左右の端部に相当する側面に設けられており、これらに触れると軸部31の左右方向に力を加えることができる。
更に、操作部位43、44は、座面部83を模している部位の略中央となる位置、即ち軸部31の上下に位置する側面に設けられて、これらに触れると軸部31の上下方向に力を加えることができる。
また、操作部位43、44は、背もたれ部82を模している部位の上端の前後に位置する側面に設けられており、これらに触れると軸部31の回転方向に力を加えることができる。
【0024】
このような、パワーシートスイッチであるスイッチ構造体は、図7に示すようにガイドカバー7の開口部71〜76に指先を入れて、ノブ4の操作部位41〜46に触れることによって、軸部の左右方向、上下方向及び回転方向に加えられる力として検出することができる。そして、これら検出された信号を用い、回路部5はシート8の各要素のモータを駆動する駆動信号をコネクタ6に出力する。
これによって座面部83の前後端部の位置に相当する操作部位41、42を触れたときはシート8の前後位置95を調節することができる。また、座面部83の上下の位置に相当する操作部位43、44を触れたときはシート8の高さ96を調節することができる。更に、背もたれ部82に相当する操作部位45、46を触れたときは背もたれ部82のリクライニング角度93を調節することができる。
【0025】
上記の通り、図8に示すシート8の形状を模した図7に示すノブ4の各部位に所定の方向に力を加えると、図8に示すシート8の各調節箇所の調節を行うことができ、ノブ4の各操作部位41〜46が対応するシートの位置が視覚的に把握することができ、利用者にとって分かりやすいものとすることができる。また、歪みゲージを用いて検出するために軸部31に加えるだけでその方向を検出することができる一方、ノブ4がガイドカバー7によって保護されているため、誤操作及び破損等を防止することができる。
【0026】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、本スイッチ構造体はパワーシートスイッチに限られず、空調制御及びテレビ操作等のスイッチ等の電装部品に用いることができる。
また、各例においては、一つのスイッチ構造体1、1’を用いたスイッチを挙げたが、これに限られず、図9及び10に示すように複数の一つのスイッチ構造体本体3a〜3eを組み合わせたスイッチ構造体とすることができる。
【0027】
例えば、図9に示すように、車両用電動シートのシート形状を2分割してそれぞれに模したノブ4a、4b、これらの検出を行う構造体本体3a、3b及びノブ4a、4bを覆って保護するガイドカバー7としたスイッチ構造体11とすることができる。
ノブ4aは、シートの背もたれ部を模しており、上端側の操作部位45a、46aを、開口部を介して触れられることにより、軸部の回転方向の検出ができ、リクライニング角度を調節することができる。また、下端側の操作部位41a、42aを、開口部を介して触れられることにより、軸部の左右方向の検出ができ、サイドサポート(腰の両端位置を支える部分)のせり出し量を調節することができる。
ノブ4bは、シートの座面部を模しており、中央部上下側の操作部位45b、46bを、開口部を介して触れられることにより、軸部の回転方向の検出ができ、シートの高さを調節することができる。また、左右端部の操作部位41b、42bを、開口部を介して触れられることにより、軸部の左右方向の検出ができ、シートの前後位置を調節することができる。更に、右側端部の上下側の操作部位43b、44bを、開口部を介して触れられることにより、軸部の上下方向の検出ができ、座面部の前部のチルト量を調節することができる。
このように、図9に示すスイッチ構造体11は、2つのスイッチ構造体本体3a、3b及びノブ4a、4bを用いることで、5種類の方向を検出することができ、従来の接点を用いたスイッチより部品点数を少なくすることができる。また、歪みゲージを用いた検出はノブ4a、4bが殆ど移動しないため、例えばノブ間の隙間を最短で約1.5mm程度に狭くすることができる。このため、スイッチ構造体の操作面が占める面積を狭くすることができる。更に、複数のノブ4a、4bを1つのガイドカバー7で覆うことにより1つのシートに見せることができ、利用者にとってシートの調整に関するノブであることを、より強く喚起することができる。
【0028】
更に、図10に例示するように、車両用電動シートのシート形状を3つに分割してそれぞれに模したノブ4a〜4c、独立したノブ4d、4e、これらの検出を行う構造体本体3a〜3e、ノブ4a〜4cを覆って保護するガイドカバー7a、及びノブ4d、4eを覆って保護するガイドカバー7b、7cとしたスイッチ構造体12とすることができる。
ノブ4aは、図8に示すシート8のヘッドレスト部81を模しており、上端側の操作部位41a、42aを、開口部を介して触れられることにより、軸部の左右方向の検出ができ、背もたれ部82上部の中折れ量を調節することができる。
ノブ4bは、シートの背もたれ部82を模しており、上端側の操作部位45b、46bを、開口部を介して触れられることにより、軸部の回転方向の検出ができ、リクライニング角度を調節することができる。また、下端側の操作部位41b、42bを、開口部を介して触れられることにより、軸部の左右方向の検出ができ、サイドサポート(腰の両端位置を支える部分)のせり出し量を調節することができる。
ノブ4cは、シートの座面部を模しており、中央部上下側の操作部位45c、46cを、開口部を介して触れられることにより、軸部の回転方向の検出ができ、シートの高さを調節することができる。また、左右端部の操作部位41c、42cを、開口部を介して触れられることにより、軸部の左右方向の検出ができ、シートの前後位置を調節することができる。更に、右側端部の上下側の操作部位43c、44cを、開口部を介して触れられることにより、軸部の上下方向の検出ができ、座面部の前部のチルト量を調節することができる。
ノブ4d、4eは、いずれも略四角形状であり、左右側の操作部位41d、42d、41e、42eを、上下側の操作部位43d、44d、43e、44eを、開口部を介して触れられることにより、各方向の検出を行うことができる。
このように、図12に示すスイッチ構造体は、5つのスイッチ構造体本体3a〜3e及びノブ4a〜4eを用いることで、10種類の方向を検出することができ、従来の接点を用いたスイッチより部品点数を少なくすることができる。また、複数のノブ4a〜4cを1つのガイドカバー7aで覆うことにより1つのシートに見せることができるほか、独立したノブ4d、4eを備えることで、複数種類の入力を容易に視認することができる。
【0029】
また、上記例においてはノブ4a〜4eを用いて10種類の方向を検出するものとしたがこれに限られず、同じ、ノブ4a〜4eを用いて更に多くの方向を検出することができる。例えば、4cの正面に開口部を設け、押し込むことにより軸部31の押し込みを検出することができる。
また、上記例の検出板に具備する歪みゲージは8個であるが、この数に限られず任意の数を設けてもよい。
また、歪みゲージに加わった力の強さを検出し、その強さに対応する信号を生成することができる。このような検出した力の強さは、例えばその強さに対応した速度でシート8の各調節の速度を変える信号として用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本スイッチ構造体は、車両用のシートスイッチとして用いることができる。また、室内用のシートのシートスイッチに用いることができる。更に、稼働する対象を模した複数のノブが一体に見えるように配設し、少ない面積で配設することができるスイッチ構造体に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1、1’、11、12;スイッチ構造体、21;ケース、22;基板、3;構造体本体、30;枠体、31;軸部、32;検出板、321;歪みゲージ、322;板状部、4、4a〜4e;第1ノブ〜第5ノブ、41〜46;操作部位、5;回路部、6;コネクタ、7;ガイドカバー、71〜76;開口部、8;シート、81;ヘッドレスト部、82;背もたれ部、83;座面部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧又は接触によりスイッチ操作を行う操作部位を複数具備するノブ、
先端側に前記ノブが取り付けられている軸部と、
前記軸部の基端側に設けられ、該軸部の先端側に加えられる力の方向を検出する複数の歪みゲージを具備する検出板と、を具備する構造体本体、
及び前記ノブを覆うように前記構造体本体に配設され、且つ前記ノブの操作部位を露出させる開口部を複数具備するガイドカバー、を備えることを特徴とするスイッチ構造体。
【請求項2】
前記ノブの操作部位の表面は、前記ガイドカバーの表面より奥側に位置する請求項1記載のスイッチ構造体。
【請求項3】
前記検出板は複数の歪みゲージを備え、前記軸部に加えられる複数方向の力を検出する請求項2記載のスイッチ構造体。
【請求項4】
前記ノブは、車両用電動シートのシート形状の一部分又は全体に対応する形状を備え、且つスイッチ操作により可動する前記車両用電動シートの部位に対応する前記ノブの位置に前記操作部位が具備されている請求項3記載のスイッチ構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−238531(P2011−238531A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110578(P2010−110578)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】