説明

スイッチ用可動接点ユニットおよびそれを用いたスイッチ装置

【課題】組立作業性が良好であると共に、照光むらや不所望箇所の照光を起こしにくく、且つ操作キーが端押しされてもスイッチ素子の誤動作を防止できるスイッチ用可動接点ユニットと、かかるスイッチ用可動接点ユニットを用いたスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】光源であるLED2を基板1に実装して、可撓性導光板6の側端面6aの一部(入光部6c)にLED2の発光部2aを対向させ、LED2から可撓性導光板6内へ導入された光が導光板6の照光部6bを介して操作キー3の底面に投射されるようにする。可撓性導光板6は密着防止シート12を介して可撓性シート10上に積層する。可撓性シート10の下面の複数箇所に可動接点9を保持し、各可動接点9を基板1上の固定接点7と接離可能に対向させる。可撓性シート10の平滑な上面には各可動接点9の中央部を個別に押圧可能な複数の突起10aを設け、操作キー3が下方の突起10aを介して対応する可動接点9を押し込むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の操作キーによって個別に押圧駆動される複数のスイッチ素子を備えたスイッチ装置に組み込まれて該操作キー群を照光させるスイッチ用可動接点ユニットと、かかるスイッチ用照光部材を用いたスイッチ装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の入力部として、可撓性を有する透光性樹脂からなる導光板の一辺端部に光源を取り付け、この導光板をスイッチ素子群を覆うように基板上に載置して、該基板に光源を接続させることによって、各操作キーが導光板を介して各スイッチ素子の可動接点を固定接点に向けて押圧駆動できるようにすると共に、一辺端部から導光板内へ導入した光源の光を導光板の照光部で屈折させて操作キーの底面に投射させるようにした照光機能付きのスイッチ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このように一辺端部から光源の光が導入できる可撓性の導光板を用いると、光源の数が大幅に低減できるため製造コストおよび消費電力が低減できる。
【特許文献1】特開2001−167655号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら特許文献1に開示された従来技術では、基板上に複数の可動接点を分散して配設する作業や、可撓性の導光板の一辺端部に光源を取り付ける作業が煩雑であり、該導光板を基板上に載置させる際にも、光源を基板と電気的に接続させるための煩雑な作業が必要となるため、組立作業性が悪いという問題があった。
【0004】
そこで本発明者らは、組立作業性を改善するために、複数の可動接点を可撓性シートで保持して、該可撓性シートを基板上に載置することにより可動接点群が一括して配設できるようにすると共に、光源を該基板上に実装して、該可撓性シート上に積層した可撓性の導光板の側端面に該光源の光を入射させるという構造のスイッチ装置を検討した。しかし、可撓性の導光板を可撓性シート上に積層すると両者が密着してしまうため、側端面から導光板内へ導入された光が可撓性シート内へ漏れて乱反射しやすくなり、その結果、操作キー近傍の不所望箇所が照光されてしまったり、それに伴う光の損失で光源から遠い操作キーの光量が不足して照光むらが起こりやすくなる等、別の問題の発生することが判明した。
【0005】
なお、特許文献1に開示された従来技術のように、各操作キーが可撓性の導光板を押し撓めることによって各スイッチ素子の可動接点が固定接点に向けて押圧駆動されるようになっている構造のスイッチ装置においては、操作キーが端押しされたときにスイッチ素子が誤動作しやすいという別の問題もある。すなわち、端押しされて傾いた操作キーは導光板を斜めに押し込むため、この導光板がスイッチ素子の可動接点を押し込む位置が若干ずれることになり、例えば可動接点としてドーム形状の反転ばねを使用しているスイッチ素子の場合には、可動接点の中央部を外れた箇所に押圧操作力が付与されることになって、可動接点が正常に動作しない可能性が高まる。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、組立作業性が良好であると共に、照光むらや不所望箇所の照光を起こしにくく、且つ操作キーが端押しされてもスイッチ素子の誤動作を防止できるスイッチ用可動接点ユニットを提供することにある。また、本発明の第2の目的は、かかるスイッチ用可動接点ユニットを用いたスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の第1の目的を達成するため、本発明のスイッチ用可動接点ユニットは、 光源および複数のスイッチ素子が配設された基板と前記スイッチ素子群を押圧駆動可能な複数の操作キーとの間に介設されて、前記スイッチ素子群の各可動接点を一面に保持した可撓性シートと、この可撓性シートの他面に積層された可撓性導光体とを備えたスイッチ用可動接点ユニットであって、前記可撓性シートと前記可撓性導光体との間に、この可撓性導光体と対向する側の面にのみ微細な凹凸が多数形成された密着防止シートを介在させると共に、前記可撓性シートと前記密着防止シートとの対向面のいずれか一方に前記可動接点群それぞれの所定位置を個別に押圧可能な複数の突起を設け、前記操作キーが前記突起を介して対応する前記可動接点を押し込むように構成した。
【0008】
このように構成されたスイッチ用可動接点ユニットでは、光源を基板に実装すれば良いので、光源を可撓性導光板に取り付けた後に基板に接続していた構造に比べて組立作業性が良好となり、また、可撓性導光板の側端面に光源の発光部を近接状態で対向させるため、光源の数を大幅に減らすことができて製造コストおよび消費電力を低減できる。また、可撓性導光体が積層される可撓性シートにスイッチ素子群の各可動接点を取り付けることによって、これら可動接点を一括して基板上に配置させることができると共に、可撓性導光体を可動接点群に対して高い位置精度で配置させることが容易となるため、組立作業性を一層向上させることが可能となる。さらに、可撓性シートと可撓性導光体との間に密着防止シートを介在させてあり、この密着防止シートの微細な凹凸が多数形成された非密着面は可撓性導光体に対して密着しないため、可撓性導光体内へ導入された光が可撓性シート内へ漏れる虞が少なく、それゆえ可撓性シート内で乱反射された光に起因する照光むらや不所望箇所の照光を抑えることができる。しかも、可撓性シートまたは密着防止シートの平滑な対向面には可動接点群それぞれの所定位置を個別に押圧可能な複数の突起が設けてあり、押圧操作された操作キーが該突起を介して対応する可動接点を押し込むようにしてあるので、操作キーが端押しされた場合でも、押圧操作力は突起によって必ず可動接点の所定位置に付与されることになり、それゆえ押圧操作時に可動接点の不所望箇所が押し込まれる虞がなくなって誤動作を効果的に防止できる。
【0009】
上記構成のスイッチ用可動接点ユニットにおいて、突起群が可撓性シートに設けられていると共に、密着防止シートに突起群を個別に貫通させる複数の透孔が設けられていると、突起の上に可撓性導光体を直接載置させることができるため、密着防止シートの厚み分だけ高さ寸法を減らすことができる。
【0010】
前述した第2の目的を達成するため、本発明のスイッチ装置は、基板に実装された光源と、前記基板上に設けられた複数の固定接点と、これら固定接点に接離可能な複数の可動接点と、これら可動接点を一面に保持して該可動接点群の存しない所定領域が前記基板上に固定される可撓性シートと、前記可動接点群を個別に押圧駆動可能な複数の操作キーと、前記可撓性シートの他面に密着防止シートを介して積層された可撓性導光体とを備え、前記密着防止シートには前記可撓性導光体と対向する側の面にのみ微細な凹凸が多数形成されており、前記可撓性シートと前記密着防止シートとの対向面のいずれか一方に前記可動接点群それぞれの所定位置を個別に押圧可能な複数の突起を設け、前記操作キーが前記突起を介して対応する前記可動接点を押し込むように構成した。
【0011】
このように構成されたスイッチ装置では、光源を基板に実装すれば良いので、光源を可撓性導光板に取り付けた後に基板に接続していた構造に比べて組立作業性が良好となり、また、可撓性導光板の側端面に光源の発光部を近接状態で対向させているため、光源の数を大幅に減らすことができて製造コストおよび消費電力を低減できる。また、可撓性導光体が積層される可撓性シートに可動接点群が保持されているため、これら可動接点を一括して基板上に配置させることができると共に、可撓性導光体を可動接点群に対して高い位置精度で配置させることが容易となり、よって組立作業性を一層向上させることができる。さらに、可撓性シートと可撓性導光体との間に密着防止シートが介在させてあり、この密着防止シートの微細な凹凸が多数形成された非密着面は可撓性導光体に対して密着しないため、可撓性導光体内へ導入された光が可撓性シート内へ漏れる虞が少なく、それゆえ可撓性シート内で乱反射された光に起因する照光むらや不所望箇所の照光を抑えることができる。しかも、可撓性シートまたは密着防止シートの平滑な対向面には可動接点群それぞれの所定位置を個別に押圧可能な複数の突起が設けてあり、押圧操作された操作キーが該突起を介して対応する可動接点を押し込むようにしてあるので、操作キーが端押しされた場合でも、押圧操作力は突起によって必ず可動接点の所定位置に付与されることになり、それゆえ押圧操作時に可動接点の不所望箇所が押し込まれる虞がなくなって誤動作を効果的に防止できる。
【0012】
上記構成のスイッチ装置において、突起群が可撓性シートに設けられていると共に、密着防止シートに突起群を個別に貫通させる複数の透孔が設けられていると、突起の上に可撓性導光体を直接載置させることができるため、密着防止シートの厚み分だけ高さ寸法を減らすことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスイッチ用可動接点ユニットは、光源を基板に実装すれば良いので、光源を可撓性導光板に取り付けた後に基板に接続していた構造に比べて組立作業性が良好となり、また、可撓性導光板の側端面に光源の発光部を近接状態で対向させるため、光源の数を大幅に減らすことができて製造コストおよび消費電力を低減できる。また、可撓性導光体が積層される可撓性シートにスイッチ素子群の各可動接点を取り付けることによって、これら可動接点を一括して基板上に配置させることができると共に、可撓性導光体を可動接点群に対して高い位置精度で配置させることが容易となるため、組立作業性を一層向上させることが可能となる。さらに、可撓性シートと可撓性導光体との間に密着防止シートが介在させてあり、この密着防止シートの微細な凹凸が多数形成された非密着面は可撓性導光体に対して密着しないため、可撓性導光体内へ導入された光が可撓性シート内へ漏れる虞が少なく、それゆえ可撓性シート内で乱反射された光に起因する照光むらや不所望箇所の照光を抑えることができる。しかも、可撓性シートまたは密着防止シートの平滑な対向面には可動接点群それぞれの所定位置を個別に押圧可能な複数の突起が設けてあり、押圧操作された操作キーが該突起を介して対応する可動接点を押し込むようにしてあるので、操作キーが端押しされた場合でも、押圧操作力は突起によって必ず可動接点の所定位置に付与されることになり、それゆえ押圧操作時に可動接点の不所望箇所が押し込まれる虞がなくなって誤動作を効果的に防止できる。
【0014】
本発明のスイッチ装置は、光源を基板に実装すれば良いので、光源を可撓性導光板に取り付けた後に基板に接続していた構造に比べて組立作業性が良好となり、また、可撓性導光板の側端面に光源の発光部を近接状態で対向させているため、光源の数を大幅に減らすことができて製造コストおよび消費電力を低減できる。また、可撓性導光体が積層される可撓性シートに可動接点群が保持されているため、これら可動接点を一括して基板上に配置させることができると共に、可撓性導光体を可動接点群に対して高い位置精度で配置させることが容易となり、よって組立作業性を一層向上させることができる。さらに、可撓性シートと可撓性導光体との間に密着防止シートが介在させてあり、この密着防止シートの微細な凹凸が多数形成された非密着面は可撓性導光体に対して密着しないため、可撓性導光体内へ導入された光が可撓性シート内へ漏れる虞が少なく、それゆえ可撓性シート内で乱反射された光に起因する照光むらや不所望箇所の照光を抑えることができる。しかも、可撓性シートまたは密着防止シートの平滑な対向面には可動接点群それぞれの所定位置を個別に押圧可能な複数の突起が設けてあり、押圧操作された操作キーが突起を介して対応する可動接点を押し込むようにしてあるので、操作キーが端押しされた場合でも、押圧操作力は突起によって必ず可動接点の所定位置に付与されることになり、それゆえ押圧操作時に可動接点の不所望箇所が押し込まれる虞がなくなって誤動作を効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の第1実施形態例に係るスイッチ装置の要部断面図、図2は該スイッチ装置を蓋ケースを省略して示す平面図である。
【0016】
これらの図に示すスイッチ装置は、LED2が実装された基板1と、蓋ケース4の開口4aに配置された複数の操作キー3と、基板1上に載置された接点付きシート部材5と、この接点付きシート部材5上に密着防止シート12を介して積層された可撓性導光板6とによって主に構成されている。基板1の上面には各操作キー3の下方に固定接点7やコモン接点8が配設されており、両接点7,8は所定の間隔を存して露出している。また、この基板1には固定接点7やコモン接点8から導出された図示せぬ配線パターンやスルーホール等が設けられている。LED2は各操作キー3を暗所で照光させるための光源であり、このLED2の発光部2aは可撓性導光板6の一辺端に沿う側端面6aの中央部に近接状態で対向している。これにより、LED2発光部2aから出射されて可撓性導光板6内へ導入された光が、該導光板6の照光部6bを介して操作キー3の底面へ投射されるようになっている。
【0017】
接点付きシート部材5は、固定接点7群に個別に接離可能な複数の可動接点9と、下面の複数箇所に可動接点9群を保持している可撓性シート10と、可撓性シート10の下面のうち可動接点9群の存しない領域に接着された粘着シートである固定部11とによって構成される。可撓性シート10の平滑な上面には可動接点9群を保持している複数箇所にそれぞれ上向きの突起10aが突設されており、該突起10aを介して操作キー3の押圧操作力が下方の可動接点9に付与されるようになっている。これらの突起10aは、予め可撓性シート10の上面となる平滑面にディスペンサ等を用いて形成したものであり、各突起10aが対応する可動接点9の中央部の真上に位置するように設定されている。この接点付きシート部材5は固定部(粘着シート)11の粘着層11aによって基板1上に固定されるが、保管時や運搬時には、固定部11の粘着層11aに図示せぬ剥離シートを貼着して可動接点9の存する空間を蓋閉しておき、接点付きシート部材5を基板1上に載置固定する段階で該剥離シートを剥がして粘着層11aを露出させるようになっている。
【0018】
可動接点9は、ドーム状に成形されて反転時にクリック感を生起する金属製の板ばねからなり、その上面が可撓性シート10の下面に接着されている。可撓性シート10が基板1上の所定位置に載置固定されると、図1に示すように、可動接点9の周縁部がコモン接点8に圧接されて、可動接点9の中央部が固定接点7と接離可能に対向する。これにより、接離可能な接点7.9を有するスイッチ素子が基板1上の複数箇所に配設されることになる。
【0019】
可撓性導光板6は、例えばウレタンやシリコンなどの透光性に優れた可撓性材料をシート状に成形したものである。可撓性導光板6の上面には操作キー3の底面と対向する箇所に、該導光板6内を進む光を屈折させて上方へ投射するための照光部6bが設けられている。また、可撓性導光板6の側端面6aの中央部は、LED2からの光が入射される入光部6cとなっている。この可撓性導光板6と可撓性シート10との間には薄い密着防止シート12が介設されている。この密着防止シート12の上面(可撓性導光体6と対向する側の面)は微小な凹凸が多数形成された非密着面となっており、該非密着面によって可撓性導光板6との密着を防止することにより、可撓性導光板6内から可撓性シート10内への光漏れを抑制している。ただし、密着防止シート12の下面(可撓性シート10と対向する側の面)は凹凸が形成されずに平滑面となっている。図2に示すように、可撓性導光板6の四隅と入光部6c近傍の2箇所は、密着防止シート12を介して可撓性シート10の上面に接着された取付部6dとなっている。これら取付部6dは可撓性導光板6が接点付きシート部材5を介して基板1に固定される部位であり、図1に示すように、取付部6dと対向する箇所で密着防止シート12の上下両面が接着剤13によって可撓性導光板6と可撓性シート10に接着されている。こうして可撓性導光板6が密着防止シート12を介して可撓性シート10上に載置固定されると、各可動接点9の真上に各照光部6bが配置されるようになっている。ただし、図2に示すように、側端面6a側の取付部6dの位置は、LED2の光の出射角度の範囲内にかからないように配慮されている。
【0020】
なお、本実施形態例では、予め可撓性導光板6と密着防止シート12を接点付きシート部材5上に組み付けた半製品を作製しておき、この半製品の状態で接点付きシート部材5と可撓性導光板6が一緒に基板1上に載置固定されるようにしてある。また、可撓性導光板6および密着防止シート12と接点付きシート部材5には対応する2箇所に、基板1に対する取付位置を規定するための位置決め孔6f(密着防止シート12や接点付きシート部材5の位置決め孔は図示せず)が形成されており、可撓性導光板6と密着防止シート12と接点付きシート部材5は該位置決め孔を基準として積層されて可動接点9群の配設位置も決定されている。
【0021】
操作キー3は、基板1上に載置された可撓性導光板6の照光部6b上に昇降可能に搭載されており、蓋ケース4によって抜け止めがなされている。図示していないが、操作キー3の上面には文字や記号等が印刷された発光部が設けられており、この発光部が底面側から投射される照光部6bの光によって発光するようになっている。
【0022】
次に、このように構成されたスイッチ装置の動作について説明する。ユーザが所望の操作キー3を下方へ押し込むと、該操作キー3の下方領域において、可撓性導光板6および密着防止シート12が押し撓められると共に、突起10aを介して可撓性シート10が押し撓められるため、可動接点9が操作キー3によって押圧駆動され、操作キー3が所定ストローク下降した時点で、可動接点9の中央部が反転して固定接点7に当接する。その結果、可動接点9を介して固定接点7とコモン接点8とが導通されてスイッチオン状態に切り替わる。また、可動接点9の反転時にクリック感が生起されるため、このクリック感によってユーザは押圧操作が確実に行われたことを感得することができる。なお、操作キー3に対する押圧操作力が除去されると、可動接点9は自らの弾性で元のドーム形状に復帰し、可撓性導光板6と密着防止シート12および可撓性シート10も撓みが解消されるため、操作キー3は初期位置まで押し上げられる。
【0023】
以上説明したように本実施形態例にあっては、光源であるLED2を基板1上に実装し、このLED2の発光部2aを可撓性導光板6の側端面6aに対向させているため、可撓性導光板6の各照光部6bから各操作キー3の底面へ向けて効率良く光を投射することができる。それゆえ、光源の数を大幅に減らすことができて製造コストや消費電力を低減できるのみならず、光源を可撓性導光板に取り付けた後に基板に接続していた構造に比べて組立作業性が良好となる。
【0024】
また、本実施形態例にあっては、可動接点9群を可撓性シート10の下面に保持してなる接点付きシート部材5を用い、この接点付きシート部材5上に可撓性導光板6等を組み付けた半製品を基板1上に載置固定しているため、基板1上に可動接点9群を一括して配置させることができると共に、可撓性導光板6を可動接点9群に対して高い位置精度で配置させることが容易であり、それゆえ組立作業性が極めて良好となる。しかも、接点付きシート部材5の固定部11には、剥離シートが剥離可能に貼着される粘着層11aが設けられているので、保管時や運搬時には接点付きシート部材5に該剥離シートを貼着させておき、基板1上へ組み付ける際に剥離シートを剥がして固定部11の粘着層11aを基板1に固定させれば良い。それゆえ、この半製品は取扱い性が極めて良好で、保管や運搬も支障なく行える。
【0025】
また、本実施形態例にあっては、可撓性導光板6と可撓性シート10との間に介設した密着防止シート12の上面(可撓性導光体6と対向する側の面)が、微小な凹凸が多数形成された非密着面となっており、該非密着面によって可撓性導光板6との密着が防止されているため、可撓性導光体6内へ導入されたLED2の光が可撓性シート10内へ漏れる虞が少ない。それゆえ、可撓性シート10内での乱反射によって操作キー3近傍の不所望箇所が照光されてしまったり、それに伴う光の損失でLED2から遠い操作キー3の光量が不足して照光むらを招くといった不具合が発生しにくくなっている。
【0026】
また、本実施形態例にあっては、可撓性シート10の平滑な上面で各可動接点9の中央部の真上に相当する複数箇所に突起10aを設け、押圧操作された操作キー3が常に下方の突起10aを介して対応する可動接点9を押し込むように構成してあるため、押圧操作時に可動接点9は必ずその中央部が押し込まれることになる。したがって、操作キー3が端押しされて突起10aが斜め上方から押し込まれた場合でも、押圧操作力は必ず可動接点9の中央部に付与されることになり、それゆえ押圧操作時の可動接点9の反転動作を著しく安定させることができて誤動作を効果的に防止できる。
【0027】
また、本実施形態例にあっては、可撓性導光板6や接点付きシート部材5に、基板1に対する取付位置を規定するための位置決め孔6f等が形成されているため、実装時に該位置決め孔6f等に位置決めピンを挿通させることにより、基板1に対して可撓性導光板6や接点付きシート部材5を容易且つ高精度に組み付けることができる。
【0028】
図3は本発明の第2実施形態例に係るスイッチ装置の要部断面図であって、図1と対応する部分には同一符号が付してあるため、重複する説明は省略する。
【0029】
図3に示すスイッチ装置は、可撓性シート10ではなく密着防止シート12に可動接点9の中央部を押し込むための突起12aを付設した点が、前述した第1実施形態例と大きく異なっている。すなわち、密着防止シート12の平滑な下面には、可撓性シート10を介して可動接点9の中央部と対向する複数箇所にそれぞれ下向きの突起12aが突設されており、該突起12aを介して操作キー3の押圧操作力が下方の可動接点9に付与されるようになっている。これらの突起12aも前述した突起10aと同様に、ディスペンサ等を用いて密着防止シート12の下面となる平滑面に形成したものである。
【0030】
このように密着防止シート12の下面で可動接点9の中央部の真上に突起12aが付設してあると、押圧操作された操作キー3は常に下方の突起12aを介して対応する可動接点9を押し込むことになるので、操作キー3が端押しされて突起12aが斜め上方から押し込まれた場合でも、押圧操作力は必ず可動接点9の中央部に付与されることになる。したがって、この第2実施形態例も第1実施形態例と同様に、押圧操作時の可動接点9の反転動作を著しく安定させることができて誤動作を効果的に防止できる。
【0031】
図4は本発明の第3実施形態例に係るスイッチ装置の要部断面図であって、図1と対応する部分には同一符号が付してあるため、重複する説明は省略する。
【0032】
図4に示すスイッチ装置は、可撓性シート10の平滑な上面に付設された突起10a群と対向する複数箇所で密着防止シート12に透孔12bを設けた点が、前述した第1実施形態例と大きく異なっている。このように密着防止シート12に可撓性シート10側の突起10a群を個別に貫通させる複数の透孔12bが設けられていると、各突起10aの上に可撓性導光体6を直接載置させることができるため、図1に示す第1実施形態例と比べると、密着防止シート12の厚み分だけスイッチ装置の高さ寸法を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【図2】図1に示すスイッチ装置を蓋ケースを省略して示す平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態例に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態例に係るスイッチ装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 基板
2 LED(光源)
2a 発光部
3 操作キー
5 接点付きシート部材
6 可撓性導光板
6a 側端面
6b 照光部
6c 入光部
6f 位置決め孔
7 固定接点
8 コモン接点
9 可動接点
10 可撓性シート
10a 突起
11 固定部
12 密着防止シート
12a 突起
12b 透孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源および複数のスイッチ素子が配設された基板と前記スイッチ素子群を押圧駆動可能な複数の操作キーとの間に介設されて、前記スイッチ素子群の各可動接点を一面に保持した可撓性シートと、この可撓性シートの他面に積層された可撓性導光体とを備えたスイッチ用可動接点ユニットであって、
前記可撓性シートと前記可撓性導光体との間に、この可撓性導光体と対向する側の面にのみ微細な凹凸が多数形成された密着防止シートを介在させると共に、前記可撓性シートと前記密着防止シートとの対向面のいずれか一方に前記可動接点群それぞれの所定位置を個別に押圧可能な複数の突起を設け、前記操作キーが前記突起を介して対応する前記可動接点を押し込むように構成したことを特徴とするスイッチ用可動接点ユニット。
【請求項2】
請求項1記載において、前記突起群が前記可撓性シート上に設けられていると共に、前記密着防止シートに前記突起群を個別に貫通させる複数の透孔が設けられていることを特徴とするスイッチ用可動接点ユニット。
【請求項3】
基板に実装された光源と、前記基板上に設けられた複数の固定接点と、これら固定接点に接離可能な複数の可動接点と、これら可動接点を一面に保持して該可動接点群の存しない所定領域が前記基板上に固定される可撓性シートと、前記可動接点群を個別に押圧駆動可能な複数の操作キーと、前記可撓性シートの他面に密着防止シートを介して積層された可撓性導光体とを備え、
前記密着防止シートには前記可撓性導光体と対向する側の面にのみ微細な凹凸が多数形成されており、前記可撓性シートと前記密着防止シートとの対向面のいずれか一方に前記可動接点群それぞれの所定位置を個別に押圧可能な複数の突起を設け、前記操作キーが前記突起を介して対応する前記可動接点を押し込むように構成したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記突起群が前記可撓性シート上に設けられていると共に、前記密着防止シートに前記突起群を個別に貫通させる複数の透孔が設けられていることを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−43653(P2009−43653A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209651(P2007−209651)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】