説明

スイッチ装置の防水構造

【課題】 防水性を確保しつつ、操作時の違和感を少なくし、かつ、操作性をより向上することが可能なスイッチ装置の防水構造を得る。
【解決手段】 スイッチ10の操作部11の揺動方向端部の側面11b,11cを、操作部11の揺動中心Pを中心とする同一円に沿った円弧面で形成し、ハウジング2の取付用開口部2Abの周縁部に設けた防水パッキング20を操作部11の揺動方向端部の側面11b,11cおよび揺動直角方向の側面11dからなる外側面11eに摺接させることにより、操作部11の揺動角度によらず、防水パッキング20を揺動方向端部の側面11b,11cに略一定の密接力で接触させて防水効果を高めるとともに、操作部11の操作面を露出させておくことができるため、操作部11の操作性が損なわれるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に設けたスイッチ装置の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のコンセントを備えたテーブルタップに、オン・オフ切り換えするスイッチを設けて、そのスイッチをオフにした場合は電源から供給される電気を各コンセントに供給するのを遮断するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようにテーブルタップにスイッチを設けることにより、各コンセントへの電気供給を一括して管理できるので、例えば外出時等には各コンセントからその都度プラグを抜くことなく電気機器の待機電力の消耗を防ぐことができる等、種々のメリットがある。
【特許文献1】実開昭61−126581号公報(第1頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来のスイッチ付きテーブルタップには、スイッチを装着した部分での防塵・防水性を確保すべく、当該スイッチの操作部を防水パッキングで覆ったものがある。
【0005】
このように、スイッチの操作部を防水パッキングで覆う場合、防水パッキングを可撓性の素材で形成するとともに、操作部の表面と防水パッキングとの間に隙間を設けておき、オン・オフに伴って操作部の突出姿勢が変化しても、防水パッキングを介して操作部を押し込み操作できるようにするのが、一般的である。
【0006】
しかしながら、かかる構造の場合、操作部と防水パッキングとの間に比較的大きな隙間が存在することになるため、操作すべく防水パッキングを押し込む際や、操作に拘わらず防水パッキングに触れた際に、防水パッキングに当たってから操作部に当たるまでの間に、所謂「遊び」が生じる分、操作の違和感を与えるとともに、操作自体がしにくくなったり、オン・オフ状態の識別性が低下したりするという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、防水性を確保しつつ、操作時の違和感を少なくし、かつ、操作性をより向上することが可能なスイッチ装置の防水構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にあっては、操作部と当該操作部の中央部を揺動可能に支持するスイッチケースとを有し、操作部の揺動操作に応じてオン・オフされるとともに、ハウジングに形成した取付用開口部から操作部が表面側に露出した状態で設けられるスイッチと、上記取付用開口部とスイッチとの隙間を塞ぐシール部材と、を備え、上記操作部の揺動方向端部の側面を滑らかな曲面とし、かつ当該側面の揺動中心に垂直な各断面が、当該揺動中心を中心とする一定半径の円弧となるように形成し、上記シール部材を上記取付用開口部の周縁部および上記スイッチケースのうち少なくともいずれか一方に設けて、上記操作部の揺動方向端部の側面に摺接させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明にあっては、上記シール部材は、上記操作部の揺動方向端部の側面に対する摺接部分としてリップ部を有し、上記リップ部の基部を上記取付用開口部の内周に当接させたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明にあっては、上記シール部材は、上記スイッチケースに形成された環状の溝部に嵌着されたOリングであり、上記Oリングの上記溝部から突出した部分を、上記操作部の揺動方向端部の側面に摺接させたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明にあっては、上記スイッチケースの二つの分割体を溝幅方向に組み合わせて上記Oリングを嵌着する溝部を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明にあっては、上記シール部材として、その周縁部が取付用開口部の周縁部とスイッチケースとの間に挟持されるとともに、その内周部が上記操作部の揺動方向端部の側面に摺接するリップ部を形成した防水パッキングと、上記スイッチケースの内周に形成した溝部に嵌着され、当該溝部から突出する部分が上記操作部の揺動方向端部の側面に摺接するOリングと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、シール部材を操作部の外側面に摺接させた際に、操作部の揺動方向端部の側面を滑らかな曲面とし、かつ当該側面の揺動中心に垂直な各断面が、当該揺動中心を中心とする一定半径の円弧となるように形成しているので、操作部の揺動角度によらず、シール部材を操作部の揺動方向端部の側面に対して略一定の密接力で接触させることができ、以て、当該シール部材により、操作部と取付用開口部との間での防水を確保することができる。
【0014】
このとき、上記シール部材は操作部の外側面に摺接させればよく、当該シール部材で操作部を全体的に覆うことなく、操作部の操作面を露出させておくことができるため、操作部を防水パッキングで被覆した従来構造のように操作部の操作性が損なわれるのを防止することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、シール部材に設けたリップ部の基部が上記取付用開口部の内周に当接されることにより、そのリップ部が上記操作部の揺動方向端部の側面から受ける反力に対する支持剛性を高めることができるため、リップ部の先端部をより大きな密接力で操作部に接触させて防水効果をより高めることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、シール部材をスイッチケースに形成した溝部に嵌着されるOリングとしたことで、シール部材の構成を簡素化できるとともに、Oリングをスイッチケースの内周側に嵌着させることで、スイッチケース内にOリングすなわちシール部材を隠すことができるため、シール部材によってスイッチ部分の美観が損なわれるのを抑制することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、Oリングを嵌着する溝部で、スイッチケースを分離可能となっているので、Oリングの組み付けをより容易に行うことができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、シール部材が上記防水パッキングと上記Oリングとによって構成されるので、防水パッキングによって操作部の側面と取付用開口部の周縁部との間を防水し、かつ、Oリングによって操作部の側面とスイッチケースとの間を防水できるため、二重の防水構造によって防水効果をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
(第1実施形態)図1〜図5は本発明にかかるスイッチ装置の防水構造の第1実施形態を示し、図1はテーブルタップの斜視図、図2はテーブルタップの分解斜視図であり、図3は図1中A−A線に沿った拡大断面図、図4はスイッチの操作部を(a)の平面図と(b)の正面図と(c)の側面図で示す説明図、図5は防水パッキングを(a)の平面図と(b)のB−B線断面図と(c)のC−C線断面図によって示す説明図である。
【0021】
本実施形態のスイッチ装置の防水構造は、図1,図2に示すように、電気機器としてのテーブルタップ1に適用された場合を例にとって説明し、そのテーブルタップ1を説明するにあたって、便宜上、図中上方を上の部材および上方位置、図中下方を下の部材および下方位置および図中左・右方向左・右位置をとして説明するが、特にそれら上・下および左・右の位置関係を特定するものでは無い。
【0022】
テーブルタップ1は、図1に示すように、外カバー2Aと外ボディ2Bとによって断面略矩形状の中空に形成されるハウジング2を備え、そのハウジング2の上面2cに図外のプラグの栓刃差込ユニット3が、ハウジング2の長さ方向に適宜間隔をもって複数(本実施形態では2個)設けられるとともに、ハウジング2の先端面2dにも1つの栓刃差込ユニット3が設けられる。
【0023】
また、ハウジング2の上面2cの基端側(図2中向こう側)には、オン・オフ切換用のスイッチ10が設けられ、このスイッチ10の切り換えによって電源コード4から供給される電気が、各栓刃差込ユニット3に通電および遮断されるようになっている。
【0024】
ここで、本実施形態では、スイッチ10は、シール部材としての防水パッキング20を設けた防水型スイッチとして提供される。
【0025】
そして、テーブルタップ1の詳細な内部構造は、図2に示すように、上・下に分割された外カバー2Aと外ボディ2Bとの間に、中ボディ5、刃受け6、栓刃差込ユニット3およびスイッチ10が内蔵され、電源コード4がハウジング2に挿入される部分には、防水ブッシング7が取り付けられる。
【0026】
外カバー2Aは、下方が解放された浅い断面略逆U字状に形成され、その上面2cには、栓刃差込ユニット3の栓刃差込口3aを上方に臨ませる開口部2Aaが形成されるとともに、スイッチ10を嵌め込んで取り付ける取付用開口部2Abが形成される。また、外カバー2Aの先端面2dにも、栓刃差込ユニット3の栓刃差込口3aを臨ませるU字状の切欠部2Acが形成される。
【0027】
外ボディ2Bは、上方が解放された浅い断面略U字状に形成され、その長さ方向に複数(本実施形態では3本)の組立ネジ8を挿通するネジ取付孔2Baが形成され、そのネジ取付孔2Baに挿通した組立ネジ8を介して外カバー2Aと外ボディ2Bとを結合するようになっている。また、外ボディ2Bの先端面2dには、外カバー2Aの切欠部2Acと合わせて矩形状の開口部を形成する切欠部2Biが形成される。
【0028】
また、外ボディ2Bの内側には、中ボディ5の側壁5aおよび底面5bの外側形状に沿って切欠いたリブ2Bbが長さ方向に複数突設され、それらリブ2Bbによって中ボディ5を安定的に嵌合支持するようになっている。なお、外カバー2Aの内側にも中ボディ5を嵌合支持する複数のリブが設けられている。
【0029】
さらに、外カバー2Aおよび外ボディ2Bの基端側の壁面間には、電源コード4を取り込むための切欠き2Bc(外カバー2Aの切欠きは隠れている)が形成され、それら切欠き2Bcに電源コード4を挿通した防水ブッシング7の鍔部7aが嵌合・係止される。
【0030】
つまり、鍔部7aは筒状に形成された防水ブッシング7の基部(図2中手前側)に形成されて、その外側形状が略矩形状となり、その鍔部7aの外周に形成された溝部7bが切欠き2Bcの周縁部に嵌め込まれることになる。このとき、外カバー2Aの切欠きと外ボディ2Bの切欠き2Bcとが合わさることにより、鍔部7aの外側形状に沿った矩形状の開口部となる。
【0031】
また、外カバー2Aおよび外ボディ2Bの基端側の内側には、切欠き2Bcの中央部近傍に電源コード4の2本のコード4a,4bを分離させるリブ2Bdが突設(外カバー2Aにあっても同様)されている。
【0032】
中ボディ5は、刃受け6を保持するケースで、上方および先端(図中手前側)が解放された断面U字状に形成され、その内側には刃受け6を嵌合保持するための複数の突起部5cが突設されるとともに、底面5bの中央部には組立ネジ8を挿通する開口部5dが形成されている。
【0033】
刃受け6は、ハウジング2の幅方向(左右方向)に配置される2本の導電帯板6a,6bを備え、それら導電帯板6a,6bのそれぞれの中間部には、プラグの栓刃を弾発力をもって挟み込む刃受けばね6cが所定間隔をもって2箇所設けられるとともに、導電帯板6a,6bのそれぞれの先端部(図2中手前側)には同様の刃受けばね6cが1箇所設けられる。
【0034】
そして、各刃受けばね6cは、栓刃差込ユニット3にそれぞれ2箇所設けられた栓刃差込口3aに配置される。なお、各栓刃差込ユニット3はそれぞれの栓刃差込口3aに図外の防水扉が開閉自在に設けられて、防水構造となっている。
【0035】
また、導電帯板6a,6bの基端部(図2中向こう側)は、スイッチ10に接続される接続端部6d,6eとなっている。
【0036】
スイッチ10は、揺動操作される操作部11と、この操作部11の中央部を揺動可能に支持するスイッチケース12とを備え、操作部11の揺動操作でオン・オフされる、所謂タンブラースイッチを構成しており、ハウジング2の取付用開口部2Abから操作部11を外方に臨ませて取り付けられる。
【0037】
スイッチ10には、図2中向こう側に電源コード4の2本のコード4a,4bが接続される図外の2つの入力端子と、図2中手前側に突出する2つの出力端子13a,13bが設けられ、操作部11をオン操作、つまり、突起11aが設けられた側を図2に示すように下方に押すことにより、電源コード4から供給される電気を出力端子13a,13bに通電する一方、操作部11をオフ操作、つまり、突起11aが設けられたとは反対側を下方に押すことにより、電源コード4から供給される電気を遮断して、出力端子13a,13bには通電されないようになっている。
【0038】
出力端子13a,13bは、刃受け6のそれぞれ対応する接続端部6d,6eに接続され、スイッチ10のオン状態で各栓刃差込ユニット3が通電状態になる一方、スイッチ10のオフ状態で各栓刃差込ユニット3が非通電状態となる。
【0039】
このように構成されたテーブルタップ1の組み付けは、図2に示すように、外ボディ2Bに、刃受け6を保持した中ボディ5をセットするとともに、スイッチ10をセットし、そして、刃受け6の各刃受けばね6cにそれぞれ対応する栓刃差込ユニット3を配置する一方、外カバー2Aの取付用開口部2Abの周縁部内側に防水パッキング20を仮止めしておき、その外カバー2Aを上方から被せて、組立ネジ8によって外ボディ2Bと外カバー2Aとを結合する。
【0040】
すると、図3に示すように、スイッチ10は、外カバー2Aと外ボディ2Bとの間に挟まれた状態で固定されるとともに、防水パッキング20の周縁部20aはスイッチケース12の上端と取付用開口部2Abの周縁部内側との間に圧着状態で挟み込まれて固定される。
【0041】
もちろん、電源コード4は、スイッチ10に接続した状態で、それに挿通した防水ブッシング7とともに外カバー2Aと外ボディ2Bとの基端部間にセットされる。
【0042】
ここで、本実施形態では、図3,図4(b)に示すように、操作部11の揺動方向端部の側面11b,11cを滑らかな曲面とし、かつ当該側面11b,11cの揺動中心に垂直な各断面が、当該揺動中心Pを中心とする一定半径の円弧となるように形成してある。
【0043】
また、操作部11の揺動直角側に配置される揺動直角方向の側面11dは、外カバー2Aの上面2cに対して略垂直となっており、この揺動直角方向の側面11dおよび揺動方向端部の側面11b,11cによって操作部11の外側面11eが形成される。
【0044】
そして、取付用開口部2Abの周縁部に設けた防水パッキング20を操作部11の外側面11eに摺接させてある。
【0045】
すなわち、防水パッキングは、図5に示すように、周縁部20aが取付用開口部2Abの開口形状に沿った矩形状を成し、それら防水パッキング20の周縁部20aと取付用開口部2Abの周縁部内側との間に、互いに密接嵌合する環状凹凸部30を形成してあり、取付用開口部2Abの周縁部内側とスイッチケース12の上端との間に周縁部20aが挟み込まれた際に、環状凹凸部30が互いに嵌合されて防水パッキング20とハウジング2との間が液密に密閉されるようになっている。
【0046】
また、防水パッキング20の中央部は、操作部11の外側面11eの周囲形状(本実施形態では略矩形状)に略沿って、その操作部11を囲繞するようにリップ部21を立ち上げてあり、そのリップ部21は防水パッキング20の周縁部20aから略垂直に立ち上げた基部21aと、その基部21aの先端部から屈曲して鋭角状に突出する先端部21bとによって形成される。
【0047】
このとき、先端部21bの内周は、操作部11の揺動方向端部の側面11b,11cおよび揺動直角方向の側面11dからなる外側面11eの断面形状よりも若干小さな略相似形を成し、そのリップ部21の先端部21bをその外側面11eに所定の圧接力をもって摺接させてある。
【0048】
また、本実施形態では、図3に示すように、リップ部21の基部21aを取付用開口部2Abの内周、特にその取付用開口部2Abの外方端部(図中上端部)に当接させてある。
【0049】
以上の本実施形態によれば、操作部11の揺動方向端部の側面11b,11cを滑らかな曲面とし、かつ当該側面11b,11cの揺動中心Pに垂直な各断面が、当該揺動中心Pを中心とする一定半径の円弧となるように形成し、ハウジング2の取付用開口部2Abの周縁部に設けた防水パッキング20を、揺動方向端部の側面11b,11cおよび揺動直角方向の側面11dからなる操作部11の外側面11eに摺接させたため、操作部11の揺動角度によらず、防水パッキング20を、揺動方向端部の外側面11eに対して略一定の密接力で接触させることができ、以て、当該防水パッキング20により、操作部11と取付用開口部2Abとの間での防水を確保することができる。
【0050】
このとき、防水パッキング20は操作部11の外側面11eに摺接させればよく、その防水パッキング20で操作部11を全体的に覆うことなく、操作部11の操作面(図中上面)を露出させておくことができるため、操作部11の操作性が損なわれるのを防止することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記作用効果に加えて、防水パッキング20は、操作部11の外側面11eへの摺接部分がリップ部21となっており、当該リップ部21の基部21aを取付用開口部2Abの内周に当接させてあるので、当該リップ部21が操作部11の外側面11eから受ける反力に対する支持剛性を高めることができ、以て、リップ部21の先端部21bをより大きな密接力で操作部11に接触させて防水効果をより高めることができる。
【0052】
(第2実施形態)図6は本発明の第2実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図6は図1中A−A線に対応する箇所で断面した拡大断面図である。
【0053】
本実施形態のスイッチ装置の防水構造は、基本的には、上記第1実施形態と同様の構成を備えており、操作部11の揺動方向端部の側面11b,11cについては、操作部11の揺動方向端部の側面11b,11cを滑らかな曲面とし、かつ当該側面11b,11cの揺動中心に垂直な各断面が、当該揺動中心Pを中心とする一定半径の円弧となるように形成してある。
【0054】
ただし、本実施形態では、シール部材をOリング31とし、このOリング31をスイッチケース12の内周に形成した溝部12aに嵌着し、その溝部12aから突出する部分を操作部11の外側面11eに摺接させるようにしてある。
【0055】
もちろん、Oリング31は、ゴム等の弾性部材により、環状かつ断面円形状に形成され、操作部11の揺動方向端部の側面11b,11cと揺動直角方向の側面11dからなる外側面11eの断面形状に沿って略矩形状に設置される。
【0056】
したがって、本実施形態にあっても、上記第1実施形態と同様に、操作部11の揺動方向端部の側面11b,11cを滑らかな曲面とし、かつ当該側面11b,11cの揺動中心Pに垂直な各断面が、当該揺動中心Pを中心とする一定半径の円弧となるように形成し、Oリング31を、揺動方向端部の側面11b,11cおよび揺動直角方向の側面11dからなる操作部11の外側面11eに摺接させたため、操作部11の揺動角度によらず、Oリング31を、揺動方向端部の外側面11eに対して略一定の密接力で接触させることができ、以て、当該Oリング31により、操作部11と取付用開口部2Abとの間での防水を確保することができる。
【0057】
また、本実施形態では、シール部材をスイッチケース12に形成した溝部12aに嵌着されるOリング31としたことで、シール部材の構成を簡素化できるとともに、Oリング31がスイッチケース12の内周側に嵌着させることで、スイッチケース12内にOリング31すなわちシール部材を隠すことができるため、シール部材を設けたことによってスイッチ部分の美観が損なわれるのを抑制することができる。
【0058】
もちろん、操作部11の外側面11eはその全周に亘ってOリング31に摺接して、防水を確保することができる。
【0059】
(第3実施形態)図7は本発明の第3実施形態を示し、第2実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図7は図1中A−A線に対応する箇所で断面した拡大断面図である。
【0060】
本実施形態のスイッチ装置の防水構造は、基本的には、上記第2実施形態と同様の構成を備えており、シール部材をOリング31とし、このOリング31をスイッチケース12の内周に形成した溝部12aに嵌着してある。
【0061】
ただし、本実施形態では、Oリング31を嵌着する溝部12aを、それの溝幅方向(図中上下方向)に分離可能としてある。
【0062】
すなわち、本実施形態ではスイッチケース12を溝部12aの形成部分から上下に分割し、当該二つの分割体の下方部分をケース本体12A、上方部分をリングキャップ12Bとして、リングキャップ12Bをケース本体12Aの外周に加締めや螺合により嵌着固定してある。
【0063】
そして、リングキャップ12Bの内周下部に形成した断面L字状の切欠部12Baとケース本体12Aの上端との間で溝部12aが形成されるようにし、切欠部12Ba内にOリング31を嵌合した状態でリングキャップ12Bをケース本体12Aに組み込むことができるようになっている。
【0064】
したがって、本実施形態によれば、上記第2実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、Oリング31を嵌着する溝部12aで、スイッチケース12を分離可能となっているので、Oリング31の組み付けをより容易に行うことができる。
【0065】
(第4実施形態)図8は本発明の第4実施形態を示し、第1,第2実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図8は図1中A−A線に対応する箇所で断面した拡大断面図である。
【0066】
本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、操作部11の揺動方向端部の側面11b,11cを滑らかな曲面とし、かつ当該側面11b,11cの揺動中心に垂直な各断面が、当該揺動中心P(図4(b)参照)を中心とする一定半径の円弧となるように形成してある。
【0067】
ただし、本実施形態では、シール部材を、第1実施形態に示す防水パッキング20と、第2実施形態に示すOリング31と、によって構成してある。
【0068】
すなわち、防水パッキング20は、周縁部20aをハウジング2の取付用開口部2Abの周縁部とスイッチケース12との間に挟持するとともに、内周部に形成したリップ部21を操作部11の外側面11eに摺接してあり、また、Oリング31は、スイッチケース12の内周に形成した溝部12aに嵌着され、その溝部12aから突出する部分を操作部11の外側面11eに摺接してある。
【0069】
また、この場合にあっても、リップ部21は、その基部21aを取付用開口部2Abの内周に当接させて、操作部11の外側面11eに摺接する先端部21bの反力剛性を高めることが望ましい。
【0070】
したがって、本実施形態によれば、シール部材が防水パッキング20とOリング31とによって構成されるので、防水パッキング20によって操作部11の外側面11eと取付用開口部2Abの周縁部との間を防水し、かつ、Oリング31によって操作部11の外側面11eとスイッチケース12との間を防水できるため、二重の防水構造によって防水効果をより一層向上させることができる。
【0071】
ところで、本発明は第1〜第4実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態におけるスイッチ装置の防水構造を適用したテーブルタップの斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態におけるテーブルタップの分解斜視図。
【図3】図1中A−A線に沿った拡大断面図。
【図4】本発明の第1実施形態におけるスイッチの操作部を(a)の平面図と(b)の正面図と(c)の側面図で示す説明図。
【図5】本発明の第1実施形態における防水パッキングを(a)の平面図と(b)のB−B線断面図と(c)のC−C線断面図によって示す説明図。
【図6】本発明の第2実施形態における図1中A−A線に対応する箇所で断面した拡大断面図。
【図7】本発明の第3実施形態における図1中A−A線に対応する箇所で断面した拡大断面図。
【図8】本発明の第4実施形態における図1中A−A線に対応する箇所で断面した拡大断面図。
【符号の説明】
【0073】
2 ハウジング
2Ab 取付用開口部
10 スイッチ
11 操作部
11b,11c 揺動方向端部の側面
11d 揺動直角方向の側面
11e 外側面
12 スイッチケース
12a 溝部
20 防水パッキング
20a 防水パッキングの周縁部
21 リップ部
21a リップ部の基部
21b リップ部の先端部
31 Oリング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と当該操作部の中央部を揺動可能に支持するスイッチケースとを有し、操作部の揺動操作に応じてオン・オフされるとともに、ハウジングに形成した取付用開口部から操作部が表面側に露出した状態で設けられるスイッチと、
前記取付用開口部とスイッチとの隙間を塞ぐシール部材と、
を備え、
前記操作部の揺動方向端部の側面を滑らかな曲面とし、かつ当該側面の揺動中心に垂直な各断面が、当該揺動中心を中心とする一定半径の円弧となるように形成し、
前記シール部材を前記取付用開口部の周縁部および前記スイッチケースのうち少なくともいずれか一方に設けて、前記操作部の揺動方向端部の側面に摺接させたことを特徴とするスイッチ装置の防水構造。
【請求項2】
前記シール部材は、前記操作部の揺動方向端部の側面に対する摺接部分としてリップ部を有し、
前記リップ部の基部を前記取付用開口部の内周に当接させたことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置の防水構造。
【請求項3】
前記シール部材は、前記スイッチケースに形成された環状の溝部に嵌着されたOリングであり、
前記Oリングの前記溝部から突出した部分を、前記操作部の揺動方向端部の側面に摺接させたことを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ装置の防水構造。
【請求項4】
前記スイッチケースの二つの分割体を溝幅方向に組み合わせて前記Oリングを嵌着する溝部を形成したことを特徴とする請求項3に記載のスイッチ装置の防水構造。
【請求項5】
前記シール部材として、
その周縁部が取付用開口部の周縁部とスイッチケースとの間に挟持されるとともに、その内周部が前記操作部の揺動方向端部の側面に摺接するリップ部を形成した防水パッキングと、
前記スイッチケースの内周に形成した溝部に嵌着され、当該溝部から突出する部分が前記操作部の揺動方向端部の側面に摺接するOリングと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置の防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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