説明

スイッチ装置

【課題】部品点数を増やすことなく、ノブ周辺からメータ内に水分などが浸入しても、回路基板に悪影響を及ぼす虞の少ないスイッチ装置を提供する。
【解決方法】保護カバー1と、操作軸10が収納保持され、保護カバー1の背面側に配置されるケース20と、ケース20の背面側に設けられ、操作軸10と相対して設けられるスイッチ31を搭載した回路基板30とを備えたスイッチ装置であって、操作軸10には保護カバー1とケース20との間にフランジ部131と、外部から浸入した水分を受ける受部13を設け、ケース20の開口部133に対応した位置に、受部13を介して流入した水分をケース20外に排水するための排水路24を設け、開口部133から流れ出る水分を排水路24に導くために設けられた受水路23が、受水路23の一部分を上側として所定の空間を空けて排水路24とオーバーラップする重合部230を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の計器装置に用いられ、計器装置の内部に配置されたスイッチを計器装置の外部から操作する操作部材を備えたスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチ装置として、例えば下記特許文献に記載のものがある。特許文献1に記載のスイッチ装置は、ケースと、このケースの底部を覆うカバーと、前記ケースと前記カバーとの間に、前記カバー底部から隙間を設けて収納される回路基板を配置し、その回路基板上にタクトスイッチを搭載して、前記タクトスイッチに対応するように弾性片を備えたノブを前記ケースに貫通させ、そのノブを上下に操作させて前記タクトスイッチと当接させることで、例えばオン、オフなどの所定操作を行うというものである。ノブが上下に移動可能なように、ノブの周囲には僅かに隙間が設けてある。このように構成されたスイッチ装置において、ノブを下方に押すことによって操作部が下方に撓み、タクトスイッチが押圧される。また、下方への押圧を止めると弾性により操作部とノブが元の位置に戻る仕組みとなっている。
【0003】
また、下記特許文献2に記載のスイッチ装置は、ケースから突出したノブを有するため、ケースとノブとの隙間から塵や水が浸入する虞があり、スイッチ装置の防水性を確保するために、ノブの上部を覆うゴムパッキンを装着して隙間をなくす構造としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−85941号公報
【特許文献2】特開平9−73833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のスイッチ装置は、ケースとノブとの間に隙間があるために防水性に乏しく、仮にその隙間から水分が浸入した場合は、回路基板などの内部部品が水分と触れることで、内部部品に悪影響を及ぼす虞があった。そこで、特許文献2に記載のようなスイッチ装置を用いることが考えられるが、防水性を保つためにノブの周縁にパッキンを使用するため、ノブを操作しづらく、さらに高温環境下において使用されることが考えられるため、太陽光などでパッキンが劣化しやすいなどの問題点や、部品点数が増えてしまうことなどから、更なる改良が望まれていた。
【0006】
本発明は、この様な点に鑑みなされたもので、部品点数を増やすことなく、ノブ周辺からメータ内に水分などが浸入しても、回路基板に悪影響を及ぼす虞の少ないスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記課題を解決するため、少なくとも一部が透視可能な保護カバーと、前記保護カバーを貫通して設けられる操作部材と、前記操作部材が収納保持され、前記保護カバーの背面側に配置される受板部材と、前記受板部材の背面側に設けられ、前記操作部材と相対して設けられるスイッチを搭載した回路基板とを備えたスイッチ装置であって、前記操作部材は前記保護カバーと前記受板部材との間にフランジ部と、このフランジ部の周壁をなすと共に少なくとも一部に開口部を有する立壁部とでなり外部から浸入した水分を受ける受部を設け、前記受板部材の前記開口部に対応した位置に、前記受部を介して流入した水分を受板部材外に排水するための排水路を設け、前記開口部から流れ出る水分を前記排水路に導くために設けられた受水路が、前記受水路の一部分を上側として所定の空間を空けて前記排水路とオーバーラップする重合部を有するものである。
【0008】
また、本発明は前記受水路または前記排水路のうち少なくとも一方が、前記受板部材の外部に向けて傾斜しているものである。
【発明の効果】
【0009】
部品点数を増やすことなく、ノブ周辺からメータ内に水分などが浸入しても、回路基板に悪影響を及ぼす虞の少ないスイッチ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるスイッチ装置の正面図。
【図2】同上のA−A断面図。
【図3】同上のB−B断面図。
【図4】同上の操作部斜視図。
【図5】同上の要部詳細図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施例を指針式表示装置に適用した例を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態におけるスイッチ装置の正面図である。図2は本発明の第1の実施形態におけるスイッチ装置のA−A断面図である。図3は、B−B断面図である。図4は、操作部の斜視図である。図5は、本発明の第1の実施形態のケースに収納された操作部を示す斜視図である。
【0012】
図1から図3に示すように、スイッチ装置は透明な合成樹脂からなる保護カバー1と、保護カバー1に設けられた貫通孔2に挿入される操作軸10と、操作軸10が収納されるとともに係止されるケース20(受板部材)と、ケース20の背面側に配置される硬質の回路基板30と、回路基板30の背面側に配置される半透明な合成樹脂性の裏カバー40とから主に構成されている。
【0013】
本発明における操作軸10は、合成樹脂からなり、図4に示すように、略円柱状の操作部11と、後述するタクトスイッチを押す押圧部12と、操作軸10のほぼ中心部分に位置する受部13と、操作軸10よりも外側に突出した2本の腕片14とからなる。
【0014】
操作部11は、保護カバー1に設けられた貫通孔2よりも経小になるように形成されている。そのため、保護カバー1と操作部11の間には僅かな隙間があり、従来のスイッチ装置のように、パッキンを用いて操作部周辺を塞いでしまうものよりも、操作しやすく構成されている。
【0015】
押圧部12は、操作軸10と一体に形成された突出片からなり、操作軸10が後述する保持部に収納された際には、押圧部12の先端が回路基板30に設けられたタクトスイッチ31と当接せず、押圧操作をされた場合のみ当接する長さに形成されている。
【0016】
受部13は、保護カバー1と操作部11との隙間から浸入した水分を受け止めるために設けられるもので、フランジ部131と、立壁部132とでなる。フランジ部131は操作軸10の操作方向と直交する方向に延びる平面を有している。立壁部132はフランジ部131の周壁をなすもので、水の排水箇所となる部位には、フランジ部131の延長方向に開口する開口部133が形成されている。
【0017】
立壁部132は、フランジ部131で受け止められた水分が回路基板30側に流出するのを防ぐために設けられるものであり、開口部133を除いたフランジ部131の周囲に設けられている。通常このスイッチ装置が搭載される指針式計器装置は傾斜状態で配置されるため、フランジ部131で受け止められた水分は、開口部133から後述する受水路及び排水路へ流れる仕組みとなっている。
【0018】
受水路23は、フランジ部131の開口部133が位置する箇所であり、フランジ部131に流入した水分をケース20外に排出するべく延長形成されたものである。受水路23は、ケース20に設けられた排水路24と所定の空間を空けて排水路24の上側にオーバーラップする重合部230を有している。また、この空間があることによって操作部を押圧した場合にフランジ部が保持部に当接するので、操作部の押し過ぎを防ぐことができる。このように構成することで、フランジ部131に溜まった水分がケース20外部に排水される際に回路基板30側に溢れるのを防止できるため、確実な排水が可能である。
【0019】
本実施形態による操作部11は、図5に示すように、隣接して設けられる液晶ユニット50のセルケース51と一体形成された保持部22に腕片14を嵌合させることで固定保持される。フランジ部131と係止部141との間には、バネ15が装着されてあり、操作軸10を下方に押圧することで、バネ15が収縮し、押圧部12の先端がタクトスイッチ31と当接する仕組みとなっていて、押圧を止めると、バネの弾性により押圧部12と操作部11が上方に戻る。
【0020】
本実施形態によるケース20には、図3に示すように、受水路23と排水路24が所定の空間を空けてオーバーラップするように、排水路24がケース20内側端部から突出形成されている。
【0021】
排水路24は、ケース20の端部に切り込みを入れたような有底の溝からなり、本実施形態ではその幅はフランジ部131よりも狭くなっているが、フランジ部131に流入した水分がケース20外に排出される構造ならば、その大きさは任意である。
【0022】
以上の通り、本実施形態では、少なくとも一部が透視可能な保護カバー1と、保護カバー1を貫通して設けられる操作軸10と、操作軸10が収納保持され、保護カバー1の背面側に配置されるケース20と、ケース20の背面側に設けられ、操作軸10と相対して設けられるスイッチ31を搭載した回路基板30とを備えたスイッチ装置であって、操作軸10には保護カバー1とケース20との間にフランジ部131と、このフランジ部131の周壁をなすと共に少なくとも一部に開口部133を有する立壁部132とでなり外部から浸入した水分を受ける受部13を設け、前記受部を介して流入した水分をケース20外に排水するための受水路23と、受水路23から排水された水分をケース20外に排水するための排水路24を設け、開口部133から流れ出る水分を排水路24に導くために設けられた受水路23が、受水路23の一部分を上側として所定の空間を空けて排水路24とオーバーラップする重合部230を有することにより、保護カバー1と操作軸10との隙間から流入した水分を受水路23と排水路24を介してケース20外に排出させることができるため、ケース20内に収納されている回路基板30などの内部部品を破損させてしまうなどの悪影響を防ぐことができる。
【0023】
また本実施形態では、受水路23または排水路24のうち少なくとも一方が、ケース20の外部に向けて傾斜していることにより、平らな状態で車両用計器に配置されても、確実な排水を確保できる。
【0024】
また、本実施例における開口部133は、その開口部分が狭まった形状としているが、水分が排水路24側に流れる出口が確保されていればよく、例えばその形状がフランジ部131の幅と同じであったり、末広がりであったりしてもよい。
【0025】
なお、受部13は、保護カバー1とケース20との間に設ければよく、フランジ部131は、貫通孔2やケース20の押圧部12が通る孔よりも大きく設定するのが望ましい。
【0026】
なお、排水路24は、受水路23と排水路24が所定の空間を空けてオーバーラップする構造であれば、排水路24がケース20内側端部から突出形成されていなくてもよく、例えばケース20に切り込みを入れただけでもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 保護カバー
2 貫通孔
10 操作軸(操作部材)
11 操作部
12 押圧部
13 受部
14 腕片
15 バネ
20 ケース
22 保持部
23 受水路
24 排水路
30 回路基板
31 タクトスイッチ
40 裏カバー
50 液晶ユニット
51 セルケース
131 フランジ部
132 立壁部
133 開口部
141 係止部
230 重合部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が透視可能な保護カバーと、前記保護カバーを貫通して設けられる操作部材と、前記操作部材が収納保持され、前記保護カバーの背面側に配置される受板部材と、前記受板部材の背面側に設けられ、前記操作部材と相対して設けられるスイッチを搭載した回路基板とを備えたスイッチ装置であって、
前記操作部材は前記保護カバーと前記受板部材との間にフランジ部と、
このフランジ部の周壁をなすと共に少なくとも一部に開口部を有する立壁部とでなり外部から浸入した水分を受ける受部を設け、
前記受板部材の前記開口部に対応した位置に、前記受部を介して流入した水分を受板部材外に排水するための排水路を設け、
前記開口部から流れ出る水分を前記排水路に導くために設けられた受水路が、前記受水路の一部分を上側として所定の空間を空けて前記排水路とオーバーラップする重合部を有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記受水路または前記排水路のうち少なくとも一方が、前記受板部材の外部に向けて傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−192243(P2010−192243A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35113(P2009−35113)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】