説明

スイッチ装置

【課題】操作部の中立位置を容易に知ることができ、且つキャリブレーション精度を向上させたスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置SWは、ケース1と、ケース1に移動自在に取着される操作部2と、操作部2の変位を検出するための検出コイルLと、操作部2の変位に応じて検出コイルL内に進退自在に挿入されるコア5A,5Bと、コア5A,5Bの挿入量に応じて変化する検出コイルLのインピーダンスに基づいて操作部2の変位を検出する信号処理部6と、検出コイルL内の所定の基準位置にコア5Aが位置する状態を検出するフォトインタラプタ14A〜14Cと、フォトインタラプタ14A〜14Cの検出結果を表示する発光ダイオード15A〜15Cとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人が手で持つ把持部(例えば操作レバーや操作ノブ)を有し、把持部の操作内容(例えば操作レバーを傾けた方向やその傾きの大きさ)に応じた電気信号を出力するジョイスティック装置が提供されている。このようなジョイスティック装置は、例えば油圧ショベルやクレーンなどの建設機械を操作するために用いられ、油圧ショベルの場合は、このジョイスティック装置によってバケットの掘削/開放や、アームの曲げ/伸ばし、ブームの上げ/下げなどが行われる。
【0003】
ところで、上記のような油圧ショベルでは、アタッチメントとしてバケットの代わりに、圧砕機(クラッシャ)やグラップル、リフティングマグネット、カッタなどを利用することができるようになっている。このようなアタッチメントは、その種類によって、アタッチメント用のアクチュエータ(例えば油圧シリンダやモータ)の数が異なっており、機構が複雑なものでは把持部による操作だけでは操作できない場合があった。
【0004】
そこで、上記の把持部の先端側に、人が指で操作するスイッチ装置を設けたジョイスティック装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。このスイッチ装置は、人が操作していないときは中立位置に位置し、人の操作によって中立位置から移動される操作部と、操作部とともに変位する磁石(永久磁石)と、磁石の変位によって生じた磁界の強度変化を検出する磁気センサ(例えば磁気抵抗素子やホール素子)とを備えており、磁石の変位(すなわち操作部の変位)を検出し、その変位に比例した電気信号を出力する所謂比例制御スイッチである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−358133号公報(特に段落[0033]、及び、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に示したスイッチ装置では、2個1組のピストン部材により上下両方向から操作部を押圧することで当該操作部を中立位置に復帰させており、これらのピストン部材の押圧バランスによって中立位置が決定されることになるが、本スイッチ装置には、操作部の位置を表示するための手段が設けられていないため、例えば操作部の中立位置が設計上の位置からずれた場合でも、そのことを容易に知ることができなかった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、操作部の中立位置を容易に知ることができ、且つキャリブレーション精度を向上させたスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ケースと、当該ケースに移動自在に取着される操作部と、当該操作部の変位を検出するための検出コイルと、操作部の変位に応じて検出コイル内に進退自在に挿入されるコアと、当該コアの挿入量に応じて変化する検出コイルのインピーダンスに基づいて操作部の変位を検出する変位検知手段と、検出コイル内の所定の基準位置にコアが位置する状態を検出して表示する位置表示手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、所定の基準位置は、検出コイルに対するコアの挿入量が最大となる最大位置と、検出コイルに対するコアの挿入量が最小となる最小位置との間の中間位置であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、所定の基準位置は、検出コイルに対するコアの挿入量が最大となる最大位置と、検出コイルに対するコアの挿入量が最小となる最小位置と、最大位置と最小位置との間の中間位置であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、位置表示手段は、発光ダイオードを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、検出コイル内の所定の基準位置にコアが位置する状態では位置表示手段により表示されるので、例えば位置表示手段により表示される位置を操作部の中立位置とすることで操作部の中立位置を容易に知ることができ、さらに操作部の中立位置がずれた場合でも位置表示手段により表示される位置に操作部を調整することで、操作部の中立位置の調整誤差を小さくすることができ、その結果、キャリブレーション精度を高めることができるという効果がある。
【0013】
請求項2の発明によれば、位置表示手段により操作部の中立位置を知ることができるので、操作部の中立位置がずれた場合でも位置表示手段により表示される位置に操作部を調整することで、操作部の中立位置の調整誤差を小さくすることができ、その結果、キャリブレーション精度を高めたスイッチ装置を実現することができるという効果がある。
【0014】
請求項3の発明によれば、ユーザーが本スイッチ装置を使用する際に、位置表示手段を確認することで操作部の操作範囲内における中立位置および両端位置を知ることができるので、従来例のように表示手段がない場合に比べて操作性のよいスイッチ装置を実現することができるという効果がある。
【0015】
請求項4の発明によれば、位置表示手段に発光ダイオードを設けることによって、操作部の中立位置を容易に知ることができるスイッチ装置を、低コストで実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態のスイッチ装置を示し、(a)は模式図、(b)は主要部の概略回路図である。
【図2】同上の断面図である。
【図3】(a)(b)は同上の主要部を構成するフォトインタラプタの動作を説明する説明図である。
【図4】同上を示し、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るスイッチ装置の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。本発明に係るスイッチ装置は、例えば油圧ショベルやクレーンなどの建設機械を操作するためのジョイスティック装置の把持部に取り付けられ、当該把持部では操作できない複雑な操作を行うために用いられるものである。
【0018】
図2は本実施形態のスイッチ装置SWの断面図であり、本スイッチ装置SWはケース1と、ケース1に移動自在に取着される操作部2と、ケース1内に収納され、操作部2のケース1に対する基準位置(中立位置)からの変位を検出するための検出ブロックBKと、後述の位置表示手段とを備えている。
【0019】
検出ブロックBKは、操作部2の変位に応じて所定方向(図2中の矢印M1,M2方向)に移動する作動子3と、操作部2の変位を検出するための検出コイルL(図1参照)を有する検出部4と、作動子3に取り付けられ、当該作動子3の移動に伴って検出コイルL内に進退自在に挿入されるコア5と、検出コイルLに所定の周波数および振幅の電流を出力し、当該電流および検出コイルLのインピーダンスにより決まる電圧信号を、操作部2の変位を示す電気信号に変換する信号処理部6と、金属板により形成され、信号処理部6に接続される複数(本実施形態では3つ)の端子部7とを備えている。なお、本実施形態のスイッチ装置SWは、上記の作動子3、検出部4およびコア5をそれぞれ2つずつ備えているが、以下の説明において両者を区別する必要がある場合には、図2中の左側の作動子3、検出部4およびコア5を、それぞれ作動子3A、検出部4Aおよびコア5Aと表わし、図2中の右側の作動子3、検出部4およびコア5を、それぞれ作動子3B、検出部4Bおよびコア5Bと表わすことにする。また、図2では検出コイルLの図示を省略している。
【0020】
作動子3は、絶縁性および透光性を有する樹脂材料により略円柱状に形成されており、小径部3aと、小径部3aにおける操作部2側の端部(図2中の上端部)に形成された大径部3bとを一体に備えている。これらの小径部3aおよび大径部3bは、互いの中心軸が一致するように形成されており、また大径部3bの外周面には全周に渡って溝部3cが形成されている。
【0021】
検出部4は、円筒状のコイルボビン4aと、コイルボビン4aに巻回される検出コイルLとを有している。ここで、コイルボビン4aは、絶縁性を有する樹脂材料からなる樹脂成形品であって、検出コイルLが巻回される巻胴部4bと、巻胴部4bの軸方向一端側(図2中の上側)に形成された上鍔部4cと、巻胴部4bの軸方向他端側(図2中の下側)に形成された下鍔部4dとを一体に備えている。コイルボビン4aの内径は、作動子3の小径部3aの外径以上、且つ大径部3bの外径未満に設定されている。また、上鍔部4cには、検出部4をケース1に取り付けるための取付孔4eが形成されている。
【0022】
コア5は、例えばフェライトなどの磁性材料や金属材料により略円柱状に形成され、中心軸が小径部3aの中心軸に一致するように当該小径部3aにインサートされることで、作動子3に取り付けられている。
【0023】
ここにおいて、作動子3の小径部3aの外面には、作動子3の中心軸方向を長手方向とする溝からなる流路部3dが形成されており、この流路部3dは、小径部3aをコイルボビン4aの内側に差し入れた際に、コイルボビン4aの軸方向一端側の空間部(図2中の上側の空間部)と、軸方向他端側の空間部(図2中の下側の空間部)とを連通させることで、空気の圧力が偏らないようにし、作動子3がコイルボビン4a内をスムーズに移動できるようにするためのものである。
【0024】
信号処理部6は、電子部品が実装された略矩形板状のプリント基板6aにより構成され、駆動回路と信号処理回路とを有している。プリント基板6aには、検出部4A,4Bの各巻胴部4bの軸方向他端側の端部(図2中の下端部)とそれぞれ凹凸嵌合する嵌合孔6b,6bと、各端子部7用の挿通孔(図示せず)とが厚み方向(図2中の上下方向)にそれぞれ貫設されている。ここにおいて、上記駆動回路は、検出コイルLに所定の周波数および振幅の電流を出力する電流回路であり、また信号処理回路は、駆動回路が出力する電流および検出コイルLのインピーダンスにより決まる検出コイルLの両端電圧に応じて、検出コイルLに対するコア5の位置情報、すなわち操作部2の変位を示す電気信号を出力する。なお、上記の駆動回路および信号処理回路については従来周知のものを採用しているから、詳細な説明については省略する。ここに、本実施形態では、信号処理部6により変位検知手段が構成されている。
【0025】
ケース1は、絶縁性を有する樹脂材料からなる樹脂成形品であるボディ8およびカバー9により構成されている。ボディ8は、高さ方向両端部(図2中の上端部および下端部)が開口する略矩形箱状に形成され、ボディ8の幅方向(図2中の紙面に垂直な方向)両側面には、操作部2の揺動軸(ハンドル軸)となる軸部10用の軸受孔(図示せず)がそれぞれ形成されている。また、ボディ8の高さ方向一端側(図2中の上側)には、側方に突出する鍔部8bがボディ8の全周に渡って形成され、さらにボディ8の長さ方向(図2中の左右方向)両側面には、上述のジョイスティック装置の把持部に当該ボディ8を取り付けるための取付片8c,8cがそれぞれ一体に突設されている。なお、本実施形態では、図4(a)(b)に示すように、ボディ8の幅方向一端側(図4(b)中の上側)の鍔部8bが延設されており、この延設部分には後述する複数の発光ダイオード15が取り付けられている。
【0026】
ボディ8の内部には、ボディ8の内部を高さ方向に二分する隔壁部8dが形成されており、当該隔壁部8dよりも上側のボディ8の内部空間は、操作部2が配置される操作部収納室8eとして、隔壁部8dよりも下側のボディ8の内部空間は、主として検出部4および信号処理部6を収納する電子部品収納室8fとして用いられる。また、電子部品収納室8fの内周面には、プリント基板6aの厚み方向一面(図2中の上面)に当接するリブ8gが周設されており、上記プリント基板6aは、リブ8gに上面が当接した状態で電子部品収納室8fに収納される。
【0027】
隔壁部8dの高さ方向一面側(図2中の上面側)には、一対の円形状の凹所8h,8hが形成されている。これらの凹所8h,8hは、隔壁部8dの長さ方向(図2中の左右方向)において離間するとともに、同方向においてそれぞれの中心が一直線上に位置するように配置されている。また、各凹所8hの底面部には、円筒状の内周壁部8iと、内周壁部8iの外径よりも大きい内径を有する円筒状の外周壁部8jとが凹所8hと中心軸を一致させる形でそれぞれ突設されている。なお、内周壁部8iの内径は、作動子3の大径部3bの外径よりも大きく設定されている。
【0028】
ところで、本実施形態のスイッチ装置SWでは、各凹所8hの底面部に、対応する作動子3が挿通される挿通孔8kがそれぞれ形成されている。各挿通孔8kは、内周壁部8iで囲まれた底面部の中央に、その中心軸を凹所8hの中心軸と一致させる形で形成されており、その内径は作動子3の小径部3aの外径以上、且つ大径部3bの外径未満に設定されている。そして、各作動子3は、小径部3aを対応する挿通孔8kに挿通した状態でケース1に取り付けられる。ここにおいて、作動子3の小径部3aを挿通孔8kに挿通させる際には、上記の小径部3aに、作動子3を操作部2側(図2中の上側)に付勢することで当該作動子3を復帰させる作動子ばね11が被嵌される。なお、本実施形態では、作動子ばね11としてコイルスプリング(コイルばね)を用いており、軸方向一端部(図2中の上端部)が大径部3bに当接するとともに、軸方向他端部が挿通孔8kの周縁部に当接した状態に配置される。また、作動子ばね11の自然長は、操作部2の位置にかかわらず、作動子3が操作部2に当接するような長さに設定されている。
【0029】
一方、隔壁部8dの高さ方向他面側(図2中の下面側)には、各検出部4A,4Bの上鍔部4cの取付孔4eに挿通される複数の取付リブ8mが、各凹所8hに対応する形で突設されており、各取付リブ8mを対応する取付孔4eにそれぞれ挿入することで、検出部4A,4Bがそれぞれケース1に対して取り付けられるとともに位置決めされる。
【0030】
ところで、隔壁部8dには、各作動子3がそれぞれ挿通される一対の挿通孔8k,8kが形成されているため、操作部収納室8eと電子部品収納室8fとが両挿通孔8k,8kを通じて連通することになるが、操作部収納室8eは被水環境下に置かれることが多いため、操作部収納室8e内に水や埃などの異物が入り込んだ際には、これらの異物が挿通孔8kを通じて電子部品収納室8fに入り込む虞がある。そのため、ケース1には、操作部収納室8eから電子部品収納室8fへの異物の侵入を防止するための被覆部12が設けられている。
【0031】
被覆部12は、防水性および可撓性を有する樹脂材料(例えばゴム)により形成され、大円筒部12aと、大円筒部12aよりも外径が小さい小円筒部12bと、大円筒部12aの軸方向一端側(図2中の上端側)と、小円筒部12bの軸方向他端側(図2中の下端側)とを連続一体に連結する連結部12cとを備えている。大円筒部12aの軸方向他端側には、外側に突出する円環状の下フランジ部12dが一体に形成され、また小円筒部12bの軸方向一端側には、内側に突出する円環状の上フランジ部12eが一体に形成されている。
【0032】
大円筒部12aの内径は、内周壁部8iの外径と同程度の大きさに設定され、小円筒部12bの内径は、作動子3の大径部3bの外径と同程度の大きさに設定されている。また、下フランジ部12dの外径は、外周壁部8jの内径より小さく設定され、上フランジ部12eの内径は、作動子3の溝部3cの外径と同程度の大きさに設定されている。
【0033】
カバー9は、ボディ8の高さ方向他端側(図2中の下側)の開口を閉塞する形でボディ8に取り付けられる、所謂背面カバーである。このカバー9は、ボディ8の高さ方向他端側の開口を閉塞できる大きさの略矩形板状に形成されており、複数の端子部7をケース1から外部に露出させるための複数の貫通孔(図示せず)が厚み方向(図2中の上下方向)に貫設されている。
【0034】
操作部2は、本スイッチ装置SWを手動動作するための操作ハンドルであって、絶縁性を有する樹脂材料により略箱状に形成されている。また、操作部2は、幅方向(図2中の紙面に垂直な方向)に直交する面内における外形形状が、高さ方向一端側の両側部が同方向に突出するとともに、高さ方向他端側の中央部が同方向に突出する略く字状に形成されている。なお、操作部2は、ケース1に取り付けられた状態で、操作面がケース1外に突出する高さ寸法に設定されている(図2参照)。
【0035】
この操作部2の幅方向両側面には、軸部10が貫挿される貫挿孔(図示せず)がそれぞれ形成されており、各貫挿孔をそれぞれボディ8に設けた各軸受孔に合わせた状態で、軸部10を一方の軸受孔から操作部2内に挿入して他方の軸受孔まで押し込むと、軸部10が軸支されて操作部2がボディ8に揺動自在に取り付けられる。また、操作部2の内底面において、隔壁部8dの各凹所8hと対応する部位には、作動子3A,3Bそれぞれの大径部3b,3bに当接する一対の当接リブ2d,2dが一体に突設されている。
【0036】
そして、各作動子3の大径部3bは、対応する当接リブ2bにそれぞれ当接しているから、操作部2を操作していない状態(つまり操作部2に操作荷重が加えられていない状態)では、作動子3Aの作動子ばね11が操作部2を時計回り(図2中の矢印C2方向)に回転させる操作反力と、作動子3Bの作動子ばね11が操作部2を反時計回り(図2中の矢印C1方向)に回転させる操作反力とが平衡する位置に操作部2が位置することになり、この位置が基準位置(中立位置)となる。
【0037】
ここで、本実施形態では、一方(図1(a)中の左側)のコア5Aが、対応する検出コイルL内の所定の基準位置に位置する状態を検出して表示する位置表示手段が設けられている。この位置表示手段は、図1(a)(b)に示すように、コア5Aが検出コイルL内の所定の基準位置に位置する状態を検出する複数(本実施形態では3個)のフォトインタラプタ14と、各フォトインタラプタ14に対応する形で設けられ、対応するフォトインタラプタ14がコア5Aを検出すると点灯する複数の発光ダイオード15とを備えている。
【0038】
なお、本実施形態では、所定の基準位置を、検出コイルLに対するコア5Aの挿入量が最大となる最大位置と、検出コイルLに対するコア5Aの挿入量が最小となる最小位置と、上記最大位置と最小位置の中間位置(図1(b)に示す位置)に設定している。そして、コア5Aが中間位置に位置するときの操作部2の位置が操作範囲内における中間位置(図1(a)に示す位置)であり、コア5Aが最大位置または最小位置に位置するときの操作部2の位置が操作範囲内における両端位置である。また、以下の説明において、フォトインタラプタ14および発光ダイオード15を区別する必要がある場合には、図1(b)中の上側から順にフォトインタラプタ14A,14B,14Cと表わすとともに、対応する発光ダイオードをそれぞれ発光ダイオード15A,15B,15Cと表わす。なお、図1(b)中の抵抗R1は、各発光ダイオード15に流れる電流を制限するための制限抵抗である。
【0039】
図3は、上記のフォトインタラプタ14がコア5Aを検出する動作を説明するための説明図であり、図3(a)はコア5Aを検出していない状態、図3(b)はコア5Aを検出した状態をそれぞれ示している。図3(a)では、フォトインタラプタ14の発光素子(例えば発光ダイオード)からの光(例えば赤外光)はコア5Aによって遮光されるため、受光素子(例えばフォトトランジスタ)には到達せず、その結果受光素子は導通しないから出力回路には電流iは流れない。一方、図3(b)では、コア5Aが検出コイルL側(図3(b)中の下側)に移動することで発光素子からの光が受光素子に到達し、その結果受光素子が導通することで出力回路に電流iが流れる。なお、各フォトインタラプタ14の受光素子の出力回路と、対応する発光ダイオード15の間は、それぞれ電線16により電気的に接続されている(図4(a)参照)。
【0040】
ここにおいて、各フォトインタラプタ14は、図1(a)に示すようにケース1の高さ方向(すなわち上下方向)において所定の間隔を空けた状態でそれぞれ配置されており、ケース1の長さ方向(すなわち左右方向)に沿って配置された発光素子と受光素子の間には、上記の作動子3Aが上下方向に移動自在に配置されている。そして、操作部2の押圧操作に応じて作動子3Aが上下方向に移動することで、対応するコア5Aが各フォトインタラプタ14を遮光または通光するようになっている。
【0041】
次に、位置表示手段の動作について図1および図2に基づいて説明する。まず、スイッチ装置SWを操作していない状態では、操作部2は中立位置(図1(a)および図2に示す位置)に位置し、このときコア5Aは図1(b)に示す位置に位置しているから、上側2個のフォトインタラプタ14A,14Bの出力回路に電流iが流れ、対応する2個の発光ダイオード15A,15Bが点灯した状態になる。すなわち、発光ダイオード15A,15Bが点灯している状態では、操作部2が中立位置に位置することを表示している。この状態から操作部2を時計回り(図2中の矢印C2方向)に操作端まで移動させると、コア5Aは検出コイルLから離れる方向(図1(b)中の上方向)に移動する(この位置が上記最小位置)。すると、フォトインタラプタ14A,14Bがともにコア5Aにより遮光されることになるから、対応する発光ダイオード15A,15Bは消灯し、この場合すべての発光ダイオード15A〜15Cが消灯することになる。一方、操作部2が中立位置にある状態から操作部2を反時計回り(図2中の矢印C1方向)に操作端まで移動させると、コア5Aは検出コイルLにさらに挿入される方向(図1(b)中の下方向)に移動する(この位置が上記最大位置)。すると、一番下のフォトインタラプタ14Cを遮光していたコア5Aがなくなることで、フォトインタラプタ14Cに対応する発光ダイオード15Cも点灯し、この場合にはすべての発光ダイオード15A〜15Cが点灯することになる。すなわち、本スイッチ装置SWの場合には、操作部2が中立位置に位置する状態(コア5Aが中間位置に位置する状態)では発光ダイオード15A,15Bが点灯し、操作部2が一方の操作端に位置する状態(コア5Aが最大位置に位置する状態)では発光ダイオード15A〜15Cのすべてが点灯し、さらに操作部2が他方の操作端に位置する状態(コア5Aが最小位置に位置する状態)では発光ダイオード15A〜15Cのすべてが消灯するから、上記3つの位置を容易に知ることができるのである。
【0042】
さらに、本スイッチ装置SWの動作について図1および図2に基づいて説明する。まず初期状態(スイッチ装置SWを操作していない状態)では、操作部2が中立位置(図1(a)および図2に示す位置)に位置しており、このとき発光ダイオード15A,15Bが点灯することで、操作部2が中立位置に位置することを表示している。
【0043】
この初期状態から、操作部2の操作面を押圧して上記の中立位置から反時計回り(図2中の矢印C1方向)に回転させると、その変位量に応じて、一方(図2中の左側)の当接リブ2dが作動子3Aを押圧する力が強まり、作動子3Aは作動ばね11のばね力に抗して下方向(図2中の矢印M1方向)に移動する。これに伴って、コア5Aも下方向に移動することになり、その結果、検出コイルLに対するコア5Aの挿入量が増加する。このとき、操作部2の変位量に応じて、他方(図2中の右側)の当接リブ2dが作動子3Bを押圧する力が弱まり、作動子3Bは作動子ばね11のばね力によって上方向(図2中の矢印M2方向)に移動する。これに伴って、コア5Bも上方向に移動することになり、その結果、検出コイルLに対するコア5Bの挿入量が減少する。またこのとき、発光ダイオード15A〜15Cが点灯することで、操作部2が操作範囲内の一方の操作端に位置することを表示している。
【0044】
その後、操作部2の押圧操作を解除すると(つまり操作面から指を離すと)、操作部2は、作動子3Aの作動子ばね11のばね力によって時計回り(図2中の矢印C2方向)に回転し、上記の中立位置に復帰する。これによって、コア5Aは上方向(図2中の矢印M2方向)に移動し、検出コイルLに対するコア5Aの挿入量は操作部2の押圧操作によって増加した分だけ減少する。一方、コア5Bは下方向(図2中の矢印M1方向)に移動し、検出コイルLに対するコア5Bの挿入量は操作部2の押圧操作によって減少した分だけ増加する。なおこのとき、発光ダイオード15Cは消灯し、発光ダイオード15A,15Bのみが点灯する初期状態に戻る。
【0045】
一方、上記初期状態(操作部2が中立位置に位置する状態)から、操作部2の操作面を押圧して上記の中立位置から時計回り(図2中の矢印C2方向)に回転させると、その変位量に応じて、上記他方の当接リブ2dが作動子3Bを押圧する力が強まり、作動子3Bは作動ばね11にばね力に抗して下方向(図2中の矢印M1方向)に移動する。これに伴って、コア5Bも下方向に移動することになり、その結果、検出コイルLに対するコア5Bの挿入量が増加する。このとき、操作部2の変位量に応じて、上記一方の当接リブ2dが作動子3Aを押圧する力が弱まり、作動子3Aは作動子ばね11のばね力によって上方向(図2中の矢印M2方向)に移動する。これに伴って、コア5Aも上方向に移動することになり、その結果、検出コイルLに対するコア5Aの挿入量が減少する。またこのとき、発光ダイオード15A〜15Cがすべて消灯することで、操作部2が操作範囲内の他方の操作端に位置することを表示している。
【0046】
その後、操作部2の押圧操作を解除すると、操作部2は、作動子3Bの作動子ばね11のばね力によって反時計回り(図2中の矢印C1方向)に回転し、上記の中立位置に復帰する。これによって、コア5Aは下方向に移動し、検出コイルLに対するコア5Aの挿入量は操作部2の押圧操作によって減少した分だけ増加する。一方、コア5Bは上方向に移動し、検出コイルLに対するコア5Bの挿入量は操作部2の押圧操作によって増加した分だけ減少する。なおこのとき、発光ダイオード15A,15Bのみが点灯する初期状態に戻る。
【0047】
而して、本実施形態によれば、コア5Aが上記の中間位置、最大位置または最小位置に位置する状態では位置表示手段(発光ダイオード15)により表示されるので、操作部2の操作範囲における中立位置および両端位置を容易に知ることができ、さらに操作部2の中立位置がずれた場合でも位置表示手段により表示される位置に操作部2を調整することで、操作部2の中立位置の調整誤差を小さくすることができ、その結果、キャリブレーション精度を高めることができる。また、ユーザーが本スイッチ装置SWを使用する際に、位置表示手段を確認することで操作部2の操作範囲における中立位置および両端位置を知ることができるので、従来例のように表示手段がない場合に比べて操作性のよいスイッチ装置SWを実現することができる。さらに、位置表示手段に発光ダイオード15A〜15Cを設けることによって、操作部2の中立位置を容易に知ることができるスイッチ装置SWを、低コストで実現することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、コア5Aの所定の基準位置を、上記の中立位置、最大位置および最小位置に設定しているが、上記の中立位置のみを所定の基準位置としてもよく、この場合、位置表示手段により操作部2の中立位置を知ることができるので、操作部2の中立位置がずれた場合でも位置表示手段により表示される位置に操作部2を調整することで、操作部2の中立位置の調整誤差を小さくすることができ、その結果、キャリブレーション精度を高めたスイッチ装置SWを実現することができる。また、本実施形態では、発光ダイオード15A〜15Cを用いて操作部2の位置を表示しているが、表示手段は発光ダイオードに限定されるものではなく、操作部2の位置を表示できるものであれば、他のものでもよい。さらに、本実施形態では、2組の作動子3,検出部4およびコア5を用いたスイッチ装置SWを例に説明したが、スイッチ装置は本実施形態に限定されるものではなく、例えば1組の作動子3,検出部4およびコア5を用いたものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ケース
2 操作部
5A,5B コア
6 信号処理部(変位検知手段)
14A〜14C フォトインタラプタ(位置表示手段)
15A〜15C 発光ダイオード(位置表示手段)
L 検出コイル
SW スイッチ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、当該ケースに移動自在に取着される操作部と、当該操作部の変位を検出するための検出コイルと、前記操作部の変位に応じて前記検出コイル内に進退自在に挿入されるコアと、当該コアの挿入量に応じて変化する前記検出コイルのインピーダンスに基づいて前記操作部の変位を検出する変位検知手段と、前記検出コイル内の所定の基準位置に前記コアが位置する状態を検出して表示する位置表示手段とを備えることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記所定の基準位置は、前記検出コイルに対する前記コアの挿入量が最大となる最大位置と、前記検出コイルに対する前記コアの挿入量が最小となる最小位置との間の中間位置であることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記所定の基準位置は、前記検出コイルに対する前記コアの挿入量が最大となる最大位置と、前記検出コイルに対する前記コアの挿入量が最小となる最小位置と、前記最大位置と最小位置との間の中間位置であることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記位置表示手段は、発光ダイオードを備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−192398(P2010−192398A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38110(P2009−38110)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】