説明

スイッチ装置

【課題】小型化を図ることができるスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】ホルダ2と、該ホルダ2に進退可能に保持された操作ノブ5と、該操作ノブ5の操作を検知するスイッチ部(検知手段)26と、外部の携帯機を作動させる起動電波を送信するためのコイルアンテナ13と、該コイルアンテナ13を保持するアンテナホルダ6と、前記コイルアンテナ6を外部の電気回路に接続するためのプリント基板(配線部)7,9を備えたスイッチ装置1において、前記アンテナホルダ6とこれに保持される前記コイルアンテナ13とを前記操作ノブ5に配置するとともに、前記操作ノブ5と一体的に進退移動する前記コイルアンテナ13と前記ホルダ2側に設けられた前記プリント基板7との電気的接続を維持する導電性のスプリング(可動接続手段)16を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルに設置されるエンジンスタート・ストップスイッチ等のスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の車両には、携帯機から無線送信されるID信号によってエンジンを始動可能な状態とするスマートイグニッションシステムを搭載したものがある。このスマートイグニッションシステムにおいては、車室内のインストルメントパネルに設けられたエンジンスタート・ストップスイッチを操作すると、車両の認証装置から携帯機に向けてリクエスト信号が送信され、このリクエスト信号を受信した携帯機からは車両の認証装置に対して自己のID信号が送信される。すると、車両の認証装置は、受信したID信号に含まれるIDコードと予め記憶されているIDコードとを照合し、両者が一致する場合には認証OKとしてエンジンを始動可能とし、エンジンスタート・ストップスイッチの操作によってエンジンが始動される。
【0003】
斯かるスマートイグニッションシステムにおいて、携帯機の電池等が消耗して通信不能となった場合の補助通信手段として、携帯機において電池等の電源を必要とすることなく車両の認証装置との通信を可能とするトランスポンダ通信機能を備えたものがある。このトランスポンダ通信機能は、車両の認証装置に設けられたコイルアンテナから送信される起動電波を携帯機が受信すると、携帯機のトランスポンダ内のコイル部によって起電力が発生され、その電力によって車両の認証装置に向けてID信号を送信することによって車両の認証装置と携帯機との通信を可能とするものである。
【0004】
ところで、トランスポンダ通信機能を使用する場合には、車両のコイルアンテナに携帯機を近づけた状態でエンジンスタート・ストップスイッチを操作する必要があるが、そのコイルアンテナの設置位置をユーザーに対して分かり易くするために、該コイルアンテナをエンジンスタート・ストップスイッチの近傍に配置するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−314806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1において提案された構成では、図5に示すようにコイルアンテナ113がスイッチ装置(エンジンスタート・ストップスイッチ)101の操作ノブ105の径方向外方に配置されているため、スイッチ装置101の外形が大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、小型化を図ることができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ホルダと、該ホルダに進退可能に保持された操作ノブと、該操作ノブの操作を検知する検知手段と、外部の携帯機を作動させる起動電波を送信するためのコイルアンテナと、該コイルアンテナを保持するアンテナホルダと、前記コイルアンテナを外部の電気回路に接続するための配線部を備えたスイッチ装置において、前記アンテナホルダとこれに保持される前記コイルアンテナとを前記操作ノブに配置するとともに、前記操作ノブと一体的に進退移動する前記コイルアンテナと前記ホルダ側に設けられた前記配線部との電気的接続を維持する可動接続手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記可動接続手段を、前記コイルアンテナと前記配線部との間に配設された導電性のスプリングで構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記配線部の一部を前記操作ノブの進退方向に沿って配置された基板で構成するとともに、該基板上に前記スプリングの一端を受ける導電性のスプリング保持部を突設したことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記可動接続手段を、前記配線部の一部を構成する基板上に前記操作ノブの進退方向に沿って配置されたアンテナ用固定接点と、前記アンテナホルダに設けられて前記アンテナ用固定接点に摺接するアンテナ用可動接点とで構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記ホルダに、前記操作ノブを内側で進退可能に保持する保持筒部を形成し、該保持筒部の外側に前記配線部を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、アンテナホルダとこれに保持されるコイルアンテナを操作ノブに配置したため、従来のようにコイルアンテナを操作ノブの径方向外方に配置する構成に比べてスイッチ装置を小型化することができる。又、コイルアンテナは操作ノブによって覆われて外部からは見えないため、スイッチ装置の外観性が高められる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、スイッチ操作によって操作ノブが進退移動した場合であっても、スプリングが伸縮してコイルアンテナと配線部との電気的な接続が維持され、スイッチ装置の安定した動作が可能となるとともに、断線等の故障の発生が防がれる。又、スプリングで構成される可動接続手段には摺動部分が存在しないため、摩耗による損傷や異音の問題が発生せず、該可動接続手段の耐久性が高められる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、スプリングの一端を受ける導電性のスプリング保持部を基板上に突設したため、簡単な構造によってスプリングの脱落を防いでコイルアンテナと配線部との安定した電気的接続が可能となる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、スイッチ操作によって操作ノブが進退移動した場合であっても、アンテナ用可動接点がアンテナ用固定接点上を摺動することによってコイルアンテナと配線部との電気的な接続が維持されるため、スイッチ装置の安定した動作が可能となるとともに、断線等の故障の発生が防がれる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、配線部をホルダの保持筒部の外側に配置したため、操作ノブが進退する部位と配設部が配置された部位とが保持筒部によって区画され、保持筒部に沿って進退動する操作ノブが配線部に接触することがなく、該配線部の破損が防がれてその耐久性が高められるとともに、配線部の配置が容易化する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係るスイッチ装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るスイッチ装置の側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るスイッチ装置のキャップと操作ノブの操作部を取り外して示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るスイッチ装置の側断面図である。
【図5】従来のスイッチ装置の破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係るスイッチ装置の分解斜視図、図2は同スイッチ装置の側断面図、図3は同スイッチ装置のキャップと操作ノブの操作部を取り外して示す正面図である。
【0021】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、スマートイグニッションシステムを搭載した車両のインストルメントパネルに設置されるエンジンスタート・ストップスイッチであって、上面の一部が切り欠かれた略円筒状のホルダ2とその上面開口部を覆うカバー3とで構成されるケース4の内部に操作ノブ5と、アンテナホルダ6と、プリント基板7と、ラバーシート8及びプリント基板9を組み込んで構成されている。尚、ケース4を構成するホルダ2とカバー3、操作ノブ5、アンテナホルダ6及びプリント基板7,9は非導電性の樹脂によってそれぞれ一体に成形されている。又、以下の説明においては、図2の左側を前方、右側を後方、左右方向を軸方向とする。
【0022】
上記ホルダ2は、円筒部2Aと上面が開口した半円筒部2Bとで構成され、円筒部2Aの外周の上下と左右の計4箇所には平坦な矩形の差込部2aが形成され、各差込部2aには係合突起2bがそれぞれ形成されている。又、半円筒部2Bの内側には半円筒状の保持筒部2cが同心状に形成されており、この保持筒部2cの内周の左右と下部の計3箇所(図1には2箇所のみ図示)にはガイド溝2dが長手方向(軸方向)に沿って形成されている。
【0023】
更に、ホルダ2の半円筒部2Bの上面開口部には矩形枠状の基板取付部2eが一体に形成されており、その内側の左右にはボス2fがそれぞれ立設されている。基板取付部2eには図2に示すように前記プリント基板7が水平に取り付けられるが、図1に示すように、該プリント基板7の左右には差込孔7aとネジ挿通孔7bがそれぞれ形成されており、後端部の下面の左右には中間雄コネクタ10が取り付けられている。そして、このプリント基板7の2つの差込孔7aには左右一対の導電性のスプリング保持部11が上方から差し込まれて固定されている。
【0024】
而して、プリント基板7は、これに形成された2つの前記ネジ挿通孔7bに上方からそれぞれ挿通する計2本のネジ12をホルダ2の半円筒部2Bに形成された前記ボス2fにねじ込むことによってホルダ2の基板取付部2eに水平に取り付けられる。尚、図1に示すように、ホルダ2の半円筒部2Bの後端の相対向する2箇所には矩形の係合孔2gが形成されている。
【0025】
前記カバー3は、図1に示すように、半円筒部3Aとその後端から垂直下方に一体に延びる蓋部3Bを備えており、半円筒部3Aの前端側の左右には矩形の係合孔3aが形成され、蓋部3Bの左右には係合突起3b(図1には一方のみ図示)が突設されている。そして、このカバー3をホルダ2の上方から被せると、その半円筒部3Aの左右に形成された係合孔3aにホルダ2側に形成された2つの不図示の係合突起が係合するとともに、蓋部3Bの左右に形成された係合突起3bがホルダ2の半円筒部2Bの左右に形成された係合孔2gに内側から係合することによって、該カバー3がホルダ2の上部に取り付けられてケース4が構成される。
【0026】
前記操作ノブ5は、上面が平坦な半円筒状のスライド部5Aとその前端開口部を覆う略円板状の操作部5Bとで構成されており、スライド部5Aの外周面の左右と下部の計3箇所(図1には1箇所のみ図示)にはガイドレール5aが長手方向(軸方向)に沿って一体に突設されている。又、スライド部5Aの前端部の外周の左右と下部の計3箇所(図1には1箇所のみ図示)には係合突起5bが一体に突設されている。
【0027】
更に、スライド部5Aの前端部内周には半リング状凹部としてのアンテナ収納部5cが形成されるとともに、矩形枠状のレンズ装着部5dが形成されている。又、スライド部5Aの後端部の左右には円柱状のスイッチ操作部5eが水平に形成されている。
【0028】
前記操作部5Bには後方に向かって一体に延びる半円筒状の嵌合部5fが形成されており、この嵌合部5fの左右と下部(図1には1つのみ図示)には矩形の係合孔5gがそれぞれ設けられている。又、操作部5Bの下部には横方向に長い長孔状の開口窓5hが形成されている。
【0029】
而して、操作ノブ5のスライド部5Aの前端部内周に形成された前記アンテナ収納部5cには前記アンテンホルダ6が嵌合保持されている。ここで、アンテナホルダ6は、リング状のホールド部6Aと、該ホールド部6Aの上部に立設された端子保持部6Bとで構成されており、ホールド部6Aの外周に形成された溝6aにはアンテナ線が巻回されてコイルアンテナ13が形成されている。又、アンテナホルダ6の端子保持部6Bには、アンテナ線を巻き付けて接続する左右2本のアンテナ接続部14とアンテナ線に接続された左右2本の接続端子15が後方に向かって水平に突設されている。
【0030】
アンテナホルダ6は、そのホールド部6Aが操作ノブ5のスライド部5Aの前端内周に形成されたアンテナ収納部5cに嵌合保持され、図2に示すように、端子保持部6Bとプリント基板9に立設された左右2つの前記スプリング保持部11との間に縮装された左右2本の導電性のスプリング16の内部には前記接続端子15が挿入され、両者は電気的な導通が取られて電気的な可動接続手段を構成している。又、操作ノブ5のスライド部5Aの前端内部に形成された前記レンズ装着部5dにはインジケータ照明用のレンズ17が前方から差し込まれて収納されている。
【0031】
而して、操作ノブ5の操作部5Bは、その嵌合部5fをスライド部5Aの前端外周に嵌合させ、該嵌合部5fに形成された3つの係合孔5gにスライド部5Aの前端外周の3箇所に突設された係合突起5bを係合させることによってスライド部5Aの前端外周に取り付けられる。そして、このようにして組み付けられた操作ノブ5は、スライド部5Aの外周に形成された3つのガイドレール5aをホルダ2の保持筒部2cの内周に形成された3つのガイド溝2dに合わせた状態で、スライド部5Aをホルダ2の保持筒部2cに前方から嵌め込むことによって、ホルダ2のガイド溝2dに沿って前後方向に進退可能に保持される。又、操作ノブ5の操作部5Bを図2に示すようにスライド部5Aに組み付けると、レンズ装着部5dに収納されたインジケータ照明用のレンズ17の前端部が操作部5Aに形成された開口窓5hに嵌め込まれ、該レンズ17と操作部5Bは車両の車室内に露出する。
【0032】
そして、上述のように操作ノブ5がホルダ2に嵌合保持されると、最後にホルダ2の前端部外周にリング状のキャップ18が嵌め込まれて固定される。ここで、キャップ18の上下左右には計4つの係合片18aがそれぞれ後方に向かって一体に突設されており、各係合片18aには矩形の係合孔18bがそれぞれ形成されている。従って、キャップ18は、各係合片18aをホルダ2の円筒部2Aの上下左右の4箇所に形成された差込部2aに前方からそれぞれ嵌め込み、該係合片18aに形成された係合孔18bにホルダ2の差込部2aに形成された係合突起2bを係合させることによってホルダ2の前端部外周に固定される。
【0033】
又、図2に示すように、ケース4内の後端部には前記プリント基板9とこれに被着される前記ラバーシート8が収容されている。ここで、プリント基板9の前面の上部中央には中間雌コネクタ19が取り付けられており、この中間雌コネクタ19は、プリント基板7の後端下面に取り付けられた前記中間雄コネクタ10に連結されている。
【0034】
又、図1に示すように、プリント基板9の前面の左右には一対の固定接点20が実装されており、これらの固定接点20の間には、操作ノブ5の操作部5Bに表示された文字を照明するための左右2つのLED21が実装されるとともに、ネジ孔9aが形成されており、ネジ孔9aの下方にはインジケータ照明用のLED22が実装されている。そして、プリント基板9の下部にはコネクタ23が左右2本のネジ24によって取り付けられており、コネクタ23には横方向に6列、上下に2段に配列された計12本の接続端子25が設けられており、これらの接続端子25はプリント基板9を貫通してその前面から突出している。
【0035】
上記プリント基板9には、図2及び図3に示すように、電気絶縁性の高い同形状のラバーシート8が被着されるが、このラバーシート8の上部中央にはプリント基板9に取り付けられた前記中間雌コネクタ19が貫通するための矩形の貫通孔8aが形成され、その下方の左右(プリント基板9に実装された前記固定接点20に対応する箇所)にはスイッチ部26が設けられている。ここで、各スイッチ部26は、操作ノブ5のスライド部5Aの後端に突設された左右一対の各スイッチ操作部5eがそれぞれ当接している。
【0036】
又、ラバーシート8のスイッチ部26の中央部(プリント基板9に形成されたネジ孔9aに対応する位置)にはネジ孔8bが形成され、その左右と下方には2つの矩形窓8cと1つの矩形窓8dがそれぞれ形成されている。そして、各矩形窓8c,8dにはプリント基板9に実装された前記LED21,22がそれぞれ嵌め込まれ、これらのLED21,22の出射面は各矩形窓8c,8dから前方に向かってそれぞれ露出している。
【0037】
更に、ラバーシート8の下部には、前記コネクタ23に設けられた接続端子25のプリント基板9を貫通する先端部との干渉を避けるための矩形袋状の凸部8eが突設されている。尚、ラバーシート8に設けられた各スイッチ部26はドーム状に成形され、その内部には不図示の可動接点が設けられており、該スイッチ部26が押圧されて可動接点とプリント基板9の固定接点20とが接触することによって両者が導通して当該スイッチ部26がONされる。
【0038】
而して、図2及び図3に示すようにラバーシート8とプリント基板9が組み付けられた状態では、アンテナホルダ6に保持されたアンテナコイル13は、可動接続手段を構成する接続端子15とスプリング16及びスプリング保持部11と、プリント基板7、互いに連結された中間雄コネクタ10及び中間雌コネクタ19、プリント基板9及びコネクタ23の接続端子25等によって構成される配線部及びコネクタ23に連結される不図示のカプラと電気コードを介して不図示のバッテリや認証装置に電気的に接続される。
【0039】
又、プリント基板9に実装されたインジケータ照明用のLED22とインジケータ照明用のレンズ17とは水平方向に一直線上に配置されており、両者の間にはLED22から出射される照明光をレンズ17に導くための筒状の導光パイプ27が配置されている。そして、この導光パイプ27は、カバー3を貫通するネジ28をプリント基板9とラバーシート8にそれぞれ形成されたネジ孔9a,8bにねじ込むことによって水平状態を保って固定されている。
【0040】
図2及び図3はスイッチ装置1の非操作状態を示すが、この状態では操作ノブ5のスライド部5Aの後端に水平に突設された左右一対のスイッチ操作部5eがラバーシート8のスイッチ部26を押圧しておらず、スイッチ部26の可動接点はプリント基板9側の固定接点20に接触していないために両者は非導通状態にあり、スイッチ部26はOFF状態にある。
【0041】
而して、エンジンスタート・ストップスイッチである本実施の形態に係るスイッチ装置1において、運転者が操作ノブ5の操作部5Bを操作して該操作ノブ5を押し込むと、該操作ノブ5のスライド部5Aに形成された左右一対のスイッチ操作部5eがラバーシート8のスイッチ部26を押し込むため、各スイッチ部26の可動接点がプリント基板9側の固定接点20に接触して両者が導通し、2つのスイッチ部26が同時にONされる。尚、操作ノブ5を押圧操作してスイッチ部26をON/OFF操作することによってプリント基板9上のLED22から光が出射され、この光は導光パイプ27及びレンズ17を通過して操作ノブ5の操作部5Bの開口窓5hから発光してインジケータ表示する。又、夜間等においては、プリント基板9上のLED21が駆動され、該LED21から出射される照明光が操作ノブ5のスライド部5Aの内部を通過して操作部5Bに達し、該操作部5Bの全体を照明する。
【0042】
上述のように2つのスイッチ部26が同時にONされると、車両の認証装置は、エンジンが停止している場合には、コイルアンテナ13より起動電波を発信する。すると、運転者が所持する携帯機に設けられたトランスポンダ内のコイル部によって起電力が発生し、その電力によって車両の認証装置に向けてID信号が送信される。
【0043】
次に、車両の認証装置は、コイルアンテナ13から受信したID信号に含まれるIDコードと予め記憶されているIDコードとを照合し、両者が一致する場合には認証OKとし、エンジンを始動可能状態としてエンジンを始動させる。又、エンジンが始動している場合には、スイッチ装置1の2つのスイッチ部26が同時にONされるとエンジンを停止させる。
【0044】
その後、運転者がスイッチ装置1の操作ノブ5から手を離すと、スイッチ部26とスプリング16の弾性復元力によって操作ノブ5が図2及び図3に示す元の非操作位置に戻るため、操作ノブ5のスイッチ操作部5eがスイッチ部26から離れて該スイッチ部26がOFFされる。
【0045】
以上において、本実施の形態に係るスイッチ装置1によれば、アンテナホルダ6とこれに保持されるコイルアンテナ13を操作ノブ5に配置したため、図5に示した従来のスイッチ装置101のようにコイルアンテナ113を操作ノブ105の径方向外方に配置する構成に比べてスイッチ装置1を小型化することができる。そして、コイルアンテナ13は操作ノブ5によって覆われて外部からは見えないため、スイッチ装置1の外観性が高められる。
【0046】
又、本発明に係るスイッチ装置1によれば、スイッチ操作によって操作ノブ5が進退移動した場合であっても、スプリング16が伸縮してコイルアンテナ13とプリント基板7との電気的な接続が維持され、スイッチ装置1の安定した動作が可能となるとともに、断線等の故障の発生が防がれる。そして、このような構成では、スプリング16で構成される可動接続手段には摺動部分が存在しないため、摩耗による損傷や異音の問題が発生せず、該可動接続手段の耐久性が高められる。
【0047】
更に、本発明に係るスイッチ装置1においては、スプリング16の一端を受ける導電性のスプリング保持部11をプリント基板7上に突設したため、簡単な構造によってスプリング16の脱落を防いでコイルアンテナ13とプリント基板7との安定した電気的接続が可能となる。
【0048】
又、本発明に係るスイッチ装置1においては、配線部の一部を構成するプリント基板7をホルダ2の保持筒部2cの外側に配置したため、操作ノブ5が進退する部位とプリント基板7が配置された部位とが保持筒部2cによって区画され、保持筒部2cに沿って進退動する操作ノブ5がプリント基板7に接触することがなく、該プリント基板7の破損が防がれてその耐久性が高められるとともに、プリント基板7の配置が容易化するという効果が得られる。
【0049】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図4に基づいて説明する。
【0050】
図4は本発明の実施の形態2に係るスイッチ装置の側断面図であり、本図においては図1〜図3において示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0051】
本実施の形態に係るスイッチ装置1’は、可動接続手段を、配線部の一部を構成するプリント基板7上に操作ノブ5の進退方向(図4の左右方向)に沿って配置されたアンテナ用固定接点29と、アンテナホルダ6に設けられて前記アンテナ用固定接点29に摺接するアンテナ用可動接点30とで構成したことを特徴としており、他の構成は前記実施の形態に係るスイッチ装置1のそれと同じである。
【0052】
而して、本実施の形態に係るスイッチ装置1’によれば、スイッチ操作によって操作ノブ5が進退移動した場合であっても、アンテナ用可動接点30がアンテナ用固定接点29上を摺動することによってコイルアンテナ13とプリント基板7との電気的な接続が維持されるため、スイッチ装置1’の安定した動作が可能となるとともに、断線等の故障の発生が防がれるという前記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0053】
その他、本実施の形態に係るスイッチ装置1’によっても、前記実施の形態1に係るスイッチ装置1において得られたと同様の効果が得られる。
【0054】
尚、以上は本発明をエンジンスタート・ストップスイッチとしてのスイッチ装置に対して適用した形態について説明したが、本発明は、同種の構成を有する他の任意のスイッチ装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
1,1’ スイッチ装置
2 ホルダ
2A ホルダの円筒部
2B ホルダの半円筒部
2a ホルダの差込部
2b ホルダの係合突起
2c ホルダの保持筒部
2d ホルダのガイド溝
2e ホルダの基板取付部
2f ホルダのボス
2g ホルダの係合孔
3 カバー
3A カバーの半円筒部
3B カバーの蓋部
3a ベースの軸支部
3b 軸支部の円孔
4 ケース
5 操作ノブ
5A 操作ノブのスライド部
5B 操作ノブの操作部
5a 操作ノブのガイドレール
5b 操作ノブの係合突起
5c 操作ノブのアンテナ収納部
5d 操作ノブのレンズ装着部
5e 操作ノブのスイッチ操作部
5f 操作ノブの嵌合部
5g 操作ノブの係合孔
5h 操作ノブの開口窓
6 アンテナホルダ
6A アンテナホルダのホールド部
6B アンテナホルダの端子保持部
6a アンテナホルダの溝
7 プリント基板
7a プリント基板の差込孔
7b プリント基板のネジ挿通孔
8 ラバーシート
8a ラバーシートの貫通孔
8b ラバーシートのネジ孔
8c,8d ラバーシートの矩形窓
8e ラバーシートの凸部
9 プリント基板
9a プリント基板のネジ孔
10 中間雄コネクタ
11 スプリング保持部
12 ネジ
13 コイルアンテナ
14 アンテナ接続部
15 接続端子
16 スプリング(可動接続手段)
17 インジケータ接続用レンズ
18 キャップ
18a キャップの係合片
18b キャップの係合孔
19 中間雌コネクタ
20 固定接点
21,22 LED
23 コネクタ
24 ネジ
25 接続端子
26 スイッチ部(検知手段)
27 導光パイプ
28 ネジ
29 アンテナ用固定接点(可動接続手段)
30 アンテナ用可動接点(可動接続手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダと、該ホルダに進退可能に保持された操作ノブと、該操作ノブの操作を検知する検知手段と、外部の携帯機を作動させる起動電波を送信するためのコイルアンテナと、該コイルアンテナを保持するアンテナホルダと、前記コイルアンテナを外部の電気回路に接続するための配線部を備えたスイッチ装置において、
前記アンテナホルダとこれに保持される前記コイルアンテナとを前記操作ノブに配置するとともに、前記操作ノブと一体的に進退移動する前記コイルアンテナと前記ホルダ側に設けられた前記配線部との電気的接続を維持する可動接続手段を設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記可動接続手段を、前記コイルアンテナと前記配線部との間に配設された導電性のスプリングで構成したことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記配線部の一部を前記操作ノブの進退方向に沿って配置された基板で構成するとともに、該基板上に前記スプリングの一端を受ける導電性のスプリング保持部を突設したことを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記可動接続手段を、前記配線部の一部を構成する基板上に前記操作ノブの進退方向に沿って配置されたアンテナ用固定接点と、前記アンテナホルダに設けられて前記アンテナ用固定接点に摺接するアンテナ用可動接点とで構成したことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記ホルダに、前記操作ノブを内側で進退可能に保持する保持筒部を形成し、該保持筒部の外側に前記配線部を配置したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−204508(P2011−204508A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71407(P2010−71407)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】