説明

スイッチ装置

【課題】自動車の音響や空調機器等の操作に用いられるスイッチ装置に関し、様々な使用状態においても、表示部の形状が維持され、表示を判別し易く視認性の良好なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】操作体12の表示部12Dと不透光部12Bを二色成形により一体形成すると共に、不透光部12B上に表面部12Cを重ねて設け、表示部12Dとその外縁に所定幅の不透光部12Bからなる輪郭部12Eを表面部12Cから露出させることによって、様々な使用状態においても、表示部12Dの形状が維持されて、表示を判別し易く視認性が良好で、且つ操作体の製作が容易で安価なスイッチ装置を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車の音響や空調機器等の操作に用いられるスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車室内のフロントパネル部やステアリングホイール部に、表示が照光する様々な操作体を備えた照光式のスイッチ装置を配置し、これらによってオーディオやエアコン等の各種電子機器の操作を行うものが増えている。
【0003】
このような従来のスイッチ装置について、図4及び図5を用いて説明する。
【0004】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0005】
図4は従来のスイッチ装置の断面図、図5は同操作体の平面図であり、同図において、1は絶縁樹脂製のケース、2は同じく絶縁樹脂製で略箱状の操作体で、ケース1には上方へ突出する中空筒部1Aが設けられ、この中空筒部1A外周に操作体2が上下動可能に装着されている。
【0006】
そして、操作体2の白色等の透光部2Aの上面は、黒色等の塗装膜で厚みが約20μmの不透光部2Bに覆われると共に、この不透光部2Bの表面は、シルバー色やアイボリー色の比較的明るい色の塗装膜で厚みが約20μmの表面部2Cに覆われている。
【0007】
また、2Dは文字や記号、図形等の所定の形状に透光部2Aが不透光部2Bから露出した表示部で、表示部2Dの外縁には所定の幅で不透光部2Bが表面部2Cから露出した輪郭部2Eが形成されている。
【0008】
なお、このような操作体2の表示部2Dや輪郭部2Eは、ベースとなる透光部2Aの上面に不透光部2Bを塗装して乾燥した後、この不透光部2Bの表面に表面部2Cを塗装して乾燥し、次に、上方からレーザを照射して、例えば、表面部2Cと不透光部2Bの2層を所定形状除去し表示部2Dを形成した後、さらに、表示部2D外縁の表面部2Cを所定幅で除去して、不透光部2Bを露出させて輪郭部2Eを形成することにより設けられている。
【0009】
そして、3は上下面に複数の導電パターン(図示せず)が形成された配線基板で、上面にはスイッチ接点としてのプッシュスイッチ4が実装され、このプッシュスイッチ4の上部の操作部に、操作体2下面から下方へ突出した押圧部2Fが当接している。
【0010】
さらに、このプッシュスイッチ4側方には、発光ダーオード等の発光素子5が表示部2Dの略中央の下方に配設され、これらプッシュスイッチ4や発光素子5が実装された配線基板3上面をケース1が覆ってスイッチ装置が構成されている。
【0011】
そして、このようなスイッチ装置は、車室内のフロントパネル部やステアリングホイール部に装着され、プッシュスイッチ4や発光素子5等が配線基板3を介して、オーディオやエアコン等の各種電子機器や、自動車の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0012】
以上の構成において、操作体2を下方へ押圧操作すると、押圧部2Fがプッシュスイッチ4の操作部を押圧して、プッシュスイッチ4の電気的接離が行われ、例えば、オーディオの音量やエアコンの温度等の切換えが行われる。
【0013】
また、夜間等の周囲が暗い場合には、発光素子5が発光し、この光が操作体2下方から透光部2Aを照光して、文字や記号、図形等の表示部2Dが照光されるため、周囲が暗い場合でも、表示部2Dの表示や操作体2の位置確認が可能となり、操作体2の識別や操作を行うことができる。
【0014】
さらに、日中の周囲が明るい場合には、白色等の表示部2Dの外縁を黒色等の輪郭部2Eで囲むことによって、例えば表示部2Dの白色に対しその周りの表面部2Cがシルバー色で似通った明るい色の場合にも、表示部2Dと表面部2Cとの境が輪郭部2Eにより明瞭になって、表示部2Dの表示が視認し易くなっている。
【0015】
また、このように表示部2Dの周囲を塗装膜である不透光部2Bの輪郭部2Eで囲み、その周囲を同じく塗装膜である表面部2Cで覆った操作体2においては、長期間の操作体2上面への押圧操作や、例えば化粧品や洗浄剤などの塗装膜に影響を及ぼし易い溶剤成分や油成分が付着した状態での操作等により、輪郭部2Eやこの近傍の表面部2Cが部分的又は全体的に磨耗や剥離にして、表示部2Dの形状が不鮮明になり、表示部2Dの表示を判別し難く、視認性が低下する可能性があった。
【0016】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2000−305495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置においては、操作体2の透光部2A上に塗装膜で重ねて形成された不透光部2Bと表面部2Cに、表示部2Dとその外縁に輪郭部2Eが各々露出して形成されているため、長期間の操作体2上面への押圧操作や塗装膜に影響を及ぼし易い溶剤成分や油成分が付着した状態での操作等によって、輪郭部2Eやこの近傍の表面部2Cが部分的又は全体的に磨耗や剥離して、表示部2Dの形状が不鮮明となり、表示部2Dの表示を判別し難く、視認性が低下する可能性があるという課題があった。
【0019】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、様々な使用状態においても、表示部の形状が維持され、表示を判別し易く視認性の良好なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、操作体の表示部と不透光部を二色成形により一体形成すると共に、不透光部上に表面部を重ねて設け、表示部とその外縁に所定幅の不透光部からなる輪郭部を表面部から露出させたものであり、表示部の透光部と輪郭部となる不透光部が二色成形により形成されているため、例えば、表示部と表面部が類似の明るい色で形成され、日中等の周囲が明るい場合でも、表示部外縁の輪郭部によって表示が視認し易く、様々な使用状態においても表示部の形状が維持されて、表示を判別し易く視認性の良好なスイッチ装置を得ることができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、日中の周囲が明るい場合に、表示を視認し易く、様々な使用状態においても、表示部自体の形状が維持されて、表示を判別し易く表示の視認性が良好なスイッチ装置を得ることができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の断面図
【図2】同操作体の平面図
【図3】同他実施の形態による操作体の平面図
【図4】従来のスイッチ装置の断面図
【図5】同操作体の平面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0024】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0025】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0026】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の断面図、図2は同操作体の平面図であり、同図において、1はポリオキシメチレンやアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(以降、ABSと記載する)等の絶縁樹脂製のケース、12は略箱状の操作体で、ケース1には上方へ突出する中空筒部1Aが設けられ、この中空筒部1A外周に操作体12が上下動可能に装着されている。
【0027】
そして、操作体12は内側に光透過性の白色等でポリカーボネートやABS等の合成樹脂製の透光部12Aと、この透光部12Aの上面及び側面を覆うように、不透光性の黒色等でポリカーボネートやABS等の合成樹脂製で厚みが0.8mm〜1.0mmの不透光部12Bが二色成形等によって形成されると共に、不透光部12Bの外側にはシルバー色やアイボリー色等の比較的明るい色の塗装膜で厚みが約20μmの表面部12Cに覆われている。
【0028】
また、12Dは操作体12の上面に形成された表示部で、文字や記号、図形等の所定の形状に透光部2Aが不透光部12Bから同一面上に露出して形成され、表示部12Dの外縁には例えば0.2mm〜0.3mmの所定の幅で不透光部12Bが表面部12Cから露出した輪郭部12Eが形成されている。
【0029】
なお、操作体12の輪郭部12Eは、二色成形された透光部12Aと不透光部12Bの表面に塗装された表面部12Cを、上方からレーザを照射して、表示部12Dとその外縁の輪郭部12E分の所定の範囲を合せて除去して、表示部12Dとその外縁に所定の幅の輪郭部12Eが同一面上に形成される。
【0030】
したがって、背景技術で説明したように、透光部の上面に不透光部と表面部の塗装膜を各々塗布と乾燥を繰り返して2層形成し、レーザ加工を2回行い表示部と輪郭部を形成して操作体を製作する場合に比べ、二色成形された透光部12Aと不透光部12Bの上面に表面部12Cの塗装膜を1層のみ塗布及び乾燥させて、その後、表示部12Dに輪郭部12Eを加えた範囲を1回のレーザ加工を行って操作体12を製作できるため、二色成形に多少コストは要するが、製作が容易で安価な操作体にすることができる。
【0031】
そして、3は上下面に複数の導電パターン(図示せず)が形成された配線基板で、上面にはスイッチ接点であるプッシュスイッチ4が実装され、このプッシュスイッチ4の上部の操作部に、操作体12下面から下方へ突出した押圧部12Fが当接している。
【0032】
さらに、このプッシュスイッチ4側方には、発光ダーオード等の発光素子5が表示部12Dの略中央の下方に配設され、これらプッシュスイッチ4や発光素子5が実装された配線基板3上面をケース1が覆ってスイッチ装置が構成されている。
【0033】
そして、このようなスイッチ装置は、車室内のフロントパネル部やステアリングホイール部に装着され、プッシュスイッチ4や発光素子5等が配線基板3を介して、オーディオやエアコン等の各種電子機器や、自動車の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0034】
以上の構成において、操作体12を下方へ押圧操作すると、押圧部12Fがプッシュスイッチ4の操作部を押圧して、プッシュスイッチ4の電気的接離が行われ、例えば、オーディオの音量やエアコンの温度等の切換えが行われる。
【0035】
また、夜間等の周囲が暗い場合には、発光素子5が発光し、この光が操作体12下方から透光部12Aを照光して、文字や記号、図形等の表示部12Dが照光されるため、周囲が暗い場合でも、表示部12Dの表示や操作体12の位置確認が可能となり、操作体12の識別や操作を行うことができる。
【0036】
さらに、日中の周囲が明るい場合には、白色等の透光部12Aからなる表示部12Dの外縁を黒色等の輪郭部12Eで囲むことによって、例えば表示部12Dの白色に対しその周りの表面部12Cがシルバー色で似通った明るい色である場合、表示部12Dと表面部12Cとの境が輪郭部12Eにより明瞭となるため、表示部12Dの文字や記号等が視認し易くなっている。
【0037】
なお、長期間の操作体12上面への押圧操作や、例えば化粧品や洗浄剤などの塗装膜に影響を及ぼし易い溶剤成分や油成分が付着した状態での操作等により、輪郭部12Eの外側の表面部12Cが部分的又は全体的に磨耗や剥離する場合があるが、表示部12Dは黒色等の合成樹脂製の不透光部12Bの輪郭部12Eに囲まれ二色成形で一体形成されているため、表示部12Dの形状が維持されて、表示部12Dの表示を判別する上では支障がなく、表示の視認性には影響がなく良好なものとなっている。
【0038】
このように本実施の形態によれば、操作体12の表示部12Dと不透光部12Bを二色成形により一体形成すると共に、不透光部12B上に表面部12Cを重ねて設け、表示部12Dとその外縁に所定幅の不透光部12Bからなる輪郭部12Eを表面部12Cから露出させることによって、表示部12Dの透光部12Aと輪郭部12Eとなる不透光部12Bが二色成形により形成されているため、様々な使用状態においても、表示部12Dの形状が維持されて、表示を判別し易く視認性が良好で、且つ操作体の製作が容易で安価なスイッチ装置を実現することができるものである。
【0039】
また、以上の説明では、表示部12Dの外縁全体に輪郭部12Eを設けたものとして説明したが、図3の操作体の平面図に示すように、表示部12Dの部分的な外縁に輪郭部12Eを設けて、表示が認識できるようにしたものとしても良い。
【0040】
さらに、以上の説明では、スイッチ接点を、上部を押圧操作することにより電気的接離が行われるプッシュスイッチとして説明したが、揺動操作により電気的接離が行われるシーソスイッチや、回転操作させる回転スイッチのものでも本発明の実施は可能である。
【0041】
なお、以上の説明では、操作体12の内側下方に発光素子5を備えたものとして説明したが、発光素子を備えていないスイッチ装置においても、日中等の周囲の明るい場合、表示部の表示の視認性が確保できるため、本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によるスイッチ装置は、日中の周囲が明るい場合に、表示を視認し易く、様々な使用状態においても、表示部自体の形状が維持され、表示を判別し易く表示の視認性が良好なものを得ることができ、自動車の音響や空調機器等の操作に用いられるスイッチ装置等に有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 ケース
1A 中空筒部
3 配線基板
4 プッシュスイッチ
5 発光素子
12 操作体
12A 透光部
12B 不透光部
12C 表面部
12D 表示部
12E 輪郭部
12F 押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状で外側が不透光部に覆われると共に内側に透光部が設けられ、この透光部が前記不透光部から所定形状に露出した表示部を設けた操作体と、この操作体への操作によって電気的接離を行うスイッチ接点からなり、前記表示部と前記不透光部を二色成形により一体形成すると共に、前記不透光部上に表面部を重ねて設け、前記表示部とその外縁の所定幅の前記不透光部からなる輪郭部を前記表面部から露出させたスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−226851(P2012−226851A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90783(P2011−90783)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】