説明

スイッチ装置

【課題】圧電素子を保護しつつ、力センサに、なされた操作の検出に必要な荷重を伝達することができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置1は、押し込み操作が可能なパネル22と、パネル22と接触するように設けられ、パネル22の押し込まれる方向の移動により押し込まれる方向に回転する回転部と、回転部に接触し、回転部の回転に伴って押し込まれる方向に移動し、移動に伴って付加される荷重を検出して検出信号を出力する荷重検出部としての力センサ12と、力センサ12が、上部に形成された開口202aに挿入された台座部20と、力センサ12に接触するように台座部20に設けられ、検出信号に基づいて振動を発生させる振動発生部14と、台座部20と振動発生部14の間に介在し、力センサ12の押し込まれる方向の移動に伴って、振動発生部14を介して付加される荷重に基づいて弾性変形を行う弾性部材18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、基部と、基部上に設けられた支持部と、支持部に支持される基板、及び基板の裏面に設けられる圧電素子からなる圧電アクチュエータと、基板の表面に接触するパッドと、パッド上に設けられた力センサと、力センサ上に設けられた支持トレイと、支持トレイに支持されたタッチ感知ディスプレイと、圧電アクチュエータを作動させる作動信号を生成するプロセッサと、を備えた携帯型電子デバイスが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この携帯型電子デバイスは、タッチ感知ディスプレイにタッチ操作がなされると、プロセッサに信号を出力し、信号を取得したプロセッサは、作動信号を生成する。圧電アクチュエータは、この作動信号に基づいて作動し、パッド、力センサ、支持トレイ及びタッチ感知ディスプレイを介して、操作者に触覚フィードバックを与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−152888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の携帯型電子デバイスは、パッドと接触する力センサの接触部分が半球状などの面積が狭い形状であると、軟質性材料から形成されるパッドを介して力センサに荷重が伝達し難く、タッチ感知ディスプレイになされたプッシュ操作を力センサで検出し難い問題がある。また、従来の携帯型電子デバイスは、タッチ感知ディスプレイになされたプッシュ操作による荷重が、両端を支持トレイに支持された圧電アクチュエータの中央に付加されるため、圧電アクチュエータが撓むことによって破損し易いという問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、圧電素子を保護しつつ、力センサに、なされた操作の検出に必要な荷重を伝達することができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、筐体の内部に押し込まれる方向の操作が可能な操作部と、筐体の側面から伸びて操作部と接触するように設けられ、操作部の押し込まれる方向の移動により押し込まれる方向に回転する回転部と、回転部に接触し、回転部の回転に伴って押し込まれる方向に移動し、移動に基づく荷重を検出して検出信号を出力する荷重検出部と、上部に形成された開口に荷重検出部が挿入された台座部と、開口に挿入された荷重検出部に接触するように台座部内に設けられ、検出信号に基づいて振動する振動発生部と、台座部と振動発生部の間に介在し、荷重検出部の押し込まれる方向の移動に基づく荷重に応じて弾性変形を行う弾性部材と、を備えたスイッチ装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、圧電素子を保護しつつ、力センサに、なされた操作の検出に必要な荷重を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は、実施の形態に係るスイッチ装置の上面図であり、(b)は、(a)のI(b)−I(b)線で切断した断面図であり、(c)は、スイッチ装置のブロック図である。
【図2】図2(a)は、第1の実施の形態に係るスイッチ装置のプッシュ操作前の状態を示す要部断面図であり、(b)は、プッシュ操作が行われた場合の状態を示す要部断面図であり、(c)は、プッシュ操作によりパネルに過荷重が付加された場合の状態を示す要部断面図である。
【図3】図3(a)は、第2の実施の形態に係るスイッチ装置のプッシュ操作前の状態を示す要部断面図であり、(b)は、スイッチ装置のプッシュ操作後の状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係るスイッチ装置は、筐体の内部に押し込まれる方向の操作が可能な操作部と、筐体の側面から伸びて操作部と接触するように設けられ、操作部の押し込まれる方向の移動により押し込まれる方向に回転する回転部と、回転部に接触し、回転部の回転に伴って押し込まれる方向に移動し、移動に基づく荷重を検出して検出信号を出力する荷重検出部と、上部に形成された開口に荷重検出部が挿入された台座部と、開口に挿入された荷重検出部に接触するように台座部内に設けられ、検出信号に基づいて振動する振動発生部と、台座部と振動発生部の間に介在し、荷重検出部の押し込まれる方向の移動に基づく荷重に応じて弾性変形を行う弾性部材と、を備える。
【0011】
[実施の形態]
(スイッチ装置1の構成)
図1(a)は、実施の形態に係るスイッチ装置の上面図であり、(b)は、(a)のI(b)−I(b)線で切断した断面図であり、(c)は、スイッチ装置のブロック図である。なお、実施の形態に係る各図において、部品と部品との比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また、以下に示す上面視とは、スイッチ装置1のパネル22を押し込む方向、つまり、図1(a)の紙面に垂直な方向からスイッチ装置1を見ることを示すものとする。さらに、以下に示す過荷重とは、想定される平均的な操作者によるプッシュ操作によりパネル22に付加される荷重を、大きく超えた荷重を示し、例えば、荷重を逃がす構成が無い場合は、圧電素子15等が破壊される可能性がある荷重を示している。
【0012】
このスイッチ装置1は、例えば、筐体10の内部に押し込まれる方向の操作により、接続された電子機器に操作信号を出力すると共に、振動発生部14の圧電素子15を振動させることで、操作者に触覚フィードバックを与えるものである。この触覚フィードバックとは、例えば、操作者の指に振動を伝達させることであり、操作者は、この触覚フィードバックを指で感じることにより、操作が受け付けられたことを認識することができる。
【0013】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、主に、筐体10の内部に押し込まれる方向の操作が可能な操作部としてのパネル22と、筐体10の側面105から伸びてパネル22と接触するように設けられ、パネル22の押し込まれる方向の移動により押し込まれる方向に回転する回転部と、回転部に接触し、回転部の回転に伴って押し込まれる方向に移動し、移動に基づく荷重を検出して検出信号を出力する荷重検出部としての力センサ12と、上部202に形成された開口202aに力センサ12が挿入された台座部20と、開口202aに挿入された力センサ12に接触するように台座部20内に設けられ、検出信号に基づいて振動する振動発生部14と、台座部20と振動発生部14の間に介在し、力センサ12の押し込まれる方向の移動に基づく荷重に応じて弾性変形を行う弾性部材18と、を備えて概略構成されている。なお、本実施の形態に係る回転部とは、アーム40〜アーム43の少なくとも1つが対応する。
【0014】
また、スイッチ装置1は、力センサ12から出力された検出信号に基づいて振動発生部14を制御して振動を発生させ、パネル22に振動を伝達させる制御部32を備える。以下において、筐体10の内部に押し込まれる方向の操作は、プッシュ操作と記載する。
【0015】
・筐体10について
筐体10は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、一方端部には開口101が形成されて開放され、他方端部には底部104を有して閉じられた箱形状となっている。また、筐体10は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。
【0016】
筐体10は、例えば、その内部空間である収容部103の側面105の上部から、筐体10の中心に向って突出する凸部102が形成され、この凸部102により、開口101が形成されている。この凸部102の表面は、筐体10の上面100となっている。この開口101は、例えば、図1(a)に示すように、上面視において矩形状となっており、パネル22よりもひと回り大きい形状となっている。操作がなされていないとき、筐体10の上面100と、パネル22の操作面22aとは、例えば、ほぼ平坦となるように構成されている。
【0017】
筐体10は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、4つの角部に支持部110a〜支持部110dが設けられている。支持部110aは、例えば、支持部110bと対向している。支持部110cは、例えば、支持部110dと対向している。
【0018】
支持部110aは、例えば、収容部103の角部から収容部103の中央に向けて突出し、図1(a)の上面視において、2つの凸部により中央に開口が形成された形状を有している。支持部110aは、側面に孔が形成されたアーム40の一方端部が、この開口に挿入され、支持部110aの凸部の側面の孔からアーム40の孔にピン111aが挿入されることにより、アーム40を回転可能に支持している。支持部110aは、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。なお、支持部110b〜支持部110dは、例えば、この支持部110aと同材料を用いて、同形状となるように形成される。
【0019】
また、支持部110aのアーム40の支持方法と同様の方法により、支持部110b〜支持部110dは、アーム41〜アーム43を回転可能に支持している。
【0020】
なお、この支持部110a〜支持部110dは、例えば、筐体10と一体となって形成されても良いし、接着剤及びねじ止め等の方法により、筐体10に取り付けられても良い。
【0021】
・力センサ12について
力センサ12は、例えば、半球形状の先端部120が力センサ12の本体側に移動する際に付加された荷重を検出するセンサである。この力センサ12は、例えば、歪みゲージ、圧力センサ等が用いられる。なお、先端部120は、半球形状であるが、これに限定されない。
【0022】
この力センサ12は、例えば、アーム40〜アーム43に接触し、アーム40〜アーム43の回転に伴って押し込まれる方向に移動し、この移動に伴って付加される荷重を検出して検出信号を出力するように構成されている。
【0023】
また、力センサ12は、例えば、図1(b)に示すように、台座部20の上部202に形成された開口202aに挿入されている。さらに、力センサ12は、例えば、パネル22等の重さによる荷重の影響を排除するようにプリロードが設定されている。
【0024】
・振動発生部14について
振動発生部14は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、台座部20内に取り付けられている。また、振動発生部14は、圧電素子15と、金属板16と、を備えて概略構成されている。
【0025】
金属板16は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、台座部20の基部200の内壁200aに設けられ、円板形状を有している。また、金属板16には、例えば、導電性を有するアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。なお、金属板16は、例えば、合成樹脂等の非導電性材料を用いて形成されても良い。
【0026】
圧電素子15は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、金属板16よりも一回り小さい円板形状を有している。また、圧電素子15は、例えば、供給された電圧により、伸縮を行う。この伸縮により、金属板16が屈曲し、この屈曲によって振動が発生する。
【0027】
圧電素子15の材料としては、例えば、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が用いられる。振動発生部14は、例えば、これらの材料を用いて形成された膜を金属板16の片面に積層して形成された積層ユニモルフ型の圧電アクチュエータである。なお、振動発生部14は、例えば、金属板の一方面に、上記の材料を用いて形成された膜が形成される単層ユニモルフ型、金属板の両面に、上記の材料を用いて形成された膜が形成される単層バイモルフ型、金属板の両面に、上記の材料を用いて形成された膜を積層して形成された積層バイモルフ型、の圧電アクチュエータであっても良い。
【0028】
なお、圧電素子15及び金属板16は、円板形状に限定されず、棒形状等であっても良い。
【0029】
この圧電素子15は、例えば、図1(c)に示すように、圧電素子制御部30と電気的に接続されている。この圧電素子制御部30は、例えば、制御部32と電気的に接続され、制御部32から出力される指示信号に基づいて振動生成信号を生成し、圧電素子15に出力するように構成されている。圧電素子15は、例えば、この振動生成信号に基づいて振動する。
【0030】
ここで、圧電素子15は、例えば、前述の振動が金属板16を撓ませて金属板16を振動させ、この振動がパネル22に伝達されることで、操作者は、指に振動を感じ、触覚フィードバックを得ることが可能となる。なお、圧電素子制御部30は、例えば、制御部32の機能として提供されても良い。
【0031】
また、圧電素子15は、一例として、200〜300Hzの周波数で振動する。
【0032】
・台座部20について
台座部20は、例えば、図1(b)に示すように、円筒形状を有する基部200と、基部200の内壁200aの下部から内側に向けて突出する凸部201と、開口202aが形成された上部202と、から概略構成されている。台座部20は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。なお、台座部20は、例えば、基部200、凸部201及び上部202が一体形成されも良いし、各部分が接着剤及びねじ止め等の方法により取り付けられても良い。
【0033】
凸部201は、例えば、基部200の内壁200aに沿って形成されることで、開口201aを形成している。また、凸部201は、例えば、下面203a側が筐体10の底部104と接触し、上面203b側には弾性部材18を介して振動発生部14が設けられている。なお、台座部20は、上記の構成に限定されず、弾性部材18が、弾性変形した後、振動発生部14が台座部20の底部に接触しないように構成されているならば、開口201aが形成されない形状であっても良い。
【0034】
・パネル22について
本実施の形態に係るパネル22は、例えば、図1(a)に示すように、上面視にて矩形状を有する基部220と、基部220の外周に沿って基部220の外側に突出する縁部221と、を備えて概略構成されている。このパネル22は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。なお、パネル22は、例えば、タッチ操作を検出可能なタッチパネル等で構成されても良い。
【0035】
基部220は、例えば、筐体10の開口101から露出している。基部220の外周は、例えば、開口101の縁よりもひとまわり小さくなるように形成されている。また、縁部221は、例えば、開口101の縁よりもひとまわり大きくなるように形成されている。
【0036】
このパネル22の裏面22bには、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、接触子50〜接触子53が設けられている。この接触子50〜接触子53は、例えば、半球形状を有している。また、接触子50〜接触子53は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、アルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、ステンレス等の合金材料、又は、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム、或いは、天然ゴム等の弾性材料を用いて形成される。なお、接触子50〜接触子53は、例えば、パネル22を介して付加される荷重により、弾性変形し難い材料を用いることが好ましい。さらに、接触子50〜接触子53は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、アーム40〜アーム43のそれぞれに接している。
【0037】
・弾性体24について
筐体10の凸部102とパネル22の縁部221との間には、例えば、弾性体24が設けられている。
【0038】
この弾性体24は、例えば、縁部221の形状に応じたリング型状となっている。この弾性体24は、一例として、図1(a)のI(b)−I(b)線で切断した断面の形状がU字形状となっている。
【0039】
また、弾性体24は、例えば、鉄、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム、又は、天然ゴム等の弾性材料を用いて形成される。弾性体24は、例えば、筐体10の上面100とパネル22の基部220との隙間から入り込むゴミ等を防止するように構成されている。弾性体24は、例えば、凸部102と縁部221とに弾性力を付加することで、パネル22を押し下げ、振動発生部14を介してアーム40〜アーム43と力センサ12との接触を保つように構成されている。
【0040】
・アーム40〜アーム43について
アーム40〜アーム43は、例えば、図1(a)に示すように、筐体10の収容部103の対角線に沿うように、収容部103の角部から中央に伸びて放射状に設けられている。
【0041】
アーム40〜アーム43は、例えば、長細い四角柱形状を有し、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。なお、アーム40〜アーム43は、例えば、パネル22を介して付加される荷重により、撓み難い材料を用いて形成されることが好ましい。このアーム40〜アーム43の先端には、それぞれ接触子60〜接触子63が設けられている。
【0042】
この接触子60〜接触子63は、例えば、半球形状を有している。また、接触子60〜接触子63は、例えば、鉄、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム、又は、天然ゴム等の弾性材料を用いて形成される。なお、接触子60〜接触子63は、例えば、パネル22を介して付加される荷重により、弾性変形し難い材料を用いることが好ましい。さらに、接触子60〜接触子63は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、力センサ12の作用面121に接している。
【0043】
ここで、アーム40を例にとると、てこの原理から、アーム40の回転中心であるピン111aが支点、パネル22の接触子50が接触するアーム40の点が力点、アーム40の先端の接触子60が作用点となっている。従って、この構成によれば、パネル22に付加された荷重が作用点では小さくなり、その代わり、パネル22の移動距離に比べて接触子60の移動距離を稼ぐことできる。つまり、アーム40〜アーム43を設けることにより、パネル22に付加された過荷重を緩和すると共に、力センサ12を動作させることが可能な距離、力センサ12を移動させることができる。
【0044】
・制御部32について
制御部32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を備えたマイクロコンピュータである。また、制御部32は、例えば、図1(c)に示すように、力センサ12と、圧電素子制御部30を介して振動発生部14と、に電気的に接続されている。また、制御部32は、例えば、スイッチ装置1が電気的に接続される電子機器に操作信号を出力するように構成されている。この操作信号は、例えば、検出信号に基づいて生成され、プッシュ操作がなされたことを示す信号である。
【0045】
また、制御部32は、例えば、プッシュ操作を判定するためのしきい値320をROMに格納している。制御部32は、例えば、力センサ12から出力される検出信号とこのしきい値320とを比較し、検出信号がしきい値320を超える場合に、なされた操作をプッシュ操作と判定する。従って、制御部32は、検出信号がしきい値320を超える場合に振動を発生させる。
【0046】
以下に、本実施の形態に係るスイッチ装置1の動作について、各図を参照して説明する。
【0047】
(動作)
図2(a)は、第1の実施の形態に係るスイッチ装置のプッシュ操作前の状態を示す要部断面図であり、(b)は、プッシュ操作が行われた場合の状態を示す要部断面図であり、(c)は、プッシュ操作によりパネルに過荷重が付加された場合の状態を示す要部断面図である。
【0048】
操作者は、図2(a)に示すスイッチ装置1のパネル22にプッシュ操作を行う。このプッシュ操作は、パネル22の操作面22aの中央に行われるものとする。
【0049】
このプッシュ操作に伴って、スイッチ装置1のパネル22は、図2(a)の紙面下方に移動する。この移動により、パネル22の接触子50〜接触子53が、接触するアーム40〜アーム43の上部に押し下げる方向の荷重を付加するので、アーム40〜アーム43は、下方に回転する。アーム40〜アーム43は、各支持部110a〜支持部110dのピン111a及びピン111b等を回転中心として回転する。また、弾性体24は、パネル22と凸部102との接触を保ちながら弾性変形を行う。
【0050】
ここで、操作者によるプッシュ操作が、パネル22の中央ではなく、パネル22の縁近く、つまり偏って行われた場合、パネル22は、操作面22aが傾いた状態で下方に移動する。しかし、このスイッチ装置1は、どの方向に偏っても接触子50〜接触子53の少なくとも1つがアームを介して力センサ12を押し下げることが可能となる。
【0051】
アーム40〜アーム43の回転の結果、図2(b)に示すように、アーム40〜アーム43が、接触子60〜接触子63を介して力センサ12を下方に押し下げる。
【0052】
ここで、操作者が、パネル22に対して通常よりも強い力でプッシュ操作を行った場合、つまり、パネル22に過荷重が付加された場合、図2(c)に示すように、アーム40〜アーム43が台座部20の上部202に接触すると共に弾性部材18を大きく弾性変形させ、荷重を台座部20から筐体10に伝達させる。従って、スイッチ装置1は、力センサ12及び圧電素子15に過荷重が付加されることを防止することが可能となる。
【0053】
力センサ12の下方への移動に伴って、先端部120を介して振動発生部14が、弾性部材18を弾性変形させながら下方に移動する。
【0054】
先端部120が力センサ12の本体方向に移動することにより、力センサ12は、検出信号を制御部32に出力する。制御部32は、検出信号を取得すると、検出信号としきい値320とを比較してプッシュ操作の有無を判定する。制御部32は、プッシュ操作がなされたと判定すると、指示信号と操作信号を生成する。この指示信号は、圧電素子制御部30に出力される。また、操作信号は、スイッチ装置1が接続された電子機器に出力される。
【0055】
圧電素子制御部30は、取得した指示信号に基づいて振動生成信号を生成し、振動発生部14の圧電素子15に出力する。圧電素子15は、この振動生成信号に基づいて振動する。
【0056】
この振動は、主に、振動発生部14、力センサ12、接触子50〜接触子53、アーム40〜アーム43及び接触子50〜接触子53を介してパネル22に伝達する。操作者は、この振動を指で感じることにより、触覚フィードバックを得ることができる。
【0057】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、振動発生部に設けられた接触子により、力センサに直接荷重を加えるのではなく、パネル22、アーム40〜アーム43、力センサ12及び金属板16を介して圧電素子15に荷重を付加するので、圧電素子15を保護しつつ、操作の検出に必要な荷重を力センサ12に伝達することができる。
【0058】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、制御部32により、検出信号としきい値320に基づいて圧電素子15への電圧の供給を行うか否かを判定するので、誤操作による触覚フィードバックの付与を防止することができる。また、パネル22がタッチセンサである場合、操作対象であるカーソルが、電子機器の表示部に表示されたボタンの境界を超えたとき等に振動を発生させ、操作者に触覚フィードバックを与えることができる。
【0059】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、アーム40〜アーム43を備えているので、パネル22が傾いたまま移動した場合でも、アーム40〜アーム43の少なくとも1つのアームにより、力センサ12に荷重を付加することができる。また、スイッチ装置1は、アーム40〜アーム43を介して力センサ12に荷重を付加するので、アームによるてこの原理を用いない場合と比べて、パネル22に過荷重が付加されても力センサ12には、適度な荷重が付加されるので、力センサ12及び圧電素子15を保護することができる。また、スイッチ装置1は、パネル22に過荷重が付加されたとき、アーム40〜アーム43が台座部20と接触すると共に弾性部材18が大きく弾性変形するので、付加された過荷重を力センサ12及び圧電素子15に伝達し難いので、力センサ12及び圧電素子15を保護することができる。
【0060】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、4つの接触子50〜接触子53を介してアーム40〜アーム43を移動させるので、接触子が1つの場合と比べて、パネル22の付加された荷重を分散させることが可能となり、圧電素子15及び力センサ12を保護することができる。
【0061】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、縁部221と筐体10の間に、弾性を有する弾性体24を備えるので、この弾性部材を備えていない場合と比べて、筐体10内へのゴミ等の侵入を防止すると共に、接触子50〜接触子53とアーム40〜アーム43、及び接触子60〜接触子63と力センサ12、の接触が保たれるので、遊びが少なく操作感が向上する。
【0062】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、弾性部材18の断面形状が円形状又は楕円形状である点で、上記の実施の形態と異なっている。
【0063】
図3(a)は、第2の実施の形態に係るスイッチ装置のプッシュ操作前の状態を示す要部断面図であり、(b)は、スイッチ装置のプッシュ操作後の状態を示す要部断面図である。
【0064】
本実施の形態に係る弾性部材18は、例えば、リング状の形状を有し、図3(a)に示すように、その断面形状は、円形状である。なお、断面形状は、円形状に限定されず、楕円形状であっても良い。この断面形状は、例えば、図1(a)のI(b)−I(b)線で本実施の形態のスイッチ装置1を切断した断面の形状である。
【0065】
図3(b)に示すように、プッシュ操作が行われた際、本実施の形態の弾性部材18と金属板16との接触面が、断面が矩形状である場合の弾性部材18と金属板16との接触面よりも小さい、つまり、断面において金属板16の拘束条件が点支持により近くなるので、圧電素子15が振動する際の金属板16の撓みを阻害しない。従って、本実施の形態のスイッチ装置1は、より効果的にパネル22に圧電素子15の振動を伝達することができる。
【0066】
本実施の形態に係るスイッチ装置1の変形例として、荷重検出部は、例えば、タクトスイッチ等のスイッチ素子が用いられても良い。例えば、スイッチ素子が使われた場合、制御部32は、しきい値を用いること無く、プッシュ操作によりオン状態となったスイッチ素子から出力された信号に基づいてプッシュ操作が行われたと判定し、振動生成信号を生成して振動発生部14に出力する。従って、制御部32の構成が、しきい値に基づいて判定するものと比べて、簡単なものとなり、コストを削減することができる。さらに、タクトスイッチが押し下げされたとき、タクトスイッチのクリックに伴う触感がパネル22に伝達し、操作者は、タクトスイッチからの触覚フィードバックを得ることができる。
【0067】
また、本実施の形態に係るスイッチ装置1の変形例として、操作部は、指の接触等を検出することができるタッチセンサであっても良い。つまり、パネル22が、タッチセンサである場合、制御部32は、操作対象であるカーソルが、電子機器の表示部に表示された選択可能なボタンの境界を超えたとき等に振動を発生させ、操作者に触覚フィードバックを与えることができる。また、スイッチ装置1は、例えば、タッチセンサになされたタップ操作等の力センサ12で検出されない操作に対しても、タッチセンサで検出し、触覚フィードバックを与えることができる。
【0068】
なお、上記の各実施の形態のスイッチ装置1の変形例として、スイッチ装置1の形状は、矩形状に限定されず、用途に応じて変更可能である。
【0069】
また、上記の各実施の形態の変形例として、スイッチ装置1は、例えば、電子機器の入力用のキーボードに好適に用いられる。この際、スイッチ装置1は、例えば、キーボードのひとつのキーとされ、キーの数だけ複数配置される。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…スイッチ装置、10…筐体、12…力センサ、14…振動発生部、15…圧電素子、16…金属板、18…弾性部材、20…台座部、22…パネル、22a…操作面、22b…裏面、24…弾性体、30…圧電素子制御部、32…制御部、40〜43…アーム、50〜53…接触子、60〜63…接触子、100…上面、101…開口、102…凸部、103…収容部、104…底部、105…側面、110a〜110d…支持部、111a、111b…ピン、120…先端部、121…作用面、200…基部、200a…内壁、201…凸部、201a…開口、202…上部、202a…開口、203a…下面、203b…上面、220…基部、221…縁部、320…しきい値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に押し込まれる方向の操作が可能な操作部と、
前記筐体の側面から伸びて前記操作部と接触するように設けられ、前記操作部の前記押し込まれる方向の移動により前記押し込まれる方向に回転する回転部と、
前記回転部に接触し、前記回転部の回転に伴って前記押し込まれる方向に移動し、移動に基づく荷重を検出して検出信号を出力する荷重検出部と、
上部に形成された開口に前記荷重検出部が挿入された台座部と、
前記開口に挿入された前記荷重検出部に接触するように前記台座部内に設けられ、前記検出信号に基づいて振動する振動発生部と、
前記台座部と前記振動発生部の間に介在し、前記荷重検出部の前記押し込まれる方向の移動に基づく荷重に応じて弾性変形を行う弾性部材と、
を備えたスイッチ装置。
【請求項2】
前記回転部は、一方端部が前記筐体の前記側面に回転可能に取り付けられ、他方端部が前記荷重検出部と接触する請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、短手方向の断面形状が円形状又は楕円形状である請求項2に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−12368(P2013−12368A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143770(P2011−143770)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】