スイッチ装置
【課題】ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を提供する。
【解決手段】第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dを有するケース1と、反転動作するドーム部3aを有する可動接点3と、可動接点3の下に配置された弾性体2を有し、わずかに押圧操作されると可動接点3の下に配置した弾性体2が弾性変形することにより可動接点3の脚部3bが第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとに接触して電気的に接続され第1の接点が接続し、さらに押圧操作されると可動接点3のドーム部3aが反転動作し、クリック感が生起されるとともに、ドーム部3aが第3固定接点1dに接触し第2の接点が接続する。
【解決手段】第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dを有するケース1と、反転動作するドーム部3aを有する可動接点3と、可動接点3の下に配置された弾性体2を有し、わずかに押圧操作されると可動接点3の下に配置した弾性体2が弾性変形することにより可動接点3の脚部3bが第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとに接触して電気的に接続され第1の接点が接続し、さらに押圧操作されると可動接点3のドーム部3aが反転動作し、クリック感が生起されるとともに、ドーム部3aが第3固定接点1dに接触し第2の接点が接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の入力手段等として用いられる押圧操作型のスイッチ装置に係り、特に、ごくわずかな押し込み量で第1の接点が接続し、のち、明確な押し込み操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドーム状の可動接点を押圧操作すると、この可動接点がクリック感を伴って反転して固定接点と導通するように構成された小型のスイッチ装置が種々提案されている。
【0003】
かかるスイッチ装置においては、通常、ケースの内底部に中央固定接点と外側固定接点が離間して配設されており、ドーム状の可動接点が、その中央部を中央固定接点と接離可能に対向させ周縁部を外側固定接点に常時接触させた状態でハウジングの内底部上に搭載されている。そして、可動接点の中央部が押圧操作されると可動接点が反転し、可動接点を介して中央固定接点と外側固定接点とが導通されるとともに、可動接点の反転動作によってクリック感が生起されるようになっている。
【0004】
この種のスイッチ装置は電子機器の入力手段としてさまざまの用途で採用されているが、一部の用途で、スイッチ装置に触ると第1の接点が接続し、のち、スイッチ装置を押すことで第2の接点が接続するスイッチ装置が求められる。以下、このような動作を行うスイッチ装置をプリセンス付きスイッチ装置と記述する。
【0005】
プリセンス付きスイッチ装置は、自動車のセンターコンソールの各種操作スイッチや、視覚障害者向けのリモコンのスイッチ等の用途に用いられる。
このような用途では、操作者は機器の操作面の表示を認識せずに機器を操作するので、操作者が軽くスイッチに触ったときに第1の接点が接続し、触ったスイッチの名称や機能を、例えば音声で読み上げる等の方法で操作者に知らせ、操作を意図したキーであることが確認されると操作者はスイッチを押して意図した操作ができるという操作方法が有効と考えられる。
【0006】
上記の様な操作方法を実現するために、プリセンス付きスイッチ装置では、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な押圧操作で第2の接点が接続することが求められる。この様な動作を行うスイッチ装置として、例えば、特許文献1に記載されているスイッチ装置が知られている。
【0007】
特許文献1に記載されている従来のスイッチ装置は、図11に示すように、基板101上に第1接点用パターン102a,102bおよび第2接点用パターン103a,103bが形成され、それらのパターンを囲んで第1リング状ラバー104が基板101上に取り付けられ、第1リング状ラバー104より一体に上端が解放の第1ドーム状ラバー105が突設され、第1ドーム状ラバー105の上端に第2リング状ラバー106が取り付けられ、第2リング状ラバー106より第2ドーム状ラバー107が突設され、第2ドーム状ラバー107の天井壁より一体に操作ボタン108が突設される。また、第2リング状ラバー106の底面に第1可動接点109が取り付けられ、第2ドーム状ラバー107の天井面に第2可動接点110が取り付けられる。
【0008】
外力を加えて操作ボタン108を押圧すると、最初に第1ドーム状ラバー105が折り返されて第1可動接点109が第1接点用パターン102a,102bに当接し、次に第2ドーム状ラバー107が折り返されて第2可動接点110が第2接点用パターン103a,103bに当接する。
これにより、操作ストロークを大きくして2段のクリック感を識別し易くする、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−111134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、特許文献1に記載されている従来のスイッチ装置では、最初の押圧操作で第1の接点が接続し、のち、さらに押圧操作することで第2の接点が接続する、という2段階のスイッチ動作が可能となる。しかしながら、従来のスイッチ装置では、押圧操作時にドーム状のラバーが折り返されて可動接点が固定接点に当接するものとなっており、第1の接点が接続するためには大きく押圧操作する必要があり、かつ、大きな押圧操作の操作力が必要であった。
【0011】
これに対し、ドーム状のラバーの厚さを薄くする、または、ドーム状のラバーの材質を柔らかくすることにより、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が軽い押圧操作の操作力で接続するようにすることが考えられるが、この場合にはドーム状のラバーの強度が低下し、スイッチ装置が繰り返し押圧操作されると、ドーム状のラバーが繰り返し折り返され、ラバーが折り返し部分で破損する恐れがあった。
【0012】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために、本発明の請求項1によるスイッチ装置では、可動接点と、前記可動接点の下に配置される弾性体と、操作部が押圧操作されることにより前記可動接点を動作させる操作体と、前記可動接点,前記弾性体および前記操作体を収容する収容部を備えるとともに、前記可動接点と接離可能とされ、前記収容部の内底部に電気的に独立した第1固定接点,第2固定接点および第3固定接点とを有するケースとからなるスイッチ装置において、
前記可動接点は前記第1固定接点および第2固定接点と接離可能に配置される脚部と、反転動作可能で、前記第3固定接点と接離可能に配置されるドーム部とを備え、
前記弾性体は前記可動接点の前記脚部とのみ当接して前記可動接点が前記第1固定接点および前記第2固定接点と離間するように、前記収容部の内底部の前記第3固定接点の周囲に配置されており、
前記操作部への押圧操作により、前記弾性体が撓むことで前記可動接点の前記脚部が前記第1固定接点および前記第2固定接点とに接触して前記第1固定接点および前記第2固定接点とが前記可動接点を介して電気的に接続され、
前記操作部へのさらなる押圧操作により、前記可動接点の前記ドーム部が反転動作されて前記第3固定接点と前記ドーム部が接続されて前記第1固定接点、前記第2固定接点および第3固定接点とが前記可動接点を介して電気的に接続されること、を特徴とする。
【0014】
この構成によれば、可動接点は脚部に当接した弾性体により第1固定接点と第2固定接点より離間されているので、操作体をわずかに押圧するのみで弾性体が弾性変形し、可動接点の脚部が第1固定接点と第2固定接点に接触し、第1固定接点と第2固定接点が電気的に接続され、第1固定接点と第2固定接点で構成される第1の接点が接続する。また、操作体をさらに押圧することにより可動接点のドーム部が反転しクリック感が生起されるとともに、可動接点の脚部が第1固定接点と第2固定接点に接触したまま、ドーム部が第3固定接点と接触し、電気的に接続されている第1固定接点,第2固定接点と、第3固定接点で構成される第2の接点が接続する。これにより、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を構成することが可能となる。
【0015】
また、本発明の請求項2によるスイッチ装置では、前記脚部は、4つの部分脚部からなり、前記部分脚部は前記ケースの隅部に配置されていること、を特徴とする。
【0016】
この構成により、部分脚をケースの隅部に配置することができるので、略箱状のケースを小さくすることができ、スイッチ装置の小型化が可能となる。また、弾性体は部分脚部と当接する部分のみが変形するため、弾性体の変形抵抗が少なくなり、第1の接点が接続するときの押圧操作の操作力が軽くなるとともに、弾性体の変形部分の変形量を大きくすることができるため、部分脚部先端と第1固定接点および第2固定接点の隙間が大きくても軽い操作力で確実に接触させることができる。
【0017】
また、本発明の請求項3によるスイッチ装置では、前記ケースの前記収容部の内底部の、前記部分脚部と前記弾性体が当接する部位の下部に、前記弾性体が撓んだときに前記弾性体が前記内底部に当接することを回避する逃げ部があること、を特徴とする。
【0018】
この構成により、第1の接点が接続するときに弾性体が撓んでも、弾性体がケースの収容部の内底部に当接しないので、弾性体の変形抵抗が小さくなり、第1の接点が接続するときの押圧操作の操作力が軽くなるとともに、弾性体の変形部分の変形量を大きくすることができるため、部分脚部先端と第1固定接点および第2固定接点の隙間が大きくても、軽い操作力でより確実に接触させることができる。
【0019】
また、本発明の請求項4によるスイッチ装置では、前記弾性体は、分割されて4つの前記部分脚部のみに当接するように配置されていること、を特徴とする。
【0020】
この構成により、部分脚部により変形させられる弾性体を小さくすることができるので、弾性体の変形抵抗がより少なくなり、第1の接点が接続するときの押圧操作の操作力がさらに軽くなり、第1の接点が接続するときの操作感覚を良好とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の実施の形態を示す斜視図で、(a)は外観を示す斜視図、(b)は構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置で、(a)は平面図、(b)は図2の(a)のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の図2の(a)のA−A断面図で、(a)は第1の接点が接続した状態を示す断面図で、(b)は第2の接点が接続した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の第1変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図である。
【図5】上記第1変形例に係るスイッチ装置の部分脚と弾性体の接触状態を示す、図4のB−B断面図で、(a)は操作体が押圧操作されていないときの状態で、(b)は脚部が第1固定接点と接触したときの状態である
【図6】本発明の実施の形態の第2変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図である。
【図7】上記第2変形例に係るスイッチ装置の部分脚と弾性体の接触状態を示す、図6のC−C断面図で、(a)は操作体が押圧操作されていないときの状態で、(b)は脚部が第1固定接点と接触したときの状態である
【図8】本発明の実施の形態の第3変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図で、(c)は本変形例に係る弾性体の別変形例である。
【図9】上記第3変形例に係るスイッチ装置の部分脚と弾性体の接触状態を示す、図8のD−D断面図で、(a)は操作体が押圧操作されていないときの状態で、(b)は脚部が第1固定接点と接触したときの状態である
【図10】上記第3変形例に係るスイッチ装置の弾性体の別変形例である。
【図11】特許文献1に示される従来例のスイッチ装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1を参照に、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の外観を示す斜視図である。図1の(a)に示すように、スイッチ装置は略箱状のケース1と、ケース1に組み付けられた操作体4により外形が構成されている。
【0025】
図1の(b)はスイッチ装置の部品構成を示す分解斜視図である。スイッチ装置は図1の(b)に示すように、ケース1,弾性体2,可動接点3および操作体4により構成される。
【0026】
ケース1は、成形材等で形成された略箱状の部品で、上面に窪み形状を有し、窪み形状は弾性体2,可動接点3を収容する収容部1aとなる。また、収容部1aの内底部には1つの隅部とその対角位置の隅部に、それぞれ第1固定接点1bと第2固定接点1cを有し、内底部の略中央部に第3固定接点1dを有する。
第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dはそれぞれケース1の内部にて延出してケース1の外部に突出し、それぞれ端子部1fとなる。
【0027】
弾性体2はゴム等の弾性に富む材料を略リング状に形成した部品である。
【0028】
可動接点3は、ステンレス等の金属材料を円板状に形成しており、中央はドーム形状を有するドーム部3aで、ドーム部3aの周縁は円錐状の脚部3bとなっている。
【0029】
操作体4はフィルム状の成形材等を略矩形状に形成しており、中央部に可動接点3のドーム部3aより緩やかな曲率のドーム形状の操作部4aを有する。
【0030】
次に、図2を参照に、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の組み立て構成を説明する。図2の(a)は本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の平面図で、図2の(b)は図2の(a)のA−A断面図である。
【0031】
本スイッチ装置は、ケース1の収容部1aに弾性体2を置設し、この弾性体2の上面に可動接点3を置載し、ケース1の上面の収容部1aの縁部に操作体4を固着させて、収容部1aを密閉することにより組み立てられる。
【0032】
弾性体2はケース1の収容部1aの内底部に設けられた第3固定接点1dの周囲に置設される。また弾性体2のリング径は、弾性体2が第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと離間するような大きさに設定されている。
【0033】
可動接点3は弾性体2の上面に置載され、脚部3bの先端は第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとわずかに離間する。また、操作体4の操作部4aの頂部の下面は可動接点3のドーム部3aの頂部の上面に近接するように設定されている。
【0034】
次に、図2の(b)および図3の(a),(b)を参照に、本スイッチ装置を押圧操作したときの挙動を説明する。
【0035】
図3は本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の図2の(a)のA−A断面図で、図3の(a)は操作体4がわずかに押圧操作され第1の接点が接続した状態を示す断面図で、図3の(b)は操作体4がさらに押圧操作され第2の接点が接続した状態を示す断面図である。
【0036】
図2の(b)は押圧操作前の状態で、第1の接点を構成する第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと脚部3bはわずかに離間しており、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続されていないので、第1固定接点1bと第2固定接点1cで構成される第1の接点は接続していない。
なお、可動接点3と弾性体2の中心がずれていると、第1固定接点1bまたは第2固定接点1cのいずれかと脚部3bが接触する場合があるが、第1の接点は第1固定接点1bと第2固定接点1cで構成されているため、脚部が第1固定接点1bまたは第2固定接点1cのいずれかと接触している場合でも、本スイッチ装置は支障なく動作する。
【0037】
操作体4の操作部4aをわずかに押圧操作すると、図3の(a)に示すように、弾性体2が弾性変形し可動接点3が収容部1aの内底部側に降下することにより、脚部3bは第1固定接点1bと第2固定接点1cの両方に接触し、第1固定接点1bと第2固定接点1cは可動接点3を介して電気的に接続され、第1の接点が接続する。
【0038】
ところで、図2の(b)に示すように、弾性体2の断面形状は略方形の上部に半円形を繋いだ形状となっており、断面形状では半円形の1点のみが可動接点3の脚部3b下面と当接しており、可動接点3全体でも弾性体2の当接面積はごくわずかである。従って操作体4がわずかに押圧されると、図3の(a)に示すように、可動接点3と弾性体2の当接面積が増大するように、弾性体2の断面形状の半円形状部が潰れるのみで可動接点3が降下し第1の接点が接続するので、わずかな押圧操作の操作力で第1の接点を接続することができる。
【0039】
加えて、第1の接点が接続するときには可動接点3のドーム部3aの反転動作を伴わないので、ノンクリックでのプリセンス動作が実現できる。
【0040】
操作部4aをさらに押圧操作すると、図3の(b)に示すように、脚部3bが第1固定接点1bと第2固定接点1cに接触しながら、ドーム部3aが反転動作しクリック感が生起されるとともに、第3固定接点1dとドーム部3aが接触する。これにより第3固定接点1dと第1固定接点1bおよび第2固定接点1cは可動接点3を介して電気的に接続され、電気的に接続されている第1固定接点1b,第2固定接点1cと、第3固定接点1dで構成される第2の接点が接続する。
【0041】
このとき、脚部3bの先端は第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと当接しているので、さらなる押圧操作の操作力に対する反力は、脚部3bの先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとの当接点に発生し、弾性体2はさらなる弾性変形は発生しないため、弾性体2の過剰な弾性変形による破損等は回避できる。
【0042】
また、弾性体2はドーム部3aの反転動作時の移動量が少ない可動接点3の脚部3bと当接しているので、弾性体2が第2の接点が接続するときの可動接点3のドーム部3aの反転動作を阻害することはなく、安定した動作で第2の接点を接続することが可能となる。
【0043】
以上により、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置は、可動接点3と、前記可動接点3の下に配置される弾性体2と、操作部4aが押圧操作されることにより可動接点3を動作させる操作体4と、可動接点3,弾性体2および操作体4を収容する収容部1aを備えるとともに、可動接点3と接離可能とされ、収容部1aの内底部に電気的に独立した第1固定接点,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dとを有するケース1で構成され、
可動接点3は第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと接離可能に配置される脚部3bと、反転動作可能で、第3固定接点1dと接離可能に配置されるドーム部3aとを備え、
弾性体2は可動接点3の脚部3bとのみ当接して可動接点3が第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと離間するように、収容部1aの内底部の第3固定接点1dの周囲に配置されており、
操作部4aへの押圧操作により、弾性体2が撓むことで可動接点3の脚部3bが第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとに接触して第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとが可動接点3を介して電気的に接続され、
操作部4aへのさらなる押圧操作により、可動接点3のドーム部3aが反転動作されて第3固定接点1dとドーム部3aが接触して第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dとが可動接点3を介して電気的に接続する構造としたので、
可動接点3は脚部3bに当接した弾性体2により第1固定接点1bと第2固定接点1cより離間され、
操作体4をわずかに押圧操作するのみで弾性体2が弾性変形し、可動接点3の脚部3bが第1固定接点1bと第2固定接点1cに接触し、第1固定接点1bと第2固定接点1cが可動接点3を介して電気的に接続され、第1固定接点と第2固定接点1cで構成される第1の接点が接続することによりプリセンス動作がなされる。
また、操作体4をさらに押圧操作することにより可動接点3のドーム部3aが反転しクリック感が生起されるとともに、可動接点3の脚部3bが第1固定接点1bと第2固定接点1cに接触したまま、ドーム部3aが第3固定接点1dと接触し、電気的に接続されている第1固定接点1b,第2固定接点1cと、第3固定接点1dで構成される第2の接点が接続する。
これにより、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置が構成できる。
【0044】
<第1変形例>
以下、本発明の実施の形態の第1変形例を図4および図5を参照して説明する。なお、実施の形態と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
図4は本発明の実施の形態の第1変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図である。なお、図4の(a)では、理解を容易とするために、操作体4の表示を省略している。
図5は部分脚13cと弾性体2の接触状態を模式的に表す、図4のB−B断面図で、(a)は操作体4が押圧操作されていないときの状態で、(b)は操作体4が押圧操作され部分脚13cが第1固定接点1bと接触したときの状態である。
【0046】
本発明の実施の形態の第1変形例に係るスイッチ装置では、図4の(a),(b)に示すように、可動接点13の脚部13bは略十字型に配置された4つの部分脚13cで構成され、4つの部分脚13cはそれぞれケース1の収容部1aの内底部の4つの隅部に配置され、弾性体2は4つの部分脚13cの下面とのみ当接する。
【0047】
4つの部分脚13cはそれぞれケース1の収容部1aの内底部の4つの隅部に配置されるので、ケース1の辺部に可動接点13の脚部13bを収容する必要がなくなるので、ケース1の外形を小さくすることができる。
【0048】
スイッチ装置が押圧操作されていないときは、図5の(a)に示すように、部分脚13cの下面は弾性体2に当接し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cは離間しており、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続されていないので、第1固定接点1bと第2固定接点1cとで構成される第1の接点は接続されていない。
【0049】
スイッチ装置がわずかに押圧操作されると、図5の(b)に示すように、部分脚13cは弾性体2を弾性変形させて降下し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cが当接し、第1固定接点1bと第2固定接点1cは可動接点13を介して電気的に接続され、第1の接点が接続する。このとき、弾性体2は部分脚13cと当接している部位のみが弾性変形するので変形抵抗は小さく、ごくわずかな押圧操作の操作力で第1の接点を接続することができる。また、同じ操作力でも弾性体2は大きく弾性変形するので、部分脚13cの先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cの隙間が大きくても確実に接触させることができ、可動接点13および弾性体2の寸法精度要求が厳しくなることを回避できる。
【0050】
以上により、本発明の実施の形態の第1変形例に係るスイッチ装置では、可動接点13の脚部13bは、4つの部分脚13c部からなり、部分脚13c部はケース1の隅部に延びているので、部分脚13cをケースの隅部に配置することができ、略箱状のケース1を小さくすることができるので、スイッチ装置の小型化が可能となる。また、弾性体2は部分脚13c部と当接する部分のみが変形するため、弾性体2の変形抵抗が少なくなり、第1の接点が接続するときの操作力が軽くなるとともに、弾性体2の変形量を大きくすることができるため、部分脚13cの先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cの隙間が大きくても確実に接触させることができる。
【0051】
<第2変形例>
以下、本発明の実施の形態の第1変形例を図6および図7を参照して説明する。なお、実施の形態と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】
図6は本発明の実施の形態の第2変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図である。なお、図6の(a)では、理解を容易とするために、操作体4の表示を省略している。図7は部分脚13cと弾性体2の接触状態を模式的に表す、図6のC−C断面図で、(a)は操作体4が押圧操作されていないときの状態で、(b)は操作体4が押圧操作され部分脚13cが第1固定接点1bと接触したときの状態である。
【0053】
本発明の実施の形態の第2変形例に係るスイッチ装置では、図6の(a),(b)に示すように、可動接点13の脚部13bは略十字型に配置された4つの部分脚13cで構成され、4つの部分脚13cはそれぞれケース1の収容部1aの内底部の4つの隅部に配置され、弾性体2は4つの部分脚13cの下面とのみ当接する。さらに、ケース1の収容部1aの内底部には、弾性体2と4つの部分脚13cが当接する部位と対向する領域を窪ませ、4つの逃げ部1eを設けた。
【0054】
スイッチ装置が押圧操作されていないときは、図7の(a)に示すように、部分脚13cの下面は弾性体2に当接し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cは離間しており、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続されていないので、第1固定接点1bと第2固定接点1cとで構成される第1の接点は接続されていない。
【0055】
スイッチ装置がわずかに押圧操作されると、図7の(b)に示すように、部分脚13cは弾性体2を変形させて降下し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cが当接し、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続され、第1の接点が接続する。
このとき、ケース1に逃げ部1eを設けたので、スイッチ装置がわずかに押圧操作され弾性体2が変形させられたとき、弾性体2は断面形状が変形するのではなく、弾性体2の円周方向で部分的に撓み、部分脚13c部と当接する部分の弾性体2が逃げ部1eに入り込むように変形する。
【0056】
これにより、弾性体2の変形抵抗が小さくなるので、ごく軽微な押圧操作の操作力で第1の接点を接続することができる。
【0057】
以上により、本発明の実施の形態の第2変形例に係るスイッチ装置では、ケース1の収容部1aの内底部の、部分脚13cと弾性体2が当接する部位の下部に、弾性体2が撓んだときに弾性体2が内底部に当接することを回避する逃げ部1eを設けたので、第1の接点が接続するときに弾性体2が撓んでも、弾性体2がケース1内底部に当接しないので、弾性体2の変形抵抗が小さくなり、第1の接点が接続するときの操作力が軽くなるとともに、弾性体2の変形量を大きくすることができるため、部分脚13cの先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cの隙間が大きくても、より確実に接触させることができる。
【0058】
<第3変形例>
以下、本発明の実施の形態の第3変形例を図8から図10を参照して説明する。なお、実施形態と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
図8は本発明の実施の形態の第3変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図である。なお、図8の(a)では、理解を容易とするために、操作体4の表示を省略している。
図9は部分脚13cと弾性体12の接触状態を模式的に表す、図8のD−D断面図で、(a)は操作体4が押圧操作されていないときの状態で、(b)は操作体4が押圧操作され脚部13bが第1固定接点1bと接触したときの状態である。
図10は本変形例に係る弾性体の別変形例である。
【0060】
本発明の実施の形態の第3変形例に係るスイッチ装置では、図8の(a),(b)に示すように、可動接点3の脚部3bは略十字型に配置された4つの部分脚13cで構成され、4つの部分脚13cはそれぞれケース1の収容部1aの内底部の4つの隅部に配置され、また、弾性体12は4つの部分脚13cとそれぞれ当接する4つの弾性体素片12aよりなる。
【0061】
スイッチ装置が押圧操作されていないときは、図9の(a)に示すように、部分脚13cの下面は弾性体素片12aに当接し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cは離間しており、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続されていないので、第1固定接点1bと第2固定接点1cで構成される第1の接点は接続されていない。
【0062】
スイッチ装置がわずかに押圧操作されると、図9の(b)に示すように、部分脚13cは弾性体素片12aを弾性変形させて降下し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cが当接し、第1固定接点1bと第2固定接点1cは可動接点13を介して電気的に接続され、第1の接点が接続する。このとき、弾性体素片12aは、4つの部分脚13cの下面と当接する長さしかないので、操作体4の操作部4aがわずかに押圧されたとき、図9の(b)に示すように、弾性体素片12aはそれぞれ断面方向と長手方向に弾性変形するため変形抵抗が小さくなり、ごくわずかな押圧操作の操作力で部分脚13cを降下させ第1の接点を接続することができる。加えて、弾性体素片12aは変形抵抗が小さいので、同じ操作力でも大きく弾性変形させることができるので、部分脚13cの先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cの隙間が大きくても確実に接触させることができ、可動接点13および弾性体12の寸法精度要求が厳しくなることを回避できる。
【0063】
さらに、弾性体12を4つの弾性体素片12aとしたので、使用するゴム等の材料が少量で済み、原材料の節約ができる。
【0064】
以上により、本発明の実施の形態の第3変形例に係るスイッチ装置では、脚部13bは、4つの部分脚13c部からなり、弾性体12は、分割されて4つの部分脚13c部のみに当接するように配置されているため、弾性体12の変形抵抗が少なくなり、第1の接点が接続するときの押圧操作の操作力が軽くなるとともに、弾性体2の変形量を大きくすることができるため、部分脚13c部先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cの隙間が大きくても確実に接触させることができる。
【0065】
なお、弾性体12は独立した弾性体素片12aではなく、図10に示すように、弾性体素片12aを薄い接続部12bでつないだ1体の部品としても良い。または、ケース1に弾性体素片12aを直接形成しても良い。
【0066】
また、ケース1の収容部1aの内底部に、弾性体素片12aと対向する部位に弾性体素片12aより短い長さで窪ませた逃げ部を設けることにより、スイッチ装置がわずかに押圧操作され弾性体素片12aが変形させられたとき、弾性体素片12aは断面形状が変形するのではなく、弾性体素片12aの円周方向で部分的に撓み、部分脚13c部と当接する部分の弾性体素片12aが逃げ部に入り込むように変形し、第1の接点が接続するときの押圧操作の操作力をより軽くすることも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 ケース
1a 収容部
1b 第1固定接点
1c 第2固定接点
1d 第3固定接点
1e 逃げ部
1f 端子部
2 弾性体
3 可動接点
3a ドーム部
3b 脚部
4 操作体
4a 操作部
12 弾性体
12a 弾性体素片
12b 接続部
13 可動接点
13b 脚部
13c 部分脚
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の入力手段等として用いられる押圧操作型のスイッチ装置に係り、特に、ごくわずかな押し込み量で第1の接点が接続し、のち、明確な押し込み操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドーム状の可動接点を押圧操作すると、この可動接点がクリック感を伴って反転して固定接点と導通するように構成された小型のスイッチ装置が種々提案されている。
【0003】
かかるスイッチ装置においては、通常、ケースの内底部に中央固定接点と外側固定接点が離間して配設されており、ドーム状の可動接点が、その中央部を中央固定接点と接離可能に対向させ周縁部を外側固定接点に常時接触させた状態でハウジングの内底部上に搭載されている。そして、可動接点の中央部が押圧操作されると可動接点が反転し、可動接点を介して中央固定接点と外側固定接点とが導通されるとともに、可動接点の反転動作によってクリック感が生起されるようになっている。
【0004】
この種のスイッチ装置は電子機器の入力手段としてさまざまの用途で採用されているが、一部の用途で、スイッチ装置に触ると第1の接点が接続し、のち、スイッチ装置を押すことで第2の接点が接続するスイッチ装置が求められる。以下、このような動作を行うスイッチ装置をプリセンス付きスイッチ装置と記述する。
【0005】
プリセンス付きスイッチ装置は、自動車のセンターコンソールの各種操作スイッチや、視覚障害者向けのリモコンのスイッチ等の用途に用いられる。
このような用途では、操作者は機器の操作面の表示を認識せずに機器を操作するので、操作者が軽くスイッチに触ったときに第1の接点が接続し、触ったスイッチの名称や機能を、例えば音声で読み上げる等の方法で操作者に知らせ、操作を意図したキーであることが確認されると操作者はスイッチを押して意図した操作ができるという操作方法が有効と考えられる。
【0006】
上記の様な操作方法を実現するために、プリセンス付きスイッチ装置では、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な押圧操作で第2の接点が接続することが求められる。この様な動作を行うスイッチ装置として、例えば、特許文献1に記載されているスイッチ装置が知られている。
【0007】
特許文献1に記載されている従来のスイッチ装置は、図11に示すように、基板101上に第1接点用パターン102a,102bおよび第2接点用パターン103a,103bが形成され、それらのパターンを囲んで第1リング状ラバー104が基板101上に取り付けられ、第1リング状ラバー104より一体に上端が解放の第1ドーム状ラバー105が突設され、第1ドーム状ラバー105の上端に第2リング状ラバー106が取り付けられ、第2リング状ラバー106より第2ドーム状ラバー107が突設され、第2ドーム状ラバー107の天井壁より一体に操作ボタン108が突設される。また、第2リング状ラバー106の底面に第1可動接点109が取り付けられ、第2ドーム状ラバー107の天井面に第2可動接点110が取り付けられる。
【0008】
外力を加えて操作ボタン108を押圧すると、最初に第1ドーム状ラバー105が折り返されて第1可動接点109が第1接点用パターン102a,102bに当接し、次に第2ドーム状ラバー107が折り返されて第2可動接点110が第2接点用パターン103a,103bに当接する。
これにより、操作ストロークを大きくして2段のクリック感を識別し易くする、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−111134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、特許文献1に記載されている従来のスイッチ装置では、最初の押圧操作で第1の接点が接続し、のち、さらに押圧操作することで第2の接点が接続する、という2段階のスイッチ動作が可能となる。しかしながら、従来のスイッチ装置では、押圧操作時にドーム状のラバーが折り返されて可動接点が固定接点に当接するものとなっており、第1の接点が接続するためには大きく押圧操作する必要があり、かつ、大きな押圧操作の操作力が必要であった。
【0011】
これに対し、ドーム状のラバーの厚さを薄くする、または、ドーム状のラバーの材質を柔らかくすることにより、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が軽い押圧操作の操作力で接続するようにすることが考えられるが、この場合にはドーム状のラバーの強度が低下し、スイッチ装置が繰り返し押圧操作されると、ドーム状のラバーが繰り返し折り返され、ラバーが折り返し部分で破損する恐れがあった。
【0012】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために、本発明の請求項1によるスイッチ装置では、可動接点と、前記可動接点の下に配置される弾性体と、操作部が押圧操作されることにより前記可動接点を動作させる操作体と、前記可動接点,前記弾性体および前記操作体を収容する収容部を備えるとともに、前記可動接点と接離可能とされ、前記収容部の内底部に電気的に独立した第1固定接点,第2固定接点および第3固定接点とを有するケースとからなるスイッチ装置において、
前記可動接点は前記第1固定接点および第2固定接点と接離可能に配置される脚部と、反転動作可能で、前記第3固定接点と接離可能に配置されるドーム部とを備え、
前記弾性体は前記可動接点の前記脚部とのみ当接して前記可動接点が前記第1固定接点および前記第2固定接点と離間するように、前記収容部の内底部の前記第3固定接点の周囲に配置されており、
前記操作部への押圧操作により、前記弾性体が撓むことで前記可動接点の前記脚部が前記第1固定接点および前記第2固定接点とに接触して前記第1固定接点および前記第2固定接点とが前記可動接点を介して電気的に接続され、
前記操作部へのさらなる押圧操作により、前記可動接点の前記ドーム部が反転動作されて前記第3固定接点と前記ドーム部が接続されて前記第1固定接点、前記第2固定接点および第3固定接点とが前記可動接点を介して電気的に接続されること、を特徴とする。
【0014】
この構成によれば、可動接点は脚部に当接した弾性体により第1固定接点と第2固定接点より離間されているので、操作体をわずかに押圧するのみで弾性体が弾性変形し、可動接点の脚部が第1固定接点と第2固定接点に接触し、第1固定接点と第2固定接点が電気的に接続され、第1固定接点と第2固定接点で構成される第1の接点が接続する。また、操作体をさらに押圧することにより可動接点のドーム部が反転しクリック感が生起されるとともに、可動接点の脚部が第1固定接点と第2固定接点に接触したまま、ドーム部が第3固定接点と接触し、電気的に接続されている第1固定接点,第2固定接点と、第3固定接点で構成される第2の接点が接続する。これにより、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を構成することが可能となる。
【0015】
また、本発明の請求項2によるスイッチ装置では、前記脚部は、4つの部分脚部からなり、前記部分脚部は前記ケースの隅部に配置されていること、を特徴とする。
【0016】
この構成により、部分脚をケースの隅部に配置することができるので、略箱状のケースを小さくすることができ、スイッチ装置の小型化が可能となる。また、弾性体は部分脚部と当接する部分のみが変形するため、弾性体の変形抵抗が少なくなり、第1の接点が接続するときの押圧操作の操作力が軽くなるとともに、弾性体の変形部分の変形量を大きくすることができるため、部分脚部先端と第1固定接点および第2固定接点の隙間が大きくても軽い操作力で確実に接触させることができる。
【0017】
また、本発明の請求項3によるスイッチ装置では、前記ケースの前記収容部の内底部の、前記部分脚部と前記弾性体が当接する部位の下部に、前記弾性体が撓んだときに前記弾性体が前記内底部に当接することを回避する逃げ部があること、を特徴とする。
【0018】
この構成により、第1の接点が接続するときに弾性体が撓んでも、弾性体がケースの収容部の内底部に当接しないので、弾性体の変形抵抗が小さくなり、第1の接点が接続するときの押圧操作の操作力が軽くなるとともに、弾性体の変形部分の変形量を大きくすることができるため、部分脚部先端と第1固定接点および第2固定接点の隙間が大きくても、軽い操作力でより確実に接触させることができる。
【0019】
また、本発明の請求項4によるスイッチ装置では、前記弾性体は、分割されて4つの前記部分脚部のみに当接するように配置されていること、を特徴とする。
【0020】
この構成により、部分脚部により変形させられる弾性体を小さくすることができるので、弾性体の変形抵抗がより少なくなり、第1の接点が接続するときの押圧操作の操作力がさらに軽くなり、第1の接点が接続するときの操作感覚を良好とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の実施の形態を示す斜視図で、(a)は外観を示す斜視図、(b)は構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置で、(a)は平面図、(b)は図2の(a)のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の図2の(a)のA−A断面図で、(a)は第1の接点が接続した状態を示す断面図で、(b)は第2の接点が接続した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の第1変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図である。
【図5】上記第1変形例に係るスイッチ装置の部分脚と弾性体の接触状態を示す、図4のB−B断面図で、(a)は操作体が押圧操作されていないときの状態で、(b)は脚部が第1固定接点と接触したときの状態である
【図6】本発明の実施の形態の第2変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図である。
【図7】上記第2変形例に係るスイッチ装置の部分脚と弾性体の接触状態を示す、図6のC−C断面図で、(a)は操作体が押圧操作されていないときの状態で、(b)は脚部が第1固定接点と接触したときの状態である
【図8】本発明の実施の形態の第3変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図で、(c)は本変形例に係る弾性体の別変形例である。
【図9】上記第3変形例に係るスイッチ装置の部分脚と弾性体の接触状態を示す、図8のD−D断面図で、(a)は操作体が押圧操作されていないときの状態で、(b)は脚部が第1固定接点と接触したときの状態である
【図10】上記第3変形例に係るスイッチ装置の弾性体の別変形例である。
【図11】特許文献1に示される従来例のスイッチ装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1を参照に、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の外観を示す斜視図である。図1の(a)に示すように、スイッチ装置は略箱状のケース1と、ケース1に組み付けられた操作体4により外形が構成されている。
【0025】
図1の(b)はスイッチ装置の部品構成を示す分解斜視図である。スイッチ装置は図1の(b)に示すように、ケース1,弾性体2,可動接点3および操作体4により構成される。
【0026】
ケース1は、成形材等で形成された略箱状の部品で、上面に窪み形状を有し、窪み形状は弾性体2,可動接点3を収容する収容部1aとなる。また、収容部1aの内底部には1つの隅部とその対角位置の隅部に、それぞれ第1固定接点1bと第2固定接点1cを有し、内底部の略中央部に第3固定接点1dを有する。
第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dはそれぞれケース1の内部にて延出してケース1の外部に突出し、それぞれ端子部1fとなる。
【0027】
弾性体2はゴム等の弾性に富む材料を略リング状に形成した部品である。
【0028】
可動接点3は、ステンレス等の金属材料を円板状に形成しており、中央はドーム形状を有するドーム部3aで、ドーム部3aの周縁は円錐状の脚部3bとなっている。
【0029】
操作体4はフィルム状の成形材等を略矩形状に形成しており、中央部に可動接点3のドーム部3aより緩やかな曲率のドーム形状の操作部4aを有する。
【0030】
次に、図2を参照に、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の組み立て構成を説明する。図2の(a)は本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の平面図で、図2の(b)は図2の(a)のA−A断面図である。
【0031】
本スイッチ装置は、ケース1の収容部1aに弾性体2を置設し、この弾性体2の上面に可動接点3を置載し、ケース1の上面の収容部1aの縁部に操作体4を固着させて、収容部1aを密閉することにより組み立てられる。
【0032】
弾性体2はケース1の収容部1aの内底部に設けられた第3固定接点1dの周囲に置設される。また弾性体2のリング径は、弾性体2が第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと離間するような大きさに設定されている。
【0033】
可動接点3は弾性体2の上面に置載され、脚部3bの先端は第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとわずかに離間する。また、操作体4の操作部4aの頂部の下面は可動接点3のドーム部3aの頂部の上面に近接するように設定されている。
【0034】
次に、図2の(b)および図3の(a),(b)を参照に、本スイッチ装置を押圧操作したときの挙動を説明する。
【0035】
図3は本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の図2の(a)のA−A断面図で、図3の(a)は操作体4がわずかに押圧操作され第1の接点が接続した状態を示す断面図で、図3の(b)は操作体4がさらに押圧操作され第2の接点が接続した状態を示す断面図である。
【0036】
図2の(b)は押圧操作前の状態で、第1の接点を構成する第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと脚部3bはわずかに離間しており、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続されていないので、第1固定接点1bと第2固定接点1cで構成される第1の接点は接続していない。
なお、可動接点3と弾性体2の中心がずれていると、第1固定接点1bまたは第2固定接点1cのいずれかと脚部3bが接触する場合があるが、第1の接点は第1固定接点1bと第2固定接点1cで構成されているため、脚部が第1固定接点1bまたは第2固定接点1cのいずれかと接触している場合でも、本スイッチ装置は支障なく動作する。
【0037】
操作体4の操作部4aをわずかに押圧操作すると、図3の(a)に示すように、弾性体2が弾性変形し可動接点3が収容部1aの内底部側に降下することにより、脚部3bは第1固定接点1bと第2固定接点1cの両方に接触し、第1固定接点1bと第2固定接点1cは可動接点3を介して電気的に接続され、第1の接点が接続する。
【0038】
ところで、図2の(b)に示すように、弾性体2の断面形状は略方形の上部に半円形を繋いだ形状となっており、断面形状では半円形の1点のみが可動接点3の脚部3b下面と当接しており、可動接点3全体でも弾性体2の当接面積はごくわずかである。従って操作体4がわずかに押圧されると、図3の(a)に示すように、可動接点3と弾性体2の当接面積が増大するように、弾性体2の断面形状の半円形状部が潰れるのみで可動接点3が降下し第1の接点が接続するので、わずかな押圧操作の操作力で第1の接点を接続することができる。
【0039】
加えて、第1の接点が接続するときには可動接点3のドーム部3aの反転動作を伴わないので、ノンクリックでのプリセンス動作が実現できる。
【0040】
操作部4aをさらに押圧操作すると、図3の(b)に示すように、脚部3bが第1固定接点1bと第2固定接点1cに接触しながら、ドーム部3aが反転動作しクリック感が生起されるとともに、第3固定接点1dとドーム部3aが接触する。これにより第3固定接点1dと第1固定接点1bおよび第2固定接点1cは可動接点3を介して電気的に接続され、電気的に接続されている第1固定接点1b,第2固定接点1cと、第3固定接点1dで構成される第2の接点が接続する。
【0041】
このとき、脚部3bの先端は第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと当接しているので、さらなる押圧操作の操作力に対する反力は、脚部3bの先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとの当接点に発生し、弾性体2はさらなる弾性変形は発生しないため、弾性体2の過剰な弾性変形による破損等は回避できる。
【0042】
また、弾性体2はドーム部3aの反転動作時の移動量が少ない可動接点3の脚部3bと当接しているので、弾性体2が第2の接点が接続するときの可動接点3のドーム部3aの反転動作を阻害することはなく、安定した動作で第2の接点を接続することが可能となる。
【0043】
以上により、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置は、可動接点3と、前記可動接点3の下に配置される弾性体2と、操作部4aが押圧操作されることにより可動接点3を動作させる操作体4と、可動接点3,弾性体2および操作体4を収容する収容部1aを備えるとともに、可動接点3と接離可能とされ、収容部1aの内底部に電気的に独立した第1固定接点,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dとを有するケース1で構成され、
可動接点3は第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと接離可能に配置される脚部3bと、反転動作可能で、第3固定接点1dと接離可能に配置されるドーム部3aとを備え、
弾性体2は可動接点3の脚部3bとのみ当接して可動接点3が第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと離間するように、収容部1aの内底部の第3固定接点1dの周囲に配置されており、
操作部4aへの押圧操作により、弾性体2が撓むことで可動接点3の脚部3bが第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとに接触して第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとが可動接点3を介して電気的に接続され、
操作部4aへのさらなる押圧操作により、可動接点3のドーム部3aが反転動作されて第3固定接点1dとドーム部3aが接触して第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dとが可動接点3を介して電気的に接続する構造としたので、
可動接点3は脚部3bに当接した弾性体2により第1固定接点1bと第2固定接点1cより離間され、
操作体4をわずかに押圧操作するのみで弾性体2が弾性変形し、可動接点3の脚部3bが第1固定接点1bと第2固定接点1cに接触し、第1固定接点1bと第2固定接点1cが可動接点3を介して電気的に接続され、第1固定接点と第2固定接点1cで構成される第1の接点が接続することによりプリセンス動作がなされる。
また、操作体4をさらに押圧操作することにより可動接点3のドーム部3aが反転しクリック感が生起されるとともに、可動接点3の脚部3bが第1固定接点1bと第2固定接点1cに接触したまま、ドーム部3aが第3固定接点1dと接触し、電気的に接続されている第1固定接点1b,第2固定接点1cと、第3固定接点1dで構成される第2の接点が接続する。
これにより、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置が構成できる。
【0044】
<第1変形例>
以下、本発明の実施の形態の第1変形例を図4および図5を参照して説明する。なお、実施の形態と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
図4は本発明の実施の形態の第1変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図である。なお、図4の(a)では、理解を容易とするために、操作体4の表示を省略している。
図5は部分脚13cと弾性体2の接触状態を模式的に表す、図4のB−B断面図で、(a)は操作体4が押圧操作されていないときの状態で、(b)は操作体4が押圧操作され部分脚13cが第1固定接点1bと接触したときの状態である。
【0046】
本発明の実施の形態の第1変形例に係るスイッチ装置では、図4の(a),(b)に示すように、可動接点13の脚部13bは略十字型に配置された4つの部分脚13cで構成され、4つの部分脚13cはそれぞれケース1の収容部1aの内底部の4つの隅部に配置され、弾性体2は4つの部分脚13cの下面とのみ当接する。
【0047】
4つの部分脚13cはそれぞれケース1の収容部1aの内底部の4つの隅部に配置されるので、ケース1の辺部に可動接点13の脚部13bを収容する必要がなくなるので、ケース1の外形を小さくすることができる。
【0048】
スイッチ装置が押圧操作されていないときは、図5の(a)に示すように、部分脚13cの下面は弾性体2に当接し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cは離間しており、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続されていないので、第1固定接点1bと第2固定接点1cとで構成される第1の接点は接続されていない。
【0049】
スイッチ装置がわずかに押圧操作されると、図5の(b)に示すように、部分脚13cは弾性体2を弾性変形させて降下し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cが当接し、第1固定接点1bと第2固定接点1cは可動接点13を介して電気的に接続され、第1の接点が接続する。このとき、弾性体2は部分脚13cと当接している部位のみが弾性変形するので変形抵抗は小さく、ごくわずかな押圧操作の操作力で第1の接点を接続することができる。また、同じ操作力でも弾性体2は大きく弾性変形するので、部分脚13cの先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cの隙間が大きくても確実に接触させることができ、可動接点13および弾性体2の寸法精度要求が厳しくなることを回避できる。
【0050】
以上により、本発明の実施の形態の第1変形例に係るスイッチ装置では、可動接点13の脚部13bは、4つの部分脚13c部からなり、部分脚13c部はケース1の隅部に延びているので、部分脚13cをケースの隅部に配置することができ、略箱状のケース1を小さくすることができるので、スイッチ装置の小型化が可能となる。また、弾性体2は部分脚13c部と当接する部分のみが変形するため、弾性体2の変形抵抗が少なくなり、第1の接点が接続するときの操作力が軽くなるとともに、弾性体2の変形量を大きくすることができるため、部分脚13cの先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cの隙間が大きくても確実に接触させることができる。
【0051】
<第2変形例>
以下、本発明の実施の形態の第1変形例を図6および図7を参照して説明する。なお、実施の形態と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】
図6は本発明の実施の形態の第2変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図である。なお、図6の(a)では、理解を容易とするために、操作体4の表示を省略している。図7は部分脚13cと弾性体2の接触状態を模式的に表す、図6のC−C断面図で、(a)は操作体4が押圧操作されていないときの状態で、(b)は操作体4が押圧操作され部分脚13cが第1固定接点1bと接触したときの状態である。
【0053】
本発明の実施の形態の第2変形例に係るスイッチ装置では、図6の(a),(b)に示すように、可動接点13の脚部13bは略十字型に配置された4つの部分脚13cで構成され、4つの部分脚13cはそれぞれケース1の収容部1aの内底部の4つの隅部に配置され、弾性体2は4つの部分脚13cの下面とのみ当接する。さらに、ケース1の収容部1aの内底部には、弾性体2と4つの部分脚13cが当接する部位と対向する領域を窪ませ、4つの逃げ部1eを設けた。
【0054】
スイッチ装置が押圧操作されていないときは、図7の(a)に示すように、部分脚13cの下面は弾性体2に当接し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cは離間しており、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続されていないので、第1固定接点1bと第2固定接点1cとで構成される第1の接点は接続されていない。
【0055】
スイッチ装置がわずかに押圧操作されると、図7の(b)に示すように、部分脚13cは弾性体2を変形させて降下し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cが当接し、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続され、第1の接点が接続する。
このとき、ケース1に逃げ部1eを設けたので、スイッチ装置がわずかに押圧操作され弾性体2が変形させられたとき、弾性体2は断面形状が変形するのではなく、弾性体2の円周方向で部分的に撓み、部分脚13c部と当接する部分の弾性体2が逃げ部1eに入り込むように変形する。
【0056】
これにより、弾性体2の変形抵抗が小さくなるので、ごく軽微な押圧操作の操作力で第1の接点を接続することができる。
【0057】
以上により、本発明の実施の形態の第2変形例に係るスイッチ装置では、ケース1の収容部1aの内底部の、部分脚13cと弾性体2が当接する部位の下部に、弾性体2が撓んだときに弾性体2が内底部に当接することを回避する逃げ部1eを設けたので、第1の接点が接続するときに弾性体2が撓んでも、弾性体2がケース1内底部に当接しないので、弾性体2の変形抵抗が小さくなり、第1の接点が接続するときの操作力が軽くなるとともに、弾性体2の変形量を大きくすることができるため、部分脚13cの先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cの隙間が大きくても、より確実に接触させることができる。
【0058】
<第3変形例>
以下、本発明の実施の形態の第3変形例を図8から図10を参照して説明する。なお、実施形態と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
図8は本発明の実施の形態の第3変形例に係るスイッチ装置の構造を示す外観図で、(a)は外観を示す斜視図で、(b)は部品構成を示す分解斜視図である。なお、図8の(a)では、理解を容易とするために、操作体4の表示を省略している。
図9は部分脚13cと弾性体12の接触状態を模式的に表す、図8のD−D断面図で、(a)は操作体4が押圧操作されていないときの状態で、(b)は操作体4が押圧操作され脚部13bが第1固定接点1bと接触したときの状態である。
図10は本変形例に係る弾性体の別変形例である。
【0060】
本発明の実施の形態の第3変形例に係るスイッチ装置では、図8の(a),(b)に示すように、可動接点3の脚部3bは略十字型に配置された4つの部分脚13cで構成され、4つの部分脚13cはそれぞれケース1の収容部1aの内底部の4つの隅部に配置され、また、弾性体12は4つの部分脚13cとそれぞれ当接する4つの弾性体素片12aよりなる。
【0061】
スイッチ装置が押圧操作されていないときは、図9の(a)に示すように、部分脚13cの下面は弾性体素片12aに当接し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cは離間しており、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続されていないので、第1固定接点1bと第2固定接点1cで構成される第1の接点は接続されていない。
【0062】
スイッチ装置がわずかに押圧操作されると、図9の(b)に示すように、部分脚13cは弾性体素片12aを弾性変形させて降下し、第1固定接点1bおよび図示しない第2固定接点1cと部分脚13cが当接し、第1固定接点1bと第2固定接点1cは可動接点13を介して電気的に接続され、第1の接点が接続する。このとき、弾性体素片12aは、4つの部分脚13cの下面と当接する長さしかないので、操作体4の操作部4aがわずかに押圧されたとき、図9の(b)に示すように、弾性体素片12aはそれぞれ断面方向と長手方向に弾性変形するため変形抵抗が小さくなり、ごくわずかな押圧操作の操作力で部分脚13cを降下させ第1の接点を接続することができる。加えて、弾性体素片12aは変形抵抗が小さいので、同じ操作力でも大きく弾性変形させることができるので、部分脚13cの先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cの隙間が大きくても確実に接触させることができ、可動接点13および弾性体12の寸法精度要求が厳しくなることを回避できる。
【0063】
さらに、弾性体12を4つの弾性体素片12aとしたので、使用するゴム等の材料が少量で済み、原材料の節約ができる。
【0064】
以上により、本発明の実施の形態の第3変形例に係るスイッチ装置では、脚部13bは、4つの部分脚13c部からなり、弾性体12は、分割されて4つの部分脚13c部のみに当接するように配置されているため、弾性体12の変形抵抗が少なくなり、第1の接点が接続するときの押圧操作の操作力が軽くなるとともに、弾性体2の変形量を大きくすることができるため、部分脚13c部先端と第1固定接点1bおよび第2固定接点1cの隙間が大きくても確実に接触させることができる。
【0065】
なお、弾性体12は独立した弾性体素片12aではなく、図10に示すように、弾性体素片12aを薄い接続部12bでつないだ1体の部品としても良い。または、ケース1に弾性体素片12aを直接形成しても良い。
【0066】
また、ケース1の収容部1aの内底部に、弾性体素片12aと対向する部位に弾性体素片12aより短い長さで窪ませた逃げ部を設けることにより、スイッチ装置がわずかに押圧操作され弾性体素片12aが変形させられたとき、弾性体素片12aは断面形状が変形するのではなく、弾性体素片12aの円周方向で部分的に撓み、部分脚13c部と当接する部分の弾性体素片12aが逃げ部に入り込むように変形し、第1の接点が接続するときの押圧操作の操作力をより軽くすることも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 ケース
1a 収容部
1b 第1固定接点
1c 第2固定接点
1d 第3固定接点
1e 逃げ部
1f 端子部
2 弾性体
3 可動接点
3a ドーム部
3b 脚部
4 操作体
4a 操作部
12 弾性体
12a 弾性体素片
12b 接続部
13 可動接点
13b 脚部
13c 部分脚
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動接点と、前記可動接点の下に配置される弾性体と、操作部が押圧操作されることにより前記可動接点を動作させる操作体と、前記可動接点,前記弾性体および前記操作体を収容する収容部を備えるとともに、前記可動接点と接離可能とされ、前記収容部の内底部に電気的に独立した第1固定接点,第2固定接点および第3固定接点とを有するケースとからなるスイッチ装置において、
前記可動接点は前記第1固定接点および第2固定接点と接離可能に配置される脚部と、反転動作可能で、前記第3固定接点と接離可能に配置されるドーム部とを備え、
前記弾性体は前記可動接点の前記脚部とのみ当接して前記可動接点が前記第1固定接点および前記第2固定接点と離間するように、前記収容部の内底部の前記第3固定接点の周囲に配置されており、
前記操作部への押圧操作により、前記弾性体が撓むことで前記可動接点の前記脚部が前記第1固定接点および前記第2固定接点とに接触して前記第1固定接点および前記第2固定接点とが前記可動接点を介して電気的に接続され、
前記操作部へのさらなる押圧操作により、前記可動接点の前記ドーム部が反転動作されて前記第3固定接点と前記ドーム部が接続されて前記第1固定接点、前記第2固定接点および第3固定接点とが前記可動接点を介して電気的に接続されることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記脚部は、4つの部分脚部からなり、前記部分脚部は前記ケースの隅部に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記ケースの前記収容部の内底部の、前記部分脚部と前記弾性体が当接する部位の下部に、前記弾性体が撓んだときに前記弾性体が前記内底部に当接することを回避する逃げ部があることを特徴とする、請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記弾性体は、分割されて4つの前記部分脚部のみに当接するように配置されていることを特徴とする、請求項2または3に記載のスイッチ装置。
【請求項1】
可動接点と、前記可動接点の下に配置される弾性体と、操作部が押圧操作されることにより前記可動接点を動作させる操作体と、前記可動接点,前記弾性体および前記操作体を収容する収容部を備えるとともに、前記可動接点と接離可能とされ、前記収容部の内底部に電気的に独立した第1固定接点,第2固定接点および第3固定接点とを有するケースとからなるスイッチ装置において、
前記可動接点は前記第1固定接点および第2固定接点と接離可能に配置される脚部と、反転動作可能で、前記第3固定接点と接離可能に配置されるドーム部とを備え、
前記弾性体は前記可動接点の前記脚部とのみ当接して前記可動接点が前記第1固定接点および前記第2固定接点と離間するように、前記収容部の内底部の前記第3固定接点の周囲に配置されており、
前記操作部への押圧操作により、前記弾性体が撓むことで前記可動接点の前記脚部が前記第1固定接点および前記第2固定接点とに接触して前記第1固定接点および前記第2固定接点とが前記可動接点を介して電気的に接続され、
前記操作部へのさらなる押圧操作により、前記可動接点の前記ドーム部が反転動作されて前記第3固定接点と前記ドーム部が接続されて前記第1固定接点、前記第2固定接点および第3固定接点とが前記可動接点を介して電気的に接続されることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記脚部は、4つの部分脚部からなり、前記部分脚部は前記ケースの隅部に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記ケースの前記収容部の内底部の、前記部分脚部と前記弾性体が当接する部位の下部に、前記弾性体が撓んだときに前記弾性体が前記内底部に当接することを回避する逃げ部があることを特徴とする、請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記弾性体は、分割されて4つの前記部分脚部のみに当接するように配置されていることを特徴とする、請求項2または3に記載のスイッチ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−26092(P2013−26092A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161489(P2011−161489)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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