説明

スイッチ装置

【課題】主に自動車内の各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置に関し、見易く確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】ケース1の開口筒部1Aに上下動可能に装着されると共に、上面に表示部7Dが形成され、下面に下方へ突出する押圧ボス7Eが設けられた操作体7を、光透過性の透光部7Aと、この透光部7Aの表面を覆う光透過性の被覆部7B、及びこの被覆部7Bの表示部7D以外の表面を覆う遮光部7Cから形成することによって、操作体7の成形時に、透光部7A上面にヒケが生じた場合でも、被覆部7B上面の表示部7Dを平坦に形成できると共に、光透過性の透光部7Aと被覆部7Bによって、表示部7Dをムラなく照光できるため、見易く確実な操作が可能なスイッチ装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車の車室内の各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車内のステアリングホイールやインストルメントパネル等に様々な操作方式のスイッチ装置を装着し、これによって車室内の音響機器や空調機器等の各種電子機器の操作を行うものが増えている。
【0003】
このような従来のスイッチ装置について、図3及び図4を用いて説明する。
【0004】
図3は従来のスイッチ装置の断面図、図4は同分解斜視図であり、同図において、1は下面開口の略箱状で絶縁樹脂製のケースで、上面には略矩形状の複数の開口筒部1Aが形成されている。
【0005】
そして、2は絶縁樹脂製の操作体で、白色や乳白色等の明色の透光部2Aと、この表面を覆う黒色等の暗色の遮光部2Bから形成されると共に、上面には遮光部2Bがレーザー加工等によって除去され、透光部2Aが文字や記号等の形状に露出した光透過性の表示部2Cが設けられている。
【0006】
また、操作体2下面には下方へ突出する押圧ボス2Dが設けられると共に、この複数の操作体2がケース1上面の複数の開口筒部1Aを覆い、側面の貫通孔に開口筒部1A側面の爪部が挿通されて、開口筒部1Aに上下動可能に装着されている。
【0007】
さらに、3は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板、4はプッシュスイッチで、配線基板3上面に複数のプッシュスイッチ4が実装装着されて、複数のスイッチ接点が形成されると共に、プッシュスイッチ4上面から上方へ突出した操作軸4A上端には、操作体2下面から突出した押圧ボス2D下端が当接している。
【0008】
また、5は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子5がプッシュスイッチ4近傍の配線基板3上面に、発光面を上方に向けて実装装着されると共に、配線基板3が複数のねじ6によってケース1下面に固着され、ケース1の下面開口部を覆って、スイッチ装置が構成されている。
【0009】
そして、このように構成されたスイッチ装置が、操作体2上面を手前にして車室内の、例えばステアリングホイールのスポーク(図示せず)に取付けられて、自動車に装着されると共に、プッシュスイッチ4や発光素子5が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、車両の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0010】
以上の構成において、操作体2上面を指で押圧操作すると、操作体2が下方へ移動し、下面の押圧ボス2D下端が操作軸4Aを押圧して、プッシュスイッチ4の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路へ出力されて、例えば、オーディオの音量の増減、あるいはエアコンの温度や風量の切換え等の操作が行なわれる。
【0011】
また、夜間やトンネル内等の周囲が暗い場合には、別途ステアリングホイール近傍に装着されたコンビネーションスイッチ(図示せず)等を操作すると、この電気的接離を車両の電子回路が検出して、複数の発光素子5を発光させる。
【0012】
そして、この発光素子5の光が上方へ進み、操作体2の透光部2Aを通って、上面の表示部2Cを下方から照光することで、操作体2の識別や操作が容易に行えるようになっている。
【0013】
つまり、スイッチ装置の操作体2を押圧操作することによって、車両内の様々な機器の操作が行えると共に、周囲が暗い場合でも、複数の発光素子5を発光させ、操作体2の表示部2Cを照光することによって、操作体2の操作を容易に行えるように構成されているものであった。
【0014】
また、ケース1上面に複数の開口筒部1Aを設け、これを覆うように複数の操作体2を上下動可能に装着することで、操作体2上面に多少の水滴等がかかった場合にも、これらがケース1内に侵入して、配線基板3やプッシュスイッチ4、発光素子5等に付着しづらいようになっている。
【0015】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−317236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置においては、操作体2がケース1の開口筒部1Aに上下動可能に装着され、下方のプッシュスイッチ4を押圧する下面の押圧ボス2Dを、ある程度長く太い形状に形成する必要があるため、操作体2の成形時に、図3に示すように、透光部2A上面にヒケが生じ、表示部2Cが窪んで見づらいものとなってしまう場合があるという課題があった。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、見易く確実な操作が可能なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、ケースの開口筒部に上下動可能に装着されると共に、上面に表示部が形成され、下面に下方へ突出する押圧ボスが設けられた操作体を、光透過性の透光部と、この透光部の表面を覆う光透過性の被覆部、及びこの被覆部の表示部以外の表面を覆う遮光部から形成してスイッチ装置を構成したものであり、操作体の成形時に、透光部上面にヒケが生じた場合でも、透光部が光透過性の被覆部で覆われているため、被覆部上面の表示部を平坦に形成できると共に、光透過性の透光部と被覆部によって、表示部をムラなく照光できるため、見易く確実な操作が可能なスイッチ装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、見易く確実な操作が可能なスイッチ装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】従来のスイッチ装置の断面図
【図4】同分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
【0023】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0024】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、1は下面開口の略箱状でポリオキシメチレンやABS等の絶縁樹脂製のケースで、上面には略矩形状の複数の開口筒部1Aが形成されている。
【0025】
そして、7はポリカーボネートやABS等の絶縁樹脂製の操作体で、透明な光透過性の透光部7Aと、この透光部7A表面を覆う白色や乳白色等の明色で光透過性の被覆部7B、及びこの被覆部7Bの表面を覆う黒色等の暗色の遮光部7Cから形成されると共に、上面には遮光部7Cがレーザー加工等によって除去され、被覆部7B上面が文字や記号等の形状に露出した光透過性の表示部7Dが設けられている。
【0026】
また、操作体7下面には、所定の長さと太さで下方へ突出する押圧ボス7Eが設けられると共に、この複数の操作体7がケース1上面の複数の開口筒部1Aを覆い、側面の貫通孔に開口筒部1A側面の爪部が挿通されて、開口筒部1Aに上下動可能に装着されている。
【0027】
なお、このような操作体7を製作するには、先ず下面に押圧ボス7Eが突出した透光部7Aを成形してから、この透光部7A表面にいわゆる二色成形によって、被覆部7Bを一体に成形した後、被覆部7B表面に塗装等によって遮光部7Cを形成し、これを乾燥した後、レーザー加工等によって上面の遮光部7Cを除去して、被覆部7B上面が文字や記号等の形状に露出した、表示部7Dが形成された操作体7が完成する。
【0028】
また、3は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板、4はプッシュスイッチで、配線基板3の上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、配線基板3上面に複数のプッシュスイッチ4が実装装着されて、複数のスイッチ接点が形成され、プッシュスイッチ4上面から上方へ突出した操作軸4A上端には、操作体7下面から突出した押圧ボス7E下端が当接している。
【0029】
さらに、5は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子5がプッシュスイッチ4近傍の配線基板3上面に、発光面を上方に向けて実装装着されると共に、配線基板3が複数のねじ6によってケース1下面に固着され、ケース1の下面開口部を覆って、スイッチ装置が構成されている。
【0030】
そして、このように構成されたスイッチ装置が、操作体7上面を手前にして車室内の、例えばステアリングホイールのスポーク(図示せず)に取付けられて、自動車に装着されると共に、プッシュスイッチ4や発光素子5が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、車両の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0031】
以上の構成において、操作体7上面を指で押圧操作すると、操作体7が下方へ移動し、下面の押圧ボス7E下端が操作軸4Aを押圧して、プッシュスイッチ4の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路へ出力されて、例えば、オーディオの音量の増減、あるいはエアコンの温度や風量の切換え等の操作が行なわれる。
【0032】
また、夜間やトンネル内等の周囲が暗い場合には、別途ステアリングホイール近傍に装着されたコンビネーションスイッチ(図示せず)等を操作すると、この電気的接離を車両の電子回路が検出して、複数の発光素子5を発光させる。
【0033】
そして、この発光素子5の光が上方へ進み、操作体7の透明な透光部7Aを通った後、明色で光透過性の被覆部7Bで拡散されて、上面の表示部7Dが照光されることで、操作体7の識別や操作が容易に行えるようになっている。
【0034】
つまり、スイッチ装置の操作体7を押圧操作することによって、車両内の様々な機器の操作が行えると共に、周囲が暗い場合でも、複数の発光素子5を発光させ、操作体7の表示部7Dを照光することによって、操作体7の操作を容易に行えるように構成されている。
【0035】
また、この時、操作体7の透光部7Aの表面が光透過性の被覆部7Bで覆われているため、操作体7の成形時に、図1に示すように、透光部7A上面にヒケが発生した場合でも、表示部7Dに窪み等が生じ、表示部7Dが見づらいものとなることのないようになっている。
【0036】
すなわち、下面に所定長さと太さで下方へ突出する押圧ボス7Eが設けられた透光部7A上面に、成形時にヒケが生じた場合でも、透光部7A表面には被覆部7Bが一体に成形され、表示部7Dとなる被覆部7B上面は平坦に形成されているため、窪み等のない見易い表示部7Dが形成できるように構成されている。
【0037】
さらに、光透過性の透光部7A表面に被覆部7Bを設けることで、複数の発光素子5によって複数の表示部7Dをムラなく照光し、見易く確実な操作を行うことが可能なようになっている。
【0038】
つまり、透明な光透過性の透光部7Aの表面に、明色で光透過性の被覆部7Bを一体に形成することによって、下方からの発光素子5の光が透明な透光部7Aを通った後、明色の被覆部7Bで拡散されて、上面の表示部7Dが照光されるため、表示部7Dがムラなく照光され、操作体7の識別や操作が容易に行えるように構成されている。
【0039】
なお、以上の説明では、配線基板3上面に複数のプッシュスイッチ4を実装装着して、複数のスイッチ接点を形成した構成について説明したが、配線基板3上面にカーボン等によって固定接点を形成し、この上に略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を載置した構成や、あるいは固定接点上に下面に可動接点が形成された略ドーム状で可撓性のゴムシートを載置したもの等、様々なスイッチ接点を用いた構成としても、本発明の実施は可能である。
【0040】
このように本実施の形態によれば、ケース1の開口筒部1Aに上下動可能に装着されると共に、上面に表示部7Dが形成され、下面に下方へ突出する押圧ボス7Eが設けられた操作体7を、光透過性の透光部7Aと、この透光部7Aの表面を覆う光透過性の被覆部7B、及びこの被覆部7Bの表示部7D以外の表面を覆う遮光部7Cから形成することによって、操作体7の成形時に、透光部7A上面にヒケが生じた場合でも、透光部7Aが光透過性の被覆部7Bで覆われているため、被覆部7B上面の表示部7Dを平坦に形成できると共に、光透過性の透光部7Aと被覆部7Bによって、表示部7Dをムラなく照光できるため、見易く確実な操作が可能なスイッチ装置を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によるスイッチ装置は、見易く確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に自動車の各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 ケース
1A 開口筒部
3 配線基板
4 プッシュスイッチ
4A 操作軸
5 発光素子
6 ねじ
7 操作体
7A 透光部
7B 被覆部
7C 遮光部
7D 表示部
7E 押圧ボス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状で上面に開口筒部が形成されたケースと、このケースの開口筒部に上下動可能に装着されると共に、上面に表示部が形成され、下面に下方へ突出する押圧ボスが設けられた操作体と、この操作体の表示部を下方から照光する発光素子と、上記操作体の上下動に応じて電気的接離を行うスイッチ接点からなり、上記操作体を光透過性の透光部と、この透光部の表面を覆う光透過性の被覆部、及びこの被覆部の表示部以外の表面を覆う遮光部から形成したスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−54936(P2013−54936A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192664(P2011−192664)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】