説明

スイッチ部品及びスイッチモジュール

【課題】インサート成形時に、筐体と接続端子との界面に微細な隙間が生じた場合であっても、リフロー工程時に半田ペースト中のフラックスが筐体の内部に侵入することを防止することができることで、筐体の内部へのフラックスの侵入に伴う固定接点と可動接点との電気接点不良を防止することができる、信頼性の高いスイッチ部品及び該スイッチ部品をプリント基板に複数実装してなるスイッチモジュールの提供を課題とする。
【解決手段】樹脂からなる筐体10の内部に固定接点20と可動接点30とを設けると共に、前記固定接点20と導通する接続端子22bを前記筐体10の下面側に導出させて設け、該接続端子22bを半田Hによってプリント基板40上に融着させることで、該プリント基板40に実装するようにしたスイッチ部品1であって、前記筐体10の上半部の一部に、前記筐体10の内部と外部とに通じる通気部Tを設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の小型携帯電子機器に使用される表面実装タイプのスイッチ部品及び該スイッチ部品をプリント基板に複数実装してなるスイッチモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の小型携帯電子機器においては、機器内部に表面実装タイプのスイッチ部品(いわゆる押しボタンスイッチ)が実装されたプリント基板が配設される。
このような表面実装タイプのスイッチ部品は、密閉状態にある樹脂等からなる筐体の内部に固定接点と可動接点とを設けると共に、固定接点と導通する接続端子(金属端子)を筐体の下面側に導出させて設け、この接続端子を半田によってプリント基板上に融着させることで、プリント基板に実装されるものが一般的である。
また接続端子は、固定接点から延出される接続片の端部に設けられ、樹脂等からなる筐体の内底面に固定接点をインサート成形することで、筐体の下面側に導出されるものが一般的である。
このような表面実装タイプのスイッチ部品を示す従来技術として、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−158349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、押釦スイッチに関する発明で、設置状態の高さ寸法をクリーム半田分増加させることなく基板上に固定することができると共に、安定した設置状態を維持することができるメリットがある。
しかし上記特許文献1における押釦スイッチ1は、従来の表面実装タイプのスイッチ部品と同様に、中央固定接点21、外側固定接点22をハウジング10の内底面に中央接触部21a、外側接触部22aを露出させてインサート成形することで固定すると共に、ハウジング10の下面12の四隅の角部11から接続端子23を露出させて設ける構成である。またクリーム半田50を介して接続端子23を基板60の所定位置に固定する構成である。
よってインサート成形時に、ハウジング10を形成する絶縁樹脂と、接続端子23を形成する金属との膨張率の差等により、ハウジング10と接続端子23との界面に微細な隙間が生じる可能性があった。
このような微細な隙間がハウジング10の下面側に生じた場合、押釦スイッチ1をクリーム半田50を介して基板60に実装するためのリフロー工程時に、クリーム半田50中のフラックスがハウジング10の内部に侵入し、中央固定接点21と可動接点30との電気接点不良が生じる可能性があるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来技術における問題点を解消し、インサート成形時に、筐体と接続端子との界面に微細な隙間が生じた場合であっても、リフロー工程時に半田ペースト中のフラックスが筐体の内部に侵入することを防止することができることで、筐体の内部へのフラックスの侵入に伴う固定接点と可動接点との電気接点不良を防止することができる、信頼性の高いスイッチ部品及び該スイッチ部品をプリント基板に複数実装してなるスイッチモジュールの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスイッチ部品は、樹脂からなる筐体の内部に固定接点と可動接点とを設けると共に、前記固定接点と導通する接続端子を前記筐体の下面側に導出させて設け、該接続端子を半田によってプリント基板上に融着させることで、該プリント基板に実装するようにしたスイッチ部品であって、前記筐体の上半部の一部に、前記筐体の内部と外部とに通じる通気部を設けてあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、スイッチ部品は、樹脂からなる筐体の内部に固定接点と可動接点とを設けると共に、前記固定接点と導通する接続端子を前記筐体の下面側に導出させて設け、該接続端子を半田によってプリント基板上に融着させることで、該プリント基板に実装するようにしたスイッチ部品であって、前記筐体の上半部の一部に、前記筐体の内部と外部とに通じる通気部を設けてあることから、筐体と接続端子との界面に微細な隙間が生じた場合であっても、リフロー工程時に半田ペースト中のフラックスが、接続端子と筐体との界面を通じて筐体の内部に侵入することを防止することができる。
よって筐体の内部へのフラックスの侵入に伴う固定接点と可動接点との電気接点不良を防止することができる。
【0008】
また本発明のスイッチ部品は、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記通気部を、前記筐体の側壁に設けてあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、前記通気部を、前記筐体の側壁に設けてあることから、スイッチ部品の上方から粉塵等が筐体の内部に侵入することを効果的に防止することができる。
【0010】
また本発明のスイッチ部品は、上記本発明の第2の特徴に加えて、前記通気部は、前記筐体の側壁の上面に凹状の溝を形成してなることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、上記本発明の第2の特徴による作用効果に加えて、前記通気部は、前記筐体の側壁の上面に凹状の溝を形成してなることから、通気部の形成を容易なものとすることができる。
【0012】
また本発明のスイッチ部品は、上記本発明の第1〜第3の何れか1つの特徴に加えて、前記可動接点は、ドーム状の導電性金属膜からなることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、上記本発明の第1〜第3の何れか1つの特徴による作用効果に加えて、前記可動接点は、ドーム状の導電性金属膜からなることから、可動接点と固定接点との接触、非接触を容易なものとすることができる。
【0014】
また本発明のスイッチモジュールは、前記プリント基板に、請求項1〜4の何れか1項に記載のスイッチ部品を複数実装してあることを第5の特徴としている。
【0015】
上記本発明の第5の特徴によれば、スイッチモジュールは、前記プリント基板に、請求項1〜4の何れか1項に記載のスイッチ部品を複数実装してあることから、信頼性が高く、スイッチ操作にバリエーションを持たせることができるスイッチモジュールとすることができる。
【0016】
また本発明のスイッチモジュールは、上記本発明の第5の特徴に加えて、前記プリント基板は、フレキシブルプリント配線板であることを第6の特徴としている。
【0017】
上記本発明の第6の特徴によれば、上記本発明の第5の特徴による作用効果に加えて、前記プリント基板は、フレキシブルプリント配線板であることから、携帯電話機等の小型携帯電子機器に対応可能なスイッチモジュールとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスイッチ部品によれば、インサート成形時に、筐体と接続端子との界面に微細な隙間が生じた場合であっても、スイッチ部品を半田を介してプリント基板に実装するためのリフロー工程時に半田ペースト中のフラックスが筐体の内部に侵入することを防止することができる。よって筐体の内部へのフラックスの侵入に伴う固定接点と可動接点との電気接点不良を防止することができ、信頼性の高いスイッチ部品とすることができる。
また本発明のスイッチモジュールによれば、信頼性が高く、スイッチ操作にバリエーションを持たせることができるスイッチモジュールとすることができ、また携帯電話機等の小型携帯電子機器に対応可能なスイッチモジュールとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るスイッチ部品を示す図で、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は(a)に示すスイッチ部品において、上部カバー及び可動接点を取り外した状態を示す平面図である。
【図2】図1(c)のA−A線における断面図を示す図で、(a)はOFF状態にあるスイッチ部品を示す図、(b)はON状態にあるスイッチ部品を示す図である。
【図3】図1(a)における矢印Bで指し示す箇所を拡大して示す断面図で、(a)は水平断面図、(b)は垂直断面図である。
【図4】従来のスイッチ部品を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るスイッチ部品における通気部の変形例を示す断面図で、(a)は変形例1における通気部を示す水平断面図、(b)は変形例2における通気部を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の図面を参照して、本発明に係るスイッチ部品及び該スイッチ部品をプリント基板に複数実装してなるスイッチモジュールを説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0021】
まず図1、図2を参照して、本発明の実施形態に係るスイッチ部品1及びスイッチモジュールについて説明する。
【0022】
本発明の実施形態に係るスイッチ部品1は、図示しない携帯電話機等の小型携帯電子機器の内部に配設されるプリント基板40に、半田Hを介して実装されるいわゆる表面実装タイプのスイッチ部品(いわゆる押しボタンスイッチ)である。また本実施形態においては、詳しくは図示していないが、プリント基板40にスイッチ部品1を複数実装することで、スイッチモジュールを形成してある。このような構成とすることで、スイッチ操作にバリエーションを持たせることができるスイッチモジュールとすることができる。
このスイッチ部品1は、図1、図2に示すように、筐体10と、固定接点20と、可動接点30とから構成される。
【0023】
前記筐体10は、スイッチ部品1の外形を形成すると共に、内部に密閉空間を形成した状態で固定接点20と可動接点30とを配設するためのものである。
この筐体10は、図1、図2に示すように、上方開口凹状の略方形状を形成する側壁11及び底面12と、上蓋を構成すると共に可動接点30に押圧荷重を負荷させる上部カバー13とから構成される。
また本実施形態においては図1、図2に示すように、筐体10の上半部の一部に、筐体10の内部と外部とに通じる通気部Tを設けてある。
より具体的には、図1、図3に示すように、筐体10における側壁11の上面11aの一カ所に、直線構造で且つ凹状の溝を形成することで通気部Tを設けてある。
なお筐体10を構成する側壁11及び底面12は絶縁性の樹脂で形成されていると共に、上部カバー13は透明の絶縁性のフィルムで形成されている。
また図1(a)、図2に示すように、上部カバー13には、中央部に押釦となる凸部13aを設けてある。
なお本実施形態においては、筐体10の平面形状を略方形状とする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、筐体10の形状は円形状、楕円形状等、適宜変更可能である。また上部カバー13に設ける凸部13aの形状、大きさ等も本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能であるし、凸部13aを設けない構成としてもよい。
また上部カバー13の色は透明に限るものではなく、適宜変更可能である。
【0024】
前記固定接点20は、筐体10の内部に配設され、可動接点30と接触、非接触されることでスイッチ部品1のON、OFFを行うためのスイッチ接点を構成する金属製の薄板である。
この固定接点20は、図1(c)、図2に示すように、内側固定接点21と、外側固定接点22とから構成される。
【0025】
前記内側固定接点21は、図1、図2に示すように、筐体10の中央部に配設され、可動接点30の中央部と接触、非接触されるスイッチ接点である。
また図1に示すように、内側固定接点21は、該内側固定接点21と導通すると共に筐体10の側面に沿って伸びる接続片21aと、接続片21aの端部を構成すると共に筐体10の下面側に導出され、半田Hを介してプリント基板40との接続部となる接続端子21bとを有する。
【0026】
前記外側固定接点22は、図1、図2に示すように、内側固定接点21を挟む対称位置に配設され、可動接点30の外周の一部を当設させて配置させるためのスイッチ接点である。
また図1に示すように、外側固定接点22は、該外側固定接点22と導通すると共に筐体10の側面に沿って伸びる接続片22aと、接続片22aの端部を構成すると共に筐体10の下面側に導出され、半田Hを介してプリント基板40との接続部となる接続端子22bとを有する。
【0027】
これら内側固定接点21、外側固定接点22は、図1(c)、図2に示すように、筐体10の内底面に可動接点30との接触部を露出させると共に、接続端子21b、22bを筐体10の下面側の四隅に導出させてインサート成形されて固定されている。
なお接続端子21b、22bの筐体10の下面側からの導出位置は、四隅に限るものではなく、適宜変更可能である。
【0028】
前記可動接点30は、図2に示すように、ドーム状の導電性金属膜からなり、外周の一部が外側固定接点22と当設されて配置され、中央部が内側固定接点21の接触部(詳しくは図示しない)と接触、非接触されることでスイッチ部品1のON、OFFを行うためのスイッチ接点である。
【0029】
このような構成からなるスイッチ部品1は、図2に示すように、接続端子21b、22bを半田Hによってプリント基板40上に融着させることで、プリント基板40に実装される。
ここで、半田Hを介しての接続端子21b、22bとプリント基板40との融着は、いわゆるリフロー方式により行われる。
より具体的には、プリント基板40上の所定位置に半田ペースト(金属粉末H1にフラックスH2を加えて適当な粘度にしたもの)を印刷し、その上にスイッチ部品1を載置させた後、リフロー炉で予熱(一般的には150℃〜170℃)、本加熱(一般的には220℃〜260℃)を行った後、常温まで冷却させるという工程を経て行われる。
この際、筐体10の内部では、特に本加熱時に内部圧力が高まり(常圧の約1.8倍程度)、その後の冷却時に内部圧力は低くなるという圧力変化が生じる。
【0030】
よって図4に示すように、従来のスイッチ部品2においては、固定接点210を筐体100にインサート成形する際に、筐体100を形成する絶縁樹脂と、接続端子220bを形成する金属との膨張率の差等により、筐体100と接続端子220bとの界面に微細な隙間Sが生じた場合には、半田Hを構成するフラックスH2が筐体100の内部に侵入し、固定接点200と可動接点300との電気接点不良が生じる可能性があった。
より具体的には、本加熱時には筐体100の内部圧力が高まることで、筐体100の内部の空気が微細な隙間Sを通じて筐体100の外部へと排出される。その後の冷却時には筐体100の内部圧力が低くなることで、微細な隙間Sを通じて筐体100の外部から内部へと空気が侵入する。この際、半田Hを構成するフラックスH2が筐体100の内部に侵入することで、固定接点200と可動接点300との電気接点不良が生じる可能性があった。
なお従来のスイッチ部品2は、本発明の実施形態におけるスイッチ部品1に対して、通気部Tの有無が異なるだけの構成である。よって本発明の実施形態におけるスイッチ部品1と同一部材、同一機能を果たすものには、上2桁の番号に同一番号を付し、以下の説明を省略するものとする。
【0031】
これに対して、本発明の実施形態に係るスイッチ部品1においては、既述したように、筐体10の上半部の一部に通気部Tを設けてある。より具体的には、半田Hが存在しない場所、若しくは溶融状態にあるフラックスH2と接触する可能性がない場所に通気部Tを設けてある。更に具体的には、図3(b)に示すように、側壁11の上面11aの一部に通気部Tを設けてある。
このような構成とすることで、筐体10と接続端子21b、22bとの界面に微細な隙間Sが生じた場合であっても、リフロー工程時に筐体10の内部で生じる圧力変化に伴う空気の出入りを通気部Tで賄うことができる。より具体的には、特にリフロー工程時の冷却時に生じる筐体10の内部への空気の侵入を、通気部Tで優先的に行わせることができ、筐体10の内部の負圧を解消させることができる。よって微細な隙間Sから筐体10の内部へ空気が侵入することを防止することができる。
従って、リフロー工程時に微細な隙間Sから筐体10の内部に半田ペースト中のフラックスH2が侵入することを効果的に防止することできる。よって筐体10の内部へのフラックスH2の侵入に伴う中央固定接点21と可動接点30との電気接点不良を防止することができ、信頼性の高いスイッチ部品1及びスイッチモジュールとすることができる。
なお、このような効果を奏するためには、通気部Tの通路の断面積が、微細な隙間Sの通路の断面積よりも大きいものであることが必要である。
より具体的には、図3(b)に示す縦Cと横Dとの積で求められる通気部Tの通路の断面積を、0.0025mm〜0.04mm程度とすることが望ましい。0.0025mm未満とした場合は、通気部Tの通路の断面積が、インサート成形時に生じうる微細な隙間Sの通路の断面積よりも小さくなる可能性があり、本発明の効果が得られない可能性があるからである。また0.04mmより大きいものとした場合は、フラックスH2以外の粉塵等が筐体10の内部に侵入する可能性があり、粉塵等によって固定接点20と可動接点30との電気接点不良が生じる可能性があるからである。
【0032】
また本実施形態においては、図3に示すように、筐体10の側壁11の上面11aに直線構造で且つ凹状の溝を形成することで、通気部Tを形成する構成としてある。このような構成とすることで、通気部Tを金型で容易に形成することができる。
【0033】
なお筐体10における通気部Tの形成位置は、本実施形態のものに限るものではなく、筐体10の上半部の一部であれば適宜変更可能である。但し、半田Hが存在しない位置、若しくは溶融状態にあるフラックスH2と接触する可能性がない位置に形成することが必要である。
例えば通気部Tを上部カバー13に設ける構成としてもよい。しかし筐体10の上方から筐体10の内部へ粉塵等が侵入する可能性を考慮すれば、通気部Tは側壁11の上半部の一部に設けることが望ましい。このような構成とすることで、スイッチ部品1の上方から粉塵等が筐体10の内部に侵入することを効果的に防止することができる。
また本実施形態においては、筐体10の側壁11の上面11aに凹状の溝を形成することで、通気部Tを形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、筐体10の上半部の一部に所定の大きさの通気部Tを形成することができるものであれば、その形成方法は適宜変更可能である。例えば筐体10の側壁11に貫通孔を形成することで通気部Tを設ける構成とすることができる。
また金属粉末H1及びフラックスH2としては、半田を構成する金属粉末及びフラックスとして通常用いられるものであれば、如何なるものを用いてもよい。
【0034】
次に図2を参照して本発明の実施形態に係るスイッチ部品1及びスイッチモジュールの動作について説明する。
図2に一部示すように、スイッチ部品1は、接続端子21b、22bが半田Hによって所定の配線部41に半田付けされてプリント基板40の所定位置に複数実装される。
このように実装されるスイッチ部品1において、半田付けしたプリント基板40と略直交する上方から上部カバー13の凸部13aを押圧することで、可動接点30を下方に押圧していく。そして、その押圧力が一定以上になると、可動接点30は反転動作し、その中央部の裏面が筐体10に設けられた中央固定接点21の接触部(詳しくは図示しない)に接触する。
これにより、中央固定接点21と外側固定接点22とが、可動接点30を介して導通してスイッチON状態となり、それぞれの接続端子21b、22bに接続されているプリント基板40の所定の配線部41間が導通する。
その後、上部カバー13への押圧力を除くと、可動接点30は、自らの弾性復元力により元の形状に復元し、スイッチOFF状態に戻る。
このようなスイッチ部品1への操作を、複数個のスイッチ部品1に対して、個別に若しくは1個乃至複数個からなるグループ毎に行うことで、スイッチモジュールの動作が実行される。
【0035】
前記プリント基板40は、半田Hを介してスイッチ部品1を所定位置に実装した状態で電子機器内部に配設されるものである。
また本実施形態においては、既述したように、プリント基板40にスイッチ部品1を複数実装することで、スイッチモジュールを形成してある。このような構成とすることで、信頼性が高く、スイッチ操作にバリエーションを持たせることができるスイッチモジュールとすることができる。
また本実施形態においては、プリント基板40として、フレキシブルプリント配線板を用いている。このような構成とすることで、携帯電話機等の小型携帯電子機器に対応可能なスイッチモジュールとすることができる。
なおプリント基板40としては、フレキシブルプリント配線板に限るものではなく、適宜変更可能である。例えばリジッド基板を用いる構成とすることができる。
【0036】
次に図5を参照して本発明の実施形態に係るスイッチ部品1における通気部Tの変形例を説明する。
まず図5(a)を参照して、本変形1は、通気部Tの構造を直線構造とせず、屈曲構造としたものである。
このような構成とすることで、通気部Tから筐体10の内部へフラックスH2以外の粉塵等が侵入することを効果的に防止することができる。よって筐体10の内部への粉塵等の侵入に伴う中央固定接点21と可動接点30との電気接点不良を効果的に防止することができる。
【0037】
次に図5(b)を参照して、本変形2は、通気部Tの構造を直線構造とせず、曲線構造としたものである。
このような構成とすることで、通気部Tから筐体10の内部へフラックスH2以外の粉塵等が侵入することを効果的に防止することができる。よって筐体10の内部への粉塵等の侵入に伴う中央固定接点21と可動接点30との電気接点不良を効果的に防止することができる。
なお通気部Tの構造は、既述した本発明の実施形態、変形例1、2に限るものではなく、通気部Tから筐体10の内部へフラックスH2以外の粉塵等が侵入することを効果的に防止することができる構造であれば、如何なる構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、半田を介してプリント基板に実装されるスイッチ部品において、インサート成形時に、筐体と接続端子との界面に微細な隙間が生じた場合であっても、リフロー工程時に半田ペースト中のフラックスが筐体の内部に侵入することを防止することができる。よって筐体の内部へのフラックスの侵入に伴う固定接点と可動接点との電気接点不良を防止することができることから、機器内部に表面実装タイプのスイッチ部品を備える携帯電話機等の小型携帯電子機器の分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0039】
1 スイッチ部品
2 スイッチ部品
10 筐体
11 側壁
11a 上面
12 底面
13 上部カバー
13a 凸部
20 固定接点
21 中央固定接点
21a 接続片
21b 接続端子
22 外側固定接点
22a 接続片
22b 接続端子
30 可動接点
40 プリント基板
41 配線部
100 筐体
110 側壁
120 底面
130 上部カバー
130a 凸部
200 固定接点
210 中央固定接点
220 外側固定接点
220b 接続端子
300 可動接点
400 プリント基板
410 配線部
C 縦
D 横
H 半田
H1 金属粉末
H2 フラックス
S 隙間
T 通気部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂からなる筐体の内部に固定接点と可動接点とを設けると共に、前記固定接点と導通する接続端子を前記筐体の下面側に導出させて設け、該接続端子を半田によってプリント基板上に融着させることで、該プリント基板に実装するようにしたスイッチ部品であって、前記筐体の上半部の一部に、前記筐体の内部と外部とに通じる通気部を設けてあることを特徴とするスイッチ部品。
【請求項2】
前記通気部を、前記筐体の側壁に設けてあることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ部品。
【請求項3】
前記通気部は、前記筐体の側壁の上面に凹状の溝を形成してなることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ部品。
【請求項4】
前記可動接点は、ドーム状の導電性金属膜からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のスイッチ部品。
【請求項5】
前記プリント基板に、請求項1〜4の何れか1項に記載のスイッチ部品を複数実装してあることを特徴とするスイッチモジュール。
【請求項6】
前記プリント基板は、フレキシブルプリント配線板であることを特徴とする請求項5に記載のスイッチモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−113852(P2012−113852A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259798(P2010−259798)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】