スイッチ
【課題】各種電子機器の操作に用いられるスイッチに関し、簡易な構成で、良好な照光が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】導光シート１１の端部に配置された発光素子７と導光シート１１の端部下面の間に、光透過性の導光部１５を形成することによって、発光素子７の光が導光部１５を透過し、端部下面から導光シート１１内に充分な光を導入できるため、簡易な構成で、明るく良好な照光が可能なスイッチを得ることができる。
【解決手段】導光シート１１の端部に配置された発光素子７と導光シート１１の端部下面の間に、光透過性の導光部１５を形成することによって、発光素子７の光が導光部１５を透過し、端部下面から導光シート１１内に充分な光を導入できるため、簡易な構成で、明るく良好な照光が可能なスイッチを得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、各種電子機器の操作に使用されるスイッチに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、各種電子機器、特に携帯電話等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやＥＬ素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられるスイッチにも、安価で多様な照光が可能なものが求められている。
【０００３】
このような従来のスイッチについて、図２を用いて説明する。
【０００４】
なお、構成を判り易くするために、図面は厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【０００５】
図２は従来のスイッチの断面図であり、同図において、１は光透過性で可撓性を有するフィルム状の導光シート、２は同じくフィルム状のカバーシートで、導光シート１上面には複数のドット状の拡散部１Ａが形成されると共に、導光シート１とカバーシート２は外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって貼付されている。
【０００６】
そして、３は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、複数の可動接点３が拡散部１Ａ下方のカバーシート２下面に、接着剤（図示せず）によって貼付されて、可動接点体４が構成されている。
【０００７】
また、５は上下面に複数の配線パターン（図示せず）が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点６Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点６Ｂから形成された、複数の固定接点６が設けられている。
【０００８】
そして、この配線基板５上面に可動接点体４が、各々の可動接点３の外周が外側固定接点６Ｂ上に載置され、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａと所定の間隙を空けて対向するように、貼付されている。
【０００９】
また、７は発光ダイオード等の発光素子で、この発光素子７が導光シート１右方の配線基板５上面に実装され、導光シート１の右端側面に発光面を向けて配置されている。
【００１０】
さらに、８は絶縁樹脂製の操作体で、透光部８Ａとこの上面を覆う遮光部８Ｂから形成されると共に、複数の操作体８の上面には透光部８Ａが文字や記号等の形状に露出した表示部８Ｃが設けられ、下方へ突出した押圧部８Ｄが可動接点３中央部の導光シート１上面に当接している。
【００１１】
また、９は略箱形で絶縁樹脂製のケースで、このケース９内に可動接点体４や配線基板５が収納されると共に、ケース９上面の複数の開口孔に複数の操作体８が上下動可能に装着されて、スイッチが構成されている。
【００１２】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、中央固定接点６Ａや外側固定接点６Ｂ、発光素子７が配線パターンを介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１３】
以上の構成において、所定の操作体８を下方へ押圧操作すると、この箇所の下面の押圧部８Ｄが導光シート１上面を押圧し、導光シート１やカバーシート２が撓んで可動接点３の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点３がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａに接触することによって、中央固定接点６Ａと外側固定接点６Ｂが、可動接点３を介して電気的に接続された状態となる。
【００１４】
また、操作体８への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点３が上方へ弾性反転し、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａから離れて、中央固定接点６Ａと外側固定接点６Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００１５】
そして、このような固定接点６の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子７に電源が供給されると、発光素子７が発光し、この光が右端側面から導光シート１内に入射して、導光シート１内を反射しながら左方へ進む。
【００１６】
さらに、この光が導光シート１上面の複数の拡散部１Ａで拡散され反射して、操作体８の透光部８Ａを下方から照光し、表示部８Ｃが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部８Ｃの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００１７】
つまり、操作体８の押圧操作によって導光シート１上面を押圧し、可動接点３を弾性反転させて固定接点６の電気的接離を行うと共に、発光素子７の光を右端側面から導光シート１内に導入し、拡散部１Ａを発光させることによって、操作体８の表示部８Ｃを照光するように構成されているものであった。
【００１８】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【特許文献１】特開２００７−８７７４９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１９】
しかしながら、上記従来のスイッチにおいては、発光素子７の光を、光に対し垂直な右端側面から導光シート１内に導入しているため、導光シート１に厚さの薄いものを用いた場合には、充分な光を導光シート１内に導入できず、複数の拡散部１Ａの照光が暗いものとなってしまうという課題があった。
【００２０】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で、良好な照光が可能なスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２１】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【００２２】
本発明の請求項１に記載の発明は、導光シートの端部に配置された発光素子と導光シートの端部下面の間に、光透過性の導光部を形成してスイッチを構成したものであり、発光素子の光が導光部を透過し、端部下面から導光シート内に充分な光を導入できるため、簡易な構成で、明るく良好な照光が可能なスイッチを得ることができるという作用を有する。
【００２３】
請求項２に記載の発明は、請求項１記載の発明において、導光シートの端部上面に反射部を設けたものであり、反射部で上方への光を反射させることによって、さらに明るい照光を行うことができるという作用を有する。
【発明の効果】
【００２４】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で、良好な照光が可能なスイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２５】
以下、本発明の実施の形態について、図１を用いて説明する。
【００２６】
なお、構成を判り易くするために、図面は厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【００２７】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００２８】
（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態によるスイッチの断面図であり、同図において、１１はフィルム状でポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート、ウレタン、シリコーン等の可撓性を有する光透過性の導光シートで、この上面には酸化チタン等の白色顔料を分散したアクリル樹脂等によって、複数のドット状の拡散部１２が形成されている。
【００２９】
また、この導光シート１１の右端部上面にはアルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルム等を貼付、あるいは、鱗片状のアルミニウムや銀等を分散したポリエステルやエポキシ等の透明樹脂を印刷して、反射部１３が形成されている。
【００３０】
そして、２はフィルム状のカバーシートで、カバーシート２上面の外周の所定箇所には接着剤（図示せず）が塗布され、この接着剤によってカバーシート２が導光シート１１下面に貼付されている。
【００３１】
また、３は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、複数の可動接点３が拡散部１２下方のカバーシート２下面に、接着剤（図示せず）によって貼付されて、可動接点体１４が構成されている。
【００３２】
さらに、５はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面に銅等によって複数の配線パターン（図示せず）が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点６Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点６Ｂから形成された複数の固定接点６が設けられている。
【００３３】
そして、この配線基板５上面に可動接点体１４が、各々の可動接点３の外周が外側固定接点６Ｂ上に載置され、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａと所定の間隙を空けて対向するように、貼付されている。
【００３４】
また、７は発光ダイオード等の発光素子で、この発光素子７が導光シート１１右方の配線基板５上面に実装されると共に、導光シート１１の右端部がやや上方へ折曲されて発光素子７上に載置され、発光素子７と導光シート１１右端部下面の間には、アクリルやメタクリル酸メチル、ウレタン、シリコーン等の絶縁樹脂によって光透過性の導光部１５が形成されている。
【００３５】
さらに、８はポリスチレンやＡＢＳ等の絶縁樹脂製の操作体で、透光部８Ａとこの上面を覆う遮光部８Ｂから形成されると共に、複数の操作体８の上面には透光部８Ａが文字や記号等の形状に露出した表示部８Ｃが設けられ、下方へ突出した押圧部８Ｄが可動接点３中央部の導光シート１１上面に当接している。
【００３６】
また、９は略箱形で絶縁樹脂製のケースで、このケース９内に可動接点体１４や配線基板５が収納されると共に、ケース９上面の複数の開口孔に複数の操作体８が上下動可能に装着されて、スイッチが構成されている。
【００３７】
なお、このようなスイッチを製作する際には、先ず、複数の固定接点６が形成された配線基板５上面に発光素子７を半田付けによって実装した後、発光素子７左側の発光面から略三角柱状に左方へ傾斜させて、上述した絶縁樹脂を配線基板５上面に塗布あるいは印刷し、乾燥させて光透過性の導光部１５を形成する。
【００３８】
そして、この後、下面に複数の可動接点３が装着された可動接点体１４を、導光シート１１の右端部がやや上方へ折曲され、発光素子７上に載置されて導光部１５を覆うようにして、配線基板５上面に貼付する。
【００３９】
さらに、この後、可動接点体１４が貼付された配線基板５を、複数の操作体８が装着されたケース９内に、押圧部８Ｄが可動接点３中央部の導光シート１１上面に当接するように組立てて、スイッチが完成する。
【００４０】
なお、導光部１５を配線基板５上面ではなく、導光シート１１の右端部に形成し、これを組立て時に発光素子７の発光面に当接させても製作は可能であるが、上記のように発光素子７の左側に傾斜した導光部１５を形成し、これを覆うように導光シート１１を貼付することで、より簡易に製作を行うことができる。
【００４１】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、中央固定接点６Ａや外側固定接点６Ｂ、発光素子７が配線パターンを介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００４２】
以上の構成において、所定の操作体８を下方へ押圧操作すると、この箇所の下面の押圧部８Ｄが導光シート１１上面を押圧し、導光シート１１やカバーシート２が撓んで可動接点３の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点３がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａに接触することによって、中央固定接点６Ａと外側固定接点６Ｂが、可動接点３を介して電気的に接続された状態となる。
【００４３】
また、操作体８への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点３が上方へ弾性反転し、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａから離れて、中央固定接点６Ａと外側固定接点６Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００４４】
そして、このような固定接点６の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子７に電源が供給されると、発光素子７が発光し、この光が導光部１５を透過して、導光部１５が当接した右端部下面から導光シート１１内に入射する。
【００４５】
さらに、この導光シート１１内に入射した光が、導光シート１１内を直進、あるいは導光シート１１の上下面で反射しながら左方へ進み、可動接点３上方の複数の拡散部１２で拡散され反射して、操作体８の透光部８Ａを下方から照光し、表示部８Ｃが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部８Ｃの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００４６】
すなわち、操作体８の押圧操作によって導光シート１１上面を押圧し、可動接点３を弾性反転させて固定接点６の電気的接離を行うと共に、発光素子７の光を導光部１５が当接した右端部下面から導光シート１１内に導入し、拡散部１２を発光させることによって、操作体８の表示部８Ｃを照光するように構成されている。
【００４７】
そして、この時、発光素子７の光は上記のように、発光素子７の発光面と導光シート１１右端部下面の間に設けた光透過性の導光部１５を透過し、導光部１５が当接した導光シート１１右端部下面の、広い面積から多くの光が、導光シート１１内に導入され、これらの光が透光部８Ａを照光するため、明るく見易い照光が行えるようになっている。
【００４８】
つまり、導光シート１１に厚さの薄いものを用いた場合でも、発光素子７の発光面と導光シート１１右端部下面の間に、光透過性の導光部１５を設け、この導光部１５が当接した右端部下面の広い面積から、発光素子７の光を導入することによって、導光シート１１内に、照光に必要な充分な光を導入できるように構成されている。
【００４９】
また、導光部１５が形成された導光シート１１の右端部上面に、アルミニウムや銀等の反射部１３を設けることによって、導光シート１１上方への光漏れを防ぐと共に、反射部１３で導光シート１１内の上方への光を反射させ、より明るい照光を行うことが可能なようになっている。
【００５０】
なお、導光部１５の材料は上述したように、導光シート１１の材料と同じ系統で光の屈折率がほぼ同じもの、例えば、導光シート１１にポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートを用いた場合には、アクリルやポリメタクリル酸メチルを、ウレタンやシリコーンを用いた場合には、同じウレタンやシリコーンを用い、屈折率は１．４〜１．６前後のものを用いることが好ましい。
【００５１】
また、赤外線硬化型のアクリルやポリメタクリル酸メチルを用いれば、導光部１５の形成時に、塗布あるいは印刷後の乾燥が不要となり、作業時間を短縮し、製作を容易に行うことができる。
【００５２】
さらに、以上の説明では、下面に複数の可動接点３が貼付されたカバーシート２を、導光シート１１下面に貼付した構成について説明したが、カバーシート２をなくし、導光シート１１下面に複数の可動接点３を直接貼付した構成とすれば、構成部品数を減らし、スイッチをより簡易で安価なものとすることができる。
【００５３】
このように本実施の形態によれば、導光シート１１の端部に配置された発光素子７と導光シート１１の端部下面の間に、光透過性の導光部１５を形成することによって、発光素子７の光が導光部１５を透過し、端部下面から導光シート１１内に充分な光を導入できるため、簡易な構成で、明るく良好な照光が可能なスイッチを得ることができるものである。
【００５４】
なお、以上の説明では、可動接点３上方の導光シート１１上面に、複数のドット状の拡散部１２を形成した構成について説明したが、導光シート１１上面ではなく、下面に拡散部１２を設けた構成としても、本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【００５５】
本発明によるスイッチは、簡易な構成で、良好な照光が可能なものが得られ、各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【００５６】
【図１】本発明の一実施の形態によるスイッチの断面図
【図２】従来のスイッチの断面図
【符号の説明】
【００５７】
２ カバーシート
３ 可動接点
５ 配線基板
６ 固定接点
６Ａ 中央固定接点
６Ｂ 外側固定接点
７ 発光素子
８ 操作体
８Ａ 透光部
８Ｂ 遮光部
８Ｃ 表示部
８Ｄ 押圧部
９ ケース
１１ 導光シート
１２ 拡散部
１３ 反射部
１４ 可動接点体
１５ 導光部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、各種電子機器の操作に使用されるスイッチに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、各種電子機器、特に携帯電話等の携帯端末機器においては、周囲が暗い場合でも、押釦や表示シート等の識別や操作が容易に行えるように、発光ダイオードやＥＬ素子等を発光させて操作部の照光を行うものが増えており、これらの機器に用いられるスイッチにも、安価で多様な照光が可能なものが求められている。
【０００３】
このような従来のスイッチについて、図２を用いて説明する。
【０００４】
なお、構成を判り易くするために、図面は厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【０００５】
図２は従来のスイッチの断面図であり、同図において、１は光透過性で可撓性を有するフィルム状の導光シート、２は同じくフィルム状のカバーシートで、導光シート１上面には複数のドット状の拡散部１Ａが形成されると共に、導光シート１とカバーシート２は外周の所定箇所が、接着剤（図示せず）によって貼付されている。
【０００６】
そして、３は略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点で、複数の可動接点３が拡散部１Ａ下方のカバーシート２下面に、接着剤（図示せず）によって貼付されて、可動接点体４が構成されている。
【０００７】
また、５は上下面に複数の配線パターン（図示せず）が形成された配線基板で、上面には略円形状の中央固定接点６Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点６Ｂから形成された、複数の固定接点６が設けられている。
【０００８】
そして、この配線基板５上面に可動接点体４が、各々の可動接点３の外周が外側固定接点６Ｂ上に載置され、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａと所定の間隙を空けて対向するように、貼付されている。
【０００９】
また、７は発光ダイオード等の発光素子で、この発光素子７が導光シート１右方の配線基板５上面に実装され、導光シート１の右端側面に発光面を向けて配置されている。
【００１０】
さらに、８は絶縁樹脂製の操作体で、透光部８Ａとこの上面を覆う遮光部８Ｂから形成されると共に、複数の操作体８の上面には透光部８Ａが文字や記号等の形状に露出した表示部８Ｃが設けられ、下方へ突出した押圧部８Ｄが可動接点３中央部の導光シート１上面に当接している。
【００１１】
また、９は略箱形で絶縁樹脂製のケースで、このケース９内に可動接点体４や配線基板５が収納されると共に、ケース９上面の複数の開口孔に複数の操作体８が上下動可能に装着されて、スイッチが構成されている。
【００１２】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、中央固定接点６Ａや外側固定接点６Ｂ、発光素子７が配線パターンを介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００１３】
以上の構成において、所定の操作体８を下方へ押圧操作すると、この箇所の下面の押圧部８Ｄが導光シート１上面を押圧し、導光シート１やカバーシート２が撓んで可動接点３の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点３がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａに接触することによって、中央固定接点６Ａと外側固定接点６Ｂが、可動接点３を介して電気的に接続された状態となる。
【００１４】
また、操作体８への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点３が上方へ弾性反転し、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａから離れて、中央固定接点６Ａと外側固定接点６Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００１５】
そして、このような固定接点６の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子７に電源が供給されると、発光素子７が発光し、この光が右端側面から導光シート１内に入射して、導光シート１内を反射しながら左方へ進む。
【００１６】
さらに、この光が導光シート１上面の複数の拡散部１Ａで拡散され反射して、操作体８の透光部８Ａを下方から照光し、表示部８Ｃが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部８Ｃの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００１７】
つまり、操作体８の押圧操作によって導光シート１上面を押圧し、可動接点３を弾性反転させて固定接点６の電気的接離を行うと共に、発光素子７の光を右端側面から導光シート１内に導入し、拡散部１Ａを発光させることによって、操作体８の表示部８Ｃを照光するように構成されているものであった。
【００１８】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献１が知られている。
【特許文献１】特開２００７−８７７４９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１９】
しかしながら、上記従来のスイッチにおいては、発光素子７の光を、光に対し垂直な右端側面から導光シート１内に導入しているため、導光シート１に厚さの薄いものを用いた場合には、充分な光を導光シート１内に導入できず、複数の拡散部１Ａの照光が暗いものとなってしまうという課題があった。
【００２０】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で、良好な照光が可能なスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００２１】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【００２２】
本発明の請求項１に記載の発明は、導光シートの端部に配置された発光素子と導光シートの端部下面の間に、光透過性の導光部を形成してスイッチを構成したものであり、発光素子の光が導光部を透過し、端部下面から導光シート内に充分な光を導入できるため、簡易な構成で、明るく良好な照光が可能なスイッチを得ることができるという作用を有する。
【００２３】
請求項２に記載の発明は、請求項１記載の発明において、導光シートの端部上面に反射部を設けたものであり、反射部で上方への光を反射させることによって、さらに明るい照光を行うことができるという作用を有する。
【発明の効果】
【００２４】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で、良好な照光が可能なスイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２５】
以下、本発明の実施の形態について、図１を用いて説明する。
【００２６】
なお、構成を判り易くするために、図面は厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【００２７】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【００２８】
（実施の形態）
図１は本発明の一実施の形態によるスイッチの断面図であり、同図において、１１はフィルム状でポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート、ウレタン、シリコーン等の可撓性を有する光透過性の導光シートで、この上面には酸化チタン等の白色顔料を分散したアクリル樹脂等によって、複数のドット状の拡散部１２が形成されている。
【００２９】
また、この導光シート１１の右端部上面にはアルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルム等を貼付、あるいは、鱗片状のアルミニウムや銀等を分散したポリエステルやエポキシ等の透明樹脂を印刷して、反射部１３が形成されている。
【００３０】
そして、２はフィルム状のカバーシートで、カバーシート２上面の外周の所定箇所には接着剤（図示せず）が塗布され、この接着剤によってカバーシート２が導光シート１１下面に貼付されている。
【００３１】
また、３は略ドーム状で銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、複数の可動接点３が拡散部１２下方のカバーシート２下面に、接着剤（図示せず）によって貼付されて、可動接点体１４が構成されている。
【００３２】
さらに、５はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のフィルム状、または紙フェノールやガラス入りエポキシ等の板状の配線基板で、上下面に銅等によって複数の配線パターン（図示せず）が形成されると共に、上面には銅やカーボン等によって、略円形状の中央固定接点６Ａと、これを囲む略馬蹄状または略リング状の外側固定接点６Ｂから形成された複数の固定接点６が設けられている。
【００３３】
そして、この配線基板５上面に可動接点体１４が、各々の可動接点３の外周が外側固定接点６Ｂ上に載置され、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａと所定の間隙を空けて対向するように、貼付されている。
【００３４】
また、７は発光ダイオード等の発光素子で、この発光素子７が導光シート１１右方の配線基板５上面に実装されると共に、導光シート１１の右端部がやや上方へ折曲されて発光素子７上に載置され、発光素子７と導光シート１１右端部下面の間には、アクリルやメタクリル酸メチル、ウレタン、シリコーン等の絶縁樹脂によって光透過性の導光部１５が形成されている。
【００３５】
さらに、８はポリスチレンやＡＢＳ等の絶縁樹脂製の操作体で、透光部８Ａとこの上面を覆う遮光部８Ｂから形成されると共に、複数の操作体８の上面には透光部８Ａが文字や記号等の形状に露出した表示部８Ｃが設けられ、下方へ突出した押圧部８Ｄが可動接点３中央部の導光シート１１上面に当接している。
【００３６】
また、９は略箱形で絶縁樹脂製のケースで、このケース９内に可動接点体１４や配線基板５が収納されると共に、ケース９上面の複数の開口孔に複数の操作体８が上下動可能に装着されて、スイッチが構成されている。
【００３７】
なお、このようなスイッチを製作する際には、先ず、複数の固定接点６が形成された配線基板５上面に発光素子７を半田付けによって実装した後、発光素子７左側の発光面から略三角柱状に左方へ傾斜させて、上述した絶縁樹脂を配線基板５上面に塗布あるいは印刷し、乾燥させて光透過性の導光部１５を形成する。
【００３８】
そして、この後、下面に複数の可動接点３が装着された可動接点体１４を、導光シート１１の右端部がやや上方へ折曲され、発光素子７上に載置されて導光部１５を覆うようにして、配線基板５上面に貼付する。
【００３９】
さらに、この後、可動接点体１４が貼付された配線基板５を、複数の操作体８が装着されたケース９内に、押圧部８Ｄが可動接点３中央部の導光シート１１上面に当接するように組立てて、スイッチが完成する。
【００４０】
なお、導光部１５を配線基板５上面ではなく、導光シート１１の右端部に形成し、これを組立て時に発光素子７の発光面に当接させても製作は可能であるが、上記のように発光素子７の左側に傾斜した導光部１５を形成し、これを覆うように導光シート１１を貼付することで、より簡易に製作を行うことができる。
【００４１】
そして、このように構成されたスイッチが、電子機器の操作面に装着されると共に、中央固定接点６Ａや外側固定接点６Ｂ、発光素子７が配線パターンを介して、機器の電子回路（図示せず）に接続される。
【００４２】
以上の構成において、所定の操作体８を下方へ押圧操作すると、この箇所の下面の押圧部８Ｄが導光シート１１上面を押圧し、導光シート１１やカバーシート２が撓んで可動接点３の略ドーム状の中央部が押圧され、所定の押圧力が加わると、可動接点３がクリック感を伴って下方へ弾性反転し、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａに接触することによって、中央固定接点６Ａと外側固定接点６Ｂが、可動接点３を介して電気的に接続された状態となる。
【００４３】
また、操作体８への押圧力を解除すると、弾性復帰力によって可動接点３が上方へ弾性反転し、可動接点３の下面中央が中央固定接点６Ａから離れて、中央固定接点６Ａと外側固定接点６Ｂが電気的に切断された状態となる。
【００４４】
そして、このような固定接点６の電気的接離に応じて、機器の各機能の切換えが行われると共に、機器の電子回路から発光素子７に電源が供給されると、発光素子７が発光し、この光が導光部１５を透過して、導光部１５が当接した右端部下面から導光シート１１内に入射する。
【００４５】
さらに、この導光シート１１内に入射した光が、導光シート１１内を直進、あるいは導光シート１１の上下面で反射しながら左方へ進み、可動接点３上方の複数の拡散部１２で拡散され反射して、操作体８の透光部８Ａを下方から照光し、表示部８Ｃが照光されることによって、周囲が暗い場合でも、表示部８Ｃの文字や記号等の表示が識別でき、操作を容易に行うことが可能なようになっている。
【００４６】
すなわち、操作体８の押圧操作によって導光シート１１上面を押圧し、可動接点３を弾性反転させて固定接点６の電気的接離を行うと共に、発光素子７の光を導光部１５が当接した右端部下面から導光シート１１内に導入し、拡散部１２を発光させることによって、操作体８の表示部８Ｃを照光するように構成されている。
【００４７】
そして、この時、発光素子７の光は上記のように、発光素子７の発光面と導光シート１１右端部下面の間に設けた光透過性の導光部１５を透過し、導光部１５が当接した導光シート１１右端部下面の、広い面積から多くの光が、導光シート１１内に導入され、これらの光が透光部８Ａを照光するため、明るく見易い照光が行えるようになっている。
【００４８】
つまり、導光シート１１に厚さの薄いものを用いた場合でも、発光素子７の発光面と導光シート１１右端部下面の間に、光透過性の導光部１５を設け、この導光部１５が当接した右端部下面の広い面積から、発光素子７の光を導入することによって、導光シート１１内に、照光に必要な充分な光を導入できるように構成されている。
【００４９】
また、導光部１５が形成された導光シート１１の右端部上面に、アルミニウムや銀等の反射部１３を設けることによって、導光シート１１上方への光漏れを防ぐと共に、反射部１３で導光シート１１内の上方への光を反射させ、より明るい照光を行うことが可能なようになっている。
【００５０】
なお、導光部１５の材料は上述したように、導光シート１１の材料と同じ系統で光の屈折率がほぼ同じもの、例えば、導光シート１１にポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートを用いた場合には、アクリルやポリメタクリル酸メチルを、ウレタンやシリコーンを用いた場合には、同じウレタンやシリコーンを用い、屈折率は１．４〜１．６前後のものを用いることが好ましい。
【００５１】
また、赤外線硬化型のアクリルやポリメタクリル酸メチルを用いれば、導光部１５の形成時に、塗布あるいは印刷後の乾燥が不要となり、作業時間を短縮し、製作を容易に行うことができる。
【００５２】
さらに、以上の説明では、下面に複数の可動接点３が貼付されたカバーシート２を、導光シート１１下面に貼付した構成について説明したが、カバーシート２をなくし、導光シート１１下面に複数の可動接点３を直接貼付した構成とすれば、構成部品数を減らし、スイッチをより簡易で安価なものとすることができる。
【００５３】
このように本実施の形態によれば、導光シート１１の端部に配置された発光素子７と導光シート１１の端部下面の間に、光透過性の導光部１５を形成することによって、発光素子７の光が導光部１５を透過し、端部下面から導光シート１１内に充分な光を導入できるため、簡易な構成で、明るく良好な照光が可能なスイッチを得ることができるものである。
【００５４】
なお、以上の説明では、可動接点３上方の導光シート１１上面に、複数のドット状の拡散部１２を形成した構成について説明したが、導光シート１１上面ではなく、下面に拡散部１２を設けた構成としても、本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【００５５】
本発明によるスイッチは、簡易な構成で、良好な照光が可能なものが得られ、各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【００５６】
【図１】本発明の一実施の形態によるスイッチの断面図
【図２】従来のスイッチの断面図
【符号の説明】
【００５７】
２ カバーシート
３ 可動接点
５ 配線基板
６ 固定接点
６Ａ 中央固定接点
６Ｂ 外側固定接点
７ 発光素子
８ 操作体
８Ａ 透光部
８Ｂ 遮光部
８Ｃ 表示部
８Ｄ 押圧部
９ ケース
１１ 導光シート
１２ 拡散部
１３ 反射部
１４ 可動接点体
１５ 導光部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
光透過性の導光シートと、この導光シート下面に装着された略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点と、上面に上記可動接点と対向する固定接点が形成された配線基板と、上記導光シートの端部に配置された発光素子からなり、上記発光素子と上記導光シートの端部下面の間に光透過性の導光部を形成したスイッチ。
【請求項２】
導光シートの端部上面に反射部を設けた請求項１記載のスイッチ。
【請求項１】
光透過性の導光シートと、この導光シート下面に装着された略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点と、上面に上記可動接点と対向する固定接点が形成された配線基板と、上記導光シートの端部に配置された発光素子からなり、上記発光素子と上記導光シートの端部下面の間に光透過性の導光部を形成したスイッチ。
【請求項２】
導光シートの端部上面に反射部を設けた請求項１記載のスイッチ。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００９−９９２９８（Ｐ２００９−９９２９８Ａ）
【公開日】平成２１年５月７日（２００９．５．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２６７６００（Ｐ２００７−２６７６００）
【出願日】平成１９年１０月１５日（２００７．１０．１５）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年５月７日（２００９．５．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１０月１５日（２００７．１０．１５）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]