説明

スイッチ

【課題】設計の自由度が高く、可動接点と固定接点とを確実に接触させることができ、しかも操作フィールが良好なスイッチの提供。
【解決手段】操作部材6の移動に連動して可動接点端子5が押圧されて変形し、可動接点部4が固定接点部3aと接触する位置と非接触にある位置との間で移動するようにしてなるスイッチ1において、モールドケース7の側壁部11aの内側に固定接点支持壁部12を備え、固定接点支持壁部12の内側面に固定接点部3aを露出させ、可動接点端子5は、側壁部11aと可動接点支持壁部12との間に配置される弾性可動部21と、弾性可動部21の一端より固定接点支持壁部12の端部を迂回して固定接点支持壁部12の固定接点部3a側に湾曲させた形状の湾曲部22とを備え、湾曲部22の先端側に配置された可動接点部4が固定接点支持壁部12の内側で固定接点部3aと接触するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器における記録媒体の出し入れ等を検出するための検出用スイッチやリセット用スイッチ等として使用されるレバースイッチ等のスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の携帯端末機器やポータブルオーディオプレーヤー、デジタルカメラ等の電子機器においては、ICカードやCD等の記録媒体の挿入状態を検出する手段として、或いはリセット(初期化動作)用スイッチとして、回動レバーの回動動作に伴いオン・オフ動作がなされるレバースイッチが用いられている。
【0003】
このようなレバースイッチには、例えば、図5に示す如き構造のものが知られており(例えば特許文献1)、中空箱状のモールドケース100と、モールドケース100の側壁部内面に露出した固定接点101を有する固定接点端子と、モールドケース100内に収容されたばね状の可動接点端子102と、モールドケース100に回動可能に支持された回動レバー103とを備えている。
【0004】
可動接点端子102は、一方の端部がモールドケース100にコモン端子105と接続した状態で固定され、回動レバー103を図中一点鎖線で示す押し込み位置まで回動させることにより回動レバー103に押圧されて固定部102aを基点に弾性変形し、それにより可動接点104が側壁部に沿って固定接点101と接触する位置に移動し、スイッチがオン状態となる。
【0005】
一方、回動レバー103に作用する力を解除すると、可動接点端子102の弾性力により回動レバー103を図中実線で示す原点位置に押し戻し、両接点101,104が非接触にある位置に移動することによりスイッチがオフ状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−220517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、構造上の観点から同一の側壁部に固定接点部と可動接点端子の固定部とを設けることができない等の制約が生じ、そのことから可動接点端子の形状や動作方向が限定され、設計の自由度が低いという問題があった。
【0008】
また、このようなレバースイッチでは、可動接点端子の板バネとして機能する部分の長さが短くなると小型化の実現に有利となる一方、板バネとして機能する部分が短いほどその分の負荷が大きく疲労し易いという問題があり、寿命の低下を招くおそれがあった。
【0009】
更には、レバー動作による可動接点部の移動に際しては、可動接点部を固定接点部と確実に接触させることが困難であり、レバーによる押圧力が可動接点部の移動方向に分散されてしまい固定接点部と可動接点部との接触圧が十分に得られない等のおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、設計の自由度が高く、可動接点部と固定接点部とを確実に接触させることができ、しかも操作フィールが良好なスイッチの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、平板状の基板部及び該基板部の側縁より立ち上げた形状の側壁部を有するモールドケースと、該モールドケース内に露出させた固定接点部を有する固定接点端子と、一方の端部が前記モールドケースに固定され、他方の端部に前記固定接点部と接触する可動接点部が形成されたバネ状の可動接点端子と、前記モールドケースに移動可能に支持された操作部材とを備え、前記操作部材の移動に連動して前記可動接点端子が変形し、前記可動接点部が前記固定接点部と接触する位置と非接触にある位置との間で移動するようにしてなるスイッチにおいて、前記モールドケースは、前記側壁部の内側に固定接点支持壁部を備え、該固定接点支持壁部の内側面に前記固定接点部を露出させ、前記可動接点端子は、前記側壁部と可動接点支持壁部との間に配置される弾性可動部と、該弾性可動部の一端より前記固定接点支持壁部の端部を迂回して前記固定接点支持壁部の固定接点部側に湾曲させた形状の湾曲部とを備え、該湾曲部の先端側に配置された前記可動接点部が前記固定接点支持壁部の内側で前記固定接点部と接触するようにしたことにある。
【0012】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記固定接点支持壁部は、前記側壁部に沿った方向の固定接点部側を内向きに傾けた形状に形成されてなることにある。
【0013】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記操作部材は、前記基板部に回動可能に支持された回動レバーであることにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るスイッチは、上述したように、平板状の基板部及び該基板部の側縁より立ち上げた形状の側壁部を有するモールドケースと、該モールドケース内に露出させた固定接点部を有する固定接点端子と、一方の端部が前記モールドケースに固定され、他方の端部に前記固定接点部と接触する可動接点部が形成されたバネ状の可動接点端子と、前記モールドケースに移動可能に支持された操作部材とを備え、前記操作部材の移動に連動して前記可動接点端子が変形し、前記可動接点部が前記固定接点部と接触する位置と非接触にある位置との間で移動するようにしてなるスイッチにおいて、前記モールドケースは、前記側壁部の内側に固定接点支持壁部を備え、該固定接点支持壁部の内側面に前記固定接点部を露出させ、前記可動接点端子は、前記側壁部と可動接点支持壁部との間に配置される弾性可動部と、該弾性可動部の一端より前記固定接点支持壁部の端部を迂回して前記固定接点支持壁部の固定接点部側に湾曲させた形状の湾曲部とを備え、該湾曲部の先端側に配置された前記可動接点部が前記固定接点支持壁部の内側で前記固定接点部と接触するようにしたことにより、可動接点端子の弾性変形可能な部分の長さを長く取ることができ、疲労が軽減され長寿命化が図れ、可動接点端子の形状等における設計の自由度が増す。
【0015】
また、本発明において、前記固定接点支持壁部は、前記側壁部に沿った方向の固定接点部側を内向きに傾けた形状に形成されてなることにより、操作部材による押圧力が分散し難く、両接点間で十分な接触圧が得られるとともに、良好な操作感覚が得られる。
【0016】
更に、本発明において、前記操作部材は、前記基板部に回動可能に支持された回動レバーであることにより、押し込み方向の力を回転方向の力に変換し、好適に可動接点端子を変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るスイッチの一例を示す平面図である。
【図2】同上のシールドカバーを取り外した状態を示す平面図である。
【図3】同上のスイッチの動作状態を示すシールドカバーを取り外した状態の平面図である。
【図4】図2中の可動接点端子を示す平面図である。
【図5】従来のレバースイッチの一例の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係るスイッチの実施の態様を図1〜図4に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1はレバー式のスイッチである。
【0019】
このスイッチ1は、中空箱状のハウジング2と、ハウジング2内に露出させた固定接点部3aを有する固定接点端子3と、一端をハウジング2に固定させ、他端に固定接点部3aと接触する可動接点部4が形成された板バネ状の可動接点端子5と、ハウジング2に回動可能に支持された操作部材としての回動レバー6とを備え、この回動レバー6が図1中実線で示す所定の原点位置と図1中一点鎖線で示す所定の押し込み位置との間で回動動作することによりオン・オフ状態の切り替えがなされるようになっている。
【0020】
ハウジング2は、絶縁樹脂製のモールドケース7と、金属材製のシールドカバー8とを組み込んで中空箱状に形成されている。
【0021】
モールドケース7は、図2、図3に示すように、平板状の基板部10と、基板部10側縁より立ち上げた形状の各側壁部11a,11b,11cとを備えて基板部10と対向する側が開口して形成され、この基板部10と対向する開口面部がシールドカバー8により閉鎖されるようになっている。
【0022】
また、このモールドケース7には、一方の側壁部11aの内側に固定接点支持壁部12が形成されている。
【0023】
固定接点支持壁部12は、基板部10の内側面より垂直方向に立ち上げた壁体が側壁部11aに沿った方向で連続した形状に形成され、その内側面、即ち他方の側壁部11b側の回動レバー6とは反対側の端部に固定接点部3aを露出させている。
【0024】
また、固定接点支持壁部12は、側壁部11aに沿った方向の固定接点部3a側、即ち先端側を内向き、即ち他方の側壁部11b側に傾けた形状に形成されている。
【0025】
固定接点端子3は、平板状の固定接点部3aと、接続基板に形成された接続パターンに半田付け等により接続される接続端子部3bとを一体に備え、固定接点部3a及び接続基板3bを露出させた状態でインサート成型によりモールドケース7と一体化されている。
【0026】
一方、側壁部11aの回動レバー側端部には、可動接点端子5の一方の端部が圧入されて固定される端子圧入部13が形成され、この端子圧入部13の内側面には、インサート成型によりモールドケース7と一体化したコモン端子14の接点部が露出されており、この端子圧入部13に圧入された可動接点端子5の支持固定部20がコモン端子14の接点部と常時接続した状態で固定されるようになっている。
【0027】
可動接点端子5は、図4に示すように、弾性を有する導電性金属板材を打ち抜き・折り曲げ加工することにより薄板ばね状に形成され、弾性可動部21、湾曲部22、被操作部23、接点支持部24及び可動接点部4を一体に備え、一方の端部に形成された支持固定部20がモールドケース7に固定され、この支持固定部20を基点に弾性変形するようになっている。
【0028】
弾性可動部21は、細長板状に形成され、その一方の端部に端子圧入部13に圧入される支持固定部20が形成され、この支持固定部20を基点に板厚方向で回動可能な状態で側壁部11aと固定接点支持壁部12との間に配置されるようになっている。
【0029】
湾曲部22は、弾性可動部21の端部より円弧状に曲げた形状の迂回部片25と、迂回部片25の他端側より他方の側壁部11側に向けて斜めに延長された斜め延長部片26と、斜め延長部片26の先端より円弧状に曲げた形状の折り返し部片27とをもって構成され、弾性可動部21の支持固定部20とは反対側の端部より固定接点支持壁部12の端部を迂回して固定接点支持壁部12の内側、即ち他方の側壁部11b側に向けて湾曲した形状に形成されている。
【0030】
被操作部23は、湾曲部22の先端側、即ち折り返し部片27の先端側より回動レバー6側に向けて斜め方向に延長された形状に形成され、この外側面が回動レバー6と互いに常時弾性接触した状態にある。
【0031】
接点支持部24は、被操作部23の先端側より固定接点支持壁部12側に向けて折り曲げた形状に形成され、その先端部に円弧状に形成された可動接点部4が形成されている。
【0032】
この可動接点端子5は、弾性可動部21、湾曲部22、被操作部23及び接点支持部24をもって「の」字状に形成され、回動レバー6により被操作部23の外側面を押圧して可動接点部4を固定接点支持壁部12の内側面に沿って移動させ固定接点部3aと接触する位置と非接触にある位置との間で移動させるようになっている。
【0033】
このように構成された可動接点端子5は、弾性可動部21を側壁部11aと固定接点支持壁部12との間に配置させる構成としたことにより、ハウジング内周方向で重複配置とした部分21、24を有する形状とすることができ、そのことにより弾性可動部21の長さ分だけ弾性変形可能な部分のスパンを長くすることができる。
【0034】
回動レバー6は、モールドケース7の基板部10に回動軸30を介して回動可能に支持された回動部31と、回動部31の外縁部より回動軸30と直交する方向に向けた棒状の操作部32とを一体に備え、この操作部32が回動軸30を中心にハウジング2の一方の側縁に対し斜め方向に向けた所定の原点位置と、側縁に対し水平方向に向けた押し込み位置との間で回動するようになっている。尚、図中符号40は、原点位置で回動レバー6の引き起こし方向への移動を規制するストッパー部である。
【0035】
また、回動部31の外縁には、操作部32と回動方向で間隔を置いた位置に押圧部33を一体に備え、この押圧部33が可動接点端子5の被操作部23に常時当接し、原点位置において、回動レバー6を引き起こし方向に付勢している。
【0036】
一方、操作部32が押し込まれて操作レバー6が原点位置より押し込み方向に回動した際には、図3に示すように、押圧部33が被操作部23を固定接点支持壁部12側に向けて押圧し、それにより可動接点端子5が変形し、それに伴い可動接点部4が固定接点支持壁部12の内側面に沿って移動して固定接点部3と接触するようになっている。
【0037】
このとき、固定接点支持壁部12は、側壁部11に沿った方向の固定接点部3a側を内向きに傾けた形状に形成されているので、回動レバー6による押圧力が可動接点部4の移動方向で分散し難く、固定接点支持壁部12からの反力が可動接点端子5を介して好適に回動レバー6に伝達されるようになっている。
【0038】
尚、上述の実施例では、操作部材として回動式のレバー6を用いた例について説明したが、操作部材は、スライド移動により可動接点端子5を押圧するようにした構成のもの等であってもよい。
【0039】
また、上述の実施例では、弾性可動部を可動接点端子5の一方の端部に配置した例について説明したが、弾性可動部を可動接点端子の途中部分に配置するようにしたものであってもよい。
【0040】
更に、上述の実施例では、可動接点端子の一端を固定した側壁部11aの内側に固定接点支持壁部を設けた例について説明したが、可動接点端子の一端を固定した側壁部11aとは別の側壁部11b、11cの内側に固定接点支持壁部を配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 スイッチ
2 ハウジング
3 固定接点端子
4 可動接点部
5 可動接点端子
6 回動レバー
7 モールドケース
8 シールドカバー
10 基板部
11 側壁部
12 固定接点支持壁部
13 端子圧入部
14 コモン端子
20 支持固定部
21 弾性可動部
22 湾曲部
23 被操作部
24 接点支持部
25 迂回部片
26 斜め延長部
27 折り返し部
30 回動軸
31 回動部
32 操作部
33 押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基板部及び該基板部の側縁より立ち上げた形状の側壁部を有するモールドケースと、該モールドケース内に露出させた固定接点部を有する固定接点端子と、一方の端部が前記モールドケースに固定され、他方の端部に前記固定接点部と接触する可動接点部が形成されたバネ状の可動接点端子と、前記モールドケースに移動可能に支持された操作部材とを備え、前記操作部材の移動に連動して前記可動接点端子が押圧されて変形し、前記可動接点部が前記固定接点部と接触する位置と非接触にある位置との間で移動するようにしてなるスイッチにおいて、
前記モールドケースは、前記側壁部の内側に固定接点支持壁部を備え、該固定接点支持壁部の内側面に前記固定接点部を露出させ、
前記可動接点端子は、前記側壁部と可動接点支持壁部との間に配置される弾性可動部と、該弾性可動部の一端より前記固定接点支持壁部の端部を迂回して前記固定接点支持壁部の固定接点部側に湾曲させた形状の湾曲部とを備え、該湾曲部の先端側に配置された前記可動接点部が前記固定接点支持壁部の内側で前記固定接点部と接触するようにしたことを特徴としてなるスイッチ。
【請求項2】
前記固定接点支持壁部は、前記側壁部に沿った方向の固定接点部側を内向きに傾けた形状に形成されてなる請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記操作部材は、前記基板部に回動可能に支持された回動レバーである請求項1又は2に記載のスイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−12371(P2013−12371A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143824(P2011−143824)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】