説明

スキャナ装置

【課題】頻繁に行われる書類の電子化に対応するために、携帯性、コンパクト性、利便性に着目したスキャナ装置を提供する。
【解決手段】本発明のスキャナ装置は、原稿が載置されるコンタクトガラス部と、その原稿のイメージを読み取るラインスキャンヘッド部と、ラインスキャンヘッド駆動部と、からなる2つのスキャナユニットをヒンジ部で折畳み可能なように連結している。当該スキャナ装置を全開にすると大サイズの原稿をスキャンでき、折畳むと半分のサイズの原稿を片面または両面スキャンができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
「電子帳簿保存法」(正式名称:「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号)」)を根拠とする、会計帳簿の電子化の認容に加えて、「電子文書法」(正式名称:「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成16年法律第149号)」及び「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成16年法律第150号)」)の施行に伴い、これまで紙での保存が法的に義務付けられていた文書の保存も、税務関係書類に限らず、その他の書類についても電子データでの保存の可能性が拡がっている。
【0003】
今後、さらに、日本版企業改革法(日本版SOX法)の全容が明らかになるにつれて、更に広範な文書を電子的手段により蓄積することが求められると想定される。
ところで、文書を電子化するツールとしてスキャナがある。スキャナ機構は、情報技術の発展に伴い、コピー機、ファクシミリ、プリンタ、マルチファンクションプリンタ等のコンピュータ周辺機器に多く搭載されている。
【0004】
このようなスキャナ装置に関して、CMOSセンサを内蔵した密着型イメージセンサ、あるいはCCDセンサを用いたイメージセンサが知られている。またスキャナシステムとしては、紙原稿を固定して、イメージセンサユニットを動かすフラットベット型スキャナシステムや、反対にイメージセンサユニットを固定して紙原稿を動かすシートフィード型スキャナシステムが既に商品化されている。
【0005】
また、特許文献1には、画像読み取りを高速化する為、同じイメージセンサユニットを原稿用紙を挟んだ状態で対向配置し、一回の原稿送り時間にて両面読み取りする小型化した画像読み取り装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、読取精度を向上させつつ、被写界深度の浅いレンズを有効に使用できる生産性のよい、または、厚さの厚い原稿を問題なく搬送できる、高品質の画像読取装置が開示されている。
【0007】
特許文献3には、ハンディスキャナ本体の底面で、かつ、ハンディスキャナ本体の自走方向の先端部より後方に原稿読取り部を設けて、原稿上の読取りを開始したい場所に、ハンディスキャナ本体の先端部を合わせて命令入力部から原稿読取り開始命令を行い、制御部によって原稿読取り部が原稿読取り開始位置に移動するまでステッピングモーターを高速で駆動してハンディスキャナ本体を自走させ、移動後にステッピングモーターの駆動を原稿読取り時の速度に切り替えて原稿読取りを開始させる自走式ハンディスキャナ装置が開示されている。
【0008】
特許文献4には、ハンディスキャナ装置本体の移動方向の先端を原稿に合わせた後、読取り部で読取りを開始し、前記先端から読取り部までの距離に相当する距離移動した後、メモリへの書き込みを開始し、本体後端を原稿の所望位置に合わせて終了させた後、メモリに書き込んだデータについて、前記読取り部から後端までの距離に相当するデータを無効にするハンディスキャナ装置が開示されている。
【0009】
特許文献5には、原稿に密着するファイバーアレープレートからのノイズの侵入を阻止して読み取り画像の劣化を防止できる密着型イメージセンサが開示されている。
【特許文献1】特開2005−191795号公報
【特許文献2】特開平10−190938号公報
【特許文献3】特開平10−173878号公報
【特許文献4】特開2004−266591号公報
【特許文献5】特開2001−148763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の通り、従来、企業が紙媒体として保管していた様々な書類、帳票などを電子化して保存することが求められている。そのような要請の結果、電子化の対象となる文書の拡大に伴う「量の増大」と共に、関連業務が拡大することによる「(保存)頻度の増大」をもたらすことが考えられる。
【0011】
対象文書量とその保存頻度が同時に増大する状態で、客観的な証拠能力を担保できるよう個々の電子文書を管理するためには、短期の業務サイクルの中で文書の電子化業務を規定する必要がある。
【0012】
上記の課題に鑑み、本発明では、「量の増大」のみに着目した大量一括処理向きとしてではなく、「(業務)頻度の増大」に着目した逐次処理向きのスキャナ装置を提供する。さらに、その構造的特徴を活かし、1台で複数の利用形態を提供可能なスキャナ装置を提供する。すなわち、頻繁に行われる書類の電子化に対応するために、携帯性、コンパクト性、利便性に着目したスキャナ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる、所定の媒体の表面を走査して、該表面の画像を取り込むスキャナ装置は、前記媒体が載置されるコンタクトガラス部と、前記コンタクトガラス部に載置された前記媒体の表面を第1の方向に走査するラインスキャンヘッド部と、前記第1の方向の垂直方向である第2の方向に前記ラインスキャンヘッド部を駆動させるラインスキャンヘッド駆動部と、からなるスキャナユニットと、2組の前記スキャナユニットを連結させ、該連結した箇所を軸として該2組のスキャナユニットの前記コンタクトガラス部同士が相互に向き合うように折り畳み可能なヒンジ部と、前記ラインスキャンヘッド駆動部を制御するラインスキャンヘッド駆動制御部と、前記ラインスキャンヘッド駆動制御部に基づいて前記ラインスキャンヘッドより取得された走査信号から画像を生成する画像生成部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このように構成することにより、スキャナ装置を折畳んだり、全開にしたり、半開にしたりすることができる。
前記スキャナ装置は、さらに、前記2組のスキャナユニットの折り畳みの状態を検知する折り畳み状態検知部と、前記折り畳み状態検出部により検知結果に基づいて、走査対象のサイズを決定し、前記ラインスキャンヘッド駆動制御部に対して該決定に応じた指示を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
このように構成することにより、スキャナ装置の状態(全開、半開、折畳み)を検知して、そのスキャナ装置の状態に応じてスキャンの形態を変更することができる。
前記スキャナ装置において、前記制御部は、前記折り畳み状態検知部による検知結果に基づいて、前記2組のスキャナユニットの前記コンタクトガラス部が前記ヒンジ部を軸に略180度に開いていると判断した場合、前記画像生成部は該2組のスキャナユニットの双方により得られた走査信号に基づいて前記画像を生成することを特徴とする。
【0016】
このように構成することにより、開いた状態で大サイズの原稿用紙を全面走査できる。
前記スキャナ装置において、前記制御部は、前記折り畳み状態検知部による検知結果に基づいて、前記2組のスキャナユニットが折り畳まれていると判断した場合、前記画像生成部は該2組のスキャナユニットうち少なくとも一方により得られた走査信号に基づいて前記画像を生成することを特徴とする。
【0017】
このように構成することにより、折畳んだ状態で全開時の半分のサイズの原稿用紙を片面・両面走査できる。
前記スキャナ装置は、さらに、前記コンタクトガラス部への押圧を検知する押圧検知部を備え、前記制御部は、前記押圧検知部による検知結果に基づいて、前記ラインスキャンヘッド駆動制御部にスキャン開始指示を行うことを特徴とする。
【0018】
このように構成することにより、例えば、コンタクトガラス面を押圧するだけで、スキャンを開始することができる。
前記スキャナ装置は、さらに、当該スキャナ装置を折り畳んだ状態にして前記2組のスキャナユニットの側面のうち前記ヒンジ部側の側面に着脱可能であって、相互に向き合った前記2組のスキャナユニットの前記コンタクトガラス部間に前記媒体を搬送する搬送機構を備えることを特徴とする。
【0019】
このように構成することにより、ADF(Auto Document Feeder)スキャナとして用いることができる。
前記スキャナ装置は、さらに、前記2組のスキャナユニットのうちのいずれかのスキャナユニットの前記ラインスキャンヘッド部を、前記コンタクトガラス面に対向している方向から所定角度回転可能とするラインスキャンヘッド回動部を備えることを特徴とする。
【0020】
このように構成することにより、ラインスキャンヘッドの向きを調整することができる。
本発明にかかるスキャナ装置をハンディスキャナとしての使用方法は、前記スキャナ装置を折畳み、前記ラインスキャンヘッド回動部により前記ラインスキャンヘッド部を略90度回転させ、該回転させた方向にある前記媒体の表面の画像を読み取ることを特徴とする。
【0021】
このように構成することにより、ハンディスキャナとして使用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明を用いることにより、「(業務)頻度の増大」に着目した逐次処理向きのスキャナ装置として、各自の机上で作業を行うことを想定し、使用時は勿論、使用しない時においてもコンパクト性を確保することができる。また、様々な原稿、様々な運用形態に対して、1台で即応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明にかかるスキャナ装置は、折畳み・開閉が可能な構造であり、開いた状態で大サイズの原稿用紙を全面走査でき、折畳んだ状態でその半分のサイズの原稿用紙を片面・両面走査できる。
【0024】
さらに、折畳んだ状態の当該スキャナ装置に補助的な原稿給紙機構を連結し、読み取りヘッドを固定した状態で、その原稿給紙機構より原稿を給紙して、走査してその原稿用紙を読み取ることもできる。
【0025】
さらに、当該スキャナ装置は、原稿用紙上を手動で又は自走式で移動走査させることができる。
図1は、本発明におけるスキャナ1の外観斜視図(全開時)である。図2は、本発明におけるスキャナ1の外観側面図(全開時)である。図3は、本発明におけるスキャナ1の外観側面図(折畳み中)である。
【0026】
スキャナ1は、2つの筐体(ユニットA(200a),ユニットB(200b))がヒンジ部202により連結されている。各筐体(ユニットA,ユニットB)の上面にはコンタクトガラス面201が設けられている。
【0027】
以下では、ユニットA(200a)に関する構造及び操作等については符号に添え字“a”を付して表し、ユニットB(200b)に関する構造及び操作等については符号に添え字“b”を付して表すことにする。
【0028】
図1及び図2では、ヒンジ部202を軸にユニットA,Bの双方のコンタクトガラス面201同士のなす角度が180度となるように開くと、ユニットA,Bのヒンジ部202側の側面215(215a,215b)同士が相互に向かい合うようになる。この状態をスキャナ1の全開状態という。このとき、スキャナ1の全体像は、フラットベットスキャナとなる。
【0029】
また、図3に示すようにヒンジ部202を軸にして、スキャナユニットA,Bのコンタクトガラス面201同士が相互に向き合うように折畳むことができるようになっている。この状態をスキャナ1の折畳み状態という。
【0030】
スキャナ1の全開時のサイズを「m×n」とすると、折畳み時には「(n/2)×m」のサイズとなる。例えば、スキャナ1の全開時のサイズがA4であるとすれば、折畳み時はA5サイズとなる。
【0031】
図4は、本発明におけるスキャナ1を構成要素とするネットワーク構成の一例を示す。同図のネットワークは、LAN(Ethernet(登録商標))4を介して、端末装置2と、スキャナ1と、印刷装置(プリンタ)3とから構築されている。端末装置2は、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)である。端末装置2には、スキャナ1の設定及び操作を行うためのソフトウェアが導入されている。
【0032】
印刷装置3は、例えば、プリンタ、MFP(マルチファンクションプリンタ)であり、PC2からの印刷データを出力したり、スキャナ1で読み取った画像データを印刷したりすることができる。印刷装置3は、さらに認証管理機能を有していてもよい。
【0033】
なお、本発明の実施形態の一例では、ネットワークとして、LANを用いたが、限定されず、例えば、インターネット、WAN、専用線、有線、無線等の通信網であってもよい。
【0034】
図5は、本発明におけるスキャナ1の内部構成の概要を示す。同図において、スキャナ1は、折畳み状態である。スキャナ1の主要部は、ユニットA(200a)とユニットB(200b)とが対称な配置となるような構成となっている。
【0035】
各ユニットA,Bは、主に、コンタクトガラス面201(201a,201b)、感圧スイッチ(以下、スイッチを「SW」と称する)203(203a,203b)、画像読取機構部210(210a,210b)、ラインスキャンヘッド部211(211a−1,211a−2,211b−1,211b−2)から構成される。また、ユニットA,Bは、全開検出SW204、折畳検出SW205を備える。
【0036】
そして、ユニットA,Bのいずれかには、画像変換制御部221、RAM(ランダムアクセスメモリ)252、I/F(インターフェース)部223、CPU(中央処理演算装置)250、画像読取機構制御部222、電源部224が設けられている。画像変換制御部221、RAM252、I/F部223、CPU250、画像読取機構制御部222、電源部224は、ユニットA,Bで共用されるものとする。
【0037】
ユニットA,Bは、ヒンジ部202を介して接続されている。ヒンジ部202近傍には、全開検出SW204が設けられている。全開検出SW204は、スキャナ1が全開状態であるか否かを検出するものである。例えば、ヒンジ部202を軸にユニットA,Bの双方のコンタクトガラス面201同士のなす角度が180度となるように開くと、ユニットA,B側面215同士が向かい合うようになり、一方の側面215に設けられたスイッチが他方の側面215に押されて、全開検出SW204がONになるようにしてもよい。また、ヒンジ部の開きの程度に応じて、全開検出SW204がONになるようにしてもよい。
【0038】
折畳検出SW205は、スキャナ1が折畳まれた状態を検出するものである。折畳検出SW205は、ユニットA,Bのヒンジ部202が設けられている端部の反対側の端部に端部に設けられている。折畳検出SW205は、ヒンジ部202を軸にスキャナ1を折りたたんで、ユニットA,Bのコンタクトガラス面が相互に向かい合うような状態にすると、ONになる。
【0039】
スキャナ1の形状の状態が、全開状態であるか、折畳み状態であるか、または折畳み途中(半開)の状態であるかは、図9で後述するように、全開検出SW204と折畳検出SW205のON/OFFの組合わせ判定によって検出可能となっている。
【0040】
画像読取機構部210(210a,210b)の各々には、ラインスキャンヘッドユニット211が配置されている。ラインスキャンヘッドユニット211は、2lla−1と211a−2とを対とするラインスキャンヘッド部と、211b−1と211b−2とを対とするラインスキャンヘッド部からなる。
【0041】
画像読取機構制御部222は、画像読取機構部210aの2連のラインスキャンヘッドユニット211の動作を制御するための装置である。以下の実施形態で説明するように、スキャナ1の使用形態に応じて、ラインスキャンヘッドユニット211a,211bのいずれか又は双方を独立してまたは連動して駆動させたり、所定位置で固定させたりする場合がある。そこで、このようなラインスキャンヘッドユニット211a,211bの動作を制御するのが画像読取機構制御部222である。
【0042】
画像変換制御部221は、ラインスキャンヘッドユニット211a,211bの走査により得られた走査信号を画像に変換するためのものである。
RAM252は、読み取った画像データを格納したり、画像処理を行うための作業領域として使用されたり、その他のデータまたはプログラムを格納するための記憶装置である。I/F部223は、ネットワークに接続したり、USB(ユニバーサルシリアルバス)等でPCに接続したりするためのインターフェースである。CPU250は、スキャナ1の各構成要素を制御するためのものである。電源部224は、スキャナ1に電力を供給するためものである。
【0043】
感圧スイッチ203(203a,203b)は、コンタクトガラス面201(201a,201b)に圧力がかけられたことを検知するためのものである。以下の実施形態にて説明するように、感圧スイッチ203による圧力の検知をトリガーとして、スキャン実行が行われる。例えば、指や手のひらでコンタクトガラス面201を押下して圧力をかけると、感圧スイッチ203はその圧力を検知して、その検知信号をCPU250へ送信する。CPU250は、その検知信号を受信すると、画像の読み取り動作を開始し、各構成要素を制御する。
【0044】
図6は、本発明におけるスキャナ1のラインスキャンヘッドユニット211を示す。1対のラインスキャンヘッド部2lla−1,211a−2間は、「n/4」の間隔になるようにラインスキャンヘッドスペーサ260aにより固定支持されている。もう1対のラインスキャンヘッド部2llb−1,211b−2間も同様に、「n/4」の間隔になるようにラインスキャンヘッドスペーサ260bにより固定支持されている。
【0045】
このように、ラインスキャンヘッド部を桁状に配置して2連ユニット化することで、各ラインスキャンヘッド部2lla−1,211a−2,2llb−1,211b−2の可動距離を狭くすることができ、その結果、高速な画像取得が可能となる。なお、ラインスキャンヘッド部2lla−1,211a−2,2llb−1,211b−2に付与された矢印は、ヘッド部分の向きを示している。
【0046】
図7は、本発明における一方のユニットを用いて画像を取得する一例を示す。同図では、一例として、ユニットAを使って「(n/2)×m」サイズの原稿用紙から画像を行う。
【0047】
まず、「(n/2)×m」サイズの原稿用紙をユニットAのコンタクトガラス面201aに載置する。その原稿用紙の上半分(横置時)をラインスキャンヘッド部211a−1、その原稿用紙の下半分(横置時)をラインスキャンヘッド部2lla−2で併行してその原稿用紙の画像を取得する。ラインスキャンヘッド部211a−1により取得された画像を“301−1”で表し、ラインスキャンヘッド部211a−2により取得された画像を“301−2”で表す。
【0048】
次に、画像変換制御部221は、各ラインスキャンヘッド部211a−1,211a−2により取得された画像301−1,301−2を合成(合体)して1つの画像301を生成する。
【0049】
このように構成することにより、各ラインスキャンヘッド部2lla−1,211a−2,2llb−1,211b−2に関して、走査のための稼動距離を半分にすることができる。なお、同図では、一方のユニットを用いて画像を取得しているので、運用例としてはスキャナ1を全開させないで、折畳んだ状態で運用する場合が想定される。
【0050】
次に、全開時のスキャナ1を用いて画像の取り込む場合について説明する。
図8は、本発明における2つのユニットを用いて画像を取得する一例を示す。同図では、一例として、ユニットAとユニットBとを使って、「m×n」サイズの原稿用紙から画像を取得する。
【0051】
まず、「n×m」サイズの原稿用紙をユニットA,Bのコンタクトガラス面201a,201bに載置する。その原稿用紙の上半分(縦置時)をユニットAで、その原稿用紙の下半分(縦置時)をユニットBで併行(連動)して画像を取得する。ここで、ユニットAのラインスキャンヘッド部211a−1及び211a−2で取得した画像を“310a”で表し、ユニットBのラインスキャンヘッド部211b−1及び211b−2で取得した画像を“310b”で表す。
【0052】
次に、画像変換制御部221は、ユニットAとユニットBにより取得した画像310a,310bとを合成(合体)して1つの画像310を生成する。なお、ユニットA及びユニットB個々の処理は、図7で説明した内容と同様である。
【0053】
図9は、本発明における全開検出SW204と折畳検出SW205のON/OFFの組合わせ判定の内容を示す。全開検出SW204のON/OFF、折畳検出SW205のON/OFFの組み合わせにより、(1)全開時、(2)折畳時、(3)半開時の状態を判定できる。
【0054】
(1)全開時とは、全開検出SW204がON、折畳検出SW205がOFFの状態をいう。(2)折畳時とは、全開検出SW204がOFF、折畳検出SW205がONの状態をいう。(3)半開時とは、全開検出SW204がOFF、折畳検出SW205がOFFの状態をいう。
【0055】
図10は、本発明におけるスキャナ1の形状の状態と、感圧SWと、ヘッドユニットの制御との関係を示す。図9によりスキャナ1の形状の状態((1)全開時、(2)折畳時、(3)半開時)が判定される。
【0056】
感圧SW203(203a,203b)は、スキャナ1の形状の状態に応じて有効になったり、無効になったりする。感圧SW203が有効の場合、コンタクトガラス面201に圧力が加わると、感圧SW203によりその圧力が検知され、その検知をトリガーにしてスキャンが開示する。感圧SW203が無効の場合、コンタクトガラス面201に圧力が加わっても何も実行されない。
【0057】
ラインスキャンヘッドユニット211は、スキャナ1の形状の状態に応じて、可動とされたり、固定されたり、可動時には対となるラインスキャンヘッド部が並行(連動)移動されたり、感圧SW203に対して操作が行われているユニット側のラインスキャンヘッド部のみ単独動作するように制御されている。また、片面のみかまたは両面もスキャンできるかについても制御されている。なお、図中の組み合わせは、以下で説明する本発明の実施形態に対応する。
【0058】
図11は、本発明におけるラインスキャンヘッドユニット211の駆動機構を示す。図12は、本発明における平歯車及び円筒ウォームギアよりなる動力機構330を示す。332は、画像読取機構制御部/画像変換制御部基盤を表す。
【0059】
ラインスキャンヘッドユニット211(211a,211b)は、ラインスキャンヘッドスペーサ260の両端にラインスキャンヘッド機構339が設けられている。
各ラインスキャンヘッド機構339は、ラインスキャンヘッド部211、ラインスキャンヘッド部211を支持するラインスキャンヘッド支持部338、ラインスキャンヘッド支持部の側面に設けられた終端SW335から構成されている。
【0060】
ラインスキャンヘッドユニット211a(211a−1,211a−2)及び211b(211b−1,211b−2)はそれぞれ、平歯車及び円筒ウォームギア(図12)からなる動力機構330と共に桁組内に収容され、ユニット筐体の側面に設置されたガイドレール334で保持された状態で、左右方向への移動が確保される。なお、平歯車軸受け部は不図示である。
【0061】
ラインスキャンヘッドスペーサ260の下面には、DCモータ331と、そのDCモータ331の回転軸を受けるDCモータ回転軸受け部337が固着している。DCモータ回転軸受け部337により、その回転軸336の先端部部分は、回転可能なように支持されている。その回転軸336には円筒ウォームギア340が装着されている。
【0062】
円筒ウォームギア340と平歯車341は相互の回転軸が直交するように係合している。また、筐体側にはラックギア333が固定され、ラックギア333と平歯車341は係合している。
【0063】
DCモータ331の回転軸336が回転すると、円筒ウォームギア340も共に回転し、その回転動作が円筒ウォームギア340から平歯車341に伝達され、回転方向が90度変換する。
【0064】
そうすると、平歯車341は、筐体側のラックギア333の長手方向に対して移動を行う。そうすると、1対のラインスキャンヘッドユニット211は、ガイドレール334に沿って移動する。このように、ラインスキャンヘッド部211の走査に伴う駆動は、ラインスキャンヘッド部自体に仕込んだ動力機構による自走方式となっている。
【0065】
1対のラインスキャンヘッド部の相互に向き合っている面の反対の面(すなわち、スキャナ1の筐体の内壁と向かい合っている面)には、終端SW335が設けられている。終端SW335は、ラインスキャンユニット211の可動範囲の終端を検知するためのものである。1対のラインスキャンヘッド部がラックギア333上を移動して、終端SW335がスキャナ1の筐体の内壁に接すると、そのことを検知した終端SW335は検知信号を画像読取機構制御部222へ送信する。その検知信号を受信した画像読取機構制御部222は、DCモータ331の回転を制御して、そのラインスキャンヘッドユニット211の動作を停止させる。
【0066】
それでは、以下に本発明にかかるスキャナ1の実施形態の詳細について説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態では、折畳み式の将棋盤のように折畳みが可能であり、全開状態で折畳み時の2倍のサイズ(例えば、折畳み時がA5サイズであれば、全開時はA4サイズ)で画像取得が可能な画像電子化入力装置(スキャナ)について説明する。
【0067】
本実施形態では、スキャナ1は、トップカバーの無い、フラットベッドスキャナとしての運用(すなわち、コンタクトガラス面に固定された原稿に対して、ラインスキャナが移動する運用形態)とする。
【0068】
本実施形態では、図2で示すように、スキャナ1を全開状態で運用する。スキャナ1の全開状態は、図9で説明したように、全開検出SW204がON、折畳検出SW205がOFFとなることで識別が可能となる。
【0069】
スキャナ1の全開運用において、「m×n」サイズの原稿用紙から画像取得を行う場合、折畳みに対応するため分割されたユニットA,B双方のラインスキャナヘッドユニット211の動作を連接制御する必要が生じる。
【0070】
連接制御には、既に図7及び図8にて説明した「画像の合成(合体)」処理の他に、ユニットA,Bのラインスキャンヘッドユニット211の連動(同期)処理が含まれる。
本実施形態による画像取得は、コンタクトガラス面201に原稿用紙の原稿面を伏せた状態で置き、ラインスキャナヘッド部を使ってスキャンを行う方式となる。つまり、一般的なフラットベッドスキャナの運用と同様である。
【0071】
なお、連動(同期)処理とは、スキャナ1における全開運用に際して、主にヒンジ部201付近の境界領域処理に対応するため、ユニットAとユニットBのラインスキャンヘッドユニット211を連動して並行移動させることを指す。例えば、全開状態との判定が行われると、ユニットA,Bのラインスキャンヘッドユニット211はそれぞれ、一旦中間線に移動し、以降同期をとって並行移動を行う。
【0072】
図13は、本実施形態におけるヒンジ部202の一例を示す。図13(a)は、折畳み時のスキャナ1を示す。図13(b)は、半開時のスキャナ1を示す。図13(c)は、全開時のスキャナ1を示す。
【0073】
ヒンジ部202は、3つの節351−1,351−2,351−3と端部350−1,350−2を有している。すなわち、ヒンジ部202は3枚の細長の板状の部材から構成され、短手側の端部同士が連接し、折戸のように畳み畳むことができるようになっている。端部350−1,350−2はそれぞれ、ユニットA(200a),ユニットB(200b)に固定されている。3つの節351−1,351−2,351−3は、いずれのユニットにも固定されておらず、フリーな状態である。
【0074】
折畳み状態(図13(a))から半開状態(図13(b))を経て、全開状態(図13(c))へ移行する。このとき、ヒンジ部202が折戸の様に節351−1,351−2,351−3に沿って折畳まれる。
【0075】
このとき、相互に向かい合うユニットの側面215a,215bの上半分は、折畳まれたヒンジ部202にかかっていない。そこで、側面215a,215bの上半分を取り除いて、図14で説明するような開放状態となる。
【0076】
図14は、図13(c)でスキャナ1を全開状態にした場合に、ラインスキャンヘッド部がコンタクトガラス201の端部まで移動できる構造を示す。図13(c)のように、折畳まれたヒンジ部202にかかっていない側面215a,215bの上半分を取り除いて開放状態とする。そうすると、それまではラインスキャンヘッドユニット211がユニット200の側面215の内壁に接触して、ラインスキャンヘッド部211がコンタクトガラス201の端部にまで到達できなかったが、側面215a,215bの上半分を取り除いて開放状態とすることで、ラインスキャンヘッド部211がコンタクトガラス201の端部にまで到達することができる。
【0077】
したがって、2つのユニットA,Bにて取り込んだ各画像を結合する場合、その結合部分周辺の画像の読み取りの精度を向上させることができる。なお、ラインスキャンヘッド部211が他方のユニットのコンタクトガラス面まで到達するようにしてもよい。このようにすることで、双方のユニットにて境界領域の画像を重複して読み取ることができるので、それぞれのユニットにて読み取った画像同士を結合する場合に、その結合の精度をさらに向上させることができる。
【0078】
このように、ユニット側面215の上半分を取り除いて開放させることで、ヒンジ部202付近の筐体端部にラインスキャンヘッドユニット211の「逃げ」を確保し、境界領域で双方のラインスキャンヘッドユニット211が寄り合うことに起因する境界領域画像の欠落防止を図ることができる。
【0079】
本実施形態によれば、「(業務)頻度の増大」に着目した逐次処理向きのスキャナ装置として、各自の机上で作業を行うことを想定し、使用時は勿論、使用しない時においてもコンパクト性を確保することができる。また、様々な原稿、様々な運用形態に対して、1台で即応できる。
【0080】
また、通常のフラットベッドスキャナとして運用する場合、折畳み時の2倍の用紙サイズまでの画像取得に対応できる。また、1つのラインスキャンヘッドユニットにつき2つのラインスキャンヘッド部を設けることで、ラインスキャンヘッドユニットの可動距離を短くすることができる。その結果、1枚当たりの画像取得に要する時間を短縮することができる。
【0081】
(第2の実施形態)
本実施形態では、折畳み式の将棋盤のように折畳みが可能であり、折畳んだ状態で、全開時の1/2のサイズで画像取得が可能(例えば、全開時がA4サイズであれば、折畳み時はA5サイズ)な画像電子化入力装置(スキャナ)について説明する。
【0082】
本実施形態では、折畳んだ一方(上側)をトップカバーとするフラットベッドスキャナとしての運用(すなわち、コンタクトガラス面に固定された原稿に対して、ラインスキャナが移動する形態)とする。
【0083】
図15は、本実施形態におけるスキャナ1の運用状態における外観を示す。本実施形態では、スキャナ1を折畳み状態で運用する。この折畳み状態は、図9で説明したように折畳検出SW205がON、全開検出SW204がOFFとなることで識別が可能となる。
【0084】
スキャナ1の折畳み運用において、「(n/2)×m」サイズの原稿用紙から画像取得を行う場合、画像取得方法としては以下の3種類が想定される。
(1)下側のユニット200−2のコンタクトガラス面201に、原稿用紙400の原稿面を伏せた状態で置き、その下側のユニット200−2のラインスキャナを使って原稿面の画像取得を行う方法(一般的なフラットベッドスキャナの運用と同様である)。この方法では、下側となっている原稿面のみの画像(すなわち、片面の画像)を取得することができる。
【0085】
(2)下側のユニット200−2のコンタクトガラス面201に、原稿用紙400の原稿面を上にした状態で置き、上側のユニット200−1を被せて、その上側のユニット200−1のラインスキャナを使って画像取得を行う方法。この方法では、上側となっている原稿面のみの画像(すなわち、片面の画像)を取得することができる。
【0086】
(3)下側のユニット200−2のコンタクトガラス面201に、両面に印刷対象面がある原稿用紙400を置き、上側のユニット200−1を被せて、上面/下面両方のラインスキャナを同時に使って画像取得を行う方法。この方法では、原稿用紙の上下面の画像(すなわち、両面の画像)を取得することができる。
【0087】
なお、上記(1)に関しては、半開状態の運用とすることもできるが、記載の使用用途では折畳状態の運用に分類する。
このように、現行の種類により、上面側のスキャナを使用しても、下面側のスキャナを使用しても、あるいは両側のスキャナを同時に使用してもよい。例えば、領収書などは、上面側のユニット200−1にてスキャンを行った方が効率がよい。
【0088】
本実施形態によれば、「(業務)頻度の増大」に着目した逐次処理向きのスキャナ装置として、各自の机上で作業を行うことを想定し、使用時は勿論、使用しない時においてもコンパクト性を確保することができる。また、様々な原稿、様々な運用形態に対して、1台で即応できる。
【0089】
また、全開時の1/2の用紙サイズまでの画像を取得する場合、コンタクトガラス面に原稿用紙の原稿面を伏せた状態で置き、下面側のラインスキャナを使って画像を取得することができる。
【0090】
また、コンタクトガラス面に原稿用紙の原稿面を上にした状態で置き、上面側のラインスキャナを使って画像を取得することができる。
また、コンタクトガラス面に両面の原稿用紙を置き、上面/下面両方のラインスキャナを同時に使って画像を取得することができる。
【0091】
また、1つのラインスキャンヘッドユニットにつき2つのラインスキャンヘッド部を設けることで、ラインスキャンヘッドユニットの可動距離を短くすることができる。その結果、1枚当たりの画像取得に要する時間を短縮することができる。
【0092】
(第3の実施形態)
本実施形態では、コンタクトガラス面の一方(折畳み時は上下何れか、全開時は左右(または前後)何れか)に、指先などの圧力に呼応するセンサスイッチ機構を内蔵することで、レシートなどの証憑書類を置く動作をもって画像読み取り動作に入ることが可能な画像電子化入力装置(スキャナ)について説明する。本実施形態では、コンタクトガラスに固定された原稿に対して、ラインスキャナが移動する運用形態となる。
【0093】
本実施形態におけるスキャナ1は、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明したものと同様である。第2の実施形態で述べたように、折畳状態と半開状態の運用上の区別は曖昧である。
【0094】
本実施形態では、図10で示すように、感圧SW203は有効となっており、スキャナ1を全開または半開状態で運用するものとする(すなわち、完全な折畳状態を除外することとなる)。
【0095】
全開状態は、図9で説明したように、全開検出SW204がON、折畳検出SW205がOFFとなることで識別が可能となる。半開状態は、図9で説明したように、全開検出SW204及び折畳検出SW205が共にOFFとなることで識別が可能となる。
【0096】
感圧SW203は、図5に示すように、ユニットA、ユニットBの両方に存在する。折畳状態のスキャナ1が天地を意識することなく使われることを想定したものだが、全開状態で、ユニットA、ユニットBのどちらからでもON/OFF操作を行える利便性も確保できる。
【0097】
図16は、本実施形態における感圧SW203の原理を示す。感圧SW203は、コンタクトガラス面201自体を、画像取得開始のスイッチとして利用するために構築された機構である。すなわち、コンタクトガラス面201に圧力が加わり、所定のストローク下側に押し下げられると、感圧SW203がONになる。
【0098】
図17は、本実施形態における感圧SW203の実装の一例を示す。感圧SW203は、主として、コンタクトガラス201、弾性部材270、感圧センサ271から構成される。
【0099】
弾性部材270は、コンタクトガラス面201の縁部分と、その縁部分を支持しているユニットの筐体の支持部との間に配置されている。弾性部材270は、コンタクトガラス201の上面から圧力が加わると、所定のストローク分収縮し、その圧力がなくなると元に戻る。感圧センサ271は、所定の圧力が加わると、そのことを検知する。
【0100】
このような感圧スイッチ203の構成を用いれば、コンタクトガラス面201に原稿用紙400を置いた状態で、コンタクトガラス面201に対して(指先などを使い)押圧を掛けることで、画像スキャンを開始することができる。
【0101】
このとき、スキャン対象となる原稿等をコンタクトガラス面201に載置して、例えば、指や手のひらでコンタクトガラス面201を押下して所定のストローク下側に押し下げられると、感圧センサ271はその圧力を検知して、その検知信号をCPU250へ送信する。
【0102】
図18は、本実施形態における感圧SW203に関するフローチャートを示す。本フローでは、コンタクトガラス面201に原稿用紙400を置いた状態を画像読み取りの「スタート」とする。
【0103】
まず、コンタクトガラス面201に接続された感圧センサ271は押圧を検出すると、その旨を示す検知信号をCPU250に送信する。CPU250は、その検知信号に基づいて、押圧の有無を判断する(ステップ1。以下、ステップを「S」と称する)。
【0104】
押圧が検出された場合、CPU250はその圧力値pが所定の範囲内(pmin≦p≦pmax)にあるかどうかを判定する(S2)。なお、最小値pmin及び最大値pmaxは任意に設定可能である。ここでは、画像読取開始を示す感圧SW203のON動作以外の押圧除去が目的である。
【0105】
更に、CPU250は、押圧による圧力維持時間tが所定の範囲内(tmin≦t≦tmax)にあるかどうかを判定する(S3)。なお、最小値tmin及び最大値tmaxは任意に設定可能である。ここでは、画像読取開始を示す感圧SW203のON動作以外の押圧除去が目的である。
【0106】
S2及びS3で圧力値p及び圧力維持時間tの値が所定の範囲内にあると判断された場合、CPU250は、スキャンを開始する(S4)。ここでは、CPU250は,画像読取機構制御部222にスキャン開始指示信号を送信する。画像読取機構制御部222はその信号により、スキャン動作に移行する。
【0107】
CPU250は、スキャン終了を検知したら「スタート」状態に戻る(S5)。ここでは、図11で説明したように、終端SW335がスキャナ1の筐体の内壁に接すると、そのことを検知した終端SW335は検知信号を画像読取機構制御部222へ送信する。その検知信号を受信した画像読取機構制御部222は、DCモータ331の回転を制御して、その1対のラインスキャンヘッド部の動作を停止させると共に、CPU250へスキャン終了を通知する。
【0108】
なお、本実施形態による運用では、画像取得時に時刻認証を求められる場合が想定される。この場合、スキャナ1と印刷装置3と連携させて、認証管理を行うこともできる。
本実施形態によれば、「(業務)頻度の増大」に着目した逐次処理向きのスキャナ装置として、各自の机上で作業を行うことを想定し、使用時は勿論、使用しない時においてもコンパクト性を確保することができる。また、様々な原稿、様々な運用形態に対して、1台で即応できる。
【0109】
また、全開時及び半開時において、原稿用紙へ押圧するアクションを画像スキャン開始タイミングとすることができる(レシート類などの証憑書類の画像取得に際して、アクションの単純化が可能となる)。
【0110】
また、通常のフラットベッドスキャナとして運用する場合、折畳み時の2倍の用紙サイズまでの画像取得に対応できる。
また、1つのラインスキャンヘッドユニットにつき2つのラインスキャンヘッド部を設けることで、ラインスキャンヘッドユニットの可動距離を短くすることができる。その結果、1枚当たりの画像取得に要する時間を短縮することができる。
【0111】
(第4の実施形態)
本実施形態では、アタッチメントを装着することにより、折畳みのヒンジ部分に原稿用紙の搬送機構を付加できる画像電子化入力装置(スキャナ)について説明する。
【0112】
本実施形態では、折畳まれた双方のコンタクトガラス面の隙間を原稿用紙が通る形でスキャンを行うため、全開時の短辺側サイズを最大幅とするADF(Auto Document Feeder)スキャナとしての運用(すなわち、固定のラインスキャナに対して、原稿が移動する運用形態)となる。
【0113】
図19は、本実施形態におけるスキャナ1の運用状態における外観を示す。本実施形態は、スキャナ1を折畳み状態で運用する。スキャナ1の折畳み状態は、図9で説明したように、折畳検出SW205がON、全開検出SW204がOFFとなることで識別が可能となる。
【0114】
同図では、折畳み時のヒンジ部201側端面に、簡易的な(1枚毎の吸入となる)自動給紙装置500が装着されている。これにより、ADFスキャナとしての運用方式を提供することができる。なお、自動給紙装置500はスキャナ1に着脱可能である。
【0115】
自動給紙装置500は、少なくとも、1対の動力式紙送りローラ501、給紙口502、排紙口503、1対の動力式紙送りローラ501を駆動させるローラ駆動機構(不図示)、給紙口に原稿用紙が挿入されたことを検出する用紙挿入検出機構(不図示)の構成要素から構成される。
【0116】
自動給紙装置500は、目的とする原稿用紙400が給紙口502から挿入されると、用紙挿入検出機構により原稿用紙400の端部を認識し、ローラ駆動機構により1対の動力式紙送りローラ501を駆動させて、自動的に吸入動作に入ることができる。
【0117】
なお、スキャナ1の本体側は、紙送り機構を備えていない。そのため、原稿用紙400の吸入方向401のサイズ「N」は、「N≧(n/2)−α」の関係を満たす必要がある。αは、スキャナ1のヒンジ部202側の端面から自動給紙装置500の紙送りローラ500の間の距離に相当する。
【0118】
自動給紙装置500をスキャナ1に装着させることにより、ラインスキャンヘッドユニット211はヒンジ部202側に固定され、2連ユニットの内の一方は休止状態とする。また、第3の実施形態で説明した感圧SW203も無効状態とする。
【0119】
スキャナ1に自動給紙装置500を装着すると、自動給紙装置500の所定のコネクタがスキャナ1のI/F部223に接続されて、自動給紙装置500からCPU250へ紙送りローラ501の回転速度等の情報が伝達される。CPU250は、その情報を画像読取機構制御部222に転送し、画像読取機構制御部222は、その紙送りローラ501の回転速度に応じて、ラインスキャンヘッドユニット211によるスキャン速度を制御する。
【0120】
本実施形態によれば、「(業務)頻度の増大」に着目した逐次処理向きのスキャナ装置として、各自の机上で作業を行うことを想定し、使用時は勿論、使用しない時においてもコンパクト性を確保することができる。また、様々な原稿、様々な運用形態に対して、1台で即応できる。また、シンプルな自動給紙装置を装着することで、ADFスキャナとしての運用を確保することができる。
【0121】
(第5の実施形態)
本実施形態では、折畳み状態でのヒンジ部202側を掴み、ハンディスキャナとしての運用が可能な画像電子化入力装置(スキャナ)について説明する。本実施形態では、ヒンジ部202の逆側の端部で、可動式のラインスキャンヘッドのポジションを変更し、スキャンを行う運用(すなわち、コンタクトガラス面に固定された原稿に対して、ラインスキャナを移動させる形態)とする。
【0122】
図20は、本実施形態におけるスキャナ1の運用状態における外観を示す。本実施形態では、スキャナ1を折畳み状態で運用する。この折畳み状態は、図9で説明したように、折畳検出SW205がON、全開検出SW204がOFFとなることで識別が可能となる。
【0123】
同図では、折畳み時のヒンジ部202側にラインスキャンヘッドユニット211を固定し、ヒンジ部202に近い方のラインスキャンヘッド部(符号600で示す部分)を90度変換することにより、コンタクトガラス面201に向いていたヘッドの向きを、ユニットの筐体側面(ヒンジ部202側)にして、ハンディスキャナとして用いている様子を示す。
【0124】
この場合、ラインスキャンヘッドと向かい合った筐体側面は、第1の実施形態のように開放されているか、またはヘッドにかかる部分にコンタクトガラスを有している。
ユーザは、ラインスキャンヘッド部(符号600で示す部分)が原稿用紙の原稿面と対向する状態を保持しながら、スキャナ1を原稿用紙400の水平面と平行方向に移動させることにより走査する。
【0125】
さらに、スキャナ1は、不図示の、ローラ及びエンコーダを有する。エンコーダは、回転部材によって形成され、ハンディスキャナ1が原稿上を移動するのに伴って、原稿との摩擦によって回転するローラと機械的に接続されている。オペレータの手動操作によってハンディスキャナ1が原稿上を移動すると、該ローラが回転し、その回転量を該エンコーダに伝達する。そして、該エンコーダが一定量回転したとき、ハンディスキャナ1が副走査方向401へ1画素単位移動したと判定し、そのタイミングでラインスキャンヘッドの主走査を行う。この動作を繰り返すことにより正確な2次元画像の走査処理を行うことができる。なお、符号605は、ラインスキャンヘッド部211と原稿用紙との間を一定にするための部材である。
【0126】
図21は、本実施形態における1対のラインスキャンヘッド部の回転機構を示す。図22は、図21の回転機構の詳細を示す。図21は、符号600で示す部分(ラインスキャンヘッド機構339が90度回転している部分)以外は、図11と同様である。
【0127】
図22において、ラインスキャンヘッド支持部338には回転軸603が設けられ、支持板602の軸受け部分により回転可能なように支持されている。ラインスキャンヘッド支持部338を90度回転させると、ラインスキャンヘッド支持部338の上面に設置されたラインスキャンヘッド部211も同様に90度回転することになる。
【0128】
これにより、コンタクトガラス面201に向いていたヘッドの向きを、ユニットの筐体側面(ヒンジ部202側)に向けることができる。
この回転動作は、手動で行ってもよいし、モータ等を用いて電動で行ってもよいが、ハンディスキャナとして用いる場合、画像取得が可能となる位置でラインスキャンヘッド部211を固定することになる。
【0129】
この時、ラインスキャンヘッドユニットの他方のヘッド、並びに他方のユニット(ユニットA側を使用するのであればユニットB)は休止状態とする。また、第3の実施形態で説明した感圧SW203も無効状態とする。
【0130】
本実施形態によれば、「(業務)頻度の増大」に着目した逐次処理向きのスキャナ装置として、各自の机上で作業を行うことを想定し、使用時は勿論、使用しない時においてもコンパクト性を確保することができる。また、様々な原稿、様々な運用形態に対して、1台で即応できる。また、ハンディスキャナしての運用を確保することができる。
【0131】
以上より、本発明によれば、頻繁に行われる書類の電子化に対応するために、スキャナ装置の携帯性、コンパクト性、及び利便性を向上させることができる。特に、書類を用いて作業を行っている机の上などに場所を選ばずに置くことができるので、容易に書類のスキャンを行うことができる。また、複数の領収書等のスキャン対象面を上向きにしてコンタクトガラスに載置してスキャナ装置を折畳んで上側のユニットを駆動させてスキャンすることができるので、その複数の領収書等の配置位置を気にすることなく、スキャンすることができる。
【0132】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形態を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明におけるスキャナ1の外観斜視図(全開時)である。
【図2】本発明におけるスキャナ1の外観側面図(全開時)である。
【図3】本発明におけるスキャナ1の外観側面図(折畳み中)である。
【図4】本発明におけるスキャナ1を構成要素とするネットワーク構成の一例を示す。
【図5】本発明におけるスキャナ1の内部構成の概要を示す。
【図6】本発明におけるスキャナ1のラインスキャンヘッドユニット211を示す。
【図7】本発明における一方のユニットを用いて画像を取得する一例を示す。
【図8】本発明における2つのユニットを用いて画像を取得する一例を示す。
【図9】本発明における全開検出SW204と折畳検出SW205のON/OFFの組合わせ判定の内容を示す。
【図10】本発明におけるスキャナ1の形状の状態と、感圧SWと、ヘッドユニットの制御との関係を示す。
【図11】本発明におけるラインスキャンヘッドユニット211の駆動機構を示す。
【図12】本発明における平歯車及び円筒ウォームギアよりなる動力機構330を示す。
【図13】第1の実施形態におけるヒンジ部202の一例を示す。
【図14】図13(c)でスキャナ1を全開状態にした場合に、ラインスキャンヘッド部がコンタクトガラス201の端部まで移動できる構造を示す。
【図15】第2の実施形態におけるスキャナ1の運用状態における外観を示す。
【図16】第3の実施形態における感圧SW203の原理を示す。
【図17】第3の実施形態における感圧SW203の実装の一例を示す。
【図18】第3の実施形態における感圧SW203に関するフローチャートを示す。
【図19】第4の実施形態におけるスキャナ1の運用状態における外観を示す。
【図20】第5の実施形態におけるスキャナ1の運用状態における外観を示す。
【図21】第5の実施形態における1対のラインスキャンヘッド部の回転機構を示す。
【図22】図21の回転機構の詳細を示す。
【符号の説明】
【0134】
1 スキャナ
2 PC
3 印刷装置
4 LAN
200(200a) ユニットA
200(200b) ユニットB
201 コンタクトガラス
202 ヒンジ部
203 感圧SW
204 全開検出SW
205 折畳検出SW
210(210a,210b) 画像読取機構部
211(211a,211b) ラインスキャンヘッドユニット
211a−1,211a−2,211b−1,211b−2 ラインスキャンヘッド部
221 画像変換制御部
222 画像読取機構制御部
223 I/F部
224 電源部
250 CPU
252 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の媒体の表面を走査して、該表面の画像を取り込むスキャナ装置において、
前記媒体が載置されるコンタクトガラス部と、
前記コンタクトガラス部に載置された前記媒体の表面を第1の方向に走査するラインスキャンヘッド部と、
前記第1の方向の垂直方向である第2の方向に前記ラインスキャンヘッド部を駆動させるラインスキャンヘッド駆動部と、
からなるスキャナユニットと、
2組の前記スキャナユニットを連結させ、該連結した箇所を軸として該2組のスキャナユニットの前記コンタクトガラス部同士が相互に向き合うように折り畳み可能なヒンジ部と、
前記ラインスキャンヘッド駆動部を制御するラインスキャンヘッド駆動制御部と、
前記ラインスキャンヘッド駆動制御部に基づいて前記ラインスキャンヘッドより取得された走査信号から画像を生成する画像生成部と、
を備えることを特徴とするスキャナ装置。
【請求項2】
前記スキャナ装置は、さらに、
前記2組のスキャナユニットの折り畳みの状態を検知する折り畳み状態検知部と、
前記折り畳み状態検出部により検知結果に基づいて、走査対象のサイズを決定し、前記ラインスキャンヘッド駆動制御部に対して該決定に応じた指示を行う制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のスキャナ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記折り畳み状態検知部による検知結果に基づいて、前記2組のスキャナユニットの前記コンタクトガラス部が前記ヒンジ部を軸に略180度に開いていると判断した場合、前記画像生成部は該2組のスキャナユニットの双方により得られた走査信号に基づいて前記画像を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載のスキャナ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記折り畳み状態検知部による検知結果に基づいて、前記2組のスキャナユニットが折り畳まれていると判断した場合、前記画像生成部は該2組のスキャナユニットうち少なくとも一方により得られた走査信号に基づいて前記画像を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載のスキャナ装置。
【請求項5】
前記スキャナ装置は、さらに、
前記コンタクトガラス部への押圧を検知する押圧検知部
を備え、
前記制御部は、前記押圧検知部による検知結果に基づいて、前記ラインスキャンヘッド駆動制御部にスキャン開始指示を行う
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のスキャナ装置。
【請求項6】
前記スキャナ装置は、さらに、
当該スキャナ装置を折り畳んだ状態にして前記2組のスキャナユニットの側面のうち前記ヒンジ部側の側面に着脱可能であって、相互に向き合った前記2組のスキャナユニットの前記コンタクトガラス部間に前記媒体を搬送する搬送機構
を備えることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のスキャナ装置。
【請求項7】
前記スキャナ装置は、さらに、
前記2組のスキャナユニットのうちのいずれかのスキャナユニットの前記ラインスキャンヘッド部を、前記コンタクトガラス面に対向している方向から所定角度回転可能とするラインスキャンヘッド回動部
を備えることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載のスキャナ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のスキャナ装置のハンディスキャナとしての使用方法であって、
前記スキャナ装置を折畳み、
前記ラインスキャンヘッド回動部により前記ラインスキャンヘッド部を略90度回転させ、
該回転させた方向にある前記媒体の表面の画像を読み取る
ことを特徴とするスキャナ装置のハンディスキャナとしての使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図15】
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【図18】
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【図20】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−66961(P2008−66961A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241530(P2006−241530)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】